JP6362496B2 - セルロースナノファイバー水分散体組成物、それを用いた食品および化粧料。 - Google Patents

セルロースナノファイバー水分散体組成物、それを用いた食品および化粧料。 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバー水分散体組成物、それを用いた食品および化粧料に関する。
セルロースナノファイバー水分散体の用途範囲は広く、化粧料や医薬品、医薬部外品、医療分野、更には食品などに幅広く使用されうる(特許文献1、2)。また、通常、密封容器に充填されて販売されている食品においては、製造してから食されるまでの期間、微生物などによる変敗が防止できる様に、殺菌工程を経て流通されているが、食品衛生法で指定された方法で製造、流通したとしても、食品によっては混入する耐熱性芽胞菌や耐熱性カビ等によって変敗を生じることがある。また、一般的な商業的滅菌では耐熱性のある芽胞形成捍菌を完全に殺菌することができず、食品中にこれら耐熱性菌が残存した場合には、高温で長時間保存しているうちに発芽、増殖して内容物を腐敗させることがある。
天然系抗菌剤として、例えば、エタノール、ポリリジン、リゾチーム、プロタミン、ラクトフェリン、グリシン、キトサン、チモール、オイゲノール、油性甘草エキス、アシタバ抽出エキス、竹抽出エキス、香辛料抽出物が開示されている(特許文献3)
特開2010−236106号公報 特開2013−183670号公報 国際公開第2009/81611号
セルロースナノファイバー水分散体からなる水性ゲル状組成物において、常温保管において経時的に腐敗が進み、例えば、セルロースナノファイバー水分散体を増粘剤とする各種応用用途において、経時的に系の粘度低下を生じたり、異臭を放つ場合や、外観上で有色、或いは異物様物質の発生によって均一性や美観を損ねることで商品価値を著しく低下させる問題があった。また、乳化安定化や分散安定化に係る応用用途においては、その性能が腐敗の進行に伴って大きく損なわれる問題があった。化粧品、医薬品、医療分野、更には食品分野での使用において、安全性の観点から使用可能な防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、静菌剤の種類や添加量が限定されるといった問題などがあった。これらを解決する為に、防腐剤や殺菌剤、抗菌剤、静菌剤を添加して、流通させることが想定される。特許文献3記載の天然系抗菌剤は天然系素材であるため安全性は高いが、いずれも抗菌活性の点で満足いくものではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みて為されたものであり、安全性が高く、低濃度で効果を発揮する腐敗防止剤を提供することを課題とする。また、化粧料、医薬品、医療分野、更には食品分野での使用に際して、皮膚刺激性や粘膜刺激性、更には刺激臭や不快臭の発生、風味や味の異変、劣化、消失、外観変化、使用感の変化などを抑制することを課題とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の界面活性剤を含有するセルロースナノファイバー水分散体組成物を用いることで課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は下記に掲げるに発明に関する。(1)(a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤として、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸から選択された1種又は2種以上の脂肪酸とエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、およびマンニトールから選択された1種又は2種以上の糖アルコールとのエステルである糖アルコール脂肪酸エステル(a2)、ならびに、カプリル酸、およびカプリン酸から選択された1種または2種以上とソルビタンとのモノエステルであるソルビタン脂肪酸エステル(a5)から選択された1種もしくは2種以上、をセルロースナノファイバー水分散体に対して100〜10,000ppm含有するセルロースナノファイバー水分散体組成物。
)(1)記載のセルロースナノファイバー水分散体組成物を含有する食品。
)(1)記載のセルロースナノファイバー水分散体組成物を含有する化粧料。
)(a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤として、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸から選択された1種又は2種以上の脂肪酸とエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、およびマンニトールから選択された1種又は2種以上の糖アルコールとのエステルである糖アルコール脂肪酸エステル(a2)、ならびに、カプリル酸、およびカプリン酸から選択された1種または2種以上とソルビタンとのモノエステルであるソルビタン脂肪酸エステル(a5)から選択された1種もしくは2種以上、を含有するセルロースナノファイバー水分散体用腐敗防止剤。
本発明によれば、安全性が高く、低濃度で効果を発揮する腐敗防止剤を提供することができる。また、皮膚刺激性や粘膜刺激性、更には刺激臭や不快臭の発生、風味や味の異変、劣化、外観変化、使用感の変化などを抑制した化粧料、医薬品、医療分野製品、更には食品を提供することができる。
