JP6337454B2 - 表示装置用前面板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
反射防止フィルムは前面板に貼付するだけで反射防止性を付与することができる。しかしながら、反射防止フィルムにおいては透明基材および粘着層または接着層が存在するため、光学設計が複雑になる。また、透明基材にはうねりがあるため、平坦性が低下し、表示品位が劣化する。また、反射防止フィルムを貼付する際に異物や気泡の混入等の不具合が生じ、歩留りが低下する。また、透明基材および粘着層または接着層によって、透過率が低下する。
しかしながら、無機膜では低屈折率化が難しく、高屈折率層および低屈折率層を交互に複数積層するのが一般的である。この場合、ドライプロセスにより複数層を積層するため、生産性が低下し、製造コストがかかる。特に、大面積の表示装置に用いられる前面板の場合には設備が大掛かりになりコストが増大する。また、ドライプロセスの場合には、反射防止層の厚みの面内分布にばらつきが生じ、反射防止性の均一性が損なわれる。
本発明の表示装置用前面板は、強化ガラス基板と、上記強化ガラス基板上に直に形成されたプライマー層と、上記プライマー層上に直に形成され、第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層と、上記高屈折率層上に形成され、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有し、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層とを有することを特徴とするものである。
また、「プライマー層上に直に形成された高屈折率層」とは、プライマー層と高屈折率層とが直に接しており、プライマー層と高屈折率層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等が形成されていないことをいう。
図1は、本発明の表示装置用前面板の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、表示装置用前面板1は、強化ガラス基板2と、強化ガラス基板2上に直に形成されたプライマー層3と、プライマー層3上に直に形成された高屈折率層4と、高屈折率層4上に形成された低屈折率層5とを有している。高屈折率層4は第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有し、低屈折率層5は第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有している。
また本発明においては、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層が形成されていることにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有していても、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることが可能である。また、高屈折率層の厚みが比較的薄く、空気中の酸素により硬化反応が阻害された場合であっても、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を確保することができる。
本発明における強化ガラス基板は、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層を支持するものである。
圧縮応力層の厚みは特に限定されることはなく、要求特性に応じて適宜設定される。例えば、ガラスにある程度の強度を付与しながら、ガラスの切断性および生産性も確保される必要がある場合、圧縮応力層の厚みは約5μm〜10μmの範囲内に設定される。また、ガラスにさらに高い強度を付与することが求められる場合、圧縮応力層の厚みは、約10μm〜35μmの範囲内に設定されてもよく、35μm以上に設定されてもよい。圧縮応力層の厚みが約10μm〜35μmの範囲内である場合は、ガラスはある程度の切断性を有している。一方、圧縮応力層の厚みが35μm以上である場合は、仮にダイヤモンドカッター等の高性能の切断手段が用いられる場合であっても、ガラスを切断することが困難になる。そのため、圧縮応力層の厚みを35μm以上にすることが求められる場合、所望の形状に切り出された後のガラスにイオン交換処理を施すことにより、ガラスの表面に圧縮応力層が形成されることが好ましい。
このように表面に圧縮応力層が形成されたガラスの例としては、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)等が挙げられる。
本発明におけるプライマー層は、上記強化ガラス基板上に直に形成されるものである。プライマー層が形成されていることにより、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を高めることができる。
また、プライマー層は、必要に応じて、重合開始剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
なお、プライマー層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における高屈折率層は、プライマー層上に直に形成され、低屈折率層よりも屈折率が高く、第1バインダー樹脂および金属酸化物微粒子を含有するものである。
このような金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(1.90〜2.00)、β−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al2O5(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO3(屈折率:2.4)、ZnSb2O6(屈折率:1.9〜2.0)、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO2、屈折率:2.00、)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。
表面処理された金属酸化物微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、金属酸化物微粒子の平均粒径は、高屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、高屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における低屈折率層は、高屈折率層よりも屈折率が低く、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有するものである。
