JP2015209602A - 粘着テープ用基布織物 - Google Patents

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隆行 金子
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Abstract

【課題】 手切れ性に優れ、かつ切り口が美しく、表面が滑らかで外観が良好な粘着テープ用基布織物を提供する。【解決手段】経糸と緯糸の少なくとも一部が融着されており、その融着は緯糸の少なくとも1成分が溶融することによるものであって、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことを特徴とする粘着テープ用基布織物、上記粘着テープ用基布織物を使用した粘着テープ、サージカルテープ、および梱包用テープ。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着テープ用基布織物に関する。より詳しくは、経糸が適度な強度と柔軟性を有し、緯糸に適度に固定されていることから、手切れ性に優れ、かつ切り口が美しく、表面が滑らかで外観が良好な粘着テープ用基布織物に関する。
梱包や固定、仮止め等に使用される粘着テープ、または医療用に用いられるサージカルテープにとって、手切れ性が非常に重要である。古くからはレーヨン紡績糸やビニロン繊維が用いられてきたが、湿潤時の寸法安定性や強度低下の問題から、ポリエチレン繊維やポリエステル繊維が用いられるようになってきた。しかしながら手切れ性が課題であり、手切れ性を向上させるためのポリマー改質技術や仮撚り加工などの糸加工技術、さらには織物にフィルムなどをラミネートする後加工技術が検討されている。
ポリエステルの改質技術としては、金属スルホネート基を有するイソフタル酸成分を共重合させた高収縮で低融点に改質したポリエステルポリマーからなる繊維を用いた仮撚り加工糸を経糸に用いた織物を熱処理することにより、経糸の強度を低下させ、粘着テープとしたときに優れた手切れ性を得る技術(特許文献1、2)が知られている。
また共重合ポリエステルのマルチフィラメントを経糸に用いた織物を用いて、高次加工時の熱で強度を低下させ、粘着テープとしたときに優れた手切れ性を得る技術(特許文献3)も開示されている。しかしながらこれら技術においては、加工時の熱で経糸全てが強度低下し、経糸の強度が安定しない問題や、上記従来技術の課題を解決するため、経糸の一部に低融点成分を配し、経糸と緯糸の少なくとも1箇所を融着させることで、優れた手切れ性と適度な機械的強度を両立する技術(特許文献4)が開示されている。
特開平04−222240号公報 特開平11−323689号公報 特開2010−95821号公報 特開2012−97373号公報
しかし、上記特許文献4に記載の技術においては、手切れ性が優れるものの、経糸の成分が融着するため、風合いが硬くなり、被接着物への追従性が悪く、被接着物の角部分で隙間が発生する等、仕上がりが悪くなる可能性があり、作業性や仕上がりに課題が残っていた。
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑み、優れた手切れ性と適度な機械的強度を両立し、作業性に優れる手切れテープまたはサージカルテープ等の粘着テープに用いられる基布織物とそれを用いた手切れテープ、サージカルテープを提供することにある。
かかる課題を解決するために本発明は、次の(1)〜(13)の構成を特徴とするものである。
(1)経糸と緯糸の少なくとも一部が融着されており、その融着は緯糸の少なくとも1成分が溶融することによるものであって、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことを特徴とする粘着テープ用基布織物。
(2)前記融着が、経糸が溶融することなく融着されたものである(1)に記載の粘着テープ用基布織物。
(3)前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル系芯鞘構造マルチフィラメントであり、鞘部が芯部の成分よりも融点が低い低融点成分を含むものである(1)または(2)に記載の粘着テープ用基布織物。
(4)前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル系異収縮混繊マルチフィラメントである(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(5)前記緯糸において低融点成分の重量割合が、20%以上である(3)または(4)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(6)前記緯糸の総繊度が前記経糸の総繊度よりも大きく、その差が30デシテックス以上である(1)〜(5)いずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(7)前記経糸の総繊度が100デシテックス以下のマルチフィラメントであり、フィラメント数が10以上である(1)〜(6)のいずれかに記載の粘着テープ用基布。
(8)経糸または緯糸の少なくとも一方が仮撚り加工糸であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(9)経糸または緯糸の少なくとも一部が難燃ポリマーを含有する糸であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(10)該経糸織密度が120本/2.54cm以下で、かつ前記緯糸織密度が60本/2.54cm以上である(1)〜(9)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用した粘着テープ。
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用したサージカルテープ。
(13)(1)〜(11)のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用した梱包用テープ。
