JP6376883B2 - ディスクブレーキ - Google Patents

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Description

本発明は、車両の制動に用いられるディスクブレーキに関する。
従来のディスクブレーキには、駐車ブレーキ時等における制動力を保持するための回転規制機構(ラチェット機構)を遊星歯車減速機構に備えたものがある(特許文献1参照)。
特開2010−169248号公報
しかしながら、特許文献1のディスクブレーキでは、制動力を保持するための構成が複雑となってディスクブレーキの製造効率が低下する虞がある。
本発明は、駐車ブレーキ時等における制動力を保持する構成を簡素化して製造効率を向上させるディスクブレーキを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明のディスクブレーキは、ロータを挟んで該ロータ軸方向両側に配置される一対のパッドと、該一対のパッドのうち一方をロータに押し付ける一つのピストンと、該ピストンが移動可能に配置されるシリンダを有するキャリパ本体と、該キャリパ本体に設けられる電動モータと、前記キャリパ本体に設けられ、前記ピストンを推進して制動位置に保持させる回転直動変換機構と、を備え、該回転直動変換機構は、前記電動モータの回転が伝達される回転伝達部材と、該回転伝達部材にねじ嵌合されて回転可能、且つ直動可能なシャフト部材と、該シャフト部材にねじ嵌合されて、該シャフト部材の回転によって前記ピストンに軸方向の推力を付与するボールアンドランプ機構と、を有し、前記シャフト部材には、一端側に前記回転伝達部材にねじ嵌合する第1のねじ部が形成され、他端側に前記ボールアンドランプ機構にねじ嵌合する第2のねじ部が形成され、前記第1のねじ部の回転抵抗トルクは、前記第2のねじ部の回転抵抗トルクよりも大きい。
本発明によれば、駐車ブレーキ時等における制動力を保持する構成を簡素化して製造効率を向上させるディスクブレーキを提供することができる。
本実施形態に係るディスクブレーキを示す断面図。 本ディスクブレーキに採用した回転直動変換機構の拡大断面図。 図2のA−A線に沿う断面図。 図2のB−B線に沿う断面図。 本ディスクブレーキに採用した回転直動変換機構の分解斜視図。 駐車ブレーキを作動させる際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを作動させる際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを作動させる際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを作動させる際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを解除する際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを解除する際の作用を段階的に示した断面図。 駐車ブレーキを解除する際の作用を段階的に示した断面図。
以下、本実施形態を図1乃至図12に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、本ディスクブレーキ1には、車両の回転部に取り付けられたディスクロータDを挟んで軸方向両側に配置された一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4とが設けられている。本ディスクブレーキ1は、キャリパ浮動型として構成されている。なお、一対のインナブレーキパッド2及びアウタブレーキパッド3と、キャリパ4とは、車両のナックル等の非回転部に固定されたブラケット5にディスクロータDの軸方向へ移動可能に支持されている。以下、説明の便宜上、図の右方を一端側として、左方を他端側として適宜説明する。
キャリパ4の主体であるキャリパ本体6は、車両内側のインナブレーキパッド2に対向する基端側に配置されるシリンダ部7と、車両外側のアウタブレーキパッド3に対向する先端側に配置される爪部8とを有している。シリンダ部7には、インナブレーキパッド2側が開口される大径開口部9Aとなり、その反対側が孔部10を有する底壁11により閉じられた有底のシリンダ15が形成されている。該シリンダ15内の底壁11側は、大径開口部9Aと連設され該大径開口部9Aよりも小径となる小径開口部9Bが形成される。シリンダ15は、大径開口部9Aの内周面にピストンシール16が配置されている。
図1及び図2に示すように、ピストン18は、底部19と円筒部20とからなる有底のカップ状に形成される。該ピストン18は、その底部19がインナブレーキパッド2に対向するようにシリンダ15内に収められている。ピストン18は、ピストンシール16に接触した状態で軸方向に移動可能にシリンダ15の大径開口部9Aに内装されている。このピストン18とシリンダ15の底壁11との間は、液圧室21としてピストンシール16により画成されている。この液圧室21には、シリンダ部7に設けた図示しないポートを通じて、マスタシリンダや液圧制御ユニットなどの図示しない液圧源から液圧が供給されるようになっている。ピストン18の内周面には、周方向に沿って複数の回転規制用縦溝22が形成される。本実施形態では、回転規制用縦溝22は周方向に沿って12箇所形成される(図3参照)。
ピストン18の底部19の、インナブレーキパッド2に対向する他端面の外周側に凹部25が設けられている。この凹部25は、インナブレーキパッド2の背面に形成されている凸部26が係合しており、この係合によってピストン18がシリンダ15、ひいてはキャリパ本体6に対して回り止めされている。また、ピストン18の底部19の外周面と、シリンダ15の大径開口部9Aの内周面との間には、該シリンダ15内への異物の進入を防ぐダストブーツ27が介装されている。ピストン18の底部19の、回転直動変換機構43と対向する一端面は、その径方向中央部に設けた円形状平面部30と、該円形状平面部30から連続してピストン18の内周面に向かって一端側へ拡径するように延びる環状曲面部31とが形成される。
