JP6340242B2 - 粘着テープ - Google Patents

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Description

本発明は、電気絶縁又はワイヤーハーネスにおける電線どうしの結束に用いられる粘着テープに関する。
従来、屋内配線工事などにおける電気絶縁用の粘着テープとしてポリ塩化ビニルテープ基材の片面に粘着剤層を設けた粘着テープが広く用いられている。
例えば、絶縁被覆電線どうしの結線部などで導体が露出している部分にこの電気絶縁用の粘着テープを巻き付けて絶縁被覆を施すことが従来広く行われている。
この種の電気絶縁用粘着テープは、通常、紙管の外周側に巻回されてテープロールの形態で市販されており、該テープロールの多くは、粘着剤層がセパレーターなどを介さずにポリ塩化ビニルテープ基材の背面側に直接接着されている。
従って、この種の粘着テープは、被着体への良好な接着性が求められる一方で、使用時において自背面から容易に剥離することが求められている。
また、従来、ワイヤーハーネスにおいて並行する複数の電線を結束するような用途においても粘着テープが用いられている。
このワイヤーハーネスは、粘着テープの巻き付け区間が、数十センチメートルから1メートル以上にも及び、この区間全域において粘着テープがハーフラップされることから一般的な粘着テープに比べると一回の使用長さが長い。
従って、ワイヤーハーネス用粘着テープは、自背面からの剥離に強い力を要すると使用時における作業性に悪影響が及び易い。
このようなことからワイヤーハーネス用粘着テープは、前記の電気絶縁用粘着テープと同様に使用時における自背面からの易剥離性が強く要望されている。
なお、粘着剤層をポリ塩化ビニルテープ基材の背面側に直接接着させるのではなく、間にセパレーターを介装させるようにすればテープロールから粘着テープを繰り出すのに多大な力は必要なくなる。
その一方で、この種の粘着テープは、使用時において、セパレーターを剥離しつつ被着体に巻き付けるなどしなければならず、且つ、剥離したセパレーターを処分しなければならないことから良好な作業性を期待することが難しい。
ところで、従来、テープ長手方向に延在する経糸と、該経糸に交差する緯糸とが織成されてなる基材(基布)を有する粘着テープが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2008−31566号公報
前記のような織布が基材となっている粘着テープは、前記のようにポリ塩化ビニルテープを基材に採用している粘着テープに比べるとハサミやカッターナイフなどを用いることなく指先で摘んで引裂くだけでテープ幅方向に比較的真っ直ぐに切断することができて部材の接合や結束といった用途における作業性を向上させ得る。
このことから電気絶縁用粘着テープや、ワイヤーハーネス用粘着テープは、上記のように経糸と緯糸とが織成されてなる基材を採用することで手切れ性に優れ、部材の接合や結束といった作業時における効率の向上を図ることができる。
ここで、ポリ塩化ビニルテープ基材が空気の遮断性に優れる一方で、前記のような基布については、空気の遮断性を期待することが難しい。
そのため、電気絶縁用粘着テープや、ワイヤーハーネス用粘着テープに優れた作業性を付与すべく基材に基布を採用すると、粘着剤層を構成している粘着剤が、酸化劣化や加水分解を生じ易い環境下に置かれることになる。
即ち、電気絶縁用粘着テープや、ワイヤーハーネス用粘着テープは、作業性を良好なものにすべく基材に織布を採用すると耐候性が低下するおそれが有る。
本発明は、このような問題を解決し、使用時における作業性に優れるとともに従来のものと同等以上の耐候性を有する電気絶縁用粘着テープ及びワイヤーハーネス用粘着テープを提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決すべく、電気絶縁又はワイヤーハーネスにおける電線どうしの結束に用いられ、経糸と緯糸とにより織成された基布、及び、該基布に直接積層された粘着剤層を有する粘着テープであって、前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤で、該アクリル系ポリマーが(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含む原料モノマーが重合されたものであり、前記基布は、少なくとも1箇所において前記経糸と前記緯糸とが融着され、該融着が緯糸の少なくとも1成分が溶融することによるものであり、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことを特徴とする粘着テープを提供する。
本発明の粘着テープは、経糸と緯糸とが融着された基布が用いられている。
しかも、前記基布は、緯糸の少なくとも1成分が溶融することによって前記融着がなされている。
さらに、前記基布は、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さい。
即ち、前記基布は、緯糸の方が経糸に比べて緻密な状態となっており、且つ、該緯糸が縦糸に対して融着されている。
従って、本発明の粘着テープは、緯糸方向(テープ幅方向)への良好な手切れ性が発揮され得る。
また、本発明の粘着テープは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を原料モノマーとして構成されたアクリル系粘着剤によって粘着剤層が形成されている。
従って、本発明の粘着テープは、粘着剤層に優れた耐候性や耐熱性を発揮させることができ、従来の粘着テープに比べて耐候性等が低下するおそれを抑制させ得る。
しかも、基布を用いた粘着テープは、当該基布を介してテープロールの内外に隣接する粘着剤層が基布の目開き部を通じて接着する“裏抜け”と呼ばれる現象を生じる場合があり、自背面からの剥離に強い力を要したり、場合によってはブロッキングを生じるおそれを有する。
そのために自背面からの良好な剥離性が求められている電気絶縁用粘着テープや、ワイヤーハーネス用粘着テープは、単に基材として基布を採用しただけでは、作業性の観点において手切れ性と剥離性とがトレードオフされるおそれを有する。
ここでアクリル系粘着剤は、ベースポリマーの変性などにより粘度や粘着力が調整容易であることから、裏抜けの防止も容易となる。
従って、本発明の粘着テープは、電気絶縁用及びワイヤーハーネス用としての利用に際して優れた作業性を発揮しうる。
粘着テープの構成を示す概略断面図。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、図を参照しつつ、本実施形態に係る粘着テープについて説明する。
この図1は、本実施形態の粘着テープの断面構造を模式的に示した断面図である。
この図にも示すように、本実施形態に係る粘着テープ1は、基布10と、該基布10の一面側に設けられた粘着剤層20との2層構造を有している。
前記基布10には、良好なる手切れ性を前記粘着テープ1に発揮させるべく、テープ長手方向に延在する経糸と、該経糸に直交する方向に交差する緯糸とが織成された繊維シートが採用されている。
本実施形態における前記基布10は、少なくとも1箇所において経糸と緯糸とのが融着されている。
また、前記基布10は、前記融着が緯糸の少なくとも1成分が溶融することによってなされており、且つ、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さくなるように構成されている。
なお、本実施形態における前記基布10は、経糸のカバーファクターが500以上800以下であることが好ましい。
また、本実施形態における前記基布10は、緯糸のカバーファクターが1000以上2500以下であることが好ましい。
さらに、経糸のカバーファクターと緯糸のカバーファクターとの合計値は1200以上2000以下であることが好ましい。
そして、本実施形態における前記基布10は、緯糸のカバーファクター(Fa)に対する経糸のカバーファクター(Fb)の比率(Fb/Fa)が0.25以上0.4以下であることが好ましい。
なお、本明細書中における経糸や緯糸に係る「カバーファクター」との用語については下記のようにして求められる値を意味している。

