JP6379662B2 - 樹脂層付き多孔質基材の製造装置および樹脂層付き多孔質基材の製造方法 - Google Patents

樹脂層付き多孔質基材の製造装置および樹脂層付き多孔質基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂層付き多孔質基材の製造装置および樹脂層付き多孔質基材の製造方法に関する。
基材上に形成された樹脂層を加熱して硬化する場合、通常、基材をIRヒーターや熱風循環式ヒーターなどにより加熱して硬化している。また、基材上に形成された無機層を焼結する場合、連続した焼結炉を用いて高温で長時間加熱して焼結している。
ここで、基材を連続した焼結炉を用いて高温で長時間加熱する場合の例として、固体高分子形燃料電池を構成するガス拡散層の製造方法が挙げられる。
固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜と、その両面に高分子電解質膜を挟んで互いに向い合う一対の電極触媒層が配置されている。そして、一対の電極触媒層には、それぞれ、高分子電解質膜と対向する面と反対側の面に、高分子電解質膜及び一対の電極触媒層を挟んで互いに向い合う一対のガス拡散層が配置されている。
固体高分子形燃料電池のガス拡散層とは、単電池を構成する部材であり、導電性の多孔質基材からなる。ガス拡散層は、セパレーターからの燃料および空気の触媒層への均一拡散、電気および熱伝導、反応によって生成される水を適切に排出および保持を行う役割があり、これらを効率良く行う為の諸特性が必要とされる。
固体高分子形燃料電池は、水排出能力が不足すると、反応による生成水の発生による電解質膜近傍での水分が過多となり、反応ガスの拡散を阻害したり(フラッディング)、水滴がセパレーター流路を閉塞して反応ガスの流動を妨げたり(プラッキング)することで、電池性能の劣化が起こる。また、水保持能力が不足すると、アノード側からカソード側へのプロトン伝導の際に必要な水が不足し(ドライアウト)、電池性能の劣化が起こる。このため、ガス拡散層に適切な水管理能力を付与することは、優れた電池性能を保持する上で特に重要である。そこで、さらに水管理能力を向上させるために、多孔質基材の表面にMPL(Micro porous layer)と呼ばれる、より微細な構造の多孔質な樹脂層を形成させる必要がある。
多孔質基材の表面にMPLを形成する方法として、例えば、特許文献1には、MPLシート形成用インクを用意し、次いで、MPLインクを厚さ25μmのポリイミドフィルムから構成される耐熱性保持シート上に塗布し、これを80℃で乾燥した後、330℃で焼結を行なうことが記載されている。
国際公開第2012/172993号
しかしながら、焼結温度は、一般的に200℃以上が必要とされ、場合によっては1000℃以上で焼結させることもあり、焼結時間も数時間に及ぶ。したがって、ガス拡散層の製造に時間がかかり、焼結炉も大型化するという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、多孔質基材の表面にMPLを形成する際のMPLの焼結において、その焼結時間を短縮し、装置の大型化を回避することを目的とした樹脂層付き多孔質基材の製造装置および樹脂層付き多孔質基材の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一態様は、多孔質基材と多孔質基材の一方の面に形成された樹脂層とを備える樹脂層付き多孔質基材の製造装置であって、少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する塗工手段と、樹脂膜を乾燥させて、樹脂層を形成する乾燥手段とを備え、乾燥手段が、パルス光を照射して加熱することにより乾燥させる手段を含むことを特徴とする樹脂層付き多孔質基材の製造装置である。
また、本発明の一態様において、樹脂液がカーボン粒子、撥水性の樹脂チップおよび溶媒からなる懸濁液であり、多孔質基材がカーボンペーパーであってもよい。
また、本発明の一態様において、樹脂層の表面粗さRaが0.02μm以上1.0μm以下であってもよい。
また、本発明の一態様において、多孔質基材がロール状の形態であり、多孔質基材を巻取る機構と巻出す機構とを具備し、多孔質基材を搬送しながらパルス光を連続的に照射して樹脂膜を加熱してもよい。
また、本発明の一態様において、乾燥手段が、さらに減圧乾燥により乾燥させる手段を含んでもよい。
また、本発明の一態様において、乾燥手段が、さらにヒーターにより乾燥させる手段を含んでもよい。
また、本発明の別の態様は、多孔質基材と多孔質基材の一方の面に形成された樹脂層とを備える樹脂層付き多孔質基材の製造方法であって、少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する塗工工程と、樹脂膜を乾燥させて、樹脂層を形成する乾燥工程とを備え、乾燥工程が、パルス光を照射して加熱することにより乾燥させる工程を含むことを特徴とする樹脂層付き多孔質基材の製造方法である。
