JP6337454B2 - 表示装置用前面板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表示装置の前面に配置される表示装置用前面板およびその製造方法に関するものである。
一般に、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示装置、電子ペーパー等の表示装置の前面には、表示装置の保護のために前面板が設けられている。前面板としては、耐衝撃性の観点から強化ガラス基板を用いることが知られている。このような表示装置においては、前面板と空気との界面の屈折率差により光の反射が起こり、視認性が低下する。そこで、前面板の最表面に反射防止フィルムや反射防止層を配置することが提案されている。
反射防止フィルムとしては、例えばTACフィルムやPETフィルム等の透明基材上に反射防止層を形成したものを挙げることができ、反射防止層としては、例えば高屈折率層および低屈折率層が積層されたものが挙げられる。このような反射防止フィルムは、前面板の最表面に粘着層や接着層を介して貼付される。
反射防止フィルムは前面板に貼付するだけで反射防止性を付与することができる。しかしながら、反射防止フィルムにおいては透明基材および粘着層または接着層が存在するため、光学設計が複雑になる。また、透明基材にはうねりがあるため、平坦性が低下し、表示品位が劣化する。また、反射防止フィルムを貼付する際に異物や気泡の混入等の不具合が生じ、歩留りが低下する。また、透明基材および粘着層または接着層によって、透過率が低下する。
一方、反射防止層としては、例えばスパッタリング法や真空蒸着法等のドライプロセスにより形成された無機膜を挙げることができる。このような反射防止層は強化ガラス基板上に形成可能であることから、上記の反射防止フィルムにおける問題点を解消することができる。また、無機膜は膜強度が高く、表面硬度の高い反射防止層を得ることができる。
しかしながら、無機膜では低屈折率化が難しく、高屈折率層および低屈折率層を交互に複数積層するのが一般的である。この場合、ドライプロセスにより複数層を積層するため、生産性が低下し、製造コストがかかる。特に、大面積の表示装置に用いられる前面板の場合には設備が大掛かりになりコストが増大する。また、ドライプロセスの場合には、反射防止層の厚みの面内分布にばらつきが生じ、反射防止性の均一性が損なわれる。
このような問題点を解決するために、例えば特許文献1〜5には前面板に塗布により反射防止層を形成する技術が提案されている。この場合、生産性やコスト面で有利である。
特開2012−88683号公報 特開2012−88684号公報 特開2012−150418号公報 特開2012−189986号公報 特開2012−225992号公報
塗布により反射防止層を形成する場合、反射防止層の構成としては、例えばガラス基板上に高屈折率層および低屈折率層が積層された構成が挙げられる。また、高屈折率層としては、例えばバインダー樹脂および高屈折率微粒子を含有するものが挙げられ、高屈折微粒子としては、例えば金属酸化物微粒子が使用されている。また、低屈折率層としては、例えばバインダー樹脂および低屈折率微粒子を含有するものが挙げられ、低屈折率微粒子としては、例えば中空粒子や多孔質粒子が使用されている。
高屈折率層の形成方法としては、例えばガラス基板上に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が提案されている。この方法では、硬化時にガラス基板と高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜とで収縮の程度が異なり、ガラス基板に対する高屈折率層の密着性が低下する場合がある。また、高屈折率層用硬化性樹脂組成物中の樹脂成分の種類によっては、空気中の酸素により硬化反応が阻害され、ガラス基板に対する高屈折率層の密着性が低下する場合がある。特に、高屈折率層が高屈折率微粒子を含有する場合や、高屈折率層の厚みが薄い場合には、硬化反応が不十分になりやすく、密着性の低下が懸念される。また、高屈折率微粒子は、中実粒子が使用されるため、中空粒子や多孔質粒子である低屈折率微粒子と比較して沈降しやすく、高屈折率層とガラス基板との界面に存在しやすいと考えられ、そのような場合にはガラス基板に対する高屈折率層の密着性が低下する傾向がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、ガラス基板に対する高屈折率層の密着性が良好であり、反射防止性に優れる安価な表示装置用前面板およびその製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板上に直に形成されたプライマー層と、上記プライマー層上に直に形成され、第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層と、上記高屈折率層上に形成され、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有し、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層とを有することを特徴とする表示装置用前面板を提供する。
本発明によれば、高屈折率層および低屈折率層はいずれもバインダー樹脂を含有するものであるためウェットプロセスにより形成可能であり、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる安価な表示装置用前面板を得ることが可能である。また、本発明によれば、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層が形成されていることにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、さらに高屈折率層の厚みが比較的薄い場合であっても、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることが可能である。
上記発明においては、上記第1バインダー樹脂が紫外線硬化樹脂であることが好ましい。紫外線硬化樹脂では空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合があり、特に高屈折率層は金属酸化物微粒子を含有し、さらに高屈折率層の厚みは比較的薄いので、硬化反応が不十分になりやすく、高屈折率層の密着性の低下が懸念される。これに対し本発明においては、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層が形成されているため、紫外線硬化樹脂を用いた場合であっても、高屈折率層の密着性を確保することができる。
また本発明においては、上記プライマー層が、上記高屈折率層側の面に凹凸を有していてもよい。プライマー層および高屈折率層の密着性を向上させることができるからである。
