JP6366623B2 - 発電素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発電素子の製造方法に関し、より具体的には、強誘電体材料により構成された絶縁層を有するコンデンサに対し、特定の処理を施すことによって発電素子を製造する発電素子の製造方法に関する。
従来、一対の対向する電極と、該一対の電極の間に設けられた絶縁層とを有する素子において、絶縁層の厚さが数Å〜数十Åと極めて薄い場合に、素子が発電能力を有することが知られている(特許文献1および2参照)。このような発電素子は、素子(電極または絶縁層)の材料分子自身の熱エネルギー(熱振動)を利用して、極めて長い期間、発電を維持することが可能であり、産業上非常に有用である。
前述のとおり、このような発電素子に用いられる絶縁層の厚さは、数Å〜数十Åと極めて薄い。特許文献1および2に開示の技術では、ラングミュア・ブロジェット法(Langmuir−Blodgett法)を用いて得られた厚さ数Å〜数十Åのポリイミドの超薄膜を、発電素子の絶縁層として用いている。ラングミュア・ブロジェット法は、固体基板上に単分子膜を積層することにより、極めて薄い均一な膜を得る方法であり、工程の繰り返し回数を調整することにより、得られる膜の厚さをコントロールすることができる。
ラングミュア・ブロジェット法は、大面積で均一な超薄膜を得ることができるという特徴を有するが、単分子膜の積層工程を用いるため、性質が異なる材料を複数積層することが困難である。上述のような一対の対向する電極と、その間に設けられた絶縁層とから構成される積層構造を形成する場合、まず、真空蒸着装置等の設備を用いて固体基板上に電極を形成する。その後、電極が形成された固体基板を、ラングミュア・ブロジェット法を実行する装置内に運搬し、該装置内において絶縁層を形成、乾燥させる。最後に、電極と絶縁層が形成された固体基板を真空蒸着装置等の設備内に再度運搬し、絶縁層上に電極を形成する。このような異なる設備間を移動しながらの積層工程は、制御が難しく、発電素子の製造効率を高めることが困難である。
このような状況を鑑み、本発明者は、発電能力を素子に付与し得る絶縁層に対する研究を重ねた結果、強誘電体材料により構成される絶縁層を有するコンデンサに対し、特定の処理を施すことによって、ラングミュア・ブロジェット法を用いて得られる前述の発電素子と同様の発電能力を有する発電素子を得られることを見いだした。
特開昭64−59805 特開平2−197107
本発明は、上述のラングミュア・ブロジェット法を用いた発電素子の製造方法における問題点を鑑み成されたものであり、その目的は、強誘電体材料により構成された絶縁層を有するコンデンサに対し、特定の処理を施すことによって発電素子を製造する発電素子の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の(1)〜()の本発明により達成される。
(1)強誘電体材料により構成された絶縁層を有するコンデンサを、前記強誘電体材料のキュリー温度以上にまで加熱する工程と、
前記コンデンサの温度が前記キュリー温度以上に維持された状態で、前記コンデンサに対して電圧を印加する工程と、
前記コンデンサに対する前記電圧の印加が維持された状態で、前記コンデンサの前記温度が室温になるまで、前記コンデンサを冷却する工程と、を含み、
前記コンデンサは、前記絶縁層を介して対向する一対の電極をさらに有し、
前記一対の電極の一方を構成する金属材料は、前記一対の電極の他方を構成する金属材料とは異なる仕事関数を有することを特徴とする発電素子の製造方法。
(2)前記強誘電体材料は、チタン酸バリウムである上記(1)に記載の発電素子の製造方法。
(3)前記電圧を印加する工程における前記コンデンサに対する前記電圧の印加の持続時間は、30〜90分である上記(1)または(2)に記載の発電素子の製造方法。
(4)前記コンデンサに対して印加される電圧は、20〜40Vである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の発電素子の製造方法。
(5)前記絶縁層の厚さは、0.5〜2.0μmである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の発電素子の製造方法。
)前記コンデンサは、積層セラミックコンデンサである上記(1)ないし()のいずれかに記載の発電素子の製造方法。
