JP6365126B2 - 圧電組成物および圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサ等の分野において広く利用される圧電組成物および圧電素子に関する。
圧電組成物を利用した圧電素子は、外部から電界が印加されることにより歪みを発生する効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する効果を有するものであり、近年、各種分野で幅広く利用されている。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛などの鉛系圧電組成物を利用した圧電素子は、印加電圧に比例した歪みを発生し、変位量は1×10−10m/Vのオーダのレベルであることから、微少な位置調整に優れており、光学系の微調整にも利用されている。
圧電組成物は加えられた応力、あるいは、この応力による変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形量を読み取るためのセンサとしても利用されている。更に、圧電組成物は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電組成物自身あるいは圧電組成物と接合関係にある弾性体を励振して共振を起こさせることも可能であり、圧電トランス、超音波モータなどとしても利用されている。
一般的に、圧電組成物は強誘電体組成物に分極処理を施したものを指す。分極処理とは、自発分極の向きがランダムである焼結後の強誘電体組成物に抗電界以上の直流電界を印加することで、自発分極の向きを一定の方向にそろえ、強誘電体組成物に極性を付与する操作である。自発分極が生じる強誘電体組成物、ひいては圧電組成物の多くはペロブスカイト構造を有している。
ペロブスカイト構造とは、一般にはABOの組成式で表される化合物の総称である。具体的には、イオン半径の大きなアルカリ金属、またはアルカリ土類金属はAサイト、イオン半径の小さな遷移金属イオンなどはBサイトに配置され、頂点共有したBO酸素八面体の三次元ネットワークの空隙にAサイト原子が充填された構造である。
現在、実用化されている大半のペロブスカイト構造を有する圧電組成物は、ジルコン酸鉛(PbZrO:PZ)とチタン酸鉛(PbTiO:PT)からなる鉛系圧電組成物に、様々な副成分あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されている。例えば、機械的品質係数(Q)が低い代わりに高い圧電定数(d33)を有することで、直流的な使い方で大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられるものから、d33が低い代わりに高いQを有することで、超音波モータなどの超音波発生素子のような交流的な使い方をする用途に向いているものまで、様々なものがある。
また、PZT系以外にも圧電組成物として実用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O)などの鉛系ペロブスカイト組成を主成分とする固溶体がほとんどである。
ところが、これらの鉛系圧電組成物は、融点の低い酸化鉛が60〜70wt%程度含まれており、焼成時に酸化鉛(PbO)が揮発しやすい。そのため環境への配慮から使用される酸化鉛を低減することが望まれる。また、今後、圧電磁器および圧電単結晶の応用分野が広がることにより、鉛系圧電組成物の使用量増大が見込まれ、酸性雨と鉛の化学反応によって生じる硫酸鉛が土壌へ多く溶出してしまうことにより、従来の生態系を脅かす恐れが生じてくる。そのため圧電組成物の無鉛化が極めて重要な課題となる。
鉛を全く含有しない圧電組成物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO:BT)あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、BTはキュリー点(T)が120℃と低く、その温度以上では圧電性が消失してしまうので、はんだによる接合または車載用などの用途を考えると実用的でない。また、ビスマス層状強誘電体は通常400℃以上の高いTを有しており熱的安定性に優れているが、結晶異方性が大きいため通常のセラミックプロセスでは鉛系圧電組成物に匹敵するような優れたd33を得ることが困難である。優れたd33を得ようとすると、ホットプレス法もしくはホットフォージング法などによって焼成中に自発分極を配向させる必要があり、生産性の点で問題が生じる。
一方、最近では鉛を全く含有しない圧電組成物の中でも比較的高いTを有し、且つ得られるd33が良好であると期待される新たな圧電組成物として、チタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5Na0.5TiO:BNT)系の圧電組成物が挙げられている。例えば、特許文献1には、BNTにBTとチタン酸カルシウム(CaTiO:CT)が添加された圧電組成物が開示されている。
特開2004−18321号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている圧電組成物は比較的高いTを維持しつつも鉛系圧電組成物に比べ十分な圧電特性、とりわけ優れたd33が得られているとはいえず、更なるd33の向上が求められている。
そこで本発明は、比較的高いTおよび優れたd33を備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することができる。
本発明者は、上記の課題を解決するために、BNT系組成物で良好な圧電特性を示す圧電組成物を見出した。
