JP6726566B2 - 駆動部傾斜調整方法、及び駆動部傾斜調整プログラム - Google Patents
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Description
このため、上記のような測定器では、測定を実施する前に、駆動部による測定子の移動方向と、ワークの被測定面とを平行にする、いわゆる水平出しの作業を行っている。このような水平出しの方法としては、ワークの傾きを調整する方法と、駆動部の傾きを調整する方法とがある。前者では、例えば、傾斜載物台や3軸調整テーブルを用いてワークの傾きを調整する(例えば、特許文献1参照)。後者では、例えば、駆動部を、測定子の移動方向に対して交差する軸(α軸)周りに回転させて調整する(例えば、特許文献2参照)。
また、後者の水平出しの方法では、ワークのサイズは重量に影響されないものの、CNC形状測定器のような電動モーター等の駆動力により駆動部の角度を調整する場合、装置構成が複雑化し、コストも高くなるとの課題がある。
一方、駆動部をワークの被測定面と同じ傾斜角度に設定するためには、駆動部を被測定面と同じ傾斜角度に設定することに加え、測定子の先端がワークの被測定面に当接する(測定が可能な位置に位置する)必要がある。したがって、本発明では、さらに、第一移動ステップにより、測定子の揺動位置を揺動検出部で検出しつつ、駆動部を第二方向に移動させて、揺動検出部で検出される揺動位置が所定の基準位置となるようにする。この第一移動ステップでは、測定子の先端がワークの被測定面に接触し、かつ測定子の位置が基準位置となる。
この後、第二移動ステップにより、先端変位量算出ステップにて算出された移動方向とは反対方向に、先端変位量算出ステップにより算出された移動量だけ移動させ、角度調整ステップにより、揺動検出部により検出される測定子の位置が基準位置となるように、角度調整部により駆動部の傾斜角度を調整する。これにより、測定子の先端がワークの被測定面に当接可能な位置となり、かつ、駆動部の傾斜角度がワークの被測定面の傾斜角度と同一となる。
また、本発明では、駆動部の角度を調整するための駆動モーター等が不要であり、構成の簡略化を図れ、従来用いられている測定装置に対しても適用することができる。
ここで、駆動部の第一方向の位置は、駆動部の第一方向に対する位置を計測するスケールにより検出することができる。よって、調整軸に対する駆動部の第一方向の位置は、当該スケールにより検出された値から容易に算出できる。また、保持位置は、駆動部において、測定子が取り付けられる位置であり、駆動部において決まった位置(既知の値)となる。よって、調整軸から保持位置までの距離も容易に算出することができる。保持位置から測定子の先端までの距離は、測定子の種別等によってそれぞれ異なるが、測定子によってそれぞれ決まった値となり、予め測定しておくことができる。したがって、調整軸から測定子の先端までの距離も容易に算出することができる。
そして、上述のようにワーク角度取得ステップによりワークの被測定面の傾斜角度が取得されれば、当該傾斜角度と、調整軸から測定子の先端までの距離とから、簡単な三角関数を用いて、駆動部を被測定面の傾斜角度だけ傾斜させた際の、測定子の先端の位置(第二方向に対する位置)を容易に算出することができる。
これに対して、本発明では、このような場合に、退避ステップを実施して、測定子がワークから離れる方向に移動するように、駆動部の傾斜角度を変化させる。変化させる角度としては、第二移動ステップにより駆動部を移動させた際に、測定子がワークに押し込まれない(測定子がワークに接触しない)角度であればよい。これにより、第二移動ステップにおける測定子とワークとの衝突を抑制できる。
本発明では、退避ステップでは、駆動部を調整軸回りに被測定面の傾斜角度以上回転させるので、退避ステップの後に駆動部をワーク側に移動させた際に、測定子がワークに押し付けられる不都合を回避でき、測定子やワークの破損をより確実に抑制できる。
そして、第一報知ステップにより、揺動検出部で検出される測定子の位置が基準位置となるように、駆動部を第二方向に移動させる旨を報知する。これにより、作業者は、当該報知内容に従って、容易に、測定子の先端がワークの被測定面に接触し、かつ測定子の位置が基準位置となる位置に駆動部を移動させることができる。
その後、第二報知ステップにより、先端変位量算出ステップにて算出された移動方向とは反対方向に、先端変位量算出ステップにより算出された移動量だけ移動させる旨を報知させる。これにより、作業者は、当該報知内容に従って、容易に、駆動部を第二方向に必要な量だけ移動させることができる。