本発明によれば、ラングミュア・ブロジェット法を用いることなく、極めて長い期間、発電を維持することが可能な発電素子を製造することができる。本発明の発電素子の製造方法では、ラングミュア・ブロジェット法を用いる場合のような単分子膜を積層する工程が不要のため、発電素子の生産性を高めることができる。
本発明の発電素子の製造方法において用いられるコンデンサを示す断面図である。 本発明の発電素子の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の発電素子の製造方法における、コンデンサの絶縁層の自発分極の変化を説明するための図である。 積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。 実施例および比較例において用いられるコンデンサのサンプルを示す斜視図である。 実施例において得られた発電素子および比較例のサンプルの起電力の長期特性を示すグラフである。 実施例において得られた発電素子の起電力と表面温度変化との関係を示すグラフである。 実施例において得られた発電素子の起電力の温度依存性を示すグラフである。
以下、本発明の発電素子の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の発電素子の製造方法において用いられるコンデンサを示す断面図である。図2は、本発明の発電素子の製造方法を示すフローチャートである。図3は、本発明の発電素子の製造方法における、コンデンサの絶縁層の自発分極の変化を説明するための図である。図4は、積層セラミックコンデンサの構造を示す断面図である。
<コンデンサ10>
本発明の発電素子の製造方法を説明するのに先立って、本発明の発電素子の製造方法において用いられるコンデンサ10について説明する。
図1に示すように、コンデンサ10は、一対の対向する電極(正極および負極)12と、一対の電極12の間に設けられ、強誘電体材料により構成された絶縁層14とを有する。すなわち、一対の電極12は、絶縁層14を介して対向するよう設けられている。
一対の電極12のそれぞれは、金属材料により構成されている。一対の電極12のそれぞれは、同じ種類の金属材料で構成されていてもよいが、それぞれ異なる仕事関数を有する金属材料で構成されていることが好ましい。一対の電極12を構成する金属材料の仕事関数が異なる場合、電極12間の電位差によって、絶縁層14内の電子および正孔がそれぞれ対応する電極12に輸送されやすくなる。なお、ここでいう「仕事関数」とは、材料表面の外が真空の場合において、材料表面から1個の電子を無限遠まで取り出すのに必要な最小エネルギーのことをいう。
一対の電極12がそれぞれ異なる仕事関数を有する金属材料で構成されている場合、電子は、より大きな仕事関数を有する金属材料により構成された電極12側へ輸送されやすくなり、正孔は、より小さな仕事関数を有する金属材料により構成された電極12側へ輸送されやすくなる。
特に、一方の電極12を構成する金属材料の仕事関数と、他方の電極12を構成する金属材料の仕事関数との差が1.0eV以上であることが好ましく、1.5eV以上であることがさらに好ましい。上述の条件を満足するよう一対の電極12を形成することにより、絶縁層14内の電子および正孔の対応する電極12への輸送を効率よく行うことができる。
電極12の構成材料として使用可能な仕事関数が大きい金属材料としては、例えば、Ni、Pt、Pd等およびこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。一方、電極12の構成材料として使用可能な仕事関数が小さい金属材料としては、例えば、Al、Ag、Au、並びに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類であるLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等、およびこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、一方の電極12をPt(仕事関数=約5.65eV)を用いて構成し、他方の電極12をAl(仕事関数=約4.13eV)を用いて構成することが好ましい。これにより、上述の効果がより顕著に発揮される。
