JP6375595B2 - コアレス配線基板の製造方法および剥離装置 - Google Patents
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Description
<コアレス配線基板>
コアレス配線基板1を説明する。コアレス配線基板1は、ビルドアップ法により形成され、図1に示すように誘電体層2bと金属パターンからなる導体層2aとが交互に積層された配線積層部2を主体に構成されている。
<コアレス配線基板の製造方法>
コアレス配線基板の製造方法を簡略に説明すると、補強基板3上に配線積層部2を周知のビルドアップ法によって形成し、その後、配線積層部2を補強基板3から剥離することで製造するものである。また、補強基板3の両面に同時に配線積層部2を形成できるので量産が容易である。以下、各工程について詳細に説明する。
下地シート形成工程では、製造時の補強のための補強基板3上に下地樹脂シート3aを形成する(図2(a)参照)。補強基板3は、特には限定されないが、例えばビスマレイミド−トリアジン樹脂板などの耐熱性樹脂板やガラス繊維強化エポキシ樹脂などの繊維強化樹脂板等を用いることができる。また、下地樹脂シート3aは、後述する他層の樹脂シートと同様に、主にエポキシ樹脂等の高分子材料からなり、真空ラミネートなどによって補強基板3の主面に形成される。なお、本工程において下地樹脂シート3aは、通常は補強基板3の表裏両面に同時に形成される。
密着金属箔配置工程では、配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bを下地樹脂シート3a上に主面に包含される、一回り小さい形で配置する(図2(b)参照)。配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bは、2枚のCu層が例えばCrの薄いメッキ層を介して密着したものであり、Cuメッキ層とCrメッキ層の密着力が弱いため、剥離可能なものである。また、配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bは、Cu粗化処理によって表面が粗化されている。Cu粗化処理は、例えば無機酸と銅酸化剤を含む、一般に入手可能な粗化剤等を用いた処理浴を用いて行うことができる。
なお、Cu粗化処理が施された配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bの表面粗度によりコアレス配線基板1のソルダーレジスト層の表面粗度が決定される。
第1シート形成工程では、配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bを覆い囲む形で樹脂シートを形成して、樹脂シートと下地樹脂シート3aの間に配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bを封止する(図2(c)参照)。ここで、樹脂シートは、コアレス配線基板1の主面をなす誘電体層2bとなるべき部分を配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4b上に含むものである。また、この樹脂シートは、真空ラミネートにより形成される。このように、配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bが樹脂シートと下地樹脂シート3aの間に封止され、且つ、樹脂シートが表面粗化された配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bに密着することにより、以後の工程で配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bが樹脂シート及び下地樹脂シート3aから剥がれることなく配線積層部2を良好に得ることができる。
積層シート体形成工程では、誘電体層2b上に金属パターン2a及び誘電体層2bを、ビルト゛アップ法により、必要な数だけ交互に積層して配線積層部2を得る(図3参照)。このような金属パターンと樹脂シートの積層は、周知のビルドアップ法により補強基板の両面にビルドアップ法により形成することができる。なお、この配線積層部2は、コアレス配線基板1となる配線パターン部のブロックが複数個配列したものとして構成されるのが通常である。
周囲部切除工程では、配線積層部2とその周囲部との境界に沿って補強基板3ごと切断して周囲部を除去する(図4(a)、(b)参照)。境界は配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bの外縁に沿って(若しくはそれよりも内側に)設定することができる。その境界に沿った切断により周囲部が除去されると、樹脂シートに封止されていた配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bの外縁(外縁側が切除された場合は新たな外縁)が現れる。すなわち、周囲部の除去により周囲部にあった樹脂シートと下地樹脂シート3aの密着部分が失われるので、配線積層部2と補強基板3(及び下地樹脂シート3a)とは、積層方向において配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bのみを介して連接した状態となる(図4(b)参照)。