本発明のセルロースナノファイバー水分散体組成物は、下記(a)および/または(b)を含有する。
(a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤
(b)四級アンモニウム塩型、ベンザルコニウム塩型およびピリジニウム塩型からなる群より選ばれる1種以上の構造を有するカチオン界面活性剤
(a)および/または(b)を含有することによって、防腐、殺菌、抗菌、静菌作用を付与するに止まらず、セルロースナノファイバー水分散体の配合安定性や当該配合組成物の経時安定性を損なうことがなく、逆にそれらを大きく改善する効果がある。
本発明における(a)成分は、脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤である。脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤を使用することで、低毒性、低刺激性、高配合安定性、耐塩性、低泡性であり、安全性が高く、一方で、防腐、殺菌、抗菌、静菌作用に優れるという効果を奏する。また、工業用用途に加え、化粧品、医薬品、医療分野で使用可能であり、食品分野においても好適に使用できる。
本発明における脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤としては、分子中に脂肪酸エステル型構造を有する非イオン界面活性剤であれば、特に限定されないが、セルロースナノファイバー分散体、或いはセルロースナノファイバー分散体が本質にもつ性状、例えば、低毒性、低刺激性、低浸透性、低泡性を悪化させないことから、ショ糖脂肪酸エステル(a1)、糖アルコール脂肪酸エステル(a2)、グリセリン脂肪酸エステル(a3)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(a4)およびソルビタン脂肪酸エステル(a5)からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明におけるショ糖脂肪酸エステル(a1)としては、ショ糖と各種脂肪酸とのエステルであれば、特に限定されない。
本発明における糖アルコール脂肪酸エステル(a2)としては、糖アルコールと各種脂肪酸とのエステルであれば、特に限定されない。前記糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトールが挙げられる。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ショ糖脂肪酸エステル(a1)および糖アルコール脂肪酸(a2)エステルにおける脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれもが使用可能である。好ましくは炭素原子数8〜20、より好ましくは10〜18の脂肪酸であり、さらに好ましくは14〜18の脂肪酸であり、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が特に好ましい。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記ショ糖脂肪酸エステル(a1)および糖アルコール脂肪酸エステル(a2)におけるエステルとしては、特に限定されないが、モノエステル、ジエステル、これらの混合物が好ましく、モノエステルがより好ましい。
本発明におけるグリセリン脂肪酸エステル(a3)としては、グリセリンと各種脂肪酸とのエステルであれば、特に限定されない。モノエステル、ジエステル、これらの混合物が好ましく、モノエステルがより好ましい。脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれもが使用可能である。好ましくは炭素原子数8〜20、より好ましくは10〜18の脂肪酸であり、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸がさらに好ましい。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。なお好ましいものとして、グリセリンモノカプリル酸エステル、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステルが挙げられる。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステル(a4)としては、ポリグリセリンと各種脂肪酸とのエステルであれば、特に限定されない。モノエステル、ジエステル、トリ以上のエステル、および、これらの混合物のいずれであってもよい、ポリグリセリンとしては、重合度2〜15のポリグリセリンが好ましく、重合度2〜5のポリグリセリンがより好ましく、ジグリセリンがさらに好ましい。脂肪酸としては、炭素原子数6〜12が好ましく、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸がより好ましい。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるソルビタン脂肪酸エステル(a5)としては、ソルビタンと各種脂肪酸とのエステルであれば、特に限定されない。モノエステル、ジエステル、これらの混合物が好ましく、モノエステルがより好ましい。脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれもが使用可能である。好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜12の脂肪酸であり、カプリル酸、カプリン酸がさらに好ましい。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。なお好ましいものとして、ソルビタンモノカプリル酸エステル、ソルビタンモノカプリン酸エステルが挙げられる。これらは1種又2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるセルロースナノファイバー水分散体組成物中の脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤(a)の含有量としては、セルロースナノファイバー水分散体に対して200〜20,000ppmが好ましく、500〜15,000ppmがより好ましく、800〜10,000ppmがさらに好ましい。これらの範囲であれば、外観が白濁、粘度低下、不均一が生じないことから好ましい。
本発明における(b)成分は、四級アンモニウム塩型、ベンザルコニウム塩型およびピリジニウム塩型からなる群より選ばれる1種以上の構造を有するカチオン界面活性剤である。前記カチオン界面活性剤は、低添加量で腐敗抑制作用を発揮し、さらに低毒性、低刺激性、配合安定性、耐塩性、低泡性である。また、一般に無色、或いは淡色の市販品が入手可能であり、製品外観上からも好ましい。
本発明における前記カチオン界面活性剤としては、四級アンモニウム塩型、ベンザルコニウム塩型およびピリジニウム塩型であれば特に限定されないが、セ低添加量で腐敗抑制作用を発揮し、また、一般に無色、或いは淡色の市販品が入手可能であり、製品外観上から、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明におけるセルロースナノファイバー水分散体組成物中の脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤(a)の含有量としては、セルロースナノファイバー水分散体に対して10〜5,000ppmが好ましく、100〜3,500ppmがより好ましく、300〜2,500ppmがさらに好ましい。これらの範囲であれば、外観が白濁、粘度低下、不均一が生じないことから好ましい。
本発明のセルロースナノファイバー水分散体組成物は、増粘剤、ゲル化剤、保形安定化剤、弾力補強剤、テキスチャー改良剤、分散安定化剤、乳化安定剤として好適に使用される。また、食品、化粧料、医薬、医薬部外品、医療分野の末端製品として好ましく使用される。食品、化粧品としてより好ましく使用される。牛乳ゲル状飲食物、プリン、ゼリー、ココア飲料、洗口液としてさらに好ましく使用される。
本発明における前記末端製品中の脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤(a)の含有量としては、製品安定性、使用される末端製品の特性や性状を損なわない範囲で、また、食品用途においては味や風味、食感などを損なわない範囲であれば特に限定されないが、腐敗防止の観点から10〜10,000ppmが好ましく、100〜7,000ppmがより好ましく、200〜4,000ppmがさらに好ましい。但し、腐敗防止の目的外で所望される場合は、この限りではなく、食品用途では脂肪酸エステル型構造の非イオン界面活性剤、即ち、ショ糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる1種以上の同種の化合物を新たに添加して使用することは本発明では許容される。また、同様に化粧料、医薬、医薬部外品、医療分野においては、前記脂肪酸エステル型構造の非イオン界面活性剤に加えて、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロックポリマー(プルロニック型界面活性剤)、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、アルキルポリグルコシド、ポリグリセリンアルキルエーテル、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、更に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル構造を分子中に有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、更に、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキルベタイン、脂肪酸アミドベタイン、アルキルアミンオキサイド、等の両性界面活性剤も新たに添加して使用することは本発明では許容される。また、カチオン界面活性剤も配合系の配合安定性を悪化させない範囲内で新たに添加して使用することができる。
