JP6356452B2 - 熱成形用シート、成形体及び容器 - Google Patents
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Description
本発明の成形体及び容器は、軽量でありながら耐衝撃性に優れる。さらに、容器内壁面を不透水性にすることができるため、水分を含む食品の収容及び流通に適している。
本発明の第一実施態様の熱成形用シートは、ポリスチレン系樹脂を含む樹脂を発泡させてなる発泡層と、該発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂からなる非発泡層とを備えてなる積層型の熱成形用シートである。前記発泡層及び非発泡層にはゴム分が含まれている。
さらに、前記熱成形用シートにおいて、前記発泡層の総質量に対する該発泡層内に含まれるゴム分含有率が1.0〜10.0質量%であり、前記一方の面に設けられた非発泡層の総質量に対する該非発泡層内に含まれるゴム分含有率が2.0〜15.0質量%であり、[前記一方の面に設けられた非発泡層内に含まれるゴム分の含有率]/[前記発泡層内に含まれるゴム分の含有率]で表されるゴム分の含有比が1.0〜2.0であり、且つ、前記熱成形用シートの密度(g/cm3)が0.20超0.70未満の範囲である。
(ポリスチレン系樹脂)
前記発泡層を構成するポリスチレン系樹脂は、特に制限されず、例えば、スチレン系単量体の単独重合体または共重合体等が挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂として、スチレン系単量体と、該スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体とを共重合させた、スチレン系単量体を主成分とする共重合体を用いてもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンに基づく構成単位を全構成単位に対して50質量%以上有するポリスチレン系樹脂が好ましく、ポリスチレンがより好ましい。
スチレン系単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの他の樹脂の配合量は、前記ポリスチレン系樹脂100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、0質量部でもよい。上記上限値以下であれば、得られる発泡層が軟弱にならず、成形された容器の耐衝撃性を損なう恐れが少ない。
前記ポリスチレン系樹脂に前記ポリフェニレンエーテル系樹脂を配合する場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂の割合は、全樹脂成分(100質量%)に対して、5質量%以上50質量%未満が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
また、前記「他の樹脂」は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記発泡層の総質量(100質量%)に対して、該発泡層に含有されるゴム分(ゴム)は1.0〜10.0質量%の範囲で含有される。
前記ゴム分の含有率の範囲は、1.5〜9.6質量%が好ましく、2.0〜7.0質量%がより好ましく、2.5〜6.0質量%がさらに好ましく、3.0〜5.0質量%が特に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、耐衝撃性をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、成形性をより向上させることができる。
前記発泡層には、任意成分として、発泡核剤、造核剤、消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
前記添加剤の種類や添加量は、本発明の熱成形用シートの用途に応じて適宜決定される。
前記添加剤は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
前記発泡層の厚みは、本発明の熱成形用シートの用途等を勘案して決定され、例えば、食品用途の容器、特に深絞り容器に用いる場合には、坪量が150〜1000g/m2となる厚みが好ましく、200〜800g/m2となる厚みがより好ましく、300〜700g/m2となる厚みがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の軽量性をより向上させることができる。即ち、上記範囲であると、成形体の耐衝撃性及び軽量性のバランスを取ることができる。
前記発泡層の発泡倍率は、特に制限されず、発泡層の強度を維持しつつ軽量化する観点から、例えば、1.0〜5.0倍が好ましく、1.5〜4.0倍がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の軽量性をより向上させることができる。即ち、上記範囲であると、成形体の耐衝撃性及び軽量性のバランスを取ることができる。
(熱可塑性樹脂)
前記非発泡層(以下、ソリッド層と呼ぶことがある。)を構成する熱可塑性樹脂は、特に制限されず、例えば、前記発泡層の材料樹脂として例示した前記ポリスチレン系樹脂、前記「他の樹脂」等が挙げられる。これらのうち、前記ソリッド層の前記発泡層に対する親和性及び吸着性を高めて、両層の物理化学的特性を調和させることにより、成形体及び容器の成形性及び耐衝撃性を向上させる観点から、前記ソリッド層は、前記ポリスチレン系樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで、ポリスチレン系樹脂が主成分であるとは、前記ソリッド層の全樹脂成分(100質量%)に対する前記ポリスチレン系樹脂の割合が50質量%以上であることを意味する。
