JP6337971B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)〜(c)の合計を100重量%としたときに、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)90〜50重量%に対して、ポリフェニレンスルフィド樹脂(b)および/またはポリフェニレンスルフィド樹脂(c)を合計で10〜50重量%配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、
(i)分子量10,000以上1,000,000以下の領域にメインピークのピークトップを有し、
(ii)分子量100以上10,000未満の領域にサブピークのピークトップを有し、
(iii)サブピークの面積分率が1.0〜20%であって、
且つ、320℃で5時間加熱した際の粘度変化率が1.5倍以下であって、アルカリ土類金属の含有量が1,000ppm以下であり、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.30%以下であって、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.30%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a):下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドを85重量%以上含み、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱して、重量平均分子量50,000以上の高重合度体に転化させることにより得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(b):アルカリ金属硫化物とイオウ成分1モル当たり1.05モル以上1.50モル以下のジハロ芳香族化合物とを、イオウ成分1モル当たり1.25L以上の有機アミド溶媒中で反応して得られた反応混合液を、有機アミド溶媒の常圧における沸点以下の温度で固液分離して得られた固形分から溶媒を除去する方法または下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドの含有量が80重量%未満、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱する方法のいずれかで得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量が20,000以下であって、アルカリ土類金属の含有量が200ppm未満であって、且つ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.5重量%添加し320℃で10分加熱した際の分子量増加率が5.0%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(c):アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、有機アミド溶媒中で反応して得られた高重合度体を、アルカリ土類金属(d)イオンを含む溶液と接触させる方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量10,000以上1,000,000未満であって、且つ、アルカリ土類金属(d)を200〜800ppm含有し、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%を超えるポリフェニレンスルフィド樹脂
ΔWr=(W1−W2)/W1×100(%)・・・(1)
(ここでΔWrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)〜(c)の合計を100重量%としたときに、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)90〜50重量%に対して、ポリフェニレンスルフィド樹脂(b)および/またはポリフェニレンスルフィド樹脂(c)を合計で10〜50重量%配合するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、得られるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の、320℃で5時間加熱した際の粘度変化率が1.5倍以下であって、アルカリ土類金属の含有量が1,000ppm以下であり、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.30%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a):下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドを85重量%以上含み、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱して、重量平均分子量50,000以上の高重合度体に転化させることにより得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(b):アルカリ金属硫化物とイオウ成分1モル当たり1.05モル以上1.50モル以下のジハロ芳香族化合物とを、イオウ成分1モル当たり1.25L以上の有機アミド溶媒中で反応して得られた反応混合液を、有機アミド溶媒の常圧における沸点以下の温度で固液分離して得られた固形分から溶媒を除去する方法または下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドの含有量が80重量%未満、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱する方法のいずれかで得