本発明によれば、緯糸の一部が溶融し、経糸に適度に固定されていることから、適度な機械的強度と、優れた手切れ性を両立した、作業性に優れる粘着テープ用基布織物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の粘着テープ用基布織物は、経糸と緯糸の少なくとも一部が融着されており、その融着は緯糸の少なくとも1成分が溶融することによる点が特徴の一つである。具体的には緯糸の少なくとも一部に低融点成分を配し、少なくとも緯糸の低融点成分が溶融することにより、経糸と緯糸の少なくとも一部を融着することが可能である。これにより粘着テープを素手で切断する際、経糸と緯糸の融着点が支点となり経糸が切断しやすくなるため、優れた手切れ性が発現する。
本発明の粘着テープ用基布織物は、上記融着が、経糸が溶融することなく融着されたものであることが好ましい。経糸が溶融しないことで、そうでない場合に比して、粘着テープを巻きつける方向に硬くならないため、被接着物に対してすぐれた追従性を発揮するためである。
したがって、経糸の成分としては、上記溶融して経糸に融着する緯糸の少なくとも1成分(低融点成分)が溶融し始める温度で溶融しないものであることが好ましい。さらに好ましくは経糸の成分は上記低融点成分の融点より10℃以上高い温度でも溶融しないものであることが好ましい。すなわち経糸の少なくとも1成分が融点を持つ場合には、上記緯糸の低融点成分の融点よりも高い融点を有する成分で経糸が構成されることが好ましく、さらには、緯糸の低融点成分より10℃以上高い融点を持つ成分で経糸が構成されることが好ましい。また、経糸は融点を持たない成分(ただし、緯糸の低融点成分よりも高温側に熱分解点を有する成分など、緯糸の低融点成分で溶融しない成分)からなるものであってもよい。経糸の成分と緯糸の低融点成分の融点の差(経糸の成分が融点を有さない場合は緯糸の低融点成分は溶融するが、経糸の成分は溶融しない温度領域)が10℃以上あれば経糸を溶融させずに緯糸の低融点成分を溶融させ、緯糸を経糸に融着させられる温度領域が十分広い上に、経糸が著しく強度低下することがないため、風合いと形態保持性に優れた粘着テープ用基布織物を効率よく得ることができるので、好ましい。
本発明の粘着テープ用基布織物の緯糸に使用する低融点成分は、経糸の成分に応じ、適宜選択して用いることができる。
本発明の粘着テープ用基布織物の緯糸に使用できる低融点成分としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやこれら骨格を含む共重合体などのオレフィン系(共)重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートやこれらの骨格を含む共重合体などのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等やこれらの骨格を含む共重合体などのポリアミドが挙げられる他、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールや、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の骨格を含む共重合体、を用いることができる。これらのなかでも、吸湿安定性や熱安定性等に優れることからポリエステルが好ましい。そのようなポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレートよりも融点が低い共重合ポリエステルが好ましく使用できる。なお、前記共重合ポリエステルとしては、特に限定されるものではないが、テレフタル酸とエチレングリコールを基本骨格とし、共重合成分としてイソフタル酸等やポリアルキレングリコールやビスフェノールA等を1種類または2種類以上組み合わせて共重合させ、融点を低下させたポリエステルやテレフタル酸とエチレングリコールの基本骨格にジカルボン酸成分を共重合させたポリエステル、リン系難燃ポリマーを共重合させた難燃ポリエステルなどが、融点が低く、好ましく用いられる。
本発明において緯糸は1成分のみから構成されてもよいが、2成分以上から構成される緯糸が好ましく使用できる。2成分以上からなる緯糸の例としては、低融点成分を鞘部に高融点成分を芯部とした芯鞘構造糸やサイドバイサイド糸を用いる方法、低融点成分と高融点成分を同時に紡糸して引きそろえ、延伸する異収縮混繊糸等を使用することができる。
また、1種類の繊維を使用するのみでなく、2種類以上の繊維を使用してもよい。例えば、短繊維を混紡した紡績糸や長繊維をそのまま使用するだけでなく、2種類以上の繊維を合撚糸、仮撚り加工糸、カバードヤーン糸等の繊維構造とすることも可能であり、これら繊維構造も本発明の要件を満たせば適宜選択して使用することができる。具体的には低融点成分の短繊維と高融点成分の短繊維を混紡した紡績糸を使用する方法、低融点成分の長繊維と高融点成分の長繊維を合撚、または仮撚り加工する方法、高融点成分を有する繊維を芯に低融点成分を有する繊維を巻き付けたカバードヤーンとする方法である。なお、上記の高融点成分の短繊維および長繊維に、かわりに融点を持たない成分(前記低融点成分の融点では溶融も分解もしない)からなる短繊維および長繊維を用いてもよいが、便宜上これらを含めて高融点成分と称する。
また、製織する際に低融点成分を有する繊維と他の繊維を適当な比率で打ち込むことも可能である。
本発明において緯糸に使用し得る上記高融点成分としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、スチレン−アクリル共重合体などを挙げることができる。
また低融点成分の融点で溶融しないものを適宜選択し、高融点成分として用いることができる。具体的には融点を持たないアラミド繊維などの合成繊維や木綿、麻、羊毛等の天然繊維は、低融点成分として使用する別の熱可塑性樹脂からなる繊維と複合(混紡、混繊、合撚等)することや、混織(製織時に引き揃え、適当な間隔で挿入するなど)することで、高融点成分として使用することができる。
