JP6370232B2 - 多結晶シリコンロッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多結晶シリコンロッドの製造方法と製造装置に関する。
半導体あるいは太陽光発電用ウェハーの原料として使用されるシリコンを製造する方法は種々知られており、そのうちのいくつかは既に工業的に実施されている。その一つの方法はシーメンス法と呼ばれる方法であり、シリコン芯線に通電するための少なくとも一対の電極を設けた底板とカバーとよりなる、所謂、ベルジャー型反応器の内部に、前記電極に接続して配置されたシリコン芯線を、通電によってシリコンの析出温度に加熱し、ここにトリクロロシラン(SiHCl)やモノシラン(SiH)等のシラン化合物のガスと水素を供給し、化学気相析出法によりシリコン芯線上にシリコンを析出させる方法である。
ここで、シリコンの析出温度は、約600℃以上であり、一般的には900〜1200℃程度の温度に保持されるように、シリコン芯線が通電加熱される。一方、通電により発生した熱を除熱するために、反応器は、前記底板とカバーにより構成される壁の少なくとも一部が、冷媒を流通するための冷却流路を形成する二重構造となっており、上記冷却通路に低温な冷媒を流して内壁の冷却が行われていた(特許文献1)。
従来、上記冷媒による冷却は、析出反応における温度上昇による反応器の劣化、シリコン芯線にシリコンが堆積して得られるシリコンロッドの品質低下を防止するため、反応における最大発熱量を予測してその流量が決定され、上記決定された流量(以下、最大流量ともいう)で終始一定に維持して反応器の冷却が行われていた。
ところが、前記反応器において、生産性向上を目的として反応器の単位あたりの生産量を増加させるために、大電流を投入して単位時間あたりのシリコンの析出量を増大しようとした場合、以下の問題が生じることが判明した。
即ち、前記反応器への冷媒の供給は、前記したように、シリコンの析出反応における最大発熱量を予測してその流量が決定されるが、上記シリコンの析出量を大幅に増大させた場合、その最大発熱量が増加し、これにより前記決定される冷媒の最大流量も増加することとなり、その結果、従来問題とされていなかった、シリコン芯線の予熱時、更には、反応器内での反応が最大発熱量に達するまでの間において、反応器内部が過度に冷却され、析出部の表面温度を設定温度に保持するための過剰な電力を必要とし、電力原単位が著しく高くなるという問題が発生することが判った。特に、反応器1台あたりの多結晶シリコンロッドの生産量を、平均20kg/時間以上とした場合にかかる問題は顕著である。
また、従来の研究では、反応器に供給する冷媒の流量は、前記最大流量を採用することが常識となっており、特に、十分低温な冷媒を用いた場合には、反応性が多少ばらついても、冷媒の温度不足で必要な冷却が行われず、前記問題点が抑えきれなくなることも生じ難いため、こうした冷媒の流量を反応器の運転条件に応じて変化させることについては一切検討されていなかったのが現状である。
特開2011−37699号公報
本発明の目的は、特に大電流を投入して単位時間あたりのシリコンの析出量を増加せしめ、反応器あたりの生産性を向上させる場合に、従来の方法に比べて、電力原単位を効果的に低減させることができる多結晶シリコンロッドの製造方法と製造装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、従来の方法においては、考えも及ばなかった、冷媒の流量を反応器の運転条件に応じて変化させること、更には、シリコンの析出反応における最大発熱量に至る特定の範囲における冷媒の流量を、通電における冷媒の最大流量よりも少なくなるように調整することにより、反応器内の過度の冷却を防止し、これによりシリコン製造における電力原単位を効果的に低減させることができ、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、シリコン芯線に通電するための少なくとも1対の電極を備え、大気圧条件下における沸点以下の温度の冷媒を流通して内壁を冷却するための冷却通路を有する反応器を使用し、前記電極にシリコン芯線を接続して通電しながら、シリコン析出用原料ガスを前記反応器内に供給し、前記シリコン芯線に多結晶シリコンを析出させる多結晶シリコンロッドの製造方法であって、