図5に示す剥離工程では、配線積層部2と補強基板3とを密着していた配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bのそれぞれのCu層の界面に手作業で微小な隙間となる剥離のキッカケを生じさせ、そこに薄い刃物、例えばカミソリの刃を少しずつ、正確に挿入することで隙間を拡大し、更に補強基板3の辺に沿った方向にも隙間を拡大して行くことにより剥離する。
金属箔除去工程では、配線積層部2に付着している配線積層部側Cu層4aを除去して誘電体層2bを露呈させる(図6(a)参照)。配線積層部側Cu層4aの除去は、例えば過酸化水素水−硫酸系のエッチング液を用いた化学エッチングにより行うことができる。ここで、配線積層部側Cu層4aと誘電体層2bと密着する面は上述のように粗化処理が施されているので、配線積層部側Cu層4aの除去により現れる誘電体層2bの主面も粗化された面となる。このとき、誘電体層2bの主面の粗度が低いと製造後のコアレス配線基板1の主面におけるアンダーフィル材の流れ性が不良となってボイド等を発生させるおそれがある。また、アンダーフィル材と誘電体層2bとの密着性も悪くなる。他方、誘電体層2bの主面の粗度が高すぎてもNi/Auメッキ時にメッキダレ不良が発生したり、アンダーフィル材の流れ性が過度となり充填性が悪くなったりするおそれがある。
レーザ開口工程では、レーザによって誘電体層2bに開口を穿設する。開口は、誘電体層2b下に形成されたパッドに当たる位置に穿設され、その底部にはパッドが露出する(図6(b)参照)。このようなレーザによる開口を穿設には、CO2レーザ、UVレーザやYAGレーザ等が用いられる。
デスミア工程では、開口底部のパッド表面の樹脂残渣(スミア)を除去する。デスミア工程では、プリント配線板の製造工程で使用される湿式のデスミア処理を行うことができるが、酸素プラズマなどの乾式のデスミア処理を行うことも可能である。
デスミア工程(工程9)後に、パッドの表面にNi/Auメッキが施される。そして、配線積層部2は、コアレス配線基板1となるブロック毎に切り分けられ、パッドには半田バンプ(Sn/Pb等)が形成される。その後、スティフナ−STが主面に接着され、電気的検査,外観検査等の所定の検査を経てコアレス配線基板1が完成する。
特に剥離のキッカケとなる微小な隙間をつくる際、基板角端部のCu層の剥離界面を剥離させる部分に、薄い刃物状のもの、例えばカッターナイフで正確に剥離界面(境界)に差し入れて開く作業になるため、作業時間が長くなる上に、作業者の怪我の原因にもなりやすい。
また、剥離工程を手作業で行うと、剥離時に積層配線部を反らせてCu層の剥離のキッカケを作るが、その時に内部の配線となるべき金属パターンが破断する不良発生の原因となるなどのため、装置化が望まれている。
コア基板を有さず、樹脂材料からなる誘電体層と金属パターンからなる導体層とが交互に積層されて形成されたコアレス配線基板の製造方法であって、
支持体となる補強基板の上下の面に互いに剥離可能な2層のCu層を配置する工程と、
前記剥離可能なCu層の成すエリアを全面的にカバーする誘電体層を前記剥離可能なCu層の上に形成する工程と、
更にその誘電体層の上に、ビルドアップ法により金属パターンからなる導体層と誘電体層を交互に必要な数だけ形成することにより、コアレス配線基板となる配線積層部を形成する工程と、
その配線積層部の周囲部を、剥離可能なCu層の内側で補強基板ごと断裁する工程と、
前記周囲部が断裁された上下面の配線積層部を一度に補強基板から剥離する工程を備えてなり、
前記配線積層部を補強基板から剥離する工程は、基板表面用刃物と基板裏面用刃物の2つの刃物を備え、さらに基板表面用刃物と基板裏面用刃物のそれぞれに2つの圧縮空気吐出口とを備え、さらに基板表面用刃物の高さを調整する機構と、基板表面用刃物と基板裏面用刃物を保持した昇降ユニットの高さを調整する機構とを有する前記昇降ユニットを備えた治具を用いて、前記剥離可能なCu層の剥離面となる境界にそれぞれ基板表面用刃物と基板裏面用刃物を同時挿入することによってそれぞれ微小な隙間を作り、圧縮空気をその隙間に吐出することで前記微小な隙間を拡大し、更に前記補強基板の辺に沿って前記刃物をスライドさせて移動させることを繰り返すことにより剥離を実施する
ことを特徴とするコアレス配線基板の製造方法である。
基板表面用刃物と基板裏面用刃物の2つの刃物と、それぞれに2つの圧縮空気吐出口とを備えてなり、前記刃物と前記圧縮空気吐出口は、さらに基板表面用刃物の高さを調整する機構と、基板表面用刃物と基板裏面用刃物を保持した昇降ユニットの高さを調整する機構とを有する前記昇降ユニットを備えた治具と、
さらに前記辺に沿って平行な方向に移動することを可能とする駆動機構を具備していることを特徴とする。
本発明では、従来は手作業で実施していた剥離工程を、図7および図8に示した治具5を用いて実施する。配線積層部2と補強基板3とを密着した2枚の配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bの界面に、治具5に装着した刃物を挿入することにより剥離する。更には、その治具を用いて剥離工程を装置化する。その他の工程は、従来のコアレス基板の製造方法と変わらない。