表面処理された屈折率調整微粒子としては、例えば特開2013−142817号公報、特開2008−9348号公報に記載されているものを挙げることができる。
ここで、屈折率調整微粒子の平均粒径は、低屈折率層の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値をいう。
なお、低屈折率層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、図3に例示するように、低屈折率層5上に保護層6が形成されていてもよい。
本発明においては、密着性向上のためにプライマー層を形成するのであるが、プライマー層の厚みを厚くすると密着性が向上する反面、表示装置用前面板の硬度および強度が低下し、耐擦傷性が劣化する傾向がある。これに対し、本発明の表示装置用前面板の最表面に保護層が形成されていることにより、表示装置用前面板の表面の硬度および強度を高めることができ、耐擦傷性を向上させることができる。
有機反応性ケイ素化合物としては、例えば特開2003−236970号公報に記載されているハードコート薄層に用いられるものを挙げることができる。
保護層の屈折率が低屈折率層よりも大きい場合、保護層と空気との屈折率差が大きくなり、保護層単層でみた場合には反射率は大きくなるが、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層の屈折率および膜厚を調整することで、反射率を保護層が無い場合と同等にすることができる。
なお、保護層の形成方法については、「B.表示装置用前面板の製造方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明の表示装置用前面板は、例えば液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機EL表示装置、無機EL表示装置、電子ペーパー等の表示装置に用いることができる。また、本発明の表示装置用前面板の用途としては、例えば携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルサイネージ、ウェアラブル端末等を挙げることができる。中でも、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層はウェットプロセスにより形成可能であることから、大面積であっても安価かつ容易に均一な層を形成することができるので、本発明の表示装置用前面板は大面積の表示装置に好適である。特に、テレビが好ましく、大型テレビがより好ましい。
本発明の表示装置用前面板は、後述の表示装置用前面板の製造方法により製造されたものであることが好ましい。すなわち、プライマー層、高屈折率層および低屈折率層はウェットプロセスで形成されたものであることが好ましい。大面積の強化ガラス基板上に安価かつ容易に均一な層を形成することができるからである。
本発明の表示装置用前面板の製造方法は、強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、上記プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、上記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程とを有することを特徴とする。
また、「プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する」とは、プライマー層と高屈折率層とが直に接しており、プライマー層と高屈折率層との間に例えば接着層や粘着層、透明基材等を形成しないことをいう。
図4(a)〜(c)は本発明の表示装置用前面板の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図4(a)に示すように、強化ガラス基板2上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、熱により硬化させてプライマー層3を形成するプライマー層形成工程を行う。次いで、図4(b)に示すように、プライマー層3上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて高屈折率層4を形成する高屈折率層形成工程を行う。次に、図4(c)に示すように、高屈折率層4上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により硬化させて低屈折率層5を形成する低屈折率層形成工程を行う。
また本発明においては、強化ガラス基板上にプライマー層を介して高屈折率層を形成することにより、高屈折率層が金属酸化物微粒子を含有し、さらに高屈折率層の厚みが比較的薄い場合であっても、強化ガラス基板に対する密着性が良好な高屈折率層を得ることが可能である。
本発明においては、強化ガラス基板上に直にプライマー層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程を行う。
プライマー層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、樹脂成分の種類に応じて異なるが、例えば熱あるいは紫外線または電子線の照射が挙げられる。塗膜を硬化させる際には、酸素による硬化阻害を抑制するために、不活性ガス雰囲気、例えば窒素ガス雰囲気とすることが好ましい。
本発明においては、上記プライマー層上に直に高屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程を行う。
高屈折率層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
このような場合において、プライマー層の屈折率は、高屈折率層の屈折率との差が小さいことが好ましく、例えば高屈折率層の屈折率との差が0.03以内であることが好ましい。
本発明においては、上記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、上記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程を行う。
なお、低屈折率層のその他の点については、上記「A.表示装置用前面板」に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記低屈折率層上に保護層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて保護層を形成する保護層形成工程を行ってもよい。
塗布方法としては、プライマー層の形成方法と同様とすることができる。
保護層用硬化性樹脂組成物の塗布後は、溶媒の除去のために乾燥させてもよい。
硬化方法としては、熱または紫外線や電子線等の電離放射線の照射が挙げられる。
(準備)
下記の材料を用いて表示装置用前面板を作製した。