図1に示すように、シリンダ15の底壁11側には気密的にハウジング35が取り付けられている。該ハウジング35の一端開口には気密的にカバー36が取り付けられている。なお、ハウジング35とシリンダ部7とはシール部材37によって気密性が保持されている。また、ハウジング35とカバー36とはシール部材38によって気密性が保持されている。ハウジング35には、キャリパ本体6と並ぶように、電動のモータ40がシール部材41を介して密閉的に取り付けられている。なお、本実施形態では、モータ40をハウジング35の外側に配置したが、モータ40を覆うようにハウジング35を形成し、ハウジング35内にモータ40を収容してもよい。この場合、シール部材41が不要となり、組み付け工数を低減できる。また、ハウジング35とカバー36を溶着接合してもよい。この場合、シール部材38が不要となり、組み付け工数を低減できる。
キャリパ本体6には、ピストン18を推進して制動位置に保持させる回転直動変換機構43と、モータ40による回転を増力する平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45とが備えられている。平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45は、ハウジング35内に収納されている。
回転直動変換機構43は、平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45からの回転運動、すなわちモータ40の回転を直線方向の運動(以下、直動という)に変換し、ピストン18に推力を付与して、該ピストン18を制動位置で保持する。回転直動変換機構43は、シリンダ15の底壁11とピストン18の底部19との間に収納され、ベースナット75と、プッシュロッド102と、ボールアンドランプ機構127とを有している。ベースナット75は、モータ40の回転が伝達される回転伝達部材として構成され、シリンダ15に回転可能に支持され、平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45を介してモータ40からの回転運動が伝達される。ベースナット75は、モータ40の回転が伝達される回転伝達部材として構成される。のプッシュロッド102は、ベースナット75の雌ねじ部97にねじ嵌合される第1の雄ねじ部103が一端側に形成され、他端側に第2の雄ねじ部104が形成される。プッシュロッド102は、回転伝達部材にねじ嵌合されて回転可能に、且つ直動可能に支持されるシャフト部材として構成される。ボールアンドランプ機構127は、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104にねじ嵌合されて、プッシュロッド102の回転によってピストン18へ軸方向への推力を付与する。本実施形態の回転直動変換機構43においては、ベースナット75の雌ねじ部97とプッシュロッド102の第1の雄ねじ部103との間で第1のねじ嵌合部105が構成される。また、本実施形態の回転直動変換機構43においては、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162とプッシュロッド102第2の雄ねじ部104との間で第2のねじ嵌合部106が構成される。
平歯多段減速機構44は、ピニオンギヤ46と、第1減速歯車47と、第2減速歯車48とを有している。ピニオンギヤ46は円筒状に形成されており、モータ40の回転軸40Aに圧入固定される孔部50と、外周面に形成される歯車51とを有している。第1減速歯車47は、ピニオンギヤ46の歯車51に噛合する大径の大歯車53と、大歯車53から軸方向に延出して形成される小径の小歯車54とが一体的に形成されている。この第1減速歯車47は、一端がハウジング35に支持されると共に他端がカバー36に支持されたシャフト55により回転可能に支持される。第2減速歯車48は、第1減速歯車47の小歯車54に噛合する大径の大歯車56と、大歯車56から軸方向に延出して形成される小径のサンギヤ57とが一体形成されている。サンギヤ57は遊星歯車減速機構45の一部を構成している。この第2減速歯車48は、カバー36に支持されたシャフト58により回転可能に支持される。
遊星歯車減速機構45は、サンギヤ57と、複数個(例えば、3個)のプラネタリギヤ60と、インターナルギヤ61と、キャリア62とを有する。プラネタリギヤ60は、第2減速歯車48のサンギヤ57に噛合される歯車63と、キャリア62から立設されるピン65を挿通する孔部64とを有している。3個のプラネタリギヤ60は、キャリア62の円周上に等間隔に配置される。
キャリア62は、円板状に形成され、その径方向中心には、ベースナット75の多角形柱81が嵌合する多角形孔68が形成される。該多角形孔68に、ベースナット75の円柱部76の先端から連続して設けた多角形柱81が嵌合することで、キャリア62とベースナット75の間で互いに回転トルクを伝達できる。キャリア62の外周側には複数のピン用孔69が形成されている。該各ピン用孔69に、各プラネタリギヤ60を回転可能に支持するピン65が圧入固定されている。該キャリア62及び各プラネタリギヤ60は、ハウジング35の開口部35A周辺から一端側に突設した壁面35Bと、インターナルギヤ61の第2減速歯車48側に一体的に設けた環状壁部72とにより軸方向の移動が規制されている。なお、本実施形態では、キャリア62に設けた多角形孔68によりベースナット75との相対的な回転を規制しているが、スプラインやキー等回転トルクを伝達できる機械要素を採用してもよい。
インターナルギヤ61は、各プラネタリギヤ60の歯車63がそれぞれ噛合する内歯71と、この内歯71から連続して第2減速歯車48側に一体的に設けられてプラネタリギヤ60の軸方向の移動を規制する環状壁部72とから形成されている。該インターナルギヤ61は、ハウジング35内に圧入固定される。
なお、本実施形態においては、ピストン18を推進する回転力を得るために、モータ40による回転を増力する減速機構としての平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45を設けているが、該回転力を出力できるものであれば、いずれか一方、または両方の減速機構を省略してもよい。
図2及び図5に示すように、ベースナット75は、円柱部76と、該円柱部76の他端部に一体的に設けられるナット部77とを有して構成される。シリンダ15の底壁11にはワッシャ80が当接するように配置されている。ベースナット75の円柱部76は、ワッシャ80の挿通孔80A及びシリンダ15の底壁11に設けた孔部10のそれぞれに挿通される。円柱部76の先端側には、多角形に面取りされた多角形柱部81となっている。多角形柱部81がハウジング35の開口部35Aを挿通してキャリア62の多角形孔68に嵌合される。本実施形態においては、図5に示すように多角形柱部81が六角形に形成され、多角形孔68が六角形孔で形成される。なお、多角形柱部81は、六角形の他、三角、四角、五角、七角、八角等の多角形としてもよく、また、二面取り形状としてもよい。ベースナット75のナット部77は有底円筒状に形成される。ナット部77は、円柱部76の基端側に形成され、一端面がシリンダ15の底壁11に対向する円形状壁部82と、円形状壁部82の他端面から一体的に突設される円筒部83とを有して構成される。円形状壁部82は、外周面がシリンダ15の小径開口部9Bの内壁面に近接して配置される。円形状壁部82の一端面には、径方向中央部から小径円形状壁部84が突設される。円柱部76は、小径円形状壁部84の一端面から突設される。円柱部76の外径は、ナット部77の円筒部83の外径よりも小径に形成される。