電極12の厚さは、特に限定されないが、0.3〜0.8μm程度であることが好ましく、0.35〜0.6μm程度であることがより好ましい。電極12の厚さが上記下限値未満であると、電極12の構成材料によっては、電極12の強度が不足する場合があり、一方、電極12の厚さが上記上限値を超えると、コンデンサ10が大型化してしまう。
また、電極12のサイズ(縦長、横長)は、特に限定されないが、1.0mm以上であることが好ましく、1.2mm以上であることがより好ましい。電極12のサイズが上記下限値未満であると、電極12の強度が不足する場合がある。
絶縁層14は、一対の対向する電極12の間に設けられ、強誘電体材料により構成されている。図1に示すように、絶縁層14を構成する強誘電体材料は、結晶構造を有している。図1に示す絶縁層14内の矢印は、強誘電体材料の各結晶構造の分極方向を表している。図1に示すように、本発明の発電素子の製造方法を施す前において、強誘電体材料の各結晶構造の分極方向はランダムであり、自然状態において、コンデンサ10の絶縁層14は、全体として、分極を有していない。
絶縁層14を構成する強誘電体材料としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、取り扱いや入手が容易であり、200℃以下の低温域にキュリー温度(T:相転移温度)を有するチタン酸バリウムを、絶縁層14を構成する強誘電体材料として用いることが好ましい。チタン酸バリウムのキュリー温度は、約125℃であり、コンデンサ10の一般的な耐熱温度以下であるため、後述する本発明の発電素子の製造方法の加熱工程を容易に実行することができる。
なお、チタン酸バリウムは、ペロブスカイト(perovskite)形の結晶構造を持ち、キュリー温度未満の温度では正方晶系の結晶構造を有し、キュリー温度以上の温度では立方晶系の結晶構造を有している。キュリー温度未満では、図1に示すように、チタン酸バリウムの各結晶構造は、分極を有している。一方、キュリー温度以上では、チタン酸バリウムの各結晶構造の分極が消滅する。
絶縁層14の厚さは、0.5〜2.0μm程度であることが好ましく、1.0〜1.8μm程度であることが好ましい。また、絶縁層14のサイズ(縦長、横長)は、上述の電極12と同様であることが好ましい。
本発明の発電素子の製造方法は、上述のような構造を有するコンデンサ10に対して施される。次に、本発明の発電素子の製造方法について説明する。
<本発明の発電素子の製造方法>
図2に示す本発明の発電素子の製造方法100は、強誘電体材料により構成された絶縁層14を有するコンデンサ10を、強誘電体材料のキュリー温度以上にまで加熱する加熱工程102と、コンデンサ10の温度がキュリー温度以上に維持された状態で、コンデンサ10に対して電圧を印加する電圧印加工程104と、コンデンサ10に対する電圧の印加が維持された状態で、コンデンサ10の温度を室温にまで冷却する冷却工程106とを含む。また、本発明の発電素子の製造方法100は、冷却工程106の後に、コンデンサ10の一対の電極12同士を短絡(ショート)させ、電圧印加工程104においてコンデンサ10に蓄えられた電荷をリセットする短絡(ショート)工程をさらに含んでいてもよい。
(加熱工程102)
最初に、図1に示すコンデンサ10を、絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上にまで加熱する加熱工程102が実行される。加熱する前のコンデンサ10において、絶縁層14の各結晶構造の分極は、図3(a)に示すように、それぞれ異なる方向を向いている。そのため、加熱する前のコンデンサ10において、絶縁層14は、全体として、分極を有していない。
本工程において、コンデンサ10が、絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上にまで加熱されると、絶縁層14を構成する強誘電体材料の結晶構造が相転移する。その結果、図3(b)に示すように、絶縁層14を構成する強誘電体材料の各結晶構造の分極が消滅する。
本工程における加熱処理は、コンデンサ10の温度が絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上になるまで実行されるが、より具体的には、コンデンサ10の温度が絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度よりも10℃程度高い温度になるまで実行されるのが好ましく、絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度よりも35℃程度高い温度になるまで実行されるのが好ましい。これにより、絶縁層14を構成する強誘電体材料の相転移を確実に発生させることができる。