強化ガラス基板:Dragontrail(旭硝子社製) 大きさ100mm×100mm 厚み0.7mm
低屈折率層材 :TU2205(JSR社製、n=1.35)
高屈折率層材 :KZ6719(JSR社製、n=1.65)
KZ6661(JSR社製、n=1.60)
プライマー層材:Z7503(JSR社製、n=1.51)
保護層材 :TU2359(JSR社製、n=1.37)
まず、プライマー層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のZ7503を用い、強化ガラス基板上にプライマー層用硬化性樹脂組成物を所定の膜厚になるようにスピンコーティングし、N2雰囲気下、露光照度30mWの高圧水銀ランプを用いて30秒間露光し、230℃で20分間乾燥して、プライマー層を形成した。次いで、高屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のKZ6661を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、プライマー層上に高屈折率層を形成した。次に、低屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のTU2205を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、高屈折率層上に低屈折率層を形成した。これにより表示装置用前面板を得た。
プライマー層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
プライマー層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様に表示装置用前面板を作製した。
高屈折率層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のKZ6719を用い、高屈折率層の膜厚を変更したこと以外は実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
高屈折率層および低屈折率層の膜厚を調整したこと以外は実施例1と同様にして低屈折率層まで形成した。次に、保護層用硬化性樹脂組成物としてJSR社製のTU2359を用い、プライマー層の形成と同様の工程で、低屈折率層上に保護層を形成した。これにより表示装置用前面板を得た。
高屈折率層、低屈折率層および保護層の膜厚を変更したこと以外は実施例5と同様にして表示装置用前面板を作製した。
プライマー層を形成せず、高屈折率層および低屈折率層の膜厚を調整したこと以外は実施例1と同様にして表示装置用前面板を作製した。
(密着性)
表示装置用前面板について、JIS K5600に準拠するクロスカット法により、強化ガラス基板に対する高屈折率層の密着性を評価した。
A:剥がれ面積 5%未満
B:剥がれ面積 5%以上35%未満
C:剥がれ面積 35%以上
表示装置用前面板の強化ガラス基板側の面に黒テープを添付して、日本分光株式会社製の絶対反射率測定装置VAR−7010にて反射率を測定した。光源はD65にて評価を行った。
A:反射率 0.5%未満
B:反射率 0.5%以上1.0%未満
C:反射率 1.0%以上
表示装置用前面板について、JIS5600−5−4に準拠する鉛筆硬度試験を行い、表示装置用前面板の表面の硬度を測定した。
A:3H以上
B:H以上3H未満
C:H未満
2 … 強化ガラス基板
3 … プライマー層
4 … 高屈折率層
5 … 低屈折率層
6 … 保護層
Claims (4)
- 強化ガラス基板と、
前記強化ガラス基板上に直に形成された紫外線硬化樹脂であるプライマー層と、
前記プライマー層上に直に形成され、紫外線硬化樹脂である第1バインダー樹脂および中実粒子である金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層と、
前記高屈折率層上に形成され、第2バインダー樹脂および屈折率調整微粒子を含有し、前記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層と、
前記低屈折率層上に形成された保護層と、
を有し、
前記プライマー層の厚みが、0.5μm〜3.5μmの範囲内であり、
前記保護層の厚みが、前記低屈折率層の厚みの1/2以下であり、
前記高屈折率層の膜厚が、50nm〜200nmの範囲内であることを特徴とする表示装置用前面板。 - 前記プライマー層が、前記高屈折率層側の面に凹凸を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置用前面板。
- 強化ガラス基板上に直にプライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層上に直に高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて高屈折率層を形成する高屈折率層形成工程と、
前記高屈折率層上に低屈折率層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、前記高屈折率層よりも屈折率が低い低屈折率層を形成する低屈折率層形成工程と、
前記低屈折率層上に保護層用硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて保護層を形成する保護層形成工程と、
を有し、
前記プライマー層の厚みが、0.5μm〜3.5μmの範囲内であり、
前記保護層の厚みが、前記低屈折率層の厚みの1/2以下であり、
前記高屈折率層の膜厚が、50nm〜200nmの範囲内であり、
前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物が紫外線硬化樹脂である第1バインダー樹脂および中実粒子である金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする表示装置用前面板の製造方法。 - 前記プライマー層形成工程および前記高屈折率層形成工程では、前記プライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜上に前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した後、前記プライマー層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜および前記高屈折率層用紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜を紫外線を照射して硬化させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置用前面板の製造方法。
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