ベースナット75とワッシャ80との間には、スラストベアリング87が配置される。スラストベアリング87は、ベースナット75のナット部77の小径円形状壁部84周りの円形状壁部82に当接する。そして、ベースナット75はスラストベアリング87により回転自在にシリンダ15の底壁11に支持される。ベースナット75の円柱部76の外周面とシリンダ15の底壁11の孔部10との間には、シール部材88及びスリーブ89が設けられる。これらシール部材88及びスリーブ89は、液圧室21の液密性を保持するために設けられる。ベースナット75の円柱部76と多角形柱部81との間には、環状溝81Aが形成されている。環状溝81Aには、止め輪90が装着されている。止め輪90は、ベースナット75のシリンダ15の軸方向への移動を規制する。
ベースナット75のナット部77の円筒部83は、一端側に配置される大径円筒部91と、他端側に配置される小径円筒部92とを有して構成される。大径円筒部91の内周面91Aと小径円筒部92の内周面92Aとは、円筒部83の他端に開口する孔83Aにより形成されている。大径円筒部91の一端が円形状壁部82に一体的に接続される。大径円筒部91の外周面と小径円筒部92の外周面との間には、ピストン18の底部19に対向する環状段差面93が設けられている。環状段差面93は、ベースナット75の軸方向に向かって突出する複数の凹凸部94を有しており、周方向に沿って連続した波状に形成される。大径円筒部91には、大径円筒部91の径方向に延びて貫通する貫通孔95が複数形成される。貫通孔95は、周方向に間隔を置いて複数形成される。ナット部77の小径円筒部92の内周面92Aには、雌ねじ部97が形成される。小径円筒部92の周壁部の他端面には、周方向に間隔を置いて複数の係止溝98(例えば、4か所)がそれぞれ形成される(図4及び図5参照)。
図2、図4及び図5に示すように、該各係止溝98のいずれかに、第1スプリングクラッチ100の先端部100Aが嵌合される。第1スプリングクラッチ100は、径方向外方に向いた先端部100Aと、先端部100Aから一重に巻かれたコイル部100Bとを有している。そして、先端部100Aが各係止溝98のいずれかに嵌合され、コイル部100Bがプッシュロッド102の第1の雄ねじ部103の他端側外周に巻き付けられる。第1スプリングクラッチ100は、プッシュロッド102がベースナット75に対してシリンダ15の底壁11側へ移動するときの回転方向、すなわち、駐車ブレーキを解除するリリース時の回転方向に対して回転抵抗トルクを付与する一方、プッシュロッド102がベースナット75に対してピストン18の底部19側に移動するときの回転方向、すなわち、駐車ブレーキを作動するアプライ時の回転方向への回転は許容するように構成されている。すなわち、第1スプリングクラッチ100は、一方向への回転に対して回転抵抗を付与する第1の一方向クラッチとして構成される。
ベースナット75のナット部77の孔83A内には、プッシュロッド102の一端側が配置される。プッシュロッド102の一端側には、ベースナット75の小径円筒部92の雌ねじ部97にねじ嵌合され、第1のねじ嵌合部105を構成するための第1の雄ねじ部103が形成される。第1のねじ嵌合部105は、ピストン18からプッシュロッド102へ伝達される軸方向荷重によってベースナット75が回転しないように、その逆効率が0以下になるように、すなわち、不可逆性が大きなねじ嵌合部として構成されている。
一方、プッシュロッド102の他端側には、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151に設けた雌ねじ部162にねじ嵌合され第2の雄ねじ部104を構成するための第2の雄ねじ部104が形成される。第2のねじ嵌合部106は、ピストン18から回転直動ランプ151へ伝達される軸方向荷重によってプッシュロッド102が回転しないように、その逆効率が0以下になるように、すなわち、不可逆性が大きなねじ嵌合部として構成されている。
プッシュロッド102は、第1の雄ねじ部103と第2の雄ねじ部104との間にスプライン軸108が設けられる。第1の雄ねじ部103の外径は、第2の雄ねじ部104の外径よりも大径に形成される。第1の雄ねじ部103の外径は、スプライン軸108の外径よりも大径に形成される。プッシュロッド102の他端面は、ピストン18の底部19の円形状平面部30に対向する。
ベースナット75の小径円筒部92の外周面と、ピストン18の円筒部20の内周面との間には、リテーナ110が軸方向に移動可能に支持される。リテーナ110は、ベースナット75の環状段差面93に対向する一端側に円環状壁部111を有し、全体が略円筒状に構成される。円環状壁部111の一端面には、周方向に沿って間隔を置いて複数の凸部112が形成される。リテーナ110の外周面の一端側には、凹状面113が形成される。リテーナ110の凹状面113を含む外周壁には、複数の円形状貫通孔114が形成される。本実施形態では、円形状貫通孔114は、凹状面113の範囲に周方向に間隔を置いて3箇所形成され、凹状面113以外の他端側の外周壁に周方向に間隔を置いて3箇所形成される(図3,5参照)。リテーナ110の外周壁で凹状面113の範囲には、複数の矩形状貫通孔115が形成される。本実施形態では、矩形状貫通孔115は、周方向に間隔を置いて3箇所形成される(図4参照)。
リテーナ110内には、一端側から順に、一端側ワッシャ120、コイルばね121、他端側ワッシャ122、支持プレート123、第2スプリングクラッチ124、回転部材125、スラストベアリング126、ボールアンドランプ機構127、スラストベアリング128、及び環状押圧プレート129が配置されている。一端側ワッシャ120は、リテーナ110の円環状壁部111の他端面に当接するように配置される。