また、本発明の別の態様において、樹脂液がカーボン粒子、撥水性の樹脂チップおよび溶媒からなる懸濁液であり、多孔質基材がカーボンペーパーであってもよい。
また、本発明の別の態様において、樹脂層の表面粗さRaが0.02μm以上1.0μm以下であってもよい。
また、本発明の別の態様において、多孔質基材がロール状の形態であり、多孔質基材を巻取る機構と巻出す機構とを具備し、多孔質基材を搬送しながらパルス光を連続的に照射して樹脂膜を加熱してもよい。
また、本発明の別の態様において、乾燥工程が、さらに減圧乾燥により乾燥させる工程を含み、減圧乾燥により乾燥させる工程が、塗工工程とパルス光を照射して加熱することにより乾燥させる工程との間に備えてもよい。
また、本発明の別の態様において、乾燥工程が、さらにヒーターにより乾燥させる工程を含み、ヒーターにより乾燥させる工程が、塗工工程とパルス光を照射して加熱することにより乾燥させる工程との間に備えてもよい。
本発明によれば、多孔質基材の表面に樹脂層を形成する際の樹脂の乾燥および焼結において、その乾燥および焼結の時間を短縮し、乾燥および焼結するための装置の大型化を回避することができる。
本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の構成を示した断面図である。 本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の製造装置の概要を示した上面図である。 本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の製造装置の概要を示した側面図である。 固体高分子形燃料電池の構成を示した分解斜視図である。
以下に、本発明における樹脂層付き多孔質基材の製造方法および製造装置について、実施形態に沿って説明する。
(樹脂層付き多孔質基材について)
図1は、本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の構成を示した断面図である。図1に示すように、樹脂層付き多孔質基材10は、多孔質基材11と、多孔質基材11の一方の面に形成された樹脂層12とから構成される。多孔質基材11は、内部に空隙を有する基材であり、樹脂層12は、多孔質基材11に比べて内部の空隙の割合が小さい層である。樹脂層付き多孔質基材10は、その内部の空隙により、気体や液体の拡散の程度を調整する機能を備える。樹脂層付き多孔質基材10は、例えば、後述する固体高分子形燃料電池のガス拡散層として用いることができる。
多孔質基材11の材質としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質のものを用いることができる。具体的には、カーボンクロス、カーボンペーパー、不織布などの多孔質なカーボン材を用いることができる。中でも、多孔質基材11の材質としては、カーボンペーパーを用いることが好ましい。
樹脂層12は、少なくともカーボン粒子と樹脂とから構成される。樹脂としては、撥水性を有する樹脂を用いることが好ましい。具体的には、フッ素系の樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂が好ましい。また、樹脂層12に含まれる樹脂は、例えば、チップ形状の樹脂であってもよい。樹脂がチップ形状の場合、その大きさは、特に限定するものではないが、50μm以上1000μm以下程度が好ましい。
(樹脂層付き多孔質基材の製造装置について)
図2は、本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の製造装置の概要を示した上面図である。また、図3は、本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の製造装置の概要を示した側面図である。図2および3に示すように、樹脂層付き多孔質基材の製造装置20は、ロール状に配置された多孔質基材26である巻出しロール27と、巻出しロール27から送り出された多孔質基材26の一方の面に、樹脂膜25を形成する塗工部と、樹脂膜25を乾燥し、樹脂層を形成する乾燥部と、樹脂層が形成された多孔質基材を巻取る巻取りロール28とからなる。
樹脂層付き多孔質基材の製造装置の塗工部は、多孔質基材26の一方の面に樹脂膜25を形成するための樹脂液を吐出するダイ塗工ヘッド21と、基材を支持するための塗工ステージとからなる。なお、図2および3では、多孔質基材26の一方の面に樹脂膜25を形成するため塗工手段として、ダイ塗工ヘッド21を示したが、スクリーン印刷やオフセット印刷のような印刷手段を用いてもよい。また、塗工ステージとしては、吸着機構などの方法で、裏側から基材を固定するものがある。
