JP6372271B2 - 製鉄用ペレットの還元粉化指数の推定方法 - Google Patents

製鉄用ペレットの還元粉化指数の推定方法 Download PDF

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Description

製鉄用ペレットの還元粉化指数を推定する方法に関する。
製鉄法の一つの方法として、直接還元法がある。これは、還元ガスとして、天然ガス、又は天然ガスを改質したガス(CO及びHが主成分)や石炭ガス(石炭をガス化した時に発生するガス)などを用いて、酸化鉄原料を直接還元する方法である。(例えば特許文献1及び2)。その内、現在は、いわゆるMIDREX法(特許文献3及び4)と呼ばれている常圧の竪型シャフト炉を用いる還元法が主流である。
MIDREX法で用いられる酸化鉄原料には、Feを主体とする鉄鉱石、又はその加工品である、(a)塊状鉄鉱石、(b)焼結鉱、及び/又は、(c)粉状鉄鉱石を塊成化したペレット又はブリケット(以下、「ペレット等」)が用いられる。又、還元には、天然ガスを改質したガスが使用され、その温度は800℃〜1000℃、その組成はHとCOの合計濃度が90mol%程度、mol比:H/(H+CO)=0.52〜0.71、CO=0.5〜3.0mol%である。
直接還元法では、酸化鉄原料の還元粉化の管理指標が設けられている。還元プロセスにより管理指標は異なるが、例えば、MIDREX法では、ペレットはISO−RDIDR−3.15mmで2mass%以下、塊状鉄鉱石は5mass%以下、に管理されている。
上記還元粉化の指標は、ISO11257(2007)(以下、「ISO試験」)として、その試験方法が定められている。そこでは、まず試料(粒径:16.0〜12.5mmが50%、12.5〜10.0mmが50%、重量:500g)をリンダー試験(還元温度:760℃、還元時間:300分、還元ガス組成:H−55.0%、CO−36.0%、CO−5.0%、CH−4.0%、還元ガス流量:13NL/minの還元条件にて、所定径の回転する円筒内にて還元する)と呼ばれる方法で還元処理する。ついで、反応処理後の試料を採り出した後、篩分を行い、10.0mm角の網を通過したもの(以下、−10.0mm)の割合、及び、3.15mm角の網を通過したもの(以下、−3.15mm)の割合を測定し、それぞれ値がISO−RDIDR−10.0mm、及び、ISO−RDIDR−3.15mmとして表示する。
このように、管理指標を測定する試験方法は、加熱した電気炉内で酸化鉄原料を処理することから、測定工数が限定され、複数の酸化鉄原料の還元粉化指数を迅速に測定することは困難である。また、試験装置および試験方法は複雑であり、装置の購入および測定者の技術の養成などが必要不可欠である。
還元粉化現象については、高炉における焼結鉱のそれに関してこれまでさまざまな研究がなされている。それによると、粉化はヘマタイト(Fe)からマグネタイト(Fe)に還元する際の体積膨張によって生じる内部応力によって発生する歪エネルギーによって酸化鉄原料中に亀裂が生成することを起因しており、焼結鉱では550℃付近の温度で顕著となることがわかっている(非特許文献1)。また、還元反応の反応様式、つまり反応がトポケミカルに進行する場合は粉化が抑制され、非トポケミカルに進行する場合は粉化を助長するとする報告もある(非特許文献2)。
特開昭63−213613号公報 特開2010−043314号公報 米国特許第3617227号明細書 米国特許第3748120号明細書
鉄と鋼,Vol.68,pp.740(1982) 日本鐵鋼協會々誌,Vol.69,pp.742(1983) R.D.Davidge and T.J.Green:J.Mater.Sci.3(1968)629. D.Tromans amd J.A. Meech:Minerals Engineering, 15 (2002) 1027 M. Takeda, T. Onishi, S. Nakakubo and S. Fujimoto: Materials transaction, 50 (2009) 2242.