コイルばね121は、一端側ワッシャ120と他端側ワッシャ122との間にが介装される。コイルばね121は、一端側ワッシャ120と他端側ワッシャ122とを離間させる方向に、一端側ワッシャ120と他端側ワッシャ122とを付勢している。リテーナ110の周壁部の他端面には所定深さの係止溝132が周方向に間隔を置いて複数(例えば、3か所)形成される。係止溝132は、リテーナ110の一端側に位置する幅狭係止溝133と、他端側に位置する幅広係止溝134とから構成される。幅広係止溝134は、深さ寸法が幅狭係止溝133の深さ寸法よりも大きく形成される。リテーナ110は、ピストン18の底部19に対向する他端部に、内径側に向かって延びる複数のツメ部136が(例えば、6か所)形成されている。各ツメ部136は、リテーナ110内の所定位置に、一端側ワッシャ120、コイルばね121、他端側ワッシャ122、支持プレート123、第2スプリングクラッチ124、回転部材125、スラストベアリング126、ボールアンドランプ機構127、スラストベアリング128及び環状押圧プレート129等の構成部材を収容した後、リテーナ110の環状押圧プレート129の収容凹部171に向かって折り込まれることで、上述した構成部材をリテーナ110内に一体的に配置するようになる。なお、一端側ワッシャ120及び他端側ワッシャ122を設けずに構成してもよい。
他端側ワッシャ122の他端面に環状の支持プレート123が当接するように配置される。該支持プレート123の外周面には周方向に沿って間隔を置いて複数の突起片137(例えば、3か所)が設けられる。各突起片137は、リテーナ110の幅狭係止溝133にそれぞれ嵌合される。この結果、支持プレート123は、リテーナ110に対して相対回転不能に、且つ軸方向へ相対移動可能に支持される。なお、突起片137は、その幅を広げて、ピストン18の内周面に設けた回転規制用縦溝22に係合されるよう構成してもよい。
リテーナ110内において、支持プレート123の他端側には回転部材125が回転自在に支持される。回転部材125は、スプライン孔140を有する大径円環状部141と、大径円環状部141の一端面から一体的に突設される小径円筒状部142とを有して構成される。小径円筒状部142は、その一端部が支持プレート123の他端面に当接される。小径円筒状部142の外周面には、環状溝143が形成される。回転部材125内には、プッシュロッド102が配置される。回転部材125の大径円環状部141のスプライン孔140は、プッシュロッド102のスプライン軸108とスプライン結合される。これにより、回転部材125とプッシュロッド102とは、相互の回転トルクが伝達されるとともに、相対的に軸方向に摺動できるようになる。なお、回り止めとしてスプラインを用いたが、キー嵌合やD穴等、他の公知の回転止め機械要素を用いてもよい。また、軸方向に摺動させず、圧入等で固定するようにしてもよい。
回転部材125の小径円筒状部142に設けた環状溝143には、第2スプリングクラッチ124が巻回される。第2スプリングクラッチ124は、第1スプリングクラッチ100と同様に、径方向外方に向いた先端部124Aと、該先端部124Aから一重に巻かれたコイル部124Bとを有している。先端部124Aがリテーナ110の幅狭係止溝133に嵌合され、コイル部124Bが回転部材125の小径円筒状部142の外周面に設けた環状溝143に巻き付けられる。第2スプリングクラッチ124は、回転部材125(プッシュロッド102)がリテーナ110に対してピストン18の底部19側へ移動するときの回転方向(アプライ時の回転方向)に対して回転抵抗トルクを付与する一方、シリンダ15の底壁11側に移動するときの回転方向(リリース時の回転方向)への回転は許容するように構成されている。すなわち、第2スプリングクラッチ124は、一方向の回転に対して回転抵抗を付与する第2の一方向クラッチとして構成される。
第2スプリングクラッチ124のアプライ時における回転抵抗トルクは、プッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105の回転抵抗トルクよりも大きくなるように設定される。回転部材125の他端側にはスラストベアリング126を介してボールアンドランプ機構127が配置される。回転部材125はボールアンドランプ機構127に対してスラストベアリング126を介して回転自在に支持される。
図2、図3及び図5に示すように、ボールアンドランプ機構127は、固定ランプ150と、回転直動ランプ151と、固定ランプ150と回転直動ランプ151との間に介装される各ボール152とを備えている。固定ランプ150は、回転部材125の他端側にスラストベアリング126を挟んで配置される。固定ランプ150は、円板状の固定プレート154と、該固定プレート154の外周面から周方向に沿って間隔を置いて複数突設された凸部155(例えば、3か所)とを有して構成される。固定プレート154は、その径方向中央部にプッシュロッド102が挿通される挿通孔156が形成される。固定ランプ150は、その各凸部155が、リテーナ110の各係止溝132の幅広係止溝134に嵌合されると共に、ピストン18の内周面に設けた複数の回転規制用縦溝22に嵌合することでピストン18に対して相対回転不能に、且つ軸方向に移動自在に支持される。
なお、固定ランプ150をピストン18に対して相対回転不能に、且つ軸方向に移動自在に支持される構造としては、固定ランプ150の外周面に周方向に間隔を置いて複数の平面部を形成して、ピストン18の内周面にも固定ランプ150の各平面部に対応する複数の平面部を形成し、これらの各平面部を当接させることでピストン18に対する固定ランプ150の回転を規制するように構成してもよい。固定プレート154の他端面には、周方向に沿って所定の傾斜角を有して円弧状に延びるとともに径方向において円弧状断面を有する複数のボール溝157(例えば、3か所若しくは4か所)が形成されている。
回転直動ランプ151は、円環状の回転直動プレート160と、該回転直動プレート160の他端面の径方向中央部分から一体的に突設される円筒部161とを有して構成される。回転直動プレート160から円筒部161に至る内周面には、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104がねじ嵌合される雌ねじ部162が形成される。回転直動プレート160の、固定ランプ150の固定プレート154との対向面には、周方向に沿って所定の傾斜角を有して円弧状に延びるとともに径方向において円弧状断面を有する複数ボール溝163(例えば、3か所若しくは4か所)が形成されている。なお、固定ランプ150の各ボール溝157、及び回転直動ランプ151の各ボール溝163は、周方向に沿った傾斜の途中に窪みを付けたり、傾斜を途中で変化させて構成するようにしてもよい。