また本発明は、強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、上記プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、上記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法を提供する。
本発明によれば、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層のいずれもウェットプロセスにより形成するため、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる表示装置用前面板を低コストで製造することが可能である。また本発明によれば、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層を形成することにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、さらに高屈折率層の厚みが比較的薄い場合であっても、強化ガラス基板に対する密着性が良好な高屈折率層を得ることが可能である。
上記発明においては、上記プライマー層形成工程および上記高屈折率層形成工程では、上記プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜上に上記高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、上記プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜および上記高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させてもよい。プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜が未硬化または半硬化の状態で高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布することにより、プライマー層との密着性が良好な高屈折率層を得ることができる。
本発明においては、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性が良好であり、反射防止性に優れる安価な表示装置用前面板を提供することが可能であるという効果を奏する。
本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の表示装置用前面板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.表示装置用前面板
本発明の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板上に直に形成されたプライマー層と、上記プライマー層上に直に形成され、第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層と、上記高屈折率層上に形成され、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有し、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層とを有することを特徴とするものである。
ここで、「強化ガラス基板上に直に形成されたプライマー層」とは、強化ガラス基板とプライマー層とが直に接しており、強化ガラス基板とプライマー層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
また、「プライマー層上に直に形成された高屈折率層」とは、プライマー層と高屈折率層とが直に接しており、プライマー層と高屈折率層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
本発明の表示装置用前面板について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2上に直に形成されたプライマー層3と、プライマー層3上に直に形成された高屈折率層4と、高屈折率層4上に形成された低屈折率層5とを有している。高屈折率層4は第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有し、低屈折率層5は第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有している。
本発明においては、高屈折率層および低屈折率層はいずれもバインダー樹脂を含有するものであるためウェットプロセスにより形成可能であり、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる安価な表示装置用前面板を得ることが可能である。
また本発明においては、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層が形成されていることにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有していても、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることが可能である。また、高屈折率層の厚みが比較的薄く、空気中の酸素により硬化反応が阻害された場合であっても、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を確保することができる。
以下、本発明の表示装置用前面板における各構成について説明する。
1.強化ガラス基板
本発明における強化ガラス基板は、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層を支持するものである。
ここで、「強化ガラス」とは、ガラスの表面に圧縮応力層が設けられたものである。圧縮応力層は、例えばガラス中のナトリウムをカリウムに置換することにより形成される。このような圧縮応力層がガラスの表面に形成されていることにより、強化ガラス基板に何らかの衝撃が加えられた場合に強化ガラス基板が割れるのを抑制することができる。
圧縮応力層の厚みは特に限定されることはなく、要求特性に応じて適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、圧縮応力層の厚みは約5μm〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、圧縮応力層の厚みは、約10μm〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。圧縮応力層の厚みが約10μm〜35μmの範囲内である場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、圧縮応力層の厚みが35μm以上である場合は、仮にダイヤモンドカッター等の高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。そのため、圧縮応力層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に圧縮応力層が形成されることが好ましい。