これらのなかでも吸湿安定性や熱安定性等に優れることからポリエステルを含むポリエステル系繊維が緯糸として好ましく用いられる。なかでも、本発明の緯糸に使用するポリエステル系繊維として、低融点成分を鞘に配置した芯鞘糸や異収縮混繊糸は、生産性が高く、低コストであるだけでなく、低融点成分が溶融して繊維の形状が無くなっても高融点成分が繊維の状態で残るので、適度な強度を有する点で好ましい。この場合において低融点成分と高融点成分は、いずれか、もしくは両方ともポリエステルであってよい。
また、低融点成分と高融点成分は異なる繊維の組み合わせであっても好ましく使用できるが、融着強度の観点から基本骨格や結合が同種類の繊維の組み合わせ、すなわち両成分ともエステル結合を有するなど共通の結合様式を有するポリエステルからなる繊維の組み合わせであるとより好ましく使用でき、更には、両成分ともエチレンテレフタレート成分を有するなど、共通の基本骨格を有する樹脂からなるポリエステル系繊維の組み合わせが好ましく使用できる。
また、緯糸に使用する高融点成分と低融点成分の重量割合により、経糸と緯糸の融着面積や融着点の数、融着の程度を調整する方法も、優れた手切れ性と柔軟な風合いを得る方法を得るために好ましく使用することができる。なお、低融点成分の重量割合は20%以上であることが好ましい。さらに好ましくは、低融点成分重量割合が30%以上である。低融点成分が20%以上であれば緯糸と経糸の融着点や面積が十分であるので、良好な手切れ性を得ることができる。上限としては、100%以下で用いることができ、強度と柔軟性の点から90%以下程度が好ましく、より好ましくは60%以下程度である。
本発明で用いる経糸は1種類または2種類以上の繊維で構成される。本発明の粘着テープ用基布織物に使用する経糸は、緯糸に使用する成分に応じ、本発明で規定する要件を満たすよう適宜選択することができる。
なお、本発明の経糸は、短繊維を混紡した紡績糸や長繊維をそのまま使用するだけでなく、1種類または2種類以上の繊維を合撚糸、仮撚り加工糸、カバードヤーン糸とする等、繊維の構造も適宜選択して使用できる。なかでも、仮撚り加工糸は、捲縮の凸凹に緯糸の融着成分が入り込むアンカー効果により、経糸と緯糸の融着強度を高くすることができ、素手で経糸を切断する際の支点としての効果が高くなり、良好な手切れ性を得ることができる。また、2種類以上の繊維を製織時に引き揃えて、製織することも可能である。
経糸に使用する繊維の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等のアクリル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリイミド系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリエーテル系繊維、ポリスチレン系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリエステルアミド系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、ポリ酢酸ビニル系繊維、ポリビニルブチラール系繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系繊維、スチレン−アクリル共重合樹脂系繊維、フッ素樹脂系繊維、またはアラミド系繊維などの合成繊維や、木綿、麻、羊毛等の天然繊維の様に融点のない繊維も使用することができる。なお、アラミド繊維のような高強度繊維であっても、繊度調整や他の繊維との複合(混紡、混繊等)、混織し、強度を調整すれば使用することができ、アラミド繊維の性質(例えは耐熱性、寸法安定性等)を活かした粘着テープ用基布織物を得ることが可能である。経糸はこれらの中から緯糸の低融点成分に応じ、適宜選択して用いることができるが、融着強度の観点から緯糸の成分と共通の結合様式を有する樹脂からなる繊維が好ましく、共通する基本骨格を有する樹脂からなる繊維がさらに好ましく使用できる。
なかでも、吸湿安定性や熱安定性等に優れることからポリエステル系繊維が好ましく用いられる。ポリエステル系繊維の例としては、比較的安価で、機械的強度や加工性に優れるポリエチレンテレフタレート100%の繊維が好ましく使用できる。また、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位を基本骨格とし、他の成分を共重合させた共重合ポリエステル系繊維を使用することも可能である。共重合ポリエステル系繊維は、ポリエチレンテレフタレート100%のポリエステル系繊維に比べ強力が低く、粘着テープの強度と手切れ性を調整することが可能である。本発明に好適な共重合ポリエステル繊維の例としては、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位の基本骨格にその他のジカルボン酸成分を共重合したポリエステルを含むカチオン可染ポリエステル繊維やテレフタル酸単位とエチレングリコール単位の基本骨格にリン系難燃モノマーを共重合したポリエステルを含む難燃ポリエステル系繊維などが、好ましく使用される。なお、共重合ポリエステル系繊維は、緯糸の成分よりも融点が高いものを選択する必要がある。
本発明で用いる緯糸の総繊度は20デシテックス以上であることが、基布織物の強度の点から好ましく、60デシテックス以上であることがより好ましい。上限としては、厚さや柔軟性の点から500デシテックス以下であることが好ましい。500デシテックスを超えると織物が厚く、硬くなることから好ましくない。
緯糸のフィラメント数は特に限定されないが、柔軟性の点から5以上であることが好まく、さらに10以上であることがより好ましい。上限としては、繊維の強度や生産性の点から500本以下であることが好ましい。
また、経糸と緯糸の繊度は、緯糸の総繊度が経糸の総繊度より大きいことが好ましく、その差が30デシテックス以上あることが好ましい。更に好ましくは、経糸と緯糸の繊度の差が60デシテックス以上である。経糸と緯糸の繊度の差が30デシテックス以上ある場合は、緯糸は経糸と比較して、十分に高い強力と剛性を有することから、素手で経糸を切断する際の支点となり、手切れ性を一層改良することができる。経糸と緯糸の繊度差の上限としては、400デシテック以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましい。繊度差が400デシテックス以下であると、織物の経方向と緯方向の強度バランスに優れた基布織物が得られる点で好ましい。