そして、第三報知ステップにより、揺動検出部により検出される測定子の位置が基準位置となるように、角度調整部により駆動部の傾斜角度を調整する旨が報知される。これにより、作業者は、当該報知内容に従って、駆動部の角度を容易に調整できる。
以上のように、作業者は、第一報知ステップ〜第三報知ステップにて報知される作業指示に従った作業を行えば、駆動部の角度を、ワークの被測定面の傾斜角に合わせ、かつ、測定子の先端を被測定面の測定に適した位置に移動させることができる。したがって、高度な熟練技術を必要とせず、容易に駆動部の角度調整を行うことができる。
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
〔本実施形態の構成〕
図1には、本実施形態に係る表面性状測定機1が示されている。
表面性状測定機1は、本発明の測定器である装置本体10と、測定器を制御するコンピューターである制御装置20と、表示装置30と、を含んで構成されている。
装置本体10は、ベース11と、テーブル12と、検出器13と、移動機構14と、を含んで構成されている。また、装置本体10には、コントローラー(図示略)が設けられ、オペレーターにより当該コントローラーが操作されることで、移動機構14を制御して、検出器13を所望の位置に移動させたり、表面性状の測定の開始や終了を指令したりすることが可能となる。なお、コントローラーが設けられず、制御装置20により検出器13や移動機構14の駆動制御が実施される構成であってもよい。
テーブル12は、ベース11上に載置され、上面にワークWが載置(設置)される。ワークWは、テーブル12上に直接設置されてもよく、例えば固定治具等により固定された状態で設置されてもよい。
検出器本体131は、移動機構14のXスライダ145(後述)に支持される。また、検出器本体131には、X1方向に延びるアームホルダー132が着脱自在に接続され、当該アームホルダー132の先端部(保持位置132A)に測定子であるスタイラス133が接続される。スタイラス133は、例えばアームホルダー132の長手方向に沿ったシャフト部と、シャフト部から離れる方向に突出する接触子とを有し、接触子の先端(以降、スタイラス133の先端を称す場合がある)がワークWに当接可能となる。このスタイラス133は、アームホルダー132に対して着脱自在となり、ワークWや測定方法、測定種別等によって、適宜変更可能となっている。
コラム141は、ベース11の上面に立設されたZ2軸(本発明の第二方向であるZ2方向に沿う軸)に沿う柱状部材である。
Zスライダ142は、コラム141に対してZ2方向に沿って移動可能に支持されており、このZスライダ142には駆動本体部144が固定される。
Z駆動機構143は、Zスライダ142をZ2方向に移動させる機構である。このZ駆動機構143は、図示は省略するが、例えば、Z軸駆動モーターと、このZ軸駆動モーターの回転を伝達するZ軸回転伝達機構とによって構成することができる。また、Z駆動機構143には、図1に示すように、Z調整ノブ143Aが設けられ、当該Z調整ノブ143Aが手動により調整されることで、Zスライダ142のZ2方向の位置調整が可能となる。
また、Z駆動機構143には、Zスライダ142のZ2方向の位置を検出するZスケール142A(図2参照)が設けられている。このZスケール142Aは、検出したZ2方向の位置情報を制御装置20に出力する。なお、Zスケール142Aにて検出されたZ2方向の位置情報を、例えば駆動本体部144に設けられた表示ディスプレイに表示させてもよい。
この駆動部傾斜機構147は、例えば、Xスライダ145に設けられたα軸調整つまみ148が調整されることで、駆動本体部144をZスライダ142に対してα軸147Aを中心に回転させる。
また、駆動部傾斜機構147に、コラム141に対する駆動本体部144の傾斜角度、つまり、Z2軸に対するX1軸の傾斜角度を示すα軸目盛147Bが設けられていてもよい。
X駆動機構146は、Xスライダ145をX1軸(本発明の第一方向に相当するX1方向に沿った軸)に沿って移動させる機構である。このX駆動機構146は、Xスライダ145をガイドレールに沿ってX1方向に移動させる送り機構(図示略)を備える。この送り機構は、例えばX軸駆動モーターと、X軸駆動モーターの回転を伝達してXスライダ145を移動させるX軸回転伝達機構とによって構成することができる。なお、X駆動機構146として、図1に示すように、X調整ノブ146Bが設けられ、当該X調整ノブ146Bが手動により調整されることで、Xスライダ145の位置調整が可能となる。
また、X駆動機構146には、Xスライダ145のX方向の位置を検出するXスケール146A(図2参照)が設けられている。
