以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100の分解斜視図である。
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下では、Z軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることに限定されない。なお、ここで言う上下方向とは、重力が働く方向を下方向としたときに定められる方向である。また、これらの図におけるX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれについて、矢印の先の方向をプラス側とし、その反対側の方向をマイナス側とする。以下の図においても同様である。
これらの図に示すように、蓄電装置100は、外装体200と、回路基板300と、1以上(本実施の形態では8つ)の蓄電素子400とを備える。
外装体200は、内方の空間S10に、1以上の蓄電素子400及び回路基板300を収容する箱状の部材である。外装体200は、密閉状態の空間S10を形成し、当該空間S10に複数の蓄電素子400を収容する。
外装体200は、複数の蓄電素子400及び回路基板300の外方に配置される、蓄電装置100の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体200は、複数の蓄電素子400及び回路基板300を所定の位置に配置し、複数の蓄電素子400及び回路基板300を衝撃等から保護する。また、外装体200は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属製の部材により構成されている。
ここで、外装体200は、外装体200の蓋体を構成する第一外装部210と、外装体200の本体を構成する第二外装部220とを有している。第一外装部210は、平板状の部材である。第二外装部220は、有底四角筒状の外装体本体である。また、第二外装部220は、内方の空間S10を第一空間S11と第二空間S12とに仕切る仕切板250を有する。第二外装部220は、複数の蓄電素子400を第一空間S11内に収容し、回路基板300を第二空間S12内に収容する。
なお、第一外装部210と第二外装部220とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていても構わない。
また、外装体200は、外部正極コネクタ110及び外部負極コネクタ120を有する。外部正極コネクタ110及び外部負極コネクタ120は、第二外装部220のX軸方向マイナス側の側面に設けられる。外部正極コネクタ110及び外部負極コネクタ120は、外部の負荷へ蓄電装置100に蓄えられた電力を供給するために外部負荷に接続される端子、又は、外部の電力源から供給される電力を蓄電装置100に蓄えるために外部電源に接続される端子である。なお、外部正極コネクタ110及び外部負極コネクタ120は、外装体200に設けられていればよく、例えば、第一外装部210に設けられていてもよい。
また、第一外装部210は、第一接合部211を有しており、第二外装部220は、第二接合部221を有している。そして、外装体200は、第一外装部210の第一接合部211と、第二外装部220の第二接合部221とが、複数(本実施の形態では8つ)の固定部230により互いに固定されている。また、外装体200は、第一接合部211及び第二接合部221に複数の貫通部240を有する。なお、外装体200の構成の詳細については、後述する。
次に、蓄電素子400の構成について、詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子400の構成を示す斜視図である。具体的には、同図は、蓄電素子400の容器460の蓋部461と本体462とを分離した、分解斜視図である。
同図に示すように、蓄電素子400は、容器460、正極端子410及び負極端子420を備えている。また、容器460内方には、電極体450、正極集電体430及び負極集電体440が配置されている。なお、容器460の内部には電解液等の液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
容器460は、金属からなる矩形筒状で底を備える本体462と、当該本体の開口を閉塞する金属製の蓋部461とで構成されている。容器460は、電極体450等を内部に収容後、蓋部461と本体462とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。また、蓄電素子400の容器460には、蓄電素子400が過充電されたとき、内部短絡が起こったとき等の異常時に容器460の内部で発生したガスを排出するための安全弁470が設けられている。複数の蓄電素子400は、容器460の上方(つまり蓋部461)がZ軸方向を向くように配置された状態で、X軸方向に4つずつ2列に並べられる。