本発明で用いる経糸は、総繊度100デシテックス以下のマルチフィラメントであることが好ましい。100デシテックス以下であると、織物の厚さ、目付け、風合いに優れ、粘着テープ用基布織物としての作業性によりいっそう優れた基布織物が得られる。好ましくは60デシテックス以下である。下限としては粘着テープの強度の点から5デシテックス以上であることが好ましく、20デシテックス以上であることがより好ましい。なお、経糸の総繊度が5デシテックス未満であると、十分な織物の強度が得られないため、粘着テープとして使用中に意図せず切れてしまうため、好ましくない。
また、本発明の粘着テープ用基布織物の経糸は、フィラメント数が10以上のマルチフィラメントであることが粘着テープ用基布織物の柔軟性や手切れ性の点から好ましく、20以上であることがより好ましい。フィラメント数を10以上にすることで、単糸が細く、素手で切断しやすいため、良好な手切れ性を得ることができる。また繊維がしなやかであり、粘着テープ用基布織物として好適な風合いのしなやかな織物を得ることができる。経糸のフィラメント数の上限としては、生産性の観点から200以下であることが好ましく、130以下であることがより好ましい。
本発明においては経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことも特徴の一つである。本発明の織物の経糸のカバーファクターは、緯糸のカバーファクターの0.6倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5倍以下であり、経糸と緯糸のカバーファクターに差が大きいほど好ましい。但し、下限としては、織物の形態保持性から0.1倍以上が好ましい。経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターの0.1倍以上とすることで、十分な織物の形態保持性を有する程度の経糸本数となるので、好ましい。融点の高い糸を経糸に使用すると、融着熱処理後も強度を有するため手切れ性が悪くなりやすくなるが、経糸のカバーファクターを小さく、緯糸のカバーファクターを大きくすることで、緯糸が経糸より強力が強く、剛性も高くなるため、緯糸が支点となり、経糸が切断しやすくなる。
なお、織物組織は特に限定されないが、平織、綾織、朱子織やその変化組織等が使用できる。中でも粘着テープの基布織物とした場合の強度や風合い、また軽量で生産性も高いことから平織物が最適である。
本発明の粘着テープ用基布織物において、経糸織密度は120本/2.54cm以下、かつ緯糸織密度は60本/2.54cm以上であることが好ましく、経糸織密度は120本/2.54cm以下、かつ緯糸織密度は70本/2.54cm以上であることがより好ましい。経糸織密度を120本/2.54cm以下にすることにより、手切れテープとして必要な手切れ性と柔軟性を達成できる。緯糸織密度を60本/2.54cm以上にすることにより、経糸の拘束性が高くなり、素手で経糸を切断する際の支点としての効果が高くなり、良好な手切れ性を得ることができる。経糸織密度の下限としては、20本/2.54cm以上であることが、基布織物の強度の点から好ましく、50本/2.54cm以上であることがより好ましい。緯糸織密度の上限としては、400本/2.54cm以下であることが、基布織物の目付や柔軟性だけでなく、生産性の点から好ましく、250本/2.54cm以下であることがより好ましい。
本発明の基布織物の経糸と緯糸を融着する方法としては、織物に緯糸の少なくとも一成分である低融点成分の融点以上で熱を与え、緯糸の少なくとも一成分を溶融することで融着することが必要であるが、それに加えて与える熱を経糸が溶融しない温度とすることで経糸を溶融することなく、経糸に緯糸を融着させる方法がより好ましく挙げられる。熱を付与する方法は特に限定されないが、熱風乾燥機やテンターやスチームセッター、熱ロールやカレンダーロールによる熱の付与が可能である。その中でも連続して高速で熱を付与することができるテンターが最適である。
なお、本発明の粘着テープ用基布織物は、経糸切断方向の引裂強力が、緯糸切断方向の引裂強力より低く、その差が1.5N以上あることが好ましい、さらに好ましくは2.0N以上であり、差が大きい方が好ましい。それにより優れた手切れ性を得ることができる。
一方、基布織物の経方向の引裂強力は4.0N以上あることが好ましい。経糸切断方向の引裂強力が低いほど、手切れ糸は良くなるが、粘着テープを貼り付ける作業でテープが切れてしまう可能性があり、好ましくないためである。
また、厚さは、柔軟性や対象物に貼り付けたときの外観の観点から薄いほうが好ましい。なお、基布織物の厚さの上限は、塗布される粘着剤の影響も受けるが、0.2mm以下であることが好ましい。下限としては、粘着テープには柔軟性が重要であるが、ハリやコシがないと、対象物に貼り付ける時に粘着テープが捻じれやカールが発生し易く、作業性が著しく損なわれるため、0.05mm以上であることが好ましい。
本発明の基布織物は、少なくとも片面が撥水処理されていることが好ましい。粘着テープにする際、粘着剤を塗布するが、粘着剤が織物塗布面の反対側に裏抜けして、織物の外観を損なうことや加工機を汚してしまうという問題を防ぐことができる。撥水処理の方法として、撥水剤の分散液に織物を浸漬し、ニップロールで絞り、テンターで乾燥する方法(Dip−nip法)やロールコーターやナイフコーターでコーティングする方法が好ましく使用できる。
本発明の基布織物の少なくとも片面に粘着剤を塗布することで、粘着剤層を形成し、粘着テープとすることができる。
粘着剤の例としては、アクリル系粘着剤や、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。その中でもアクリル系粘着剤が、耐薬品性、耐熱性、耐候性や製造時の取り扱い易さの点で好ましい。
アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有不飽和単量体を含む原料モノマーを重合したアクリル系ポリマーを用いることができる。ここで用いることができる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有不飽和単量体は特に限定されず、共重合可能なもの各1種類以上を適宜選択し、組み合わせて使用することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルプロピルアクリレート、ノルマルプロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、セカンダリーブチルアクリレート、セカンダリーブチルメタクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、ノルマルオクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノルマルノニルアクリレート、ノルマルノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレートなどを挙げることができる。また、カルボキシル基含有不飽和単量体の例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などを挙げることができる。
ゴム系粘着剤としては、特に限定されないが、例として、ゴム成分と粘着付与剤を適宜選択して、配合したものが挙げられる。ゴム成分と粘着付与剤についても特に限定されないが、ゴム成分の例としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物(SIPS、SEBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、特に限定されず、シリコーンゴムにシリコーンレジンやシリコーンオイルを適宜選択して配合したものなどが挙げられる。ウレタン系粘着剤としては、特に限定されず、例としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオールなどのポリオールと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などのポリイソシアネートとを反応させてなるものなどが挙げられる。
さらに、本発明の粘着テープに用いる粘着剤には、目的に応じて、添加剤を添加することも可能である。添加剤の例としては、架橋剤、軟化剤、粘着付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などが挙げられ、用途や機能に応じて、1種類または2種類以上を適宜選択し、含有させることができる。その中でも、架橋剤や粘着付与剤は、粘着剤の低分子成分を反応や捕捉により減少させ、基布織物の裏側に粘着剤が浸透する“裏抜け”を抑制することができるため、特に好ましい。
また、本発明の粘着テープに用いる粘着剤は、有機溶剤を含有する有機溶剤型粘着剤か、水系バインダー中に分散させたエマルジョン型粘着剤であることが好ましい。有機溶剤型粘着剤やエマルジョン型粘着剤は、容易に添加剤や他の薬剤と混合することも可能性あり、後で述べる製造工程での取り扱いも容易であるため、好ましく使用することができる。
また、本発明の粘着テープの製造方法と製造装置は特に限定されず、一般的な粘着テープの製造方法と製造装置を用いて、基布織物上に粘着剤層と形成することができる。製造方法の例としては、基布織物に対して直接粘着剤を塗布する直接法や、一旦、別のシートに塗布した粘着剤を基布織物に転写する転写法などが挙げられる。なかでも、転写法より工程が簡略な直接法がより好ましい。製造方法の例としては、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法などにより基布織物や別のシートへの粘着剤を塗布する方法が挙げられる。
本発明の粘着テープ用基布織物は、粘着テープ用の基布織物として好適に用いられ、そのなかでも梱包用テープ、養生テープ、サージカルテープ等の基布織物に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。なお、本実施例で用いる各種特性の測定方法および総合評価の判断基準は、以下のとおりとした。
[特性の測定方法]
以下の測定方法の内、特に断りのないものは、試料の調整、及び測定は、JIS−L−0105(2006)の標準状態(20±2℃、相対湿度65±4%)で行った。
(1)繊度(見かけ繊度)
JIS−L−10013 8.3.1に規定されている正量繊度(A法)に準じて
測定した。
(2)厚さ(mm)
JIS−L−1096(2010).8.4 A法(JIS法)に準じて、織物の任意の場所5箇所から5×5cmの試験片を採取し、測定径10mmφ、測定力2.4Nのダイヤルシックネスゲージ(H−2.4N、株式会社尾崎製作所製)を用いて試験片の5箇所を測定し、平均値を算出した。
また、粘着層の厚さは、基布織物の厚さと粘着テープの厚さを測定し、下記の式で算出した。
粘着層の厚さ=粘着テープの厚さ−基布織物の厚さ
(3)織密度(本/2.54cm)
JIS−L−1096(2010).8.6.1 A法に準じて、織物の経糸織密度および緯糸織密度を、2.54cm(1インチ)の区間にて測定した。
(4)カバーファクター
カバーファクターは、経糸および緯糸について、以下の式で算出した。
繊度( デシテックス) 1 / 2 × 織密度( 本/ 2 . 5 4c m )
なお、合撚糸、織物上での引き揃え、混織の場合は、下記の通り算出する。
・合撚糸:複数の糸を合撚した場合は、合撚糸の総繊度を上記繊度とし、それとその織密度から、カバーファクターを算出する。
即ち、合撚糸Aの繊度aとその織密度x本/2.54cmからカバーファクターa1 / 2×xを算出する。
・混繊糸:複数の糸を混繊した場合は、混繊糸の総繊度を上記繊度とし、それとその織密度から、カバーファクターを算出する。
即ち、混繊糸Bの繊度bとその織密度x本/2.54cmからカバーファクターb1 / 2×xを算出する。