前記反応器1台あたりの多結晶シリコンロッドの生産量は、平均20kg/時間以上であり、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%の発熱量に至るまでの前記冷却通路を流通する冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量(最大流量)よりも少なくなるように調整することを特徴とする。
本発明に係る多結晶シリコンロッドの製造装置は、従来、反応器の運転における冷媒の流量を、一貫して最大流量で実施していたことにより、その機能を有していなかった冷媒の流量を反応器の運転条件に応じて変化させる手段を有することに特徴を有する。
即ち、本発明によれば、シリコン芯線に通電するための少なくとも1対の電極を設けた底板と、該底板を覆うカバーとを有し、前記底板とカバーにより構成される壁の少なくとも一部が、冷媒を流通して内壁を冷却するための冷却通路を形成する二重構造となっている反応器と、前記冷却通路を流通する前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを有することを特徴とするシリコンロッド製造装置が提供される。
本発明に係る多結晶シリコンロッドの製造方法および装置によれば、シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、前記最大流量よりも少なくなるように調整することにより、反応器内の過度の冷却を防止し、シリコン析出における電力原単位を低減させ、生産性を向上させることができる。
上記冷媒調整範囲は最大発熱量の少なくとも50%に至るまでであるが、好ましくは少なくとも60%に至るまで、さらに好ましくは少なくとも70%に至るまで、もっとも好ましくは全析出領域に渡って行うことが好ましい。
本発明において、前記冷媒の最大流量を決定する、シリコンの析出反応における最大発熱量は、シリコンが析出反応終了時に最終直径に達した時点におけるシリコン表面から放出される熱量として予測される。通常は多結晶シリコンロッドの表面温度、最終直径、長さおよび本数などにより以下の式から計算される。
熱量(Q)=(ε×σ×A×T4
A=π×R×H×N
ここで、εは、シリコンの放射率、σは、シュテファン=ボルツマン定数、Tは、シリコンの表面温度(K)、Aは多結晶シリコンロッドの表面積(m2)、Rは、多結晶シリコンロッドの最終直径、Hは、多結晶シリコンロッドの長さ、Nは、多結晶シリコンロッドの本数である。
また、前記最大流量は、析出反応における最大発熱量となった時点で、温度上昇による反応器の劣化、或いはシリコン芯線にシリコンが堆積して得られるシリコンロッドの品質低下を防止しうる最小の流量を基準とし、一般に、その流量の1.05倍〜1.5倍、特に、1.1倍〜1.3倍の流量に設定される。
例えば、上記多結晶シリコンロッドの反応器に適用される材質は、耐食性に優れるステンレス金属(SUS)が適用されるのが一般的であるが、これを用いても反応器の内壁温度が500℃を超えると、機械的強度が低下するという現象が生じ、反応器を繰り返し使用することが不適切となる。従って、斯様な温度上昇による反応器の劣化防止を目的に、前記最大流量を設定する場合であれば、反応器の内壁温度が500℃を超えない最小の流量として決められれば良い。或いは、多結晶シリコンロッドの析出反応では、反応器の内壁温度が一般に300℃を超えると、反応器炉内で発生する塩化水素などの腐食性ガスにより、内壁が徐々に侵食され、不純物として含有されるリン、ホウ素、砒素などが放出される。これらの不純物は、シリコンに対し、ドーパントとして作用し、その品質を低下させるため、好ましくない。従って、斯様なシリコンロッドの品質低下防止を目的に、前記最大流量を設定する場合であれば、反応器の内壁温度が300℃を超えない最小の流量として決めれば良い。なお、ここで、反応器の内壁温度が上記各設定温度を超えないとは、反応器を構成する内壁(底板上面とカバー内面)の実質的全面がこれを満足すれば足り、温度分布の局所的乱れで、効果に大きく影響しない若干箇所(好適には全内壁面の3%以下)においてその設定温度を超えても、超えないものとして許容される。