電極体450は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる発電要素である。具体的には、電極体450は、正極と負極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものを巻回されて形成された巻回型の電極体である。なお、電極体450は、平板状極板を積層した積層型の電極体であってもかまわない。
ここで、正極は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に正極活物質層が形成された電極板であり、負極は、銅又は銅合金等からなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に負極活物質層が形成された電極板であり、セパレータは、微多孔性のシートである。なお、蓄電素子400に用いられる正極、負極及びセパレータは、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、蓄電素子400の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器460に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子400の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
正極端子410は、正極集電体430を介して、電極体450の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子420は、負極集電体440を介して、電極体450の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子410及び負極端子420は、電極体450に蓄えられている電気を蓄電素子400の外部空間に導出し、また、電極体450に電気を蓄えるために蓄電素子400の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
正極集電体430は、電極体450の正極と容器460の側壁との間に配置され、正極端子410と正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体430は、正極の正極集電箔と同様、アルミニウム又はアルミニウム合金等で形成されている。また、負極集電体440は、電極体450の負極と容器460の側壁との間に配置され、負極端子420と電極体450の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体440は、負極の負極集電箔と同様、銅又は銅合金等で形成されている。
また、複数の蓄電素子400のそれぞれは、異極端子同士が金属製の板状部材であるバスバー(図示せず)により接続される。つまり、複数の蓄電素子400は、バスバーにより直列接続される。バスバーにより直列接続された複数の蓄電素子400は、正極側が外部正極コネクタ110に接続され、負極側が回路基板300を介して外部負極コネクタ120に接続される。
また、回路基板300は、第二外装部220の第二空間S12に収納されている。回路基板300は、複数の蓄電素子400の充電状態や放電状態等の電気的な状態を監視したり、複数の蓄電素子400の充放電を制御したりする機能を有する。
図4は、本発明の実施の形態に係る外装体200の2つの外装部210、220の接合について説明するための図である。図5は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100の通常時における断面図である。具体的には、図5の(a)は、図1の蓄電装置100のA−A断面図である。図5の(b)は、図5の(a)の領域a1を拡大した拡大図である。
図1、図2、及び図4に示すように、第一外装部210及び第二外装部220は、第一接合部211及び第二接合部221が複数の固定部230により互いに固定されることで、固定されている。
第一接合部211は、第一外装部210の外周部分であって、第二接合部221と面接触する部分である。また、上述したように、第一外装部210は、平板状の部材である。これらのことから、第二接合部221に重なる外装体200の第一面A1と、空間S10を形成している外装体200の第二面A2とは、同一平面上にある。
第二接合部221は、第二外装部220の開口部よりX軸方向の両外側及びY軸方向の両外側に向かって延びるように設けられたフランジ状の部位である。つまり、第二接合部221は、第二外装部220のX軸方向の両側の側面及びY軸方向の両側の側面に対して略垂直に設けられる、X−Y平面に略平行な板状の部位である。これにより、平板状の第一外装部210の一部である第一接合部211と、第二外装部220の平板状の第二接合部221とは、第二外装部220の開口部の外側において面接触することができる。