ボール152は、回転直動ランプ151(回転直動プレート160)の各ボール溝163と、固定ランプ150(固定プレート154)の各ボール溝157との間にそれぞれ介装されている。ボールアンドランプ機構127においては、回転直動ランプ151に回転トルクを加えると、回転直動プレート160の各ボール溝163と固定プレート154の各ボール溝157との間の各ボール152が転動することで、回転直動プレート160と固定プレート154との間の回転差により、回転直動プレート160と固定プレート154との間の軸方向の相対距離が変動する。
また、回転直動プレート160の他端面で円筒部161の周りには、環状ボール溝164が形成される。回転直動プレート160の他端側にはスラストベアリング128を介して環状押圧プレート129が配置される。環状押圧プレート129の一端面にも環状ボール溝166が形成される。そして、回転直動プレート160の環状ボール溝164と環状押圧プレート129の環状ボール溝166との間には、周方向に複数のボールが回転自在に支持されるスラストベアリング128が配置される。回転直動プレート160の円筒部161は環状押圧プレート129内に挿通される。環状押圧プレート129の外周面には、周方向に沿って間隔を置いて複数突設された凸部168が形成される。環状押圧プレート129は、その各凸部168が、リテーナ110の各係止溝132の幅広係止溝134に嵌合されると共にピストン18の内周面に設けた複数の回転規制用縦溝22に嵌合することでピストン18に対して相対回転不能に、且つ軸方向に移動自在に支持される。
そして、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151は、スラストベアリング128を介して回転自在に環状押圧プレート129により支持される。環状押圧プレート129の他端面がピストン18の底部19の環状曲面部31と対向する。環状押圧プレート129の他端面には、径方向中心から外周端部に向かって一端側に湾曲する湾曲状押圧部170が形成される。この環状押圧プレート129は、ピストン18の底部19に設けた環状曲面部31に当接して、ピストン18を押圧するように構成される。環状押圧プレート129の他端面には、各凸部168間の外周部に、リテーナ110の、内方に折り込まれた各ツメ部136を収容する収容凹部171がそれぞれ形成される。
図2及び図5に示すように、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104の先端には抜止リング172が一体的に固定される。抜止リング172は、回転直動ランプ151の円筒部161内に配置され、プッシュロッド102と回転直動ランプ151の相対回転角を一定以下に制限する。抜止リング172の一部には凸部173が設けられ、円筒部161の幅広の凹部に凸部173が嵌っている。非制動時には凸部173は該凹部の片側に寄り切っており、制動時にはもう片方側に寄り切ることになる、すなわち、何れの場合も、互いに周方向に当接することになる。これにより、抜止リング172とブッシュロッド102の相対回転角が制限されるので、アプライ状態時の回転直動ランプ151による推力によって抜止リング172がブッシュロッド102から脱落してしまうことを抑制できる。なお、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106の回転抵抗トルクは、第1スプリングクラッチ100によるベースナット75に対するプッシュロッド102のリリース方向への回転抵抗トルクに、プッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105の回転抵抗トルクを加えた回転抵抗よりも小さくなるように設定される。
図1に示すように、モータ40には、モータ40を駆動制御する制御手段である電子制御装置からなるECU175が接続されている。ECU175には、駐車ブレーキの作動・解除を指示すべく操作されるパーキングスイッチ176が接続されている。また、ECU175は、図示しない車両側からの信号に基づきパーキングスイッチ176の操作によらずに作動することもできる。
次に、本実施形態に係るディスクブレーキ1の作用を説明する。まず、ブレーキペダル(図示略)の操作による通常の液圧ブレーキとしてのディスクブレーキ1の制動時における作用を説明する。
運転者によりブレーキペダルが踏み込まれると、ブレーキペダルの踏力に応じた液圧がマスタシリンダから液圧回路(共に図示略)を経てキャリパ4内の液圧室21に供給される。これにより、ピストン18がピストンシール16を弾性変形させながら非制動時の原位置から前進(図1の左方向に移動)してインナブレーキパッド2をディスクロータDに押し付ける。そして、キャリパ本体6は、ピストン18の押圧力の反力によりブラケット5に対して図1における右方向に移動して、爪部8に取り付けられたアウタブレーキパッド3をディスクロータDに押し付ける。この結果、ディスクロータDが一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3により挟みつけられて摩擦力が発生し、ひいては、車両の制動力が発生する。
そして、運転者がブレーキペダルを解放すると、マスタシリンダからの液圧の供給が途絶えて液圧室21内の液圧が低下する。これにより、ピストン18は、ピストンシール16の弾性変形の復元力によって原位置まで後退して制動力が解除される。ちなみに、インナ及びアウタブレーキパッド2、3の摩耗に伴いピストン18の移動量が増大してピストンシール16の弾性変形の限界を越えると、ピストン18とピストンシール16との間に滑りが生じる。この滑りによってキャリパ本体6に対するピストン18の原位置が移動することで、ブレーキパッド2、3が摩耗した場合でも、パッドクリアランスが一定に調整されるようになっている。
次に、車両の停止状態を維持するための駐車ブレーキとしての作用を図6〜図12に基づいて図1も適宜参照しながら説明する。なお、図6〜図9は駐車ブレーキを作動させる際の作用を段階的に示したもので、図10〜図12は駐車ブレーキを解除する際の作用を段階的に示したものである。
まず、駐車ブレーキの解除状態からパーキングスイッチ176が操作されて駐車ブレーキを作動(アプライ)させる際に、ECU175は、モータ40を駆動させて、平歯多段減速機構44を介して遊星歯車減速機構45のサンギヤ57を回転させる。このサンギヤ57の回転により、各プラネタリギヤ60を介してキャリア62が回転する。そして、キャリア62からの回転トルク、すなわちモータ40の回転がベースナット75に伝達される。