そして、このXスライダ145には、上述のように検出器13が支持されているので、検出器13に保持されたスタイラス133も、Xスライダ145とともに、X1方向、Z2方向に移動可能となり、α軸147Aを中心に回転可能となる。このため、駆動部傾斜機構147により駆動本体部144が回転されると、X2方向(テーブル12の上面に沿い、かつZ2方向から見た平面視においてアームホルダー132の延出方向に沿う方向)に対して、X1方向が傾斜することになる。
図2は、表面性状測定機1のシステム構成の概略を示すブロック図である。
制御装置20は、例えばパーソナルコンピューター等のコンピューターにより構成することができる。この制御装置20は、記憶部21と、操作部22と、制御部23と、を含んで構成されている。
記憶部21に記憶される各種プログラムとしては、本発明の駆動部傾斜調整プログラムや、ワークWに対する測定処理を実施する際の測定手順を含むパートプログラム等が記憶されている。
また、各種データとしては、装置本体10におけるアームホルダー132やスタイラス133の寸法(又は、保持位置132Aからスタイラス133の先端までの寸法)、駆動本体部144における保持位置132Aの位置が記録されている。駆動本体部144における保持位置132Aの位置としては、例えば、駆動本体部144において予め設定された所定の基準位置から保持位置132Aまでの寸法が記録されていてもよい。
制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路や記憶回路等により構成されており、記憶部21に記憶された各種プログラム(駆動部傾斜調整プログラム)を読み込み実行することで、図2に示すように、ワーク角度取得部231、先端変位量算出部232、報知制御部233、モード切替部234、及び測定制御部235として機能する。
モード切替部234は、装置本体10の動作モードを切り替える。具体的には、モード切替部234は、例えば測定者の操作に基づいて、ワークWの被測定面に対する測定処理を実施する測定モードと、Xスライダ145の移動方向(X1方向)を被測定面の傾斜方向に合わせ込む水平出しモードと、等に切り替える。
測定制御部235は、例えばパートプログラム等の各種プログラムに従って、装置本体10のZ駆動機構143やX駆動機構146を制御してZスライダ142やXスライダ145を移動させたり、検出器13を駆動させてスタイラス133を揺動させ検出センサー131Aからの検出値を取得したりする。
次に、本実施形態における駆動部傾斜調整方法について説明する。
本実施形態の表面性状測定機1を用いたワークWの被測定面の測定では、アームホルダー132及びスタイラス133により構成された測定子を装置本体10に装着し、スタイラス133の先端を被測定面に当接させ、かつ、被測定面の傾斜角度(ワーク傾斜角)に沿ってXスライダ145を移動させる。したがって、X駆動機構146により駆動されるXスライダ145の移動方向(X1方向)を被測定面に平行にする必要がある。このために、本実施形態では、駆動部傾斜機構147を調整して、コラム141(Z2軸)に対する駆動本体部144の傾斜角を調整し、駆動本体部144に設定されたXスライダ145の移動方向(X1方向)をワーク傾斜角に合わせ込む。
これに対して、本実施形態では、自動角度調整機能を有さない簡素な表面性状測定機1においても、高度な熟練を必要とせず、容易にXスライダ145の移動方向(X1方向)をワーク傾斜角に調整することが可能となる。以下、当該方法について、詳細に説明する。
なお、本実施形態では、初期状態において、α軸147Aを中心とした駆動本体部144の傾斜角度がほぼ0°であることを前提として以下説明する。
本実施形態の駆動部傾斜調整方法では、制御装置20において、測定者の操作部22の操作等によって、水平出し処理を行う旨の入力信号が入力されると、モード切替部234は、動作モードを水平出しモードに設定する(ステップS1)。
ここでは、ワークWの被測定面に対して予備測定を実施する例を説明する。
図4は、予備測定を実施した際の被測定面に対する測定結果、及び当該測定結果から算出された被測定面に沿った傾斜線を示す図である。
この予備測定では、ワークWの被測定面に、スタイラス133の先端が当接する位置に移動機構14を駆動させる。予備測定では、被測定面の一部に対して測定を実施することになるため、当該一部において、アームホルダー132及びスタイラス133の揺動可能な角度範囲内でスタイラス133の先端が被測定面に当接すればよい。したがって、駆動本体部144を水平(ほぼ0°)に維持したまま予備測定を実施することができる。