つまり、第一接合部211及び第二接合部221は、具体的には、第一外装部210及び第二外装部220を面接触させることにより、空間S10を密閉するフランジ部である。このため、第一外装部210及び第二外装部220は、互いに面接触している接触領域R1を有する。
また、第一外装部210及び第二外装部220は、第一接合部211及び第二接合部221の固定領域R2において、互いに固定されている。ここで、固定領域R2は、複数の固定部230により固定されている領域であり、第一接合部211及び第二接合部221が互いに離れないように維持されている領域である。つまり、外装体200は、固定領域R2において、第一外装部210及び第二外装部220を固定する複数の固定部230を有する。複数の固定部230は、空間S10の周囲に沿って環状に並んで配置されている。つまり、第一外装部210及び第二外装部220は、空間S10の外側に空間S10の周囲に沿って環状に並んで配置される複数の固定部230により、互いに固定されている。
複数の固定部230のそれぞれは、図5の(b)に示すように、第一接合部211のZ軸方向プラス側に配置されるボルト231と、第二接合部221のZ軸方向マイナス側に配置されるナット232とを有する。ボルト231及びナット232は、互いに螺合することで、Z軸方向で第一接合部211及び第二接合部221を挟み込むことにより、第一接合部211及び第二接合部221を互いに固定する締結部材である。
なお、図4において、接触領域R1は、ドットが疎であるハッチング、及び、ドットが密であるハッチングの両方の領域であり、固定領域R2は、ドットが密であるハッチングの領域である。つまり、本実施の形態では、固定領域R2は、接触領域R1に含まれる領域である。
ここで、第一接合部211及び第二接合部221には、複数の固定部230と空間S10との間に、複数(本実施の形態では8つ)の貫通部240が形成されている。なお、ここで言う、複数の固定部230と空間S10との間とは、固定領域R2と空間S10との間を含む。また、複数の貫通部240は、複数の固定部230の間に形成されている。具体的には、複数の貫通部240のそれぞれは、空間S10の周囲に沿って、複数の固定部230のそれぞれと交互に並んで形成されている。つまり、複数の貫通部240のそれぞれと、複数の固定部230のそれぞれとは、空間S10を囲うように環状に並んで、配置されている。
本発明の蓄電装置における外装体は、固定部より空間の方向に貫通部を有していることが好ましい。これにより、固定部の間からガスを逃がす前に、貫通部においてガスを排出することができる。よって、衝撃などの強度を上げるために固定部を強固にした場合であっても、ガスを外部に排出することができる。
複数の貫通部240のそれぞれは、上側貫通孔241及び下側貫通孔242を有する。ここで、下側貫通孔242は、第一接合部211及び第二接合部221のうち、下側の接合部である第二接合部221を貫通して形成された貫通孔である。上側貫通孔241は、下側貫通孔242が形成された位置に、第一接合部211及び第二接合部221のうち上側の接合部である第一接合部211を貫通して形成された貫通孔である。上側貫通孔241及び下側貫通孔242は、上面視において矩形状であり、第一接合部211及び第二接合部221が互いに複数の固定部230により固定された状態で、Z軸方向に重なるように形成される。つまり、複数の貫通部240は、上側貫通孔241の内面と、下側貫通孔242の内面とが同一面上にあるように、形成されている。
また、第一接合部211及び第二接合部221は、複数の貫通部240と空間S10との間で接触している。つまり、接触領域R1は、第一接合部211及び第二接合部221が形成されている領域であって、複数の貫通部240よりも空間S10側の領域を少なくとも含む。要するに、蓄電装置100では、空間S10、接触領域R1、貫通部240、及び固定部230(固定領域R2)がこの順で並んで配置されている部分を少なくとも含む。つまり、第一外装部210及び第二外装部220には、接触領域R1よりも空間S10とは反対側において第一外装部210及び第二外装部220を固定している複数の固定部230(固定領域R2)が設けられている。
固定領域R2は、より具体的には、例えば、複数の固定部230を結ぶ仮想的な線を中心とする領域であって、所定の幅を有する帯状の領域(図4のドットが密であるハッチングの領域)である。この場合、複数の固定部を結ぶ仮想的な線とは、複数の固定部のうち互いに隣接する2つの固定部間を結ぶ直線としてもよいし、互いに隣接する固定部の間で1以下の変曲点を有する曲線であって、複数の固定部の全て又は一部を緩やかにつなぐ曲線としてもよい。
また、第一接合部211の外周縁の形状と、第二接合部221の外周縁の形状とは、略同一である。つまり、第一接合部211と第二接合部221とは、互いの外周縁の形状が一致するように重なりあった状態で、固定されることができる構成である。なお、第一接合部と第二接合部とは、必ずしも、互いの外周縁が略同一の形状でなくてもよく、第二外装部の開口部の外側(つまり、空間の外側)で接触する形状であればよい。
次に、蓄電装置100の異常時において、蓄電素子400からガスが発生したときに、発生したガスを空間S10から外部の空間S20に排出するメカニズムについて説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100の異常時における断面図である。具体的には、図6の(a)は、異常時に蓄電素子400からガスが排出されて、空間S10が高圧になった場合の、図5の(a)のA−A断面図に対応する断面図である。図6の(b)は、図6の(a)の領域a2を拡大した拡大図である。なお、領域a2は、領域a1に対応する領域である。
蓄電素子400からガスが排出されて、空間S10の内部が高圧になった場合、外装体200が膨らむように変形する。特に、外装体200のうち、第一外装部210は、平板状の部材であるため、図6の(a)に示すように、空間S10の外側に向けて膨らみやすい。これにより、図6の(b)に示すように、空間S10の内部のガスの圧力が上昇した場合に、第一接合部211及び第二接合部221との接触した部分(接触領域R1の部分)は、分離され、空間S10の内部のガスを上側貫通孔241及び下側貫通孔242(つまり、貫通部240)から排出させることができる。なお、接触した部分を分離する圧力は当業者が適宜設定することができる。
なお、説明の便宜上、図6において、第二外装部220は変形していないが、X軸方向及びY軸方向に面する4つの側面と、底面とが空間S10の外側に向かって膨らむように変形する。もちろん、第二外装部220は、空間S10の圧力が上昇してもあまり変形しないように剛性が大きい材料又は構造で構成してもよい。
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100によれば、外装体200は、複数の固定部230により固定されている第一接合部211及び第二接合部221には、複数の固定部230(固定領域R2)と空間S10との間に複数の貫通部240が形成されており、かつ、第一接合部211及び第二接合部221が、複数の貫通部240と空間S10との間で接触する構成である。つまり、複数の固定部230、複数の貫通部240、第一接合部211及び第二接合部221が接触している接触部分(つまり、接触領域R1)及び空間S10は、この順に並んで設けられている。このように、複数の固定部230よりも空間S10に近い側の接触領域R1で密着することにより空間S10が形成されているため、空間S10の内部でガスが発生する等して空間S10の内部の圧力が上昇した場合に、第一接合部211及び第二接合部221の少なくとも一方(特に第一接合部211)を接触領域R1において変形させることができる。これにより、接触領域R1において第一接合部211及び第二接合部221の間に空間を生じさせることができ、貫通部240と空間S10とを連通させることができる。このため、ガスを排出させるための弁を外装体200に別途設けることなく、外装体200に当該弁と同等の機能を持たせることができる。つまり、蓄電装置100は、単純な構成で実現でき、かつ、外装体200の空間S10内のガスを外装体200の外部に排出させることができる。
また、第一接合部211と第二接合部221とは、複数の固定部230により固定され、貫通部240は、複数の固定部230の間に形成されている。つまり、複数の固定部230が設けられているため、第一接合部211及び第二接合部221をより強固に固定できる。また、複数の固定部230の間に、貫通部240を形成することで、貫通部240と固定部230との間の距離を確保できる。このため、2つの接合部211、221の幅を狭くすることができ、蓄電装置100の構成をコンパクトにできる。
また、貫通部240は、空間S10の周囲に沿って、複数の固定部230のそれぞれと交互に並んで複数形成されている。蓄電装置100は、空間S10の内部の圧力の上昇に伴い、空間S10の内部のガスを排出する構成であるため、空間S10の周囲に沿って複数の貫通部240を配置することで、より多くの貫通部240を設けることができる。これにより、空間S10の内部の圧力が所定値以上になった場合に、複数の貫通部240を通じて効率よく空間S10の内部のガスを排出することができる。
また、第二接合部221に重なる外装体200の第一面A1と、空間S10を形成している外装体200の第二面A2とは、同一平面上にある。つまり、外装体200は、第一面A1及び第二面A2が同一平面上になるように形成されているため、空間S10の内部の圧力が上昇した場合に、第二面A2の変形とともに第一面A1が変形しやすい。このため、空間S10の内部の圧力が所定値以上になった場合に、貫通部240を通じて効率よく空間S10の内部のガスを排出することができる。
また、貫通部240は、第一接合部211及び第二接合部221のうち、下側の第二接合部221を貫通して形成された下側貫通孔242と、下側貫通孔242が形成された位置に、第一接合部211及び第二接合部221のうち、上側の第一接合部211を貫通して形成された上側貫通孔241とを、有する。つまり、上側貫通孔241及び下側貫通孔242は、同じ位置に形成されるため、互いに重なる。このため、蓄電装置100よりも上方から落ちてくる雨等の水滴や、粉じん等の異物を第一接合部211及び第二接合部221よりも下方に落下させることができる。これにより、異物により第一接合部211及び第二接合部221が腐食する等の不具合を防ぐことができる。
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置100について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施の形態では、第一接合部211及び第二接合部221の両方に貫通孔241、242が形成された貫通部240が採用されているが、これに限らずに、上側貫通孔241がない貫通部240aが採用されてもよい。
図7Aは、本発明の変形例に係る蓄電装置100aの図5の領域a1に対応する領域の拡大図である。
図7Aに示すように、第一接合部211aに貫通孔が形成されていない第一外装部210aが採用されている。つまり、貫通部240aは、第一接合部211a及び第二接合部221のうち、下側の第二接合部221に形成されている下側貫通孔242のみからなる。なお、第二外装部220及び固定部230は、実施の形態の蓄電装置100と同様の構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。このような形態の蓄電装置100aであっても、空間S10の内部の圧力が上昇した場合には、第一外装部210aが変形することにより、実施の形態の蓄電装置100と同じメカニズムで第一接合部211a及び第二接合部221とが接触領域R1において分離するため、下側貫通孔242を通じて空間S10の内部のガスを外部の空間S20に排出することができる。また、下側の第二接合部221のみに貫通部240aが形成されているため、蓄電装置100aよりも上方から落ちてくる雨等の水滴や、粉じん等の異物が貫通部240aを通じて空間S10の内部に侵入することを低減できる。
なお、蓄電装置100aでは、第一外装部210aが上側に配置される構成であるが、第二外装部が上側に配置される構成である場合には、貫通孔が形成された第一外装部と、貫通孔が形成されていない第二外装部とで構成される外装体を採用してもよい。
また、上記実施の形態では、上側貫通孔241と下側貫通孔242とが同じ位置、かつ、同じ形状で重なって形成されている貫通部240が採用されているが、これに限らずに、下側貫通孔242bが上側貫通孔241よりも大きい貫通部240bが採用されてもよい。
図7Bは、本発明の変形例に係る蓄電装置100bの図5の領域a1に対応する領域の拡大図である。
図7Bに示すように、第二接合部221bに上側貫通孔241よりも大きい下側貫通孔242bが形成されている第二外装部220bが採用されている。また、下側貫通孔242bは、上側貫通孔241を内包する位置に形成されている。なお、第一外装部210及び固定部230は、実施の形態の蓄電装置100と同様の構成であるため、同じ符号を付して説明を省略する。このような形態の蓄電装置100bであっても、空間S10の内部の圧力が上昇した場合には、第一外装部210が変形することにより、実施の形態の蓄電装置100と同じメカニズムで第一接合部211及び第二接合部221bとが接触領域R1において分離するため、上側貫通孔241及び下側貫通孔242b(つまり、貫通部240b)を通じて空間S10の内部のガスを外部の空間S20に排出することができる。また、下側貫通孔242bが上側貫通孔241よりも大きい形状であるため、第一接合部211及び第二接合部221bの境界を下側に向けることができる。つまり、蓄電装置100bよりも上方から落ちてくる雨等の水滴や、粉じん等の異物が第一接合部211及び第二接合部221bの境界に溜まることを防ぐことができる。これにより、異物が貫通部240bを通じて空間S10の内部に侵入することを低減できる。
なお、蓄電装置100bでは、第一外装部210が上側に配置される構成であるが、第二外装部が上側に配置される構成である場合には、第一外装部に形成される貫通孔が第二外装部に形成される貫通孔よりも大きい構成の貫通部を採用してもよい。
なお、図7Aや図7Bで示した蓄電装置100a、100bでは、水滴や粉じん等の異物のような落下物を考慮して、蓄電装置100a、100bが使用時に設置されている状態における向きに応じて、貫通孔を形成する位置を変更している。しかしながら、落下物を考慮しなくてもよい環境であれば、上下の向きに応じて貫通孔を形成する位置を変更した外装体を採用しなくてもよい。つまり、蓄電装置100a、100bの上下の向きは、限定されない。
また、上記実施の形態では、固定領域R2が接触領域R1に含まれる領域であるが、これに限らずに、固定領域R12と接触領域R11とが分離されている構成であってもよい。
図7Cは、本発明の変形例に係る蓄電装置100cの図5の領域a1に対応する領域の拡大図である。
図7Cに示すように、第二接合部221cの固定領域R12と接触領域R11とは段差が設けられている。また、第一外装部210は、実施の形態の蓄電装置100と同様の構成である。つまり、蓄電装置100cは、第一接合部211と第二接合部221cとが固定領域R12において接触していない構成であり、固定領域R12と接触領域R11とが別々の領域である。なお、第一接合部211と第二接合部221cとが固定領域R12において離れている場合であっても、第一接合部211及び第二接合部221cを固定できる長さのボルト231aの固定部230aが採用されている。また、蓄電装置100cは、第二外装部220cの第二接合部221cに段差が設けられている以外の構成は、実施の形態の蓄電装置100と同じであるため、同じ符号を付して説明を省略する。
また、上記実施の形態では、第一接合部211及び第二接合部221は、空間S10よりもX軸方向の両外側及びY軸方向の両外側に向かって延びるように設けられたフランジ状の部位であるが、これに限らない。例えば、図8及び図9に示すように、フランジ状に形成されない第一接合部211d及び第二接合部221dが採用された蓄電装置100dであってもよい。
図8は、本発明の他の変形例に係る蓄電装置100dの斜視図である。図9は、本発明の他の変形例に係る蓄電装置100dの通常時における断面図である。具体的には、図9の(a)は、図8の蓄電装置100のB−B断面図である。図9の(b)は、図9の(a)の領域a3を拡大した拡大図である。
これらの図に示すように、第一外装部210dは、Z軸方向マイナス側に面が形成されずに開口を有する、有底四角筒状の蓋体である。また、第二外装部220dは、Z軸方向プラス側に面が形成されずに開口を有する、有底四角筒状の外装体本体である。そして、外装体200dは、第一外装部210dのZ軸方向マイナス側の筒状の一部である第一接合部211dが、第二外装部220dのZ軸方向プラス側の筒状の一部である第二接合部221dの外周面に接した状態で、複数の固定部230dにより互いに固定されている。つまり、第一接合部211dの内周面と第二接合部221dの外周面とは、互いに接している。このため、第一外装部210d及び第二外装部220dは、互いに面接触している接触領域R21を有する。また、外装体200dは、第一接合部211dに複数の貫通部240dを有する。
図9に示すように、第一外装部210d及び第二外装部220dは、第一接合部211d及び第二接合部221dの固定領域R22において、互いに固定されている。ここで、固定領域R22は、複数の固定部230dにより固定されている領域であり、第一接合部211d及び第二接合部221dが互いに離れないように維持されている領域である。つまり、外装体200dは、固定領域R22において、第一外装部210d及び第二外装部220dを固定する複数の固定部230dを有する。複数の固定部230dは、空間S10dの周囲に沿って環状に並んで配置されている。つまり、第一外装部210d及び第二外装部220dは、空間S10dの外側に空間S10dの周囲に沿って環状に並んで配置される複数の固定部230dにより、互いに固定されている。
複数の固定部230dのそれぞれは、空間S20側に配置されるボルト231dと、空間S10d側に配置されるナット232dとを有する。ボルト231d及びナット232dは、実施の形態のボルト231及びナット232と同様の構成であるので説明を省略する。
ここで、第一接合部211d及び第二接合部221dには、接触領域R21を含む面上における、複数の固定部230dと空間S10dとの間に、複数(本変形例では10つ)の貫通部240dが形成されている。複数の貫通部240dは、第一接合部211dのみに形成されている貫通孔241dである。なお、ここで言う、複数の固定部230dと空間S10dとの間とは、固定領域R22と空間S10dとの間を含む。
図10は、本発明の他の変形例に係る蓄電装置100dの異常時における断面図である。具体的には、図10の(a)は、異常時に蓄電素子400dからガスが排出されて、空間S10dが高圧になった場合の、図9の(a)のB−B断面図に対応する断面図である。図10の(b)は、図10の(a)の領域a4を拡大した拡大図である。なお、領域a4は、領域a3に対応する領域である。
蓄電素子400dからガスが排出されて、空間S10dの内部が高圧になった場合、外装体200dが膨らむように変形する。このとき、第二接合部221dよりも外側に配置される第一接合部211dを有する第一外装部210dは、外側に向かって膨らむことになる。これにより、図10の(b)に示すように、空間S10dの内部のガスの圧力が上昇した場合に、第一接合部211d及び第二接合部221dとの接触した部分(接触領域R21の部分)は、分離され、空間S10dの内部のガスを貫通部240dから排出させることができる。
なお、説明の便宜上、図10において、第二外装部220dは変形していないが、X軸方向及びY軸方向に面する4つの側面と、底面とが空間S10dの外側に向かって膨らむように変形する。もちろん、第二外装部220dは、空間S10dの圧力が上昇してもあまり変形しないように、第一外装部210dよりも剛性が大きい材料又は構造で構成することで、第一接合部211d及び第二接合部221dを容易に分離できる。