本発明における前記末端製品中の(b)成分の含有量としては、製品安定性、使用される末端製品の特性や性状を損なわない範囲であれば特に限定されないが、腐敗防止の観点から10〜5,000ppmが好ましく、15〜3,000ppmがより好ましく、20〜1,000ppmがさらに好ましい。但し、腐敗防止の目的外で所望される場合は、この限りではなく、四級アンモニウム塩型、ベンザルコニウム塩型およびピリジニウム塩型からなる群より選ばれる1種以上の構造を有するカチオン界面活性剤を新たに添加して使用することは本発明では許容される。また、ショ糖脂肪酸エステル、糖アルコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル型の非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(硬化)ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロックポリマー(プルロニック型界面活性剤)、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル、アルキルポリグルコシド、ポリグリセリンアルキルエーテル、アルキルアルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、等を新たに添加して使用することは本発明では許容される。また、配合系の配合安定性を悪化させない範囲内でアニオン界面活性剤や両性界面活性剤を新たに添加して使用することができる。
本発明のセルロースナノファイバー水分散体用腐敗防止剤は、下記(a)および/または(b)を含有する。
(a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤
(b)四級アンモニウム塩型、ベンザルコニウム塩型およびピリジニウム塩型からなる群より選ばれる1種以上の構造を有するカチオン界面活性剤
本発明において腐敗防止剤とは、防腐作用、及び/又は、殺菌作用、及び/又は、抗菌作用、及び/又は、静菌作用を有する化学物質が、その単独、或いは複合的な作用をもってセルロースナノファイバー水分散体の腐敗を抑制する、或いは、セルロースナノファイバー水分散水体組成物の腐敗を抑制することを特徴とする薬剤である。
本発明におけるセルロースナノファイバーは、数平均繊維径が2nm以上200nm以下の状態まで解繊されていることが好ましい。
本発明におけるセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、天然セルロースが用いることができる。前記天然セルロースとしては、例えば、植物,動物,バクテリア産生ゲル等のセルロースの生合成系から単離した精製セルロースである。例えば、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ、バガスパルプ等の非木材系パルプ、バクテリアセルロース(BC)、ホヤから単離されるセルロース、海草から単離されるセルロース等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いることができる。これらのなかでも、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麦わらパルプ,バガスパルプ等の非木材系パルプが好ましい。上記天然セルロースは、セルロースナノファイバー水分散体を調製する目的において、天然由来でありながら、その成分組成が比較的安定している点、また、原料として商業生産品が入手可能である点、更に、本発明の用途分野において、商品価値の低下や物性の低下を生じる可能性のある成分や不純物を除去した高純度品が入手可能性である点から好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明について詳細に説明するが、本発明はもちろんこれらに限定されるものではない。
(実施例A)
まず、針葉樹パルプを乾燥重量200gに、水15L、臭化ナトリウム25g、TEMPO 2.5gを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、次亜塩素酸ナトリウムとして6.5mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた。反応終了後、0.1N塩酸を添加してpHを7.0に調整し、ろ過と水洗を繰り返して精製し、カルボキシル基量 1.83mmol/gである繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。
次いで、上記セルロース繊維を、固形分濃度が1重量%となるように純水で希釈し、超高圧ホモジナイザーにより、液温20℃から140MPaの圧力で3回処理して、最大繊維径10nm、数平均繊維径6nm、固形分1重量%のセルロースナノファイバー水分散液(A)を調製した。
なお、前記カルボキシル基量は以下の操作にて測定を行った。セルロースナノファイバー重量として0.25g相当のセルロースナノファイバー水分散体を秤取し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式にてカルボキシル基量を求めた。
カルボキシル基量 [mmol/g]=V[ml]×〔0.05/セルロース重量〕
(実施例B)
撹拌機に広葉樹パルプを乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを88g加え、パルプ固形濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを117g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.05のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプを固形濃度1%とし、超高圧ホモジナイザーにより、液温20℃から冷却操作を伴いながら140MPaの圧力で5回処理して固形分1重量%のセルロースナノファイバー水分散液(B-1)を調製した。
