JP6349832B2 - 厚鋼板用の連続鋳造鋳片 - Google Patents

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Description

本発明は、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を使用して鋳造された厚鋼板用の連続鋳造鋳片に関する。
近年、鋼の厚板製品等において、機械的性質上の要求から、Nb、V、Ni、Cu等の合金元素を含有させた低合金鋼が多く用いられている。この低合金鋼を湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する場合、いわゆる横割れや横ひび割れと呼ばれる表面割れが鋳片に発生することがある。これらの鋳片の表面割れは、連続鋳造機で鋳片の曲げを矯正する際に、鋳片の表面に発生する応力が低合金鋼の固有の限界応力を超えることによって発生する。
鋳片の表面割れの発生についてさらに説明する。低合金鋼の鋳片の熱間延性は、鋳片の凝固組織がγ(オーステナイト)相からα(フェライト)相に変態するA3変態温度の近傍(600〜850℃の温度域)で著しく低下する。すなわち、低合金鋼は、600〜850℃の温度域が脆化温度域である。
また、低合金鋼では、鋳型から引き抜かれた後の二次冷却過程において、鋳片のγ粒界にAlN等の窒化物やNbC等の炭化物が析出しやすい。これらの窒化物や炭化物が析出したγ粒界は、鋳片に応力が作用した場合に割れの起点となり易い。
したがって、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用い、低合金鋼の鋳片の曲げ矯正を600〜850℃の温度域で行う場合、その温度域が脆化温度域であることおよびγ粒界における析出物の生成により、鋳片において横割れや横ひび割れが発生しやすい。
このような表面割れの発生を抑制する一般的な方法として、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機における鋳片の曲げの矯正を、鋳片の表面温度が脆化温度域よりも高い温度または低い温度で行う方法がある。その方法は、実用化されており、例えば特許文献1および2に記載されている。
特許文献1は、脆化温度域が820〜950℃である鋼の連続鋳造を対象とする。特許文献1に記載される方法は、鋼の連続鋳造において、二次冷却帯上部を強冷却して鋳片の表面温度を脆化温度域よりも低い650〜700℃とし、その後ゆるやかに復熱させて矯正点での鋳片の表面温度を700〜800℃の範囲とする。これにより、鋳片表面の横ひび割れの発生を防止できるとしている。
また、特許文献2に記載される方法は、鋳片を鋳型から引き抜いた後、1分以内に鋳片表面温度を脆化温度域であるA3変態温度以下とし、その後、復熱によって矯正点における鋳片表面温度を850℃以上とする。
これらの方法のうちで特許文献2に記載される方法を低合金鋼に適用した場合、二次冷却帯上部で強冷却する際に、鋳片の表面に厚い酸化被膜が形成されやすいという問題がある。この酸化被膜の厚さは、鋳片の幅方向や鋳造方向の位置によって不均一になりやすく、酸化被膜が特に厚い部分では、二次冷却を継続しても鋳片が冷却されにくい。そのため、鋳片の表面温度が不均一になりやすく、矯正時において部分的に脆化温度域内となり、表面割れが発生することがある。
また、表面割れの発生を抑制する一般的な方法として、鋼中にTiを含有させる方法がある。この方法が、効果的であることはよく知られており、例えば、特許文献3および4に記載されている。
特許文献3には、プレス成形性および表面性状に優れる薄鋼板の製造方法が記載される。その薄鋼板の製造方法では、BおよびNを所定量含有する組成の溶鋼から、BNを析出させることなく、スラブを連続鋳造した後、スラブの熱間圧延を所定の温度で行うことによりBNを析出させる。同文献には、さらにTiを含有させることにより、TiNを析出させてNによる製品性能の劣化を抑制できることが記載されている。また、B、NおよびTi含有量に応じて鋳造速度を制御することにより、表面性状の良好なスラブが得られることが記載されている。
また、特許文献4に記載される方法では、鋳片を、鋳型から引き抜いた直後の所定の水量密度の冷却水で冷却し、復熱させた後、所定の冷却速度で冷却する。これにより、鋳片のミクロ組織をγ粒界が不明瞭なフェライト−パーライト組織とし、横ひび割れ等の発生を防止可能としている。
特公昭58−3790号公報 特開平9−47854号公報 特開2002−20836号公報 特開平9−253814号公報