カバーファクター = 繊度(dtex)1/2 × 織り密度(本/2 .54cm)

ただし、合撚糸、織物上での引き揃え、混織の場合は、カバーファクターは下記のようにして算出するものとする。

合撚糸:
複数の糸を合撚した糸については、合撚後の糸の繊度と、この合撚糸の織り密度とによってカバーファクターを算出する。
例えば、約75dtexの糸を3本合撚した225dtexの繊度の合撚糸が50本/2.54cmの織密度で備えられている場合は、カバーファクターは、以下のようにして算出する。
(2251/2)×50=750

引き揃え:
複数本の糸を製織時に織物上で引き揃えた場合には、引き揃え前の糸の繊度と織密度からカバーファクターを算出する。
例えば、75dtexの糸を3本引き揃えた結果として約225dtexの繊度となった糸が50本/2.54cmの織密度で備えられている場合、カバーファクターについては、75dtexの糸が150本/2.54cmの織密度で備えられていると見做して以下のようにして算出する。
(751/2)×150≒1299

混織:
2種類以上の糸を製織時に織物上で所定の割合で配列した場合は、各糸の繊度と織密度から各糸のカバーファクターを算出して合計する。
例えば、50dtexの糸と100dtexの糸とが2:1の割合で合計120本/2.54cmの織密度となっている場合、カバーファクターは、以下のようにして算出する。
(501/2)×80+(1001/2)×40=566+400=966
本実施形態における前記基布10は、経糸が溶融することなく前記融着されたものであり、前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル樹脂系芯鞘構造マルチフィラメントであることが好ましい。
また、本実施形態における前記ポリエステル樹脂系芯鞘構造マルチフィラメントは、鞘部が芯部の成分よりも融点の低い低融点成分を含んでいることが好ましい。
さらに、本実施形態の前記基布10は、前記緯糸における低融点成分の質量比率が、20%以上であることが好ましい。
また、本実施形態における前記緯糸は、その総繊度が前記経糸の総繊度よりも大きく、具体的には、経糸の総繊度よりも30デシテックス以上の大きな総繊度を有していることが好ましい。
本実施形態における前記緯糸は、単一の樹脂のみから構成されてもよいが、2以上の樹脂から構成されたものが好ましい。
2以上の樹脂からなる緯糸の例としては、例えば、相対的に融点の低い樹脂(低融点成分)を鞘部にし相対的に融点の高い樹脂(高融点成分)を芯部とした芯鞘構造フィラメントや、低融点成分と高融点成分とを横並びにしたサイドバイサイドフィラメントを糸の一部、又は、全部に採用する場合、低融点成分と高融点成分を同時に紡糸して引きそろえて延伸する異収縮混繊糸等を採用する場合などが挙げられる。
また、2以上の樹脂からなる緯糸の例としては、例えば、低融点成分の短繊維と高融点成分の短繊維を混紡した紡績糸を使用する方法、低融点成分の長繊維と高融点成分の長繊維を合撚、または仮撚り混繊加工する方法、高融点成分を有する繊維を芯に低融点成分を有する繊維を巻き付けたカバードヤーンとする方法などによって得られる糸が挙げられる。
なお、上記の“高融点成分”とは、低融点成分の融点では溶融も分解もしないものを意味し、本実施形態においては、融点を持たず低融点成分の融点において低融点成分よりも軟質にならない樹脂を含めて“高融点成分”と称する。
また、本実施形態の緯糸は、1種類の繊維を使用するのみでなく、2種類以上の繊維を使用してもよい。
例えば、短繊維を混紡した紡績糸や長繊維をそのまま使用するだけでなく、2種類以上の繊維を合撚糸、仮撚り加工糸、カバードヤーン糸等、繊維の構造も適宜選択して使用できる。
また、製織する際に低融点成分を有する繊維と他の繊維を適当な比率で打ち込むことも可能である。
当該緯糸は、具体的には、総繊度が20デシテックス以上500デシテックス以下で、フィラメント数10以上200以下のマルチフィラメント糸であることが好ましい。
前記緯糸の一部又は全部を構成するポリエステル樹脂系芯鞘構造マルチフィラメントにおいて、鞘部に含まれる前記低融点成分は、融着熱処理をしても風合いが硬くならないという理由から、前記芯部を構成しているポリエステル樹脂よりも10℃以上低い融点を有していることが好ましい。
本実施形態の緯糸に備えさせる芯鞘構造フィラメントは、例えば、芯部を250℃以上270℃以下の融点を示すポリエステル樹脂で形成させ、前記鞘部を形成する低融点成分を融点170℃以上240℃以下のポリエステル樹脂とすることができる。
また、前記緯糸における低融点成分の質量比率は、融着点の数や融着面積を十分に得るという理由から、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、前記緯糸は、強度と風合い(柔軟性)を得ると理由から前記低融点成分の含有量(質量割合)が90%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
なお、緯糸が、芯部に複数種類の樹脂を含む場合、鞘部に含まれる「低融点成分」とは、芯部の主成分たる樹脂よりも融点が低い成分を意味している。
ここで、芯部や鞘部の「融点」については、例えば、JIS K 7121(2012)に準じて求めることができ、具体的には、示差走査熱量計(DSC)(例えば、島津製作所社製、商品名「DSC−60」)を用いて求めることができる。
このDSC法によって融点を求める場合には、例えば、下記のような測定条件によって求めることができる。

試料質量:約2.0mg
昇温速度:10℃/min
目標温度:300℃
ホールド時間:5分間
融点(℃):得られる融解吸熱曲線(昇温時)の極値の温度、試験回数5回の平均値。
なお、前記緯糸は、必ずしも芯鞘構造を有するフィラメントを備えている必要はなく、その場合は、前記のような低融点成分(例えば、融点170℃以上240℃以下のポリエステル樹脂)によって全てのフィラメントを形成させてもよい。
本実施形態における前記経糸は、総繊度が100デシテックス以下のマルチフィラメントであり、フィラメント数が10以上である。
本実施形態における前記経糸は、総繊度が5デシテックス以上のマルチフィラメントであることが好ましく、フィラメント数が200以下であることが好ましい。
また、本実施形態における前記基布10は、経糸または緯糸の少なくとも一方が仮撚り加工糸であり、且つ、経糸または緯糸の一部が難燃ポリマーを含有する糸であることが好ましい。
本実施形態においては、前記経糸や前記緯糸に仮撚り加工糸を採用することが好ましい。
仮撚加工糸の場合は、熱融着時に、捲縮によって形成された表面の凸凹に緯糸の融着成分を侵入させることにより、融着面積の増大やアンカー効果による融着強度の向上効果を期待することができる。
従って、前記経糸や前記緯糸に仮撚加工糸を用いることで粘着テープは、素手で経糸を切断し易くなり、良好な手切れ性を得ることができる。
また、前記経糸や前記緯糸を、一部、又は、全部が難燃ポリマーによって形成されたものとする場合には、ポテレフタル酸とエチレングリコールの基本骨格にジカルボン酸成分を共重合させた樹脂やリン系難燃ポリマーを共重合させた難燃ポリエステル繊維などが、融点が低く、好ましく用いられ得る。
そして、本実施形態の前記基布10は、経糸の織り密度が120本/2.54cm以下で、且つ、前記緯糸の織り密度が60本/2.54cm以上である。
また、前記基布10は、経糸の織り密度が20本/2.54cm以上であることが好ましく、前記緯糸の織り密度が400本/2.54cm以下であることが好ましい。
なお、この「織り密度」については、JIS L 1096(2010).8.6.1 A法に準じて測定することができ、基布10の経糸および緯糸の本数を2.54cm(1インチ)の区間にて測定して求めることができる。
なお、前記基布10は、通常、経糸と緯糸とが平織りされてなるものを採用することができるが、要すれば、経糸と緯糸とが綾織、或いは、朱子織されたものであってもよい。
また、前記基布10は、経糸切断方向の引裂強力が、緯糸切断方向の引裂強力より低く、その差が1.5N以上あることが好ましい。
前記基布10は、経糸切断方向の引裂強力が、緯糸切断方向の引裂強力より低く、その差が、2.0N以上であることがさらに好ましく、この差が大きい方が好ましい。
それにより優れた手切れ性を得ることができる。
ただし、経糸切断方向の引裂強力は4.0N以上であることが好ましい。
経糸切断方向の引裂強力が低いほど、手切れ糸は良くなるが、粘着テープを貼り付ける作業でテープが切れてしまう可能性があり、好ましくないためである。
上記基布10に対して積層される粘着剤層20は、本実施形態の粘着テープを電気絶縁用粘着テープ、又は、ワイヤーハーネス用粘着テープ(結束テープ)として好適なものとする上においてアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤によって構成されている。
より具体的には、前記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含む原料モノマーが重合されたものである。
前記粘着剤層20を形成するアクリル系ポリマーの出発物質たる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルプロピルアクリレート、ノルマルプロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、セカンダリーブチルアクリレート、セカンダリーブチルメタクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、ノルマルオクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノルマルノニルアクリレート、ノルマルノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート等の内の1種以上を採用することができる。
また、前記アクリル系ポリマーの出発物質たるカルボキシル基含有不飽和単量体としては、前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の内の1種以上とすることができる。
前記アクリル系ポリマーは、上記に例示したような(メタ)アクリル酸アルキルエステルやカルボキシル基含有不飽和モノマー以外に他のモノマーを含む共重合体とすることもできる。
上記例示以外のモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル等の含窒素(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニリテン、プロピオン酸ビニル等があげられる。
なかでも、アクリル系ポリマーは、ブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体であることが好ましい。
また、アクリル系ポリマーをブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体とする場合、ブチルアクリレートは、アクリル酸との合計に占める割合が80質量%以上99質量%以下となるようにアクリル系ポリマーの形成に利用することが好ましく、90質量%以上98質量%以下となるようにアクリル系ポリマーの形成に用いることが好ましい。
本実施形態のアクリル系粘着剤は、基布への積層時において低分子量成分が基布を透過して“裏抜け”を生じることを防止する上において、前記アクリル系ポリマーを架橋状態で含有していることが好ましい。
このアクリル系ポリマーどうしを架橋するには、例えば、活性エネルギー線(紫外線や電子線など)を照射する方法が採用可能である。
また、アクリル系ポリマーどうしの架橋には、任意の架橋剤を利用し得る。
このような架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、多官能イソシアネート系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤、金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などが挙げられる。
なお、架橋剤の使用の有無にかかわらず、紫外線や電子線などの活性エネルギー線の照射によって架橋構造を構築することも可能である。
本実施形態においてアクリル系ポリマーどうしを架橋するのに用いる架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋剤の使用量は、粘着剤の主成分であるアクリル系ポリマー(架橋前のアクリル系ポリマー)100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、さらに好ましくは8質量部以下である。
また、架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー(架橋前のアクリル系ポリマー)100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましい。
上記のような架橋剤の内、特に好ましく用いられる架橋剤としては、多官能イソシアネート系架橋剤が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、好ましくは多官能イソシアネート化合物が用いられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する種々の化合物が含まれる。
その代表的な例としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、イソシアネート系架橋剤は、アダクト体のようなものであってもよく、トリメチロールプロパンにトリレンジイソシアネート3量体を付加したアダクト体であってもよい。
前記アクリル系粘着剤中には、任意の添加剤を含有し得る。
このような添加剤としては、例えば、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などが挙げられる。
なかでも粘着付与剤は、アクリル系粘着剤の粘着力の向上に有効であるとともに、当該粘着付与剤として利用されているポリマーの中には、低分子量成分を捕捉するのに有効に機能するものがあり、“裏抜け”の抑制に有効利用させ得る。
このような粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系共重合体等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、重合ロジン等のロジン系樹脂、(アルキル)フェノール系樹脂、キシレン系樹脂またはこれらの水添物などが挙げられる。
アクリル系粘着剤に含有させる粘着付与剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着付与剤の含有割合は、アクリル系粘着剤の主成分であるアクリル系ポリマー100質量部に対して、好ましくは50質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下である。
また、前記粘着付与剤の含有割合は、アクリル系粘着剤の主成分であるアクリル系ポリマー100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。
前記のように本実施形態のアクリル系粘着剤は、“裏抜け”を防止する意味においてアクリル系ポリマーを架橋した架橋物を一定以上含有することが好ましく、具体的には、一定以上のゲル分率を示す状態で粘着テープに用いられていることが好ましい。
一方で、前記アクリル系粘着剤は、ゲル分率が過度に高いと良好な粘着性を発揮させることが難しくなる。
このようなことから、前記アクリル系粘着剤は、一定以上にゾル分を含有していることが好ましい。
より具体的には、前記アクリル系粘着剤は、酢酸エチルに不溶なゲル分と酢酸エチルに可溶なゾル分とを含み且つ前記ゲル分の含有量が35質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
また、前記ゾル分が過度に低分子量のものでは、“裏抜け”を生じてしまうおそれを有することから、前記アクリル系粘着剤は、このゾル分が所定の分子量を示すものであることが好ましい。
より具体的には、前記ゾル分は、1以上の成分で構成されている場合、最も分子量の低い成分でもその重量平均分子量が500以上であることが好ましい。
即ち、前記ゾル分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布測定において1又は2以上のピークを示す場合、最も低分子量側のピークを示す成分の重量平均分子量が500以上であることが好ましい。
また、前記ゾル分には、ある程度高分子量の成分が含まれていることが好ましい。
従って、前記のような低分子量の成分が含まれている場合でも、前記ゾル分は、前記のピークを2以上有し、最も低分子量側のピークを示す成分の重量平均分子量が500以上で、且つ、これとは別のピークを示す成分の重量平均分子量が100000以上であることが好ましい。
即ち、前記アクリル系粘着剤に好ましく含有される40質量%以上65質量%以下のゾル分は、ある程度以上の分子量を有する成分を含有していることが好ましい。
そして、前記ゾル分は、低分子量側と高分子量側とにピークを有するツインピーク型の分子量分布を示すものである場合、低分子量成分の重量平均分子量が500以上2000以下で、高分子量成分の重量平均分子量が100000以上500000以下であることが好ましい。
また、この低分子量成分と高分子量成分とは、略等量となるように含有されていることが好ましく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるピーク面積比が40:60〜60:40となっていることが好ましい。
なお、アクリル系粘着剤のゲル分率は、以下のようにして求めることができる。
<ゲル分率の求め方>
アクリル系粘着剤を約0.1gを採取し、精秤した後、平均孔径0.2μmの多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工株式会社製)に包んで凧糸で縛り、その際の総質量を測定し浸漬前質量とする。
なお、該浸漬前質量は、ポリマー(上記で採取したもの)と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総質量で、これとは別にテトラフルオロエチレンシートと凧糸との合計質量も測定しておき、該質量を包袋質量とする。
次に、上記のアクリル系粘着剤をテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(以下、「サンプル」と称する)を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて7日間静置する。
その後、容器からサンプル(酢酸エチル処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、質量を測定し、該質量を浸漬後質量とした。
そして、ゲル分率は、下記の式(1)から算出することができる。

ゲル分率(質量%)=(a−b)/(c−b)×100 ・・・(1)

なお、式(1)において、aは浸漬後重量であり、bは包袋重量であり、cは浸漬前重
量である。
また、ゾル分については、上記のように求められるゲル分の割合を100質量%から減じた値として求めることができる。
また、ゾル分の重量平均分子量については、以下のようにして求めることができる。
<重量分子量の求め方>
ゾル分の分子量は、例えば、東ソー社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(型名「HLC−8220」)において、以下のように内径4.6mm、長さ150mmのカラムを直列で用いて測定することができる。

カラムセット:「TSK guard column SuperHZ−L/TSKgel superHZ4000/TSKgel superHZ2500/TSKgelsuperHZ2000」

なお、測定に際しては、例えば、試料濃度を8g/L(0.8%)とし、サンプル注入量を5μlとして、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、温度40℃で流量を0.3ml/minとするような測定条件を採用すればよい。
また、このとき検出器にはRI検出器を用い、TSK 標準ポリスチレン(東ソー社製)によって作製した検量線に基づいて重量平均分子量を求めることができる。
前記アクリル系粘着剤は、粘着剤層を形成させるのに際して、有機溶剤を含有する溶剤型アクリル系粘着剤としていても、粘着成分を水系バインダー中に分散させたエマルジョン型アクリル系粘着剤としていてもよい。
ここで前記アクリル系粘着剤としてエマルジョン型アクリル系粘着剤を採用した場合には、粘着テープから揮発性有機化合物(VOC)が発生するおそれが抑制される点において好適である。
また、前記アクリル系粘着剤として溶剤型アクリル系粘着剤を採用する場合には、当該アクリル系粘着剤の粘度調整が容易であることから“裏抜け”が生じ難い粘着テープを得られ易くなる。
また、前記アクリル系粘着剤によって前記粘着剤層を形成させる場合、その厚みは特に限定されるものではないが、通常、前記粘着剤層の厚みは、20μm以上50μm以下のとされる。
本実施形態の粘着テープは、粘着剤層20を1種類のアクリル系粘着剤のみによって構成させる必要はなく、粘着剤層20の形成に2種類以上のアクリル系粘着剤が用いられていても良い。
また、本実施形態の粘着テープは、要すれば、粘着剤層20の形成に1種類以上のアクリル系粘着剤とアクリル系粘着剤以外の粘着剤とが用いられていてもよい。
本実施形態の粘着テープの粘着剤層20の形成に適宜用い得るアクリル系粘着剤以外の粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。
前記ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物(SIPS、SEBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)などの内の1種以上からなるゴム成分に、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂などの内の1種以上からなる粘着付与剤を適宜配合したものなどが挙げられる。
前記シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴムにシリコーンレジンやシリコーンオイルを適宜配合したものが挙げられる。
前記ウレタン系粘着剤としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオールなどのポリオールと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などのポリイソシアネートとを反応させてなるものが挙げられる。
なお、本実施形態においては、粘着テープに対して優れた接着性を長期持続的に発揮させる上において、種々の系統の粘着剤の中でも相対的に耐候性のレベルが高いアクリル系粘着剤を粘着剤層20の形成に用いているが、他の形態の粘着テープにおいてはアクリル系粘着剤以外の粘着剤のみによって粘着剤層を形成させるようにしても良い。
その場合においても、前記のような基布を採用することで手切れ性に優れた粘着テープとすることができ、前記のようなゲル分率を有し、ゾル分が所定分子量分布を有している粘着剤で粘着剤層を形成させることにより裏抜けの抑制がなされて背面からの剥離が容易な粘着テープとすることができる。
本実施形態の粘着テープは、前記基布10に前記粘着剤層20が直接積層されているため、粘着剤層との濡れ性(接着性)を向上させる目的で、例えば、予め表面がプライマーなどによって化学的に処理された基布や、プラズマ放電などによって電気的に表面処理された基布を採用してもよい。
また、本実施形態の粘着テープは、自背面からの剥離性を改善すべく、基布の背面に対して剥離剤などによる剥離処理を施してもよい。
さらには、本実施形態の粘着テープは、要すれば、粘着剤層を積層する前の基布に対し自背面粘着力や巻戻し力を調整すべく自背面処理を行ってもよい。
上記のような基布と粘着剤層との積層構造を有する本実施形態の粘着テープは、一般的な粘着テープの製造において利用されている装置類により製造することができる。
本実施形態の粘着テープの製造における基布と粘着剤層との積層方法は、例えば、基布に対して直接粘着剤を塗布する直接法や、一旦、別のシートに塗布した粘着剤を基布に転写する転写法により実施することができる。
基布や別のシートへの粘着剤の塗布は、例えば、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法などによって実施することができる。
本実施形態の粘着テープの製造方法としては、転写法に比べて工程を簡略化させ得る点において直接法を採用することが好ましい。
このようにして得られる本実施形態の粘着テープは、手切れ性に優れるとともに耐候性に優れており、電気絶縁用、又は、ワイヤーハーネスにおける電線どうしの結束用として好適なものである。
なお、基布を用いた粘着テープは、“裏抜け”によって自背面からの剥離に強い力を要したり、場合によってはブロッキングを生じるおそれを有する。
従って、自背面からの良好な剥離性が求められている電気絶縁用粘着テープや、ワイヤーハーネス用粘着テープにおいて、単に基材をポリ塩化ビニールテープなどから基布に代えただけでは、手切れ性と自背面からの剥離性とがトレードオフの関係となって十分に良好な作業性を発揮させることが困難になるおそれを有する。
この点において、本実施形態の粘着テープは、変性が容易なアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤によって粘着剤層を形成させることで当該アクリル系粘着剤の粘度や接着性を容易にコントロールでき“裏抜け”による問題を抑制することができる。
即ち、本実施形態の粘着テープは、優れた作業性と耐候性とが十分に発揮され得るものとなっている。
なお、本実施形態においては、本発明の粘着テープについて上記のような例示を行っているが、本発明の粘着テープは上記例示の範囲内のものに限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
総繊度70デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの単糸が芯鞘構造糸(鞘成分が共重合ポリエステル樹脂(テレフタル酸・イソフタル酸・ビスフェノールA・エチレングリコール重縮合物、融点233℃)、芯成分がポリエチレンテレフタレート樹脂(融点255℃)、低融点成分の質量比率30%)である緯糸と、総繊度33デシテックス、フィラメント数12本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート樹脂、融点255℃)である経糸とを用い、該経糸に沿った方向が長手方向となるように長尺帯状の織物を製織した。
なお、この織物は、3本の緯糸を織物上で引き揃える形で作製した。
この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、緯糸の共重合ポリエステル成分を溶融させて緯糸と緯糸とが融着された平織物(経糸の織り密度107本/2.54cm、緯糸の織り密度264本/2.54cm、厚み0.202mm)の粘着テープ用基布を得た。
なお、得られた基布における経糸及び緯糸のカバーファクターは以下の通り。
・経糸カバーファクター:330.5×107=615
・緯糸カバーファクター:700.5×264=2209
この基布とは別に、粘着剤層形成用の塗工液を調製した。
該塗工液は、アクリル酸を約5質量%含有し残部がアクリル酸ブチルからなるアクリル系ポリマーと、粘着付与剤たるキシレン樹脂と、イソシアネート系架橋剤とを含む混和物を適度な粘度となるように有機溶媒によって希釈することで調製した。
前記粘着テープ用基布の一面側に前記塗工液によって乾燥厚みが約30μmの粘着剤層を形成させるとともに他面側に背面処理を施して粘着テープ用原反シートを作製した。
なお、前記粘着剤層の形成に際しては、前記塗工液を前記基布に対して直接塗布し、得られた塗膜を加熱乾燥させて前記有機溶媒を揮発除去させるとともに前記イソシアネート系架橋剤によってアクリル系ポリマーを架橋させた。
そして、この原反シートを紙管に巻き付けた後で、約19mm幅に紙管ごとスリットして粘着テープロール(実施例1)を作製した。
この実施例1の粘着テープについて、ワイヤーハーネス用結束テープとしての適性を判断すべく下記項目について評価した。

1)引張強さ・伸び(方法:JIS Z0237 第8項)
2)ステンレス試験板に対する粘着力、テープ背面を試験板とした粘着力(方法:JIS Z0237 第10項、温度23℃、引き剥がし角度180度)
3)低速巻き戻し(方法:JIS Z0237 第11項)
4)端末はがれ試験(方法:JIS C2107 第15項、試験テープ幅19mm、棒太さ直径6mm、荷重600g、50℃×24時間)
5)手切れ性(評価方法は下記の通り)

(手切れ性評価方法)
手切れ性が良好であることが知られているアセテート繊維平織物(経糸:マルチフィラメント糸、繊度75デシテックス、織り密度180本/2.54cm、緯糸:マルチフィラメント糸、繊度75デシテックス、織り密度62本/2.54cm)を用意し、実施例1と同様にして粘着テープロール(以下「アセテートテープ」ともいう)を作製した。
このアセテートテープの側縁部の任意個所を両手の指先でつまみ、且つ、左手の指先と右手の指先とができる限り接近するようにアセテートテープの側縁部を両手の指先でつまみ、指先に力を入れて右手と左手とを相対回転させるようにしてアセテートテープをテープ幅方向に切断した。
このときに指先に感じた力を指標として粘着テープの手切れ性を官能評価した。
即ち、アセテートテープと同様に良好なる手切れ性が感じられた場合は「○」、アセテートテープよりも手切れ性が良好であると感じられた場合は「◎」、アセテートテープよりも手切れ性が悪いと感じられた場合は「△」の判定結果を与える形で粘着テープの手切れ性を官能評価した。
これらの評価の結果、実施例1の粘着テープは、引張強さが110.2N/19mm巾で、伸びが35.3%であることが分かった。
また、実施例1の粘着テープは、ステンレス試験板に対する粘着力が9.74N/19mm巾で、テープ背面を試験板とした粘着力が5.73N/19mm巾であることが分かった。
さらに、実施例1の粘着テープは、低速巻き戻しによる粘着力が、10.45N/19mm巾であることが分かった。
そして、実施例1の粘着テープは、端末剥れも見られず、手切れ性の良好なものであることが分かった。
次いで、長さ600mmの電線16本の束(下記構成)を用意し、これに実施例1の粘着テープロールをハーフラップできつく巻きつけた試料を作製した。
前記試料は、General Motors社規格(規格名:GMW16740)の「Bending Testafter Moisture Influence」、及び、「Bending Test Piece after Long−term Aging」の試験に3点ずつ供すべく合計6点作製した。
上記の2種類のテストの内、「Bending Testafter Moisture Influence」については、温度75℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽内に、「Bending Test Piece after Long−term Aging」については、温度125℃の恒温槽内において試料を垂直状態で吊り下げ、所定時間経過した後に常温(23℃)環境下で6時間放冷し、この放冷した試料を直径30mmのマンドレルに1周5秒以内で2周巻き付け、巻き付け後60秒以上経過した後に端末剥がれや亀裂、粘着剤の異常等が発生していないかどうかを確認した。
そして、実施例1の粘着テープは、「Bending Testafter Moisture Influence」で600時間以上の試験時間を経過した後でもマンドレルへの巻き付け評価において亀裂等の異常が見られなかった。
なお現時点では、同規格試験の合格基準となる900時間の結果が未確認ではあるものの実施例1の粘着テープは、ワイヤーハーネス用結束テープとして利用可能なものであると考えられる。
また、実施例1の粘着テープは、「Bending Test Piece after Long−term Aging」で500時間以上の試験時間を経過した後でもマンドレルへの巻き付け評価において亀裂等の異常が見られなかった。
この規格試験についても、その合格基準となる3000時間の結果が未確認ではあるものの実施例1の粘着テープは、ワイヤーハーネス用結束テープとして利用可能なものであると考えられる。
(比較例1)
実施例1と同様に長尺帯状の織物を作製し、この織物を熱セットせずに粘着テープ用基布織物としたこと以外は実施例1と同様に粘着テープを作製した。
得られた粘着テープは、手で経糸を切断することができず、手切れ性を有するものとはなっていなかった。
(比較例2)
実施例1で緯糸に使用した総繊度70デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの芯鞘構造糸を経糸に用いて粘着テープを作製した。
なお、この比較例2の粘着テープ用基布織物は、前記経糸を織り密度が54本/2.54cmとなるように使用し、且つ、前記緯糸として、総繊度167デシテックス、フィラメント数144本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート樹脂、融点255℃)を用いて、該緯糸を織り密度が78本/2.54cmとなるようにして作製した。
また、比較例2の粘着テープ用基布織物は、前記のような糸構成からなる織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットすることによって作製した。
即ち、比較例2の粘着テープは、緯糸の成分を溶融させるのではなく、経糸の成分を溶融させて糸どうしを融着させた基布織物によって作製した。
(比較例3)
糸の構成を表1〜3に示すようなものに変更したこと以外は、比較例2と同様に粘着テープ用基布織物し、比較例2と同様に粘着テープを作製した。
(実施例2)
粘着テープ用基布織物を下記表1〜3に示す糸構成としたこと以外は、実施例1と同様に粘着テープを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
結果を、表3などに示す。
なお、ここでは、緯糸に表に「ヨコ1」、「ヨコ2」として示した2種類の糸を用い、「ヨコ2」については、実施例1と同様に「芯鞘構造糸」を採用したが、「ヨコ1」については経糸(「タテ」)と同じく共重合ポリエステル樹脂を含んでいないものを採用した。
そして、表1に「ヨコ1:ヨコ2」を「3:1」として示しているように、実施例2の粘着テープに用いた基布織物は、経糸方向において3本ごとに「ヨコ2」が配されたものとし、2本の「ヨコ2」の間に3本の「ヨコ1」が配された構成を有するものとした。
(実施例3−10)
下記表1〜3に示すような基布を用いた点を除き実施例1や実施例2と同様にして粘着テープロールを作製し、これらと同様に評価を実施した。
なお、実施例8の粘着テープは、リン系難燃ポリマーである芳香族縮合リン酸エステルを共重合した共重合ポリエステル樹脂(融点180℃)からなる緯糸(総繊度84デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの難燃糸)を実施例1などで用いた「芯鞘構造糸」に代えて用いた点においてその他の実施例と相違している。
また、実施例9では、粘着剤の“裏抜け”が僅かに観察されたため、手切れ性の評価以外は実施しなかった。
Figure 0006340242
Figure 0006340242
Figure 0006340242
上記実施例、比較例の粘着テープの評価結果は、下記表4に示す通りであった。
Figure 0006340242
なお、実施例、比較例の粘着テープにおける粘着剤層の形成に用いたアクリル系粘着剤について、ゲル分率、及び、ゾル分の分子量について測定した結果、概ね、以下の通りであることが分かった。
また、ゾル分の分子量調査では、分子量分布曲線に2つのピークが見られたため、高分子量側のピークに係る成分の分子量と、低分子量側のピークに係る成分の分子量とを個別に求めるようにした。