また、水酸化ナトリウムを264g、モノクロロ酢酸ナトリウムを351g(有効成分換算)に変更した以外、前記操作と同様にしてセルロースナノファイバー水分散液(B-2)を得た。なお、得られたセルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は0.15であった。
また、水酸化ナトリウムを440g、モノクロロ酢酸ナトリウムを585g(有効成分換算)に変更した以外、前記操作と同様にしてセルロースナノファイバー水分散液(B-3)を得た。なお、得られたセルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は0.25であった。
なお、前記水分散体(B-1)〜(B-3)について、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、実施例1に記載の方法でカルボキシル基量を測定し、更に下式を用いて算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を示す。
カルボキシメチル置換度=(162×C)/(1−58×C)
C:カルボキシル基量 [mol/g]
≪粘度測定≫
実施例、並びに比較例で得られた調製直後のセルロースナノファイバー水分散体(固形分1重量%)を200mのマヨネーズ瓶に移し、脱気後、25℃で24時間静置したサンプルについて、BH型粘度計(80000mPa・s未満:ローターNo.4、回転数2.5rpm、3分、25℃、80000mPa・s以上:ローターNo.5、回転数2.5rpm、3分、25℃)を用いて粘度を測定した。
≪一般細菌数試験法≫ ※JP 2009-144091 A参照
一般細菌数については以下の方法に従って測定した。
1.一般細菌用寒天培地(標準寒天培地)を下記手順により調製した。
(1)1000mLビーカーに標準寒天培地23.5gを取り純水1000mLを加え撹拌溶解し、更に、ビーカーを熱湯に漬け加熱撹拌溶解した。
(2)500mL三角フラスコ2個に分取した後、フラスコにシリコン栓で栓をし、更にアルミホイルで包み込み、滅菌用カゴに入れオートクレーブで121℃×20分間滅菌した。
(3)オートクレーブ釜内圧が低下後、脱気バルプを開け作業当日まで放置した。
(4)作業当日に脱気バルプを閉め、121℃×5分間滅菌した。
(5)釜内圧が低下後、脱気バルプを開け、フラスコを取り出し、予め用意した50℃湯バスに浸して保温した。
2.生理食塩水を下記手順により調製した。
(1)食塩を8.5g取り、1000gになるように純水を加え撹拌、溶解して0.85重量%の生理食塩水を調整した。
(2)50mLメスシリンダーを用いて、50mLを100mL三角フラスコに取り、シリコン栓で栓をし、アルミホイルで包み込み、オートクレーブで121℃×20分間滅菌した。
(3)オートクレーブ釜内圧が低下後、脱気バルプを開けた。
3.サンプル検体調製は下記手順により行った。
(1)予め無菌ブース内で紫外線殺菌した上皿天秤、分銅を用意した。
(2)滅菌した100mLサンプル瓶に滅菌済みスパチュラで約20gのサンプリングを分注した。
(3)殺菌した100mL三角フラスコと栓、スパチュラ、殺菌済み0.85%生理食塩水(100mLフラスコ)、供試サンプルを無菌ブース内に準備した。
(4)上皿天秤で殺菌済み100mL三角フラスコにサンプル0.5g(菌数によっては適宜希釈して供試)秤取した。
(5)サンプルを含む100mL三角フラスコに滅菌済み0.85%生理食塩水を加え、手で振り、振とう機に1時間かけて供試検体を調製した。
(6)滅菌済みシャーレ3枚に滅菌済み10mLメスピペットで供試検体から各1mLずつ検体を採取した。
4.培養、及び、菌数測定
(1)3枚のシャーレに予め溶解殺菌、保温した標準寒天培地を約20mLずつ素早く流し込み、サンプルと培地とを混合した。
(2)寒天培地が固まるまで静置した。
(3)シャーレを倒置して、37℃のふ卵器で48時間±3時間培養後、コロニーをカウントした。
(4)菌数/gは、(3枚のシャーレに発生した菌数/3)×100にて算出した。
≪臭気測定≫
臭気(異臭の有無)については、以下の方法に従って判定を行った。
社内パネラー5人(パネラーA〜E: 30代男性、30代男性、20代男性、40代女性、20代女性)によって、各サンプルについて異臭の有無についてサンプル名を隠したブラインド評価を実施して臭気の判定を行った。
[判定]
3 … 鼻をつく刺激臭あり
2 … 不快臭あり
1 … わずかな異臭或いは不快臭あり
0 … 不快臭を感じない
更に、実施例、並びに比較例で得られた調製直後のセルロースナノファイバー水分散体(固形分1重量%)を200mのマヨネーズ瓶に取り分け、フタをしてそれぞれ25℃、40℃にて30日間放置した後、各サンプルについて、上記操作に従って同様にセルロースナノファイバー水分散体の粘度測定、一般細菌数測定、臭気判定を行った。それら評価結果を以下の表1に示す。
Figure 0006362496
表1に記載の結果から、セルロースナノファイバー水分散体の調製工程で殺菌や菌数低減の手段を講じず、また、腐敗防止剤を意図的添加しない場合には、常温から夏期気温程度の温度条件下で長期間放置すると一般細菌の大幅な増加とそれに伴い、セルロースナノファイバー水分散体の臭気の悪化が著しいことが分かる。水分散体粘度は菌数増加や臭気の悪化と連動して水分散体直後の粘度に比較して低下傾向にあることが分かる。