以下に図面を用いて、本発明のコアレス配線基板の製造方法における剥離工程について説明する。
図7、図8は剥離工程で使用する治具5の概略断面図、図9は補強基板3の表裏面に、ビルドアップ法を用いて形成された配線積層部2と補強基板3の間にある配線積層基板側Cu層4aと補強基板側Cu層4bのそれぞれの剥離面となる境界に、それぞれ基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bを挿入した状態を示す概略断面図、図10はコアレス配線基板に基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bを挿入したあと、圧縮空気を治具5の圧縮空気吐出口12から吐出し剥離範囲7を拡げた状態を示す概略断面図である。
具体的には補強基板3と配線積層部2とを密着している配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bのそれぞれの剥離面となる境界に、基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bを挿入し剥離のキッカケを作り、基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bを挿入することにより形成された微小な隙間6に圧縮空気を吹き込むことで、微小な隙間6を押し拡げることにより剥離範囲7を広げ、基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bを補強基板3の辺に沿ってスライドさせて広げることで、補強基板3の1つの辺の全体に剥離を進行させることができる。この作業を繰返すことで剥離を行うことができる。
この作業を行うため、基板表面用刃物11aおよび基板裏面用刃物11bと圧縮空気吐出口12を備え付けた治具5(図8参照)を使用すると効率よく作業を進めることが出来る。
線積層部2とを密着した2枚のCu層4aおよび4bの境界に確実に刃物11を挿入することが出来る(図9参照)。ここで、高さ調整機構として高さ調整ねじ8とスプリング9から構成された場合を示したが、これに限定するものではなく、基板表面用刃物11aと基板裏面用刃物11bを保持した昇降ユニット10の高さを調整できる機構であれば採用することができる。また、配線積層部側Cu層4aおよび補強基板側Cu層4bのそれぞれの剥離面となる境界を、イメージセンサにより捉え、その情報に基づき昇降ユニット10の高さを制御する機構であっても良い。
2・・・配線積層部
2a・・・金属パターン
2b・・・誘電体層
3・・・補強基板
3a・・・下地樹脂シート
3b・・・樹脂シート
4a・・・配線積層部側Cu層
4b・・・補強基板側Cu層
5・・・治具
6・・・微小な隙間
7・・・剥離範囲
8・・・高さ調整ねじ
9・・・スプリング
10・・・昇降ユニット
11a・・・基板表面用刃物
11b・・・基板裏面用刃物
12・・・圧縮空気吐出口
13・・・継手
14・・・治具ベース上板
15・・・治具ベース下板
16・・・周囲部
Claims (2)
- コア基板を有さず、樹脂材料からなる誘電体層と金属パターンからなる導体層とが交互に積層されて形成されたコアレス配線基板の製造方法であって、
支持体となる補強基板の上下の面に互いに剥離可能な2層のCu層を配置する工程と、
前記剥離可能なCu層の成すエリアを全面的にカバーする誘電体層を前記剥離可能なCu層の上に形成する工程と、
更にその誘電体層の上に、ビルドアップ法により金属パターンからなる導体層と誘電体層を交互に必要な数だけ形成することにより、コアレス配線基板となる配線積層部を形成する工程と、
その配線積層部の周囲部を、剥離可能なCu層の内側で補強基板ごと断裁する工程と、
前記周囲部が断裁された上下面の配線積層部を一度に補強基板から剥離する工程を備えてなり、
前記配線積層部を補強基板から剥離する工程は、基板表面用刃物と基板裏面用刃物の2つの刃物を備え、さらに基板表面用刃物と基板裏面用刃物のそれぞれに2つの圧縮空気吐出口とを備え、さらに基板表面用刃物の高さを調整する機構と、基板表面用刃物と基板裏面用刃物を保持した昇降ユニットの高さを調整する機構とを有する前記昇降ユニットを備えた治具を用いて、前記剥離可能なCu層の剥離面となる境界にそれぞれ基板表面用刃物と基板裏面用刃物を同時挿入することによってそれぞれ微小な隙間を作り、圧縮空気をその隙間に吐出することで前記微小な隙間を拡大し、更に前記補強基板の辺に沿って前記刃物をスライドさせて移動させることを繰り返すことにより剥離を実施する
ことを特徴とするコアレス配線基板の製造方法。 - 請求項1に記載のコアレス配線基板の製造方法の剥離工程で使用する治具を備えた剥離装置であって、
基板表面用刃物と基板裏面用刃物の2つの刃物と、それぞれに2つの圧縮空気吐出口とを備えてなり、前記刃物と前記圧縮空気吐出口は、さらに基板表面用刃物の高さを調整する機構と、基板表面用刃物と基板裏面用刃物を保持した昇降ユニットの高さを調整する機構とを有する前記昇降ユニットを備えた治具と、
さらに前記辺に沿って平行な方向に移動することを可能とする駆動機構を具備していることを特徴とする剥離装置。
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