多孔質基材26の一方の面に樹脂膜25を形成するための樹脂液は、少なくとも、カーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む。カーボン粒子および樹脂については、前述の樹脂層12に含まれるカーボン粒子および樹脂と同じである。一方、樹脂液に含まれる溶媒としては、水、2−プロパノールなどのアルコール類などが挙げられる。また、樹脂液に含まれる樹脂がチップ形状の樹脂である場合、樹脂液は懸濁液となり、この懸濁液を用いて樹脂膜25を形成することによって、樹脂を溶融させた際に適度な空隙を形成することができる。
樹脂液に含まれるカーボン粒子と樹脂の割合は、1:0.1から1:3の間であることが好ましい。樹脂液に含まれる樹脂の量が多すぎると、樹脂層の細孔(空隙)が閉塞してしまうため、樹脂液に対する樹脂の濃度は適正に調整する必要がある。
樹脂膜25を乾燥し、樹脂層を形成する乾燥部は、図2および3に示すように、塗工部にて多孔質基材26の一方の面に形成された樹脂膜25を乾燥させて溶媒を除去する減圧乾燥手段23、熱乾燥手段24および焼結乾燥手段29からなる。ここで、図2および3では、減圧乾燥手段23、熱乾燥手段24および焼結乾燥手段29の全ての乾燥手段を用いた装置を示したが、樹脂層付き多孔質基材の製造装置は、少なくとも焼結乾燥手段29を備えていればよい。また、焼結乾燥手段29と併用する乾燥手段としては、減圧乾燥手段23または熱乾燥手段24のいずれか一方でもよく、その両方でもよい。また、減圧乾燥手段23および熱乾燥手段24を両方用いる場合、その順序は限定されないが、減圧乾燥手段23を用いた後、熱乾燥手段24を用いることが、乾燥速度の短縮や、乾燥ムラの発生の回避という点で好ましい。
減圧乾燥手段23は、減圧乾燥によって樹脂膜25に含まれる溶媒を除去する手段である。減圧乾燥手段23を用いることにより、短時間で樹脂膜25内の溶剤を除去することができ、また、樹脂膜25を常温で乾燥することができるため、熱に弱い多孔質基材にも対応することができる。減圧乾燥手段23を用いるときの圧力は、0.1Torr以上10Torr以下、時間は、5秒以上180秒以下であることが好ましい。また、乾燥ムラの回避のため、設定到達圧に達するまでの時間を調整できる機構を持つもことが好ましい。
熱乾燥手段24は、加熱によって樹脂膜25に含まれる溶媒を除去する手段である。熱乾燥手段24を用いることにより、減圧乾燥手段に比べて低コストで導入することができ、また、樹脂膜25に生じる乾燥ムラを低減することができる。具体的には、IRヒーターや熱風循環式ヒーターなどの各種ヒーターを用いる。また、コンベア方式、枚葉方式など搬送方法に合わせて選定する。熱乾燥手段24を用いるときの温度は、70℃以上250℃以下、時間は、5秒以上300秒以下であることが好ましい。
焼結乾燥手段29は、パルス光を照射して加熱することにより乾燥させる手段である。具体的には、紫外から可視光のブロードな波長を持つ光をパルス式で照射する装置(パルス光照射装置)を用いることができる。光源としては、Xeガスを使ったXeフラッシュランプなどが一般的に用いられる。パルス光を照射するフラッシュランプを用いることにより、光をパルス式で照射する装置を小型化することができ、また、装置の占有スペース、つまりフットプリントを短縮することができる。この光源を用いて、対象物に数千Vに及ぶ高出力の光を瞬間的に照射することで、その波長に吸収域を持つ物質の温度を瞬時に上げることができる。そして、その対象物を高温でかつ短時間で乾燥および焼結させることができる。
パルス光は、パルスの周波数、電圧を適宜調整できる装置を用いて適正な照射エネルギーに調整することができる。特に、高出力のパルス光を用いることで、対象物を短時間で焼結することができる。具体的には、連続パルスの周波数は限定するものではないが、電圧は1000V以上5000V以下、照射時間は、0.1ミリ秒以上10ミリ秒以下であることが好ましい。また、多孔質基材26の搬送速度を調整すること、すなわち、照射時間を調整することによっても、照射エネルギーを調整することができる。照射エネルギーは0.1J/cm以上10J/cm以下であることが好ましい。
なお、樹脂膜25に含まれる樹脂がチップ状の樹脂である場合、焼結乾燥手段29を用いると、チップ状の樹脂とともに含まれるカーボン粒子がパルス光を吸収することで高温となり、チップ状の樹脂が溶融する。これを冷却することによって樹脂層を形成することができる。
