JP4170294B2 - 転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材およびドライブシャフト - Google Patents

転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材およびドライブシャフト Download PDF

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Description

本発明は機械構造用鋼材に関する。特に、転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材に関する。高炉材の替わりに電炉材を用いて製造した機械構造用鋼材であって、CuやNi等のトランプエレメントが混入しても、上記諸特性が劣化しない鋼材を提供するものである。
自動車用ドライブシャフトや等速ジョイント等の機械構造用部材には所要のねじり強度が要求される。ねじり強度を確保するために、従来一般的に、熱間圧延棒鋼を熱間鍛造し、必要な場合は焼ならし処理を施し、切削、冷間鍛造等により所定の形状に加工したのち、高周波焼入れ、焼戻しが施されている。
近年環境を保護するため、自動車の燃費の向上を目的として車体の軽量化が図られている。自動車部品の軽量化のために自動車用部材のねじり強度の向上が望まれている。一方自動車部品の製造工程では鋼材の被削性、耐焼割れ性が要求される。
ねじり強度を向上させるためには、高周波焼入れにより、焼入れ硬度と焼入れ深さを増加させることが考えられる。しかし、焼入れ硬度と深さを増加させるには、高周波焼入れ条件を変更するか、鋼材の合金元素量を増やすしかなく、いずれも製造コストが増加する。自動車用部材のねじり強度と被削性、耐焼割れ性を同時に満足できるように、例えば特許文献1に示すように、合金元素量を限定した技術が提案されている。
しかし、上記の技術による化学成分の限定だけでは、被削性、耐焼割れ性とねじり特性を同時に満足させる組成範囲が極めて狭いという問題がある。また品質が安定しないという問題も残っていた。
そこで、発明者らは先に、上記の問題を解決するものとして、鋼材の成分組成を調整すると同時に、鋼組織を制御することによって、例えば特許文献2に示すように、被削性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材を提案した。
特許文献1:特開平4−218641号公報(特許請求の範囲)
特許文献2:特許第3288563号公報(特許請求の範囲)
しかし、上記特許文献2に開示された機械構造用鋼材を、電気炉を用いて製造すると、所望の特性が得られず、特に転造性の低下が著しいことが判明した。高炉材と比較すると、電気炉で製鋼した鋼材中にはCuやNi等のトランプエレメントが混入することが避けられない。このトランプエレメントが転造性を悪化させているものと考えられる。
本発明は、上記の問題を解決することを目的とする。すなわち、高炉材に替わり電気炉材を用いて製造しても、転造性の劣化を効果的に防止して、優れた耐焼割れ性およびねじり特性を併せ持つ機械構造用鋼材を提供することを目的とする。またこの鋼材を用いて形成したドライブシャフトを提案する
発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果下記の知見を得た。
(1)トランプエレメントの悪影響を軽減するには、Cr量を増加させることが有効であること、
(2)しかし、Cr量の増大は、転造性をはじめとして、ねじり特性および被削性の低下を招くこと、
(3)Cr量の増大に伴うねじり特性および被削性の低下は、Si量を増加し、かつMn量を低減することによって解消されること、
(4)転造性の低下は、焼入性を介した硬さと組織の指標であるLD値を所定の範囲に制御することによって解消されること。
本発明は、上記の知見に立脚してなされたものである。発明の特定事項は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.35%以上、0.50%以下、
Si:0.15%以下、
Mn:0.2%以上、1.1%以下、
P:0.020%以下、
S:0.005%以上、0.035%以下、
Cr:0.1%超、0.2%以下、
Mo:0.05%以上、0.5%以下、
Ti:0.01%以上、0.05%以下、
Al:0.01%以上、0.05%以下、
N:0.01%以下、
B:0.0005%以上、0.0050%以下、
Cu:0.06%以上、0.25%以下および
Ni:0.05%以上、0.2%以下
を、下記式(1)で示すLD値が120以下を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になることを特徴とする転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材。