また、前記「他の樹脂」は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ソリッド層の総質量(100質量%)に対して、該ソリッド層に含有されるゴム分(ゴム)は2.0〜15.0質量%の範囲で含有される。
前記ゴム分の含有率の範囲は、2.3〜14.0質量%がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の成形性をより向上させることができる。
前記ソリッド層には、任意成分として、消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
前記添加剤として、実際には発泡しないダミーの発泡剤を添加してもよい。ダミーを添加することにより、本発明の熱成形用シートの製造時におけるソリッド層用の樹脂組成物の粘度を、発泡層の粘度に合わせて調整することができる。
前記添加剤の種類や添加量は、本発明の熱成形用シートの用途に応じて適宜決定される。
前記添加剤は、1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
前記ソリッド層の厚みは、本発明の熱成形用シートの用途等を勘案して決定され、例えば、食品用途の容器、特に深絞り容器に用いる場合には、坪量が40〜300g/m2となる厚みが好ましく、70〜250g/m2となる厚みがより好ましく、100〜200g/m2となる厚みがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の軽量性をより向上させることができる。即ち、上記範囲であると、成形体及び容器の耐衝撃性及び軽量性のバランスを取ることができる。
本発明の熱成形用シートは、前記発泡層と、該発泡層の少なくとも一方の面に積層された前記非発泡層(ソリッド層)とを有する。
前記熱成形用シートにおいて、[前記一方の面に設けられた非発泡層内のゴム分含有率]/[前記発泡層内のゴム分含有率]で表されるゴム分の含有比は、1.0〜2.0であり、1.0超2.0未満であってもよく、1.2〜1.8であってもよく、1.3〜1.7であってもよい。
前記ゴム分の含有比が上記範囲内であることにより、成形体及び容器の耐衝撃性を充分に高めることができる。このメカニズムは未解明であるが、上記範囲内であると、前記発泡層と前記ソリッド層との密着性が高まり、両層の物理化学的な特性が調和することが一因であると推測される。
本発明の熱成形用シートの平均密度(g/cm3)は、0.20超0.70未満の範囲であり、0.25〜0.65g/cm3が好ましく、0.35〜0.60g/cm3がより好ましく、0.45〜0.55g/cm3がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の軽量性をより向上させることができる。即ち、上記範囲であると、成形体及び容器の耐衝撃性及び軽量性のバランスを取ることができる。
前記熱成形用シートの厚みは、その用途等を勘案して決定され、例えば、食品用途の容器、特に深絞り容器に用いる場合には、前記熱成形用シートの全体の坪量が200〜2000g/m2となる厚みが好ましく、250〜1500g/m2となる厚みがより好ましく、300〜1000g/m2となる厚みがさらに好ましい。
具体的には、前記熱成形用シートの総厚みは、0.50mm〜3.00mmが好ましく、0.90mm〜2.00mmがより好ましく、0.95mm〜1.50mmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、成形体及び容器の耐衝撃性をより向上させることができる。上記範囲の上限値以下であると、成形体及び容器の軽量性をより向上させることができる。即ち、上記範囲であると、成形体及び容器の耐衝撃性及び軽量性のバランスを取ることができる。
前記発泡層の少なくとも一面に前記非発泡層(ソリッド層)が積層された熱成形用シートを製造する方法は、特に制限されず、公知方法が適用できる。例えば、下記(1)〜(4)の方法が挙げられる。
[1]前記発泡層用の樹脂及び発泡剤を第一押出機に供給する一方、前記ソリッド層用の樹脂を第二押出機に供給し、第一押出機及び第二押出機を共に接続させている共押出金型に供給し共押出することによって、前記発泡層(発泡シート)の少なくとも一面に前記非発泡層(樹脂フィルム)を積層して一体化させる方法、
[2]押出機から押出された前記非発泡層(樹脂フィルム)を冷却する前に、別途製造した前記発泡層(発泡シート)上に直接、積層して一体化させる方法、
[3]前記発泡層(発泡シート)と、前記非発泡層(樹脂フィルム)をそれぞれ予め作製しておき、これとは別に押出機から押出された溶融状態の熱可塑性樹脂(前記非発泡層を構成する熱可塑性樹脂であることが好ましい。)を前記発泡層上に供給し、この熱可塑性樹脂をバインダーとして前記非発泡層を前記発泡層上に積層して一体化させる方法、
[4]前記発泡層(発泡シート)と、前記非発泡層(樹脂フィルム)をそれぞれ予め作製しておき、前記非発泡層を加熱しながら前記発泡層上に圧着して、前記発泡層上に前記非発泡層を積層して一体化させる方法、などが挙げられる。
なお、前記発泡層(発泡シート)及び前記非発泡層(樹脂フィルム)の厚みは公知の方法で調整すればよい。
本発明の成形体は、上述した本発明の熱成形用シートを成形してなるものである。
前記成形体としては、例えば、平面視形状が真円形、楕円形、半円形、多角形、扇形等のトレー、丼形状の容器、有底円筒状又は有底角筒状等の容器、納豆用容器等の蓋付容器、冷菓食品用の深絞り容器等の種々の容器、又は容器本体に装着される蓋体等が挙げられる。これらの容器の用途としては、食品用途が好ましい。