すなわち本発明は、鉛化合物を含まない圧電組成物であって、下記式(1)
(Bi0.5xNa0.5xBa0.7y+zCa0.3y(Tix+y+0.8zHf0.2z)O (1)
上記式(1)中、x、y、z、aはそれぞれ、
0.70≦x≦0.90
0.02≦y≦0.28
0.02≦z≦0.28
0.90≦a≦1.10
x+y+z=1
で表されることを特徴とする。
上記組成範囲により、優れたd33および比較的高いTを兼備した圧電組成物を得ることができる。
また、上記圧電組成物を備えた圧電素子、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。さらに、比較的高いTを持つため、実用温度領域の広い圧電素子を提供することができる。
本発明によれば、比較的高いTおよび優れたd33を備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一構成例を表す斜視図である。 本発明の実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表す断面図である。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bに、それぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。電極2、3として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。
図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。内部電極12として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。
上記式(1)は下記式(2)で表すことができ、以降の説明は便宜上、下記式(2)を用いて説明する。
x[(Bi0.5Na0.5 TiO]+y[(Ba0.7Ca0.3TiO]+z[Ba(Ti0.8Hf0.2)O] (2)
上記式(2)中、x、y、z、d、e、fは
0.70≦x≦0.90
0.02≦y≦0.28
0.02≦z≦0.28
0.90≦d≦1.10
0.90≦e≦1.10
0.90≦f≦1.10
x+y+z=1
である。
上記式(2)からわかるように、本実施形態にかかる圧電組成物はBNT、チタン酸バリウムカルシウム(Ba0.7Ca0.3TiO:BCT)およびチタン酸ハフニウム酸バリウム(BaTi0.8Hf0.2:BHT)から構成されている。
上記三成分の内、BNTが主成分であることにより比較的高いTを有することができる。
上記三成分の内、BNTとBHTの二元系における残留分極の最大値が0.90BNT−0.10BHTで確認された。結晶系は菱面体晶系構造を示し、BNTにBHTが固溶したことにより圧電特性が高くなることを示唆している。
一方、この三成分の内、BCTは、極めてBNTとの反応親和性も高いため二次相の発現を抑えることができ、比較的容易にBNT−BCT−BHTの三成分系を作製することができる。また、BCTは正方晶系構造を示すため、前記項で示した菱面体晶(BNT−BHT)と正方晶(BCT)の結晶相境界(Morphotropic Phase Boundary:MPB)を形成することによって、優れたd33を得ることができる。
すなわち、上記項に記載の三成分系におけるMPBが、元来、比較的高いTを備えるBNTを主成分とする領域に存在していることにより高いTを有し、且つ優れたd33を備える圧電組成物を得ることができる。
また、上記式(2)において記載した領域に加え、本実施形態にかかるBNTとBCTとBHTの三成分を主成分とする圧電組成物の組成が上記式(2)x[(Bi0.5Na0.5TiO]+y[(Ba0.7Ca0.3)TiO]+z[Ba(Ti0.8Hf0.2)O]のx、yおよびzの範囲がそれぞれ、0.80≦x≦0.85、0.10≦y≦0.13、0.02≦z≦0.10である場合、比較的高いTを備えたまま、より優れたd33を得ることができ、より好ましい。
上記式(2)のxの範囲は、0.70≦x≦0.90であるが、xが0.70より小さい場合、Tが著しく低下し、xが0.90より大きい場合は、残留分極が小さいため得られるd33が低い。さらにyの範囲は、0.02≦y≦0.28であるが、yが0.02より小さい場合は、残留分極が小さいため得られるd33が低く、yが0.28より大きい場合は抵抗率が低下するため十分な分極電圧を印加できず、得られるd33が低い。さらにzの範囲は、0.02≦z≦0.28の範囲であるが、zが0.02より小さい場合は残留分極が小さいため得られるd33が低く、zの範囲が0.28より大きい場合は抵抗率が低下するため、十分な分極電圧を印加できず、得られるd33が低い。
上記式(2)のdは0.90≦d≦1.10の範囲が好ましい。dは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイトとBサイト原子の構成比であるA/B比を表し、dが1.10より大きい場合は、高い焼結性が得難く好ましくない。一方、dが1.10以下であれば焼結性を高めることができ、dが1.00以下であればより高い圧電特性を得ることができ好ましい。しかしながら、dが0.90未満であるとペロブスカイト構造を有さない二次相の発生により圧電特性が低下することから、0.90以上1.10以下の範囲内が好ましい。
