JP6334427B2 - 交流モータ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、PWM制御により直流電力から交流電力に変換して駆動する交流モータ駆動装置に関するものである。
家電機器や電気自動車に搭載される交流モータとして、一般的に、三相の正弦波電流によって駆動される永久磁石同期モータが使用される。交流モータを駆動するためには、直流電源あるいは直流変換された電源から交流を作り出す必要があり、交流モータのトルクや回転数をコントロールするために発生する三相交流の電圧ないし電流および周波数を変えられる機能が必要であり、三相電圧型PWM(Pulse Width Moduration)インバータが用いられる。三相電圧型PWMインバータでは、二つのパワー素子を直列に三相分接続したもので、直列接続したパワー素子の中間から交流モータへの出力が取り出される。交流モータは三相で駆動されているが、制御にはdq軸の二相で行われているため、二相/三相変換に伴い、モータ電流を検出する検出素子の誤差や、モータの巻線抵抗、インダクタンス、磁束のばらつきがある場合には、その影響を受けて、スイッチング動作に伴うトルクリップルが大きく、モータの駆動騒音が大きくなるという問題がある。
この対策として、例えば、特許文献1のモータ制御装置では、位置検出部によりロータの回転位置を検出し、電流検出部によりモータの相電流を検出する。dq軸指令値出力部が、制御指令に応じて、ベクトル制御におけるdq軸電流指令値を出力すると、指令値座標変換部は、そのdq軸電流指令値を、ロータの回転位置に基づいて三相座標系の三相電流指令値に変換する。電圧指令生成部は、電流検出部により検出される三相電流との偏差についてPI制御演算を行った結果と、前記偏差について、前記ロータの回転位置に応じて変動する補正値を乗じた結果とを加算して3相電圧指令を生成することが開示されている。これにより、制御に含まれるばらつきや非線形要素を各相に分離した状態で制御する際に、制御帯域が低い場合でも制御精度を低下させることなく、モータのトルクリップルや騒音を低減することができる。
特開2013−172550号公報
交流モータへ電力を供給するインバータ部を構成するスイッチング素子の発熱は、モータ制御装置の温度を上昇させるため、温度の上昇を抑制することもモータ制御装置の長寿命化という観点からもその対策は重要である。
しかしながら、特許文献1のモータ制御装置では、交流モータに流れる交流電流の整数倍の周波数の高調波指令値を重畳することにより、制御性を損なわずにリプル電流を低減して騒音を抑制しているが、インバータ部を構成する素子の発熱による温度上昇については対策が採られていないといった問題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、騒音の抑制だけでなく、交流モータへ電力を供給するインバータ部を構成するスイッチング素子の発熱に伴う温度上昇を低減させることを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の交流モータ駆動装置は、供給される直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、内蔵するスイッチング素子を通電パターンに従ってオン/オフ制御することで前記直流電力を交流電力に変換して交流モータに供給するインバータ部と、前記電圧値と、前記交流モータからの前記交流モータの回転軸の位置信号と、前記交流モータへの角周波数指令値と、に基づいて前記通電パターンを生成して制御信号として出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記位置信号に基づいて算出される前記交流モータの角周波数と、前記位置信号および前記交流モータの極数とに基づいて算出される前記交流電力の相電流の位相信号と、を生成する角周波数・位相信号生成部と、前記角周波数指令値と前記電圧値と前記角周波数と前記位相信号とに基づいて、前記相電流の周波数と同じ周波数を有する前記交流モータの各相に対する主指令値を生成する主指令値生成部と、前記位相信号に基づいて、前記相電流の周波数の3倍の周波数を有する付加指令値を生成する付加指令値生成部と、前記主指令値と前記付加指令値とを加算した加算値を出力する加算器と、前記加算値に基づいて前記通電パターンを生成し、前記インバータ部に前記制御信号として出力する通電パターン生成部と、で構成されることを特徴とするものである。
また、本発明に係る第2の交流モータ駆動装置は、供給される直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、内蔵するスイッチング素子を通電パターンに従ってオン/オフ制御することで前記直流電力を交流電力に変換して交流モータに供給するインバータ部と、前記交流電力のうち少なくとも1相の電流値を検出する電流検出部と、前記電圧値と、前記電流値と、前記交流モータへの角周波数指令値と、に基づいて前記通電パターンを生成して制御信号として出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記電流値に基づいて算出される前記交流モータの角周波数と、前記電流値および前記交流モータの極数とに基づいて算出される前記交流電力の相電流の位相信号と、前記電流値に基づいて算出される前記電流値の基準となる時刻を示す基準時刻と、前記電流値の周期に同期した同期位相信号と、を生成する角周波数・位相信号生成部と、前記角周波数指令値と前記電圧値と前記角周波数と前記位相信号とに基づいて、前記相電流の周波数と同じ周波数を有する前記交流モータの各相に対する主指令値を生成する主指令値生成部と、前記基準時刻と前記同期位相信号とに基づいて前記電流値の周波数の3倍の周波数を有する付加指令値を生成する付加指令値生成部と、前記主指令値と前記付加指令値とを加算した加算値を出力する加算器と、前記加算値に基づいて前記通電パターンを生成し、前記インバータ部に前記制御信号として出力する通電パターン生成部と、で構成されることを特徴とするものである。