上記範囲であると、成形体及び容器の軽量化と耐衝撃性の向上とをバランスよく両立することができる。
試料を0.1〜0.5mg精秤し、キューリー点が590℃の強磁性金属体(パイロホイル;日本分析工業社製)に圧着するように包み、キューリーポイントパイロライザーJPS−700型装置(日本分析工業社製)にて分解させて生成したブタジエンモノマーと4-ビニルシクロヘキサンをガスクロマトグラフGC7820(アジレント・テクノロジー社製)(検出器:FID)を用いて測定し、合計ピーク面積を使用して予め準備した絶対検量線に基づき、試料中のゴム分含有率を算出した。
・加熱:590℃、5sec
・オーブン温度:300℃
・ニードル温度:300℃
・カラム:Inter Cap5(φ0.25mm×30m、膜厚0.25μm)、ジーエルサイエンス社製
・温度条件:50℃で0.5分保持後、200℃まで10℃/分で昇温し、さらに320℃まで20℃/分で昇温し、320℃にて0.5分保持
・キャリアーガス:He
・He流量:25ml/分
・注入口圧力:100KPa
・注入口温度:300℃
・検出器温度:300℃
・スプリット比:1/30
<汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)>
東洋スチレン社製GPPS:商品名「HRM12N」のゴム分含有率=0%
東洋スチレン社製GPPS:商品名「HRM10N」のゴム分含有率=0%
東洋スチレン社製GPPS:商品名「G200C」のゴム分含有率=0%
DIC社製GPPS:商品名「HP−250」のゴム分含有率=0%
PSジャパン社製HIPS:商品名「E640N」のゴム分含有率=6.0%
PSジャパン社製HIPS:商品名「H350」のゴム分含有率=5.0%
PSジャパン社製HIPS:商品名「EX−7」のゴム分含有率=11.0%
旭化成工業社製ブタジエン−スチレン共重合体:商品名「タフプレンA」のゴム分含有率=60%
<熱成形用シート(積層発泡シート)の作成>
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)30質量%、ポリスチレンGPPS樹脂(DIC社製「HP−250」)40質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)30質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク2.5質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が1.5質量%となるように調製した。得られた混合原料を、内径90mmの第一押出機と、内径150mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機の第一押出機のホッパーに供給した。押出機のシリンダー温度は最高230℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)0.98質量部を圧入、混練して、第二押出機にて発泡性溶融混合物を冷却し、樹脂温度を166℃に調整して、150kg/hrの押出量で合流金型に流入した。
・全体坪量:積層発泡シートの幅方向に等間隔に8点以上、10cm×10cmに切り取り、各切片の質量を測定し、この値を相加平均によって平均坪量を求めた。
・発泡層とソリッド層の坪量:上記で測定された全体坪量と、発泡層及びソリッド層の各々の押出吐出量の比率から、各層の坪量を計算した。
積層発泡シートの幅方向の両端20mmを除いた部分を、幅方向に等間隔9点以上について、ダイヤルシックネスゲージSM−112(テクロック社製)を使用して厚みを測定し、この値を相加平均によって平均厚みを求めた。
積層発泡シートの全体坪量と厚みから、以下の計算式にて算出した。
シートの平均密度(g/cm3)=全体坪量(g/m2)÷厚み(mm)÷1000
・発泡層のゴム分含有率;スライサー(フォーチュナ社(ドイツ)製スプリッティングマシン、型式AB−320−D)を使用して、積層発泡シートの発泡層側の表面から0.5mmの厚みにスライスした試験片を試料として、前述のゴム分含有率の測定方法により試験片のゴム分含有率を測定した。
・ソリッド層のゴム分含有率;上記スライサーを使用して、積層発泡シートのソリッド層側の表面から0.05mmの厚みにスライスした試験片を試料として、前述のゴム分含有率の測定方法により試験片のゴム分含有率を測定した。
・ゴム分比率の算出;上記のように測定した、発泡層及びソリッド層の各ゴム分含有率から、以下の計算式にて算出した。
ゴム分比率=ソリッド層のゴム分含有率(%)÷発泡層のゴム分含有率(%)
得られた積層発泡シートを用い、その非発泡層(ソリッド層)が容器の内側になるように成形を行なった。成形条件は、炉内雰囲気温度155〜175℃、成形時間15〜18秒で加熱した後、直径75mm×深さ75mmの丸型容器製造用の金型を使用して熱成形を行った。ここで成形した容器は深絞り容器である。
○:きれいな成形品が得られた。
△:成形品に皺(シワ)が確認された。もしくは局部的に極端に厚みが薄かった。
×:成形品が得られなかった。
得られた容器に70gの水を入れ、シールを行って密封したものを10個作成し、テストサンプルとした。これを高さ100cmからコンクリート床面に自由落下させた。
落下衝突後、容器から水が漏れなかったものを合格、漏れたものを不合格とし、合格した個数をカウントした。その結果を以下のように評価した。
○:7個以上が合格であった。
△:4〜6個が合格であった。