次に、ベースナット75のアプライ方向への回転により、図6に示す初期位置(環状押圧プレート129とピストン18の底部19との間が所定の隙間を有する状態)から、図7に示すように、ベースナット75の雌ねじ部97とプッシュロッド102の第1の雄ねじ部103との間の第1のねじ嵌合部105が相対的に回転、すなわちベースナット75だけがアプライ方向に回転することで、プッシュロッド102が軸方向に沿ってピストン18の底部19側に向かって前進する。ここで、プッシュロッド102がベースナット75とともに回転しないのは、第2スプリングクラッチ124による回転部材125(プッシュロッド102)のリテーナ110に対するアプライ方向への回転抵抗トルクが、プッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105による回転抵抗トルクよりも大きくなるように設定されており、かつ、第1スプリングクラッチ100による、プッシュロッド102のベースナット75に対するシリンダ15のアプライ方向への回転が許容されていることによる。
その結果、図7に示すように、プッシュロッド102と共にリテーナ110を含むリテーナ110内の一端側ワッシャ120、コイルばね121、他端側ワッシャ122、支持プレート123、第2スプリングクラッチ124、回転部材125、スラストベアリング126、ボールアンドランプ機構127、スラストベアリング128及び環状押圧プレート129の各構成部材が一体となって軸方向に沿ってピストン18の底部19側に向かって前進して、環状押圧プレート129の湾曲状押圧部170がピストン18の底部19の環状曲面部31に当接する。この当接により、ピストン18が前進してピストン18の底部19の一端面がインナブレーキパッド2に当接する。
さらにモータ40のアプライ方向への回転駆動が継続されると、ピストン18は、プッシュロッド102の移動によりブレーキパッド2、3を介してディスクロータDを押圧し始める。この押圧力が発生し始めると、その押圧力に対する反力となる軸力によってプッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105における回転抵抗トルクが増大して、プッシュロッド102を前進させるための必要回転トルクが増大していく。そして、必要回転トルクである第1のねじ嵌合部105の回転抵抗トルクが、第2スプリングクラッチ124の回転抵抗トルクよりも大きくなる。この結果、図8に示すように、ベースナット75の回転に伴ってプッシュロッド102が回転部材125と共にアプライ方向へ回転し始める。すなわち、プッシュロッド102がベースナット75と供回りするようになる。すると、ディスクロータDの押圧力からの反力によりプッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106における回転抵抗トルクもディスクロータDの押圧力の反力により増大しているために、プッシュロッド102のアプライ方向への回転トルクが第2のねじ嵌合部106を介してボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151に伝達される。
そして、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151がアプライ方向に回転しながら各ボール152の転動により回転直動ランプ151と固定ランプ150とがコイルばね121の付勢力に抗して離間することで、環状押圧プレート129の湾曲状押圧部170がピストン18の底部19の環状曲面部31をさらに押圧して、インナ及びアウタブレーキパッド2、3によるディスクロータDの押圧力が増大する。この時、ピストン18の底部19には、第2のねじ嵌合部106で発生する推力に、ボールアンドランプ機構127で発生する推力を加えた力が付与される。
なお、本実施形態では、アプライ初期に、第1のねじ嵌合部105、ここでは、プッシュロッド102の雄ねじ部とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105が相対回転してプッシュロッド102が前進してピストン18を前進させてディスクロータDへの押圧力を得るようになっているので、第1のねじ嵌合部105の作動により一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3の経時的な摩耗によってシリンダ11に対するピストン18の位置が変化しても、ピストン18に対するプッシュロッド102の原位置を調整することができる。
ここで、ボールアンドランプ機構127と第2のねじ嵌合部106が作動するときのリードL(回転直動ランプ151が1回転するときの回転直動ランプ151の進み量)は、次の式で表される。
L=LSCREW×LB&R/(LSCREW+LB&R
ただし、LSCREWは、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104と回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106のリードである。また、LB&Rは、回転直動ランプ151の各ボール溝163及び固定ランプ150の各ボール溝157のリードである。これにより、各リードの値に基づいて増力比(回転トルクに対する推力)を、ディスクブレーキ1を搭載する車両に応じて適切な値に設定することができる。
そして、ECU175は、一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3からディスクロータDへの押圧力が所定値に到達するまで、例えば、モータ40の電流値が所定値に達するまでモータ40を駆動する。その後、ECU175は、ディスクロータDへの押圧力が所定値に到達したことをモータ40の電流値が所定値に達したことによって検出すると、モータ40への通電を停止する。すると、プッシュロッド102のアプライ方向への回転が停止されるのでボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の回転が停止される。
