JP6348319B2 - 金属樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属部材に樹脂部材が一体的に固着されている金属樹脂複合体に係り、特に、両者の固着強度を向上させる技術に関するものである。
金属部材に樹脂部材が一体的に固着されている金属樹脂複合体が知られている。特許文献1に記載の部品はその一例で、金属部材は、母材金属の表面に亜鉛等の金属のめっき層が設けられたものであり、めっき層を溶融させない加熱条件で加熱することにより、そのめっき層の金属を母材金属と合金化させて表面を粗面化している。そして、その粗面化された金属部材に対して樹脂部材を一体成形することにより、金属部材の表面の凹凸に樹脂部材の一部が入り込むアンカー効果によって、樹脂部材が成形と同時に金属部材に一体的に固着されるようになっている。
特開2012−116126号公報
しかしながら、このような合金化による粗面化方法は、合金化の際の拡散速度の違いで表面に凹凸を生じさせるものであるため、その凹凸形状が比較的単純で必ずしも十分に満足できる固着強度が得られず、未だ改善の余地があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、金属部材に樹脂部材が一体的に固着されている金属樹脂複合体の製造方法において、金属部材と樹脂部材との固着強度を更に向上させることにある。
上記課題を解決するための、粗面化された金属部材の表面の凹凸に樹脂部材の一部が入り込んだ状態で、前記樹脂部材が前記金属部材に一体的に固着されている金属樹脂複合体の製造方法は、母材金属の表面に亜鉛を含む金属のめっき層が60g/mを超える付着量で付着されている金属素材を、前記めっき層の金属の融点よりも高い温度まで加熱することにより、前記めっき層の金属を蒸発させて表面を粗面化する熱処理工程と、前記熱処理工程を経た前記金属素材を前記金属部材として用いて、前記金属部材の表面に前記樹脂部材が一体的に固着されるように前記樹脂部材を一体成形する樹脂成形工程と、を有することを特徴とする。
また、前記熱処理工程は、前記金属素材を少なくとも400℃から600℃までは20℃/minを超える昇温速度で昇温させて、前記めっき層の金属の融点よりも高い700℃以上まで加熱する加熱工程と、前記加熱工程に続いて、前記金属素材を700℃以上の加熱状態に保持する高温保持工程と、を含み、これら前記加熱工程及び高温保持工程は非酸化性雰囲気下で行われる、ことが好ましい
なお、上記温度は、金属素材の表面の温度である。
上記製造方法において、前記加熱工程及び前記高温保持工程は、10kPa以下で行われる、ことが好ましい。
上記製造方法において、前記樹脂部材は、強化繊維を熱可塑性樹脂に混入した繊維強化樹脂であり、前記樹脂成形工程は、前記金属部材を成形型に配置して前記繊維強化樹脂をその成形型内で射出成形することにより、前記樹脂部材を成形すると同時に前記金属部材の表面に一体的に固着させることが好ましい
上記製造方法において、前記金属素材は溶融亜鉛めっき鋼板で、前記熱処理工程に先立って予め所定形状にプレス成形されていることが好ましい
上記製造方法によれば、亜鉛を含む金属のめっき層が設けられた金属素材を、その金属の融点よりも高い温度まで加熱することにより、その金属を蒸発させて表面を粗面化したものが、金属部材として用いられ、その粗面化された表面に樹脂部材が一体的に固着されるため、金属部材に対する樹脂部材の固着強度が向上する。すなわち、亜鉛を含む金属が蒸発させられることによって表面が粗面化されているため、めっき層の金属を母材金属と合金化させる際の拡散速度のばらつきで粗面化する場合に比較して、表面の凹凸が複雑でより入り組んだ形状になり、アンカー効果により一層高い固着強度で樹脂部材を固着することができる。