尚、従来は、シリコン芯線を予熱するための電源投入時から析出終了まで、一貫して、かかる最大流量に維持して反応器の冷却が行われていた。
上記冷媒の流量調整は最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整すればよいが、好ましくは析出反応における各時間帯の発熱量よりも高く、各時間帯の発熱量と、その時間帯における除熱量との差が小さくなるように調整することがよい。
具体的には前記冷却通路の前記反応器への入口における前記冷媒の温度をT1とし、前記冷却通路の前記反応器からの出口における前記冷媒の温度をT2とし、
前記冷媒の比熱をCとしたとき、
前記シリコン析出反応における最大発熱量の少なくとも50%の発熱量に至るまでの前記冷却通路を流通する冷媒の流量を、前記T1およびT2が、(T2−T1)×C≧9cal/gの関係式を満たすように調整することが好ましい。
本発明の方法によれば、シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整すること、例えば、発生熱量が少ない析出初期やシリコンの成長反応の途中における冷媒の流量を少なくすることにより、析出部の表面温度を設定温度に保持するための過剰な電力を必要とせず、電力原単位を低く抑えることができる。
図1は本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンロッドの製造装置の概略図である。 図2は従来の多結晶シリコンロッドの製造方法における冷媒による除熱能力と通電による発生熱量の経時変化を示した模式図である。 図3は本実施形態に係る多結晶シリコンロッドの製造方法における冷媒による除熱能力と通電による発生熱量の経時変化を示した模式図である。 図4は本実施形態の多結晶シリコンロッドの製造方法と従来の多結晶シリコンロッドの製造方法の多結晶シリコンロッドの径方向の成長速度の経時変化の比較を示した模式図である。 図5は本発明の他の実施形態に係る多結晶シリコンロッドの製造装置の概略図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンロッドの製造装置は、反応器2を有する。本実施形態の多結晶シリコンロッドの製造装置は、工業生産用である。前記反応器2の1台あたりの生産量は平均20kg/時間以上であり、好ましくは20〜50kg/時間であり、より好ましくは50〜80kg/時間である。
本実施形態では、反応器2は、底板6に対して着脱自在に連結されるベルジャー型のカバー4を有する。本実施形態では、底板6に、少なくとも一対以上の電極12が装着してある。電極12の数は、反応器2の内部に設置されるシリコン製の芯線10の数に対応して決定される。
反応器2の内部に設置されるシリコン製の芯線10は、一対の電極12を相互に接続するように、逆U字形状に設置され、電極12を介して通電可能になっている。電極は、カーボン、SUS、Cuなどにより形成されている。
芯線10は、たとえば多結晶シリコン、単結晶シリコン、溶融凝固シリコンにより製造される。逆U字形状の芯線10は、複数の芯線10を連結して形成しても良い。芯線10の周囲に、多結晶シリコンが析出し、多結晶シリコン製のロッド20が形成される。芯線10の数に対応した数でロッド20が形成される。
カバー4は天井部と側面部が一体となっている構造でもよいし、フランジや溶接により結合された構造であってもよい。
カバー4には、反応器2の内部を観察することができる透明で耐熱性の窓部材8が、少なくとも一つ設置してあることが好ましい。窓部材8の外部には、たとえば赤外線温度センサなどの非接触式温度計38が設置してあっても良い。温度計38は、反応器2の内部に配置してあるロッド20の表面温度を計測可能にしてあり、計測された温度信号は、反応器2の外部に配置してある制御装置32に入力される。
原料ガス供給ポート14に原料ガスを供給する供給ラインの途中には、原料ガス供給ポート14から反応器2の内部に供給されるガスの流量を調整するための原料ガス流量制御部が装着してある。原料ガス供給ポート14および原料ガス排出ポート16は、単一の反応器2に複数設けても良い。