その後は、図9に示す通り、回転直動ランプ151には、ディスクロータDからの押圧力の反力が作用するが、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106は、上述したようにプッシュロッド102と回転直動ランプ151との間で逆作動しないねじ嵌合部として構成され、また、プッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105も、上述したようにプッシュロッド102とベースナット75との間で逆作動しないねじ嵌合部で構成され、さらには、第1スプリングクラッチ100により、プッシュロッド102にはベースナット75に対してリリース方向への回転抵抗トルクが付与されているので、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151は回転せずに停止状態が維持されて、ピストン18が制動位置に保持される。これにより、制動力の保持がなされて駐車ブレーキの作動が完了する。この状態において、ディスクロータDからの押圧力の反力が、ボールアンドランプ機構127、プッシュロッド102、ベースナット75及びスラストベアリング87を介してシリンダ15の底壁11に伝達されてピストン18の保持力となっている。本実施形態においては、比較的小径のものを使用せざるを得ないスラストベアリング126には、ボールアンドランプ機構127で発生する推力のみ作用するため、本ディスクブレーキ1の耐久性が向上するようになっている。上述したように、本ディスクブレーキ1においては、アプライ時にプッシュロッド102の直動によってピストン18を移動させてから、ボールアンドランプ機構127によってピストン18を移動させるようにしている。
次に、駐車ブレーキを解除(リリース)する際には、パーキングスイッチ176のパーキング解除操作に基づいて、ECU175は、ピストン18を戻す、すなわちピストン18をディスクロータDから離間させるリリース方向にモータ40を回転駆動する。これにより、平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45がピストン18を戻すリリース方向へ回転駆動して、キャリア62を介してベースナット75へその回転駆動が伝達される。
このとき、プッシュロッド102にはディスクロータDからの押圧力の反力が作用しているため、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106の回転抵抗トルクと、プッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雌ねじ部97との間の第1のねじ嵌合部105の回転抵抗トルクと、第1スプリングクラッチ100による、プッシュロッド102のベースナット75に対するリリース方向への回転抵抗トルクとが付与される。このため、図10に示すように、ベースナット75からのリリース方向の回転トルクがプッシュロッド102(回転部材125含む)に伝達されると共に、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151に伝達される。その結果、回転直動ランプ151はリリース方向に回転だけして、回転方向の初期位置まで戻る。このとき回転直動ランプ151は軸方向の移動はせず、軸方向の位置はそのままとなる。
ここで、回転直動ランプ151が回転方向に初期位置へ戻っていくと、コイルばね121によって他端側ワッシャ122、支持プレート123、回転部材125、スラストベアリング126と共に固定ランプ154が付勢されているため、各ボール152が各ボール溝157、163の間で転動しながら、リテーナ10に対し、支持プレート123、回転部材125、スラストベアリング126、固定ランプ154が前進することになる。このため、ブッシュロッド102と回転部材125はスプラインで軸方向に移動する。なお、回転部材125をプッシュロッド102に圧入等で固定した場合、固定ランプ154は軸方向に移動せず、ボール152はボール溝157、163から軸方向に離間するが、脱落することはなく、その後の作動は同じになる。また、第2のねじ嵌合部106の回転抵抗トルクがスラストベアリング128の回転抵抗トルクより小さくなるように構成してよく、この場合には、回転直動ランプ151が回転と同時に軸方向に戻るようになる。
次に、回転直動ランプ151が回転方向の初期位置まで戻ると、各ボール152は回転直動ランプ151の各ボール溝163と固定プレート154の各ボール溝157の間に挟まれるため、固定プレート154に対して回転直動ランプ151はそれ以上回転できなくなり、回転直動ランプ151は回転を停止する。これにより、図11に示すように、まず第2のねじ嵌合部106だけが相対回転して、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151がリテーナ110と共に軸方向に沿ってシリンダ15の底壁11側(リリース方向)に移動して軸方向の初期位置に戻る。
さらにモータ40がリリース方向へ回転駆動されて、ベースナット75のリリース方向への回転が継続されると、ボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151が回転方向及び軸方向共に初期位置に戻ると同時に、プッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106の螺合位置が初期位置まで戻り、プッシュロッド102のリリース方向への回転が停止される。さらにベースナット75のリリース方向への回転が継続されると、図12に示すように、プッシュロッド102が、第1スプリングクラッチ100によるベースナット75に対するプッシュロッド102のリリース方向への回転抵抗トルクに抗して、軸方向に沿ってシリンダ15の底壁11側(リリース方向)に向かって後退する。その結果、プッシュロッド102と共にリテーナ110を含むリテーナ110内の一端側ワッシャ120、コイルばね121、他端側ワッシャ122、支持プレート123、第2スプリングクラッチ124、回転部材125、スラストベアリング126、ボールアンドランプ機構127、スラストベアリング128及び環状押圧プレート129の各構成部材が一体となって軸方向に沿ってシリンダ15の底壁11側(リリース方向)に向かって後退する。そして、ECU175は、回転直動ランプ151の環状押圧プレート129とピストン18の底部19の環状曲面部31との間が所定の隙間を有する初期位置に到達した時点でモータ40を停止させるように制御している。最終的に、ピストン18は、ピストンシール16の弾性変形の復元力によって原位置まで後退して制動力が完全に解除される。上述したように、本ディスクブレーキ1においては、リリース時に、ボールアンドランプ機構127を初期位置に戻してから、ボールアンドランプ機構127を後退させ、その後、プッシュロッド102を後退させることによってピストン19への保持力を解除するようにしている。