また、金属素材を少なくとも400℃から600℃までは20℃/minを超える昇温速度で昇温させて700℃以上まで加熱し、その700℃以上の加熱状態に保持してめっき層の金属を蒸発させるため、その蒸発によって表面を適切に粗面化することができる。すなわち、昇温速度が20℃/min以下の場合には、母材金属とめっき層の金属とが合金化する割合が高くなるとともに、めっき層から蒸発する金属が少なくなって蒸発による粗面化の効果が十分に得られなくなる。これは、昇温速度が遅いと、金属素材の表面だけでなく内部の母材金属の温度も高くなるため、その母材金属とめっき層の金属とが合金化するようになるためと考えられる。
さらに、めっき層の付着量が60g/mを超えているため、そのめっき層の金属の蒸発による粗面化を適切に行うことができ、樹脂部材の固着強度を適切に向上させることができる。これは、めっき層の存在で母材金属の温度上昇が阻害され、合金化が抑制されるためと考えられる。また、熱処理工程は、非酸化性雰囲気下で行われるため、めっき層の金属の酸化が抑制され、そのめっき層の金属の蒸発により表面を適切に粗面化することができる。
上記製造方法によれば、熱処理工程は10kPa以下で行われる融点が低くなるため、比較的低温度でめっき層の金属の蒸発を制御して表面を適切に粗面化することができる。
上記製造方法によれば、樹脂部材として繊維強化樹脂が用いられ、射出成形により金属部材と一体成形されて、成形と同時に一体的に固着されるため、所定の固着強度を有する金属樹脂複合体を簡単で且つ安価に製造できる。
上記製造方法によれば、金属素材が溶融亜鉛めっき鋼板で、予め所定形状にプレス成形した後に熱処理が行われるため、プレス成形性やプレス成形による表面変化を考慮することなく熱処理を行うことが可能で、表面をムラ無く粗面化して固着強度の高い金属樹脂複合体を安価に製造することができる。
本発明の一実施例である金属樹脂複合体の固着部分の断面模式図である。 図1の金属樹脂複合体の製造工程を説明する図で、各工程の断面模式図を比較して示した図である。 図1の金属樹脂複合体を構成している金属部材の素材である溶融亜鉛めっき鋼板の表面付近の断面写真である。 図3の溶融亜鉛めっき鋼板を粗面化する熱処理時の温度プロファイルの一例を示す図である。 図4の熱処理により表面が粗面化された金属部材の表面付近の断面写真である。 図5の金属部材の表面写真である。 蒸発および合金化により粗面化した表面付近の断面写真を比較して示した図である。 固着強度試験で用いた7種類の試験品を説明する図である。 図8の試験品の接合状態を説明する斜視図である。 図8の固着強度試験の試験方法を説明する図である。 図8の7種類の試験品の固着強度試験の試験結果を示した図である。 図8の試験品No2の金属部材と樹脂部材との境界部分の断面写真である。 図8の試験品No1の金属部材と樹脂部材との境界部分の断面写真である。
本発明は、例えば射出成形やプレス成形等により合成樹脂材料に金属を埋設したり積層したりして成形する各種の電気部品、例えば電源装置や電極、接続端子などに好適に適用されるが、電気部品以外の金属樹脂複合体にも適用され得る。亜鉛を含む金属のめっき層が設けられた金属素材としては、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板が好適に用いられるが、純亜鉛やFe−Zn合金の他にSb、Mg、Si、Ni、Al等の元素が微量に添加されためっき層でも良い。めっき層の付着量は、合金化を抑制しつつ蒸発により適切に粗面化する上で20g/m2 を超えることが望ましく、40g/m2 以上が一層好ましい。また、蒸発による粗面化のための処理時間や合金化を考慮すると、80g/m2 程度以下が適当である。
樹脂部材の樹脂材料としては、PP(ポリプロピレン)、PA6(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の熱可塑性樹脂が適当であるが、液状から固化するタイプの熱硬化性樹脂を用いることもできる。これ等の樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を混入した繊維強化樹脂を用いることも可能である。