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量が20,000以下であって、アルカリ土類金属の含有量が200ppm未満であって、且つ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.5重量%添加し320℃で10分加熱した際の分子量増加率が5.0%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(c):アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、有機アミド溶媒中で反応して得られた高重合度体を、アルカリ土類金属(d)イオンを含む溶液と接触させる方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量10,000以上1,000,000未満であって、且つ、アルカリ土類金属(d)を200〜800ppm含有し、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%を超えるポリフェニレンスルフィド樹脂
ΔWr=(W1−W2)/W1×100(%)・・・(1)
(ここでΔWrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
PPS樹脂とは、下記式で示される繰り返し単位を有する重合体である。
これらの繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(M)〜式(O)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、繰り返し単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
本発明で用いるPPS樹脂(a)の分子量は、重量平均分子量で50,000以上であり、55,000以上が好ましく、60,000以上がより好しく、65,000以上がさらに好ましい。重量平均分子量が50,000未満である場合、後述のPPS樹脂(b)との分子量の差が不十分となり、得られるPPS樹脂組成物を加工成形する際の粘度上昇が大きくなる。重量平均分子量の上限に特に制限は無いが、1,000,000以下を好ましい範囲として例示でき、500,000以下がより好ましく、200,000以下がさらに好ましく、この範囲内では高い成形加工性をもつPPS樹脂組成物が得られる傾向にある。
(ここでΔWrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際の、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
本発明で用いるPPS樹脂(a)のΔWrは0.18%以下であり、0.12%以下であることが好ましく、0.10%以下であることがより好ましく、0.085%以下であることがさらに好ましい。ΔWrが0.18%を超える場合は、得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際のガス発生量が多くなる。
<PPSプレポリマー>
本発明で用いるPPS樹脂(a)の好ましい製造方法では、環式PPSを含むPPSプレポリマーを加熱して高重合度体に転化させることを特徴とする。本発明で用いるPPS樹脂(a)の製造方法で用いるPPSプレポリマーに含まれる環式PPSの量は85重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、93重量%以上であることがさらに好ましく、95重量%以上であることがよりいっそう好ましい。環式PPSの含有量を85重量%以上とすることで、PPSプレポリマーの加熱によって、重量平均分子量で50,000以上の高い重合度のPPS樹脂が得られやすい傾向にある。また、PPSプレポリマーに含まれる環式PPSの上限値には特に制限は無いが98重量%以下が好ましい範囲として例示できる。この範囲ではPPSプレポリマーの融解温度が低く、加熱の際の温度をより低くできる傾向にある。
PPSプレポリマーを得る方法としては例えば国際公開2013/061561号に開示されている方法により製造することができる。スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物および有機極性溶媒を含み、このときのイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位が0.80モル以上1.05モル未満である反応混合物を加熱して、前記スルフィド化剤の50%以上が反応消費されるまで反応させ、次いで、前記反応混合物中のイオウ成分1モル当たりのアリーレン単位が1.05モル以上1.50モル以下となるように前記ジハロゲン化芳香族化合物を追加した後にさらに加熱して反応を行い、少なくとも環式PPSと線状PPSポリアリーレンスルフィドを含む反応生成物を調製し、これを固液分離した際の濾液中のPPS成分を精製回収することでPPSプレポリマーを得ることができる。
本発明で用いるPPS樹脂(a)の好ましい製造方法では、環式PPSを含むPPSプレポリマーを加熱して高重合度体に転化させることを特徴とするが、加熱時の温度はPPSプレポリマーが融解する温度であることが好ましく、このような温度条件であれば特に制限は無い。加熱温度が上記好ましい範囲である場合、高重合度体を得るのに長時間が必要となることはない。なお、PPSプレポリマーが融解する温度は、PPSプレポリマーの組成や分子量、加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、加熱温度の下限としては180℃以上が例示でき、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。この好ましい範囲内ではPPSプレポリマーが速やかに融解し、高重合度体を得るのに必要な時間が短くなる傾向にある。加熱温度の上限としては400℃以下が例示でき、380℃以下が好ましく、360℃以下がより好ましい。この好ましい範囲内ではPPSプレポリマー間、加熱により生成した高重合度体間、および高重合度体とPPSプレポリマー間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が避けられ、得られるPPSの特性が低下することはない。
