JP6371545B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィン重合用の触媒または触媒成分として有用な特定構造を有する遷移金属化合物(本発明では、架橋メタロセン化合物とも称す)、並びに該遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒、および該触媒の存在下で、オレフィンを(共)重合する方法、特に、エチレンの単独重合またはエチレン及びα-オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを共重合する方法に関する。
さらに詳しくは、長鎖分岐度が制御されたオレフィン重合体の製造方法に関する。
メタロセン触媒は遷移金属原子および配位子と呼ばれる有機化合物で構成されており、この配位子の構造を置換する位置やその置換基の立体的電子的効果を変化させることによって、重合反応で得られるポリマーの物性を幅広くコントロールしている。特徴あるポリマーを合成するために特定構造を有する架橋メタロセン化合物が数多く合成されている。
例えば、特許文献1には、シクロペンタジエン、フルオレンをジフェニルメチレンで架橋した配位子を有する遷移金属錯体及びメチルアルモキサンからなるオレフィン重合触媒が開示されている。非特許文献1には、シクロペンタジエンとフルオレンをiso−プロピリデンで架橋した配位子を有する遷移金属錯体及びメチルアルモキサンからなるオレフィン重合触媒が開示されている。
メタロセン触媒におけるフルオニル基を、2、7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基または3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル基にすることや、フルオレニル基4位に芳香族置換基を導入することにより、得られるポリマーの立体規則性を向上させる試みが報告されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
このようにメタロセン触媒における配位子の構造を変化させることで種々のポリマーが合成されているが、更なる特徴あるポリマーを合成するため、ならびに更なる高活性化を達成するために、様々な構造のメタロセン錯体の合成が期待されている。
一般に、ポリエチレンに含まれる長鎖分岐(LCB)は、フィルムブロー成形中の泡安定性を改善し、樹脂の加工性を高めるために望ましい。しかし、LCBの存在は、樹脂強度の側面では弾性増加による強度低下のために望ましくなく、フィルム用途に用いた際には透明性が低下するために望ましくないと考えられている。したがって、メタロセン触媒を用いてポリエチレン中のLCBレベルを制御することは、望ましい到達点である。
特許文献5には、メタロセン触媒におけるシクロペンタジエニル基の3位に炭化水素基を導入することにより、得られるポリマーの溶融粘弾性を低下させる試みが報告されている。
特開平2−274703号公報 特開平4−69394号公報 特開2007−302854号公報 米国特許第7470759号 WO2009/045301号公報
J.Am.Chem.Soc. 1988,110,6255.
オレフィン重合用触媒として上述した開発が行われているが、重合体中のLCBレベルが制御されたオレフィン重合体を、高い重合活性で生成する重合用触媒の開発は未だ充分とはいえない。そのため重合体中のLCBレベルが制御された重合体を高い生産性で得る触媒および該触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法が強く望まれてきた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、特定構造を有する遷移金属化合物を含むメタロセン触媒を用いて、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはエチレン系共重合体中のLCBレベルが制御されたオレフィン重合体を効率よく製造する方法、および該オレフィン重合体に好適な遷移金属化合物並びに触媒を提供することにある。
本発明者は、こうした状況に鑑み鋭意研究した結果、メタロセン錯体のフルオレニル基4位に特定の置換基を導入することで、高活性でポリエチレン中のLCBレベルを制御可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の遷移金属化合物(A)は、下記一般式[1]で表される。
Figure 0006371545
一般式[1]中、Mは周期表第4族遷移金属原子であり、nはMの価数を満たす1〜4の整数であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、該アニオン配位子は、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基またはアルミ含有基であり、nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Q1は周期表第14族の原子であり、R1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、R1〜R8までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。R9は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、R1およびR9、またはR4およびR9は互いに結合して環を形成してもよく、R9同士は、互いに結合して環を形成してもよい。Aは炭素数1〜10個の直鎖の炭素鎖を有する炭化水素基であり、Bは一般式[2a]〜[2h]のいずれかで表される。
Figure 0006371545
一般式[2a]〜[2h]中、R10は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Chは酸素原子あるいは硫黄原子である。R11は炭素数1〜20の炭化水素基である。Pnは窒素原子あるいはリン原子である。R12は炭素数1〜20の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、R12同士は互いに結合して環を形成してもよい。R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。R14は水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜20の炭化水素基である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、本発明の遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とする。
また、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合または共重合させる工程を含むことを特徴とする。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
本発明に係る、フルオレニル基4位に特定の置換基を導入した遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒は、オレフィンの(共)重合、特にエチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合を行った際に、良好なオレフィン重合活性でポリオレフィン中のLCBレベルを制御することができる。
該効果は、前記一般式[1]で表わされる遷移金属化合物(A)における、(i)メタロセン部の三次元的かさ高さによる活性向上、および(ii)フルオレニル基4位に導入した置換基による系内生成マクロモノマー共重合制御、に起因すると考えられる。
<オレフィン重合用触媒>
以下、本発明におけるオレフィン重合用触媒について具体的に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記一般式[1]で表される新規な遷移金属化合物(A)を含み、さらに、[B]有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)および遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。前記遷移金属化合物(A)も、本発明により提供されるものである。なお、本明細書においてオレフィンとは、重合性二重結合を有するあらゆる化合物を指す。以下、遷移金属化合物(A)、化合物[B]の順に詳細に説明する。
〔(A)遷移金属化合物〕
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する遷移金属化合物(A)は、前記一般式[1]で表される化合物である。
一般式[1]中、Mは周期表第4族遷移金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
nはMの価数を満たす1〜4の整数であり、好ましくは1または2である。
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(X)、炭化水素基(G1)、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子(L1)であり、該アニオン配位子は、ハロゲン含有基(H1)、ケイ素含有基(Si1)、酸素含有基(O1)、硫黄含有基(S1)、窒素含有基(N1)、リン含有基(P1)、ホウ素含有基(B1)またはアルミニウム含有基(Al1)である。Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基であることが好ましい。
nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子(X)としては、具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられるが、好ましくは塩素または臭素である。
前記炭化水素基(G1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ペンタン−2−イル基、2−メチルブチル基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、4,4−ジメチルペンチル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ−1−エン−1−イル基)、iso−プロペニル基(プロパ−1−エン−2−イル基)、アレニル(プロパ−1,2−ジエン−1−イル基)基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、ブタ−3−エン−2−イル基、メタリル(2−メチルアリル)基、エリトレニル(ブタ−1,3−ジエニル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、iso−ペンテニル(3−メチルブタ−3−エン−1−イル)基、2−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、プレニル(3−メチルブタ−2−エン−1−イル)基などの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基などの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、1−フェニルエチル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基などの芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、ジュリル(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの芳香族置換(アリール)基;
1,3−ブタジエニル基、イソプレニル(2−メチル−1,3−ブタジエニル)基、ピペリレニル(1,3−ペンタジエニル)基、2,4−ヘキサジエニル基、1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル基、シクロペンタジエニル基など、メタロシクロペンテン基を形成可能な共役ジエン二価誘導体基;などを挙げることができる。
前記炭化水素基の中で好ましくは、メチル基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、ベンジル基、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、1,3−ブタジエニル基、イソプレニル(2−メチル−1,3−ブタジエニル)基、ピペリレニル(1,3−ペンタジエニル)基、2,4−ヘキサジエニル基、1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル基である。
前記ハロゲン含有基(H1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ヘキサクロロアンチモン酸アニオンなどを挙げることができる。
前記ハロゲン含有基の中で好ましくは、ペンタフルオロフェニル基である。
前記ケイ素含有基(Si1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、トリメチルシリルメチル基などを挙げることができる。
前記ケイ素含有基の中で好ましくは、トリメチルシリルメチル基である。
前記酸素含有基(O1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−iso−プロピルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェノキシ基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセトキシ基、過塩素酸アニオン、過ヨウ素酸アニオンなどを挙げることができる。
前記酸素含有基の中で好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、tert−ブトキシ基である。
前記硫黄含有基(S1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メシル(メタンスルフォニル)基、フェニルスルホニル基、トシル(p−トルエンスルホニル)基、トリフリル(トリフルオロメタンスルホニル)基、ノナフリル(ノナフルオロブタンスルホニル)基、メシラート(メタンスルホナート)基、トシラート(p−トルエンスルホナート)基、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基、ノナフラート(ノナフルオロブタンスルホナート)基などを挙げることができる。
前記硫黄含有基の中で好ましくは、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基である。
前記窒素含有基(N1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、アミノ基、シアノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基などを挙げることができる。
前記窒素含有基の中で好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピロリル基、ビストリフリルイミド基である。
前記リン含有基(P1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ヘキサフルオロリン酸アニオンなどを挙げることができる。
前記ホウ素含有基(B1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、(メチル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、(ベンジル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、テトラキス((3,5−ビストリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸アニオン、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。
前記アルミニウム含有基(Al1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、(M−ハロゲン原子−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環、あるいは(M−炭化水素基−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環を形成可能な、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子(L1)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、トリエチルアミン、ジエチルアミンなどのアミン類、ピリジン、ピコリン、ルチジン、オキサゾリン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、チオフェンなどの複素環式化合物、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィンなどの有機リン化合物を挙げることができる。
1は周期表第14族の原子であり、具体的には、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子などが挙げられるが、好ましくは炭素原子またはケイ素原子である。
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(X)、炭素数1〜20の炭化水素基(G2)、ハロゲン含有炭化水素基(H2)、ケイ素含有炭化水素基(Si2)、酸素含有炭化水素基(O2)、硫黄含有炭化水素基(S2)または窒素含有炭化水素基(N2)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R8までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
9は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(X)、炭素数1〜20の炭化水素基(G2)、ハロゲン含有炭化水素基(H2)、ケイ素含有炭化水素基(Si2)、酸素含有炭化水素基(O2)、硫黄含有炭化水素基(S2)または窒素含有炭化水素基(N2)であり、同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、R1とR9、またはR4とR9は互いに結合して環を形成してもよく、R9同士は、互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子(X)としては、前記と同様であり、好ましくはフッ素または塩素である。