また、本工程におけるコンデンサ10の加熱時間は、特に限定されないが、30〜90分程度であることが好ましく、50〜70分程度であることがより好ましい。また、本工程は、コンデンサ10が絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上となっている状態を、少なくとも10分以上維持することが好ましい。これにより、絶縁層14を構成する強誘電体材料の相転移を確実に発生させることができる。
コンデンサ10を加熱する方法は特に限定されず、例えば、コンデンサ10をシリコンオイルで満たした容器内に沈め、シリコンオイルを加熱することによってコンデンサ10を加熱してもよいし、コンデンサ10をオーブンやホットプレート等の加熱手段によって直接加熱してもよい。
(電圧印加工程104)
次に、コンデンサ10の温度が、絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上に維持された状態で、コンデンサ10に対し電圧を印加する電圧印加工程104が実行される。
コンデンサ10の温度が、絶縁層14を構成する強誘電体材料のキュリー温度以上に維持された状態で、コンデンサ10の一対の電極12に電圧が印加されると、図3(c)に示すように、強誘電体材料の各結晶構造が印加電圧により変形し、一様な方向を向いた分極が各結晶構造中に発生する。その結果、絶縁層14は、全体として、一方の方向に向いた自発分極(spontaneous polarization)Pを有するようになる。
本工程におけるコンデンサ10に対する印加電圧は、20〜40V程度であることが好ましく、20〜30V程度であることがより好ましい。また、本工程における電圧の印加の持続時間は、30〜90分程度であることが好ましく、40〜80分程度であることがより好ましい。これにより、強誘電体材料の各結晶構造を確実に変形させ、絶縁層14の自発分極Pを確実に生じさせることができる。
(冷却工程106)
次に、コンデンサ10に対する電圧の印加が維持された状態で、コンデンサ10の温度が室温(15〜30℃程度)になるまで、コンデンサ10を冷却する冷却工程106が実行される。本工程では、コンデンサ10の温度が室温にまで低下した後、コンデンサ10に対する電圧の印加を解除する。
本工程では、コンデンサ10に対する電圧の印加が維持された状態で、コンデンサ10の温度が室温(キュリー温度未満)になるまで、コンデンサ10が冷却される(図3(d)参照)。コンデンサ10が室温にまで冷却されると、絶縁層14を構成する強誘電体材料の各結晶構造の分極が維持された状態で、結晶構造が再度相転移する。
温度低下により再度相転移した強誘電体材料の各結晶構造は、安定状態となるため、コンデンサ10に対する電圧の印加が解除されても、強誘電体材料の結晶構造に起因する各結晶構造の分極は残留する。そのため、上述の加熱工程102、電圧印加工程104および冷却工程106を経て得られたコンデンサ10の絶縁層14は、コンデンサ10に対する電圧の印加が解除された後でも、半永久的に自発分極Pを有する(図3(e)参照)。絶縁層14内に半永久的に自発分極Pを生じさせるためのこのような処理を、分極処理といい、分極処理により生じた自発分極Pを残留分極(Residual Polarization)という。
本工程におけるコンデンサ10の冷却時間は特に限定されないが、60〜120分程度であることが好ましく、80〜100分程度であることがより好ましい。これにより、絶縁層14を構成する強誘電体材料の各結晶構造の再度の相転移を確実に発生させることができ、絶縁層14の自発分極Pを確実に生じさせることができる。
また、本工程におけるコンデンサ10の冷却速度は特に限定されないが、1〜80℃/分であることが好ましく、1.5〜60℃/分であることがより好ましい。コンデンサ10の冷却速度が上記下限値未満であると、工程に要する時間が長くなり、発電素子の生産性が低下する傾向があり、一方、コンデンサ10の冷却速度が上記上限値を超えると、強誘電体材料の各結晶構造の相転移が不安定になる場合がある。