ところで、近年、鋼の高強度化、高性能化および高品質化の要求に応じて、強度が高い、溶接性に優れるなど、より高性能な鋼材が各種開発されている。また、生産性の向上や生産コストの削減に関する要求の厳格化している。これに伴い、従来はある程度の表面手入れや歩留まりロスが許容されていた鋳片についても、表面割れの発生を抑制する等により、無手入れ化(手入れを不要とすること)が要求されるようになっている。
ここで、連続鋳造時に鋳片の曲げの矯正を行うと、鋳片の長辺面(ロールと接触する面)の表皮下(具体的には長辺面から約10〜30mm内部の範囲)に粒界割れが発生することがある。上述した特許文献1〜4に記載の方法のように、鋳片の表面割れの発生を抑制する方法が種々提案され、ある程度の効果を奏するものの、表皮下の粒界割れについては検討されていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、長辺面の表皮下において、粒界割れが抑制されている厚鋼板用の連続鋳造鋳片を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、次の通りである:
(1)湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を使用して鋳造された厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、前記鋳片のγ粒径が、長辺面から20〜30mm内部の範囲で2mm未満である、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
(2)上記(1)に記載の厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、質量%で、Ni:0.3〜2.5%を含有する、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
(3)上記(2)に記載の厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、質量%で、さらに、Al:0.001%以上0.01%未満およびTi:0.005〜0.030%を含有するTi脱酸鋼である、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、所定の範囲でγ粒が微細化されている。これにより、鋳片の表皮下において、粒界割れが抑制された状態となる。このため、鋳片に熱間圧延を施す際に厚鋼板表面に疵が出現するのを抑制できる。
図1は、鋳片の横断面の組織写真であり、同図(a)は従来の連続鋳造条件の場合、同図(b)は高温γ相域で冷却条件を強化した場合をそれぞれ示す。 図2は、Fe−C系擬2元系状態図である。 図3は、引張試験の結果を示す図である。 図4は、Al脱酸鋼およびTi脱酸鋼の厚板圧延時の疵発生率を示す図である。
以下に、本発明を完成させるための知見、および、本発明を実施するための形態について説明する。以下の説明では、鋼の成分組成についての「質量%」を、単に「%」とも表記する。
1.本発明を完成させるための知見の要約
本発明者らは、まず、連続鋳造時における鋳片の表皮下割れの発生状況と鋳片のミクロ組織との関係について鋭意検討した。また、鋳片から採取した試験片を用いて高温引張試験を行った場合のミクロ組織と高温延性との関連等について鋭意検討した。検討内容の一部については後述する。
上述の検討を行った結果、下記(1)〜(5)の知見を得た。
(1)厚鋼板用の連続鋳造鋳片では、表皮下に割れが発生する場合があり、高強度(例えば引張強度580MPa以上)の厚鋼板用の連続鋳造鋳片では、表皮下割れの発生が顕著となる。
(2)表皮下割れは、γ粒界に沿って発生する粒界割れであり、鋳片の表面に割れがなくとも発生することがある。また、表皮下割れは、長辺面から約10〜30mm内部の範囲で発生することが多い。
(3)表皮下割れの発生確率は、Niを0.3%以上含有する鋼種で高くなり、Ti脱酸鋼でさらに高くなる。表皮下割れを有する鋳片を圧延して厚鋼板とすると、圧延に伴う引張歪みで表皮下割れが拡大し、製品表面の疵となることがある。
(4)連続鋳造機の二次冷却において、鋳片が鋳型を出た直後(鋳型の出口近傍)でγ単相となる付近の冷却速度を速くし、γ単相かつ高温状態にある時間を短縮する。これにより、鋳片の表皮下に微細な組織を生成させることができる。
(5)この組織生成機構を活用し、鋳片の長辺面から約20〜30mm内部の範囲でγ粒径を2mm未満とすることにより、表皮下割れを防止することができる。
これらの知見から、鋳片の組織を所定の範囲で適切に制御すれば、連続鋳造時に鋳片の表皮下割れや疵の発生を抑制できることが判明した。また、この表皮下割れ等の発生が抑制された鋳片に熱間圧延を施せば、表面疵等の発生が抑制された鋼板が得られることも判明した。