前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デカニル基、1−ウンデカニル基、1−ドデカニル基、1−エイコサニル、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、ペンタン−2−イル基、2−メチルブチル基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、シアミル(1,2−ジメチルプロピル)基、ペンタン−3−イル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、1,1−ジメチルブチル(2−メチルペンタン−2−イル)基、3−メチルペンタン−2−イル基、4−メチルペンタン−2−イル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、3−メチルペンタン−3−イル基、3,3−ジメチルブタ−2−イル基、ヘキサン−3−イル基、2−メチルペンタン−3−イル基、ヘプタン−4−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、3−エチルペンタン−3−イル基、4,4−ジメチルペンチル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、4−プロピルヘプタン−4−イル基、2,3,3−トリメチルブタン−2−イル基、2,3,4−トリメチルペンタン−3−イル基などの炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル基、アリル基、プロペニル基(プロパ−1−エン−1−イル基)、iso−プロペニル基(プロパ−1−エン−2−イル基)、アレニル(プロパ−1,2−ジエン−1−イル基)基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、ブタ−3−エン−2−イル基、メタリル(2−メチルアリル)基、エリトレニル(ブタ−1,3−ジエニル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−2−エン−1−イル基、iso−ペンテニル(3−メチルブタ−3−エン−1−イル)基、2−メチルブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−2−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、2−メチル−ブタ−2−エン−1−イル基、ペンタ−3−エン−2−イル基、2−メチル−ブタ−3−エン−2−イル基、ペンタ−1−エン−3−イル基、ペンタ−2,4−ジエン−1−イル基、ペンタ−1,3−ジエン−1−イル基、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル基、iso−プレニル(2−メチル−ブタ−1,3−ジエン−1−イル)基、ペンタ−2,4−ジエン−2−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、ヘキサ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−3−エン−1−イル基、ヘキサ−2−エン−1−イル基、4−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、3−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、2−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル基、ヘキサ−5−エン−2−イル基、4−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル基、3−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル基、2,3−ジメチル−ブタ−2−エン−1−イル基、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル基、3−エチルペンタ−1−エン−3−イル基、ヘキサ−3,5−ジエン−1−イル基、ヘキサ−2,4−ジエン−1−イル基、4−メチルペンタ−1,3−ジエン−1−イル基、2,3−ジメチル−ブタ−1,3−ジエン−1−イル基、ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル基、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)エチル基などの炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−1−イン−1−イル基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−2−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−2−イル基、2−メチル−ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−2−イル基、ヘキサ−1−イン−1−イル基、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル基、2−メチル−ペンタ−3−イン−2−イル基、2,2−ジメチル−ブタ−3−イン−1−イル基、ヘキサ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基などの炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、1−フェニルエチル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、2−(4−メチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)プロパン−2−イル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)プロパン−2−イル基、3−フェニルペンタン−3−イル基、4−フェニルヘプタ−1,6−ジエン−4−イル基、1,2,3−トリフェニルプロパン−2−イル基、1,1−ジフェニルエチル基、1,1−ジフェニルプロピル基、1,1−ジフェニル−ブタ−3−エン−1−イル基、1,1,2−トリフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、トリ−(4−メチルフェニル)メチル基、2−フェニルエチル基、スチリル(2−フェニルビニル)基、2−(2−メチルフェニル)エチル基、2−(4−メチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル)エチル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、ネオフィル(2−メチル−2−フェニルプロピル)基、3−メチル−3−フェニルブチル基、2−メチル−4−フェニルブタン−2−イル基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル基、(1−インデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)エチル基、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)プロパン−2−イル基、(テトラヒドロ−1−インダセニル)ジフェニルメチル基、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)エチル基、2−(1−ベンゾインデニル)プロパン−2−イル基、(1−ベンゾインデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−ベンゾインデニル)エチル基、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル基、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル基、2−(9−フルオレニル)エチル基、2−(1−アズレニル)プロパン−2−イル基、(1−アズレニル)ジフェニルメチル基、2−(1−アズレニル)エチル基などの炭素原子数が7〜20の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、n−ブチル−メチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−アリルシクロペンチル基、1−ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アリルシクロヘキシル基、1−ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1−メチルシクロヘプチル基、1−アリルシクロヘプチル基、1−ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、1−メチルシクロオクチル基、1−アリルシクロオクチル基、1−ベンジルシクロオクチル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−(2−メチルアダマンチル)、1−(3−メチルアダマンチル)、1−(4−メチルアダマンチル)、1−(2−フェニルアダマンチル)、1−(3−フェニルアダマンチル)、1−(4−フェニルアダマンチル)、1−(3,5−ジメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、インダセニル基、テトラヒドロインダセニル基、ベンゾインデニル基、アズレニル基などの炭素原子数が3〜20の環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、ジュリル(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、(ブタ−3−エン−1−イル)フェニル基、(ブタ−2−エン−1−イル)フェニル基、メタリルフェニル基、プレニルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、3,5−ジ−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、アセナフタレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェロセニル基などの炭素原子数が6〜20の芳香族置換(アリール)基;などを挙げることができる。
前記炭素原子数が1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基の中で好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、iso−プロピル基、sec−ブチル(ブタン−2−イル)基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基、iso−ブチル(2−メチルプロピル)基、iso−ペンチル(3−メチルブチル)基、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)基、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)基、ペンタン−3−イル基、iso−ヘキシル(4−メチルペンチル)基、1,1−ジメチルブチル(2−メチルペンタン−2−イル)基、3,3−ジメチルブチル基、テキシル(2,3−ジメチルブタ−2−イル)基、3−メチルペンタン−3−イル基、ヘプタン−4−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、3−エチルペンタン−3−イル基、4,4−ジメチルペンチル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、4−プロピルヘプタン−4−イル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、iso−プロピル基、tert−ブチル(2−メチルプロパン−2−イル)基である。
前記炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ビニル基、アリル基、ブタ−3−エン−1−イル基、クロチル(ブタ−2−エン−1−イル)基、メタリル(2−メチルアリル)基、ペンタ−4−エン−1−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル基、ヘキサ−5−エン−1−イル基、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル基、2−(シクロペンタジエニル)エチル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、ビニル基、アリル基、ブタ−3−エン−1−イル基、ペンタ−4−エン−1−イル基、プレニル(3−メチル−ブタ−2−エン−1−イル)基、ヘキサ−5−エン−1−イル基である。
前記炭素原子数が2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中で好ましくは、エチニル基、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−3−イン−1−イル基、ペンタ−4−イン−1−イル基、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル基、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル基、ヘキサ−4−イン−1−イル基、ヘキサ−5−イン−1−イル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、プロパ−2−イン−1−イル基、プロパルギル(プロパ−1−イン−1−イル)基、ブタ−2−イン−1−イル基、ブタ−3−イン−1−イル基である。
前記炭素原子数が7〜20の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、クミニル(4−iso−プロピルベンジル)基、2,4,6−トリ−iso−プロピルベンジル基、4−tert−ブチルベンジル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、2−(4−メチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル基、2−(2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル)エチル基、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル基、2−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル基、スチリル(2−フェニルビニル)基、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基、ネオフィル(2−メチル−2−フェニルプロピル)基、シクロペンタジエニルジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル基、(1−インデニル)ジフェニルメチル基、2−(1−インデニル)エチル基、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル基、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル基、2−(9−フルオレニル)エチル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、ベンジル基、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)基、クミル(2−フェニルプロパン−2−イル)基、1,1−ジフェニルエチル基、トリチル(トリフェニルメチル)基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−シンナミル(3−フェニルアリル)基である。
前記炭素原子数が3〜20の環状飽和および不飽和炭化水素基の中で好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、1−メチルシクロペンチル基、1−アリルシクロペンチル基、1−ベンジルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アリルシクロヘキシル基、1−ベンジルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、1−メチルシクロヘプチル基、1−アリルシクロヘプチル基、1−ベンジルシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、4−シクロヘキシル−tert−ブチル基、ノルボルニル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、1−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基である。
前記炭素原子数が6〜20の芳香族置換(アリール)基の中で好ましくは、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、プレニルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ter−フェニル基、ビナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、フェロセニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、フェニル基、トリル(メチルフェニル)基、キシリル(ジメチルフェニル)基、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)基、クメニル(iso−プロピルフェニル)基、2,6−ジ−iso−プロピルフェニル基、2,4,6−トリ−iso−プロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、アリルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基である。