このように表面に圧縮応力層が形成されたガラスの例としては、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。
強化ガラス基板の材料としては、例えば化学強化ガラスを用いることができ、光透過性や耐久性等に応じて適宜選択される。
強化ガラス基板の厚みとしては、表示装置用前面板として使用可能な程度であればよく、表示装置用前面板に求められる強度や、表示装置用前面板が使用される表示装置の寸法等に応じて適宜設定され、例えば0.1mm〜1.5mmの範囲内にすることができる。
ここで、各部材の「厚み」とは、一般的な測定方法によって得られる厚みをいう。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等を挙げることができる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P−15を用いて厚みを測定することができる。なお、厚みとして、対象となる部材の複数箇所における厚み測定結果の平均値が用いられてもよい。
2.プライマー層
本発明におけるプライマー層は、上記強化ガラス基板上に直に形成されるものである。プライマー層が形成されていることにより、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることができる。
プライマー層の屈折率は、強化ガラス基板の屈折率以上であり、高屈折率層の屈折率以下であることが好ましい。また、プライマー層の屈折率は、強化ガラス基板の屈折率との差が小さいあるいは高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば強化ガラス基板の屈折率との差が0.03以内あるいは高屈折率層の屈折率との差が0.03以内であることが好ましい。特に、プライマー層の屈折率は強化ガラス基板の屈折率との差が小さいことが好ましい。具体的には、強化ガラス基板の屈折率が1.51である場合、プライマー層の屈折率は1.51〜1.54の範囲内であることが好ましい。この場合、プライマー層と強化ガラス基板との界面で光が反射するのを抑制することができる。
ここで、各部材の「屈折率」とは、波長550nmの光に対する屈折率をいう。屈折率の測定方法は特に限定されないが、例えば、分光反射スペクトルから算出する方法、エリプソメーターを用いて測定する方法、アッベ法を挙げることができる。エリプソメーターとしてはジョバンーイーボン社製UVSELが挙げられる。具体的には、テクノ・シナジー社製DF1030Rにて屈折率を測定することができる。
プライマー層の材料としては、強化ガラス基板および高屈折率層との密着性を有し、光透過性を有し、上記の屈折率を満たすプライマー層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、熱硬化樹脂、および、紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂を挙げることができる。具体的には、後述の高屈折率層に用いられる第1バインダー樹脂や、低屈折率層に用いられる第2バインダー樹脂と同様のものが挙げられる。
また、プライマー層は、必要に応じて、重合開始剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、図2に例示するように、プライマー層3は、高屈折率層4側の面に凹凸を有していてもよい。これにより、プライマー層および高屈折率層の密着性を高めることができる。凹凸の高低差やピッチとしては、高屈折率層との密着性を高めることが可能な程度であればよく、適宜調整される。凹凸は、規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
プライマー層の厚みとしては、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることが可能な程度であれば特に限定されるものではない。例えば、プライマー層の厚みを高屈折率層の厚みよりも厚くすることにより、強化ガラス基板および高屈折率層との密着性を高めることができる。具体的には、密着性の観点から、プライマー層の厚みは、0.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。一方、プライマー層の厚みが厚いと、本発明の表示装置用前面板の硬度や強度が低下する場合がある。そのため、硬度および強度の観点から、プライマー層の厚みは上記範囲の中でも比較的薄いことが好ましい。
プライマー層の形成方法としては、強化ガラス基板上にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、プライマー層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
3.高屈折率層
本発明における高屈折率層は、プライマー層上に直に形成され、低屈折率層よりも屈折率が高く、第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有するものである。
高屈折率層の屈折率としては、低屈折率層の屈折率よりも高く、強化ガラス基板の屈折率よりも高ければよい。なお、強化ガラス基板の屈折率は、例えば1.51である。具体的には、高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲内であることが好ましい。
高屈折率層に用いられる第1バインダー樹脂としては、光透過性を有し、上記の屈折率を満たす高屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、成膜性や膜強度等の観点から適宜選択される。中でも、第1バインダー樹脂は、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂であることが好ましい。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂、電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも、電離放射線硬化樹脂が好ましい。高屈折率層の表面硬度を高めることができるからである。
ここで、「電離放射線硬化樹脂」とは、電離放射線の照射により硬化した樹脂をいう。「電離放射線」とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい、例えば、紫外線や電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