Figure 0004170294
但し、式中のC,Mn,P,S,Si,Cr,Ni,Mo,Cuは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
2.上記1において、鋼材が、さらに質量%で
V:0.01%以上、0.30%以下および
Nb:0.005%以上、0.050%以下
を含有する組成になることを特徴とする転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材。
3.上記1または2記載の機械構造用鋼材を用いて形成し、高周波焼入れ、焼戻しを行って硬化層を設けたことを特徴とするドライブシャフト。
図1はLD値が転造性に及ぼす影響を示したものである。
図2は、静的強度試験によって、ドライブシャフトの静的強度を測定した結果である。
図3は、疲労強度試験によって、発明例のドライブシャフトと比較例のドライブシャフトの疲労強度を測定した結果である。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明において鋼材の成分組成を上記の範囲に限定した理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味する。
C:0.35%以上、0.50%以下、
Cは、高周波焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて、ねじり強度を高周波焼入れ焼戻し後に1400MPa以上を確保する上で有用な元素である。しかし、含有量が0.35%に満たないとその添加効果に乏しく、一方0.50%を超えると被削性および耐焼割れ性の低下を招くので、C量は0.35%以上、0.50%以下の範囲に限定した。
Si:0.15%以下
Siは、脱酸元素として作用する他、フェライト中に固溶して鋼を強化することによりねじり強度を向上させる元素であり、0.05%を超えて添加することが好ましい。しかし、Si量が0.15%を超えると、被削性を顕著に劣化させるため、0.15%以下の範囲に限定した。
Mn:0.2%以上、1.1%以下、
Mnは、焼入れ性を向上させ、高周波焼入れ時の硬度深さを深めることにより、ねじり強度を向上に寄与する有用元素である。しかし、含有量が0.2%に満たないとその添加効果に乏しく、一方1.1%を超えると転造性のみならず、被削性およびねじり強度を劣化させるので、Mn量は0.2%以上、1.1%以下の範囲に限定した。好ましくは0.2%以上、0.8%以下の範囲である。
P:0.020%以下
Pは、焼入れ時のオーステナイト粒界に偏析して焼割れの発生を助長するので、極力低減することが好ましく、この観点から0.020%以下に抑制するものとした。
S:0.005%以上、0.035%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し被削性を向上させる効果があるので0.005%以上含有させるものとした。しかし、MnSは、亀裂の起点となり易く、強度、靱性の低下を招くので、S量の上限は0.035%に限定した。好ましくは0.010%以上、0.035%以下の範囲である。
Cr:0.1%超、0.2%以下
Crは、本発明において特に重要な元素であり、Crを含有させることによって、転造性やねじり特性、被削性等の低下を引き起こすCuやNi等のトランプエレメントの悪影響を有利に解消することができる。しかし、Cr量が0.1%以下ではその添加効果に乏しく、一方0.2%を超えると転造性、被削性およびねじり強度が低下するため、Crは0.1%超、0.2%以下の範囲で含有させるものとした。
Mo:0.05%以上、0.5%以下
Moは、焼入れ性の向上に有用なだけでなく、ベイナイトの生成を促進して被削性を向上させる働きがある。そのためには、0.05%以上の含有を必要とするが、0.5%を超えて含有させるとむしろ被削性の劣化を招くので、Mo量は0.05%以上、0.5%以下の範囲に限定した。好ましくは、0.1%以上、0.5%以下の範囲である。
Ti:0.01%以上、0.05%以下
Tiは、Nと結合して窒化物を形成し、高温加熱時におけるオーステナイト粒を微細化する。焼入れ性の向上に有用な固溶Bを確保するために必要な元素である。そのためには、0.01%以上の含有を必要とするが、0.05%を超えると靱性が阻害されるため、Ti量は0.01%以上、0.05%以下の範囲に限定した。
Al:0.01%以上、0.05%以下
Alは、脱酸剤として有用であり、このためには少なくとも0.01%の含有を必要とするが、0.05%を超えると巨大なアルミナを生成し、これが疲労破壊の起点となって疲労強度を低下させるので、Al量は0.01%以上、0.05%以下の範囲に限定した。
N:0.01%以下
Nは、AlやTiと結合して窒化物を形成し、高周波加熱時のオーステナイト粒径を微細にすることにより疲労強度を向上させる有用元素である。しかし、含有量が0.01%を超えると窒化物が粗大化し逆に疲労強度を劣化させる。また、過剰なN添加は、BNを形成して焼入れ性に有効な固溶B量を低下させる不利もある。そこで、N量は0.01%以下に限定した。
B:0.0005%以上、0.0050%以下
Bは、焼入れ性を向上させ、高周波焼入れ時の焼入れ深さを高めることによりねじり強度を向上させる効果がある。そのためには、0.0005%以上の添加が必要であるが、0.0050%を超えると靱性の劣化を招くので、Bは0.0005%以上、0.0050%以下の範囲に限定した。
Cu:0.06%以上、0.25%以下
Cuはトランプエレメントとして不可避的に混入してくる元素である。0.25%を超えて含有されると、転造性等の劣化を招くので、0.25%以下とした。一方0.06%未満に下げると製造コストがかかるので、0.06%以上とした。
Ni:0.05%以上、0.2%以下
Niはトランプエレメントとして不可避的に混入してくる元素である。0.2%を超えて含有されると、転造性等の劣化を招くので、0.2%以下とした。一方0.05%未満に下げると製造コストがかかるので、0.05%以上とした。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
V:0.01%以上、0.30%以下、Nb:0.005%以上、0.050%以下
VおよびNbはいずれも、炭窒化物を形成し、オーステナイト粒を微細化させて強度の向上に有効に寄与する。しかし、V,Nb量がそれぞれ0.01%未満、0.005%未満ではその添加効果にと乏しく、一方0.30%超、0.050%超では析出物が粗大化して靱性を阻害するため、それぞれV:0.01%以上、0.30%以下、Nb:0.005%以上、0.050%以下の範囲に限定した。
以上、適正な成分組成範囲について説明したが、本発明では各成分が上記の組成範囲を単に満足しているだけでは不十分で、下記式(1)で示されるLDの値が120以下になるように成分調整を行う必要がある。