2.表皮下割れの概要
上述のように、本発明者らは、連続鋳造で得られた鋳片の長辺面の表皮下(長辺面から約10〜30mm内部の範囲)に粒界割れが発生する場合があることを知見した。この表皮下割れは、結晶粒界に添って発生しており、鋳片の曲げまたは曲げの矯正に伴う歪みにより発生するものである。
厚板用鋳片の連続鋳造では、鋳片に表面割れが発生する懸念がある場合、鋳片を一旦室温まで冷却した後、酸化スケールを除去し、その後、鋳片表面の検査を行う。酸化スケールの除去は、鋳片表面をスカーフで溶削すること、または、鋳片表面をグラインダにより研削することにより行われる。鋳片表面の検査で表面割れが検出された場合、表面割れを除去するため、溶削や研削等による手入れを行う。
表皮下割れが発生した場合、鋳片の手入れ時に表皮下割れが表面に出現する。この表面に出現した状態の表皮下割れを除去しようとすると、手入れ量が大幅に増加する。このため、手入れコスト(生産コスト)およびリードタイムが増加するとともに、歩留まりが低下する。手入れ時に表皮下割れが表面に出現しない場合でも、鋳片を圧延して厚鋼板とする際に表皮下割れが拡大し、製品の表面に硝酸として出現し、品質低下を招く原因となる。
したがって、表皮下であっても割れが発生すると、鋳片の生産コストやリードタイム、熱効率等、多面的に悪影響を及ぼすため、表皮下割れの発生を抑制できる技術の確立が必要とされている。
3.表皮下割れと鋳片の組織形態
図1は、鋳片の横断面の組織写真であり、同図(a)は従来の連続鋳造条件の場合、同図(b)は高温γ相域で冷却条件を強化した場合をそれぞれ示す。同図は、下端(矢印で指し示す位置)が鋳片の長辺面であり、10質量%の硝酸水溶液でエッチングした鋳片の横断面について、組織を撮影したものである。ただし、同図(a)の組織写真の撮影に用いた鋳片は、γ粒の観察を容易にするため、従来の連続鋳造条件と比べ、A3変態温度付近の冷却速度を速めている。同図(a)より、γ粒は、長辺面周辺では微細であるが、長辺面から遠くなるのに応じて粗大になっていることが確認される。
これに対し、表皮下割れは、長辺面から10〜30mm程度内部の範囲で発生する。一般に、鋳片の長辺面周辺と長辺面から10〜30mm程度内部の範囲を比較すると、鋳片にかかる応力や歪みは長辺面周辺の方が大きくなることから、長辺面周辺の方が割れは発生しやすい。しかし、長辺面周辺はγ粒が微細となり、粒界が多数存在するので、鋳片の曲げや矯正に伴う歪みが多数の粒界に分散される。一方、長辺面から10〜30mm程度内部の範囲は粒界が少なく、歪みが少ない粒界に集中するので、鋼種や条件によっては長辺面に特に割れがなくても、表皮下に割れが発生する。
一般に、鋼材のγ粒は、γ→α→γの変態を経ることにより、あるいは、歪みを付与することにより微細化する。鋼の製造プロセスでは、上述のγ粒が微細化する現象を活用し、機械加工(圧延)の条件や冷却条件を制御して組織を微細化することにより、必要な材料特性を確保している。しかし、連続鋳造機において、大きな歪みを鋳片に付与することは困難であるとともに、厚みのある鋳片の内部まで相変態させることは困難である。これらのことから、連続鋳造機による鋳片では、内部のγ粒径制御(γ粒の微細化)が殊に困難である。
図2は、Fe−C系擬2元系状態図である。同図を参照しながら、連続鋳造において、鋼のγ粒径が粗大化する理由を説明する。
鋼のγ粒径は、凝固に伴う冷却過程においてγ単相となった時、すなわち、高温γ相域で急速に粗大化する。ここで、高温γ相域は、γ単相化温度の直下の温度域を意味し、γ単相化温度を含む。高温γ相域は、概ね、γ単相化温度(℃)から(γ単相化温度(℃)−50℃)までの温度域である。
高温γ相域でγ粒径が急速に粗大化するのは、γ単相となる前の2相領域では第2相がγ粒界の移動を阻害するのに対して、γ単相となるとγ粒界の移動を阻害する要因がなくなるために生じる現象である。さらに、γ粒界の移動は溶質元素の拡散速度により支配され、拡散速度は温度の上昇に伴い著しく増加する。このため、鋼の凝固組織におけるγ粒径は、高温γ相域にある間にほぼ決まる。したがって、高温γ相域の滞在時間を短縮すれば、γ粒を微細化することが可能となる。
そこで、本発明者らは、鋳片の内部でγ粒を微細化するため、連続鋳造を模擬した試験を行った。その鋳造試験では、200kgの溶鋼から鋳片を静止状態にして鋳造した後、内部に未凝固溶鋼が残った状態の鋳片を鋳型から引き抜き、その後、スプレー冷却した。その結果、二次冷却条件を適切に制御すれば、具体的には、高温γ相域で冷却条件を強化すれば、図1(b)に示すように鋳片の所定の範囲でγ粒を微細化できることを知見した。