ワーク角度取得部231は、得られた測定結果の各点の座標を用い、図4の破線にて示すような直線近似式を算出する。直線近似式の算出では、例えば最小二乗法等を用いることができる。また、ワーク角度取得部231は、算出した直線近似式(被測定面に沿った直線式)から、被測定面のワーク傾斜角θを求める。
なお、上記の例では、被測定面の一部に沿ってスタイラス133を移動させて測定させる予備測定に基づいたワーク傾斜角θの算出であるが、その他の方法を用いてもよい。例えば、スタイラスを被測定面上の2点以上の測定点に当接させ、各測定点における測定結果(Zスケール142A,Xスケール146A、及び検出センサー131Aの測定値)から、これらの測定点を通る直線式(又は傾斜面の平面式)を算出してワーク傾斜角θを求めてもよい。
また、上述したように、予め被測定面のワーク傾斜角が分かっている場合では、測定者が操作部22を操作することでワーク傾斜角を設定入力してもよい。
これにより、測定者は、報知内容に従って、Z調整ノブ143AやX調整ノブ146Bを操作することで、スタイラス133が被測定面に当接する位置となるようにZスライダ142やXスライダ145を移動させることができる。
検出器本体131に装着される個々のアームホルダー132及びスタイラス133のそれぞれの設計寸法は既知であり、また、Xスケール146Aにより駆動本体部144に対するXスライダ145の位置(α軸147Aに対するXスライダ145の位置)が検出できる。
X1方向に対する初期座標X0は、アームホルダー132の検出器本体131への装着位置から保持位置132Aまでの寸法(既知)、スタイラス133のシャフト部がアームホルダー132に装着される保持位置132Aから接触子が設けられる位置までの寸法(既知)、Xスライダ145や検出器本体131の設計寸法(既知)、及びXスケール146Aの検出値(測定値)により求められる。
Z1方向に対する初期座標Z0は、スタイラス133の接触子の突出寸法(既知)と、駆動本体部144におけるα軸147Aから保持位置132AまでのZ1方向の寸法(駆動本体部144やXスライダ145、検出器本体131、アームホルダー132の既知の設計寸法から算出)とにより算出できる。
つまり、α軸を原点として、駆動本体部144をワーク傾斜角θだけ回転させた場合のスタイラス133の先端の座標を(X1,Z1)とし、回転前の初期座標を(X0,Z0)とすると、以下の式(1)(2)が成立する。
X1=X0cosθ−Z0sinθ …(1)
Z1=X0sinθ+Z0cosθ …(2)
よって、式(1)及び式(2)から、スタイラス133の先端のZ方向の移動量及び移動方向は、下記式(3)より算出できる。
Zm=Z1−Z0=(X0sinθ+Z0cosθ)−Z0 …(3)
つまり、検出センサー131Aにより検出されるスタイラス133の揺動位置が基準位置となる状態にZスライダ142を移動させる。ここで、基準位置としては、例えば検出センサー131Aの検出値が0mm(スタイラス133がいずれの方向にも振れていない状態)となる位置を例示できる。
ステップS7により、測定者は、Z調整ノブ143Aを操作し、Zスライダ142を移動させる。そして、報知制御部233は、検出センサー131Aの検出値を監視し、当該検出値が基準値となった場合に、表示装置30や駆動本体部144に設けられたディスプレイへの画像表示や、音声等によって、調整が成功した旨を報知する(ステップS8)。
図5は、ステップS8の処理が完了した直後の状態を示すXスライダ145に支持された検出器13(アームホルダー132、及びスタイラス133)の位置を示す図である。図6は、ステップS10により、スタイラス133をワークWから退避させた状態を示す図である。
本実施形態では、ステップS6で算出された移動量(|Zm|)だけ、ステップS6で算出された移動方向とは反対側にXスライダ145を移動させる(詳細は後述)ため、ステップS6にて算出された移動方向がワークWとは反対側である場合に、Xスライダ145をワークW側に移動させることになる。この場合、スタイラス133がワークWに押し込まれることになり、スタイラス133やワークWが損傷する可能性がある。したがって、本実施形態では、ステップS6にて算出された移動方向がワークWとは反対側である場合、図5に示すようなステップS6の状態から、図6に示すような状態に、駆動本体部144を回転させてスタイラス133の先端をワークから離れる方向に移動させる。
ステップS11においてYesと判定された場合、及び、ステップS9においてNoと判定された場合(ステップS5で算出した移動方向がワークWに近接する方向である場合)、Zスライダ142をZ2方向に沿って移動させることで、Xスライダ145をステップS6にて算出した移動量(|Zm|)だけ、ステップS6にて算出した移動方向とは逆方向に移動させる旨を報知する(ステップS12;第二報知ステップ)。