Figure 0004170294
但し、式中のC,Mn,P,S,Si,Cr,Ni,Mo,Cuは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
このLD値は、焼入性を介した硬さと組織の指標である。
図1に、本発明による高Cr、高Si鋼について、上記したLD値が転造性に及ぼす影響について調べた結果を示す。また、同図には、比較のため、前掲特許文献2に記載の低Cr、低Si鋼についての調査結果も併せて示す。
なお、転造性については、転造試験におけるダイス寿命で評価するものとした。
同図に示したとおり、いずれの場合もLD値が120を超えると、ダイス寿命が急激に低下するが、LD値が120以下の範囲におけるダイス寿命すなわち転造性は、本発明による高Cr、高Si鋼の方がはるかに優れている。
そこで、本発明では、上記したLD値が120以下になるように成分調整を行うものとした。
なお、本発明において、鋼組織は特に限定されることはないが、フェライト主体で、ベイナイト相を面積率で5〜30%程度含有する組織とすることが好適である。
以上説明した本発明の鋼材は、動力伝達部品、特に自動車用ドライブシャフトや等速ジョイントに用いるのに最適である。加工性が優れることは勿論、負荷容量が増えるため軽量化できるという大きな効果が得られる。
次に、本発明の好適製造条件について説明する。
本発明鋼材の溶製方法は、常法に従って製造すればよく特に限定しない。本発明が提供する機械構造用鋼は、電気炉を用いた溶製では取り除くことが困難であるCuやNiが含有されていても、良好な転造性を有するので、電気炉による溶製に特に適している。RH脱ガス等の真空脱ガス、取鍋での精錬などを付加してもよい。溶鋼は連続鋳造法あるいは造塊法で凝固させ、凝固させた後、熱間圧延あるいは熱間・温間鍛造を経て所定形状の素材とする。これら素材は、必要により焼ならし、球状化焼鈍、軟化焼鈍などの中間熱処理を施され、切削、鍛造、転造などの冷間加工により所望の形状に仕上げられる。
本発明では、熱間圧延または熱間鍛造、あるいはさらに焼ならし処理を施して製品形状に仕上げる。この熱間圧延や熱間鍛造後さらには焼ならし等のオーステナイト化後の冷却は、適正量のベイナイトを生成させるために、0.2〜2.0℃/s程度とすることが好ましい。特に太径の棒鋼では、冷却を調整した加速冷却とすることが好ましい。
また、最終の高周波焼入れ焼戻しは、15kHz程度の高周波焼入れ装置を用い、出力:120kW程度で0.2〜1.0秒程度の加熱を施したのち、焼入れし、170℃で30分程度の焼戻しを施せば良い。
表1に示す成分組成になる鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造により400×540mmのブルームとしたのち、熱間圧延により150mm角のビレットとした。ついで、このビレットを1030℃に加熱後、熱間圧延により25mmφの直棒としたのち、冷却速度0.7℃/sで空冷した。
かくして得られた棒鋼の組織、転造性、ねじり特性および耐焼割れ性について調べた結果を表2に示す。
鋼の組織および各特性の評価方法は次のとおりである。
(1)組織
冷却後の直棒について、光学顕微鏡によりミクロ組織を撮影し、この写真から、鋼の組織を同定すると共に、画像解析装置によりベイナイト相の面積率を測定した。
(2)転造性
転造性については転造試験におけるダイス寿命で評価した。このダイス寿命は、ダイスの歯欠け、破面の剥離、歯の摩耗などにより転造が不能になるまでに転造できた材料の個数で評価した。
ダイス材質はSKD 11で、スプライン諸元は次のとおりである。
歯形:インボリュート、モジュール:1.27、圧力角:30°、歯数:21、ピッチ直径:26.27mm、大径:28.1mm、小径:24.88mm、オーバーピン径(φ2.5mmピン):30.49mm
(3)ねじり特性
直棒から平行部:20mmφの平滑丸棒ねじり試験片を作製し、これに周波数:15kHzの高周波焼入れ装置を用いて焼入れし、170℃,30minの焼戻し処理を施したのち、ねじり試験を行った。高周波焼入れ焼戻し後の焼入れ深さは約4mmとした。ねじり試験は、4900J(500kgf・m)のねじり試験機を用いて最大ねじり剪断強度を求め、これをねじり強度とした。
(4)耐焼割れ性
耐焼割れ性は、上記した25mmφの直棒から、表面に軸方向のV字溝を付けた丸棒(20mmφ)を加工し、上記(3)と同様な高周波焼入れを行ったのちに、丸棒のC断面10箇所を研磨観察し、その割れの発生個数で評価した。
(5)被削性