×:3個以下が合格であった。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(DIC社製「HP−250」)40質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)60質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク3.0質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が3.0質量%となるように調製した。得られた混合原料を、内径90mmの第一押出機と、内径150mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機の第一押出機のホッパーに供給した。押出機のシリンダー温度は最高230℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)0.70質量部を圧入、混練して、第二押出機にて発泡性溶融混合物を冷却し、樹脂温度を167℃に調整して、160kg/hrの押出量で合流金型に流入した。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(DIC社製「HP−250」)40質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)27質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「EX−7」)33質量%、を含む混合樹脂組成物を使用し、発泡層内のゴム分含有率が5.0質量%となるように調製した以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)1.52質量部を圧入し、引取速度8.3m/minにて引き取った以外は実施例2と同様に行った。
発泡層用の発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)0.57質量部を圧入し、引取速度2.3m/minにて引き取った以外は実施例2と同様に行った。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)84質量%、ポリブタジエンーポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)16質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク6.4質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が9.6質量%となるように調製した。
また、非発泡層用(ソリッド層用)樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)77質量%、ポリブタジエンーポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)23質量%、を混合し、ソリッド層内のゴム分含有率を14.0%となるように調製した。上記以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(DIC社製「HP−250」)40質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)60質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク3.0質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が3.0質量%となるように調製した。得られた混合原料を、内径90mmの第一押出機と、内径150mmの第二押出機が連結されたタンデム押出機の第一押出機のホッパーに供給した。押出機のシリンダー温度は最高230℃とし、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)0.70質量部を圧入、混練して、第二押出機にて発泡性溶融混合物を冷却し、樹脂温度を167℃に調整して、180kg/hrの押出量で口径215mmの環状金型に注入した。さらに、厚み0.5mmのスリットから円筒形状に押出し、口径670mmの冷却用マンドレルに沿わせて3.5m/minの速度で引き取り、マンドレル後部に取り付けた2枚のカッターで円筒状の発泡材を切開して、上下に切り分けられた2枚の発泡シートを得た。スリットから出た直後の発泡シートにエアーを吹付けて発泡シート表面を冷却し、坪量400g/m2、厚み900μmのポリスチレン系単層樹脂発泡シートを作成した。
また、得られた積層発泡シートを使用して、実施例1と同様に容器サンプルを作成し、その評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3で得られた積層発泡シートを、残留した発泡ガスの置換の為に14日間保管した。その後、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)を最高温度240℃に設定した100mmφ押出機で溶融し、Tダイよりフィルム状で押出し、冷却しきらないうちに、上記保管後の積層発泡シートの発泡層側の表面に、厚さが100μmになるように重ね、ロールを通して接着させて、積層発泡シートを得た。