熱工程では、合金化を抑制しつつめっき金属を蒸発させる上で、少なくとも400℃から600℃までは10℃/minを超える昇温速度で昇温させるが、15℃/min以上の昇温速度で昇温させることが望ましい。高温保持工程の保持温度は、例えば600℃〜900℃程度の範囲内が適当で、保持時間は、例えばめっき層の金属を略全部蒸発させることができるようにめっき層の付着量等に応じて適宜定められる。この保持温度は、600℃以上の略一定の温度であっても良いが、連続的に変化していても良い。融点は、熱処理を行う際の気圧によって変化するため、蒸発のための加熱温度も熱処理炉内の圧力(気圧)を考慮して適宜定められ、600℃以下の加熱処理で合金化を抑制しつつめっき金属を蒸発させることもできる。熱処理後は、例えば常温による自然冷却等により冷却される。
上記熱処理は、非酸化性雰囲気下で且つ20kPa以下の減圧状態で行うことが望ましいが、減圧状態の大気雰囲気下、或いは大気圧の非酸化性雰囲気下などで熱処理を行うことも可能である。非酸化性雰囲気は還元性雰囲気であっても良く、例えば窒素ガス雰囲気やアルゴンガス雰囲気、一酸化炭素ガス雰囲気などである。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である金属樹脂複合体10の断面模式図で、インサート成形により金属部材12の表面14に樹脂部材16を一体的に固着したものである。図2は、この金属樹脂複合体10の製造工程を説明する図で、各工程の断面模式図を比較して示した図であり、(a) は金属部材12の素材である金属素材20の断面図である。この金属素材20は、本実施例では母材金属である鋼板22上に純亜鉛のめっき層24が設けられた溶融亜鉛めっき鋼板で、予め目的形状にプレス成形されたプレス成形品である。図3は、この金属素材20の表面付近の断面写真で、純亜鉛のめっき層24の付着量(片面の付着量)は20g/m2 よりも多く、例えば40g/m2 〜80g/m2 の範囲内が適当で、本実施例では60g/m2 程度であり、めっき層24の平均厚さは6〜8.5μm程度である。
上記金属素材20に対して、図2(b) の粗面化熱処理を行い、めっき金属である亜鉛の融点よりも高い例えば600℃〜900℃程度まで加熱し、めっき層24の亜鉛を略全部蒸発させることにより、表面14が粗面化された前記金属部材12が得られる。この(b) の工程は、めっき層24の亜鉛を蒸発させて粗面化する熱処理工程で、例えば10kPa程度の真空状態で窒素ガス雰囲気の熱処理炉内で行われる。図4は、この熱処理工程における金属素材20の表面温度の温度プロファイルの一例であり、本実施例では約700℃まで加熱して粗面化している。図4において時間t3までが加熱工程で、時間t3〜t4は高温保持工程、時間t4以後は冷却工程であり、加熱工程において少なくとも400℃から600℃まで昇温させる加熱時間t1〜t2では、10℃/minを超える昇温速度で昇温させるように加熱する。本実施例では、略20℃/minの昇温速度で昇温するように600℃まで加熱し、その後は更に高い昇温速度で700℃まで加熱している。昇温速度が10℃/minを超えているため、内部の鋼板22の温度上昇の遅れでその鋼板22の鉄とめっき層24の亜鉛との合金化が抑制され、めっき層24の亜鉛の蒸発反応が優先的に行われる。時間t3〜t4の高温保持工程では、高温度によりめっき層24の亜鉛が更に蒸発して表面14が粗面化される。この高温保持工程でも蒸発が支配的に進行する。この高温保持工程の保持時間(t3〜t4)は、めっき層24の亜鉛が略完全に蒸発するようにめっき層24の付着量等に応じて適宜定められ、本実施例では2分程度である。また、その後は、熱処理炉から取り出し、例えば常温で自然冷却する。