一般に、連続鋳造で得られた鋳片の組織は、図1(a)に示すように、長辺面から遠くなるのに応じて粗大化する。これに対し、本発明に係る鋳片の組織は、長辺面から厚み方向の所定範囲(具体的には長辺面から20〜30mm内部の範囲)で微細化する。例えば、図1(b)に示すように、γ粒が微細化している領域が観察され、その微細化領域は、長辺面から厚み方向の中間で、長辺面に沿って帯状に伸びる。一方、微細化領域の長辺面側、および、微細化領域の内部側では、長辺面から遠くなるのに応じてγ粒が粗大化する。このように鋳片の所定の範囲で不連続にγ粒が微細化している。
4.γ粒径の微細化による割れ防止効果の確認
このような組織の鋳片を使用して高温引張試験を行い、γ粒径の微細化による高温延性の向上効果を評価した。試験に用いた引張試験装置は、高周波誘導加熱式であって、コールドクルーシブル方式である加熱機構を備えていた。
試験片を作製するため、実験室にて200kg溶鋼から鋳片を静止状態にして鋳造し、内部に未凝固溶鋼が残った状態の鋳片を鋳型から引き抜き、その後、スプレー冷却(二次冷却)した。二次冷却条件が異なる2本の鋳片を得て、それらの鋳片から試験片(供試材1および供試材2)をそれぞれ作製した。鋳片の寸法は、幅400mm、厚さ180mm、長さ400mmであった。表1に、本試験の鋳片の成分組成を示す。表1に示す鋼のγ単相化温度は、1478℃であった。
供試材1用の鋳片の鋳造では、二次冷却条件を従来の連続鋳造に倣って設定し、第1長辺面および第2長辺面をいずれも徐冷却した。これにより、鋳片を両方の長辺面の表皮下で通常の粗大な組織とした。
供試材2用の鋳片の鋳造では、二次冷却条件を強化し、具体的に、第1長辺面から20mmの位置がγ単相化温度となる時に、当該位置の冷却速度が高速となるように冷却条件を調整した。一方、第2長辺面は徐冷却した。これにより、第2の鋳片を、第1長辺面から所定の位置に微細なγ粒組織を生成し、第2長辺面の表皮下で通常の粗大な組織とした。
鋳片内部の冷却速度を直接測定することは困難であることから、伝熱凝固解析により、第1長辺面から20mmの位置でγ単相化温度となった時の冷却速度を推定した。
このようにして得られた各鋳片から、両方の長辺面から20mmの位置より内側の部位を用い、切削加工により直径10mmの円柱状の試験片を作製した。その際、円柱状の試験片の軸は、鋳片の徐冷面と平行となるようにした。
また、10質量%の硝酸水溶液でエッチングした鋳片の横断面について、光学顕微鏡を用いて倍率10倍で撮影し、撮影された写真を用いてγ粒径を測定した。γ粒径の測定では、先ず、第1長辺面に平行かつ長さ50mmの線を基準面から20mm位置に引いた。続いて、その線を横切るγ粒界の数を測定し、線の長さをγ粒界の数で除することによってγ粒径を求めた。
表2に、供試材の区分、鋳片の二次冷却条件、第1長辺面から20mmの位置がγ単相化温度となる時の冷却速度、および、第1長辺面から20mm位置のγ粒径を示す。
引張試験では、試験片(供試材1または供試材2)を室温から試験温度まで加熱した後、その状態で60秒保持し、その後、引張試験を行った。試験片の加熱では、昇温に伴うγ粒径の変化(粗大化)を極力低減するため、途中で温度を一時的に保持することなく、直接試験温度まで加熱した。供試材1および供試材2ともに、試験温度を600〜1000℃で変化させて引張試験を複数回行った。
図3は、引張試験の結果を示す図である。同図には、試験温度と絞り(RA、単位%)との関係を示す。同図より、γ粒が微細な供試材2は、γ粒が粗大な供試材1と比べ、絞りが良好であることが確認できる。すなわち、γ粒径の微細な供試材2は、明らかに高温延性が向上している。これは、引張試験で歪みが付与されたときに、γ粒径の微細な供試材では応力が分散されるからである。
6.本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を使用して鋳造される。また、鋳片のγ粒径が、長辺面から20〜30mm内部の範囲で2mm未満である。すなわち、長辺面から20〜30mm内部の範囲でγ粒が微細化した状態であることを意味する。このようにγ粒が微細化していれば、連続鋳造機において、鋳片の曲げまたは曲げの矯正に伴って歪みが発生しても、粒界が多数存在することから、鋳片の曲げや矯正に伴う歪みが分散される。
したがって、本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、鋳片の表皮下(長辺面から約10〜30mm内部の範囲)において、粒界割れが抑制された状態である。また、表皮下割れの発生が抑制されているので、鋳片に熱間圧延を施す際に表面に疵が出現するのを抑制できる。
