JP6354259B2 - 疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 - Google Patents
疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6354259B2 JP6354259B2 JP2014068436A JP2014068436A JP6354259B2 JP 6354259 B2 JP6354259 B2 JP 6354259B2 JP 2014068436 A JP2014068436 A JP 2014068436A JP 2014068436 A JP2014068436 A JP 2014068436A JP 6354259 B2 JP6354259 B2 JP 6354259B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel
- less
- inclusions
- content
- strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
引張強さが1700MPa以上であり、
伸びが9.2%超えであり、
断面観察により観察される鋼中の介在物の円相当径の最大値(極値統計法にて1200mm3の容積中に存在すると予想される介在物の円相当径の最大値)が15μm以下であると共に、円相当径1μm以上の介在物の個数が110個/mm2以下であることを特徴とする疲労強度に優れた鋼板にある。
Al脱酸処理を施す際の溶鋼上に形成されるスラグの塩基度bを、下記式1及び式2を満たすように調整しながら上記溶鋼の精錬を行う精錬工程と、
式1:b≧4.0
(ただし、b=[CaO]/[SiO2]、[CaO]はスラグ中に含有されるCaOの含有量(質量%)、[SiO2]はスラグ中に含有されるSiO2の含有量(質量%))
式2:398×[Al]−2.23×b+19.33≦25.0
(ただし、[Al]は、鋼中のAlの含有率(質量%)の値を意味する)
上記精錬工程により作製された上記溶鋼を鋳造して鋼塊を得る鋳造工程と、
上記鋼塊を熱間圧延して熱延板を得る粗圧延工程と、
上記熱延板を仕上圧延して圧延板を得る仕上圧延工程と、
上記圧延板を焼入焼戻し処理する熱処理工程とを有し、
上記粗圧延工程と上記仕上圧延工程の合計減面率G(%)が、
式3:3615.5e(−0.0526×G)≦100.0
を満たすように圧延することを特徴とする疲労強度に優れる鋼板の製造方法にある。
Cは、高強度化に必要な元素であり、その効果を十分に得るためには0.30%以上含有させることが必要である。一方、Cを過剰添加すると、製造性が悪化し、さらには、粗大な炭化物が形成されて強度が低下してしまうため、Cの添加は0.70%を上限とする。
Siは、高強度化に必要な元素であり、その効果は微量でも得られるが、好ましくは、0.10%%以上添加するのがよい。ただし、Siを過剰添加すると、製造性、特に冷間圧延が難しくなると共に浸炭、窒化処理性の阻害要因となるため、Siの添加は2.50%を上限とする。
Mnは、高強度化に必要な元素であり、その効果は微量でも得られるが、好ましくは0.10%以上添加するのがよい。ただし、Mnを過剰添加すると延性低下につながり、8.0%以上の伸びの確保が困難となるおそれがあるため、Mnの添加は1.00%を上限とする。
Crは、高強度化に必要な元素であると共に、浸炭、窒化処理等の表面処理を行った場合の高強度化にも有効な元素である。これらの効果を十分に得るためには、1.00%以上の添加が必要である。ただし、Crを過剰添加すると、粗大な炭化物が形成されて強度が低下し、また、コストアップにもつながるため、4.00%を上限とする。
Moは、高強度化に必要な元素であると共に浸炭、窒化処理等の表面処理を行った場合の高強度化にも有効な元素である。これらの効果を十分に得るためには0.50%以上含有することが必要である。ただし、Moを過剰添加すると効果が飽和するだけでなくコストアップになるため、3.00%を上限とする。
Vは、高強度化に有効な元素である。Vは、微量でも高強度化(高硬度化)の効果を発揮するが、より確実にこの効果を得るために0.10%以上とすることが好ましい。ただし、Vを過剰添加すると粗大な介在物が生成して強度が低下すると共に、コストアップになるため、1.00%を上限とする。
Alは、精錬工程における脱酸処理時に有効に作用し、酸素低減に必要な元素である。この効果を十分に得るため、Al含有率は0.010%超とする。ただし、Alを過剰添加すると鋼中の粗大な介在物(アルミナ)が増加し、疲労強度を低下させる原因となるため、0.050%を上限とする。
O含有率が高いと、粗大な介在物を形成し、疲労強度を低下させる原因となるため、0.0015%を上限とする。より好ましくは、0.0010%以下とするのがよい。
式1:b≧4.0
(ただし、b=[CaO]/[SiO2]、[CaO]はスラグ中に含有されるCaOの含有量(質量%)、[SiO2]はスラグ中に含有されるSiO2の含有量(質量%))
式2:398×[Al]−2.23×b+19.33≦25.0
(ただし、[Al]は、Alの含有率(質量%)の値を意味する)
鋳造方法としては、連続鋳造、半連続鋳造、鋳型内への鋳造等、公知のいずれの鋳造方法を用いてもよい。
上記式3は、合計減面率Gを変化させて多数の実験を行い、測定した介在物個数のデータから求めた実験式である。
上記鋼板及びその製造方法に係る実施例について説明する。本例では、表1に示すごとく、複数種類の化学成分からなる鋼板(試料1〜22)を作製し、複数の項目について評価した。各鋼板は、次のようにして作製した。
まず、表1に示された化学成分を有する鋼塊をそれぞれ作製した。具体的には、電気炉により、原料を溶解して成分調整した後、所望のスラグ塩基度が得られる割合で混合したSiO2とCaOとの混合粉末を溶鋼中に投入する。その後、溶鋼を十分に撹拌し、生成したスラグとの反応促進を図った後、溶鋼を凝固させ、鋼塊を得た。