図5は、上記熱処理により表面14が粗面化された金属部材12の表面付近の断面写真で、図6は表面14に対して垂直方向から見た表面写真であり、特に図6から表面14が複雑で入り組んだ凹凸形状を成していることが分かる。また、図7は、蒸発によって粗面化した本発明品と合金化で粗面化した従来品の表面付近の断面写真を比較して示した図で、本発明品の方が凹凸が複雑で入り組んでおり、樹脂部材16を一体成形した場合により高いアンカー効果が期待できる。一方、この場合の本発明品の表面付近の元素分析を行ったところ、亜鉛は殆ど認められず、複雑な凹凸形状を含めて主成分は鉄であり、亜鉛の蒸発に伴って何らかの原因で鋼板22の表面が変質したものと考えられる。
図2に戻って、上記粗面化熱処理によって得られた表面14が粗面化された金属部材12は、その後、(c) に示すように樹脂部材16がインサート成形されることにより、その樹脂部材16と一体化される。樹脂部材16は、例えばPPSやPA6等の熱可塑性樹脂で、ガラス繊維(GF)が混入された繊維強化樹脂である。そして、金属部材12を射出成形装置の成形型内にセットし、繊維強化樹脂を成形型内に射出して成形することにより、樹脂部材16が成形されると同時に金属部材12の表面14に一体的に固着される。表面14は、めっき層24の亜鉛の蒸発で粗面化されているため、複雑な凹凸形状に樹脂材料が入り込んで固化することにより、アンカー効果で樹脂部材16が高い固着強度で一体的に固着される。この(c) のインサート成形は樹脂成形工程である。
このような本実施例の金属樹脂複合体10においては、亜鉛のめっき層24が設けられた金属素材20を、その亜鉛の融点よりも高い温度まで加熱することにより、その亜鉛を蒸発させて表面14を粗面化したものが、金属部材12として用いられ、その粗面化された表面14にインサート成形により樹脂部材16が一体的に固着されているため、金属部材12に対する樹脂部材16の固着強度が向上する。すなわち、めっき層24の亜鉛が蒸発させられることによって表面14が粗面化されているため、めっき層24の亜鉛と鋼板22の鉄とが合金化する際の拡散速度のばらつきで粗面化させる場合に比較して、表面14の凹凸が複雑でより入り組んだ形状になり、アンカー効果により一層高い固着強度で樹脂部材16を固着できる。
また、金属素材20を、600℃までは略20℃/minの昇温速度で昇温させて700℃程度まで加熱し、その700℃程度の加熱状態に保持してめっき層24の亜鉛を蒸発させるため、金属部材12の表面14を適切に粗面化することができる。すなわち、昇温速度が10℃/min以下の場合には、鋼板22の鉄とめっき層24の亜鉛とが合金化する割合が高くなるとともに、めっき層24から蒸発する亜鉛が少なくなって蒸発による粗面化の効果が十分に得られなくなる。これは、昇温速度が遅いと、金属素材20の表面だけでなく内部の鋼板22の温度も高くなるため、その鋼板22の鉄とめっき層24の亜鉛とが合金化するようになるためと考えられる。
また、めっき層24の付着量が60g/m2 程度であるため、そのめっき層24の亜鉛の蒸発による粗面化を適切に行うことができ、樹脂部材16の固着強度を適切に向上させることができる。これは、めっき層24の存在で内部の鋼板22の温度上昇が阻害され、合金化が抑制されるためと考えられる。
また、非酸化性の窒素ガス雰囲気下で且つ10kPa程度の真空状態で粗面化熱処理が行われるため、めっき層24の亜鉛の酸化が抑制され、そのめっき層24の亜鉛の蒸発により表面14を適切に粗面化することができる。真空状態で熱処理が行われることにより、融点が低くなるため、比較的低温度でめっき層24の亜鉛の蒸発を制御して表面14を適切に粗面化することができる。
また、樹脂部材16として繊維強化樹脂が用いられ、射出成形により金属部材12と一体成形されて、成形と同時に金属部材12に一体的に固着されるため、所定の固着強度を有する金属樹脂複合体10を簡単で且つ安価に製造できる。
また、金属素材20が溶融亜鉛めっき鋼板で、予め所定形状にプレス成形した後に粗面化熱処理が行われるため、プレス成形性やプレス成形による表面変化を考慮することなく熱処理を行うことが可能で、表面14をムラ無く粗面化して固着強度の高い金属樹脂複合体10を安価に製造することができる。