上記式(2)のeは0.90≦e≦1.10の範囲が好ましい。eは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイトとBサイト原子の構成比であるA/B比を表し、eが1.10より大きい場合は、高い焼結性が得難く好ましくない。一方、eが1.10以下であれば焼結性を高めることができ、eが1.00以下であればより高い圧電特性を得ることができ好ましい。しかしながら、eが0.90未満であるとペロブスカイト構造を有さない二次相の発生により圧電特性が低下することから、0.90以上1.10以下の範囲内が好ましい。
上記式(2)のfは0.90≦f≦1.10の範囲が好ましい。fは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイトとBサイト原子の構成比であるA/B比を表し、fが1.10より大きい場合は、高い焼結性が得難く好ましくない。一方、fが1.10以下であれば焼結性を高めることができ、fが1.00以下であればより高い圧電特性を得ることができ好ましい。しかしながら、fが0.90未満であるとペロブスカイト構造を有さない二次相の発生により圧電特性が低下することから、0.90以上1.10以下の範囲内が好ましい。
本実施形態にかかる圧電組成物は、上記式(2)にあてはまるものであれば各成分の混合形態は限定されないが、例えば、第一の化合物であるBNT、第二の化合物であるBCTおよび第三の化合物であるBHTの三成分を主成分として含有する。すなわち、前記第一の化合物、第二の化合物および第三の化合物を含んでおり、それらは固溶しているが、完全に固溶していなくてもよい。
また、この圧電組成物は、これらBNTとBCTとBHTとを主成分とし、副成分として、遷移金属元素(長周期型周期表における3族〜11族の元素)、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、長周期型周期表における12族元素および長周期型周期表における13族の金属元素の内の少なくとも1種を含有していてもよい。これによりQを向上させることができるからである。ここでの主成分とは、材料組成物を構成する成分の全体のモル比に対して90%以上のことを示す。
具体的には、遷移金属元素(希土類元素を除く)であれば、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)などが挙げられる。希土類元素であれば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)あるいはイッテルビウム(Yb)などが挙げられる。
アルカリ金属元素であれば、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)あるいはセシウム(Cs)などが挙げられる。アルカリ土類金属元素であれば、マグネシウム(Mg)あるいはストロンチウム(Sr)などが挙げられる。12族元素であれば、亜鉛(Zn)などが挙げられる。13族の金属元素であれば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)あるいはインジウム(In)などが挙げられる。
なお、本実施形態にかかる圧電組成物は、不純物として鉛を含んでいてもよいが、その含有量は1wt%以下であることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。焼成時における鉛の揮発、あるいは圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいためである。
また、この圧電組成物の結晶粒径は、圧電特性の発揮や機械的強度の観点から例えば0.5μm〜20μmであることが好ましい。
このような特徴を有する圧電組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化ハフニウム(HfO)、炭酸カルシウム(CaCO)などの粉末を必要に応じて用意し、目的とする組成に応じて秤量する。
なお、出発原料には、酸化物に代えて、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
次いで、秤量した出発原料を、例えばボールミルなどで有機溶媒中または水中で5時間から20時間充分に混合したのち、充分に乾燥する。乾燥温度は、例えば90℃程度である。ただし上述した出発原料を乾式混合で行う場合は、この乾燥工程を省略してもよい。
これら乾燥させた出発原料をプレス成型または粉末のまま、750℃〜950℃で1時間〜20時間程度仮焼成する。仮焼成の際の昇温および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本実施形態における仮焼成雰囲気は大気焼成としたが、酸素分圧の高低に限らない。
上述した工程により、一般式ABOで示されるペロブスカイト構造を有する組成物の仮焼成物を得る。一般式ABOにおけるAはBi、Na、Ba、およびCaを含み、BはTiおよびHfである。
上記仮焼成物を、例えばボールミルなどで、有機溶媒中または水中で5時間から20時間十分に粉砕したのち、十分乾燥する。乾燥温度は、例えば90℃程度である。
これら乾燥させた仮焼成物に有機バインダー溶液(Polyvinyl Alcohol:PVA)を加えて造粒する。造粒したのち、この造粒粉を一軸プレス成形して円柱、角柱、円板もしくは角板とする。
好ましくは、上記工程後に追加で冷間等方圧プレス(Cold Isostatic Pressing:CIP)を実施すると尚良い。その際、最大負荷圧1.0から3.5MPaで1〜3分間等方圧プレスを実施するとより好ましい。
上述した工程により得られた成形体を400℃〜800℃で2時間〜4時間程度熱処理してバインダーを揮発させ、950℃〜1300℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本実施形態における本焼成雰囲気は大気焼成としたが、酸素分圧の高低に限らない。