前述したように、直接還元製鉄法では、酸化鉄原料が還元粉化した場合、発生した粉によってシャフト炉の通気性が阻害され、生産障害を招く可能性がある。また、高炉においても、酸化鉄原料が還元粉化した場合、発生した粉によって高炉の通気性が阻害され、生産障害を招く可能性がある。そのため、還元プロセス毎に還元粉化の管理指標が存在するものの、複数の酸化鉄原料を迅速に測定することは困難である。
そこで、本発明は、酸化鉄原料の還元粉化の評価方法の精度向上、迅速化を図りながら、評価方法を簡易化することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。そこで、ペレットの還元においては、還元粉化現象は還元時に発生する単位体積当たりの亀裂面積(以下、亀裂密度)によって強く支配されること、亀裂密度は還元反応様式、具体的には還元帯の幅によって強く支配されること、さらに還元帯幅は酸化鉄原料の気孔構造、具体的には気孔率および平均気孔径に支配されることを知見した。その結果、ペレットの物性である気孔率および平均気孔径から還元粉化挙動を推定できることを見出した。
ここに還元帯幅は、ペレットの還元途上において中心部がヘマタイト、表層部がマグネタイトであるときのマグネタイト層の幅をペレットの初期半径に対する比で表わす。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、酸化鉄ペレットの気孔構造測定結果から還元帯幅、亀裂密度を介して還元粉化指数を推定することを骨子とする。その要旨は以下のとおりである。
(1)製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)を推定する方法であって、予め、ペレットの気孔率(ε)及び平均気孔径(r)と、還元に伴うペレットの径方向におけるマグネタイトの濃度変化を表す傾きの逆数である反応帯幅(WRZ)との関係であるEQ1を定めておき、予め、前記反応帯幅(WRZ)と還元により生じるペレット内の単位体積あたりの総亀裂面積(Attrans.)との関係であるEQ2を定めておき、予め、前記総亀裂面積(Attrans.)と還元粉化指数(RDI)との関係であるEQ3を定めておき、測定対象の製鉄用ペレットの気孔率(ε)及び平均気孔径(r)を測定する工程と、前記測定値から前記EQ1に基づいて反応帯幅(WRZ)を推定し、前記反応帯幅(WRZ)から前記EQ2に基づいて総亀裂面積(Attrans.)を推定し、前記総亀裂面積(Attrans.)から前記EQ3に基づいて還元粉化指数(RDI)を推定する工程と、を有する。
(2)前記EQ1は、下記式(I)である(1)に記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
1/WRZ=Aε+Bε+C・・・・・・・・・・・・式(I)
ここで、r<2×10−6(m)の場合、
A=4.86×10−7×r−0.642
B=−4.64×10−5×r−0.639
C=1.98×10−3×r−0.615であり、
r≧2×10−6(m)の場合、
A=3.66×10−4×r−0.138
B=−3.83×10−2×r−0.127
C=1.07×r−0.136である。
(3)前記EQ2は、下記式(II)である(1)又は(2)に記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
Attrans.=Attopo/(1+WRZ)+Atn−topoWRZ/(1+WRZ
・・・式(II)
ここで、総亀裂面積(Attopo)はトポケミカル反応における単位体積あたりの総亀裂面積であり、総亀裂面積(Atn−topo)は非トポケミカル反応における単位体積あたりの総亀裂面積である。
(4)前記EQ3は、総亀裂面積(Attrans.)が2.345×10(m/m)未満の場合には下記式(III)であり、総亀裂面積(Attrans.)が2.345×10(m/m)以上の場合には下記式(IV)である(1)乃至(3)のうちいずれか一つに記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