・引き揃え:1種類の糸を用いて、その複数本を製織時に織物上で引き揃えた織物は、引き揃え前の糸の総繊度を上記式の繊度、引き揃え前の糸の各1本を織密度における1本とし、その繊度と織密度から、カバーファクターを算出する。
即ち、繊度aの繊維Aをn本引き揃えた場合、繊維Aの繊度aと繊維Aの織り密度x本/2.54cmから、カバーファクターa1 / 2×xを算出する。
・混織:2種類以上糸を用いて、製織時に織物上で任意の割合で配列した織物は、各種類毎にカバーファクターを求め、合計する。すなわち各糸の総繊度を繊度とし、その繊度と織密度から各糸のカバーファクターをまず算出し、合計する。
即ち、繊度aの繊維Aを織密度x本/2.54cm、繊度bの繊維Bを織り密度y本/2.54cmで混織した場合、繊維Aのカバーファクターと繊維Bのカバーファクターを合計し、織物カバーファクターa1 / 2×x+b1 / 2×yを算出する。
(5)基布織物の引張強度(N/19mm)、伸度(%)
JIS−L−1096(2010)8.14 A法に準じて、織物から無作為に抽出した場所から経、緯それぞれ5箇所で試験片を採取し、それぞれの方向ごとに幅19mm×長さ300mmの試験片を採取し、すなわち、経方向の引張強度、伸度の場合、緯方向19mm×経方向300mmの試験片を採取し、緯方向の引張強度、伸度の場合、経方向19mm×緯方向300mmの試験片を採取し、定速引張試験を用いて、引張長200mm、引張速度200mm/分の条件で引張試験をn=3回行い、その平均値を算出した。また、織物が破断した時の伸び率を伸度とした。
(6)基布織物の引裂強力(N)
JIS−L−1096(2010).8.17.4 D法(ペンジュラム法)に準拠した方法により求めた。測定は織物から無作為に抽出した場所5箇所で試験片を採取し、その測定結果の平均値を算出した。
なお、引裂強力は、経糸を切断する方向を経方向(経糸切断方向)、緯糸を切断する方向を緯方向(緯糸切断方向とする)
(7)融点(℃)
JIS−K−7121(2012)に準じて、 示差走査熱量計DSC(DSC−60、島津製作所社製)を用い測定を行った。測定(繊維)は試料2.0mgを昇温速度10℃/min、目標温度300℃、ホールド時間5分間にて行い、得られた融解吸熱曲線(昇温時)の極値の温度を融点(℃)とした。試験回数は5回とし、その平均値より算出した。
芯鞘構造糸の場合、融解吸熱曲線(昇温時)から各成分に由来する極地にもとづき融点を特定した。
(8)融着状態の確認
融着加工後に、織物表面および断面をマイクロスコープで100倍に拡大しで確認し、経糸および緯糸の溶融状態を確認した。
(9)手切れ性
幅19mmの基布織物および粘着テープを手で引き裂き、「引き裂き易さ」と「切り口の美しさ」を評価した。「引き裂き易さ」は、5名の作業者が引き裂き易さを官能評価し、“引き裂き易い”と判定した人数が、5名全員の場合を“◎”、3〜4名の場合を“○”、1〜2名以下の場合を“△”、0名の場合または引き裂くことができなかった場合“×”とした。また、「切り口の美しさ」は、マイクロスコープで100倍に拡大して観察して判定した。判定は、引き裂き易く、粘着テープの全幅にわたって、切り口を観察し、切れ残った経糸(髭)の本数が、経糸100本当り0本の場合を“◎”、切れ残った経糸(髭)が1〜2本ある場合は、“○”、切れ残った経糸(髭)が3本以上ある場合は“△”、引き裂くことができなかった場合は、“×”とした。
(10)粘着テープの引張強度(経方向、N/19mm)および伸度(経方向、%)
JIS−Z−0237(2009)に準じて、幅19mmの粘着テープから、長さ400mmの試験体を5個採取し、直径約100mmのドラム型チャックに巻きつけ、引張速度5mm/minで引張り、その平均値より求めた。
(11)粘着テープの粘着力(ステンレス板との粘着力)
JIS−Z−0237(2009)(引きはがし方向および方法は方法1)に準じて、幅19mmの粘着テープをステンレス板に貼り、手動式圧着装置にて圧着し、温度23±1℃、湿度50±5%で12時間養生し、試験片を得た。引張試験機を用いて、チャックの一方に粘着テープをもう一方にステンレス板を固定し、ステンレス板に対して180度の方向(粘着テープの背面同士が重なる方向)に5±1mm/minで引張り、引きはなし粘着力を測定した。
(12)粘着テープの粘着力(テープ背面との粘着力)
JIS−Z−0237(2009)(引きはがし方向および方法は方法2)に準じて、幅19mmの粘着テープをもう一方の粘着テープの背面に貼り、手動式圧着装置にて圧着し、試験片を得た。圧着後1分以内に引張試験機を用いて、粘着テープの背面同士が重なる方向に5±1mm/minで引張り、引きはなし粘着力を測定した。
(13)巻き戻し力
JIS−Z−0237(2009)(低速巻き戻し)に準じて、幅19mmの粘着テープを用いて測定した。
(14)被接着物への追従性
JIS−C−2107(2011).15(端末はがれ試験)に準拠した方法により求めた。試験は、幅19mm、長さの粘着テープを6mmφの金属棒に荷重600gをかけながら巻きつけ、試験片を作成した。試験片を50℃の乾燥機内で24時間処理した後、テープ端末の浮き上がりの有無を目視で確認した。テープ端末の浮き上がりがないものを“○”、浮き上がりがあるものを“×”とした。
[実施例1]
総繊度70デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの単糸が芯鞘構造糸であって、鞘成分がポリエステル(テレフタル酸・イソフタル酸・ビスフェノールA・エチレングリコール重縮合物、融点233℃)、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなる緯糸(低融点成分の重量割合30%)を用いて、経糸に総繊度33デシテックス、フィラメント数12本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート樹脂、融点255℃)を用いて織物を製織し、この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、緯糸の共重合ポリエステル成分を溶融させるとともに、経糸織密度106本/2.54cm、緯糸織密度264本/2.54cmの平織物の粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、十分な引張強度と同時に、良好な手切れ性を得ることができた。
[実施例2]
総繊度210デシテックス、フィラメント数118本のマルチフィラメントの単糸が芯鞘構造糸であって、鞘成分がポリエステル(テレフタル酸・イソフタル酸・ビスフェノールA・エチレングリコール重縮合物、融点233℃)、芯成分がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなる緯糸(低融点成分の重量割合30%)を用いて、経糸に総繊度33デシテックス、フィランメント数12本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート、融点255℃)織物を製織し、この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、経糸の共重合ポリエステル成分を溶融させるとともに、経糸織密度107本/2.54cm、緯糸織密度85本/2.54cmの平織物の粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、十分な引張強度と同時に、良好な手切れ性を得ることができた。
[実施例3]
総繊度84デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントであって、36本の単糸のうち18本がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなり、他の18本の単糸が共重合ポリエステル(テレフタル酸・イソフタル酸・ビスフェノールA・エチレングリコール重縮合物、融点233℃)からなる異収縮混繊糸(低融点成分の重量割合30%)を緯糸に用いて、経糸に総繊度33デシテックス、フィラメント数12本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート、融点255℃)を用いて織物を製織し、この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、経糸の共重合ポリエステル成分を溶融させるとともに、経糸織密度100本/2.54cm、緯糸織密度242本/2.54cmの平織物の粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、十分な引張強度と同時に、良好な手切れ性を得ることができた。
[実施例4]
リン系難燃ポリマーとして、芳香族縮合リン酸エステルを共重合したポリエステル(融点180℃)からなる、総繊度84デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの難燃糸を緯糸に用いて、経糸に総繊度44デシテックス、フィラメント数12本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート、融点255℃)を用いて織物を製織し、この織物を190℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、経糸の共重合ポリエステル成分を溶融させるとともに、経糸織密度112本/2.54cm、緯糸織密度200本/2.54cmの平織物の粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、十分な引張強度と同時に、良好な手切れ性を得ることができた。
[実施例5]
実施例1で得た粘着テープ用基布織物の片面に背面処理(撥水処理)を施すとともに、他面側に厚さ約30μmの粘着剤層を形成させ粘着テープ用原反シートを作製した。そして、この原反シートを紙管に巻き付けた後で、19mm幅に紙管ごとスリットして粘着テープロールを作製した。
なお、前記粘着剤層の形成は、アクリル酸を約5質量%含有し残部がアクリル酸ブチルのアクリル系共重合ポリマーからなる粘着剤に粘着付与剤(キシレン樹脂)とイソシアネート系架橋剤を含む混和物に有機溶剤で希釈し、適度な粘度となるように調製した塗工液をロールコート法で基布織物の片面に塗布した後、加熱乾燥することにより、有機溶剤を揮発除去するとともに、前記アクリル系ポリマーと前記イソシアネート系架橋剤を架橋反応させる方法を用いた。
得られた粘着テープの評価結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例4で得た粘着テープ用基布織物を用いて実施例5と同じ方法を用いて、粘着テープを得た。
得られた粘着テープの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1の平織物を熱セットせず、そのままの織物を粘着テープ用基布織物とした。
得られた基布織物の評価結果を表1に示す。 なお、粘着テープは手で経糸を切断することができず、手切れ性を得ることができなかった。
[比較例2]
実施例1で緯糸に使用した総繊度70デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントの芯鞘構造糸を経糸に用いて、緯糸に総繊度167デシテックス、フィラメント数144本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート、融点255℃)を用いて、経糸織密度54本/2.54cm、緯糸密度78本/2.54cmの平織物を得た。この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。
得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、切り口の美しさには優れるが、引き裂き易さにバラつきがあり、本発明と比較して、劣る結果となった。
[比較例3]
実施例3で緯糸に使用した総繊度84デシテックス、フィラメント数36本のマルチフィラメントであって、36本の単糸のうち18本がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)からなり、他の18本の単糸が共重合ポリエステル(テレフタル酸・イソフタル酸・ビスフェノールA・エチレングリコール重縮合物、融点233℃)からなる異収縮混繊糸(低融点成分の重量割合50%)を経糸に用いて、緯糸に総繊度150デシテックス、フィラメント数30本のポリエステル仮撚り加工糸(ポリエチレンテレフタレート、融点255℃)を用いて、経糸織密度69本/2.54cm、緯糸密度78本/2.54cmの平織物を得た。この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、粘着テープ用基布織物を得た。 得られた基布織物の評価結果を表1に示す。
得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、切り口の美しさには優れるが、引き裂き易さにバラつきがあり、本発明と比較して、劣る結果となった。
[比較例4]
ジアセテート樹脂(融点260℃)からなる総繊度75デシテックス、フィラメント数21本のマルチフィラメントを経糸に、経糸と同じジアセテート樹脂からなる総繊度150デシテックス、フィラメント数48本のマルチフィラメントを緯糸に用いて、経糸織密度178本/2.54cm、緯糸織密度62本/2.54cmの平織物とし、粘着テープ用基布織物を得た。得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、良好な手切れ性を得ることができなかった。
[比較例5]
ジアセテート樹脂(融点260℃)からなる総繊度75デシテックス、フィラメント数21本のマルチフィラメントを経糸に用い、緯糸にトリアセテート(融点290℃)からなる総繊度150デシテックス、フィラメント数48本のマルチフィラメントを緯糸に用いて、経糸織密度178本/2.54cm、緯糸織密度62本/2.54cmの平織物を得た。この織物を240℃に設定したピンテンターで30秒間、熱セットし、粘着テープ用基布織物を得た。
得られた基布織物の評価結果を表1に示す。粘着テープ用基布織物として、良好な手切れ性を得ることができなかった。
[比較例6]
比較例2で得た粘着テープ用基布織物を用いて、実施例5と同じ方法を用いて、粘着テープを得た。
[比較例7]
比較例3で得た粘着テープ用基布織物を用いて、実施例5と同じ方法を用いて、粘着テープを得た。
Figure 2015209602
Figure 2015209602
表1によれば、実施例1〜4においては、適度な機械的強度と優れた手切れ性を両立し、かつ切り口が美しく、表面が滑らかで外観が良好な粘着テープ用基布織物が得られた。特に実施例1と3については、織物のカバーファクターと引裂強力のタテ方向と緯方向の差が大きく、特に優れた手切れ性を得ることができた。
しかし、比較例1〜5では、適度な機械的強度と優れた手切れ性を両立することができなかった。比較例1は、引き裂くことができなかった。比較例2は、切り口は美しいが、十分な引き裂き易さが得られなかった。比較例3〜4においては、機械的強度に優れるが、良好な手切れ性を得ることはできなかった。
また、表2によれば、実施例5と6では、粘着テープとしての機械的強度や粘着性に優れるとともに、引き裂き易さと被接着物への追従性に優れる粘着テープが得られた。しかし、比較例6と7では、粘着テープとして、十分な機械的強度や粘着性を有するものの、良好な手切れ性(引き裂き易さ)と被接着物への追従性を得ることができなかった。

Claims (13)

  1. 経糸と緯糸の少なくとも一部が融着されており、その融着は緯糸の少なくとも1成分が溶融することによるものであって、経糸のカバーファクターが緯糸のカバーファクターよりも小さいことを特徴とする粘着テープ用基布織物。
  2. 前記融着が、経糸が溶融することなく融着されたものである請求項1に記載の粘着テープ用基布織物。
  3. 前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル系芯鞘構造マルチフィラメントであり、鞘部が芯部の成分よりも融点が低い低融点成分を含むものである請求項1または2に記載の粘着テープ用基布織物。
  4. 前記緯糸の少なくとも一部がポリエステル系異収縮混繊マルチフィラメントである請求項1〜3のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  5. 前記緯糸において低融点成分の重量割合が、20%以上である請求項3または4のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  6. 前記緯糸の総繊度が前記経糸の総繊度よりも大きく、その差が30デシテックス以上である請求項1〜5のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  7. 前記経糸の総繊度が100デシテックス以下のマルチフィラメントであり、フィラメント数が10以上である請求項16のいずれかに記載の粘着テープ用基布。
  8. 経糸または緯糸の少なくとも一方が仮撚り加工糸であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  9. 経糸または緯糸の少なくとも一部が難燃ポリマーを含有する糸であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  10. 該経糸織密度が120本/2.54cm以下で、かつ前記緯糸織密度が60本/2.54cm以上である請求項1〜9のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用した粘着テープ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用したサージカルテープ。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の粘着テープ用基布織物を使用した梱包用テープ。
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