因に、図8に示す7種類の試験品No1〜No7を用意し、図9および図10に示す試験方法で固着強度(接合強度)を調べたところ、図11に示す結果が得られた。試験品No1〜No7における金属部材12の金属素材20は、「鋼板のめっき種類」の欄に示すように溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、または電気亜鉛めっき鋼板であり、「めっき付着量」は、溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板は60g/m2 で、電気亜鉛めっき鋼板は20g/m2 である。金属素材20を粗面化熱処理する際の炉内雰囲気は、大気または窒素ガス雰囲気で、気圧は大気圧(100kPa)または真空(10kPa)で、加熱工程の600℃までの昇温速度は20℃/minまたは10℃/minで、高温保持工程の保持温度は900℃または700℃で、保持時間(t3〜t4)は4分または2分である。一方、樹脂部材16の材質は、ガラス繊維強化PPS樹脂(PPS−GF)、ガラス繊維強化PA6樹脂(PA6−GF)、またはガラス繊維強化PP樹脂(PP−GF)で、ガラス繊維の含有量は何れも40重量%である。
そして、図9に示すように長方形の板状の金属部材12および樹脂部材16が部分的に重ね合わされて一体的に固着されるように、樹脂部材16をインサート成形することにより、各試験品TPを製作した。固着部分の幅寸法Wは20mm、重なり寸法Lは15mmであり、固着面積は20×15=300mm2 である。また、金属部材12の板厚は2mmで、樹脂部材16の板厚は2.3mmである。図10は、一対のクランプ32、34を有する引張試験装置30で、一方のクランプ32によって金属部材12を把持し、他方のクランプ34に把持された治具36に樹脂部材16を係止した状態で、それ等のクランプ32、34を互いに離間する方向へ引っ張り、最大引張荷重(せん断荷重)を固着強度として測定した。引張速度は5mm/minで、試験雰囲気は温度23℃、湿度50%である。
図11の試験結果において、「判定」の欄の「○」は合格、「×」は不合格で、1000N以上か否かによって判定した。この図11の試験品No6およびNo7の結果から明らかなように、金属素材20が溶融亜鉛めっき鋼板で、めっき付着量が60g/m2 、粗面化熱処理の際の炉内雰囲気が窒素ガス雰囲気で気圧が真空、加熱工程の昇温速度が20℃/min、高温保持工程の保持温度が700℃で、保持時間(t3〜t4)が2分の場合には、樹脂部材16がガラス繊維強化PA6樹脂(PA6−GF)であってもガラス繊維強化PP樹脂(PP−GF)であっても、固着界面で剥離することはなく、樹脂部材16が破壊する3500N以上の高い固着強度が得られた。特に、樹脂部材16がガラス繊維強化PA6樹脂の試験品No6では、5000N以上の非常に高い固着強度が得られる。前記実施例の金属樹脂複合体10は試験品No6と同じで、前記図5〜図7の写真は試験品No6に関するものである。
試験品No6に比較して、粗面化熱処理の際の気圧が大気圧である点が相違する試験品No2の場合、固着界面で剥離するものの、2000N以上の固着強度が得られた。図12の断面写真は、この試験品No2に関するもので、母材金属である鋼板22(金属部材12)の表面14には複雑で入り組んだ凹凸が形成されており、その凹凸に食い込んだ状態で樹脂部材16が一体成形されている。元素分析の結果、凹凸部分では鉄および酸素が検出され、酸化鉄であると考えられる。その凹凸部の上には、部分的に僅かな隙間を隔てて亜鉛と酸素の酸化物層が形成されており、樹脂部材16の樹脂は凹凸部と酸化物層との間の隙間も埋め尽くしていた。
上記試験品No2に比較して、金属素材20が合金化溶融亜鉛めっき鋼板である点が相違する試験品No3では、めっき層24がFe−Zn合金で、亜鉛の蒸発が阻害されるものの、1300N程度の固着強度が得られた。これは、めっき層24の表面近くでは亜鉛の割合が多くなり、蒸発によってある程度粗面化するものと考えられる。