このステップS12の報知に従って、測定者がZ調整ノブ143Aを操作することで、Zスライダ142がZ2方向に沿って移動され、この移動に伴い駆動本体部144、及び駆動本体部144に接続されるXスライダ145も移動されて、図7に示すような状態にアームホルダー132及びスタイラス132が移動される。
この場合、報知制御部233は、Zスケール142Aからの検出値に基づいて、Zスライダ142の移動量がZmとなったか否かを判定し、移動量がZmとなった場合に、画像表示や音声等によって、Z方向への移動調整が成功した旨を報知する(ステップS13)。
これにより、測定者は、検出センサー131Aの検出値(表示装置30や駆動本体部144に設けられたディスプレイにて視認可能)を参照しながら、α軸調整つまみを操作し、検出センサー131Aの検出値が基準値となる位置に、駆動本体部144の傾斜角度を調整する。Xスライダ145は、駆動本体部144に接続されているため、本操作により、駆動部であるXスライダ145の傾斜角度が調整されることになり、Xスライダ145の移動方向であるX1方向が、ワークWの被測定面の傾斜方向と同じ方向に調整されることになる。
すなわち、駆動本体部144の傾斜角度は、初期状態において0°以外の角度で傾斜していてもよい。この場合では、例えば、測定者が当該傾斜角度を事前に入力することで、制御装置20は、当該角度を考慮した調整を実施する。
具体的には、測定者により、初期状態の駆動本体部144の傾斜角度(θ0)が入力されると、制御装置20は、ステップS12において報知する、Zスライダ142のZ2方向への移動量を1/cosθ0倍する(つまり、|Zm|/cosθ0だけZスライダ142を移動させる旨を報知する)。これにより、X1-Z1座標系と、X2−Z2座標系とを合わせ込むことができる。
本実施形態の表面性状測定機1では、水平出しモードにおいて、ステップS2のワーク角度取得ステップにより、ワークWの被測定面の傾斜角度(ワーク傾斜角θ)を取得する。また、ステップS6の先端変位量算出ステップにより、駆動本体部144を、α軸147Aを中心にワーク傾斜角θだけ回転させた場合の、スタイラス133の先端の位置(移動量及び移動方向)を算出する。さらに、ステップS7の第一報知ステップにより、検出センサー131Aの検出値が基準値となるように、Zスライダ142を移動させる旨を報知する。このステップS7によって、Zスライダ142が移動された後、ステップS12の第二報知ステップにより、Xスライダ145をステップS6にて算出した移動量(|Zm|)だけ、ステップS6にて算出した移動方向とは逆方向に移動させる旨を報知する。そして、ステップS14の第三報知ステップ(角度調整ステップ)により、検出センサー131Aの検出値が基準値(例えば0mm)となるように調整する旨を報知する。
つまり、α軸目盛147Bでは、設けられた目盛単位(例えば1°単位)未満の精度で角度を調整することができないが、本実施形態では、検出センサー131Aの検出値に基づいた高精度な駆動部の角度調整を実施できる。
また、本実施形態では、α軸147A回りの駆動本体部144の角度を調整するために、別途駆動モーター等が不要であり、構成の簡略化を図れる。つまり、従来用いられている表面性状測定機1に対しても、制御装置20に上記のような駆動部傾斜調整方法を実施するプログラムを導入するだけで、高精度な傾斜角度の調整を行うことができる。
よって、既知の値とXスケール146Aの検出値に基づいて、スタイラス133の先端位置の初期位置を容易に算出することができ、このスタイラス133の先端位置の初期位置とステップS2で取得したワーク傾斜角θとにより、スタイラス133の移動量及び移動方向を容易に算出できる。
このため、ステップS12〜ステップS13の処理において、Zスライダ142を移動させる際に、スタイラス133がワークWに押し込まれることがなく、スタイラス133やワークWの破損を防止できる。
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、ステップS3〜ステップS4、ステップS7〜ステップS8、及びステップS12〜ステップS13において、測定者に対して、Zスライダ142を移動させる旨を報知した(測定者による操作によりZスライダ142が移動された)が、第二実施形態では、制御装置20が実施する点で上記と相違する。