なお、コンデンサ10を冷却する方法は特に限定されず、例えば、加熱されたコンデンサ10を室温雰囲気中に放置することによりコンデンサ10を冷却してもよいし、水やガス等の冷媒にコンデンサ10を晒すことによりコンデンサ10を冷却してもよい。
なお、上述のような半永久的な自発分極Pが絶縁層14内に生じると、コンデンサ10の誘電率が低下する。そのため、コンデンサ10の誘電率の変化を測定することにより、半永久的な自発分極Pが絶縁層14内に生じたか否かを確認することができる。
本発明の発電素子の製造方法100を経て得られたコンデンサ10は、一対の電極12と、一対の電極12の間に設けられ、半永久的に自発分極Pを有する絶縁層14とを有する。半永久的に自発分極Pを有する絶縁層14では、一方の表面付近に電子が局在し、他方の表面付近に正孔が局在する。そのため、絶縁層14に対してわずかなエネルギーを付与するだけで、絶縁層14の表面付近に局在する電子または正孔をそれぞれ対応する電極12に輸送することができる。
このように、絶縁層14の表面付近に局在する電子または正孔をそれぞれ対応する電極12に輸送するために要求されるエネルギーは極めて小さい。そのため、このようなコンデンサ10は、電極12または絶縁層14を構成する材料分子自身の熱エネルギー(熱振動)を利用して、電子または正孔をそれぞれ対応する電極12に輸送することができる。すなわち、このようなコンデンサ10は、電極12または絶縁層14を構成する材料分子自身の熱エネルギーを利用して(吸熱して)、発電を実行する発電素子としての機能を有することとなる。以下、本発明の発電素子の製造方法が施されたコンデンサ10を発電素子という。
このようにして得られた発電素子の発電能力は、絶縁層14の半永久的な自発分極Pに由来するものである。そのため、自発分極Pがエージングで自然消滅するまでの長期間、発電素子は発電を維持することができる。自発分極Pがエージングで自然消滅するまで期間は、絶縁層14を構成する強誘電体材料の種類によるが、強誘電体材料としてチタン酸バリウムを用いた場合、200日以上の極めて長い期間、自発分極Pが維持される。そのため、本発明の発電素子の製造方法100によって得られる発電素子は、極めて長い期間にわたって、発電を維持することができる。
なお、本発明の発電素子の製造方法100において用いられるコンデンサ10は、図1に示すような、一対の電極12と、一対の電極12の間に設けられ、強誘電体材料により構成された絶縁層14とを有するものとして説明したが、本発明はこれに限られず、少なくとも一対の電極と、該電極の間に設けられた強誘電体材料により構成された絶縁層とを有するコンデンサであれば、任意のコンデンサを本発明の発電素子の製造方法100において用いることができる。
例えば、図4に示すように、複数対の内部電極12´と、該複数対の内部電極12´の間に設けられたセラミック層14´と、内部電極12´の側面端部に接するよう形成される下地電極層16と、下地電極層16の表面に形成されるめっき層18とを有する積層セラミックコンデンサ10´を、コンデンサ10として用いてもよい。
この場合、セラミック層14´は、上述の絶縁層14を構成する強誘電体材料と同様の材料で構成されている。そのため、上述の本発明の発電素子の製造方法100をこのような積層セラミックコンデンサに適用することにより、発電素子を製造することができる。このような積層セラミックコンデンサ10´を用いることにより、優れた発電能力を有する発電素子の発電能力を得ることができる。
なお、本発明の発電素子の製造方法100は、上述の加熱工程102、電圧印加工程104および冷却工程106を経て得られた発電素子の一対の電極12を短絡(ショート)させ、電圧印加工程104においてコンデンサ10内に蓄えられた電力をリセットする短絡(ショート)工程をさらに含んでいてもよい。この短絡(リセット)工程は、電圧印加工程104により発電素子に蓄えられた電力をリセットし、発電素子の初期電圧を調整するために実行される工程であり、省略可能である。
<実施例>
以下、実施例に基づいて、本発明の発電素子の製造方法100によって得られる発電素子をより具体的に説明する。
図5は、実施例および比較例において用いられるコンデンサのサンプルを示す斜視図である。図6は、実施例において得られた発電素子および比較例のサンプルの起電力の長期特性を示すグラフである。図7は、実施例において得られた発電素子の起電力と表面温度変化との関係を示すグラフである。図8は、実施例において得られた発電素子の起電力の温度依存性を示すグラフである。
[実施例]
1.発電素子の製造