なお、表面割れについては、従来法によって抑制すればよい。ここで、表面割れは、鋳片の表面にかかる歪が主な発生原因となる。また、従来の鋳片は、前述の通り、γ粒が長辺面周辺では微細であるが、長辺面から遠くなるのに応じて粗大になっている。そこで、従来の鋳片では、長辺面周辺は粒径の微細化により割れなくとも、表皮下部分の粒径が粗大化することにより割れの起点となり、長辺面まで伝播することにより表面割れが形成されることもある。このように形成される表面割れに対し、本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、鋳片の所定の範囲でγ粒を微細化した領域が存在することから、抑制効果が期待できる。
また、本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、後述するように、長辺面から20mmの位置において、高温γ相域の冷却速度を約3℃/s以上とすることにより、得ることが可能である。この鋳片は表皮下割れの感受性を低減することができる。そこで、低合金鋼のように鋳片の表面に不均一な厚さの酸化被膜が形成されるような場合にも、割れの発生を抑制することができる。
γ粒が微細な範囲を長辺面から30mmの位置までと規定するのは、粒界割れが発生し易い範囲が長辺面から30mmの位置までであることによる。一方、γ粒が微細な範囲を長辺面から20mmの位置からと規定するのは、後述するように、連続鋳造では20mm位置より長辺面側(長辺面周辺)でγ粒を微細化するのが困難なことによる。
また、後述するように、長辺面から20〜30mm内部の範囲でγ粒が微細化していれば、表皮下割れの感受性を著しく低減できる。これにより、長辺面から約10〜30mm内部の範囲の全部で粒界割れを抑制できる。
長辺面から20〜30mm内部の範囲のγ粒径は、表皮下割れをさらに抑制する観点から、2mm未満とするのが好ましく、より好ましくは1.5mm未満である。一方、二次冷却の強化には限界があるので、γ粒径は、0.3mm以上とするのが好ましい。
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片において、長辺面から20〜30mm内部の範囲のγ粒径は、以下の手順により求めるものとする。
(1)10質量%の硝酸水溶液でエッチングした鋳片の横断面について、光学顕微鏡を用いて倍率10倍で撮影する。
(2)撮影された写真に、長辺面に平行かつ長さ50mmの線を、長辺面から20mm位置および30mm位置にそれぞれ引く。
(3)各線を横切るγ粒界の数をそれぞれ測定し、線の長さの合計をγ粒界の合計数で除することによってγ粒径を求める。
7.表皮下におけるγ粒径を微細化するための方法
一般に鋼の連続鋳造では、溶鋼を水冷式の銅製鋳型中に鋳込み、表皮部分のみが凝固した状態の鋳片を鋳型から引き抜く。引抜かれた鋳片は、ロールで支持されながら冷却(二次冷却)されることにより徐々に凝固する。鋳造速度や鋳型内の冷却条件により異なるが、鋳型の出口における凝固した表皮部分の厚みは、概ね15〜20mmである。このような凝固過程で、γ単相化温度となる位置は、C含有量が包晶点より高い鋼では固液界面部分となる。また、C含有量が包晶点より低い鋼では、固液界面から数mm内側となる。
前述の鋳造試験の結果から、鋳型を出た直後の二次冷却を強化することにより、鋳片の所定の範囲に微細なγ粒組織を生成可能なことが明らかになった。この結果を詳細に検討したところ、長辺面から20mmの位置において、高温γ相域の冷却速度を約3℃/s以上とすることにより、長辺面から20mmの位置でγ粒を微細にできることが明らかになった。
長辺面から20mmの位置において、高温γ相域の冷却速度を約3℃/s以上とすれば、20mm位置より内側で冷却速度が低下した場合でも、急激にγ粒径が元の大きさまで戻ることはない。このため、γ粒径が微細な状態が、20mm位置より内側でも、徐々に粗大化しながらも維持される。したがって、長辺面から20mmの位置の冷却速度を約3℃/s以上にすれば、長辺面から20〜30mm内部の範囲で、γ粒径が微細化できることになる。
表皮下の粒界割れは、前述の通り、長辺面から10〜30mm内部の範囲に発生する。本発明者らは、長辺面から20〜30mm内部の範囲でγ粒径を微細化することが可能であり、これに伴って表皮下の粒界割れの感受性を著しく低減できることを明らかにした。
より長辺面側の部分(具体的には長辺面から10〜20mm内部の範囲)については、γ粒径を微細化することは困難である。これは、より長辺面側の部分が鋳型内で高温γ相域に進入しているとともに、鋳型内における冷却速度を粒径に影響を及ぼすほど速くすることが難しいことによる。