この場合、ステップS4において、先端変位量算出部232は、当該当接位置でのZスケール142A及びXスケール146Aから出力される検出値を読み込み、スタイラス133の位置座標を取得する。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態では、本発明の産業機械を表面性状測定機1に適用した例を説明したが、その他、物品の寸法あるいは形状を測定するための多様な測定機に対して適用することができる。例えば、物品の表面上の各点位置を測定する三次元測定機、円筒状などの物品の真円度を測定する真円度測定機等に対して好適に適用することができる。
Claims (5)
- ワークの被測定面を測定する測定子を揺動可能に保持するとともに、第一方向及び前記第一方向に交差する第二方向に移動可能であり、かつ前記第一方向及び前記第二方向に交差する調整軸を中心に回転可能な駆動部と、前記測定子の揺動位置を検出する揺動検出部と、前記駆動部の前記調整軸回りの角度を変更する角度調整部と、を備えた測定器の前記駆動部の傾斜を調整する駆動部傾斜調整方法であって、
前記被測定面の傾斜角度を取得するワーク角度取得ステップと、
前記駆動部を、前記被測定面の傾斜角度だけ回転させた場合の、前記測定子の先端の前記第二方向に対する移動量及び移動方向を算出する先端変位量算出ステップと、
前記揺動検出部にて検出される前記揺動位置が所定の基準位置となるように、前記駆動部を前記第二方向に対して移動させる第一移動ステップと、
前記駆動部を前記先端変位量算出ステップにて算出された前記移動方向とは反対方向に前記移動量だけ移動させる第二移動ステップと、
前記揺動検出部にて検出される前記揺動位置が前記基準位置となるように、前記駆動部の前記調整軸回りの角度を調整する角度調整ステップと、
を実施することを特徴とする駆動部傾斜調整方法。 - 請求項1に記載の駆動部傾斜調整方法において、
前記第二移動ステップは、前記移動方向の反対方向が前記ワークに向かう方向である場合、前記測定子が前記ワークから離れる方向に前記駆動部を前記調整軸回りに回転させる退避ステップを実施した後、前記駆動部を前記第二方向に対して移動させる
ことを特徴とする駆動部傾斜調整方法。 - 請求項2に記載の駆動部傾斜調整方法において、
前記退避ステップは、前記ワーク角度取得ステップにより取得された前記被測定面の傾斜角度以上、前記駆動部を前記調整軸回りに回転させる
ことを特徴とする駆動部傾斜調整方法。 - ワークの被測定面を測定する測定子を揺動可能に保持するとともに、第一方向及び前記第一方向に交差する第二方向に移動可能であり、かつ前記第一方向及び前記第二方向に交差する調整軸を中心に回転可能な駆動部と、前記測定子の揺動位置を検出する揺動検出部と、前記駆動部の前記調整軸回りの角度を変更する角度調整部と、を備えた測定器の前記駆動部の傾斜を調整する駆動部傾斜調整方法であって、
前記被測定面の傾斜角度を取得するワーク角度取得ステップと、
前記駆動部を、前記被測定面の傾斜角度だけ回転させた場合の、前記測定子の先端の前記第二方向に対する移動量及び移動方向を算出する先端変位量算出ステップと、
前記揺動検出部にて検出される前記揺動位置が所定の基準位置となるように、前記駆動部を前記第二方向に対して移動させる旨を報知する第一報知ステップと、
前記第一報知ステップの後、前記駆動部を前記先端変位量算出ステップにて算出された前記移動方向とは反対方向に前記移動量だけ移動させる旨を報知する第二報知ステップと、
前記第二報知ステップの後、前記揺動検出部にて検出される前記揺動位置が前記基準位置となるように、前記駆動部の前記調整軸回りの角度を調整する旨を報知する第三報知ステップと、
を実施することを特徴とする駆動部傾斜調整方法。 - ワークの被測定面を測定する測定子を揺動可能に保持するとともに、第一方向及び前記第一方向に交差する第二方向に移動可能であり、かつ前記第一方向及び前記第二方向に交差する調整軸を中心に回転可能な駆動部と、前記測定子の揺動位置を検出する揺動検出部と、前記駆動部の前記調整軸回りの角度を変更する角度調整部と、を備えた測定器を制御するコンピューターにより読み取られて実行される駆動部傾斜調整プログラムであって、
前記コンピューターに、請求項1から請求項4のいずれか1項の駆動部傾斜調整方法を実施させることを特徴とする駆動部傾斜調整プログラム。
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JP2016158674A JP6726566B2 (ja) | 2016-08-12 | 2016-08-12 | 駆動部傾斜調整方法、及び駆動部傾斜調整プログラム |
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