前記ハロゲン含有炭化水素基(H2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、ドデカフルオロヘキシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、ジ−tert−ブチル−フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ビストリフルオロメトキシフェニル基、トリフルオロメチルチオフェニル基、ビストリフルオロメチルチオフェニル基、フルオロビフェニル基、ジフルオロビフェニル基、トリフルオロビフェニル基、テトラフルオロビフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、ジ−tert−ブチル−フルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシビフェニル基、ビストリフルオロメトキシビフェニル基、トリフルオロメチルジメチルシリル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、フルオロフェノキシ基、ジフルオロフェノキシ基、トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ジ−tert−ブチル−フルオロフェノキシ基、トリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、トリフルオロメトキシフェノキシ基、ビストリフルオロメトキシフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基、フルオロフェニルイミノメチル基、ペンタフルオロフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、トリフリル(トリフルオロメタンスルホニル)基、ノナフリル(ノナフルオロブタンスルホニル)基、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基、ノナフラート(ノナフルオロブタンスルホナート)基、ビストリフリルイミド基、トリフルオロメチルフリル基、トリフルオロメチルベンゾフリル基、トリフルオロメチルジベンゾフリル基、トリフルオロメチルピロリル基、ペンタフルオロフェニルピロリル基、フルオロピリジル基、テトラフルオロピリジル基、フルオロキノリル基、フルオロ−iso−キノリル基、フルオロインドリル基、トリフルオロメチルインドリル基、ビストリフルオロメチルカルバゾリル基、トリフルオロメチルイミダゾリル基、トリフルオロメチルオキサゾリル基、トリフルオロメチルチエニル基、トリフルオロメチルベンゾチエニル基、トリフルオロメチルジベンゾチエニル基、トリフルオロメチルチアゾリル基、トリフルオロメチルベンゾチアゾリル基などを挙げることができる。
前記ハロゲン含有炭化水素基の中でも好ましくは、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメチルビフェニル基、ビストリフルオロメチルビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ビストリフルオロメチルフェノキシ基、ジフルオロメチレンジオキシフェニル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基、フルオロフェニルイミノメチル基、ペンタフルオロフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルフェニルイミノメチル基、トリフルオロメチルチオ基、トリフリル(トリフルオロメタンスルホニル)基、トリフラート(トリフルオロメタンスルホナート)基、ノナフラート(ノナフルオロブタンスルホナート)基、ビストリフリルイミド基、トリフルオロメチルフリル基、トリフルオロメチルベンゾフリル基、トリフルオロメチルジベンゾフリル基、トリフルオロメチルピロリル基、ペンタフルオロフェニルピロリル基、フルオロピリジル基、テトラフルオロピリジル基、トリフルオロメチルインドリル基、ビストリフルオロメチルカルバゾリル基、トリフルオロメチルチエニル基、トリフルオロメチルベンゾチエニル基、トリフルオロメチルチアゾリル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、ペンタフルオロビフェニル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基である。
前記ケイ素含有炭化水素基(Si2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(シクロペンタジエニル)シリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(インデニル)シリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、ジ−n−ブチル(フルオレニル)シリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基、4−tert−ブチルジフェニルシリルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基、4−トリス(トリメチルシリル)シリルフェニル基などを挙げることができる。
前記ケイ素含有炭化水素基の中でも好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−iso−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、シクロペンタジエニルジメチルシリル基、シクロペンタジエニルジフェニルシリル基、インデニルジメチルシリル基、インデニルジフェニルシリル基、フルオレニルジメチルシリル基、フルオレニルジフェニルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−トリエチルシリルフェニル基、4−トリ−iso−プロピルシリルフェニル基である。
前記酸素含有炭化水素基(O2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、メタリルオキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso−プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、iso−プロポキシフェノキシ基、アリルオキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、メトキシメチル基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、アリルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシプロピル基、アリルオキシプロピル基、ベンジルオキシプロピル基、フェノキシプロピル基、メトキシビニル基、アリルオキシビニル基、ベンジルオキシビニル基、フェノキシビニル基、メトキシアリル基、アリルオキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ホルミル基、アセチル基、iso−ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アダマンタンカルボニル基、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ジメトキシメチル基、ジ−iso−プロポキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、メチルカルボネート基、フェニルカルボネート基、ジメチルジオキサニル基、メチルカルボキシラート基、エチルカルボキシラート基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基などを挙げることができる。
前記酸素含有炭化水素基の中でも好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、プレニルオキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、トルイルオキシ基、iso−プロピルフェノキシ基、アリルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ビナフチルオキシ基、アリルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシアリル基、ベンジルオキシアリル基、フェノキシアリル基、ホルミル基、アセチル基、iso−ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、テトラメチルジオキソラニル基、ジオキサニル基、ジメチルジオキサニル基、メチルカルボキシラート基、エチルカルボキシラート基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチレンジオキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、テトラヒドロピラニル基、フロフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基等などが挙げられ、その中でもより好ましくは、メトキシ基、iso−プロポキシ基、アリルオキシ基、フェノキシ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、ジメトキシメチル基、ジオキソラニル基、メチルカルボキシラート基、メトキシフェニル基、iso−プロポキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、フリル基、メチルフリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基である。
前記硫黄含有炭化水素基(S2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、フェニルチオメチル基、ナフチルチオメチル基、メチルチオエチル基、ベンジルチオエチル基、フェニルチオエチル基、ナフチルチオエチル基、メチルチオビニル基、ベンジルチオビニル基、フェニルチオビニル基、ナフチルチオビニル基、メチルチオプロピル基、ベンジルチオプロピル基、フェニルチオプロピル基、ナフチルチオプロピル基、メチルチオアリル基、ベンジルチオアリル基、フェニルチオアリル基、ナフチルチオアリル基、メルカプトフェニル基、メチルチオフェニル基、チエニルフェニル基、メチルチエニルフェニル基、ベンゾチエニルフェニル基、ジベンゾチエニルフェニル基、ベンゾジチエニルフェニル基、メチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、メシル(メチルスルフォニル)基、ベンゼンスルフォニル基、トシル(4−メチルベンゼンスルフォニル)基、メタンスルホナート基、4−メチルベンゼンスルホナート基、チオウリル基、メチルチオウリル基、ビス(メチルチオ)メチル基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、ジチオラニル基、ジチアニル基、オキサチオラニル基、オキサチアニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、チアゾリジニル基などを挙げることができる。
前記硫黄含有炭化水素基の中でも好ましくは、チエニル基、メチルチエニル基、チエノフリル基、チエノチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、チエノベンゾフリル基、ベンゾジチエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基である。
前記窒素含有炭化水素基(N2)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、シアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ジアリルアミノ基、ジデシルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モリホリル基、アゼピニル基、ホルムアミド基、アセトアミド基、ピバルアミド基、ベンズアミド基、ナフトアミド基、アダマンタンカルボキシアミド基、イミノメチル基、イミノエチル基、フェニルイミノメチル基、フェニルイミノエチル基、ジメチルヒドラゾノメチル基、ピロリジニルイミノメチル基、イミド基、ウリル基、メチルウリル基、ジメチルウリル基、グアニジニル基、ジメチルグアニジニル基、メチルホルムイミダミド基、フェニルホルムイミダミド基、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−ベンジルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、ピロリジニルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、カルバモイルオキシ基、N−メチルカルバモイルオキシ基、N−ベンジルカルバモイルオキシ基、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、ピロリジニルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、ジメチルアミノメチル基、ジベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ベンジルアミノメチル基、ベンジルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノビニル基、ベンジルアミノビニル基、ピロリジニルビニル基、ジメチルアミノプロピル基、ベンジルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ベンジルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、アミノフェニル基、シアノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、ピリジルフェニル基、キノリルフェニル基、イソキノリルフェニル基、インドリニルフェニル基、インドリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、メチルピロリル基、フェニルピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso−キノリル基、テトラヒドロ−iso−キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などを挙げることができる。
前記窒素含有炭化水素基の中でも好ましくは、シアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリル基、ホルムアミド基、アセトアミド基、ベンズアミド基、イミノメチル基、イミノエチル基、フェニルイミノメチル基、フェニルイミノエチル基、ジメチルヒドラゾノメチル基、ピロリジニルイミノメチル基、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−ベンジルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、ピロリジニルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、カルバモイルオキシ基、N−メチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、ジメチルアミノメチル基、ベンジルアミノメチル基、ピロリジニルメチル基、ジメチルアミノエチル基、ピロリジニルエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ピロリジニルプロピル基、ジメチルアミノアリル基、ピロリジニルアリル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、アミノフェニル基、シアノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、テトラヒドロキノリル基、iso−キノリル基、テトラヒドロ−iso−キノリル基、インドリル基、インドリニル基、カルバゾリル基、ジ−tert−ブチルカルバゾリル基、イミダゾリル基、ジメチルイミダゾリジニル基、ベンゾイミダソリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、ベンゾオキサゾリル基などが挙げられ、その中でもより好ましくは、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ジメチルアミノフェニル基、ピロリジニルフェニル基、ピロリル基、ピリジル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基である。
1〜R4は、シクロペンタジエニル環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分と併せた構造として、インデン、2−メチルインデン、2−メチル−4−フェニルインデン、2−メチルベンゾインデン、4,5,6,7−テトラヒドロインデン、2−メチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン、6,7−ジヒドロ−5H−s−インダセン、6,7−ジヒドロ−8H−as−インダセン、1H−ベンズ[f]インデン、5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−ベンズ[f]インデン、3H−ベンズ[e]インデン、6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ベンズ[e]インデン、5,7−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[e]アセナフチレン、1,1,3−トリメチル−1,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,1,3,6,8,8−ヘキサメチル−8,10−ジヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、1,3,3−トリメチル−3,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,3,3,6,6,8−ヘキサメチル−6,10−ジヒドロ−3H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、6,6−ジメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、6,6,9,9−テトラメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、1,2,2,4−テトラメチル−2,10−ジヒドロ−1H−インデノ[1,2−g]キノリン、1,2,2,4,7,9,9,10−オクタメチル−2,9,10,12−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[1,2−g:5,4−g’]ジキノリン、アズレンなどが挙げられる。