また、上記実施の形態では、第一面A1と第二面A2とは、同一平面上にあるが、厳密に同一平面上になくてもよい。例えば、第一面が形成されている第一部分と、第二面が形成されている第二部分とは、一体の板状の部材であれば、空間の圧力の上昇に伴い第二部分が膨らんだときに、第二部分の変形に伴い第一部分が変形しやすい。このように、第二部分の変形に伴い第一部分が変形するような構成であれば、第一面及び第二面が同一平面上になくてもよい。
また、上記実施の形態では、第一外装部210及び第二外装部220は、別体の部材で構成されているが、一部で互いにつながっている一体の構成であってもよい。つまり、第一接合部211及び第二接合部221は、空間S10を囲うように形成されているが、空間S10を囲うように形成されていることに限らずに、空間S10の一部に沿うように形成されていればよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、貫通部240、240a、240b、240c、240dは、第一接合部211、211a、211d及び第二接合部221、221b、221c、221dの少なくとも一方に形成されている貫通孔241、241d、242、242bで構成されているが、貫通孔に限らずに、切れ目であってもよい。ここで、切れ目とは、厚み方向に貫通した一対の切断面が形成された部分であり、かつ、当該一対の切断面が互いに密着している部分である。このような構成の貫通部であっても、第一外装部が変形したときに、切れ目が開く(つまり、一対の切断面が互いに離れる)ことで空間S10と外部の空間S20とを連通させることができる。
また、上記実施の形態及び変形例では、固定部230は、複数のボルト231及びナット232で構成されているが、これに限らずに、複数のリベットで構成してもよい。また、第一接合部211及び第二接合部221を互いに固定するのに複数の固定部230を利用しなくてもよく、例えば、溶接、接着剤等を用いることにより、一箇所で第一接合部及び第二接合部を固定してもよい。また、第一接合部及び第二接合部の一方が他方の端部を把持するようにかしめることにより固定してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、複数の固定部230のそれぞれと、複数の貫通部240のそれぞれとが、交互に並んで配置されている(つまり、隣接する2つの固定部230の間に1つの貫通部240が配置されている)が、これに限らない。例えば、隣接する2つの固定部の間に複数の貫通部が配置されている構成であってもよいし、隣接する2つの貫通部の間に複数の固定部が配置されている構成であってもよい。また、2以上の固定部と2以上の貫通部とが交互に並んで配置されている構成であってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、複数の固定部230と複数の貫通部240とは、空間S10の周囲に環状に配置されているが、環状に配置されていなくてもよい。例えば、第一接合部及び第二接合部を形成している四辺のうち、X軸方向(又はY軸方向)に対向する一対の辺に沿って並んで配置されてもよいし、四辺の内の三辺に沿って並んで配置されていてもよいし、一辺に沿って並んで配置されていてもよい。また、空間S10は、略直方体であるが、円筒形であってもよいし、球形であってもよい。この場合、複数の固定部及び複数の貫通部は、円環状に並んで配置される。
また、上記実施の形態及び変形例では、第一外装部210、210a、210dは、平板状の部材であるが、これに限らずに、空間の圧力が上昇したときに、第一接合部が変形する構成であれば平板状の部材に限らずに、曲板状の部材であってもよい。また、第一外装部の第一接合部が変形しやすいように、貫通部と接触領域との間を薄肉化する等して剛性を小さくした構成を採用してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、第一外装部210、210aは、第二外装部220、220b、220c、220dよりも、蓄電装置が使用時に設置されている状態において上側に配置されているが、これに限らずに、下側に配置される構成であってもよいし、第一外装部及び第二外装部が水平方向に並んで配置される構成であってもよい。
また、上記実施の形態及び変形例では、貫通部240、240a、240b、240dは、矩形状の貫通孔241、242、242aにより構成されているが、矩形状の貫通孔に限らずに、円形、楕円形、多角形等の貫通孔で構成されていてもよい。また、貫通部は、第一外装部又は第二外装部が変形したときに内方の空間S10と外部の空間S20とを連通させやすくするために、空間S10の内方へ向かうにつれて、幅が広くなる形状の貫通孔であってもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。