電離放射線硬化樹脂としては、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を挙げることができる。中でも、紫外線硬化樹脂が好ましい。紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂の場合には、空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合がある。特に、高屈折率層は金属酸化物微粒子を含有し、さらに厚みが比較的薄いので硬化反応が不十分になりやすく、密着性の低下が懸念される。これに対し本発明においては、高屈折率層の下にプライマー層が形成されているため、紫外線硬化樹脂や電子線硬化樹脂を用いた場合であっても、密着性を確保することができる。
具体的に、第1バインダー樹脂としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報等に記載されている高屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
金属酸化物微粒子としては、上記の屈折率を満たす高屈折率層を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、中でも金属酸化物微粒子の屈折率は1.5〜2.8程度であることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(1.90〜2.00)、β−Al(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO(屈折率:2.4)、ZnSb(屈折率:1.9〜2.0)、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00、)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。
また、金属酸化物微粒子は、表面処理されたものであってもよい。金属酸化物微粒子に表面処理を施すことにより、第1バインダー樹脂や溶媒との親和性が向上し、金属酸化物微粒子の分散が均一となり、金属酸化物微粒子同士の凝集が生じにくくなるので、高屈折率層の光透過性の低下や、高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布性、高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜強度の低下を抑制することができる。
表面処理された金属酸化物微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、金属酸化物微粒子は、その表面に光硬化性基を有する反応性微粒子であってもよい。
金属酸化物微粒子の平均粒径としては、均一な厚みを有する高屈折率層を形成可能な程度であればよく、例えば5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜100nmの範囲内、特に10nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、高屈折率層の光透過性を損なうことがなく、良好な金属酸化物微粒子の分散状態が得られる。なお、金属酸化物微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径は1次粒径および2次粒径のいずれであってもよく、また金属酸化物微粒子が鎖状に連なっていてもよい。
ここで、金属酸化物微粒子の平均粒径は、高屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
金属酸化物微粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、鎖状、針状等を挙げることができる。
高屈折率層における第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子の含有量としては、高屈折率層全体としての屈折率が上記の屈折率を満たすように適宜設定される。
電離放射線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を用いる場合、高屈折率層は光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤としては、一般的なものから適宜選択することができる。
高屈折率層は、所望の物性に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば分散助剤、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤等が挙げられる。
高屈折率層の厚みは、屈折率に応じて異なるが、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。高屈折率層の厚みが上記のように薄い場合、高屈折率層に含有される第1バインダー樹脂の種類によっては空気中の酸素により硬化反応が阻害される場合がある。このような場合、密着性の低下が懸念される。これに対し本発明においては、高屈折率層の下にプライマー層が形成されているため、高屈折率層の厚みが薄くとも密着性を確保することができる。
高屈折率層の形成方法としては、プライマー層上に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、高屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
4.低屈折率層
本発明における低屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率が低く、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有するものである。
低屈折率層の屈折率としては、高屈折率層の屈折率よりも低く、強化ガラス基板の屈折率よりも低ければよい。具体的には、低屈折率層の屈折率は1.3〜1.4の範囲内であることが好ましい。
低屈折率層に用いられる第2バインダー樹脂としては、光透過性を有し、上記の屈折率を満たす低屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、成膜性や膜強度等の観点から適宜選択される。例えば、第2バインダー樹脂としては、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射により硬化した硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂としては、例えば熱硬化樹脂や電離放射線硬化樹脂が挙げられる。中でも、電離放射線硬化樹脂が好ましい。低屈折率層の表面硬度を高めることができるからである。また、電離放射線硬化樹脂としては、例えば紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を用いることができる。中でも、紫外線硬化樹脂が好ましい。