隣接するR1およびR9、またはR4およびR9は、互いに結合してQ1を含む飽和5員環、あるいは2環式飽和5員環を形成してもよく、この場合の構造として、シクロペンタン環母骨格、オクタヒドロインデン環母骨格、オクタヒドロペンタレン環母骨格などが挙げられる。
隣接するR9同士は、互いに結合してQ1を含む3〜8員環を形成してもよく、好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シロラン環、シリナン環などが挙げられる。
5〜R8は、フルオレン環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のフルオレニル部分と併せた構造として、1,1,3−トリメチル−1,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,1,3,6,8,8−ヘキサメチル−8,10−ジヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、1,3,3−トリメチル−3,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,3,3,6,6,8−ヘキサメチル−6,10−ジヒドロ−3H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、6,6−ジメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、6,6,9,9−テトラメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、1,2,2,4−テトラメチル−2,10−ジヒドロ−1H−インデノ[1,2−g]キノリン、1,2,2,4,7,9,9,10−オクタメチル−2,9,10,12−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[1,2−g:5,4−g’]ジキノリンなどが挙げられる。
1〜R4は、全て水素原子であることが特に好ましい。
6およびR7は、それぞれ水素原子であることが好ましい。
5およびR8は、それぞれ独立に、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)、前記ハロゲン含有炭化水素基(H2)、前記ケイ素含有炭化水素基(Si2)、前記酸素含有炭化水素基(O2)または前記窒素含有炭化水素基(N2)であることが好ましく、より好ましくは、R5およびR8の少なくとも1つ以上が、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)であり、さらに好ましくは、R5およびR8の両方ともが、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)である。R5およびR8は、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、好ましくは、R5およびR8ともに同一の基である。
9は、それぞれ独立に、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)、前記ハロゲン含有炭化水素基(H2)、前記ケイ素含有炭化水素基(Si2)、前記酸素含有炭化水素基(O2)または前記窒素含有炭化水素基(N2)であることが好ましく、より好ましくは、R9の少なくとも1つが、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)であり、さらに好ましくは、R9の両方ともが、前記炭素数1〜20の炭化水素基(G2)である。R9は、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、好ましくは、R9の両方ともに同一の基である。
Aは炭素数1〜10個の直鎖の炭素鎖を有する炭化水素基であり、具体的には、メチレン架橋、1,2−エタン架橋、1,3−プロパン架橋、1,4−ブタン架橋、1,5−ペンタン架橋、1,6−ヘキサン架橋、1,7−ヘプタン架橋、1,8−オクタン架橋、1,9−ノナン架橋、1,10−デカン架橋などが挙げられる。好ましくは、メチレン架橋、1,2−エタン架橋、1,3−プロパン架橋、1,4−ブタン架橋である。
Bは、前記一般式[2a]〜[2h]で表され、[2a]〜[2f]であることが好ましく、より好ましくは[2a]、[2b]または[2d]であり、特に好ましくは[2a]である。
前記一般式[2b]中、R10は水素原子、ハロゲン原子(X)または炭素数1〜20の炭化水素基(G3)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。また、隣接するR10同士は、互いに結合して母骨格である不飽和結合を含む3〜8員環を形成してもよく、好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ベンゼンなどが挙げられる。前記ハロゲン原子(X)としては、前記と同様であり、好ましくはフッ素または塩素である。前記炭素数1〜20の炭化水素基(G3)としては、上記炭化水素基(G2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
前記一般式[2d]中、Chは酸素原子あるいは硫黄原子であり、酸素原子であることが好ましい。R11は炭素数1〜20の炭化水素基(G4)である。前記炭素数1〜20の炭化水素基(G4)としては、上記炭化水素基(G2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、アリル基である。
前記一般式[2e]中、Pnは窒素原子あるいはリン原子であり、窒素原子であることが好ましい。R12は炭素数1〜20の炭化水素基(G5)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R12同士は互いに結合して環を形成してもよい。R12同士は互いに結合して窒素原子を含む3〜8員環を形成することが好ましく、より好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、インドリン、インドールなどが挙げられる。前記炭素数1〜20の炭化水素基(G5)としては、上記炭化水素基(G2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、アリル基である。
前記一般式[2f]中、R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(X)、炭素数1〜20の炭化水素基(G6)、ハロゲン含有炭化水素基(H3)、ケイ素含有炭化水素基(Si3)、酸素含有炭化水素基(O3)、硫黄含有炭化水素基(S3)または窒素含有炭化水素基(N3)であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合してもよく、母骨格であるベンゼン環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成することが好ましく、好ましくは5又は6員環であり、この場合、母核のベンゼン環部分と併せた構造として、インダセン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリンなどが挙げられる。R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であることが好ましい。なお、該R13は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。前記ハロゲン原子(X)としては、前記と同様であり、好ましくはフッ素または塩素である。前記炭素数1〜20の炭化水素基(G6)としては、上記炭化水素基(G2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、ビニル基、アリル基、プレニル基、フェニル基である。前記ハロゲン含有炭化水素基(H3)としては、上記ハロゲン含有炭化水素基(H2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。前記ケイ素含有炭化水素基(Si3)としては、上記ケイ素含有炭化水素基(Si2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基である。前記酸素含有炭化水素基(O3)としては、上記酸素含有炭化水素基(O2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、フリル基である。前記硫黄含有炭化水素基(S3)としては、上記硫黄含有炭化水素基(S2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはチエニル基である。前記窒素含有炭化水素基(N3)としては、上記窒素含有炭化水素基(N2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピロリル基、ピリジル基、インドリル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基である。
前記一般式[2g]中、R14は水素原子、ハロゲン原子(X)または炭素数1〜20の炭化水素基(G7)である。前記ハロゲン原子(X)としては、前記と同様であり、好ましくはフッ素または塩素である。前記炭素数1〜20の炭化水素基(G7)としては、上記炭化水素基(G2)で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはメチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、フェニル基である。
前記AおよびBで表される、フルオレン環4位置換基の特に好ましい具体例としては、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、アリル基、ω−ブテニル基、ω−ペンテニル基、ω−ヘキセニル基、ω−ヘプテニル基、ω−オクテニル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、5−メトキシペンチル基、3−ジメチルアミノプロピル基、4−ジメチルアミノブチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−メトキシベンジル基、2−メトキシフェネチル基である。
〔遷移金属化合物(A)の製造方法〕
本発明の遷移金属化合物(A)は公知の方法によって製造可能であり、代表的な合成経路の一例を以下に示すが、特に製造法が限定されるわけではない。
まず、出発物質である置換フルオレン化合物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、「J.Org.Chem. 2000,65,3858.」、本出願人によるWO2001/027124号公報、WO2004/029062号公報、WO2006/126608号公報などが挙げられる。
前記置換フルオレン化合物の臭素化生成物、ならびに該臭素化置換フルオレン化合物とホウ素化合物のカップリング反応生成物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、米国特許第7470759号が挙げられる。
また、遷移金属化合物(A)の前駆体化合物(配位子)は、前記カップリング反応生成物を当該置換フルオレン誘導体原料として用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、本出願人によるWO2004/029062号公報が挙げられる。
また、目的とする遷移金属化合物(A)は、前記前駆体化合物(配位子)を用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、本出願人によるWO2004/029062号公報が挙げられる。
以下に本発明の製造方法により得られる遷移金属化合物(A)の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明においてメタロセン化合物(A)は、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
便宜上、メタロセン化合物のMXn(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル環部分、架橋部分の構造(R9−Q1-R9)、フルオレニル環の2,3,6,7位の置換基(R5〜R8)およびフルオレニル環の4位の置換基(A−B)の4つに分ける。シクロペンタジエニル環部分の略称をα、架橋部分の構造の略称をβ、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造の略称をγ、フルオレニル環の2,3,6,7位置換基の組み合わせ構造の略称をδ、フルオレニル環の4位置換基の組み合わせ構造の略称をεとし、各置換基の略称を[表1]〜[表5]に示す。
Figure 0006371545
Figure 0006371545
Figure 0006371545
Figure 0006371545
Figure 0006371545
上記の表記に従えば、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−6、架橋部分が[表2]中のβ−3、フルオレニル環部分が[表4]中のδ−9、フルオレニル環の4位置換基が[表5]中のε−6の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがZrCl2の場合は、下記化合物[3]を例示している。
Figure 0006371545
また、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−3、架橋部分が[表2]中のβ−12、フルオレニル環部分が[表4]中のδ−5、フルオレニル環の4位置換基が[表5]中のε−8の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがHfCl2の場合は、下記化合物[4]を例示している。
Figure 0006371545
また、シクロペンタジエニル環部分が[表1]中のα−1、架橋部分が[表2]中のβ−17、フルオレニル環部分が[表4]中のδ−13、フルオレニル環の4位置換基が[表5]中のε−16の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがZr(NMe22の場合は、下記化合物[5]を例示している。
Figure 0006371545
また、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造が[表3]中のγ−8、フルオレニル環部分が[表4]中のδ−19、フルオレニル環の4位置換基が[表5]中のε−24の組み合わせで構成され、金属部分のMXnがHf(Me)2の場合は、下記化合物[6]を例示している。
Figure 0006371545
金属部分MXnの具体的な例示としては、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、Ti(Me)2、Ti(Bn)2、Ti(Allyl)2、Ti(CH2−tBu)2、Ti(η4−1,3−ブタジエニル)、Ti(η4−1,3−ペンタジエニル)、Ti(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Ti(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Ti(CH2−Si(Me)32、Ti(OMe)2、Ti(OiPr)2、Ti(NMe22、Ti(OMs)2、Ti(OTs)2、Ti(OTf)2、ZrF2、ZrCl2、ZrBr2、ZrI2、Zr(Me)2、Zr(Bn)2、Zr(Allyl)2、Zr(CH2−tBu)2、Zr(η4−1,3−ブタジエニル)、Zr(η4−1,3−ペンタジエニル)、Zr(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Zr(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Zr(CH2−Si(Me)32、Zr(OMe)2、Zr(OiPr)2、Zr(NMe22、Zr(OMs)2、Zr(OTs)2、Zr(OTf)2、HfF2、HfCl2、HfBr2、HfI2、Hf(Me)2、Hf(Bn)2、Hf(Allyl)2、Hf(CH2−tBu)2、Hf(η4−1,3−ブタジエニル)、Hf(η4−1,3−ペンタジエニル)、Hf(η4−2,4−ヘキサジエニル)、Hf(η4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Hf(CH2−Si(Me)32、Hf(OMe)2、Hf(OiPr)2、Hf(NMe22、Hf(OMs)2、Hf(OTs)2、Hf(OTf)2などが挙げられる。Meはメチル基、Bnはベンジル基、tBuはtert−ブチル基、Si(Me)3はトリメチルシリル基、OMeはメトキシ基、OiPrはiso−プロポキシ基、NMe2はジメチルアミノ基、OMsはメタンスルホナート基、OTsはp−トルエンスルホナート基、OTfはトリフルオロメタンスルホナート基である。
〔化合物[B]〕
本発明のオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)に加えて、[B]有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、および遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに含むことが、重合活性の点から好ましい。以下、化合物(B−1)、(B−2)および(B−3)について説明する。
((B−1)有機金属化合物)