被削性試験は、SKH4、4mmφのドリルを用いて、回転数:1500rpmの条件で12mm長さの穿孔を行い、切削不能になるまでの総穴開け長さ(mm)を求め、これを工具寿命として評価した。
表2から明らかなように、本発明に従い得られた鋼材はいずれも、優れた転造性、ねじり特性、耐焼割れ性および被削性を有する。
本発明による鋼材を用いて形成し、高周波焼入れ、焼戻しを行って硬化層を設けて製造したドライブシャフトの静的強度および疲労強度について、それぞれ図2、図3を参照して説明する。発明例のドライブシャフトは表1のNo.2の鋼材を用いて製造した。比較例のドライブシャフトは表1のNo.18の鋼材を用いて製造した。図2は、静的強度試験によって、ドライブシャフトの静的強度を測定した結果である。静的強度試験(static strength test)とは、ドライブシャフト破壊時の最大トルクを測定し、静的強度を評価するものである。試験に供したドライブシャフト本数は、比較例は1本、発明例は2本である。図2中、それぞれ比較例、発明例1、発明例2と表す。比較例のドライブシャフトの破断時に作用する最大トルクを1とし、発明例のドライブシャフトの破断時に作用する最大トルクをそれとの比で表した。比較例のドライブシャフトに対して発明例のドライブシャフトは約1.17倍静的強度が向上したことが分かる。
図3は、疲労強度試験によって、発明例のドライブシャフトと比較例のドライブシャフトの疲労強度を測定した結果である。疲労強度試験(fatiguestrength test)とは、繰り返しトルクを負荷した場合の疲労強度を測定する試験である。ドライブシャフトに所定の負荷トルクを繰り返し与え、破断に至るまでの負荷繰り返し数Nを求める。縦軸は、負荷トルクを比較例のドライブシャフトの静的強度で除した値であり、無次元数である。横軸は、ドライブシャフトが破断に至るまでの負荷の繰り返し回数である。この試験結果から、例えば繰り返し回数が10000回の場合、比較例のドライブシャフトの縦軸値が約0.49であるのに対し、発明例のドライブシャフトの縦軸値は約0.55であり、発明例のドライブシャフトの疲労強度が約10%向上したことが分かる。
本発明によれば、CuやNi等のトランプエレメントが不可避的に混入する電気炉を用いて製造された機械構造用鋼材からトランプエレメントの悪影響を取り除くことができる。優れた転造性、ねじり特性、耐焼割れ性および焼入れ性を有する鋼材を得ることができる。本発明による鋼材は、動力伝達部品、特に自動車用ドライブシャフトや等速ジョイントに採用することにより、加工性が優れることは勿論、高強度であるため軽量化できるという大きな効果が得られる。
Figure 0004170294
Figure 0004170294

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C:0.35%以上、0.50%以下、
    Si:0.15%以下、
    Mn:0.2%以上、1.1%以下、
    P:0.020%以下、
    S:0.005%以上、0.035%以下、
    Cr:0.1%超、0.2%以下、
    Mo:0.05%以上、0.5%以下、
    Ti:0.01%以上、0.05%以下、
    Al:0.01%以上、0.05%以下、
    N:0.01%以下、
    B:0.0005%以上、0.0050%以下、
    Cu:0.06%以上、0.25%以下および
    Ni:0.05%以上、0.2%以下
    を、下記式(1)で示すLD値が120以下を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になることを特徴とする転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材。

    Figure 0004170294
    但し、式中のC,Mn,P,S,Si,Cr,Ni,Mo,Cuは、それぞれの元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 請求項1において、鋼材が、さらに質量%で
    V:0.01%以上、0.30%以下および
    Nb:0.005%以上、0.050%以下
    を含有する組成になることを特徴とする転造性、耐焼割れ性およびねじり特性に優れた機械構造用鋼材。
  3. 請求項1または2記載の機械構造用鋼材により形成し、高周波焼入れ、焼戻しを行って硬化層を設けたことを特徴とするドライブシャフト。
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