具体的に、第2バインダー樹脂としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
屈折率調整微粒子としては、上記の屈折率を満たす低屈折率層を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、無機系、有機系のいずれも用いることができる。中でも、屈折率が低いことから、中空粒子や多孔質粒子が好ましく用いられる。中空粒子および多孔質粒子としては、例えば、多孔質シリカ粒子、中空シリカ粒子、多孔質ポリマー粒子、中空ポリマー粒子が挙げられる。
また、屈折率調整微粒子は、表面処理されたものであってもよい。屈折率調整微粒子に表面処理を施すことにより、第2バインダー樹脂や溶媒との親和性が向上し、屈折率調整微粒子の分散が均一となり、屈折率調整微粒子同士の凝集が生じにくくなるので、低屈折率層の光透過性の低下や、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布性、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜強度の低下を抑制することができる。
表面処理された屈折率調整微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2008−9348号公報に記載されているものを挙げることができる。
また、屈折率調整微粒子は、その表面に光硬化性基を有する反応性微粒子であってもよい。
具体的に、屈折率調整微粒子としては、特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層に用いられるものを挙げることができる。
屈折率調整微粒子の平均粒径としては、均一な厚みを有する低屈折率層を形成可能な程度であればよく、例えば5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも5nm〜100nmの範囲内、特に10nm〜80nmの範囲内であることが好ましい。屈折率調整微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、低屈折率層の光透過性を損なうことがなく、良好な屈折率調整微粒子の分散状態が得られる。なお、屈折率調整微粒子の平均粒径が上記範囲内にあれば、平均粒径は1次粒径および2次粒径のいずれであってもよく、また屈折率調整微粒子が鎖状に連なっていてもよい。
ここで、屈折率調整微粒子の平均粒径は、低屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
屈折率調整微粒子の形状は特に限定されるものではなく、例えば、球状、鎖状、針状等を挙げることができる。
低屈折率層における第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子の含有量としては、低屈折率層全体としての屈折率が上記の屈折率を満たすように適宜設定される。
電離放射線硬化樹脂として紫外線硬化樹脂を用いる場合、低屈折率層は光重合開始剤を含有していてもよい。また、低屈折率層は、所望の物性に応じて各種添加剤を含有していてもよい。なお、光重合開始剤、各種添加剤については、上記高屈折率層と同様とすることができる。
低屈折率層の厚みは、屈折率に応じて異なるが、可視光領域における反射を低減する観点から、50nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。
低屈折率層の形成方法としては、高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、低屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
5.保護層
本発明においては、図3に例示するように、低屈折率層5上に保護層6が形成されていてもよい。
本発明においては、密着性向上のためにプライマー層を形成するのであるが、プライマー層の厚みを厚くすると密着性が向上する反面、表示装置用前面板の硬度および強度が低下し、耐擦傷性が劣化する傾向がある。これに対し、本発明の表示装置用前面板の最表面に保護層が形成されていることにより、表示装置用前面板の表面の硬度および強度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることができる。
保護層の硬度としては、表示装置用前面板に所望の耐擦傷性を付与することが可能な程度であれば特に限定されるものではないが、具体的には、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましい。
保護層としては、上記の硬度を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂を含有するものや、樹脂および無機微粒子を含有するものを挙げることができる。
保護層に用いられる樹脂としては、硬度および強度を確保する意味で、熱硬化樹脂または電離放射線硬化樹脂であることが好ましい。なお、要求の度合いによっては、熱可塑性樹脂を用いてもよい。
熱硬化樹脂および電離放射線硬化樹脂としては、例えば特開2003−236970号公報に記載されているハードコート薄層に用いられるものを挙げることができる。
保護層は、例えば熱硬化性樹脂組成物または電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である。熱硬化性樹脂組成物および電離放射線硬化性樹脂組成物には、ポリシロキサン成分、具体的には有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。有機反応性ケイ素化合物を併用すると、塗膜の硬度および強度が維持されると共に塗膜表面の滑り性が増して、耐擦傷性が向上し、また表面に離型性を与えるので、防汚性が向上する利点がある。この場合、熱硬化性樹脂組成物および電離放射線硬化性樹脂組成物は、樹脂成分として、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の極性基が導入されたものを含有することが好ましい。このような樹脂成分は有機反応性ケイ素化合物との間で共有結合を形成し、塗膜の硬度および強度のさらなる向上が可能となるからである。