RDI=5.15×10−7Attrans.+0.538・・・・・・・・・式(III)
RDI=4.68×10−6Attrans.−9.23・・・・・・・・・・式(IV)
本発明によれば、複数の酸化鉄原料の還元粉化指数を迅速に測定することができる。これにより、評価方法の精度向上、迅速化を図りながら、評価方法を簡易化することができる。
酸化鉄ペレットの気孔構造からその還元粉化指数を推定する方法のフロー図である。 トポケミカル反応の亀裂生成過程の組織観察およびその模式図である。 非トポケミカル反応の亀裂生成過程の組織観察およびその模式図である。 還元後試料のEPMA測定結果である。 EPMA測定結果より導出した還元後ペレットの半径方向のFe濃度分布を示したグラフである。 水銀圧入法による酸化鉄ペレットの気孔分布の測定結果である。 還元帯幅WRZの実験値およびその推定値を示したグラフである。 係数Aの実験値およびその推定値を示したグラフである。 係数Bの実験値およびその推定値を示したグラフである。 係数Cの実験値およびその推定値を示したグラフである。 還元粉化指数(RDI)の実験値およびその推定値を示したグラフである。
(本発明の還元粉化指数推定の流れ)
図1のフローチャートを参照しながら、酸化鉄ペレットの気孔構造からその還元粉化指数(RDI)を推定する方法について説明する。ステップS101において、酸化鉄ペレットの気孔構造を前述水銀圧入法により測定し、気孔率(ε)および平均気孔径(r)を測定する。ステップS102において、ステップS101で測定された平均気孔径(r)が2×10−6(m)未満であるか否かを判別する。r<2×10−6(m)の場合(ステップS102 Yes)、処理はステップS103に進む。r≧2×10−6(m)の場合(ステップS102 No)、処理はステップS104に進む。
ステップS103において、ステップS101で測定された平均気孔径(r)及び気孔率(ε)を、後述する式(12)、(13)、(15)、(17)に代入し、反応帯幅(WRZ)を導出する。ステップS104において、ステップS101で測定された平均気孔径(r)及び気孔率(ε)を、式(12)、(14)、(16)、(18)に代入し、反応帯幅(WRZ)を導出する。ステップS105において、ステップS103、S104で求めた反応帯幅(WRZ)を式(9)に代入し、トポケミカル反応及び非トポケミカル反応の遷移領域における単位体積あたりの総亀裂面積(Attrans.)を導出する。
ステップS106において、ステップS105で導出された総亀裂面積(Attrans.)が2.345×10(m/m)未満であるか否かを判別する。Attrans.<2.345×10(m/m)の場合(ステップS106 Yes)、処理はステップS107に進む。Attrans.≧2.345×10(m/m)の場合(ステップS106 No)、処理はステップS108に進む。
ステップS107において、ステップS105で導出した総亀裂面積(Attrans.)を式(10)に代入し、還元粉化指数(RDI)を導出する。ステップS108において、ステップS105で導出した総亀裂面積(Attrans.)を式(11)に代入し、還元粉化指数(RDI)を導出する。
このように、本発明によれば、酸化鉄ペレットの気孔径分布測定結果から、簡易的かつ直接的に還元粉化指数(RDI)を推定することが可能となる。以下、具体的に各要素を詳しく説明する。
(トポケミカル反応における亀裂密度の推定方法)
トポケミカル反応における亀裂密度推定方法について説明する。トポケミカル反応とは、還元反応が試料表面から明瞭な反応界面を生成し、同心円状に変化しながら順次進行する還元反応様式のことである。図2にトポケミカル反応の亀裂生成過程の組織およびその模式図を示す。この模式図において、ハッチングしたドーナツ状の領域がFe(マグネタイト)であり、それ以外の領域が初期相であるFe(ヘマタイト)である。トポケミカル反応では、I)〜III)の順序で還元反応が進行する。
I) 還元初期に周辺から同心円状に還元反応が進行する。