本発明で用いるPPS樹脂(b)の分子量は、重量平均分子量で50,000未満であり、40,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が50,000以上である場合、前記PPS樹脂(a)との分子量の差が不十分となり、得られるPPS樹脂組成物を加工成形する際の粘度上昇が大きくなる。重量平均分子量の下限に特に制限は無いが、3,000以上を好ましい範囲として例示でき、4,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましく、この範囲内では得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際のガス発生量が低減される傾向にある。
(ここでΔMnは分子量増加率(%)であり、PPS樹脂に対し、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを添加せず320℃で10分加熱した後、測定した数平均分子量(Mn1)と、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.5重量%添加し320℃で10分加熱した後、測定した数平均分子量(Mn2)から求められる値である。)
上記ΔMnはPPS樹脂中の、カルボキシル基やチオール基、ヒドロキシル基などに代表される活性官能基の含有量と関連するため、PPS樹脂を成形加工する際の、架橋などの副反応による粘度上昇の低減、ガス発生量の低減の観点から小さいことが望ましい。
本発明で用いるPPS樹脂(b)の分子量増加率ΔMnは5.0%以下であり、4.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましい。ΔMnが5.0%を超える場合は、得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際の粘度上昇が大きくなる、および/もしくはガス発生量が増加する。
本発明で用いるPPS樹脂(c)の分子量に特に制限は無いが、下限としては重量平均分子量で10,000以上を好ましい範囲として例示でき、15,000以上がより好ましく、18,000以上がさらに好ましい。この範囲内では得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際のガス発生量が低減される傾向にある。一方、上限としては、1,000,000未満を好ましい範囲として例示でき、500,000未満がより好ましく、200,000未満がさらに好ましく、この範囲内では高い成形加工性をもつPPS樹脂組成物が得られる傾向にある。
本発明ではPPS樹脂(a)、PPS樹脂(b)、PPS樹脂(c)の重量の合計を100重量%としたときに、PPS樹脂(a)90〜50重量%に対して、PPS樹脂(b)、PPS樹脂(c)のいずれかを単独で10〜50重量%配合する、または、PPS樹脂(b)とPPS樹脂(c)の合計量が10〜50重量%となるよう配合する。PPS樹脂(a)の配合量の上限は90重量%であり、90重量%を超える場合(PPS樹脂(b)、PPS樹脂(c)の配合量が合計で10重量%未満の場合)には、得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際の粘度上昇が大きくなる。一方で、PPS樹脂(a)の配合量の下限は50重量%以上であり、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。50重量%より少ない場合(PPS樹脂(b)、PPS樹脂(c)の配合量が合計で50重量%を超える場合)には、得られるPPS樹脂組成物を成形加工する際のガス発生量が多くなる。
また、本発明のPPS樹脂組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、
(i)分子量10,000以上1,000,000以下の領域にメインピークのピークトップを有し、
(ii)分子量100以上10,000以下の領域にサブピークのピークトップを有し、
(iii)上記メインピークとサブピークの間に存在する極小点の分子量をMとしたときの、分子量M以上10,000,000以下の領域の面積値S1と、分子量100以上M以下の領域の面積値S2から、下記式(3)にしたがって算出される、サブピークの面積分率(FS2)が1.0〜20%であるという特徴を示す。
なお、本発明において、サイズ排除クロマトグラフィーとして、具体的には、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を採用する。
(ここでΔη300は粘度変化率(倍)であり、加熱処理前の溶融粘度η0と、常圧の非酸化性雰囲気下で320℃、5時間加熱処理した後の溶融粘度η300から求められる値である。)
本発明のPPS樹脂組成物のFS2の下限値は1.0%であり、2.0%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましい。FS2が1.0%未満である場合、成形加工時の流動性が低下する。一方、FS2の上限値は20%であり、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下がよりいっそう好ましい。FS2が20%を超える場合は、成形加工時の粘度上昇が大きくなる。
<PPSプレポリマーの分析>
PPSプレポリマー中に含まれる環式PPSの定量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて実施した。HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津製作所製 LC−10Avpシリーズ