これらのことから、本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、長辺面から20mmの位置において、高温γ相域の冷却速度を約3℃/s以上とすることにより、得ることが可能である。
なお、図2から明らかなようにγ単相化温度は、鋼種、特にC含有量により大きく変化するので、鋼種により微細なγ粒を生成させるために冷却速度を制御すべき温度域(高温γ相域)が異なることは言うまでもない。一方、冷却速度を制御すべき温度域(高温γ相域)の下限は、γ単相化温度や要求されるγ粒径に応じて適宜設定することができ、例えば、(γ単相化温度(℃)−50℃)とすることができる。
8.成分組成
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、成分組成に特に制限はなく、例えば、低合金鋼とすることができる。その低合金鋼として、例えば、Al脱酸鋼、Ti脱酸鋼またはSi脱酸鋼を採用できる。
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、Ni:0.3〜2.5%を含有するのが好ましい。また、鋳片は、さらに、Al:0.01%未満およびTi:0.005〜0.030%を含有するTi脱酸鋼とするのが好ましい。以下に規定理由を記す。
図4は、Al脱酸鋼およびTi脱酸鋼の厚板圧延時の疵発生率を示す図である。同図は、厚板圧延時に鋼板表面に発生した表皮下割れに起因すると考えられる疵の発生率を、Al脱酸鋼とTi脱酸鋼の代表的鋼種に対して鋼種ごとに調査した結果である。同図には、各代表的鋼種のNi含有量でデータを整理して示す。
同図より、疵発生率は、Al脱酸鋼と比べ、Ti脱酸鋼で著しく増加することが確認できる。また、Al脱酸鋼およびTi脱酸鋼のいずれでも、Ni含有量の増加に伴って疵発生率が増加している。より具体的には、Al脱酸鋼およびTi脱酸鋼のいずれでも、Ni含有量が0.3%以上である場合、疵発生率が顕著となる。このため、Ni含有量が0.3%以上である場合、鋳片の表皮下割れの発生頻度も顕著に増加する。したがって、Ni含有量が0.3%以上である場合に、鋳片のγ粒径を所定の範囲で微細化すれば、鋳片の表皮下割れを抑制する効果、および、圧延時に疵の出現を抑制する効果も、顕著となる。
特にTi脱酸鋼でNiを0.5%以上含有する場合、疵発生率が著しく増加するばかりでなく、重篤な割れも増加してスクラップとなる事態も発生する。
以下に、各元素の含有量の限定理由について説明する。
Ni:0.3〜2.5%
Niは、固溶強化によって鋼の強度を向上させる効果を有し、靭性を改善する効果も有する。Ni含有量が0.2%未満ではこれらの効果が得られない。一方、Ni含有量が2.5%を超えた場合、強度および靭性の向上効果は飽和するだけでなく、溶接性を悪化させるという悪影響も生じる。また、図4に示すように表皮下割れに起因すると考えられる疵はNiを0.3%以上含有すると顕著に増加する。さらに、Ti脱酸鋼の場合にNiを0.3%以上含有すると、疵の感受性がより顕著に高くなる。そのため、Ni含有量は0.3〜2.5%とするのが好ましい。疵発生率はNi含有量が0.5%以上であると、より顕著に増加することから、本発明はNi含有量が0.5%以上である場合に特に効果的である。このことから、Ni含有量を0.5%以上とするのがより好ましい。一方、Ni含有量のより好ましい上限は1.0%である。
Al:0.001%以上0.01%未満
Alは、鋼中のO(酸素)含有量を低減するのに有効な元素の一つであり、脱酸元素として広く鋼中に添加されている。しかし、Ti脱酸鋼の場合、Alは、Tiより脱酸力が強いことから、Ti脱酸鋼におけるAl含有量には上限がある。そのため、Ti脱酸鋼の場合、Al含有量は0.01%未満とするのが好ましく、0.006%未満とするのがより好ましい。鋼材として必要とされる特性にもよるものの、Al23の生成が製品の特性に悪影響を及ぼすような場合には、Al含有量を0.003%未満とするのが好ましい。
一方、Ti脱酸鋼においても、他の成分元素の添加に伴い不可避的にAlが含有される。また、酸素含有量を低減する効果を活用する観点や溶鋼温度を調節する観点から、一旦Alを添加する処理を行うこともある。そこで、Al含有量の下限は0.001%以上とするのが好ましい。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、一般的には鋼の強度を向上させる元素である。また、鋼中のNをTiNとして固定する元素でもあるので、Tiを鋼に含有させることにより、連続鋳造機における鋳片の曲げ時または曲げの矯正時に鋳片の表面割れが発生するのを抑制する効果が得られる。しかし、Ti脱酸鋼を鋳造する場合、TiNの生成に先行して、溶鋼中にTi23が生成し、鋼中のTiがOによって消費される。このため、TiNの生成に消費される量が減少し、鋳片の表面割れの発生を抑制する効果が得られないことがある。