本発明で用いられる有機金属化合物(B−1)として、具体的には下記の一般式(B−1a)〜(B−1c)で表される周期律表第1、2、12、13族の少なくとも1種の原子を含む化合物が挙げられる:
a pAl(ORbqrs ・・・(B−1a)
(一般式(B−1a)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、rは0≦r<3、sは0≦s<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物;
3AlRc 4 ・・・(B−1b)
(一般式(B−1b)中、M3はLi、NaまたはKを示し、Rcは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期律表第1族のアルカリ金属とアルミニウムとの錯アルキル化物;
de4 ・・・(B−1c)
(一般式(B−1c)中、RdおよびReは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M4はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期律表第2族のアルカリ土類金属または第12族の金属とのジアルキル化合物。
前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物を例示できる。
a pAl(ORb3-p ・・・(B−1a−1)
(式(B−1a−1)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは1.5≦p≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlY3-p ・・・(B−1a−2)
(式(B−1a−2)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは好ましくは0<p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAlH3-p ・・・(B−1a−3)
(式(B−1a−3)中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、pは好ましくは2≦p<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
a pAl(ORbqs ・・・(B−1a−4)
(式(B−1a−4)中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3、qは0≦q<3、sは0≦s<3の数であり、かつp+q+s=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
(i−C49xAly(C510z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5Al(ORb0.5で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す);
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(B−1a)に類似する化合物も本発明に使用することができ、そのような化合物としてたとえば、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C252AlN(C25)Al(C252などを挙げることができる。
前記一般式(B−1b)に属する化合物としては、LiAl(C254、LiAl(C7154などを挙げることができる。
前記一般式(B−1c)に属する化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジメチルカドミウム、ジエチルカドミウムなどを挙げることができる。
またその他にも、有機金属化合物(B−1)としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを、前記有機金属化合物(B−1)として使用することもできる。
有機金属化合物(B−1)のなかでは、触媒活性の点から有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような有機金属化合物(B−1)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
((B−2)有機アルミニウムオキシ化合物)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお前記アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、得られたアルミノキサンを溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。これらの溶媒は、1種単独で、または混合して用いることができる。
本発明に係る有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2a)または(B−2b)で表される構造のアルミノキサン、および下記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と下記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを構造として有するアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
Figure 0006371545
(一般式中、Rcは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基などの炭化水素基を例示することができる。これら例示したもののうちで、メチル基、エチル基、イソブチル基が好ましく、特にメチル基が好ましく、前記一般式(B−2a)、(B−2b)および(B−2c)中、Rcの一部が塩素、臭素などのハロゲン原子で置換され、かつハロゲン含有率が40重量%以下であってもよい。
前記一般式(B−2a)および(B−2b)中、rは2〜500の整数を示し、好ましくは6〜300、特に好ましくは10〜100の範囲にある。
前記一般式(B−2c)および(B−2d)中、s、tはそれぞれ1以上の整数を示す。
前記一般式(B−2c)で表される繰り返し単位と前記一般式(B−2d)で表される繰り返し単位とを有するアルミノキサンは、ベンゼンの凝固点降下法により測定した分子量が200〜2000の範囲内にあることが好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であることが好ましい。)
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)としては、下記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 0006371545
(一般式(B−2e)中、R15は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、4つのR16は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記一般式(B−2e)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
15−B(OH)2 ・・・(B−2f)
(一般式(B−2f)中、R15は前記一般式(B−2e)におけるR15と同じ基を示す。)
前記一般式(B−2f)で表されるアルキルボロン酸の具体的な例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記一般式(B−1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
遷移金属化合物(A)に加えて、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
上記のような有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
((B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物)
本発明で用いられる、遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、前記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどである。
前記イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(B−3a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006371545
(一般式[B−3a]中、R17はH+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンであり、R18〜R21は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。)。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
17としては、カルボニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(B−3b)または(B−3c)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
Figure 0006371545
(式(B−3b)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 0006371545
(式(B−3c)中、Etはエチル基を示す。)
イオン化イオン性化合物(化合物(B−3))の例であるボラン化合物として具体的には、例えば、デカボラン;
ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるカルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;
トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とを含む化合物である。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ゲルマノタングストバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族のアルカリ金属または2族のアルカリ土類金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
イオン化イオン性化合物の例であるイソポリ化合物は、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種の原子の金属イオンから構成される化合物であり、金属酸化物の分子状イオン種であるとみなすことができる。具体的には、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられるが、この限りではない。また、前記塩としては、前記酸の、例えば周期律表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩が挙げられる。
上記のようなイオン化イオン性化合物(遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−3))は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)と、有機金属化合物(B−1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)、およびイオン化イオン性化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物[B]とともに、必要に応じて下記の担体(C)を含んでもよい。
〔(C)担体〕
本発明で用いられる担体(C)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。担体(C)に上記遷移金属化合物(A)および化合物(B)を担持させることで、良好なモルフォロジーのポリマーが得られる。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、固体状アルミノキサン化合物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用することができ、さらに、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち多孔質酸化物としては、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
なお、上記多孔質酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる多孔質酸化物は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
前記固体状アルミノキサン化合物としては、前記(B−2a)〜(B−2d)で示したアルミノキサンの少なくとも1種から選ばれるアルミノキサンが挙げられる。
本発明で用いられる前記固体状アルミノキサンは、従来公知のオレフィン重合触媒用担体と異なり、シリカやアルミナなどの無機固体成分やポリエチレン、ポリスチレンなどの有機系ポリマー成分を含まず、アルキルアルミニウム化合物を主たる成分として固体化したものを示す。本発明中で用いる「固体状」の意味は、アルミノキサン成分(B−2)が用いられる反応環境下において、実質的に固体状態を維持することである。より具体的には、例えば後述のように成分(A)と成分[B]とを接触させてオレフィン重合用固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエンなどの不活性炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において成分[B]が固体状態であることを表す。また、例えば後述のように成分[B]を用いて調製されるオレフィン重合用固体触媒成分を用いて懸濁重合を行う場合にヘキサンやヘプタン、トルエンなどの炭化水素溶媒中、特定の温度・圧力環境下において触媒成分中に含まれる成分[B]が固体状態であることも必要な要件である。溶媒の代わりに液化モノマー中で重合を行うバルク重合や、モノマーガス中で重合を行う気相重合でも同様である。
上記の環境下において成分[B]が固体状態であるかどうかは、目視による確認が最も簡便な方法であるが、例えば重合時などは目視による確認が困難である場合が多い。その場合は、例えば重合後に得られた重合体パウダーの性状や反応器への付着状態などから判断することが可能である。逆に、重合体パウダーの性状が良好で、反応器への付着が少なければ、重合環境下において成分[B]の一部が多少溶出したとしても本発明の趣旨を逸脱することはない。重合体パウダーの性状を判断する指標としては、嵩密度、粒子形状、表面形状、不定形ポリマーの存在度合いなどが挙げられるが、定量性の観点からポリマー嵩密度が好ましい。本発明における嵩密度は通常0.01〜0.9であり、好ましくは0.05〜0.6、より好ましくは0.1〜0.5の範囲内である。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンは、25℃の温度に保持されたn−ヘキサンに対し溶解する割合が、通常0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%の範囲を満足する。
本発明で用いられる固体状アルミノキサンのn−ヘキサンに対する溶解割合は、25℃に保持された50mlのn−ヘキサンに固体状アルミノキサン担体2gを加えた後2時間の撹拌を行ない、次いでG−4グラス製フイルターを用いて溶液部を分離して、この濾液中のアルミニウム濃度を測定することにより求めた。従って、溶解割合は用いたアルミノキサン2gに相当するアルミニウム原子の量に対する前記濾液中に存在するアルミニウム原子の割合として決定する。
本発明に係る固体状アルミノキサンとしては、公知の固体状アルミノキサンを際限なく用いることができる。公知の製造方法として例えば、特公平7-42301号公報、特開平6-220126号公報、特開平6-220128号公報、特開平11-140113号公報、特開平11-310607号公報、特開2000-38410号公報、特開2000-95810号公報、WO201055652号公報などが挙げられる。
本発明に係る固体状アルミノキサンの平均粒子径は、一般に0.01〜50000μm、好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは1〜200μmの範囲にある。
固体状アルミノキサンの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、100個以上の粒子の粒径を測定し、重量平均化することにより求められる。固体状アルミノキサンの粒径は、ピタゴラス法最大長を粒子像より測定した。即ち、水平方向、垂直方向それぞれに、粒子像を2本の平行線ではさんだ長さを測り、下式をもって計算で求められる。
粒径=((水平方向長さ)2+(垂直方向長さ)20.5
固体状アルミノキサンの重量平均粒子径は、上記で求めた粒径を用いて下式により求められる。
平均粒径=Σnd4/Σnd3(ここでn;粒子個数、d;粒径)
本発明に好ましく用いられる固体状アルミノキサンは、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜800m2/gであり、細孔容積が0.1〜2.5cm3/gであることが望ましい。
前記無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
前記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
さらに、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、
イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上であることが好ましく、0.3〜5cc/gであることが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基などを示す)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物なども挙げられる。
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
前述のように担体(C)は無機または有機の化合物であるが、有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(A)、上記化合物(B)、必要に応じて担体(C)と共に、必要に応じてさらに下記の特定の有機化合物成分(D)を含むこともできる。
〔(D)有機化合物成分〕
本発明において有機化合物成分(D)は、必要に応じて、本発明のオレフィン重合用触媒の重合性能および生成ポリマーの物性(たとえば生成ポリマーの分子量)を向上(分子量であれば、高分子量化)させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R22−OHで表されるものが使用され、ここで、R22は炭素原子数1〜50の炭化水素基(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)または炭素原子数1〜50(フェノール類の場合は炭素原子数は6〜50)のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R22がハロゲン化炭化水素基のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
上記カルボン酸としては、通常、R23−COOHで表されるものが使用される。R23は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
上記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
上記スルホン酸塩としては、下記一般式(D−a)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006371545
(一般式(D−a)中、M5は周期律表第1〜14族の原子であり、R24は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1〜7の整数であり、また、t−u≧1である。)
<ポリオレフィンの製造方法>
本発明に係るポリオレフィンの製造方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合する工程を含むことによりポリオレフィンを得る。なお、前述のように、本明細書においてオレフィンとは、重合性二重結合を有するあらゆる化合物を指す。
重合における、本発明の触媒を構成する各成分の使用法、重合器への添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分、化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)化合物[B]を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と化合物[B]とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
(6)遷移金属化合物(A)と化合物[B]とを担体(C)に担持した触媒成分、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(C)に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(7)化合物[B]を担体(C)に担持した触媒成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(8)化合物[B]を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(C)に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(9)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物[B]を担体(C)に担持した成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(10)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物[B]を担体(C)に担持した成分、および化合物[B]を任意の順序重合器に添加する方法。この場合、担体(C)に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(11)遷移金属化合物(A)、化合物[B]、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(12)化合物[B]と有機化合物成分(D)をあらかじめ接触させた成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(13)化合物[B]と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した成分、および遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(14)遷移金属化合物(A)と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(15)遷移金属化合物(A)と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]、有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(16)遷移金属化合物(A)と化合物[B]を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]と有機化合物成分(D)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物(A)と接触させられる化合物[B]と、有機化合物成分(D)と接触させられる化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(17)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、化合物[B]、および有機化合物成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(18)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した成分、および化合物[B]と有機化合物成分(D)をあらかじめ接触させた成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(19)遷移金属化合物(A)と化合物[B]と有機化合物成分(D)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。
(20)遷移金属化合物(A)と化合物[B]と有機化合物成分(D)を予め接触させた触媒成分、および化合物[B]を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、遷移金属化合物(A)および有機化合物成分(D)と接触させられる化合物[B]と、単独で添加される化合物[B]とは、同一でも異なっていてもよい。
(21)遷移金属化合物(A)と化合物[B]と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒を重合器に添加方法。
(22)遷移金属化合物(A)と化合物[B]と有機化合物成分(D)を担体(C)に担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。この場合、担体(C)に担持された化合物[B]と単独で添加される化合物[B]とはは、同一でも異なっていてもよい。
上記の担体(C)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、担体(C)に遷移金属化合物(A)および化合物[B]が担持された固体触媒成分には、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
本発明では、(共)重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、また(共)重合に供するオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
有機金属化合物(B−1)は、有機金属化合物(B−1)と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−1)/M〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の全遷移金属(M)とのモル比〔(B−2)/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)(B−3)は、イオン化イオン性化合物(B−3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
有機化合物成分(D)は、有機金属化合物(B−1)とのモル比〔(D)/(B−1)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。有機化合物成分(D)は、有機アルミニウムオキシ化合物(B−2)とのモル比〔(D)/(B−2)〕が、通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。有機化合物成分(D)は、イオン化イオン性化合物(B−3)とのモル比〔(D)/(B−3)〕が、通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2−G、好ましくは常圧〜50kg/cm2−Gの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られるポリオレフィンの分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する化合物[B]の量により調節することもできる。
このような本発明のオレフィン重合用触媒により重合することができるオレフィンとしては、重合性二重結合を有すれば特に限定されないが、炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィン、たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン;
炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜10の環状オレフィン、たとえば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどが挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレンの単独重合、またはエチレンと炭素数3〜20のオレフィン、好ましくは炭素数3〜10の直鎖状または分岐状のα−オレフィンとの共重合に用いることがより好ましい。α−オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合の場合、α−オレフィン(以下、オレフィンAとも称す)としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
α−オレフィンとしてエチレンを用い、かつ上記オレフィンAを用いる場合、エチレンと上記オレフィンAとの使用量比は、エチレン:上記オレフィンA(モル比)で、通常1:10〜5000:1、好ましくは1:5〜1000:1である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、極性基(たとえば、カルボニル基、水酸基、エーテル結合基など)を有する鎖状の不飽和炭化水素を(共)重合させてもよく、該不飽和炭化水素として具体的には、例えばアクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、12−トリデセン酸、13−テトラデセン酸、14−ペンタデセン酸、15−ヘキサデセン酸、16−ヘプタデセン酸、17−オクタデセン酸、18−ノナデセン酸、19−エイコセン酸、20−ヘニコセン酸、21−ドコセン酸、22−トリコセン酸、メタクリル酸、2−メチルペンテン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2,6−ヘプタジエン酸、2−(4−イソプロピルベンジリデン)−4−ペンテン酸、アリルマロン酸、2−(10−ウンデセニル)マロン酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2−カルボン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩類、およびこれら不飽和カルボン酸類のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル、(5−ノルボルネン−2−イル)エステルなどの不飽和カルボン酸エステル類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノエステルであってもジエステルであってもよい)、およびこれら不飽和カルボン酸類のアミド、N,N−ジメチルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類(該不飽和カルボン酸がジカルボン酸である場合にはモノアミドであってもジアミドであってもよい);
無水マレイン酸、無水イタコン酸、アリルコハク酸無水物、イソブテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタジエン−1−イル)コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエステル類;
酢酸アリル、プロピオン酸アリル、カプロン酸アリル、カプリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ステアリン酸アリルなどのアリルエステル類;
塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化アリルなどのハロゲン化オレフィン類;
o−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどのハロゲン化スチレン類;
アリルトリメチルシラン、ジアリルジメチルシラン、3−ブテニルトリメチルシラン、アリルトリイソプロピルシラン、アリルトリフェニルシラン等のシリル化オレフィン類;
アクリロニトリル、2−シアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン、2,3−ジシアノビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン等の不飽和ニトリル類;
アリルアルコール、3−ブテノール、4−ペンテノール、5−ヘキセノール、6−へブテノール、7−オクテノール、8−ノネノール、9−デセノール、10−ウンデセノール、11−ドデセノール、12−トリデセノール等の不飽和アルコール化合物、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルフェノール、アリルフェノール等の置換フェノール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
ビニルベンジルアルコール、アリルベンジルアルコール等の置換ベンジルアルコール類、およびこれらの酢酸エステル、安息香酸エステル、プロピオン酸エステル、カプロン酸エステル、カプリン酸エステル、ラウリン酸エステル、ステアリン酸エステル等の不飽和エステル類;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アリルメチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテル、アリルメタリルエーテル、メトキシスチレン、エトキシスチレン、アリルアニソール等の不飽和エーテル類;
ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、3−ビニル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン等の不飽和エポキシド類;
アクロレイン、ウンデセナール等の不飽和アルデヒド類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、アリルメチルケトン、アリルエチルケトン、アリルプロピルケトン、アリルブチルケトン、アリルベンジルケトン等の不飽和ケトン類、およびこれらのジメチルアセタール、ジエチルアセタールなどの不飽和アセタール類;
アリルメチルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルイソプロピルスルフィド、アリルn−プロピルスルフィド、4−ペンテニルフェニルスルフィド等の不飽和チオエーテル類;
アリルフェニルスルホキシド等の不飽和スルホキシド類;
アリルフェニルスルホン等の不飽和スルホン類;
アリルジフェニルホスフィン等の不飽和ホスフィン類;
アリルジフェニルホスフィンオキシドのような不飽和ホスフィンオキシド類などが挙げられる。
さらに、以上に挙げた極性基を2個以上併せて有する不飽和炭化水素、例えばトリフルオロ酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸アリル、4−(3−ブテニロキシ)安息香酸メチル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、(2H−ペルフルオロプロピル)−2−プロペニルエーテル、リナロールオキシド、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−(アリロキシ)エタノール、N−アリルモルホリン、アリルグリシン、N−ビニルピロリドン、アリルトリクロロシラン、アクリルトリメチルシラン、アリルジメチル(ジイソプロピルアミノ)シラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、アリロキシトリメチルシラン、アリロキシトリフェニルシランなども、本発明のオレフィン重合用触媒によって(共)重合させてもよい。
また本発明のオレフィン重合用触媒は、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエンなどを(共)重合させてもよい。
前記ジエンまたは前記ポリエンとしては、炭素原子数が4〜30、好ましくは4〜20であり二個以上の二重結合を有する環状又は鎖状の化合物が挙げられる。具体的には、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン;