上記鋼塊に熱間鍛伸を施し、中間サイズの断面矩形の素材を製造し、表面の酸化スケール層を機械加工により除去した後、ロール径φ150mmの2段圧延機により圧延面を適宜変更しながら10mm厚の熱延板を得た(粗圧延工程)。なお、実際の工業生産では、鋼塊を熱間圧延する粗圧延工程により、中間サイズの圧延板を得るが、本例では、少量であるため、試験の都合上粗圧延工程の一部に相当する加工として熱間鍛伸を採用した。また上記機械加工は、スケール除去の目的だけでなく、その加工量を調整することにより、1mm厚の鋼板を得るまでの減面率を変化させた。すなわち、機械加工量を増加することにより粗圧延による減面率を低くすることができる。後述の冷間圧延前の機械加工も同様である。
熱延板表面のスケール層を機械加工により除去すると共に、前記と同様に減面率調整のために加工量を調整し、その後、ロール径φ150mmの2段圧延機により冷間圧延し、1mm厚の鋼板を得た(仕上圧延工程)。
上記鋼板を950℃に1時間保持した後油冷する焼入処理を行った後、425℃に1時間保持した後空冷する焼戻し処理を行った(熱処理工程)。
冷間圧延後に熱処理を行って得られた鋼板を用い、板状試験片(JIS Z2241のJIS13B号試験片)を準備し、引張試験及び疲労試験を行った。疲労試験は、油圧サーボ試験機にて、片振りの1軸引張試験(引張−引張応力下)にて行った。応力の条件は300±300MPaとした。その結果、108回まで破断しなかった場合を合格「〇」、108回未満で破断した場合を不合格「×」と評価した。また、引張試験の評価は、引張強さは1700MPa以上を合格、伸びは9.2%超えを合格とした。試験結果を表2に示す。
冷間圧延により得られた鋼板を圧延方向に平行に切断し、得られた断面を研磨して観察面として、光学顕微鏡観察して得た複数の視野の画像(本例では60の視野の画像(合計面積3000mm2)を用いた)から、前述した手順により、介在物の単位面積当たりの個数(円相当径1μm以上をカウント)及び極値統計法による1200mm3中に存在すると予想される最大の介在物円相当径を求めた。試験結果を表2に示す。
試料11は、C含有率が高すぎ、延性が低下し、伸び、疲労強度共に劣る結果となった。
試料12は、Si含有率が高すぎ、冷間圧延が困難となり鋼板が製造できず、疲労評価ができなかった。
試料14は、Cr含有率が低すぎ、材料強度が不足し、疲労強度も低下した。
試料15は、Cr含有率が高すぎ、粗大な炭化物が生成し、延性が低下して伸び及び疲労強度が低下した。
試料17は、V含有率が高すぎ、粗大な炭化物が生成し、延性が低下して伸び及び疲労強度が低下した。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.30%以上0.70%以下、Si:2.50%以下、Mn:1.00%以下、Cr:1.00%以上4.00%以下、Mo:0.50%以上3.00%以下、V:0%以上1.00%以下、Al:0.010%超0.050%以下、O:0.0015%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなり、
引張強さが1700MPa以上であり、
伸びが9.2%超えであり、
断面観察により観察される鋼中の介在物の円相当径の最大値(極値統計法にて1200mm3の容積中に存在すると予想される介在物の円相当径の最大値)が15μm以下であると共に、円相当径1μm以上の介在物の個数が110個/mm2以下であることを特徴とする疲労強度に優れた鋼板。 - 請求項1に記載の鋼板を製造する方法であって、
Al脱酸処理を施す際の溶鋼上に形成されるスラグの塩基度bを、下記式1及び式2を満たすように調整しながら上記溶鋼の精錬を行う精錬工程と、
式1:b≧4.0
(ただし、b=[CaO]/[SiO2]、[CaO]はスラグ中に含有されるCaOの含有量(質量%)、[SiO2]はスラグ中に含有されるSiO2の含有量(質量%))
式2:398×[Al]−2.23×b+19.33≦25.0
(ただし、[Al]は、鋼中のAlの含有率(質量%)の値を意味する)
上記精錬工程により作製された上記溶鋼を鋳造して鋼塊を得る鋳造工程と、
上記鋼塊を熱間圧延して熱延板を得る粗圧延工程と、
上記熱延板を仕上圧延して圧延板を得る仕上圧延工程と、
上記圧延板を焼入焼戻し処理する熱処理工程とを有し、
上記粗圧延工程と上記仕上圧延工程の合計減面率G(%)が、
式3:3615.5e(−0.0526×G)≦100.0
を満たすように圧延することを特徴とする疲労強度に優れる鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014068436A JP6354259B2 (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014068436A JP6354259B2 (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015190011A JP2015190011A (ja) | 2015-11-02 |
JP6354259B2 true JP6354259B2 (ja) | 2018-07-11 |
Family
ID=54424781
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014068436A Expired - Fee Related JP6354259B2 (ja) | 2014-03-28 | 2014-03-28 | 疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6354259B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110106443A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-08-09 | 山东寿光巨能特钢有限公司 | 一种超高强度螺栓用圆钢生产方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6503523B1 (ja) * | 2019-01-25 | 2019-04-17 | 古河ロックドリル株式会社 | ドリルツールおよびその製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3254317B2 (ja) * | 1993-10-08 | 2002-02-04 | 日本精工株式会社 | 超清浄度軸受用鋼の製造方法および超清浄度軸受用鋼 |