カバー4および底板6は、たとえばステンレス金属、炭素鋼、ニッケル系合金、鉄およびそれらのその他の金属との複合材料、石英などの耐熱性部材などの耐熱性部材、特には、ステンレス金属(SUS)で構成されているのが好ましく、内表面と外表面とからなる二重構造となっている。カバー4と底板6のそれぞれの二重構造の内部に冷却通路が形成してあり、カバー4と底板6は、冷媒供給ポート15から冷媒を供給し、冷媒排出ポート17から冷媒を排出する一の冷却通路9により連結される。
冷媒としては、特に限定されず、水、バーレルサーム(商品名:村松石油株式会社製)の如き熱媒体油など一般に冷却用に使用される液状熱媒体が挙げられるが、そのうち、特に水が好ましい。
冷媒供給ポート15における入口冷媒温度T1は,冷却効率の高さから、大気圧条件下における沸点以下であることが必要であり、さらに、冷媒の流量を最大流量よりも少なく調整しても、温度制御し易く反応器の劣化が抑制できることから、100℃以下であることが必要であり、好ましくは、30〜90℃である。
冷媒供給ポート15に冷媒を供給する供給ラインの途中には、冷媒供給ポート15から反応器2の内部に供給される冷媒流量を調整するための冷媒流量制御部42が装着してある。冷媒流量制御部42は制御装置32により制御され、たとえば、電磁弁、空気作動弁、油圧作動弁、電動弁により構成される。
冷媒供給ポートに冷媒を供給する供給ラインの途中には、冷媒供給ポート15から反応器2の内部に供給される冷媒の温度を検出するための温度検出部50が装着してある。また、冷媒排出ポート17から排出された冷媒が通る排出ラインにも温度検出部52が装着してあり、反応器2から冷媒排出ポート17に排出される冷媒の温度を検出することができる。
検出された温度信号は、反応器2の外部に配置してある制御装置32に入力される。
冷媒排出ポート17から排出された冷媒は、図示省略してある熱交換機により再冷却され温度調節されて冷媒供給ポート15に戻るように構成してあることが好ましいが、戻らせることなく、加熱された冷媒を、他の用途に用いても良い。
芯線10に接続してある電極12には、電力供給手段30が接続してある。電力供給手段としては、特に限定されず、たとえば変圧器、バッテリー、サイリスタ、IGBTなどで構成される。電力供給手段30は、制御装置32により制御される。
上述した装置を用いて多結晶シリコン製のロッド20を製造するには、以下のようにして行われる。すなわち、電極12を介して芯線10への通電を開始し、通電加熱によって、芯線10の温度をシリコンの析出温度以上に加熱する。シリコンの析出温度は、約600℃以上であるが、芯線10上にシリコンを迅速に析出させるため、一般的には、900〜1200℃程度の温度に保持されるように、シリコン芯線10が通電加熱される。
芯線10への通電を開始すると同時に、あるいは芯線10の温度がシリコンの析出温度以上に達した時点で、反応器2内に、原料ガス供給ポート14から、原料ガスとしてシランガスおよび還元ガスを供給し、これら原料ガスの反応(シランの還元反応)によってシリコンを生成させる。
原料ガス供給ポート14から供給されるシランガスとしては、モノシラン、トリクロロシラン、四塩化ケイ素、モノクロロシラン、ジクロロシランなどのシラン化合物のガスが使用され、一般的には、トリクロロシランガスが好適に使用される。また、還元ガスとしては、通常、水素ガスが使用される。トリクロロシランガスと水素ガスを用いた場合を例に取ると、この還元反応は、下記式で表される。
SiHCl +H → Si + 3HCl
なお、上記の原料ガスにおいては、一般に還元性ガス(水素ガス)が過剰に使用される。
また、上記の還元反応と共に、下記のように、トリクロロシランの熱分解によってもシリコンが生成する。
4SiHCl → Si+ 3SiCl + 2H
また、原料ガスとして、還元ガスを用いず、モノシラン(SiH)のみを供給し、下記式に示されるモノシランの熱分解によってシリコンを生成することも可能である。
SiH → Si+2H
上記の反応により生成したシリコン(Si)は、芯線10上に析出し、この反応を継続して行っていくことにより、芯線10上のシリコンが成長し、最終的に多結晶シリコンからなるロッド20が得られることとなる。
上記のようにして、一定の厚みのロッド20が得られた段階で反応を終了し、芯線10への通電を停止し、反応器2内から未反応のシランガス、水素ガスおよび副生した四塩化ケイ素や塩化水素等を排気した後、ベルジャー型のカバー4を開放し、ロッド20が取り出される。
本実施形態では、シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整される。
前記冷媒調節範囲は最大発熱量の少なくとも50%に至るまでであるが、好ましくは少なくとも60%に至るまで、さらに好ましくは少なくとも70%に至るまで、もっとも好ましくは全析出領域に渡って行うことが好ましい。
また、好ましくは、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、冷媒供給ポート15における入口冷媒温度T1と、冷媒排出ポート17における出口冷媒温度T2と、溶媒の比熱Cとが、(T2−T1)×C≧9cal/gの関係を満たすように調整される。
図2に示すように、通電による発生熱量は経過時間とともに上昇し、所望のロッドに成長し、シリコン析出用の原料ガスの供給を停止する直前(析出の終了時)において最大発熱量に達する。従来は、シリコン芯線の予熱時、更には、反応器内での反応が最大発熱量に達するまでの間において、冷媒の流量調整がなされていなかった。このため、図2に示すように、シリコン析出反応において必要とされる最大の除熱能力に合わせて冷媒の流量を一定にした運転がなされていた。しかしながら、このような運転では、析出初期において過剰の冷媒が供給される結果、反応器内の熱ロスが過大となる。上記の通り、シリコン芯線は、シリコン析出温度である900〜1200℃に保持するように通電加熱されるが、熱ロスが多いと、目標温度に保持するためにより多くの電力を要する。
これに対し、本実施形態は、シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整する。これにより、図3に示すように、発生熱量が少ない析出初期においては、冷媒の流量を少なくすることで、除熱能力を低く抑えることができるとともに、時間の経過とともに発生熱量が多くなるに従って冷媒の流量を増加させることで、除熱能力を高めることができる。その結果、熱ロスを低減させつつ安全な運転が可能となる。また、析出初期における熱ロスが少ないため、目標温度に保持するための過剰な電力を必要とせず、電力原単位を抑えることができる。
上記効果を十分に発揮させるためには、前記シリコンの析出反応における最大発熱量に至るまでの冷媒の流量は、最大流量を決定した、反応器の劣化防止やシリコンロッドの品質低下防止のために求められる、反応器の内壁温度の条件を満足していることが望ましい。多結晶シリコン製のロッドの製造において、シリコン析出反応における最大発熱量の際の冷媒の流量を1としたときの、反応器にシリコン析出原料ガスを供給して析出反応を開始した当初の冷媒の流量が0.5以下であるのが好ましいが、上記理由から、この当初の冷媒の流量は、0.2〜0.4であるのがより好ましい。さらに、上記リコン析出反応における最大発熱量の際の冷媒の流量を1としたときの、最大発熱量の50%に至るまでの冷媒の平均流量が0.4〜0.7であるのが好ましく、さらには最大発熱量の70%に至るまでの冷媒の平均流量が上記範囲であるのが好ましく、特には全析出領域に渡る冷媒の平均流量が上記範囲であるのが好ましい。
なお、「最大発熱量における冷媒の流量」とは、例えば、図3においては流量Pを意味する。
さらに、本実施形態は、析出初期における熱ロスが少ないことにより、析出初期における反応器内部の温度が従来に比べて高くなるため、ロッドの成長速度が高くなる。これにより、図4に示すように、所定の大きさのロッドを製造するための所要時間を従来に比べて短縮でき、その結果、生産性が向上する。また、ロッドの生産に要する時間が短縮されることも、電力原単位の低減に寄与する。
また、通電前の前記芯線の表面には酸化膜が形成されているが、品質面から該酸化膜は除去されていることが好ましい。本実施形態によれば、上記の通り、析出初期における反応器内部の温度が従来に比べて高くなるため、反応器内部を水素雰囲気にすることで前記酸化膜の優れた除去作用を得ることができる。