本発明の樹脂層付き多孔質基材の製造装置は、図2および3に示すように、多孔質基材26がロール状の形態であり、巻取りと巻出しの機構を具備し、多孔質基材26を搬送しながらパルス光を連続的に照射する形式でもよく、また、多孔質基材26がシート状の形態で搬送される形成でもよい。その中でも、図2および3に示すように、いわゆるロール・トゥ・ロールで処理することにより、焼結炉のようなバッチ処理と比べて、効率良く樹脂層付き多孔質基材を作製することができる。
(樹脂層付き多孔質基材の製造方法について)
本発明の一実施形態である樹脂層付き多孔質基材の製造方法は、少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する塗工工程と、樹脂膜を乾燥させて、樹脂層を形成する乾燥工程とを備え、乾燥工程が、パルス光を照射して加熱することにより乾燥させる工程を含む。
樹脂層付き多孔質基材の製造方法に用いられる樹脂液は、樹脂層付き多孔質基材の製造装置で用いられる樹脂液と同様のものを用いることができる。具体的には、少なくとも、カーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む。
また、樹脂層付き多孔質基材の製造方法の塗工工程は、樹脂層付き多孔質基材の製造装置の塗工部で用いられる塗工手段と同様のものを用いて行なうことができる。具体的には、少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、ダイ塗工ヘッド、またはスクリーン印刷やオフセット印刷のような印刷手段などを用いて多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する。
また、樹脂層付き多孔質基材の製造方法の乾燥工程は、樹脂層付き多孔質基材の製造装置の乾燥部で用いられる乾燥手段と同様のものを用いて行なうことができる。具体的には、焼結乾燥手段を用いることができ、必要に応じて、減圧乾燥手段または熱乾燥手段いずれか一方が、その両方を用いることができる。
ここで、多孔質基材の一方の面に樹脂層を形成する場合、焼結乾燥の工程において樹脂層の内部に空隙を形成し、これに起因して樹脂層の表面に凹凸が生じる。この凹凸が大きい場合、例えば、固体高分子形燃料電池では、樹脂層に貼合する電極触媒層との接合性が下がり、発電性能が低下する場合がある。そこで、樹脂層の表面粗さRaは、0.02μm以上1.0μm以下であることが好ましい。樹脂層の表面粗さRaは、0.02μm以上1.0μm以下であることにより、樹脂層の表面の凹凸を小さくし、樹脂層に貼合する電極触媒層との接合性を上げ、後述する膜電極接合体の性能を向上させることができる。また、樹脂層の表面に直接電極触媒層を形成する場合に、電極触媒層の面内の膜厚を均一にすることができる。樹脂層の表面粗さRaを0.02μm以上1.0μm以下にする手段としては、カーボン粒子と樹脂の割合、またはパルス光の照射エネルギーを調整する手段などが挙げられる。
(固体高分子形燃料電池について)
図4は、固体高分子形燃料電池の構成を示した分解斜視図である。図1に示すように、固体高分子形燃料電池50を構成する高分子電解質膜51には、その両面に、高分子電解質膜51を挟んで互いに向い合う一対の電極触媒層52A、52Fが配置されている。そして、一対の電極触媒層52A、52Fには、それぞれ、高分子電解質膜51と対向する面と反対側の面に、高分子電解質膜51及び一対の電極触媒層52A、52Fを挟んで互いに向い合う一対のガス拡散層53A、53Fが配置されている。
このうち、高分子電解質膜51の一方側の電極触媒層52Aとガス拡散層53Aとが空気極(カソード)となり、他方側の電極触媒層52Fとガス拡散層53Fとが燃料極(アノード)となる。そして、高分子電解質膜51、一対の電極触媒層52A、52F、及び一対のガス拡散層53A、53Fから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)が、互いに向い合う一対のセパレーター54A、54Fによって挟持されている。
なお、一対のセパレーター54A、54Fの各々にて、膜電極接合体と互いに向かい合う側面には、ガス流路55A、55Fが凹設され、また膜電極接合体とは反対側の側面には、冷却水通路56A、56Fが凹設されている。また、固体高分子形燃料電池50では、一対の冷却水通路56A、56Fの各々に冷却水が流され、且つ、空気極(カソード)側のガス流路56Aに、例えば、酸素ガスが流され、燃料極(アノード)側のガス流路55Fに、例えば、水素ガスが流される。そして、触媒の存在下で酸素ガスと水素ガスとが電極反応を進めることによって、一対のガス拡散層53A、53Fの間に起電力が生成される。
本発明の樹脂層付き多孔質基材は、例えば、ガス拡散層53A、53Fとして用いることができる。図1に示した樹脂層付き多孔質基材10の場合、多孔質基材11がGDL(Gas diffusion layer)と呼ばれる層に相当し、樹脂層12がMPLと呼ばれる層に相当する。