II) 還元中期に還元反応の進行に伴い同心円状に亀裂が生成する。
III) 還元後期に中心付近にも亀裂が生成する。
反応により生成したFe(マグネタイト)は初期相であるFe(ヘマタイト)よりも膨張するため、中心方向に応力σtopoが生じて、亀裂が発生する。ここで分散型複合材料の応力および亀裂面積の推定方法(非特許文献3)を用いることにより、応力σtopo及び亀裂面積(Actopo)を推定することができる。すなわち、発生する応力σtopoは、以下の式(1)で算出され、Fe相の径がRに縮径した際に生成する亀裂面積(Actopo)は以下の式(2)で算出される。
σtopo=CLE/{(1+ν)/2E+(1−2ν)/E} ・・・(1)
Actopo=σtopo πR /2γ
×{(1−R /R )(1+ν)/E+2(1−2ν)/E}・・・(2)
式(1)及び(2)において、CLEはFe(ヘマタイト)からFe(マグネタイト)に還元されるときの線膨張率(−)であり、νはFe(マグネタイト)のポアソン比(−)であり、νはFe(ヘマタイト)のポアソン比(−)であり、EはFe(マグネタイト)のヤング率(N/m)であり、EはFe(ヘマタイト)のヤング率(N/m)であり、RはFe(ヘマタイト)の半径であり、Rは酸化鉄ペレットの半径であり、γはFe(マグネタイト)の表面エネルギ(N/m)である。
一方、トポケミカル反応では、還元の進行によりRが縮径するため、以下の式変形を実施する。まず、酸化鉄ペレットにおけるFe(マグネタイト)の体積割合Xを式(3)により導出する。式(3)において、Rは酸化鉄ペレットの半径である。次に、式(3)を式(2)に代入してFe相の径Rを消去し、ペレット体積4πR /3および基質体積(1-ε)で除した後に、体積割合Xで積分することで単位体積あたりの総亀裂面積(Attopo)を式(4)のように導出する。総亀裂面積(Attopo)はヤング率やポアソン比などの物性値とFe(マグネタイト)の体積割合Xで表される。
=1−R /R ・・・(3)
Attopo=3σtopo /(8γ)/(1−ε)×[−X (1+ν)/3E
+X {(1+ν)/E−2(1−2ν)/E}/2+2X(1−2ν)/E] ・・・(4)
(非トポケミカル反応における亀裂密度の推定方法)
図3に非トポケミカル反応の亀裂生成過程の組織およびその模式図を示す。非トポケミカル反応では、I)還元初期に気孔からFe相が析出し、放射状に亀裂が生成し、
II)還元中期およびIII)還元後期には、Fe相が成長するとともに、亀裂は更に進展する。
反応により生成したFe(マグネタイト)は初期相であるFe(ヘマタイト)よりも膨張し、周囲のFe相に向かって下記の式(5)の応力σn−topoが発生し、亀裂が生成される。トポケミカル反応の際と同様に分散型複合材料の応力および亀裂面積の推定に用いられる式(非特許文献5)を用いると、Fe相の径がRの際に生成するFe相の周囲に発生する亀裂面積(Acn−topo)は下記の式(6)で表わされる。
σn−topo=CLE/{(1+ν)/2E+(1−2ν)/E} ・・・(5)
Acn−topo=σn-topo πR /2γ
×{(1+ν)/E+2(1−2ν)/E} ・・・(6)
一方、非トポケミカル反応において、還元の進行により変化するFe相の径Rとその体積割合XからFe相の個数Nが下記の式(7)により導出される。Fe相の周囲に発生する亀裂面積(Acn−topo)とFe相の個数Nの積を基質体積(1-ε)で除した後に、酸化鉄ペレットにおけるFe(マグネタイト)の体積割合Xで積分することで単位体積あたりの総亀裂面積(Atn−topo)を式(8)のように導出した。総亀裂面積(Atn−topo)はヤング率やポアソン比などの物性値とFe(マグネタイト)の体積割合Xで表される。
N=3X/4πR ・・・(7)
Atn−topo=3σn−topo /16/γ/(1-ε)
×{(1+ν)/E+2(1−2ν)/E}×X ・・・(8)
(還元反応様式の測定方法)