ゲル分率:38質量%〜56質量%
ゾル分の分子量:
1)高分子量側成分
Mn=29000〜37000
Mw=64000〜35000
Mw/Mn=5.0〜10.0
2)低分子量側成分
Mn=500〜650
Mw=950〜1100
Mw/Mn=1.5〜1.8

なお、この高分子量側の成分と低高分子量側の成分とは、それぞれのピーク面積比率が以下のような関係となっていた。

高分子量側成分のピーク面積/低分子量側成分のピーク面積=40/60〜50/50
上記実施例の粘着テープにおいては、実施例9の粘着テープにおいてアクリル系粘着剤の“裏抜け”がわずかに観測される結果となったが、それ以外のものは“裏抜け”もなく手切れ性に優れるもので、しかも、ワイヤーハーネス用の結束テープや電気絶縁用途においての利用に適した耐熱性を有することが確認できた。
以上のことからも、本発明によれば使用時における作業性に優れるとともに従来のものと同等以上の耐候性を有する電気絶縁用粘着テープ及びワイヤーハーネス用粘着テープを提供し得ることがわかる。
1:粘着テープ、10:基布、20:粘着剤層

Claims (11)

  1. 電気絶縁又はワイヤーハーネスにおける電線どうしの結束に用いられ、経糸と緯糸とにより織成された基布、及び、該基布に直接積層された粘着剤層を有する粘着テープであって、
    前記粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系ポリマーを含有するアクリル系粘着剤で、該アクリル系ポリマーが(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びカルボキシル基含有不飽和単量体を含む原料モノマーが重合されたものであり、
    前記アクリル系ポリマーどうしが架橋されてなる架橋物を前記アクリル系粘着剤が含有し、該アクリル系粘着剤が、酢酸エチルに不溶なゲル分と酢酸エチルに可溶なゾル分とを含有し且つ前記ゲル分を35質量%以上60質量%以下の割合で含有しており、
    前記ゾル分は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布測定において2以上のピークを示し、最も低分子量側のピークを示す成分の重量平均分子量が500以上2000以下であり、最も低分子量側のピークとは別のピークを示す成分の重量平均分子量が100000以上500000以下で、
    前記基布は、少なくとも1箇所において前記経糸と前記緯糸とが融着され、該融着が緯糸の少なくとも1成分が溶融することによるものであり、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことを特徴とする粘着テープ。
  2. 前記アクリル系粘着剤が有機溶剤を含む溶剤型アクリル系粘着剤である請求項1記載の粘着テープ。
  3. 前記アクリル系粘着剤が水系バインダーを含むエマルジョン型アクリル系粘着剤である請求項1記載の粘着テープ。
  4. 前記基布が、経糸が溶融することなく前記融着されたものである請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  5. 前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル樹脂系芯鞘構造マルチフィラメントであり、鞘部が芯部の成分よりも融点の低い低融点成分を含むものである請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  6. 前記緯糸において低融点成分の質量比率が、20%以上である請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  7. 前記緯糸の総繊度が前記経糸の総繊度よりも大きく、その差が30デシテックス以上である請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  8. 前記経糸は、総繊度が100デシテックス以下のマルチフィラメントであり、フィラメント数が10以上である請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  9. 前記経糸または前記緯糸の少なくとも一方が仮撚り加工糸である請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  10. 前記経糸または前記緯糸の一部が難燃ポリマーを含有する糸である請求項1乃至の何れか1項に記載の粘着テープ。
  11. 前記経糸の織り密度が120本/2.54cm以下で、且つ、前記緯糸の織り密度が60本/2.54cm以上である請求項1乃至10の何れか1項に記載の粘着テープ。
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