有機反応性ケイ素化合物としては、例えば特開2003−236970号公報に記載されているハードコート薄層に用いられるものを挙げることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物および熱硬化性樹脂組成物には、有機反応性ケイ素化合物以外に、一般式AnMBx-nで表される有機金属化合物を併用してもよい。上記式において、Aは加水分解可能な官能基もしくは加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Mは金属原子、Bは金属原子Mに共有結合もしくはイオン結合した原子団を表す。また、Bの添え字x−nにおけるxは金属原子Mの原子価であり、Aの添え字でもあるnは2以上x以下の整数を表す。具体的に、有機金属化合物としては、特開2003−236970号公報に記載されているハードコート薄層に用いられるものを挙げることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、ウレタンアクリレート、特にポリウレタンアクリレートを併用してもよい。一般的にアクリレート類、特に多官能アクリレートは硬度の優れた塗膜を与える反面、塗膜の耐衝撃性が低くなり脆くなる場合があるが、ポリウレタンアクリレートを加えることにより、耐衝撃性が改善され、塗膜が柔軟性を帯びるようになるからである。
保護層に用いられる無機微粒子としては、屈折率が比較的高い微粒子を使用することができる。具体的に、無機微粒子としては、特開2003−236970号公報に記載されているハードコート薄層に用いられるものを挙げることができる。
保護層は、必要に応じて、重合開始剤、紫外線遮断剤、紫外線吸収剤、レベリング剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
保護層の屈折率としては、所望の反射防止性を有する表示装置用前面板を得ることが可能な程度であればよく、例えば1.30〜1.60の範囲内であることが好ましい。また、保護層の屈折率は、低屈折率層の屈折率よりも大きいことが好ましく、具体的には低屈折率層の屈折率よりも0.14〜0.28の範囲内で大きいことが好ましい。
保護層の屈折率が低屈折率層よりも大きい場合、保護層と空気との屈折率差が大きくなり、保護層単層でみた場合には反射率は大きくなるが、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層の屈折率および膜厚を調整することで、反射率を保護層が無い場合と同等にすることができる。
一方、保護層の屈折率は、低屈折率層の屈折率以下であってもよい。表示装置用前面板の最表面に屈折率の低い保護層が形成されていることにより、表示装置用前面板の最表面における光の反射を低減することができる。
保護層の厚みとしては、所望の硬度および強度を有する表示装置用前面板を得ることが可能な程度であればよいが、低屈折率層の厚みの1/2以下であることが好ましい。具体的には5nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。保護層の厚みが薄いと、表面の硬度および強度が十分得られない場合がある。また、保護層の厚みが厚いと、反射防止性が低下する場合がある。
保護層の形成方法としては、例えば、低屈折率層上に保護層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。
なお、保護層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
6.用途
本発明の表示装置用前面板は、例えば液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示装置、無機EL表示装置、電子ペーパー等の表示装置に用いることができる。また、本発明の表示装置用前面板の用途としては、例えば携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルサイネージ、ウェアラブル端末等を挙げることができる。中でも、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、本発明の表示装置用前面板は大面積の表示装置に好適である。特に、テレビが好ましく、大型テレビがより好ましい。
7.製造方法
本発明の表示装置用前面板は、後述の表示装置用前面板の製造方法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層はウェットプロセスで形成されたものであることが好ましい。大面積の強化ガラス基板上に安価かつ容易に均一な層を形成することができるからである。
B.表示装置用前面板の製造方法
本発明の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、上記プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、上記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有することを特徴とする。
ここで、「強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成する」とは、強化ガラス基板とプライマー層とが直に接しており、強化ガラス基板とプライマー層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
また、「プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する」とは、プライマー層と高屈折率層とが直に接しており、プライマー層と高屈折率層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
本発明の表示装置用前面板の製造方法について図面を参照して説明する。
図4(a)〜(c)は本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように、強化ガラス基板2上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、熱により硬化させてプライマー層3を形成するプライマー層形成工程を行う。次いで、図4(b)に示すように、プライマー層3上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて高屈折率層4を形成する高屈折率層形成工程を行う。次に、図4(c)に示すように、高屈折率層4上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて低屈折率層5を形成する低屈折率層形成工程を行う。
本発明においては、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層のいずれもウェットプロセスにより形成するため、大面積であっても均一な層を容易に形成することができる。したがって、反射防止性に優れる表示装置用前面板を低コストで製造することが可能である。
また本発明においては、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層を形成することにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、さらに高屈折率層の厚みが比較的薄い場合であっても、強化ガラス基板に対する密着性が良好な高屈折率層を得ることが可能である。