7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン;
さらに芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノもしくはポリアルキルスチレン;
メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体;
および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
本発明の遷移金属化合物(A)は、上記に説明したようにメタロセン骨格の特定の位置に特定の置換基を導入した新規な構造を有し、該化合物(A)を含む本発明のオレフィン重合用触媒は、従来のメタロセン骨格(特定の位置に特定の置換基を有さない)を有する遷移金属化合物よりも、良好なオレフィン重合活性で、分子量の向上およびポリエチレン中のLCBレベルを制御することができる。
当該効果は、前記一般式[1]で表わされる遷移金属化合物(A)における、(i)メタロセン部の三次元的かさ高さによる活性向上、および(ii)フルオレニル基4位に導入した置換基による系内生成マクロモノマー共重合制御、に起因すると考えられる。
〔オレフィン重合体〕
本発明によれば、上述した特定の構造を有する有用かつ新規なメタロセン化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下で、1種または2種以上の炭素数2〜30のα−オレフィンを重合することで;好ましくは、エチレンの単独重合、またはエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選択される少なくとも1種のオレフィンAとを共重合することにより、オレフィン重合体を効率よく製造することができる。
本発明のオレフィン重合体の一態様としては、エチレン由来の構成単位を好ましくは90〜100モル%、より好ましくは92〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%の範囲で含むエチレン系重合体が挙げられる。前記エチレン系重合体は、前記オレフィンA由来の構成単位を好ましくは合計0〜10モル%、より好ましくは0〜8モル%、さらに好ましくは0〜5モル%の範囲で含む。ただし、エチレン由来の構成単位の含量と前記オレフィンA由来の構成単位の含量との合計を100モル%とする。前記オレフィンA由来の構成単位が前記範囲にあるエチレン系重合体は、成型加工性に優れる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その他の構成単位を含んでいてもよい。これらの含量は、核磁気共鳴分光法や、基準となる物質がある場合には赤外分光法等により測定することができる。
これらの重合体の中でも、エチレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−オクテン重合体、エチレン/1−ヘキセン重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン重合体、エチレン/プロピレン/1−オクテン重合体、エチレン/プロピレン/1−ヘキセン重合体、エチレン/プロピレン/4−メチル−1−ペンテン重合体が特に好ましい。また、これらの重合体から選択される2種以上を混合または連続的に製造することによって得られる、いわゆるブロック共重合体(インパクトコポリマー)でもよい。
本発明のエチレン系重合体は、上記で述べた構成単位を有する重合体の中でも、実質的に炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位のみからなるα−オレフィン重合体が好ましい。「実質的に」とは、全構成単位に対して、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構成単位の割合が95重量%以上であることを意味する。
本発明のオレフィン重合体において、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10,000〜5,000,000、より好ましくは10,000〜2,000,000、特に好ましくは20,000〜1,000,000である。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜7、特に好ましくは1〜5である。
本発明のオレフィン重合体において、密度は、特に限定されないが、875kg/m3以上975kg/m3以下であることが好ましい。
本発明のオレフィン重合体において、135℃デカリン中における極限粘度[η]は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜40dl/g、より好ましくは0.5〜15dl/g、特に好ましくは1〜10dl/gである。
本発明のオレフィン重合体において、ASTM D1238−65Tに従って190℃、2.16kg荷重の条件下にて測定したメルトマスフローレイト(MFR;単位はg/10分)は、特に限定されないが、好ましくは0.001g/10分以上300g/10分以下で、より好ましくは0.001g/10分以上200g/10分以下である。
また、ASTM D1238−65Tに従い、190℃、10kg荷重の条件下で測定したMFR値を前記190℃、2.16kg荷重の条件下にて測定したMFR値で除した値(I10/I2)が5.0以上50未満であることが好ましい。(I10/I2)が前記範囲にあるオレフィン重合体は、オレフィン重合体の長鎖分岐(LCB)導入量が制御され、成形加工性、樹脂強度、透明性に優れる。
以上の物性値の測定条件の詳細は、実施例に記載したとおりである。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
なお、合成例に記載した化合物は270MHz 1H−NMR(日本電子;GSH−270)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)(島津製作所;GCMS−QP5050Aおよび島津製作所;GCMS−QP2010Ultra)、FD−質量分析(日本電子 SX−102A)を用いて同定した。
また、本発明の遷移金属化合物を含む触媒の存在下、オレフィンの重合によって得られる重合体の物性・性状を測定する方法を下記した。
・密度(kg/m3
190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で0.5mm厚のシートを成形し(スペーサー形状:240×240×0.5(mm)厚の板に45×45×0.5(mm)、9個取り)、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力で圧縮することで冷却して測定用試料を作成した。熱板は5mm厚のSUS板を用いた。
このプレスシートを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定した。
・極限粘度[η](dL/g)
オレフィン重合体の極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。
すなわち重合パウダーまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として求める(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
・MFR
オレフィン重合体のMFRは、テスター産業製TP−406型MFR計を用いASTM D1238−65Tに従い、190℃、2.16kg荷重の条件下、および190℃、10kg荷重の条件下で測定した。
2.16kg荷重の条件下(I2)および10kg加重の条件下(I10)で測定したものとの比(I10/I2)が大きい値であるほど、オレフィン重合体の長鎖分岐(LCB)導入量が多数であることが一般的に示唆される。
・重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求めた。Waters社製「Alliance GPC 2000」ゲル浸透クロマトグラフ(高温サイズ排除クロマトグラフ)により得られる分子量分布曲線から計算したものであり、操作条件は、下記の通りである:
〔使用装置および条件〕
測定装置;ゲル浸透クロマトグラフ allianceGPC2000型(Waters社)
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステム Empower(商標、Waters社)
カラム;TSKgel GMH6−HT×2 + TSKgel GMH6−HT×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o−ジクロロベンゼン〔=ODCB〕(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/min
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正 単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495から分子量2060万
分子量分布および各種平均分子量は、J. Polym. Sci., B5, 753.(1967)に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として計算した。
・コモノマー含量
共重合体のコモノマーの含量は、FT−IR(日本分光製FT−IR410型赤外分光光度計)によって測定した。FT−IRは、実施例で得られた共重合体生成ポリマーを、135℃に加熱したホットプレスにて溶解延伸後、室温下加圧冷却することで得られたフィルムを測定サンプルとして用い、光源波長5000cm-1〜400cm-1間で測定した。ヘキセン含量は、ヘキセンに基づくC−CH2CH2CH2CH3骨格振動(1378cm-1)をキーバンドとし、キーバンドの吸光度(D1378)と内部標準バンド(4321cm-1:C−H伸縮振動とメチレン、メチル変角振動の結合音)の吸光度(D4321)との比[D1378/D4321]により求めた。
<(1)遷移金属化合物の合成>
〔合成例1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した500mLの反応器に、2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン11.4g(40.9mmol)、N−ブロモスクシンイミド8.45g(47.5mmol)、炭酸プロピレン80mLを仕込み、80℃のオイルバス中で2時間攪拌を続けた。反応液を室温まで冷却した後ジエチルエーテルで希釈した。得られた分画を分液漏斗にて水で3回洗浄した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をエタノールから再結晶することにより、下記式(1)で示した目的物(以下化合物(1)という)が11.7g(収率80%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ8.45(1H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.58−7.41(4H,m,Ar−H),3.89(2H,s,Ar−CH2−Ar),1.38(9H,s,−C(CH3)3),1.35(9H,s,−C(CH3)3)ppm
Figure 0006371545
〔合成例2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、合成例1で得られた化合物(1)1.79g(5.01mmol)、n−ブチルボロン酸1.02g(10.0mmol)、酢酸パラジウム0.06g(0.26mmol)、フッ化セシウム3.20g(21.1mmol)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩0.15g(0.51mmol)、トルエン10mL、蒸留水2mLを仕込み、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(2)で示した目的物(以下化合物(2)という)が3.29g(収率98%)得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.72(1H,d,J=8.2Hz,Ar−H),7.56(1H,br−s,Ar−H),7.44−7.35(2H,m,Ar−H),7.13(1H,br−d,J=1.4Hz,Ar−H),3.86(2H,s,Ar−CH2−Ar),3.02(2H,t,J=7.8Hz,Ar−CH2−),1.81−1.65(2H,m,−CH2−),1.62−1.43(2H,m,−CH2−),1.38(9H,s,−C(CH3)3),1.37(9H,s,−C(CH3)3),0.99(3H,t,J=7.2Hz,−CH3)ppm
Figure 0006371545
〔合成例3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、合成例2で得られた化合物(2)1.11g(3.32mmol)、tert−ブチルメチルエーテル25mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液2.20mL(ヘキサン溶液、1.64M、3.61mmol)を、この溶液へ室温下加えた。室温で15時間攪拌した後氷冷し、6,6−ジメチルフルベン0.32g(3.00mmol)のtert−ブチルメチルエーテル10mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(3)で示した目的物(以下化合物(3)という)が0.96g(収率73%)の異性体混合物として得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.68−7.28(2H,m,Ar−H),7.24−6.93(3H,m,Ar−H),6.69−6.41(2H,m,C=CH−CH=),6.12−5.84(1H,m,CH=CH−CH2),4.10−4.00(1H,m,Ar−CH−Ar),3.20−3.02(2H,m,−CH2−),3.02−2.92(2H,m,Ar−CH2−),1.77−1.62(2H,m,−CH2−),1.55−1.44(2H,m,−CH2−),1.31−1.26(18H,m,−C(CH3)3),1.07−0.93(9H,m,−CH3)ppm
Figure 0006371545
〔合成例4〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、合成例2で得られた化合物(2)1.12g(3.34mmol)、tert−ブチルメチルエーテル25mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液2.30mL(ヘキサン溶液、1.59M、3.66mmol)を、この溶液へ室温下加えた。室温で15時間攪拌した後氷冷し、WO2004/029062号公報記載の方法によって合成した6,6−ジ−p−トリルフルベン0.78g(3.00mmol)のtert−ブチルメチルエーテル10mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(4)で示した目的物(以下化合物(4)という)が1.58g(収率89%)の異性体混合物として得られた。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.50−6.70(13H,m,Ar−H),6.60−6.00(3H,m,C=CH−CH=CH−),5.45−5.35(1H,m,Ar−CH−Ar),3.10−2.60(4H,m,−CH2−),2.22(6H,s,Ar−CH3),1.55−1.24(4H,m,−CH2−),1.55−1.44(2H,m,−CH2−),1.19−1.07(18H,m,−C(CH3)3),0.93(3H,t,J=7.1Hz,−CH3)ppm
Figure 0006371545
<(2)遷移金属化合物の合成>
〔合成例5〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例3で得られた化合物(3)0.22g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.61mL(ヘキサン溶液、1.64M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。この溶液を−30℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.51mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン8mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン2mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより下記式(5)で示される橙色粉末の化合物(以下メタロセン化合物(5)という)を0.15g(収率49%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ8.85(1H,d,J=9.1Hz,Ar−H),7.80(1H,s,Ar−H),7.67−7.60(2H,m,Ar−H),7.36(1H,s,Ar−H),6.28(2H,t,J=2.7Hz,Cp−H),5.65(2H,t,J=2.7Hz,Cp−H),3.10(2H,t,J=7.7Hz,Ar−CH2−),2.42(6H,d,J=3.3Hz,−CH3),1.90−1.70(2H,m,−CH2−),1.70−1.55(2H,m,−CH2−),1.35(18H,d,J=4.6Hz,−C(CH3)3),0.99(3H,t,J=7.3Hz,−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 600
Figure 0006371545