カラム:関東化学社製 Mightysil RP−18 GP150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(270nm)
上記HPLC分析において検出された全てのピークの検出面積の合計値と、環式PPSに由来するピークの検出面積の合計値の面積比から環式PPSの定量を行った。
<分子量測定>
PPS樹脂および樹脂組成物の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
装置:センシュー科学製 SSC−7110
カラム:昭和電工製 Shodex UT−G+Shodex UT−806M×2
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (濃度:0.1重量%)
標準サンプル:ポリスチレン。
PPS樹脂および樹脂組成物の、加熱時の重量減少率の測定は熱重量分析器を用いて下記条件で行った。なお、試料は2mm以下の細粒物を用いた。
装置:パーキンエルマー製 TGA7
測定雰囲気:窒素気流下
試料仕込み重量:約10mg
測定条件:
(i)プログラム温度50℃で1分保持
(ii)プログラム温度50℃から350℃まで昇温。この際の昇温速度20℃/分
重量減少率ΔWrは、(ii)の昇温の際の、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から前述の式(1)を用いて算出した。
PPS樹脂および樹脂組成物の、アルカリ金属およびアルカリ土類金属含有量の定量は以下の方法により行った。
(i)試料を石英るつぼに計りとり、電気炉を用いて灰化した。
(ii)灰化物を濃硝酸で溶解した後、希硝酸で一定の容積に希釈した。
(iii)得られた溶液中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量を、ICP発光分光分析法(装置;パーキンエルマー製 Optima4300DV)により測定した。
PPS樹脂および樹脂組成物を加熱した際に発生するガス成分の定量は以下の方法により行った。なお、試料は2mm以下の細粒物を用いた。
約10mgの試料を窒素気流下(50ml/分)、320℃で60分間加熱し、発生したガス成分を大気捕集用加熱脱離チューブ(Supelco製)に捕集した。
上記チューブに捕集したガス成分を、熱脱離装置(Supelco製)を用いて室温から280℃まで5分間で昇温することで熱脱離させた。熱脱離した成分を、ガスクロマトグラフィーを用いて成分分割し、ラクトン型化合物量としてガス中のγ−ブチロラクトン量を定量し、アニリン型化合物量として4−クロロ−N−メチルアニリン量を定量した。
PPS樹脂および樹脂組成物の溶融粘度および粘度変化率の測定は、レオメーターを用いて下記条件で行った。なお、320℃での加熱処理についてもレオメーター中で行った。
装置:アントンパール製 Physica MCR501
プレート:パラレル(φ25mm)
ギャップ:1.0mm
角周波数(ω):6.28rad/秒
せん断応力(τ):1,000Pa
試料仕込み重量:約0.7g
測定条件:
(i)320℃で試料を溶融させ、溶融粘度を測定した。
(ii)上記試料をレオメーター中にて、窒素気流下、320℃で300分加熱した後、320℃で溶融粘度を測定した。
PPS樹脂および樹脂組成物の、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン添加時の分子量増加率の測定は、以下の方法により行った。
(i)試料を試験管に仕込み、試験管内を窒素雰囲気に置換し、320℃で10分間加熱したあと、分子量を測定した。
(ii)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを試料重量比で0.5重量%添加した以外は(i)と同様の操作を行った。
分子量増加率ΔMnは(i)で測定した2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン無添加時の数平均分子量(Mn1)と、(ii)で測定した2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン添加時の数平均分子量(Mn2)から前述の式(2)を用いて算出した。
・オートクレーブでの反応
攪拌機付きオートクレーブに48重量%の水硫化ナトリウム水溶液28.1g(水硫化ナトリウムとして0.241モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液21.1g(水酸化ナトリウムとして0.253モル)、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)31.8g(0.217モル)、及び、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)600g(6.05モル)を仕込むことで反応混合物を調製した。
オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で1.0MPaであった。その後250℃で2時間保持することで反応混合物を加熱し反応させた。
ADVANTEC社製の万能型タンク付フィルターホルダーKST−90−UHに、直径90mm,平均細孔直径10μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターをセットし、タンク部分をバンドヒーターにて100℃に調温した。100℃に加熱した反応生成物をタンクに仕込み、タンクを密閉後、タンク内を窒素にて0.1MPaに加圧し、濾液の排出が終わるまで固液分離を行った。