ここで、固体高分子形燃料電池50を構成するガス拡散層53A、53Fは、GDLとMPLとからなり、GDL側から入ったガスは、空隙の小さいMPLで更に拡散されて電極触媒層52A、52Fに到達する。したがって、MPLは適度な多孔性を有することが好ましい。一方、MPLと電極触媒層52A、52Fの界面には水が形成されるため、MPLには排水性も求められる。したがって、MPLには撥水性の樹脂が用いられることが好ましい。
以下、具体的に、樹脂層付き多孔質基材の製造装置および樹脂層付き多孔質基材の製造方法について説明する。ここでは、多孔質基材がGDL、樹脂層がMPLであるガス拡散層の製造装置およびガス拡散層の製造方法について説明する。
GDLの表面に形成するMPLを形成するための樹脂液には、カーボン粒子と、フッ素系の樹脂チップであるPTFEチップを水に分散させた液を使用した。カーボン粒子とPTFEチップの比率は重量比率で1:1とした。また、水中の分散を安定化するために分散剤を添加した。
製造装置は、図2、3で示したものと同様のロール搬送装置を使用したが、焼結乾燥手段であるパルス光照射装置についてはロール搬送装置に組み込まれておらず、別途単体で設置されているパルス光照射装置を使用した。つまり、塗工工程および減圧乾燥手段と熱乾燥手段からなる乾燥工程まではロール・トゥ・ロールで処理し、その後、基材をシート状にカットしてパルス光を照射する方法を採用した。
用いたパルス光照射装置は、シート状の基材を照射装置であるが、1本のランプの下をステージが等速移動する構成となっており、ロール搬送装置と同様に、基材の搬送速度で照射エネルギーをコントロールした。
GDLとなる多孔質基材には、幅500mmでロール状の一般的なカーボンペーパーを採用したが、樹脂層となるMPLを塗工するために、予め表面が疎水処理されている多孔質基材を用いた。
ロール状のGDL(多孔質基材26)を、図2、3に示すように一定のテンションをかけて保持し、塗工手段によってGDLの表面に樹脂液25を塗工して樹脂膜を形成し、この樹脂膜を乾燥手段によって乾燥した。乾燥手段としては、減圧乾燥手段および熱乾燥手段の順で双方を用いた。
塗工手段はダイ塗工手段を用い、塗工ステージは基材吸着機能を備えているステージを用いた。GDLのうち塗工したいエリアを、間欠送りによって塗工ステージ22まで搬送した後、塗工ステージ22に吸着した。次に、ポンプ送りによって樹脂液(MPL形成用インク)をダイ塗工ヘッドに送液し、300mm×300mmのMPLを形成した。樹脂液の塗工膜厚は、乾燥後に50μmとなるように調整した。
塗工して形成した樹脂膜25は、間欠送りによって減圧乾燥装置(減圧乾燥手段23)に送り、減圧乾燥によって樹脂膜25に含まれる溶媒を除去した。減圧到達温度は約1Torrとし、約30sec保持した後に大気開放した。
減圧乾燥を行なった後、熱乾燥装置(熱乾燥手段24)によって追加乾燥を行なった。熱乾燥装置は電熱ヒーターによって加熱する一般的なオーブンを使用し、基材を搬送することなく、チャンバー内を一定時間保持する方法を採用した。温度は90℃とし、保持時間は減圧乾燥時間と同様に約30secとした。熱乾燥を行なったMPLは、MPL付きGDLとして巻取りロールで回収した後にシート状に断裁した。
シート状に断裁したMPL付きGDLは、手動でパルス光照射装置に投入し、パルス光を照射した。パルス光にはXeガスによるフラッシュ光源を使用し、波長は200〜800nmの間でブロードに存在するものを選定した。ランプ本数は1本とした。
パルス光の電圧は2000Vとし、照射時間0.1msのパルス光を10Hzにて照射した。ランプと基材の距離を約25mmとし、基材の搬送速度は10mm/secとした。MPLが300mm×300mmであるため、焼結時間は約30secで完了した。
以上の方法で形成したMPLの表面粗さRaを測定した結果、0.8μmとなり、このMPL付きGDLをガス拡散層として固体高分子形燃料電池に用いた場合、発電性の向上が見込める結果となった。なお、従来方式である高温焼結炉において、MPLを約380℃、20minの条件で焼結した場合、MPLの表面粗さRaは1.3μmとなり、MPLの表面の凹凸が大きくなることで、MPLに貼合する電極触媒層との接合性の向上が見込めない結果となった。したがって、パルス光を使って焼結させてMPLを形成することによって、焼結時間を大幅に低減することができ、焼結時間は約1/40まで低減することができる。また、焼結するための装置も、ランプを1本使用するだけで小型化が可能で、MPLの表面粗さを低減することで発電性能の向上も期待できる。
本発明の樹脂層付き多孔質基材の製造方法および製造装置は、固体高分子形燃料電池を構成するガス拡散層として用いることができる。
10・・・樹脂層付き多孔質基材
11・・・多孔質基材
12・・・樹脂層
20・・・樹脂層付き多孔質基材の製造装置