上述した工程により得られた焼結体の結晶平均粒径は、0.5μm〜20μm程度である。
本焼成ののち得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設ける。電極形成は電極ペーストを塗布して焼き付けることの他に、蒸着やスパッタ成膜等で電極を形成してもよい。
上述した工程により得られた焼結体を25℃〜200℃のシリコンオイル中で5kV/mm〜10kV/mmの電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理する。上記工程により、圧電組成物が得られる。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bにそれぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。圧電基板1は、例えば、厚さ方向、すなわち電極2、3の対向方向に分極されており電極2、3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動するようになっている。
電極2、3は、例えば、金(Au)などの金属によりそれぞれ構成されており、圧電基板1の対向面1a、1bの全面それぞれに設けられている。これら電極2、3には、例えば図示しないワイヤなどを介して図示しない外部電源が電気的に接続される。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述したように圧電組成物を作製したのち、必要に応じて所定の大きさに加工し、圧電基板1を形成する。次に、この圧電基板1に電極2、3を例えば蒸着することにより、図1に示した圧電素子が得られる。
また、図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
内部電極12は、導電材料を含有している。導電材料は特に限定されないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金が好ましい。なお、内部電極12は、これらの他にリン(P)などの各種微量成分を0.1wt%程度以下含有していてもよい。内部電極12の厚さは例えば0.5μm〜3μm程度であることが好ましい。
この内部電極12は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極12と電気的に接続された一対の端子電極21、22がそれぞれ設けられている。端子電極21、22は、例えば、端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成されたものである。この端子電極用ペーストは、例えば、導電材料と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、PdおよびPtからなる群の内の少なくとも一種を含んでいる。ビヒクルには有機ビヒクルあるいは水系ビヒクルなどがあり、有機ビヒクルはバインダーを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダーおよび分散剤などを溶解させたものである。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述した圧電組成物の製造方法と同様にして仮焼成粉を形成したのち、ビヒクルを加えて混合し圧電層用ペーストを作製する。次に、内部電極12を形成するために上述した導電材料、または焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物などをビヒクルと混合し、内部電極用ペーストを作製する。尚、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。
上記工程により得られた圧電層用ペーストと内部電極用ペーストを用い、例えば印刷法あるいはシート法により、積層体10の前駆体であるグリーンチップを作製する。上記工程により得られたグリーンチップに脱バインダー処理を施し、焼成して積層体10を形成する。
上述した工程により得られた積層体10に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極21、22を形成する。これにより、図2に示した圧電素子が得られる。
本実施形態にかかる圧電組成物は、例えば圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、薄膜センサ、薄膜アクチュエータまたは圧電超音波モータ等に使用できるが、圧電組成物を使用できる圧電素子であればこれら以外のものに適用してもよい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜9)
酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、酸化ハフニウム(HfO)および炭酸カルシウム(CaCO)粉末を表1記載の配合比となるように秤量した。秤量した出発原料は、ボールミルにより16時間混合したのち120℃において乾燥し得た混合粉をプレス成型して、800℃で2時間仮焼し仮焼成体を得た。続いて、この仮焼成体をボールミルにより16時間粉砕し、粉砕粉を得た。