<1>コンデンサの用意
本発明の発電素子の製造方法100において用いられるコンデンサとして、上述のコンデンサ10を30個並列接続して得られたサンプルを用意した(図5参照)。該サンプルのサイズは、縦10.6mm×横17.6mmであり、各コンデンサ10の電極12には端子20が接続されている。
サンプルを構成する各コンデンサ10の各種性能は以下の通りであった。
コンデンサの種類 :積層セラミックコンデンサ
サイズ :3.2mm×1.6mm×1.6mm
静電容量 :100μF(公差+30%、−80%)
積層数 :1200
絶縁層14を構成する強誘電体材料の種類:チタン酸バリウム
絶縁層14の比誘電率 :2000
1層あたりの絶縁層14の厚さ :0.5μm
各電極12の厚さ :0.4μm
各電極12のサイズ :2mm×1.2mm
なお、サンプル全体としての合成静電容量を測定したところ、サンプルの合成静電容量は、1466μFであった。
<2>加熱工程
次に、用意したサンプルをシリコンオイルで満たした容器内に沈め、シリコンオイルを60分間加熱することにより、サンプルの温度が160℃になるまで、サンプルを加熱した。
<3>電圧印加工程
次に、サンプルの温度を160℃に維持しつつ、サンプルに対し25Vの電圧を90分間印加した。
<4>冷却工程
次に、サンプルに対し25Vの電圧を印加した状態で、サンプルをシリコンオイルから引き上げ、25℃の室温雰囲気中に90分間放置した。その後、サンプルの温度が25℃の室温にまで低下したことを確認した後、サンプルに対する電圧の印加を解除することにより、発電素子を得た。
また、得られた発電素子の静電容量の変化を確認したところ、サンプル全体としての合成静電容量が1466μFから663μFに低下していた。これは、各コンデンサ10の絶縁層14内に半永久的な自発分極Pが生じたことを示している。
[比較例]
上述の実施例と同じサンプルを用意し、その後、該サンプルに25Vの電圧を90分間印加したものを発電素子とした。
2.評価
実施例の発電素子および比較例のサンプルの起電力の長期特性を、以下の条件にて測定した。
実施例の発電素子および比較例のサンプルの双方の初期電圧が130mVとなるよう、実施例の発電素子および比較例のサンプルの電極を短絡(ショート)させ、電圧印加処理において各コンデンサ10内に蓄積された電力をリセットし、実施例の発電素子および比較例のサンプルの初期電圧が約130mVとなるようにした。
その後、実施例の発電素子および比較例のサンプルの端子20間に10GΩの負荷抵抗を接続し、25℃雰囲気下において、実施例の発電素子および比較例のサンプルの電圧を計測した。得られた計測結果を図6に示す。
図6から明らかなように、実施例の発電素子は、220日間という極めて長い期間、安定した出力を維持し続けていた。実施例の発電素子は、約0.25ccの体積で、220日間にわたって、約1.7pWの電力を発電し続け、負荷抵抗に供給し続けたことになる。
一方、比較例のサンプルでは、急速に電圧低下が発生した。前述のように端子20間には、負荷抵抗が接続されているので、約130mVの初期電圧が負荷抵抗により消費され、比較例のサンプルの電圧が急激に0になったものと考えられる。この結果は、比較例のサンプルが単なるコンデンサであり、発電能力を有していないことを示している。
このように、実施例の発電素子の電圧は、極めて長い期間、初期電圧を維持し、ほとんど下がっていないことがわかる。これは、ラングミュア・ブロジェット法を用いて得られる従来技術における発電素子と同様に、実施例の発電素子が、発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子自身の熱エネルギー(熱振動)を利用して、発電を行っているためと考えられる。
3.検証
本発明者は、実施例の発電素子が、発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子自身の熱エネルギー(熱振動)を利用して、発電を行う現象を検証するために、25℃雰囲気下における実施例の発電素子の起電力と発電素子の表面温度変化との関係を確認した。図7は、計測により得られた実施例の発電素子の起電力と表面温度変化の関係を示している。