このように、本実施形態の多結晶シリコンロッドの製造方法によれば、電力原単位を低減させ、生産性を向上させることができる。なお、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量は、冷媒供給ポート15における入口冷媒温度T1と、冷媒排出ポート17における出口冷媒温度T2と、冷媒の比熱Cとが、(T2−T1)×C≧9cal/gの関係を満たすように調整されることが好ましく、より好ましくは10cal/g≦(T2−T1)×C≦50cal/gの関係を満たすように調整され、さらに好ましくは20cal/g≦(T2−T1)≦40cal/gの関係を満たすように調整される。(T2−T1)×Cをこの範囲内にすることで、運転の安全性をより保ちつつ、電力原単位を低減させ、生産性を向上させることができる。
なお、最大発熱量に達する析出の終了時において、(T2−T1)×Cは、反応器の劣化を防止する必要性から10〜45cal/gに設定されるのが一般的である。
また、本実施形態では、通電時における(T2−T1)×Cが所定の範囲内で一定であることが好ましい。これにより、冷媒供給量の変動を低く抑えることができる。前記所定の範囲内としては、好ましくは、通電時における(T2−T1)×Cの最大値と最小値の差が4〜10cal/gである。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、冷却通路9は底板6を流通した後、カバー4を流通する1経路であるが、本発明の他の実施形態としては、図5に示すように、冷却通路9がカバー4を流通する経路と底板6を流通する経路の2経路に分かれていてもよい。図5の場合、カバー4の入口冷媒温度T1aは、温度検出部50aにより検出される温度であり、出口冷媒温度T2aは、温度検出部52aにより検出される温度である。また、基板6の入口冷媒温度T1bは温度検出部50bにより検出される温度であり、出口冷媒温度T2bは、温度検出部52bにより検出される温度である。この場合においても、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整することで、電力原単位を低減させ、生産性を向上させることができる。
また、カバー4と底板6のそれぞれに複数の冷却通路を備えていてもよい。この場合においては、それぞれの冷却通路において、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%に至るまでの冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整することで、上記の効果を得ることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1〜4
ロッド10本(逆U字型5対)立ての反応器2にて、高さ2000mmの逆U字型のシリコン芯線10に通電し、その温度を約1000℃に加熱し、同時にシリコン析出用原料ガス(トリクロロシランと水素の混合ガス)を反応器2に供給し、カバー4と底板6に備えられた冷却通路を流通する冷媒により反応器2を冷却しながら直径120mmとなるまで多結晶シリコンを析出させた。上記反応器2の材質は、ステンレス金属(SUS)であった。
冷媒は、水であり、比熱は1cal/g・℃であり、入口冷媒温度T1は、全ての冷却通路において、30℃とした。このシリコンの析出反応における最大発熱量は、前述の予測式から884kWと予測された。最大発熱量に対応した最大流量は、反応器の内壁温度が300℃を超えない最小の流量が30.4m/hとして求められたため、冷却通路において、その1.1倍の流量として設定した。
全ての冷却通路において、シリコンの析出反応における最大発熱量の50%に至るまでの冷媒の流量を、析出を開始する時点では、表1に示した初期流量とし、最大発熱量の50%となった時点で最大流量の1.1倍となるよう一定の割合で増加させ、以後、析出反応の終了まで同じ流量で冷媒を供給した。さらに、最大発熱量の際の冷媒の流量を1としたときの、最大発熱量の50%に至るまでの冷媒の平均流量も表1に示した。