非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(DIC社製「HP−250」)50質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)50質量%、を混合した混合樹脂組成物を調製し、ソリッド層内のゴム分含有率を2.5%とした。更に、60kg/hrの押出量で合流金型に流入した。これらを変更した以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物を40kg/hrの押出量で合流金型に流入した以外は比較例1と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM10N」)82質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)18質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク2.3質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が0.9質量%となるように調製した。また、非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「G200C」)55質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「E640N」)45質量%、を含む混合樹脂組成物を調製し、ソリッド層内のゴム分含有率を2.7%とした。これらの変更以外は実施例1と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物に、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン=70/30)1.94質量部を圧入し、引取速度10.6m/minにて引き取った以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM10N」)20質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「H350」)80質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク3.8質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が4.0質量%となるように調製した。また、非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)60質量%、ポリスチレンHIPS樹脂(東洋スチレン社製「E640N」)40質量%、を含む混合樹脂組成物を調製し、ソリッド層内のゴム分含有率を2.4%とした。これらの変更以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)80質量%、ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)20質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク7.5質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が12.0質量%となるように調製した。また、非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)95質量%、ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)5質量%、を含む混合樹脂組成物を調製し、ソリッド層内のゴム分含有率を3%とした。これら以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
発泡層用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)95質量%、ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)5質量%、を含む混合樹脂組成物100質量部に対し、気泡調整剤としてタルク4.5質量部を混合し、発泡層内のゴム分含有率が3.0質量%となるように調製した。また、非発泡層(ソリッド層)用の樹脂組成物として、ポリスチレンGPPS樹脂(東洋スチレン社製「HRM12N」)70質量%、ポリブタジエン−ポリスチレン共重合体樹脂(旭化成工業社製「タフプレンA」)30質量%、を含む混合樹脂組成物を調製し、ソリッド層内のゴム分含有率を18.0%とした。これらの変更以外は実施例2と同様に行い、積層発泡シートを得た。
また、実施例1〜8は、発泡層の片面にのみ非発泡層が形成された2層型の熱成形用シートを材料として使用した容器であり、従来の3層型(非発泡層/発泡層/非発泡層)のシートを材料とした容器よりも軽量化されていることは明らかである。
また、実施例1〜7の2層型の熱成形用シートにおいては、発泡層の厚み(坪量)が非発泡層の厚み(坪量)の約4倍以上であるため、充分に軽量化されている。
Claims (4)
- ポリスチレン系樹脂からなる樹脂を発泡させてなり、ゴム分を含有する発泡層と、該発泡層の少なくとも一方の面に設けられた熱可塑性樹脂からなり、ゴム分を含有する非発泡層とを備えた熱成形用シートであって、
前記発泡層の発泡倍率が1.5〜5.0倍であり、
前記発泡層はゴム分含有率1.0〜10.0質量%であり、
前記一方の面に設けられた非発泡層はゴム分含有率2.0〜15.0質量%であり、
[前記一方の面に設けられた非発泡層内のゴム分含有率]/[前記発泡層内のゴム分含有率]で表されるゴム分の含有比が1.0超2.0以下であり、且つ、
前記熱成形用シートの密度(g/cm3)が0.20超0.70未満の範囲である、熱成形用シート。 - 請求項1に記載の熱成形用シートを成形してなる、成形体。
- 請求項1に記載の熱成形用シートを成形してなる、容器。
- [深さ/口径]で表される絞り比が0.9以上で成形された、請求項3に記載の容器。
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