また、水分散体(A)と水分散体(B-1)〜(B-3)の比較では、相対的に水分散体(A)の方が、菌数、並びに臭気の悪化の点でその腐敗が抑制されている傾向が読み取れる。これはセルロースナノファイバー水分散体調製過程における使用原料種、並びに、pH変動幅などによる両者の差異が影響しているものと思われる。
次に、前記方法によって調製したセルロースナノファイバー水分散体(A)並びに、(B-1)〜(B-3)について、表2および3に示す配合処方にて、本発明の腐敗防止剤を水、或いは適宜温水を選択して、溶解、或いは均一分散させて所定量を配合してセルロースナノファイバー水分散体組成物を調製し、前記表1に準じて腐敗防止効果を評価した。それら評価結果を以下の表4、5、6に示す。
なお、表2および3の配合成分において、特に特記していない限りは、個々成分の固形分(有効成分)濃度は100%である。また、固形分濃度は重量%である。また、個々の配合部数は有姿での重量部数である。
Figure 0006362496
Figure 0006362496
Figure 0006362496
Figure 0006362496
Figure 0006362496
※実施例1〜4、13は表4、5に記載
前記、セルロースナノファイバー水分散体(A)並びに、(B-1)〜(B-3)に対する本発明で限定した腐敗防止剤の添加効果について、表4において、非イオン系、カチオン系腐敗防止剤の添加系は、ともにその添加効果は明白であり、腐敗防止剤の無添加系とは有意差が認められる(実施例1、2)。
また、表5において、腐敗の進行懸念が高い水分散体(B-1)の系において、本発明で限定した腐敗防止剤の添加効果は明白である。また、水分散体調製直後と25℃、30日保管後の粘度低下幅について、本発明で限定した腐敗防止剤の添加により、その粘度低下幅が縮小していることが分かる(実施例3、4、13)。
更に、表6において、その他の系の評価結果を示しているが、本発明で限定した腐敗防止剤の添加効果は明白であり(実施例5〜16)、本発明で限定した条件を外れた場合には、25℃、30日保管後の品質悪化が明らかである(比較例1〜2)。
[応用例]
次に、腐敗防止剤を含むセルロースナノファイバー水分散体組成物を用いて以下の応用試験を実施した。該応用試験に際して、実施例Bに準じてカルボキシメチル置換度0.05、固形分濃度3%のセルロースナノファイバー水分散液(B-4)を調製し、以下の表7に記載の配合にて本発明の腐敗防止剤を溶解、均一分散させて実施例X、Yを得て、更に該水分散体組成物を25℃で30日間恒温保管してセルロースナノファイバー水分散液(W-30D)、(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)を得た。
なお、セルロースナノファイバー水分散液(W-30D)、(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)について、社内パネラー5人による臭気評価を以下表8に示した。
以下表7の配合成分において、特に特記していない限りは、個々成分の固形分(有効成分)濃度は100%である。また、固形分濃度は重量%である。また、個々の配合部数は有姿での重量部数である。
Figure 0006362496
Figure 0006362496
なお、以下の応用処方において、各配合成分は特に特記していない限りは、個々成分の固形分(有効成分)濃度は100%であり、固形分濃度は重量%である。また、個々成分の配合部数は有姿での重量部数である。
<応用例(1) 牛乳ゲル状飲食物>
水性飲食物として、前記操作で得たセルロースナノファイバー水分散体組成物(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)を用いて、下記処方にて配合して、高圧ホモジナイザー(44MPa)にて3回パスさせても目的の牛乳ゲル状飲食物を得た。この調製物について、目視判断にてゲル化の有無、社内パネラー5人(パネラーF〜J: 30代男性、20代男性、30代女性、20代女性、20代女性)にて、以下評価基準に従って風香味の評価を行った。評価結果は表8の通り。
[風香味]
3 … 商品価値がない(鼻をつく刺激臭あり、食すには適さない)
2 … 風香味が悪い(異臭、不快臭あり、味に違和感がある)
1 … わずかな異臭或いは不快臭あり、味に僅かに違和感がある
0 … 風香味が良い(不快臭を感じない、味わいがよい)
Figure 0006362496
Figure 0006362496
表10より、実施例17、18は、ゲル形成能、風香味ともに良好な結果であった。
<応用例(2) プリン>
保形性を必要とする加工食品として、前記操作で得たセルロースナノファイバー水分散体組成物(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)を用いて、下記処方に従って、水にセルロースナノファイバー水分散体に加え、次いで、生クリームを加えて攪拌しながら、プリンフレーバー以外の原料を粉体混合物として添加し、80℃10分間、攪拌溶解した後、プリンフレーバーを添加し、容器充填後、冷却してプリンを調製した。その後、容器から取り出した際の保形性((良)○〜(悪)×)、食感(社内パネラーによる評価 、(良)○〜(悪)×)、風香味を評価した結果を表12に示した。なお、風香味の評価は、応用例1記載の方法にて実施した。