上記固液分離で得られた濾液成分100gを300mLフラスコに仕込み、フラスコ内を窒素で置換した。ついで撹拌しながら100℃に加温した後80℃に冷却した。この際、常温では一部不溶成分が存在したが100℃に到達した段階、さらに80℃に冷却した段階で不溶部は認められなかった。ついで系内温度80℃にて撹拌したまま、チューブポンプを用いて水33gを約15分かけてゆっくりと滴下した。ここで、水の滴下終了後の濾液混合物におけるNMPと水の重量比率は75:25であった。この濾液への水の添加において、水の滴下に伴い混合物の温度は約75℃まで低下し、また、混合物中に徐々に固形分が生成し、水の滴下が終了した段階では固形分が分散したスラリー状となった。このスラリーを撹拌したまま約1時間かけて約30℃まで冷却し、次いで30℃以下で約30分間撹拌を継続した後、得られたスラリーを目開き10〜16μmのガラスフィルターで吸引濾過した。得られた固形分を約30gの水に分散させ70℃で15分撹拌した後、前述同様にガラスフィルターで吸引濾過する操作を計4回繰り返した。得られた固形分を真空乾燥機70℃で3時間乾燥し、乾燥固体としてPPSプレポリマーを得た。このPPSプレポリマーを第1のプレポリマーと呼称する。
攪拌機付きオートクレーブに48重量%の水硫化ナトリウム水溶液28.1g(水硫化ナトリウムとして0.241モル)、48重量%の水酸化ナトリウム水溶液21.1g(水酸化ナトリウムとして0.253モル)、p−DCB35.4g(0.241モル)、及び、NMP600g(6.05モル)を仕込むことで反応混合物を調製した。また、反応混合物中のイオウ成分1モル当たり(スルフィド化剤として仕込んだ水硫化ナトリウムに含まれるイオウ原子1モル当たり)の、アリーレン単位(ジハロゲン化芳香族化合物として仕込んだp−DCBに相当)の量は1.00モルであった。 オートクレーブ内を窒素ガスで置換後に密封し、400rpmで撹拌しながら約1時間かけて室温から200℃まで昇温した。次いで200℃から250℃まで約0.5時間かけて昇温した。この段階の反応器内の圧力はゲージ圧で1.0MPaであった。その後250℃で2時間保持することで反応混合物を加熱し反応させた。
<参考例3>第1のPPSプレポリマーの加熱による、重量平均分子量が50,000以上、且つ、ΔWrが0.18以下のPPS樹脂(a)の調製
参考例1で得られた第1のPPSプレポリマーを、留出管および撹拌翼を取り付けたガラス製の試験管に仕込んだ後、試験管内の減圧、窒素置換を3回繰り返した。試験管内を減圧とし、約0.1kPaに保ったまま340℃に温調して180分加熱した後、室温まで冷却して塊状のPPS樹脂を得た。
参考例2で得られた第2のPPSプレポリマーを、留出管および撹拌翼を取り付けたガラス製の試験管に仕込んだ後、試験管内の減圧、窒素置換を3回繰り返した。試験管内を減圧とし、約0.1kPaに保ったまま340℃に温調して180分加熱した後、室温まで冷却して塊状のPPS樹脂を得た。
参考例1の反応生成物スラリーの固液分離を行った際に得られた固形分に対し、イオン交換水200gを加えスラリーとして、80℃で30分攪拌後、濾過して固形分を回収する操作を3回繰り返した。得られた固形分を減圧下130℃で8時間乾燥し、粉末状のPPS樹脂を得た。
参考例1で得られた第1のPPSプレポリマーと、PPSプレポリマー重量比で1.0重量%のビス(4−アミノフェニル)スルフィドを、留出管および撹拌翼を取り付けたガラス製の試験管に仕込み、試験管内の減圧、窒素置換を3回繰り返した。試験管内を窒素雰囲気としたまま、340℃に温調して60分加熱した後、試験管内を減圧し、約0.1kPaでさらに30分加熱した後、室温まで冷却して塊状のPPS樹脂を得た。
撹拌機および底栓弁を具備したオートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液8.17kg(水硫化ナトリウム3.92kg(70.0モル))、96%水酸化ナトリウム2.94kg(水酸化ナトリウム2.82kg(70.6モル))、NMP11.45kg(115.5モル)、酢酸ナトリウム1.89kg(23.1モル)、及びイオン交換水5.50kgを仕込んだ。
参考例7で得られた未乾燥PPS樹脂2.0kgおよび酢酸カルシウム一水和物11gを20リットルのイオン交換水に加え、70℃で30分撹拌後、目開き175μmの金網用いて濾過することで固液分離した。得られた固形分に20リットルのイオン交換水を加え、70℃で30分撹拌後、濾過して固形分を回収した。こうして得られた固形分を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、顆粒状のPPS樹脂を得た。
参考例7で得られた未乾燥PPS樹脂2.0kgを窒素気流下、120℃で乾燥することにより、顆粒状のPPS樹脂を得た。
得られたPPS樹脂は1−クロロナフタレンに210℃で全溶であり、得られたPPS樹脂についてGPC測定を行った結果、参考例8と同様に単峰性の分子量分布をもつことが分かった。ピークトップ分子量は48,400、数平均分子量は18,700、重量平均分子量は50,100、多分散度指数は2.68であった。次いで、得られたPPS樹脂の加熱時重量減少率を測定した結果、ΔWrは0.25%であった。また、得られたPPS樹脂のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量を定量した結果、ナトリウムが重量比で912ppm検出され、その他のアルカリ金属およびアルカリ土類金属は検出されなかった。さらに、得られたPPS樹脂について加熱時の発生ガス成分を定量した結果、加熱前のPPS樹脂重量に対して、γ−ブチロラクトンが978ppm、4−クロロ−N−メチルアニリンが402ppm検出された。さらに、得られたPPS樹脂の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン添加時の分子量変化率を測定した結果、ΔMnは8.0%であった。最後に、得られたPPS樹脂の加熱処理前後の溶融粘度測定を行った結果、η0およびη300はそれぞれ126Pa・s、102Pa・sであり、Δη300は0.81倍であった。