それにもかかわらず、Ti脱酸鋼を使用するのは、例えば鋼中の酸化物をTiの酸化物とすると、溶接特性が向上する等の有利な効果が得られるからである。これらの効果は、Ti含有量が0.005%未満では得られない。一方、Ti含有量が0.030%を超えると、Tiの炭化物が多数生成し、溶接時にHAZ靭性を低下させるという問題がある。そこで、Ti脱酸鋼の場合、Ti含有量は0.005〜0.030%とするのが好ましい。より好ましいTi含有量の下限は0.008%である。また、より好ましいTi含有量の上限は0.020%である。
それ以外の成分元素については任意であり、特に規定しない。ただし、Nbを含有する場合、Bを含有する場合、N含有量が高い場合に表皮下割れの発生率が高まる。具体的には、Nb:0.005〜0.050%、B:0.0005〜0.0050%およびN:0.0035〜0.0070%のうちの1種以上を含有する場合、表皮下割れの発生率が高まることから、本発明による表皮下割れの防止効果が顕著となる。
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片による表皮下割れの抑制効果を確認するため、連続鋳造試験を行い、その結果を評価した。
1.試験方法
本試験では、垂直部の長さが2.5mの垂直曲げ型の連続鋳造機を用い、溶鋼から厚さ300mm、幅2300mmのスラブを鋳造した。溶鋼には、容量270tの転炉で吹錬を行った後、2次精錬として取鍋処理およびRH処理を行い、これらの処理後の溶鋼を鋳造に用いた。鋳造速度は0.65m/分または0.75m/分とした。
連続鋳造機内では、鋳造方向にゾーンを分けて鋳片を二次冷却した。長辺面から20〜30mm内部の範囲でγ粒径を変化させるため、鋳型に隣接し、かつ、垂直部に位置するゾーンにおいて冷却条件を調整することにより、長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度を0.5〜8.2℃/秒に制御した。この冷却速度が、高温γ相域で維持されるように、具体的には、長辺面から20mmの位置が(γ単相化温度−50℃)となるまで維持されるように冷却条件を調整した。その際、鋳片内部の冷却速度を直接測定することは困難であることから、伝熱凝固解析により、長辺面から20mmの位置における高温γ相域の冷却速度を推定した。
本試験では、鋼Aおよび鋼Bの2種類の鋼を用いた。鋼Aは、Niを0.6%含有するAl脱酸鋼であり、γ単相化温度が1485℃であった。また、鋼Bは、Niを0.7%含有するTi脱酸鋼であり、γ単相化温度が1484℃であった。表3に、鋼Aおよび鋼Bの成分組成を示す。
鋳造後のスラブから横断面が観察可能なサンプルを採取し、染色浸透探傷検査(ダイチェック)を施し、目視観察によりスラブ全幅の表皮下割れを確認した。その後、ミクロ組織を観察するため、スラブから試料を採取し、ナイタルエッチングを施した。その試料について光学顕微鏡を用いて倍率10倍で撮影し、撮影された写真を用いてγ粒径を測定した。γ粒径の測定は、「4.γ粒径の微細化による割れ防止効果の確認」のγ粒径の測定と同様の手順により実施した。
また、1200℃に加熱されたスラブを厚板用の圧延機に供給して圧延することにより、厚さ30mm、幅2800mmの厚鋼板を得た。得られた厚鋼板について、目視により表皮下割れに起因する疵を確認した。
表4の「表皮下割れの評価」欄の記号の意味は次の通りである:
〇:表皮下割れが発生することなく、優良であったことを示す。
×:表皮下割れが発生し、不可であったことを示す。
表4の「鋼板の疵の評価」欄の記号の意味は次の通りである:
〇:表皮下割れに起因する疵が発生することなく、優良であったことを示す。
△:表皮下割れに起因する疵が修復可能な程度で発生し、可であったことを示す。
×:表皮下割れに起因する疵が修復不能な程度で発生し、不可であったことを示す。
表4に、各試験の区分、鋼種、鋳造速度、長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度、スラブ矯正温度、長辺面から20mm位置のγ粒径、スラブの表皮下割れの評価、および、鋼板の疵の評価を示す。
表4より、本発明例1は、Al脱酸鋼である鋼Aを使用し、鋳造速度を0.75m/分とした。また、長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度を7.5℃/秒としたところ、長辺面から20mm位置のγ粒径は0.83mmとなり、表皮下割れは発生しなかった。このスラブを圧延したところ、鋼板においても疵は認められなかった。また、長辺面から30mm位置におけるγ粒径を写真で確認したところ、20mm位置のγ粒径と同程度であった。