Figure 0006362496
(*)第一工業製薬(株)製 セロゲンF-SB
Figure 0006362496
表12より、汎用される水溶性増粘剤(カルボキシメチルセルロースNa塩)の代わりにセルロースナノファイバー水分散体を用いた実施例19、20は、保形性、食感、風香味ともに良好な結果であった。
<応用例(3) ゼリー>
保形性を必要とする加工食品として、前記操作で得たセルロースナノファイバー水分散体組成物(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)を用いて、下記処方に従って、水にセルロースナノファイバー水分散体を加え、攪拌しながら、砂糖、クエン酸三ナトリウム及び乳酸カルシウムの粉体混合物を加え、80℃10分間、加熱攪拌、溶解後、クエン酸(無水)を添加し、攪拌混合、全量を水にて調整し、容器充填し、85℃30分間殺菌して、水冷固化し、ゼリーを調製した。その後、容器から取り出した際の保形性((良)○〜(悪)×)、食感(社内パネラーによる評価 、(良)○〜(悪)×)、風香味を評価した結果を表14に示した。なお、風香味の評価は、応用例1記載の方法にて実施した。
Figure 0006362496
(*)第一工業製薬(株)製 セロゲンF-SH
Figure 0006362496
表14より、汎用される水溶性増粘剤(カルボキシメチルセルロースNa塩)の代わりにセルロースナノファイバー水分散体を用いた実施例21、22は、保形性、食感、風香味ともに良好な結果であった。比較例5は保形性、食感、風香味において何れも相対的に劣る結果であった。
<応用例(4) ココア飲料>
分散安定性を必要とする飲料組成物として、前記操作で得たセルロースナノファイバー水分散体組成物(X-30D)、(Y-30D)、(Z-30D)を用いて、下記処方に従って、水にセルロースナノファイバー水分散体を加え、更に攪拌しながら、分散安定化剤、砂糖、異性化液糖、粉乳、生乳を加え、次いで、70℃に加温した。この分散液にココアパウダーを加えながら、ホモミキサーにて撹拌混合した。これを一次圧15MPa、二次圧5MPaの処理条件にてモジナイザーで均質化し、容器に充填後、120℃、20分間オートクレーブにより殺菌を行ない、ココア飲料を調製した。その後、調製したココア飲料を5℃及び55℃恒温槽にて1ケ月保存した時のオイルリングとココア粉末の沈殿の様子を観察した。その結果を表16に示した。なお、風香味の評価は、応用例1記載の方法にて実施した。
オイルリング、ココア粉末の沈殿の様態評価は、以下の評価基準に従って実施した。
[オイリング]
○ … 軽い振とうで容易に再分散する。
× … 長時間強く振とうしないと再分散しない。
[ココア粉末の沈殿]
○ … 軽い振とうで容易に再分散する。
× … 長時間強く振とうしないと再分散しない。
Figure 0006362496
(*1)特開平6-125711参照
(*2)旭化成(株)製アビセルRC-30
Figure 0006362496
表16より、実施例23、24は、オイリング、ココア粉末の再分散、風香味ともに良好な結果であった。比較例6はオイリング、ココア粉末の再分散、風香味において何れも相対的に劣る結果であった。
<応用例(5) 洗口液>
カチオン系腐敗防止剤を含有するセルロースナノファイバー水分散体組成物の応用例として、前記操作で得たセルロースナノファイバー水分散体組成物(W-30D)、(Z-30D)を用いて、下記処方に従って、各成分を順に加え、攪拌しながら、均一化して洗口液を調製した。該洗口液について、唾液中のS.mutansに対する抗菌持続性評価試験、並びに、洗口液を吐き出した後の後味について評価し、その結果を表18に示した。
なお、抗菌持続性評価試験、並びに、洗口液を吐き出した後の後味の評価は、社内パネラー5人(パネラーF〜J: 30代男性、20代男性、30代女性、20代女性、20代女性)にて、以下評価基準にて評価実施した。
≪抗菌持続性評価試験≫
実施例および比較例で得られた洗口液を対象として、唾液中のS.mutansの菌数を測定する検査キット「Dentocult SM(株式会社オーラルケア製)」を用いて、社内パネラー5名による抗菌持続性評価試験を行った。試験方法としては、洗口液ですすぐ直前(イニシャル)、洗口液10mLで20秒間口腔内をすすいで吐き出した直後と3時間後にそれぞれ口腔中の唾液を採取して、コロニーの有無を下記の基準に従い、3段階で評価し、その平均値を算出した。
[判定基準]
3 … 非常に多くの菌が存在する(106/ml以上)
2 … 菌が存在する(105/ml以上、106/ml未満)
1 … わずかに菌が存在する(105/ml未満)
また、算出したすすぎ直後と3時間後の評価の平均値から下記の式に従い、菌の抑制率を算出した。
菌の抑制率(%) = 100 − (各時間の平均値 /イニシャルの平均値)×100
算出した菌の抑制率を下記の基準に従い、4段階で評価した。
[判定基準]
◎ … 80%〜100%
○ … 40%〜79%
△ … 21%〜39%
× … 0%〜20%
洗口液を吐き出した後の後味の評価
[後味]
○ … 後味がない、或いは、僅かな苦味を感じ
△ … 僅かな苦味がしばらく継続する
× … 強い苦味やえぐ味を感じる
Figure 0006362496
(*1)第一工業製薬(株)製 ノイゲンHC-600
Figure 0006362496