参考例7で得られた未乾燥PPS樹脂2.0kgを20リットルのイオン交換水に加え、pHが7となるよう酢酸を添加したあと、70℃で30分撹拌後、目開き175μmの金網を用いて濾過することで固液分離した。得られた固形分に20リットルのイオン交換水を加え、70℃で30分撹拌後、濾過して固形分を回収した。こうして得られた固形分を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、顆粒状のPPS樹脂を得た。
参考例7で得られた未乾燥PPS樹脂2.0kgおよび酢酸10gを20リットルのイオン交換水に加えた。このときの溶液のpHは4であった。70℃で30分撹拌後、目開き175μmの金網を用いて濾過することで固液分離した。得られた固形分に20リットルのイオン交換水を加え、70℃で30分撹拌後、濾過して固形分を回収した。こうして得られた固形分を窒素気流下、120℃で乾燥することにより、顆粒状のPPS樹脂を得た。
参考例1で得られた第1のPPSプレポリマーと、PPSプレポリマー重量比で0.044重量%の酢酸カルシウム一水和物を、留出管および撹拌翼を取り付けたガラス製の試験管に仕込み、試験管内の減圧、窒素置換を3回繰り返した。試験管内を減圧とし、約0.1kPaに保ったまま340℃に温調して180分加熱した後、室温まで冷却して塊状のPPS樹脂を得た。
参考例11で得られた重量平均分子量50,300のPPS樹脂90重量%と、参考例5で得られた重量平均分子量12,000のPPS樹脂10重量%をドライブレンドした後、真空ベントを具備した日本製鋼所製TEX30α型二軸押出機(スクリュー径30mm、L/D=45、ニーディング部は5箇所、同方向回転完全噛み合い型スクリュー)を用いて溶融混練し、ストランドカッターによりペレット化した。溶融混練の条件は、スクリュー回転数300rpm、吐出量20Kg/hrであって、ダイス吐出部の樹脂温度が300℃となるようにシリンダー温度を設定した。130℃で一晩乾燥したペレットについてGPC測定を行った結果、図11に示すような単峰性の分子量分布をもつことが分かった。
表1〜3に示す配合比で各成分をドライブレンドし、参考例13に記載の条件にて溶融混練後、ペレット化した。130℃で一晩乾燥したペレットを分析した結果を表1〜3に記載する。実施例1〜7については、そのGPCチャートを図1〜7に示す。また、溶液重合で得られたPPS樹脂(参考例8〜11)の分析結果を、実施例との比較のために表4に示す。実施例1で得られたPPS樹脂は1−クロロナフタレンに210℃で全溶であり、GPC測定を行った結果、図1に示すような二峰性分子量分布をもつチャートが得られた。メインピークのピークトップ分子量は38,200、数平均分子量は17,600、重量平均分子量は49,700、多分散度指数は2.82、サブピークのピークトップ分子量は700、数平均分子量は800、重量平均分子量は900、多分散度指数は1.10であった。
Claims (8)
- ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)〜(c)の合計を100重量%としたときに、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)90〜50重量%に対して、ポリフェニレンスルフィド樹脂(b)および/またはポリフェニレンスルフィド樹脂(c)を合計で10〜50重量%配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であって、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、
(i)分子量10,000以上1,000,000以下の領域にメインピークのピークトップを有し、
(ii)分子量100以上10,000未満の領域にサブピークのピークトップを有し、
(iii)サブピークの面積分率が1.0〜20%であって、
且つ、320℃で5時間加熱した際の粘度変化率が1.5倍以下であって、アルカリ土類金属の含有量が1,000ppm以下であり、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.30%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a):下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドを85重量%以上含み、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱して、重量平均分子量50,000以上の高重合度体に転化させることにより得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(b):アルカリ金属硫化物とイオウ成分1モル当たり1.05モル以上1.50モル以下のジハロ芳香族化合物とを、イオウ成分1モル当たり1.25L以上の有機アミド溶媒中で反応して得られた反応混合液を、有機アミド溶媒の常圧における沸点以下の温度で固液分離して得られた固形分から溶媒を除去する方法または下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドの含有量が80重量%未満、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを加熱する方法のいずれかで得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量が20,000以下であって、アルカリ土類金属の含有量が200ppm未満であって、且つ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.5重量%添加し320℃で10分加熱した際の分子量増加率が5.0%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(c):アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、有機アミド溶媒中で反応して得られた高重合度体を、アルカリ土類金属(d)イオンを含む溶液と接触させる方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量10,000以上1,000,000未満であって、且つ、アルカリ土類金属(d)を200〜800ppm含有し、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%を超えるポリフェニレンスルフィド樹脂