図4はEPMA元素分析測定結果の画像データである。図5はEPMA測定結果より導出した還元後ペレットの半径方向のFe濃度分布の一例を示している。ここでグラフの傾きの逆数を反応帯幅(WRZ)として計測する。トポケミカル反応では、同心円状に還元反応が進むため、グラフの傾きが無限大、つまり、WRZ=0になる。言い換えると、トポケミカル反応では、酸化鉄ペレットの径方向における反応界面を境界としてFe(ヘマタイト)からFe(マグネタイト)に急激に変化するため、図5の傾きθは無限大になる。一方、非トポケミカル反応では、還元反応が径方向において均等に進むため、グラフの傾きが0、つまり、WRZ=∞になる。言い換えると、非トポケミカル反応では、グラフが水平方向に延びる直線になり、この直線は還元反応が進むにしたがって、傾きθ=0を保ちながら、Fe(マグネタイト)の濃度が上昇する方向にシフトする。
(トポケミカル反応および非トポケミカル反応の遷移領域における亀裂密度の推定方法)
本発明者らは、ペレット気孔形態や還元ガス組成を種々変更した還元粉化試験を行い、また試験後の試料断面のEPMA測定を実施することで、それらが反応帯幅(WRZ)および還元粉化指数(RDI)に及ぼす影響を調べた。その結果、還元粉化指数(RDI)は、反応が非トポケミカルに進行するほど促進されるとの結論に至った。また、トポケミカル反応および非トポケミカル反応の遷移領域における単位体積あたりの総亀裂面積(Attrans.)はトポケミカル反応および非トポケミカル反応の加重平均が成り立つと仮定し、下記の式(9)のように反応帯幅(WRZ)の関数として導出できることを見出した。この式(9)の関係が特許請求の範囲に記載の「EQ2」に相当する。さらに、総亀裂面積(Attrans.)と還元粉化指数(RDI)との間に下記の式(10)、(11)の関係があることを見出した。この関係が特許請求の範囲に記載の「EQ3」に相当する。
Attrans.=Attopo/(1+WRZ)+Atn−topoWRZ/(1+WRZ
・・・(9)
RDI=5.15×10−7Attrans.+0.538
(Attrans.<2.345×10) ・・・(10)
RDI=4.68×10−6Attrans.−9.23
(Attrans.≧2.345×10) ・・・(11)
このように、総亀裂面積(Attrans.)と還元粉化指数(RDI)との間には、式(10)、(11)の関係が成立し、総亀裂面積(Attrans.)と反応帯幅(WRZ)との間には、式(9)の関係が成立するから、反応帯幅(WRZ)を求めることにより、還元粉化指数(RDI)を導出することができる。本発明者は、ISO11257還元粉化試験条件における気孔構造と反応帯幅(WRZ)の関係を調べ、その結果、気孔構造と反応帯幅(WRZ)には以下の式(12)〜(18)の関係があることを見出した。この関係が特許請求の範囲に記載の「EQ1」に相当する。
(気孔構造からWRZを推定する方法)
1/WRZ=Aε+Bε+C ・・・(12)
以下に示すように、平均気孔径r(m)の大小に応じて、係数A、B及びCの算出式は異なる。
(r<2×10−6
A=4.86×10−7×r−0.642 ・・・(13)
B=−4.64×10−5×r−0.639 ・・・(15)
C=1.98×10−3×r−0.615 ・・・(17)
(r≧2×10−6
A=3.66×10−4×r−0.138 ・・・(14)
B=−3.83×10−2×r−0.127 ・・・(16)
C=1.07×r−0.136 ・・・(18)
式(12)〜(18)に示すように、酸化鉄ペレットの平均気孔径(r)及び気孔率(ε)がわかれば、反応帯幅(WRZ)を導出することができる。
(酸化鉄原料の気孔構造の測定および評価方法)
ISO15901−1に準じた水銀圧入法により気孔径分布を測定する。図6に気孔径分布測定結果の一例を示す。本測定結果より、気孔率(ε)および平均気孔径(r)を導出することができる。また、水銀圧入法以外の方法として、酸化鉄ペレットの断面組織を顕微鏡等で撮影し、その撮影データを2値化処理によって気孔部分とそれ以外の部分とに識別した後、画像解析することで、気孔径分布を測定してもよい。