図7から明らかなように、実施例の発電素子が発電を開始したとき(すなわち、発電素子の端子同士の短絡(ショート)を開放したとき)、発電素子の表面温度が急激に低下している。この結果は、実施例の発電素子が発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子の熱エネルギー(熱振動)を利用して(吸熱して)、発電を実行したことを示している。
さらに、本発明者は、実施例の発電素子が、発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子自身の熱エネルギー(熱振動)を利用して、発電を行うのであれば、発電素子周辺の雰囲気の温度が高ければ、発電素子を構成する材料分子の熱エネルギーも増大し、発電素子の起電力も高くなるであろうと予想した。この予想の検証のため、端子20間に負荷抵抗(10GΩ)を接続した状態において、発電素子周辺の雰囲気の温度を変化させて、発電素子の起電力を計測することにより、発電素子の起電力の温度依存性を確認した。図8は、計測により得られた実施例の発電素子の起電力の温度依存性を示している。
図8から明らかなように、発電素子周辺の雰囲気の温度が上昇するにつれ、発電素子の起電力が増加している。この結果は、発電素子が発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子の熱エネルギー(熱振動)を利用して発電を実行したことを示している。
このように、実施例の発電素子は、発電素子(電極12および絶縁層14)を構成する材料分子の熱エネルギー(熱振動)というわずかな熱エネルギーを利用して、極めて長い期間、発電を維持することができる。このような特性は、ラングミュア・ブロジェット法を用いて得られる従来技術における発電素子と同様の特性であり、本発明の発電素子の製造方法により得られる発電素子は、産業上非常に有用である。
本発明の発電素子の製造方法は、ラングミュア・ブロジェット法を用いずに、極めて長い期間、発電を維持することが可能な発電素子を製造することができる。また、本発明の発電素子の製造方法では、ラングミュア・ブロジェット法を用いる場合のような単分子膜を積層する工程が不要のため、産業上非常に有用な上述の発電素子の生産性を高めることができる。
以上、本発明の発電素子の製造方法および本発明の発電素子の製造方法を用いて製造される発電素子を実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の発電素子の製造方法において、任意の目的で、1以上の工程を追加することができる。また、本発明の発電素子の製造方法において用いられるコンデンサに、任意の構成を付加することができる。
10…コンデンサ(発電素子)
10´…積層セラミックコンデンサ
12…電極
12´…内部電極
14…絶縁層
14´…セラミック層
16…下地電極層
18…めっき層
20…端子
100…発電素子の製造方法
102…加熱工程
104…電圧印加工程
106…冷却工程
P…自発分極

Claims (6)

  1. 強誘電体材料により構成された絶縁層を有するコンデンサを、前記強誘電体材料のキュリー温度以上にまで加熱する工程と、
    前記コンデンサの温度が前記キュリー温度以上に維持された状態で、前記コンデンサに対して電圧を印加する工程と、
    前記コンデンサに対する前記電圧の印加が維持された状態で、前記コンデンサの前記温度が室温になるまで、前記コンデンサを冷却する工程と、を含み、
    前記コンデンサは、前記絶縁層を介して対向する一対の電極をさらに有し、
    前記一対の電極の一方を構成する金属材料は、前記一対の電極の他方を構成する金属材料とは異なる仕事関数を有することを特徴とする発電素子の製造方法。
  2. 前記強誘電体材料は、チタン酸バリウムである請求項1に記載の発電素子の製造方法。
  3. 前記電圧を印加する工程における前記コンデンサに対する前記電圧の印加の持続時間は、30〜90分である請求項1または2に記載の発電素子の製造方法。
  4. 前記コンデンサに対して印加される電圧は、20〜40Vである請求項1ないし3のいずれかに記載の発電素子の製造方法。
  5. 前記絶縁層の厚さは、0.5〜2.0μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の発電素子の製造方法。
  6. 前記コンデンサは、積層セラミックコンデンサである請求項1ないしのいずれかに記載の発電素子の製造方法。
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