ΔWr=(W1−W2)/W1×100(%)・・・(1)
(ここでΔWrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
- 上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)の重量平均分子量を数平均分子量で除した多分散度指数が2.5以下である請求項1に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)のアルカリ金属含有量が重量比で700ppm以下である請求項1または2に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を加熱した際に発生するガスの成分におけるラクトン型化合物の含有量が、ポリフェニレンスルフィド樹脂重量基準で500ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)を加熱した際に発生するガスの成分におけるアニリン型化合物の含有量が、ポリフェニレンスルフィド樹脂重量基準で300ppm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 上記ポリフェニレンスルフィド樹脂(b)を加熱した際に発生するガスの成分におけるラクトン型化合物の含有率が、ポリフェニレンスルフィド樹脂重量基準で500ppm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- 上記アルカリ土類金属(d)がカルシウムである請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
- ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)〜(c)の合計を100重量%としたときに、ポリフェニレンスルフィド樹脂(a)90〜50重量%に対して、ポリフェニレンスルフィド樹脂(b)および/またはポリフェニレンスルフィド樹脂(c)を合計で10〜50重量%配合するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、得られるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の、320℃で5時間加熱した際の粘度変化率が1.5倍以下であって、アルカリ土類金属の含有量が1,000ppm以下であり、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.30%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(a):下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドを85重量%以上含み、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱して、重量平均分子量50,000以上の高重合度体に転化させることにより得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(b):アルカリ金属硫化物とイオウ成分1モル当たり1.05モル以上1.50モル以下のジハロ芳香族化合物とを、イオウ成分1モル当たり1.25L以上の有機アミド溶媒中で反応して得られた反応混合液を、有機アミド溶媒の常圧における沸点以下の温度で固液分離して得られた固形分から溶媒を除去する方法または下記一般式(A)で表わされる環式ポリフェニレンスルフィドの含有量が80重量%未満、且つ、重量平均分子量が10,000未満であるポリフェニレンスルフィドプレポリマーを加熱する方法のいずれかで得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量が20,000以下であって、アルカリ土類金属の含有量が200ppm未満であって、且つ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを0.5重量%添加し320℃で10分加熱した際の分子量増加率が5.0%以下であるポリフェニレンスルフィド樹脂
ポリフェニレンスルフィド樹脂(c):アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、有機アミド溶媒中で反応して得られた高重合度体を、アルカリ土類金属(d)イオンを含む溶液と接触させる方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂であって、重量平均分子量10,000以上1,000,000未満であって、且つ、アルカリ土類金属(d)を200〜800ppm含有し、且つ、下記式(1)で表される、加熱した際の重量減少率ΔWrが0.18%を超えるポリフェニレンスルフィド樹脂
ΔWr=(W1−W2)/W1×100(%)・・・(1)
(ここでΔWrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、100℃到達時の試料重量(W1)と、330℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である。)
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