図2の試料を例として、還元粉化指数(RDI)の推定方法を具体的に説明する。まず、ペレットの気孔径分布測定により、気孔率(ε)と平均気孔径(r)を導出する。次に、反応帯幅(WRZ)を以下のように導出する。表1を参照して、酸化鉄ペレットが水準aである場合、平均気孔径(r)は2×10−6よりも小さい1.85×10−6であるから、式(12)、(13)、(15)、(17)を用いて、反応帯幅(WRZ)を導出する。酸化鉄ペレットが水準bである場合、平均気孔径(r)は2×10−6よりも大きい7.82×10−6であるから、式(12)、(14)、(16)、(18)を用いて、反応帯幅(WRZ)を導出する。
トポケミカル反応時および非トポケミカル反応時の単位体積あたりの総亀裂面積(Attopo)および総亀裂面積(Atn−topo)はそれぞれ式(4)および式(8)より導出できる。式(4)、(8)において、FeからFeに還元される時の線膨張率CLEおよびFeとFeの応力σ、ポアソン比ν、ヤング率E、表面エネルギーγは物性値である(非特許文献4、5)。反応帯幅(WRZ)、総亀裂面積(Attopo)および総亀裂面積(Atn−topo)を式(9)に代入し、総亀裂面積(Attrans.)を導出する。最後に総亀裂面積(Attrans.)を式(10)(11)に代入し、還元粉化指数(RDI)を導出する。すなわち、酸化鉄ペレットが水準aである場合、総亀裂面積(Attrans.)は2.345×10よりも小さい1.92×10であるから、式(10)を用いて、還元粉化指数(RDI)を導出する。酸化鉄ペレットが水準bである場合、総亀裂面積(Attrans.)は2.345×10よりも大きい2.48×10であるから、式(11)を用いて、還元粉化指数(RDI)を導出する。
(実施例1)
本発明で規定した気孔径分布と反応帯幅(WRZ)の関係式[式(12)〜(18)]の妥当性を以下の実施例を用いて説明する。本実施例では、気孔構造が異なる15種類の酸化鉄ペレットをハンドローリング法により成型し、電気炉内で1100℃〜1350℃の温度で焼成した。作製したペレット1粒をJIS還元粉化試験のガス条件で還元し、還元後のペレットの断面組織をEPMA分析することで反応帯幅(WRZ)を実測した。表2に作製したペレットの気孔率(ε)、平均気孔径(r)と実測した反応帯幅(WRZ)、および式(12)〜(18)の係数A,B,Cを示す。なお、係数A,B、Cは図7の実線(推定値)から求めた。
図7にプロットされた記号「○◇×□△」は反応帯幅(WRZ)の実測値、実線はその推定値を示す。反応帯幅(WRZ)は気孔率(ε)の二次関数であり、平均気孔径(r)の増大により係数A,B,Cの絶対値は低減している。
図8Aは係数Aと平均気孔径(r)との関係を示しており、縦軸が係数A、横軸が平均気孔径(r)に対応している。図8Bは係数Bと平均気孔径(r)との関係を示しており、縦軸が係数B、横軸が平均気孔径(r)に対応している。図8Cは係数Cと平均気孔径(r)との関係を示しており、縦軸が係数C、横軸が平均気孔径(r)に対応している。黒色で塗り潰した丸印は実測値、曲線はその推定値を示す。いずれの係数も平均気孔径(r)と指数関数の関係にあり、r=2×10−6(m)(=2μm)を境に係数が変化している。なお、曲線は、r<2×10−6(m)(=2μm)の部分を破線で示し、r≧2×10−6(m)(=2μm)の部分を実線で示している。かかる実験結果に基づいて、本発明における反応帯幅(WRZ)の推定方法を定義した。
(実施例2)
本発明で規定した還元粉化指数(RDI)推定方法の妥当性の確認を以下の実施例を用いて説明する。本実施例では、気孔構造が異なる5種類のペレットを用いた。ペレットの平均直径は12.5mmであった。なお、水銀圧入法による気孔率(ε)及び平均気孔径(r)の測定結果の一例を図5に示す。還元粉化の試験方法は、JISの還元粉化試験方法に準じた。すなわち、ペレット重量:500g、還元温度:550℃、還元時間:30min、還元ガス流量:15NL/minで還元を行った後、還元後の試料を所定径の筒内で回転粉化を行わせ、ついで篩分を行い、−3.15mmの割合を還元粉化指数(RDI)として評価する。ペレットの組成、気孔率(ε)、及び平均気孔径(r)および試験結果より導出されるマグネタイトの体積分率X、単位体積あたりの総亀裂面積(Attrans.)および還元粉化指数(RDI)を表3に示す。