一方、粗面化熱処理の際の炉内雰囲気が大気で、気圧が大気圧の試験品No1の場合、めっき層24の表面に酸化物の膜が生じ、亜鉛の蒸発が阻害されて大部分が母材金属である鋼板22の鉄と合金化して、十分な固着強度が得られない。図13の断面写真は、この試験品No1に関するもので、元素分析によれば、樹脂部材16との境界部分に酸化亜鉛(ZnO)や酸化鉄(FeO)の層が認められ、その下にFe−Znの合金層が形成されている。
金属素材20が電気亜鉛めっき鋼板で、めっき付着量が20g/m2 の試験品No4の場合、亜鉛の量が少ないため蒸発による粗面化が十分に行われず、インサート成形では金属部材12と樹脂部材16との固着そのものが不可であった。また、試験品No2に比較して、加熱工程の昇温速度が10℃/minである点が相違する試験品No5では、昇温速度が遅いためめっき層24の亜鉛が鋼板22の鉄と合金化する割合が多くなり、その分だけ亜鉛の蒸発が少なくなって粗面化が阻害され、十分な固着強度が得られない。
この試験結果から、金属素材20のめっき付着量は20g/m2 を超え、40g/m2 以上が望ましく、粗面化熱処理の際の炉内雰囲気は窒素ガス等の非酸化性雰囲気が望ましく、加熱工程の際の昇温速度は10℃/minを超え、15℃/min以上が望ましい。また、金属素材20としては、溶融亜鉛めっき鋼板でも合金化溶融亜鉛めっき鋼板でも良いが、めっき層24が純亜鉛の溶融亜鉛めっき鋼板の方が望ましく、粗面化熱処理の際の気圧は大気圧でも真空でも良いが、20kPa以下の減圧状態の方が望ましい。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:金属樹脂複合体 12:金属部材 14:表面 16:樹脂部材 20:金属素材 22:鋼板(母材金属) 24:めっき層

Claims (4)

  1. 粗面化された金属部材の表面の凹凸に樹脂部材の一部が入り込んだ状態で、前記樹脂部材が前記金属部材に一体的に固着されている金属樹脂複合体の製造方法であって、
    母材金属の表面に亜鉛を含む金属のめっき層が60g/mを超える付着量で付着されている金属素材を、前記めっき層の金属の融点よりも高い温度まで加熱することにより、前記めっき層の金属を蒸発させて表面を粗面化する熱処理工程と、
    前記熱処理工程を経た前記金属素材を前記金属部材として用いて、前記金属部材の表面に前記樹脂部材が一体的に固着されるように前記樹脂部材を一体成形する樹脂成形工程と、を有し、
    前記熱処理工程は、
    前記金属素材を少なくとも400℃から600℃までは20℃/minを超える昇温速度で昇温させて、前記めっき層の金属の融点よりも高い700℃以上まで加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程に続いて、前記金属素材を700℃以上の加熱状態に保持する高温保持工程と、を含み、
    これら前記加熱工程及び前記高温保持工程は非酸化性雰囲気下で行われる、
    金属樹脂複合体の製造方法。
  2. 前記加熱工程及び高温保持工程は、10kPa以下で行われる、
    求項に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  3. 前記樹脂部材は、強化繊維を熱可塑性樹脂に混入した繊維強化樹脂であり、
    前記樹脂成形工程は、前記金属部材を成形型に配置して前記繊維強化樹脂を該成形型内で射出成形することにより、前記樹脂部材を成形すると同時に前記金属部材の表面に一体的に固着させる
    求項1又は2に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  4. 前記金属素材は溶融亜鉛めっき鋼板で、前記熱処理工程に先立って予め所定形状にプレス成形されている
    ことを特徴とする請求項の何れか1項に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
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