上記工程により得られた粉砕粉にバインダーを加えて造粒した。次に、得られた造粒粉をプレス成型機により3.2MPaの荷重を加えてプレス成型し、平板状成型体を得た。こうして得られた平板状成型体に700℃で熱処理を施し、さらに1180℃にて本焼成し、焼結体を得た。さらに、得られた焼結体を研磨して厚さ0.6mmの平行平板状とし、その平行平板状焼結体の両面に蒸着によって対向銀電極を設けた。最後に、50℃のシリコンオイル中で5kV/mmの電界を15分間印加し分極処理を行った。上記工程により、表1に示す実施例1〜8の圧電特性評価用の試験片を得た。
上記工程により得られた実施例1〜8の圧電特性評価用の試験片(圧電素子)圧電組成物について、d33およびTを測定した。その際、d33の測定は室温にてPIEZO d33 METER MODEL ZJ−4B(INSTITUTE OF ACOUSTIC SACADEMIASINICA製)により行い、Tの測定はPRECISION LCR METER(HEWLETT PACKARD製)により測定した。さらに、得られた結果を表1に示す。
Figure 0006365126
(比較例1〜7)
また、比較例1〜7では、出発原料の配合比(x、yおよびz)を表1に示したようになるように変化させたこと以外、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。さらに、比較例1〜7についても、d33およびTを測定した。それらの結果についても表1に示す。
圧電組成物の圧電特性評価を、○×として表1に示す。この評価では、実用上の圧電特性を保証するためd33は120pC/N以上とし、実用上の圧電特性を保証する温度として200℃と設定し、Tは200℃以上を良好とした。これらを共に満足している場合を好適として○、どちらかまたは両方を満足していない場合を不適として×とした。
表1に示すように、本実施形態にかかるBNTとBCTとBHTの三成分を主成分とする上記式(2)で表記される圧電組成物において、x、yおよびzの範囲がそれぞれ、0.70≦x≦0.90、0.02≦y≦0.28、0.02≦z≦0.28である場合、圧電特性の中でもd33およびTが良好であった。
上述した領域に加え、本実施形態にかかるBNTとBCTとBHTの三成分を主成分とする上記式(2)で表記される圧電組成物において、x、yおよびzの範囲がそれぞれ、0.80≦x≦0.85、0.10≦y≦0.13、0.02≦z≦0.10である場合、比較的高いTを備えたまま優れたd33を得ることができ、より好ましい。
また本実施形態にかかる圧電組成物では、BCT−BHTの割合が増加するにつれ、Tは著しく低下した。このことはBCTおよびBHT固有のTが低いことに起因しているものであり、本発明は比較的高いTを持つBNTにBCT、もしくはBHT、もしくは双方の相境界を利用して優れたd33を兼備した圧電組成物を得ることに特徴がある。
(実施例10〜15)
実施例10〜15として、上記式(2)で表記される圧電組成物において、x、yおよびzを、x=0.85、y=0.10、z=0.05とし、さらにd、eおよびfを、表1に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、実施例10〜15についても同様に、d33およびTを測定した。その結果も表1に示す。
表1からわかるように、0.90≦d≦1.10、0.90≦e≦1.10、0.90≦f≦1.10の範囲が良好であることが示された。このことから、本実施形態にかかる圧電組成物は化学量論組成比からの差異によって生じる二次相の影響を受けにくいため、焼結性が向上することを特徴とする。
(比較例8〜13)
比較例8〜13として、上記式(2)で表記される圧電組成物において、x、yおよびzを、x=0.85、y=0.10、z=0.05とし、さらにd、eおよびfを、表1に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、比較例8〜13についても同様に、d33およびTを測定した。その結果も表1に示す。
比較例8〜10では、二次相の顕著な出現により、抵抗率が著しく低下した。そのため分極処理中に絶縁破壊が生じd33測定に至らなかった。また、比較例11〜13においても二次相の顕著な出現により、相境界を維持できなくなり優れたd33は得られなかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではない。上述した実施形態および実施例では、BNT、BCTおよびBHTを含む場合についてのみ説明したが、BNT、BCTおよびBHTで表される三成分に加えて、他の化合物を含んでいる圧電組成物または圧電素子についても本発明の範囲とする。
本発明の圧電組成物は、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。さらに、比較的高いTを持つため、実用温度領域の広い圧電素子を提供することができる。
1 圧電基板
2、3 電極
1a、1b 対向面
10 積層体
11 圧電層
12 内部電極
21、22 端子電極

Claims (2)

  1. 鉛化合物を含まない圧電組成物であって、前記圧電組成物を構成する成分の全体のモル比に対して90%以上が、下記式(1)
    (Bi0.5xNa0.5xBa0.7y+zCa0.3y(Tix+y+0.8zHf0.2z)O (1)
    上記式(1)中、x、y、z、aはそれぞれ、
    0.80≦x≦0.85
    0.10≦y≦0.13
    0.02≦z≦0.10
    0.90≦a≦1.10
    x+y+z=1 (1)
    で表される圧電組成物。
  2. 前記請求項1に記載の圧電組成物を備える圧電素子。
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