表18より、実施例25は、S.mutansに対する長時間の菌抑制効果、洗口液の後味低減において良好な結果であった。実施例25の洗口液の後味低減はセルロースナノファイバーと塩化セチルピリジニウムとの強い親和性に起因するものと推察される。比較例7は洗口液の後味が悪化する傾向が確認された。
本発明のセルロースナノファイバー水分散体は、主に、増粘剤、ゲル化剤として用いられるものであり、例えば、クリーム状、ゲル状、乳液状あるいは液体状の剤型を有する各種製品(化粧料、医薬品、農薬、トイレタリー用品、スプレー剤、塗料等)の増粘剤等として好適に用いることができる。具体的には、化粧水、乳液、コールドクリーム、バニシングクリーム、マッサージクリーム、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、美容液、パック、ファンデーション、サンスクリーン化粧料、サンタン化粧料、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、美白乳液、各種ローション等の皮膚用化粧料、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、リンスインシャンプー、ヘアスタイリング剤(ヘアフォーム,ジェル状整髪料等)、ヘアトリートメント剤(ヘアクリーム,トリートメントローション等)、染毛剤やローションタイプの育毛剤あるいは養毛剤等の毛髪用化粧料、さらにはハンドクリーナーのような洗浄剤、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、自動車用や室内用の芳香剤、脱臭剤、歯磨剤、軟膏、貼布剤、農薬、スプレー剤、塗料等の用途に用いることができる。
また、食品用では、具体例として以下が挙げられる。うどん、そば、焼きそば等の麺類、卵サンド、ハムサンド等のサンドイッチ類、赤飯むすび、鮭おむすび、梅入りおむすび等のおむすび類、レトルト米飯、粥などの穀類、もち類葛きり、はるさめ等の澱粉類、小豆あん、うずら豆あん、あずき餡、月餅等の餡類、豆腐、厚揚げ、いなり等の豆腐加工食品類、おでん、野菜の煮物等の煮物類、柴漬け、梅干し、たくあん、浅漬け、キムチ等の漬物類;イチゴジャム、マーマレード等のジャム類、イカ佃煮、のり佃煮等の佃煮類、みりん干し、一夜干し等の水産加工品、蒲鉾、竹輪、はんぺん等の水産練り製品、プロセスチーズ、ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー等の乳類、ファットスプレッド、マーガリン等の油脂類、ういろう、カステラ、草もち、タルト、あんまん、せんべい、スポンジケーキ、マドレーヌ、蒸しパン、あんパン、クリームパン、ホットケーキ、ドーナツ、パイ、シュークリーム等の菓子類、アイスクリーム、プリン、ババロア、ヨーグルト、フルーツゼリー、杏仁豆腐などのデザート類、無糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、コーヒー牛乳などのコーヒー飲料、ミルクティー、紅茶、ストレートティー、レモンティー等の紅茶飲料、緑茶、ウーロン茶、ブレンド茶などの茶系飲料、牛乳、ミルクセーキ等の乳飲料、ココア、ホットチョコレート等のカカオ飲料、しるこ、甘酒、飴湯、しょうが湯の飲料などのpHが5以上の中性飲料、果汁飲料、炭酸飲料、酸性乳飲料などのpHが5未満の酸性飲料、コーンポタージュやポテトスープ等のスープ類、調味みそ、ごまだれ、ドレッシング、ソース、ホワイトソース、マヨネーズ、たれ等の調味料類、しゅうまい、ぎょうざ、えびフライ、コロッケ等の調理加工食品類が挙げられる。

Claims (4)

  1. (a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤として、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸から選択された1種又は2種以上の脂肪酸とエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、およびマンニトールから選択された1種又は2種以上の糖アルコールとのエステルである糖アルコール脂肪酸エステル(a2)、ならびに、カプリル酸、およびカプリン酸から選択された1種または2種以上とソルビタンとのモノエステルであるソルビタン脂肪酸エステル(a5)から選択された1種もしくは2種以上、をセルロースナノファイバー水分散体に対して100〜10,000ppm含有するセルロースナノファイバー水分散体組成物。
  2. 請求項1記載のセルロースナノファイバー水分散体組成物を含有する食品。
  3. 請求項1記載のセルロースナノファイバー水分散体組成物を含有する化粧料。
  4. (a)脂肪酸エステル型構造非イオン界面活性剤として、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸から選択された1種又は2種以上の脂肪酸とエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、およびマンニトールから選択された1種又は2種以上の糖アルコールとのエステルである糖アルコール脂肪酸エステル(a2)、ならびに、カプリル酸、およびカプリン酸から選択された1種または2種以上とソルビタンとのモノエステルであるソルビタン脂肪酸エステル(a5)から選択された1種もしくは2種以上、を含有するセルロースナノファイバー水分散体用腐敗防止剤。
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