21・・・ダイ塗工ヘッド
22・・・塗工ステージ
23・・・減圧乾燥手段
24・・・熱乾燥手段
25・・・樹脂膜
26・・・多孔質基材
27・・・巻出しロール
28・・・巻取りロール
29・・・焼結乾燥手段
50・・・固体高分子形燃料電池
51・・・高分子電解質膜
52A、52F・・・電極触媒層
53A、53F・・・ガス拡散層
54A、54F・・・セパレーター
55A、55F・・・ガス流路
56A、56F・・・冷却水通路

Claims (12)

  1. 多孔質基材と前記多孔質基材の一方の面に形成された樹脂層とを備える樹脂層付き多孔質基材の製造装置であって、
    少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、前記多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する塗工手段と、
    前記樹脂膜を乾燥させて、前記樹脂層を形成する乾燥手段とを備え、
    前記乾燥手段、パルス光を照射して加熱することによる焼結乾燥手段を含むことを特徴とする樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  2. 前記樹脂液が、カーボン粒子、撥水性の樹脂チップおよび溶媒からなる懸濁液であり、前記多孔質基材が、カーボンペーパーであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  3. 前記パルス光を0.1J/cm 以上10J/cm 以下の照射エネルギーで照射することで、前記樹脂層の表面粗さRa0.02μm以上1.0μm以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  4. 前記多孔質基材が、ロール状の形態であり、前記多孔質基材を巻取る機構と巻出す機構とを具備し、前記多孔質基材を搬送しながら前記パルス光を連続的に照射して前記樹脂膜を加熱することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  5. 前記乾燥手段が、さらに減圧乾燥により乾燥させる手段を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  6. 前記乾燥手段が、さらにヒーターにより乾燥させる手段を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造装置。
  7. 多孔質基材と前記多孔質基材の一方の面に形成された樹脂層とを備える樹脂層付き多孔質基材の製造方法であって、
    少なくともカーボン粒子と樹脂と溶媒とを含む樹脂液を、前記多孔質基材の一方の面に塗工して樹脂膜を形成する塗工工程と、
    前記樹脂膜を乾燥させて、前記樹脂層を形成する乾燥工程とを備え、
    前記乾燥工程、パルス光を照射して加熱することによる焼結乾燥工程を含むことを特徴とする樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
  8. 前記樹脂液が、カーボン粒子、撥水性の樹脂チップおよび溶媒からなる懸濁液であり、前記多孔質基材が、カーボンペーパーであることを特徴とする請求項7に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
  9. 前記パルス光を0.1J/cm 以上10J/cm 以下の照射エネルギーで照射することで、前記樹脂層の表面粗さRa0.02μm以上1.0μm以下とすることを特徴とする請求項7または8に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
  10. 前記多孔質基材が、ロール状の形態であり、前記多孔質基材を巻取る機構と巻出す機構とを具備し、前記多孔質基材を搬送しながら前記パルス光を連続的に照射して樹脂膜を加熱することを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
  11. 前記乾燥工程が、さらに減圧乾燥により乾燥させる工程を含み、前記減圧乾燥により乾燥させる工程が、前記塗工工程と前記焼結乾燥工程との間に備えることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
  12. 前記乾燥工程が、さらにヒーターにより乾燥させる工程を含み、前記ヒーターにより乾燥させる工程が、前記塗工工程と前記焼結乾燥工程との間に備えることを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の樹脂層付き多孔質基材の製造方法。
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