JP3543200B2 (ja) * | 1994-07-04 | 2004-07-14 | 日新製鋼株式会社 | メタルソー基板用鋼板の製造方法 |
JP5138991B2 (ja) * | 2007-06-28 | 2013-02-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 被削性に優れた機械構造用鋼 |
JP5854831B2 (ja) * | 2011-12-28 | 2016-02-09 | 日新製鋼株式会社 | 疲労特性に優れる耐摩耗性鋼材およびその製造方法 |
JP5825157B2 (ja) * | 2012-03-12 | 2015-12-02 | 新日鐵住金株式会社 | 高周波焼入れ用鋼材 |
-
2014
- 2014-03-28 JP JP2014068436A patent/JP6354259B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110106443A (zh) * | 2019-05-30 | 2019-08-09 | 山东寿光巨能特钢有限公司 | 一种超高强度螺栓用圆钢生产方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015190011A (ja) | 2015-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2975149B1 (en) | H-shaped steel and process for manufacturing same | |
JP6068314B2 (ja) | 冷間加工性と浸炭熱処理後の表面硬さに優れる熱延鋼板 | |
JP5854831B2 (ja) | 疲労特性に優れる耐摩耗性鋼材およびその製造方法 | |
WO2016148037A1 (ja) | 冷間加工性と浸炭熱処理後の靱性に優れる浸炭用鋼板 | |
JP6925781B2 (ja) | 優れた高温強度および靱性を有する熱間工具鋼 | |
CN109563578B (zh) | 高频淬火用钢 | |
KR102624515B1 (ko) | 강철, 상기 강철로 제조된 제품, 및 그 제조 방법 | |
KR101886030B1 (ko) | 피로 특성이 우수한 내마모성 강재 및 그 제조 방법 | |
US10280476B2 (en) | H-section steel and method of producing the same | |
TW201443245A (zh) | 具有優異冷加工性與加工後之表面硬度的熱軋鋼板 | |
WO2015060311A1 (ja) | 絞り加工性と浸炭熱処理後の表面硬さに優れる熱延鋼板 | |
JP2007270331A (ja) | ファインブランキング加工性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
KR20190028782A (ko) | 고주파 담금질용 강 | |
KR20190028757A (ko) | 고주파 담금질용 강 | |
KR20190028492A (ko) | 고주파 담금질용 강 | |
JP6284813B2 (ja) | 強冷間加工性と加工後の硬さに優れる熱延鋼板 | |
JP6516093B2 (ja) | 連続鋳掛け肉盛鋳造製圧延用複合ロール | |
JP6354259B2 (ja) | 疲労強度に優れた鋼板及びその製造方法 | |
JP2010132983A (ja) | フルハード冷延鋼板 | |
JP2007231416A (ja) | ファインブランキング加工性に優れた鋼板およびその製造方法 | |
JP2019011510A (ja) | 冷間加工性と浸炭熱処理後の靱性に優れる浸炭用鋼板 | |
JP6127643B2 (ja) | 疲労強度に優れる鋼板及びその製造方法 | |
JP2005307242A (ja) | ダイカスト金型用プリハードン鋼 | |
JP4170294B2 (ja) | 転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材およびドライブシャフト | |
JP6249100B2 (ja) | 機械構造用圧延棒鋼及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20161220 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171018 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171114 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20171214 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180515 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180528 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6354259 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |