JP6338219B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートを筒状に巻いた構造を有し、アスペクト比の非常に大きい一次元構造を有する材料である(非特許文献1を参照)。カーボンナノチューブは、優れた機械的強度と柔軟性、半導体的又は金属的導電性、更に化学的にも非常に安定な性質を持つことが知られている。カーボンナノチューブの製造方法は、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(以下、CVD(Chemical Vapor Deposition)法という。)等が報告されている。特にCVD法は大量合成、連続合成、高純度化に適した合成方法として注目されている合成法である(非特許文献2を参照)。
特に単層カーボンナノチューブ(以下、「SWCNT」という。)は巻き方やその直径によって金属的性質、半導体的性質を示すことが確認されており、電気電子素子等への応用が期待されている。SWCNTの合成には、ナノチューブを成長させる触媒CVD法(例えば、非特許文献3を参照)が主流となっている。この触媒CVD法は、金属のナノ粒子を触媒とする。そして、気体の炭素源を供給しながら、高温で炭素源を熱分解し、触媒の金属のナノ粒子からナノチューブを成長させる。
S.Iijima, Nature, 354, 56 (1991). 齋藤理一郎、篠原久典共編「カーボンナノチューブの基礎と応用」培風館、2004年. H.Dai, A. G. Rinzler, P. Nikolaev, A. Thess, D. T. Colbert, and R.E.Smalley,Chem. Phys. Lett. 260, 471 (1996).
近年、直径10〜20nm程度の多層カーボンナノチューブについては量産化が進み、数社が年生産100トン程度のプラントを有し、1万円/kg程度で販売されるようになってきている。一方、優れた導電性や柔軟性を示すSWCNTについては量産化が進んでおらず、依然として数万円/g程度で販売されており、多層カーボンナノチューブと比べて数千倍も高価である。
直径の小さいカーボンナノチューブ、特にSWCNTを合成するためには、直径が数nmの触媒粒子を形成し、カーボンナノチューブの合成中にその大きさを保持することが最も重要である。しかしながら、直径が小さい触媒粒子は化学的に不安定な表面を多く露出しているため、表面積を減らすように粗大化したり、酸素や水と反応して酸化したりしやすいため、カーボンナノチューブが大径化したり、結晶性が悪くなったりしてしまう。
そこで本発明は、長尺で直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブを製造することができるカーボンナノチューブの製造方法、及び、その製造方法により得られるカーボンナノチューブを提供することを目的とする。
本発明は、触媒原料を加熱還元して触媒粒子を形成する触媒粒子形成工程と、原料ガスを加熱状態の触媒粒子上に流通させてカーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブ合成工程と、を有し、触媒粒子形成工程及びカーボンナノチューブ合成工程の少なくとも一方において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒原料及び/又は触媒粒子上に流通させる、カーボンナノチューブの製造方法を提供する。このカーボンナノチューブの製造方法によれば、直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブを高密度かつ長尺に成長させることができる。
本発明の効果が奏される理由として、本発明者らは次のように考えている。通常、加熱雰囲気下においては、触媒粒子の表面はその高い活性によって、時間が経つにつれて粒子数の減少及び粒径の増大が起こり、合成されるカーボンナノチューブの直径が大きくなり、長さも短いものとなってしまう。本発明では、触媒原料を加熱還元して触媒粒子を形成する触媒粒子形成工程と、原料ガスを加熱状態の触媒粒子上に流通させてカーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブ合成工程との少なくとも一方の工程において、触媒原料及び/又は触媒粒子上に、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを供給する。すると、触媒粒子の表面に、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素が溶け込み、炭素を含む領域を表面に有する触媒粒子が形成されることになる。炭素を含む領域を表面に有する触媒粒子は、その表面が安定化されるため、粒子数の減少及び粒径の増大が抑制される。これにより、直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブを長尺に成長させることができる。また、上記のとおり粒子数の減少及び粒径の増大が抑制されるため、カーボンナノチューブを高密度で製造することができる。また、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、SWCNTの製造に適している。
本発明においては、少なくともカーボンナノチューブ合成工程において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒粒子上に流通させることが好ましい。少なくともカーボンナノチューブ合成工程において、原料ガスと共に不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを流通させることで、カーボンナノチューブの成長が継続している間における触媒粒子の粒径の増大が抑制されるため、成長中のカーボンナノチューブの直径の増大が抑制される。その結果、合成されるカーボンナノチューブの結晶性が一層高くなる。また、触媒粒径の増大がより抑制されることから、触媒寿命がより長くなり、より長尺のカーボンナノチューブを合成することができる。
上記「不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガス」は、飽和炭化水素ガスであることが好ましく、飽和炭化水素ガスは、メタンであることが好ましい。一方、原料ガスは、アセチレン、又は、反応器の中でアセチレンを生成するガスを含むことが好ましい。
また、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、少なくとも触媒粒子形成工程において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒原料及び/又は触媒粒子上に流通させ、触媒粒子形成工程とカーボンナノチューブ合成工程との間に、触媒粒子を加熱状態から解放する解放工程を有していてもよい。
触媒粒子形成工程により形成された触媒粒子が炭素を含む領域を表面に有する場合、その表面が安定化するため、プロセス上の混入酸素による酸化失活や温度変化に伴う粒径変化等が生じにくくなる。通常、触媒粒子の表面が露出している場合、触媒製造後に酸素が混入したり温度変化が起こったりすると、触媒が容易に失活してしまう。本発明では、触媒粒子が炭素を含む領域を表面に有するため、例えば触媒製造装置とカーボンナノチューブ合成装置とが別装置として分離されている場合であっても、装置間の搬送に伴う酸素混入や温度変化による影響を抑制することができる。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブの製造方法により製造されるカーボンナノチューブであって、ラマン分光によるG/D比が10以上であるカーボンナノチューブを提供する。
本発明によれば、直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブ、及び、そのようなカーボンナノチューブを高密度かつ長尺に成長させることができるカーボンナノチューブの製造方法を提供することができる。
触媒担持支持体の概要を示す概略図であり、図1(a)は支持体が粒子の場合を、図1(b)は支持体が固定基板の場合を示す。 カーボンナノチューブの製造を基板上熱CVD法で行う場合の製造装置を示す概略図である。 カーボンナノチューブの製造を流動層熱CVD法で行う場合の製造装置を示す概略図である。 実施例1及び参考例2で製造したカーボンナノチューブのSEM画像である。 実施例3及び4で製造したカーボンナノチューブのSEM画像である。 実施例1、参考例2、実施例3及び4で製造したカーボンナノチューブのラマンスペクトルである。 比較例1で製造したカーボンナノチューブのSEM画像である。 検証例3及び4で製造したカーボンナノチューブのSEM画像である。 比較例1、並びに検証例3及び4で製造したカーボンナノチューブのラマンスペクトルである。 検証例1及び2の触媒担持基板を含む各種触媒担持基板のAFM画像である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法は、触媒粒子形成工程と、カーボンナノチューブ合成工程とを有する。
[触媒粒子形成工程]
触媒粒子形成工程では、カーボンナノチューブの合成に必要な触媒粒子の形成を行う。触媒粒子は、支持体上に形成された金属又は金属酸化物膜等の触媒原料を、水素等の還元ガスにより加熱還元することにより形成される。このとき、キャリアガスとして、アルゴン、窒素等の不活性ガスが用いられる。
触媒粒子を形成する金属としては、一般にカーボンナノチューブの合成に用いられる金属であることが好ましく、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、W及びAuの中から選択される1以上の元素を含むものが好ましい。中でも特に、炭素の固溶量が大きいFe、Co、Niが好ましい。
触媒粒子を担持する支持体は、カーボンナノチューブの合成方法によって異なるが、粒子状であってもよく、板状であってもよい。支持体の材質としては、Si、Al、Mg、Zr、Ti、O、N、C、Mo、Ta及びWからなる群より選ばれる1種以上の元素を含むことが好ましい。具体的な材質としては、例えば、SiO、Al、MgO等の酸化物、SiN、AlN等の窒化物、SiC等の炭化物が挙げられる。特にAl−SiOの複合酸化物が好ましい。
なお、支持体は、触媒粒子を担持するための担体層を備え、これに触媒粒子が担持される態様としてもよい。担体層の材質としては、上記支持体の材質と同様のものを用いることができる。また、支持体に担体層の機能を持たせることも可能であり、その際には担体層を担持する必要は必ずしもない。
この触媒粒子形成工程により、支持体上に触媒粒子が担持された触媒担持支持体10a、10bが得られる。図1(a)に示されるように、支持体3が粒子状である場合、触媒担持基板10aは、支持体3の上に担体層14が形成され、球状ないし半球状の触媒粒子15が担体層14上に形成されたものとなる。また、図1(b)に示されるように、支持体3が板状である場合は、触媒担持基板10bは、球状の触媒粒子15が支持体3に埋もれた形で形成されたものとなる。
触媒原料及び担体層の原料を支持体に付着させる方法としては、これらの原料を溶解した溶液に支持体を含浸させてもよく、これらの原料を溶解した溶液を支持体に塗布した後に乾燥させてもよい。また、物理蒸着法、スパッタ法、CVD法等を用いてもよい。
ここで、触媒粒子の平均粒径は、合成されるカーボンナノチューブの直径を小さくする観点から、3nm以下が好ましい。また、触媒担持支持体10a,10bにおける触媒粒子の粒子密度は1個/100nm以上であることが好ましい。粒径が小さく、粒子密度が高いほど、直径が小さいカーボンナノチューブを高密度に成長させることができる。触媒粒子の平均粒径の測定方法としては、例えば、後述する実施例で使用した方法が挙げられる。
還元温度は、400〜1000℃が好ましい。コーキング等の触媒被毒を生じにくくする観点からは、400〜900℃がより好ましい。また、後述する不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを同時に流通させる場合は、触媒粒子の表面に、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素をよりよく溶け込ませるために、500〜900℃が更に好ましい。
[カーボンナノチューブ合成工程]
触媒粒子形成工程で形成された触媒粒子を加熱状態とし、この触媒粒子上に原料ガスを流通させることにより、カーボンナノチューブを合成することができる。
ここで「原料ガス」とは、炭素原子及び水素原子を含有しかつ加熱状態で分解される炭素源を含むガスであり、例えば、カーボンナノチューブ合成の炭素源とキャリアガスとから構成されるものである。原料ガス中の、炭素源としては、アセチレン、エチレン、エタノール等を用いることができる。アセチレンは、原料ガスに含ませるほか、反応器の中で生成させてもよい。原料ガスに含まれるキャリアガスとしては、アルゴン、窒素等の不活性ガスが好ましい。また、キャリアガスとして水素を用いてもよい。後述する「不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガス」は、原料ガスには含まれないものとする。
カーボンナノチューブ合成工程において、反応器に供給するガス全量中の各ガスの濃度は、常法に従って適宜調整し、最適化すればよい。例えば、原料ガス中における炭素源となるガスの濃度は、例えばアセチレンである場合、原料ガス中のアセチレン及び反応器中で分解等により生成するアセチレンを含めて、反応器内において、反応器に供給するガス全量中の0.01〜20体積%が好ましく、0.1〜5体積%とすることがより好ましい。なお、原料ガス中のアセチレン及び反応器中で分解等により生成するアセチレンのうち、原料ガス中のアセチレンのみを利用する場合は、0.01〜15体積%が好ましく、0.1〜2体積%がより好ましい。また、合成されたカーボンナノチューブを触媒粒子から分離及び回収することについても、常法に従って行うことができる。
反応温度は、400〜1000℃が好ましい。コーキング等の触媒被毒を生じにくくする観点からは、400〜900℃がより好ましい。また、後述する不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを同時に流通させる場合は、触媒粒子の表面に、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素をよりよく溶け込ませるために、500〜900℃が更に好ましい。
[炭素を含む領域の形成]
本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法においては、触媒粒子形成工程及びカーボンナノチューブ合成工程の少なくとも一方において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒原料及び/又は触媒粒子上に流通させる(炭素含有領域形成工程)。すなわち、支持体上に形成された金属又は金属酸化物膜等の触媒原料が加熱還元されるときに不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを流通させてもよく、カーボンナノチューブが合成されている最中に不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを流通させてもよい。
不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒原料及び/又は触媒粒子上に流通させると、触媒粒子の表面に、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素が溶け込み、炭素を含む領域を表面に有する触媒粒子が形成されることになる。炭素を含む領域を表面に有する触媒粒子は、その表面が安定化される(保護される)ため、粒子数の減少及び粒径の増大が抑制される。これにより、直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブを長尺に成長させることができる。また、上記のとおり粒子数の減少及び粒径の増大が抑制されるため、カーボンナノチューブを高密度で製造することができる。また、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、SWCNTの製造に適している。
特に、少なくともカーボンナノチューブ合成工程において、原料ガスと共に不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒粒子上に流通させた場合、カーボンナノチューブの成長が継続している間における触媒粒子の粒径の増大が抑制されるため、成長中のカーボンナノチューブの直径の増大が抑制される。その結果、合成されるカーボンナノチューブの結晶性が一層高くなる。また、触媒粒径の増大がより抑制されることから、触媒寿命がより長くなり、より長尺のカーボンナノチューブを合成することができる。
また、触媒粒子形成工程及びカーボンナノチューブ合成工程の両方の工程で不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを流通させることが好ましい。カーボンナノチューブの合成前に触媒粒子の表面に炭素を含む領域を形成しておくことで、あらかじめ触媒粒子の粒径を小さくしておくことができる。そして、カーボンナノチューブの合成前に触媒粒子の表面に炭素を含む領域が形成されている場合でも、カーボンナノチューブの合成が終了するまで必ずしも触媒粒子表面の安定化状態が維持されるとは限らないため、カーボンナノチューブの合成中にも原料ガスと共に不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒粒子上に流通させることにより、触媒粒子の粒径の増大が抑制され、成長中のカーボンナノチューブの直径の増大が抑制される。
なお、本明細書において「触媒粒子」とは、炭素を含む領域を表面に有するか否かに関わらず、支持体上に形成された金属又は金属酸化物膜等の触媒原料を、水素等の還元ガスにより加熱還元することにより形成された粒子をいう。
不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスとしては、例えば、飽和炭化水素、アルコール、アミン、エーテルが挙げられ、中でも飽和炭化水素が好ましい。不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素数は2以下であることが好ましく、特に炭素数が1であることが好ましい。また、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスが飽和炭化水素である場合、メタンであることが好ましい。不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスによってカーボンナノチューブの成長が起こることはない(後述する図10(a)〜(f)参照)。一方、不飽和炭化水素のように、飽和炭化水素と比べて不安定で、炭素と水素等のガスに分解する方が安定となるガスを用いると、カーボンナノチューブの成長が始まり、触媒粒子表面を炭素で保護する効果が得られない(後述する図8(a)及び(b)参照)。
触媒粒子の表面に炭素を含む領域が形成されているかどうかについては、X線光電子分光法(XPS)で確認することができる。例えば、XPSで観察される炭素原子の量がArエッチング後で3at%以上であれば、本実施形態の効果が奏されるのに十分である。また、この値は、3〜100at%であることが好ましく、5〜50at%であることがより好ましい。
表面に炭素を含む領域を形成するに際し、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの濃度は、反応器に供給するガス全量を基準として、0.1〜50体積%が好ましい。触媒粒子形成工程及び/又はカーボンナノチューブ合成工程における還元温度及び/又は反応温度を900℃以上とする場合には、コーキング等の触媒被毒の影響がでやすいため、これを抑制する観点からは、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの濃度は0.1〜20体積%がより好ましい。
触媒粒子形成工程において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを触媒原料及び/又は触媒粒子上に流通させた場合、上記のとおり、触媒粒子の表面に不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスの炭素が溶け込み、炭素を含む領域を表面に有する触媒粒子が形成されることになる。この場合、触媒粒子形成工程とカーボンナノチューブ合成工程との間に、触媒粒子を加熱状態から解放する解放工程を設けることができる。
触媒粒子が炭素を含む領域を表面に有する場合、その表面が安定化するため、プロセス上の混入酸素による酸化失活や温度変化に伴う粒径変化等が生じにくくなる。通常、触媒粒子の表面が露出している場合、触媒製造後に酸素が混入したり温度変化が起こったりすると、触媒が容易に失活してしまう。これに対し、触媒粒子が炭素を含む領域を表面に有する場合は、例えば触媒製造装置とカーボンナノチューブ合成装置とが別装置として分離されている場合であっても、装置間の搬送に伴う酸素混入や温度変化による影響を抑制することができる。
なお、カーボンナノチューブを長尺に合成する方法として、水蒸気等の触媒賦活剤を合成中に添加することが知られている(例えば特許4621896号)。本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法においても、このような水蒸気を添加する系についても適応することができる。
[反応器]
本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法は、基板上熱CVD法でも流動層熱CVD法でも行うことができる。また基板上熱CVD法には、反応管を外部から加熱するHot−wall CVD法と、反応管は低温に保ち基板のみを加熱するCold−wall CVD法があるが、いずれの合成方法でも行うことができる。図2は、カーボンナノチューブの製造をHot−wall CVD法で行う場合の製造装置を示す概略図である。反応器21は、一端が閉じられた横置型の円筒から構成されており、容器の外部から内部へ通じた原料ガス等供給管25を備えている。反応器21の周囲には加熱器24が設置されている。
反応器21内において、触媒原料が積層された支持体23が、石英ボート22に載置されて、反応器21内に配置されている。ここで触媒粒子形成工程が実施されて、支持体23から触媒担持支持体10bが形成される。そして、触媒担持支持体10bが加熱され、この上に原料ガス等供給管25を通じてアセチレンを含む原料ガスを流通させると、触媒担持支持体10b上にカーボンナノチューブを合成することができる。なお、触媒を担持する支持体としては、板状のもの以外に、例えば、粉末状、ビーズ状、ハニカム状、多孔質状、ファイバー状、チューブ状、ワイヤー状、網状、格子状、スポンジ状、層状のものを使用することができる。
一方、図3は、カーボンナノチューブの製造を流動層熱CVD法で行う場合の製造装置を示す概略図である。縦置きに設置された反応器1は、下部に多孔質板2が設けられており、更にその下部に、原料ガス等の気体を供給するための原料ガス等供給管5が接続されている。反応器1内には、触媒原料が積層された粒状の支持体3が充填されている。また、反応器1の外周を覆うようにして、加熱器4が設けられている。ここで触媒粒子形成工程が実施されて、支持体3から触媒担持支持体10aが形成される。そして、触媒担持支持体10aが加熱され、この上に原料ガス等供給管5及び多孔質板2の穴を通じて原料ガス等を流通させることにより、粒状の支持体3上にカーボンナノチューブを合成することができる。
[カーボンナノチューブ]
本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法により得られるカーボンナノチューブは、直径が小さく、結晶性がよい。また、粒径の小さな触媒粒子を支持体上に高密度で存在させることができるため、得られるカーボンナノチューブは高密度かつ長尺となる。
カーボンナノチューブの直径については、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)で求めることができる。また、カーボンナノチューブの長さ(成長量)については、例えば走査線電子顕微鏡(SEM)で求めることができる。カーボンナノチューブの理想的な直径及び長さは、カーボンナノチューブの用途によって異なるところ、本実施形態のカーボンナノチューブの製造方法によれば、比較的長尺かつ小径のカーボンナノチューブを製造することができる。
カーボンナノチューブの結晶性については、ラマン分光を用いることで評価することができる。ラマン分光を用いた測定では、グラファイト構造に起因するGバンドが1590cm−1付近に観察され、結晶欠陥に起因するDバンドが1340cm−1付近に観察される。結晶性の高いカーボンナノチューブはDバンドが低く、逆にGバンドは高いピークをもつ。つまり、以下の式(1)で定義されるGバンドとDバンドとの強度比(G/D比)の値が高いほど、結晶性が高い。
G/D比=(G−Bg)/(D−Bg) …… 式(1)
ここで、「G」はGバンドのピークトップ値を示し、「D]はDバンドのピークトップ値を示し、「Bg」はバックグラウンド補正値であって600cm−1から1000cm−1までの平均値を示す。
G/D比が低いカーボンナノチューブは、表面にアモルファスカーボン等が付着しており、また、直線性がなく屈曲したカーボンナノチューブの割合が多くなると考えられている。アモルファスカーボンが付着していると、カーボンナノチューブ間の電気伝導性を阻害する傾向があり、また、屈曲したカーボンナノチューブでは電気伝導性及び機械的強度が低下する。そのためカーボンナノチューブの電気特性や機械的強度を引き出すためには、G/D比は8以上が好ましく、10以上がより好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(触媒担持基板の形成)
支持体として熱酸化膜付きシリコン基板を用いた。このシリコン基板上に、スパッタ法により担体層としての金属アルミニウム膜(厚さ15nm)、及び、触媒原料としての金属鉄膜(厚さ0.7nm)を順に製膜した。
(触媒粒子の形成)
次に当該基板を図2に示す反応器内に設置し、触媒粒子の形成を行った。導入ガスは総流量を500sccm(Standard Cubic Centimeter per Minutes)とし、構成ガスとしては、水素(25.0体積%)とメタン(1.0体積%)とし、雰囲気ガスとしてアルゴンを用いた。反応器内の温度は800℃とし、反応時間は5分間とした。こうして触媒担持基板を得た。なお、上記体積%の値は、反応器に供給するガス全量を基準とするものである。
(カーボンナノチューブの合成)
次に、総流量を変えずに、アセチレン(0.15体積%)を追加で導入し、カーボンナノチューブの合成を行った。他のガスとしては、水素(25.0体積%)とメタン(1.0体積%)と雰囲気ガスとしてのアルゴンを導入させた。反応器内の温度は、触媒粒子の形成時から引き続き800℃とし、反応時間は10分間とした。
(カーボンナノチューブの成長量評価)
製造したカーボンナノチューブを走査線電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製:S−4800)で観察した結果を図4(a)に示す。カーボンナノチューブは、シリコン基板の表面から710μm成長していた。また、合成したカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社(JEOL)社製:2000−EX)で観察し、任意の36本のカーボンナノチューブの直径を測定したところ、平均で2.6nmであった。
(ラマン測定)
ラマン分光器(HORIBA社製:HR−800)を用い、ラマン分光法により、合成したカーボンナノチューブの結晶性について評価した。測定波長は488nmとした。測定の結果、図6(a)に示されるように、1590cm−1付近にグラファイト構造に起因するGバンドを、1340cm−1付近には結晶欠陥に起因するDバンドを観察することができた。結晶性を表すG/D比は、GバンドとDバンドの強度比から11.1であり、結晶性が高いことがわかった。
参考例2]
水素及びメタンの供給量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブを製造した。製造したカーボンナノチューブを実施例1と同様にSEMで観察した結果を図4(b)に示す。カーボンナノチューブはシリコン基板の表面から670μm成長していた。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、G/D比は10.4となり、実施例1ほどではないがG/D比は10以上と結晶性が高いことがわかった(図6(b))。
[実施例3]
水素及びメタンの供給量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブを製造した。製造したカーボンナノチューブを実施例1と同様にSEMで観察した結果を図5(a)に示す。カーボンナノチューブはシリコン基板の表面から550μm成長していた。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、G/D比は10.4となり、実施例1ほどではないがG/D比は10以上と結晶性が高いことがわかった(図6(c))。
[実施例4]
表1に示したように触媒賦活のために水蒸気を添加したこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブを製造した。製造したカーボンナノチューブを実施例1と同様にSEMで観察した結果を図5(b)に示す。カーボンナノチューブはシリコン基板の表面から1170μm成長していた。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、G/D比は12.5であり、結晶性が高いことがわかった(図6(d))。このことから、メタンを導入する効果が、触媒賦活剤が添加された系についても、有効であることがわかった。
[比較例1]
水素及びメタンの供給量を表1のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブを製造した。製造したカーボンナノチューブを実施例1と同様にSEMで観察した結果を図7に示す。カーボンナノチューブはシリコン基板の表面から440μm成長しており、実施例1、参考例2、及び実施例3と比較して、カーボンナノチューブの成長量が少ないことがわかった。また実施例1と同様にTEMで観察して任意の33本のカーボンナノチューブの直径を測定したところ、平均で3.4nmであった。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、G/D比は7.2となり、実施例1、参考例2、及び実施例3と比較して結晶性が悪いことがわかった(図9(a))。
[検証例1及び2]
実施例4の工程で得られた触媒担持基板を、検証例1の触媒担持基板とした。また、表2に示したように触媒賦活のために水蒸気を添加したこと以外は参考例2と同様にして、成膜及び触媒粒子の形成を行い、検証例2の触媒担持基板を得た。
(AFMによる触媒粒子の観察)
カーボンナノチューブの合成直前における触媒粒子の形状を観察するため、検証例1と検証例2の触媒担持基板について触媒粒子形成工程の後における基板表面の観察を行った。触媒原料の厚みの違いによる傾向を確認するため、金属鉄の厚さを、0.7nm(検証例1及び検証例2)の他に、その前後である0.5nm及び1.0nmとした基板についても、同様の観察を行った。観察では原子間力顕微鏡(AFM;島津製作所社製:SPM−9600)を用い、測定条件はスキャン範囲を200nm×200nm、スキャン速度を1Hz、ピクセル数は512×512とした。
検証例1の触媒担持基板を含む、触媒粒子形成工程でメタンを導入した場合の結果を図10(a)〜(c)に示す。また、検証例2の触媒担持基板を含む、メタンを導入しなかった場合の結果を図10(d)〜(f)に示す。図中、白く(明るく)見える点が触媒粒子であり、メタンを導入した場合に基板表面には繊維状の物体は確認できず、カーボンナノチューブが成長していないことが確認できた。
また、画像を解析し、触媒粒子密度と触媒粒径(平均値)を評価した結果を表3に示す。触媒粒径については、触媒形状を半球形状と仮定して、触媒粒子密度とスパッタにおける製膜量から算出した。メタンを導入した場合には、導入しなかった場合と比較して、触媒粒径が小さく、触媒粒子密度が高くなっていることがわかった。すなわち、メタンを導入した場合には、触媒粒子密度が10nm×10nmの範囲に1個以上となっているが、メタンを導入しなかった場合には触媒粒子密度は同範囲に1個以下と低密度になっている。このことからメタンを導入することにより、触媒粒子の肥大化が抑制されていることがわかった。
(XPSによる触媒の表面状態の分析)
カーボンナノチューブの合成直前における基板表面の元素組成を評価するため、検証例1と検証例2の触媒担持基板について触媒粒子形成工程の後における基板表面の分析を行った。分析には、X線光電子分光装置(XPS;アルバック・ファイ社製:PHI 5000 VersaProbeII)を用いた。測定では単色化AlKα線1486.6keVを用い、帯電補正としてCの1sピークトップを284.8keVとした。また測定範囲はΦ200μmとした。検出角度は試料表面から45度とした。また基板表面には空気中の不純物が付着するため、Arによるエッチングを行い、エッチング前後での検出元素組成を分析した。分析結果を表4に示した。エッチングでは電圧を1,000V、20秒間とし、SiO膜の換算で1nm程度となるように行った。その結果、メタンを導入しなかった検証例2の触媒担持基板と比較して、メタンを導入した検証例1の触媒担持基板では、エッチング後にも表面に多くのCが存在しており、触媒表面を炭素が覆っていることを確認することができた。
[検証例3]
構成ガスとしてメタン(1.0体積%)の代わりにエチレン(1.0体積%)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、成膜及び触媒粒子の形成を行い、検証例3の触媒担持基板を得た。
当該基板を肉眼で観察したところ、基板の中央部分では表面がわずかに黒くなっていた。次に、実施例1と同様にSEMで基板中央を観察した。その結果、図8(a)に示すように80μm程度と僅かにカーボンナノチューブが成長してしまっており、検証例1のような触媒粒子の表面状態にはなっていないことがわかった。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、結晶性を表すG/D比は6.0となり、G/D比は10以下と結晶性が悪いことがわかった(図9(b))。このことから、カーボンナノチューブ合成工程を行う前に、触媒粒子が肥大化したと考えられる。
[検証例4]
検証例3におけるエチレンをアセチレンに変更したこと以外は検証例3と同様にして、成膜及び触媒粒子の形成を行い、検証例4の触媒担持基板を得た。当該基板を肉眼で観察したところ、基板中央がわずかに黒くなっていた。次に、実施例1と同様にSEMで当該中央部分を観察した。その結果、図8(b)に示すように32μm程度と僅かにカーボンナノチューブが成長してしまっており、検証例1のような触媒粒子の表面状態になっていないことがわかった。また実施例1と同様にラマン分光法を用いた測定を行った。その結果、G/D比は2.4となり、G/D比は10以下と結晶性が悪いことがわかった(図9(c))。このことからカーボンナノチューブ合成工程を行う前に触媒粒子が肥大化したと考えられる。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、長尺で直径が小さく結晶性のよいカーボンナノチューブの大量生産が可能であり、その製造コストも大きく下げることができる。従って、本発明で製造されるカーボンナノチューブは、透明電極、半導体薄膜、リチウムイオン電池の電極材料、燃料電池の電極材料、電気二重層キャパシタの電極材料、コンポジットポリマーのフィラー材料、電子放出銃、電界放出ディスプレイ、顕微鏡プローブ、ガス吸蔵材料等への応用が注目される。特に、本発明で製造されるSWCNTは、透明電極、リチウムイオン電池の電極材料、電気二重層キャパシタの電極材料等への応用が注目される。
1,21…反応器、2…多孔質板、3,23…支持体、4…加熱器、5,25…原料ガス等供給管、10a,10b…触媒担持支持体、14…担体層、15…触媒粒子、22…石英ボート、24…加熱器。

Claims (6)

  1. 支持体上に形成された触媒原料を加熱還元して、前記支持体上に担持された触媒粒子を形成する触媒粒子形成工程と、
    原料ガスを加熱状態の前記触媒粒子上に流通させてカーボンナノチューブを合成するカーボンナノチューブ合成工程と、を有し、
    前記触媒粒子形成工程及び前記カーボンナノチューブ合成工程の少なくとも前記触媒粒子形成工程において、不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを前記触媒原料及び/又は前記触媒粒子上に流通させ、
    前記支持体上における前記触媒粒子の粒子密度は、1個/100nm以上である、カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 記カーボンナノチューブ合成工程において、前記不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスを前記触媒粒子上に流通させる、請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記不飽和結合を有しない炭素含有化合物ガスは、飽和炭化水素ガスである、請求項1又は2記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記飽和炭化水素ガスは、メタンである、請求項3記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記原料ガスは、アセチレン、又は、反応器の中でアセチレンを生成するガスを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 記触媒粒子形成工程と前記カーボンナノチューブ合成工程との間に、前記触媒粒子を加熱状態から解放する解放工程を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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