以下、本発明の表示装置用前面板の製造方法における各工程について説明する。
1.プライマー層形成工程
本発明においては、強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程を行う。
プライマー層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、適宜選択される。
塗布方法としては、例えば、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等の強化ガラス基板の全域にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布する方法や、インクジェット法等の強化ガラス基板上にプライマー層用硬化性樹脂組成物を吐出する方法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、シルクスクリーン印刷法等の印刷法等が挙げられる。
プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線または電子線の照射が挙げられる。塗膜を硬化させる際には、酸素による硬化阻害を抑制するために、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気とすることが好ましい。
また、表面に凹凸を有するプライマー層を形成する場合には、例えば強化ガラス基板上にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥させた後、塗膜に凹凸形成用基板または凹凸形成用ロールを圧着させた状態で硬化し、凹凸形成用基板または凹凸形成用ロールを剥離する方法や、プライマー層表面を研磨する方法が挙げられる。
なお、プライマー層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
2.高屈折率層形成工程
本発明においては、上記プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程を行う。
高屈折率層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と金属酸化物微粒子と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報等に記載されている高屈折率層の形成に用いられるものを挙げることができる。
塗布方法としては、プライマー層の形成方法と同様とすることができる。
高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線や電子線等の電離放射線の照射が挙げられる。塗膜を硬化させる際には、酸素による硬化阻害を抑制するために、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気とすることが好ましい。また、硬化条件としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報等に記載されている条件を適用することができる。
本発明においては、プライマー層形成工程および高屈折率層形成工程では、プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜上に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布した後、プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜および高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗膜を硬化させてもよい。すなわち、プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗膜が未硬化または半硬化の状態で高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布してもよい。この場合、密着性が良好なプライマー層および高屈折率層を得ることができる。
このような場合において、プライマー層の屈折率は、高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば高屈折率層の屈折率との差が0.03以内であることが好ましい。
なお、高屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
3.低屈折率層形成工程
本発明においては、上記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程を行う。
低屈折率層用硬化性樹脂組成物は、例えば樹脂成分と屈折率調整微粒子と各種添加剤と溶媒とを含有するものである。溶媒としては、各成分を溶解もしくは分散させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば特開2013−142817号公報、特開2012−150226号公報、特開2011−170208号公報、特開2009−86360号公報、特開2008−9347号公報等に記載されている低屈折率層の形成に用いられるものを挙げることができる。
低屈折率層の形成方法は、高屈折率層の形成方法と同様とすることができる。
なお、低屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
4.保護層形成工程
本発明においては、上記低屈折率層上に保護層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて保護層を形成する保護層形成工程を行ってもよい。
塗布方法としては、プライマー層の形成方法と同様とすることができる。
保護層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射が挙げられる。
なお、保護層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(準備)
下記の材料を用いて表示装置用前面板を作製した。
強化ガラス基板:Dragontrail(旭硝子社製) 大きさ100mm×100mm 厚み0.7mm
低屈折率層材 :TU2205(JSR社製、n=1.35)
高屈折率層材 :KZ6719(JSR社製、n=1.65)
KZ6661(JSR社製、n=1.60)
プライマー層材:Z7503(JSR社製、n=1.51)
保護層材 :TU2359(JSR社製、n=1.37)
[実施例1]