Figure 0006370232
また、(T2−T1)×Cは、析出の開始時点は表1に示した値であり、その後一定の割合で増加させた。最大発熱量に達する析出の終了時において、(T2−T1)×Cはいずれも25cal/gであった。
前記直径にロッドが成長した後に、反応ガスの供給を停止し且つ廃ガスを反応室内から排出せしめて析出を完了させた後、1050℃で1時間続行してアニールを行い、アニール終了時にシリコン芯線への通電を停止した。この後、カバー4を開放し、ロッド20を取り出した。
得られたロッドについて、単位時間当たりの生産量(生産性)と電力原単位を算出した。結果を表1に示した。
比較例1
実施例1において、全ての冷却通路において、通電開始から通電終了にかかるすべての時間において、冷媒の流量を最大流量とした以外は、実施例1と同様にして、多結晶シリコンを析出させた。なお、(T2−T1)×Cは、析出の開始時点は2cal/gであり、その後一定の割合で増加させた。最大発熱量に達する析出の終了時において、(T2−T1)×Cはいずれも25cal/gであった。結果を表1に示した。
実施例5〜8
上記実施例1において、冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整する期間を、シリコンの析出反応における最大発熱量の70%に至るまでにとし、最大発熱量に達する析出の終了時において、(T2−T1)×Cはいずれも28cal/gとする以外、同様の多結晶シリコンの析出を実施した。結果を表2に示した。
Figure 0006370232
シリコンの析出反応における最大発熱量の50%に至るまでの冷媒の平均流量がシリコンの析出反応における最大発熱量の際の冷媒の流量よりも少ない場合(実施例1〜4)、及び、シリコンの析出反応における最大発熱量の70%に至るまでの冷媒の平均流量がシリコンの析出反応における最大発熱量の際の冷媒の流量よりも少ない場合(実施例5〜8)は、通電時の冷媒の流量が一定だった場合(比較例1)に比べて、電力原単位が低くなることが確認できた。
2… 反応器
4… カバー
401… カバーの内表面
402… カバーの外表面
6… 底板
8… 窓部材
9… 冷却通路
10… 芯線
12… 電極
14… 原料ガス供給ポート
16… 原料ガス排出ポート
15、15a、15b… 冷媒供給ポート
17、17a、17b… 冷媒排出ポート
20… ロッド
30… 電力供給手段
32… 制御装置
38… 非接触式温度計
42,42a,42b… 冷媒流量制御部
50,50a,50b,52,52a,52b… 温度検出部

Claims (2)

  1. シリコン芯線に通電するための少なくとも1対の電極を備え、大気圧条件下における沸点以下の温度の冷媒を流通して内壁を冷却するための冷却通路を有する反応器を使用し、前記電極にシリコン芯線を接続して通電しながら、シリコン析出用原料ガスを前記反応器内に供給し、前記シリコン芯線に多結晶シリコンを析出させる多結晶シリコンロッドの製造方法であって、
    前記反応器1台あたりの多結晶シリコンロッドの生産量は、平均20kg/時間以上であり、前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%の発熱量に至るまでの前記冷却通路を流通する冷媒の流量を、前記最大発熱量における冷媒の流量よりも少なくなるように調整することを特徴とする多結晶シリコンロッドの製造方法。
  2. 前記冷却通路の前記反応器への入口における前記冷媒の温度をT1とし、
    前記冷却通路の前記反応器からの出口における前記冷媒の温度をT2とし、
    前記冷媒の比熱をCとしたとき、
    前記シリコンの析出反応における最大発熱量の少なくとも50%の発熱量に至るまでの前記冷却通路を流通する冷媒の流量を、前記T1およびT2が、(T2−T1)×C≧9cal/gの関係式を満たすように調整することを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンロッドの製造方法。
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