〔合成例6〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例4で得られた化合物(4)0.30g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.61mL(ヘキサン溶液、1.64M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。この溶液を−30℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.51mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら15時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン2mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより下記式(6)で示される橙色粉末の化合物(以下メタロセン化合物(6)という)を0.23g(収率61%)得た。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ8.10(1H,d,J=9.1Hz,Ar−H),7.81(2H,br−s,Ar−H),7.73(2H,d,J=7.9Hz,Ar−H),7.62(1H,d,J=7.9Hz,Ar−H),7.34(1H,s,Ar−H),7.30−7.20(2H,m,Ar−H),7.15(2H,d,J=7.8Hz,Ar−H),6.45−6.15(2H,m,Ar−H),6.31(2H,s,Cp−H),5.67(2H,s,Cp−H),3.13(2H,t,J=7.7Hz,Ar−CH2−),2.33(6H,s,Ar−CH3),1.92−1.70(2H,m,−CH2−),1.70−1.48(2H,m,−CH2−),1.07−0.97(21H,m,−C(CH3)3,−CH3)ppm
FD−質量分析(M+): 752
Figure 0006371545
<(2)固体状担体の調製>
〔調製例1〕
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製:レーザー光回折散乱法の体積分布の累積50%粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させた後、0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mol/L)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。
次いで、0〜5℃で30分間接触させた後、1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後、常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの固体状担体のトルエンスラリーを調製した。
得られたスラリー成分の一部を採取し分析したところ、固体分濃度は122.6g/Lであった。
〔調製例2〕
固体状アルミノキサンの調製は、WO2010/55652号公報に記載の方法(予備実験1および実施例5)に準じて実施した。ただし、トリメチルアルミニウムの発火等の安全性に配慮して、当該文献に開示されている条件の約1/6倍の濃度で実施した。
具体的には、攪拌装置を有するガラス製反応器に0.5mol/Lに調整したトリエチルアルミニウムのトルエン溶液100mLを装入した。この溶液を15℃になるまで冷却し、これに安息香酸2.18gを溶液の温度が25℃以下になるような速度でゆっくりと添加した。その後50℃で加熱熟成を1時間行った。この時、トリメチルアルミニウムと安息香酸の酸素原子のモル比は、1.40であった。反応液を70℃で4時間加熱し、その後60℃で6時間加熱した後、一度室温まで冷却した。次いで100℃で8時間加熱し、固体状アルミノキサンを析出させた。溶液を30℃以下まで冷却した後、洗浄のためにn−ヘキサン100mLを攪拌下に添加した。30分間静置した後、上澄み液150mLを除去し、さらにn−ヘキサン150mLを攪拌下に添加した。15分間静置した後、上澄み液150mLを除去し、さらにn−ヘキサン150mLを攪拌下に添加した。最後に15分間静置した後、上澄み液180mLを除去し、n−ヘキサンを総量が42mLになるように添加した。得られた固体状アルミノキサンのヘキサンスラリーの一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:14.2g/L、Al濃度:0.202mol/Lであった。また、得られた固体状アルミノキサンを走査型電子顕微鏡により粒子を観察したところ平均粒子径は6.8μm、比表面積は18.1m2/mmol―Alであった。
<(3)オレフィン重合用固体触媒成分の調製>
〔調製例3〕
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付き反応器に、トルエン30mL、および調製例1で得られた固体状担体スラリー8.2mL(固体分重量1.0g)を装入した。次いで、合成例5で得られたメタロセン化合物(5)0.025mmolのトルエン溶液を加え、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘプタンを用いて2回洗浄した後、全量50ミリリットルのオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(I)を調製した。
〔調製例4〕
化合物(5)の代わりに、J. Organomet. Chem. 1996, 522, 39.記載の方法によって合成したジメチルメチレン(η5−シクロペンタジエニル){η5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)}ジルコニウムジクロリドを加えた以外は、調製例3と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(II)を調製した。
〔調製例5〕
磁気攪拌子を備え、充分に窒素置換した40mLガラス容器に脱水トルエン7.00mLを装入し、調製例2で得られた固体状アルミノキサンのヘキサンスラリーを10.8mL(Al原子換算で7.98mmol)装入した。次いで、合成例6で得られたメタロセン化合物(6)のトルエン溶液2.13mL(Zr原子換算で0.0095mmol)を滴下装入し、室温で1時間反応させ、オレフィン重合用固体触媒スラリー(III)を調製した。
〔調製例6〕
化合物(6)の代わりに、WO2004/029062号公報記載の方法によって合成したジ(p−トリル)メチレン(η5−シクロペンタジエニル){η5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)}ジルコニウムジクロリドを加えた以外は、調製例5と同様の方法でオレフィン重合用固体触媒成分スラリー(IV)を調製した。
<(4)オレフィン重合>
〔実施例1〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記調製例3で得られた固体触媒成分(I)を固体分として200mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、水素・エチレン混合ガス(水素濃度0.45vol%)を連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体48.5gを得た。重合活性は241.4g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体をASTMD1238−65Tに従い、190℃、2.16kg加重の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.001g/10分、10kg加重の条件下で測定したものとの比(I10/I2)は10.4であり、密度は952kg/m3であり、重量平均分子量(Mw)は157,900、数平均分子量(Mn)は32,300であった。
〔実施例2〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、1−ヘキセン10mL、トリイソブチルアルミニウム0.375mmolおよび前記調製例3で得られた固体触媒成分(I)を固体分として10mg加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン/1−ヘキセン共重合体25.2gを得た。重合活性は2,520g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は922kg/m3であり、1−ヘキセン含量は3.0mol%であり、重量平均分子量(Mw)は186,300、数平均分子量(Mn)は73,800であった。
〔比較例1〕
実施例1の固体触媒成分(I)の代わりに前記調製例3で得られた固体触媒成分(II)を固体分として200mg加えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行なった。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体41.3gを得た。重合活性は205.4g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体をASTMD1238−65Tに従い、190℃、2.16kg加重の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.007g/10分、10kg加重の条件下で測定したものとの比(I10/I2)は67.4であり、密度は951kg/m3であった。
実施例1に対してI10/I2の値が大きいことから、長鎖分岐(LCB)導入量が多いことが示唆される。
〔実施例3〕
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、水素1.25%混合エチレンガスを流通し、液相および気相をエチレンおよび水素で飽和させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液(Al=1.0 mol/L)0.25mmol、前記調製例5で得られた固体触媒成分(III)を固体成分換算で9.60mg装入し、75℃に昇温して、0.65MPa・Gとなるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給し、60分間重合を行った。オートクレーブを冷却および残留ガスをパージして重合を停止した。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体24.28gを得た。重合活性は2,530g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は971kg/m3であり、極限粘度[η]は1.12dL/gであった。
〔実施例4〕
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、水素0.45%混合エチレンガスを流通し、液相および気相をエチレンおよび水素で飽和させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液(Al=1.0 mol/L)0.25mmol、前記調製例5で得られた固体触媒成分(III)を固体成分換算で4.50mg装入し、75℃に昇温して、0.65MPa・Gとなるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給し、60分間重合を行った。オートクレーブを冷却および残留ガスをパージして重合を停止した。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン重合体22.24gを得た。重合活性は4,942g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体の密度は954kg/m3であり、極限粘度[η]は2.41dL/gであった。
〔実施例5〕
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに精製ヘプタン500mLを入れ、水素0.45%混合エチレンガスを流通し、液相および気相をエチレンおよび水素で飽和させた。ここに、トリイソブチルアルミニウムのn−デカン溶液(Al=1.0 mol/L)0.25mmol、脱水1−ヘキセン3ml、前記調製例5で得られた固体触媒成分(III)を固体成分換算で4.50mg装入し、75℃に昇温して、0.65MPa・Gとなるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給し、60分間重合を行った。オートクレーブを冷却および残留ガスをパージして重合を停止した。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン/1−ヘキセン重合体21.49gを得た。重合活性は4,776g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体をASTMD1238−65Tに従い、190℃、2.16kg加重の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.001g/10分、10kg加重の条件下で測定したものとの比(I10/I2)は40.2であり、密度は926kg/m3であり、1−ヘキセン含量は1.0mol%であり、極限粘度[η]は4.64dL/gであった。
〔比較例2〕
実施例5の固体触媒成分(III)の代わりに前記調製例6で得られた固体触媒成分(IV)を固体分として14.4mg加えた以外は、実施例5と同様の条件で反応を行なった。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン/1−ヘキセン重合体19.01gを得た。重合活性は1,320g‐PE/g−cat.hであった。
得られた重合体をASTMD1238−65Tに従い、190℃、2.16kg加重の条件下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.001g/10分、10kg加重の条件下で測定したものとの比(I10/I2)は81.0であり、密度は929kg/m3であり、1−ヘキセン含量は1.1mol%であり、極限粘度[η]は3.57dL/gであった。
実施例5に対してI10/I2の値が大きいことから、長鎖分岐(LCB)導入量が多いことが示唆される。
また、実施例5に対して重合活性が7割以上低く、極限粘度[η]の値が小さいことから、低分子量であることが示唆される。
以上の、実施例1〜5、比較例1および2の結果を[表6]にまとめた。
Figure 0006371545
本発明に係る特定の置換基を導入した新規な遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を使用することで、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合を行った際に、良好なオレフィン重合活性で分子量の向上およびポリエチレン中のLCBレベルを制御することができる。得られたポリオレフィンは、耐衝撃性、軽量性、透明性、耐熱性等に優れているため、本発明には工業的に極めて高い価値があるといえる。

Claims (9)

  1. 下記一般式[1]で表される遷移金属化合物(A)。
    Figure 0006371545
    (一般式[1]中、
    Mは、周期表第4族遷移金属原子であり、
    nは、Mの価数を満たす1〜4の整数であり、
    Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、該アニオン配位子が、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基またはアルミニウム含有基であり、nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
    1は、周期表第14族の原子であり、
    1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1〜R8までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、
    9は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、同一でも異なっていてもよく、R1およびR9、またはR4およびR9は互いに結合して環を形成してもよく、R9同士は、互いに結合して環を形成してもよく、
    −A−Bは、n−ブチル基である。
  2. 前記一般式[1]で表される遷移金属化合物(A)において、
    1〜R4が、全て水素原子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
  3. 前記一般式[1]で表される遷移金属化合物(A)において、
    Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または酸素含有基である
    ことを特徴とする請求項2に記載の遷移金属化合物。
  4. 前記一般式[1]で表される遷移金属化合物(A)において、
    1が、炭素原子またはケイ素原子であり、
    5およびR8が、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよく、
    6およびR7が、それぞれ水素原子であり、
    9が、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい
    ことを特徴とする請求項3に記載の遷移金属化合物。
  5. 前記一般式[1]で表される遷移金属化合物(A)において、
    Mが、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、
    5およびR8が、炭素数1〜20の炭化水素基である
    ことを特徴とする請求項4に記載の遷移金属化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の遷移金属化合物(A)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  7. さらに、[B](B−1)有機金属化合物、
    (B−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
    (B−3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
  8. 請求項6または7に記載のオレフィン重合用触媒の存在下で、オレフィンを重合または共重合させる工程を含むことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  9. 前記オレフィン重合または共重合が、エチレンの単独重合またはエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合であることを特徴とする請求項8に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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