以上のように、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、駐車ブレーキのようなピストン18を推進して制動位置に保持させるとき、一対のインナ及びアウタブレーキパッド2、3からディスクロータDへ押圧力を付加するのに際して、機械効率が低いプッシュロッド102の第1の雄ねじ部103とベースナット75の雄ねじ部との間の第1のねじ嵌合部105及びプッシュロッド102の第2の雄ねじ部104とボールアンドランプ機構127の回転直動ランプ151の雌ねじ部162との間の第2のねじ嵌合部106と、機械効率の高いボールアンドランプ機構127とを組み合わせることにより、回転直動変換機構43の良好な作動効率を確保しながら、ディスクロータDへの押圧力を保持することができる。これにより、従来のディスクブレーキに採用したラチェット機構と比してその構成を簡素化することができ、本ディスクブレーキ1の製造効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、ピストン18に、第1のねじ嵌合部105及び第2のねじ嵌合部106からの押圧力だけでなく、ボールアンドランプ機構127からの押圧力も作用するため、モータ40を小型化しても所望の制動力を得ることができる。さらに、モータ40を小型化(低トルク化)することで、平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45に付与される回転トルクも低く抑えることができるので、作動音の低減や高寿命化を図ることができる。
また、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、ボールアンドランプ機構127と第2のねじ嵌合部106が作動するときのリードLよりも、第1のねじ嵌合部105のリードを大きくすることで、駐車ブレーキ作動時における隙間確保までの応答性を向上させることができる。
本実施形態に係るディスクブレーキ1においては、リリース時に、ボールアンドランプ機構127を初期位置に戻してから、ボールアンドランプ機構127を後退させ、その後に、プッシュロッド102を後退させることによってピストン19への保持力を解除するようにしている。このため、リリース中のアプライ要求によってアプライ作動に切り換えても即座にアプライ作動を開始することができる。
なお、本実施形態に係るディスクブレーキ1では、減速機構として平歯多段減速機構44及び遊星歯車減速機構45を採用したが、サイクロイド減速機や波動減速機等、他の公知な減速機構を採用してもよい。また、ボールアンドランプ機構127の転動体としてボール152を採用したが、耐荷重性に優れる円筒部材を用いたローラアンドランプ機構を採用してもよい。
また、本実施形態では、車両の停止状態を維持するための作用の一例である、駐車ブレーキを例に、回転直動変換機構43の作動を説明したが、駐車ブレーキ以外の場合、例えば、坂道での車両の発進を補助するためのヒルスタートアシストやヒルダウンアシスト、アクセルオフで停車状態にあるときのオートストップ時等の場合に、駐車ブレーキ機構である回転直動変換機構43を作動させるようにしてもよい。
1 ディスクブレーキ,2 インナブレーキパッド,3 アウタブレーキパッド,4 キャリパ,6 キャリパ本体,7 シリンダ部,15 シリンダ,18 ピストン,40 モータ(電動モータ),43 回転直動変換機構,75 ベースナット(回転伝達部材),97 雌ねじ部,100 第1スプリングクラッチ(第1の一方向クラッチ),102 プッシュロッド(シャフト部材),103 第1の雄ねじ部(第1のねじ部),104 第2の雄ねじ部(第2のねじ部),105 第1のねじ嵌合部,106 第2のねじ嵌合部,124 第2スプリングクラッチ(第2の一方向クラッチ)127 ボールアンドランプ機構,150 固定ランプ,151 回転直動ランプ,162 雌ねじ部,D ディスクロータ

Claims (5)

  1. ロータを挟んで該ロータ軸方向両側に配置される一対のパッドと、
    該一対のパッドのうち一方をロータに押し付ける一つのピストンと、
    該ピストンが移動可能に配置されるシリンダを有するキャリパ本体と、
    該キャリパ本体に設けられる電動モータと、
    前記キャリパ本体に設けられ、前記ピストンを推進して制動位置に保持させる回転直動変換機構と、を備え、
    該回転直動変換機構は、
    前記電動モータの回転が伝達される回転伝達部材と、
    該回転伝達部材にねじ嵌合されて回転可能、且つ直動可能なシャフト部材と、
    該シャフト部材にねじ嵌合されて、該シャフト部材の回転によって前記ピストンに軸方向の推力を付与するボールアンドランプ機構と、を有し、
    前記シャフト部材には、一端側に前記回転伝達部材にねじ嵌合する第1のねじ部が形成され、他端側に前記ボールアンドランプ機構にねじ嵌合する第2のねじ部が形成され、
    前記第1のねじ部の回転抵抗トルクは、前記第2のねじ部の回転抵抗トルクよりも大きい、ディスクブレーキ。
  2. 前記第1のねじ部の径は前記第2のねじ部の径よりも大きい、請求項1に記載のディスクブレーキ。
  3. 前記回転直動変換機構は、一方向の回転に対して回転抵抗トルクを付与する第1の一方向クラッチを備え、
    前記第1の一方向クラッチは、前記回転伝達部材に対して前記シャフト部材の前記ピストンを後退させるリリース方向への回転に対して回転抵抗トルクを付与する、請求項1または2に記載のディスクブレーキ。
  4. 前記回転直動変換機構は、一方向の回転に対して回転抵抗トルクを付与する第2の一方向クラッチを備え、
    該第2の一方向クラッチは、前記ピストンに対して前記シャフト部材の前記ピストンを推進させるアプライ方向への回転に対して回転抵抗トルクを付与する、請求項1乃至3のいずれかに記載のディスクブレーキ。
  5. 前記ピストンをリリース方向に後退させる際には、前記シャフト部材と前記ボールアンドランプ機構との間のねじ嵌合部における回転抵抗トルクが、前記第1の一方向クラッチによる回転抵抗トルクに前記シャフト部材と前記回転伝達部材との間のねじ嵌合部における回転抵抗トルクを加えた回転抵抗トルクよりも小さい、請求項3または4に記載のディスクブレーキ。
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