まず、プライマー層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のZ7503を用い、強化ガラス基板上にプライマー層用硬化性樹脂組成物を所定の膜厚になるようにスピンコーティングし、N雰囲気下、露光照度30mWの高圧水銀ランプを用いて30秒間露光し、230℃で20分間乾燥して、プライマー層を形成した。次いで、高屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のKZ6661を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、プライマー層上に高屈折率層を形成した。次に、低屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のTU2205を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、高屈折率層上に低屈折率層を形成した。これにより表示装置用前面板を得た。
[実施例2]
プライマー層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
[実施例3]
プライマー層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
[実施例4]
高屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のKZ6719を用い、高屈折率層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
[実施例5]
高屈折率層および低屈折率層の膜厚を調整したこと以外は実施例1と同様にして低屈折率層まで形成した。次に、保護層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のTU2359を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、低屈折率層上に保護層を形成した。これにより表示装置用前面板を得た。
[実施例6]
高屈折率層、低屈折率層および保護層の膜厚を変更したこと以外は実施例5と同様にして表示装置用前面板を作製した。
[比較例1]
プライマー層を形成せず、高屈折率層および低屈折率層の膜厚を調整したこと以外は実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
[評価]
(密着性)
表示装置用前面板について、JIS K5600に準拠するクロスカット法により、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を評価した。
A:剥がれ面積 5%未満
B:剥がれ面積 5%以上35%未満
C:剥がれ面積 35%以上
(反射見栄え)
表示装置用前面板の強化ガラス基板側の面に黒テープを添付して、日本分光株式会社製の絶対反射率測定装置VAR−7010にて反射率を測定した。光源はD65にて評価を行った。
A:反射率 0.5%未満
B:反射率 0.5%以上1.0%未満
C:反射率 1.0%以上
(鉛筆硬度)
表示装置用前面板について、JIS5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験を行い、表示装置用前面板の表面の硬度を測定した。
A:3H以上
B:H以上3H未満
C:H未満
Figure 0006337454
1 … 表示装置用前面板
2 … 強化ガラス基板
3 … プライマー層
4 … 高屈折率層
5 … 低屈折率層
6 … 保護層

Claims (4)

  1. 強化ガラス基板と、
    前記強化ガラス基板上に直に形成された紫外線硬化樹脂であるプライマー層と、
    前記プライマー層上に直に形成され、紫外線硬化樹脂である第1バインダー樹脂および中実粒子である金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層と、
    前記高屈折率層上に形成され、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有し、前記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層と、
    前記低屈折率層上に形成された保護層と、
    を有し、
    前記プライマー層の厚みが、0.5μm〜3.5μmの範囲内であり、
    前記保護層の厚みが、前記低屈折率層の厚みの1/2以下であり、
    前記高屈折率層の膜厚が、50nm〜200nmの範囲内であることを特徴とする表示装置用前面板。
  2. 前記プライマー層が、前記高屈折率層側の面に凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置用前面板。
  3. 強化ガラス基板上に直にプライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
    前記プライマー層上に直に高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、
    前記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、前記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程と、
    前記低屈折率層上に保護層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて保護層を形成する保護層形成工程と、
    を有し、
    前記プライマー層の厚みが、0.5μm〜3.5μmの範囲内であり、
    前記保護層の厚みが、前記低屈折率層の厚みの1/2以下であり、
    前記高屈折率層の膜厚が、50nm〜200nmの範囲内であり、
    前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物が紫外線硬化樹脂である第1バインダー樹脂および中実粒子である金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。
  4. 前記プライマー層形成工程および前記高屈折率層形成工程では、前記プライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜上に前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した後、前記プライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜および前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜を紫外線を照射して硬化させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置用前面板の製造方法。
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