これに対し、比較例1では、同じ鋼種の鋼Aを使用し、鋳造速度を同じく0.75m/分としたが、長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度を0.5℃/秒と変化させた。その結果、長辺面から20mm位置のγ粒径は2.7mmとなった。また、表皮下割れは、両方の長辺面ともにスラブの幅中央からコーナー(幅方向の端部)より約100mm内側の位置までの範囲で発生しなかったものの、内R側の長辺面ではコーナーから約50mm位置において長さ約5〜10mmの粒界割れが散見された。一方、外R側の長辺面には、表皮下割れがコーナー近傍でも発生しなかった。
ここで、「内R側の長辺面」は、連続鋳造機で鋳片を曲げる際に内側に位置する長辺面を意味する。また、「外R側の長辺面」は、連続鋳造機で鋳片を曲げる際に外側に位置する長辺面を意味する。
表面割れや表皮下割れに大きな影響を及ぼす矯正時の表面温度に関し、比較例1ではスラブの幅中央部分で約860℃であり、本発明例1とほぼ同等であった。幅中央部分と比べ、コーナー近傍部分では約110℃低い温度となるが、やはり比較例1と本発明例1とに大きな違いは認められなかった。比較例1では、表皮下割れは表皮までつながるような長いものは認められなかった。この鋳片について表面疵を確認、除去したのちに圧延したところ、鋼板では、コーナー(幅方向の端部)から100mm以内の部分に数ヶ所折れ曲がった形状の疵が発生した。
さらに、本発明例2では、Ti脱酸鋼である鋼Bを使用し、鋳造速度を0.65m/分で鋳造した。長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度を8.2℃/秒としたところ、長辺面から20mm位置のγ粒径は1.05mmとなり、表皮下割れは発生しなかった。このスラブを圧延したところ、鋼板においても疵は認められなかった。また、長辺面から30mm位置におけるγ粒径を写真で確認したところ、20mm位置のγ粒径と同程度であった。
これに対し、比較例2では、同じ鋼種の鋼Bを使用し、鋳造速度を同じく0.65m/分としたが、長辺面から20mmの位置におけるγ単相化温度となる時の冷却速度を0.5℃/秒と変化させた。その結果、長辺面から20mm位置のγ粒径は3.4mmとなった。また、表皮下割れは、鋳片の長辺面の位置を問わず長さ約5〜10mmの粒界割れが散見された。表皮下割れは、鋳片の内R側と外R側のいずれの長辺面にも発生したが、外R側のほうが軽微であった。また、割れは表皮下にとどまっており長辺面までつながるような長いものは認められなかった。このスラブについても表面疵を確認、除去したのちに圧延したところ、鋼板表面に折れ曲がった形状の疵が散在したことから、製品としては使用できず、スクラップ処置となった。
これらのことから、鋳片の長辺面から20〜30mm内部の範囲でγ粒を微細化することにより、鋳片の表皮下割れの発生を抑制できることが明らかとなった。また、表皮下割れの発生が抑制された鋳片を用いることにより、鋳片に熱間圧延を施す際に表面に疵が出現するのを抑制できることが明らかとなった。
本発明の厚鋼板用の連続鋳造鋳片は、表皮下の粒界割れが抑制されており、熱間圧延に供される際に表面に疵が出現するのを抑制できる。このため、厚鋼板の製造において、有効に利用することができる。

Claims (3)

  1. 湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を使用して鋳造された厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、
    前記鋳片のγ粒径が、長辺面から20〜30mm内部の範囲で0.83mm以上2mm未満である、鋳片の長辺面から約10〜30mm内部の範囲で粒界割れが抑制された、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
  2. 請求項1に記載の厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、質量%で、Ni:0.3〜2.5%を含有する、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
  3. 請求項2に記載の厚鋼板用の連続鋳造鋳片であって、質量%で、さらに、Al:0.001%以上0.01%未満およびTi:0.005〜0.030%を含有するTi脱酸鋼である、厚鋼板用の連続鋳造鋳片。
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