図9の黒色で塗り潰した四角形は還元粉化指数(RDI)の実験値、実線はその推定値を示す。還元粉化指数(RDI)の実験値を精度良く推定できることがわかった。かかる実験結果に基づいて、本発明における還元粉化指数の推定方法を定義した。
前述したように、本発明によれば、複数の酸化鉄原料の還元粉化指数を迅速に測定することができる。これにより、評価方法の精度向上、迅速化を図りながら、評価方法を簡易化することができる。よって、本発明は、製鉄産業において利用可能性が高いものである。

Claims (4)

  1. 製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)を推定する方法であって、
    予め、ペレットの気孔率(ε)及び平均気孔径(r)と、前記RDIの測定と同一の還元条件で還元した後の、ペレットの初期半径で無次元化された径方向における、マグネタイトとヘマタイトの和に対するマグネタイトのモル比の変化を表す傾きの逆数である反応帯幅(WRZ)との関係であるEQ1を定めておき、
    予め、前記反応帯幅(WRZ)と還元により生じるペレット内の単位体積あたりの総亀裂面積(Attrans.)との関係であるEQ2を定めておき、
    予め、前記総亀裂面積(Attrans.)と還元粉化指数(RDI)との関係であるEQ3を定めておき、
    測定対象の製鉄用ペレットの気孔率(ε)及び平均気孔径(r)を測定する工程と、
    前記測定値から前記EQ1に基づいて反応帯幅(WRZ)を推定し、前記反応帯幅(WRZ)から前記EQ2に基づいて総亀裂面積(Attrans.)を推定し、前記総亀裂面積(Attrans.)から前記EQ3に基づいて還元粉化指数(RDI)を推定する工程と、
    を有する製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
  2. 前記EQ1は、下記式(I)である請求項1に記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
    1/WRZ=Aε+Bε+C・・・・・・・・・・・・式(I)
    ここで、r<2×10−6(m)の場合、
    A=4.86×10−7×r−0.642
    B=−4.64×10−5×r−0.639
    C=1.98×10−3×r−0.615であり、
    r≧2×10−6(m)の場合、
    A=3.66×10−4×r−0.138
    B=−3.83×10−2×r−0.127
    C=1.07×r−0.136である。
  3. 前記EQ2は、下記式(II)である請求項1又は2に記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
    Attrans.=Attopo/(1+WRZ)+Atn−topoWRZ/(1+WRZ
    ・・・式(II)
    ここで、総亀裂面積(Attopo)はトポケミカル反応における単位体積あたりの総亀裂面積であり、総亀裂面積(Atn−topo)は非トポケミカル反応における単位体積あたりの総亀裂面積である。
  4. 前記EQ3は、総亀裂面積(Attrans.)が2.345×10(m/m)未満の場合には下記式(III)であり、総亀裂面積(Attrans.)が2.345×10(m/m)以上の場合には下記式(IV)である請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の製鉄用ペレットの還元粉化指数(RDI)の推定方法。
    RDI=5.15×10−7Attrans.+0.538・・・・・・・・・式(III)
    RDI=4.68×10−6Attrans.−9.23・・・・・・・・・・式(IV)
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