本発明の交流モータ駆動装置によれば、指令値に交流モータに流れる相電流の3倍の周波数の高調波指令値を重畳することで、騒音の抑制だけでなく、直流電力を交流電力に変換し交流モータへ電力供給するインバータ部を構成するスイッチング素子の発熱に伴う温度上昇を低減させることができるという効果がある。これにより、スイッチング素子の温度上昇を抑制することができ、交流モータ駆動装置の長寿命化を図ることができる。
実施の形態1に係る交流モータ駆動装置の全体を示すブロック図である。 実施の形態1におけるインバータ部を示す回路図である。 実施の形態1における制御部を示すブロック図である。 実施の形態1における制御部の主指令値生成部を示すブロック図である。 実施の形態1における制御部の付加指令値生成部を示すブロック図である。 実施の形態1におけるインバータ部内の1つのアームで生じる損失を示す波形模式図である。 実施の形態1におけるインバータ部内の温度変化を相電流との関係で明示した波形模式図である。 実施の形態1における相電流とインバータ部内の素子温度変化との関係を示した波形模式図である。 実施の形態1における主指令値と付加指令値と重畳済指令値との関係の一例を示す波形模式図である。 実施の形態1におけるインバータ部での損失を示す模式図である。 実施の形態2に係る交流モータ駆動装置の全体を示すブロック図である。 実施の形態2における制御部を示すブロック図である。 実施の形態2における制御部の付加指令値生成部を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態に係る交流モータ駆動装置の詳細について、図1から図13を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る交流モータ駆動装置の全体を示すブロック図、図2は、インバータ部を示す回路図、図3は、制御部を示すブロック図、図4は、制御部の主指令値生成部を示すブロック図であり、また、図5は、制御部の付加指令値生成部を示すブロック図である。
まず、図1から図5を用いて、実施の形態1に係る交流モータ駆動装置の構成について説明する。図1に示すように、交流モータ駆動装置1は、直流電力を供給する直流母線6の高電位側導体6aと低電位側導体6bとの間の電圧値Vdcを検出する電圧検出部2と、直流電力を三相交流に変換して交流モータ4に供給するインバータ部3と、交流モータ4の回転軸の回転位置を検出するエンコーダ41と、電圧検出部2から出力された電圧値Vdc、角周波数指令値(回転数)ω_refおよびエンコーダ41からの位置信号dに基づいてインバータ部3のスイッチング素子をオン/オフ制御する制御信号Gsを出力する制御部5と、で構成されている。
インバータ部3は、図2に示すように、三相電圧型PWMインバータで、二つのスイッチング素子(IGBT)32が直列に接続されたスイッチ対30が並列に三相分接続された構成となっており、直流電力は、直列接続されたスイッチング素子32の中間から出力される交流電力に変換されて、交流モータ4に供給される。具体的には、還流ダイオード33aが逆並列接続されたIGBT32aを組とした上アーム31aと、還流ダイオード33bが逆並列接続されたIGBT32bを組とした下アーム31bが直列に接続されたスイッチ対30uで構成され、そのIGBT33a,33bの中間からU相の出力が、還流ダイオード33cが逆並列接続されたIGBT32cを組とした上アーム31cと、還流ダイオード33dが逆並列接続されたIGBT32dを組とした下アーム31dが直列に接続されたスイッチ対30vで構成され、そのIGBT33c,33dの中間からV相の出力が、また、還流ダイオード33eが逆並列接続されたIGBT32eを組とした上アーム31eと、還流ダイオード33fが逆並列接続されたIGBT32fを組とした下アーム31fが直列に接続されたスイッチ対30wで構成され、そのIGBT33e,33fの中間からW相の出力が、三相交流電力として交流モータ4へ供給される。
これらのスイッチ対30u,30v,30wの上アーム31a,31c,31eが、直流母線6の高電位側導体6aに、下アーム31b,31d,31fが直流母線6の低電位側導体6bに、それぞれ接続されている。IGBT32aから32fは、それぞれのゲート端子に入力される制御部5からの制御信号GaからGfの通電パターンに従ってオン/オフ制御され、直流電力は三相の交流電力のU相,V相,W相として変換される。ここで、通電パターンに従って高電位と低電位の2値で交流モータ4のU相,V相,W相に給電されるが、交流モータ4のインダクタンスの影響により各相の電圧は平滑化される。
なお、図2において、制御信号Gsの入力端GaからGfとIGBT32a〜32fとの間の絶縁、増幅ならびに直流成分加算回路は省略されている。インバータ部3内のIGBT30u,30v,30wのU相,V相,W相、それぞれの出力電圧に応じた電流が交流モータ4に流れて、回転軸が回転する。交流モータ4の回転軸には、回転軸の位置信号dを検出するエンコーダ41が取り付けられており、検出された位置信号dは制御部5に出力される。
制御部5は、図3に示すように、角周波数・位相信号生成部51、主指令値生成部52、付加指令値生成部53、加算器54および通電パターン生成部55で構成されている。
角周波数・位相信号生成部51は、エンコーダ41の出力である位置信号dに基づいて交流モータの回転軸の角周波数(回転数)ωと、回転軸の予め定められた基準位置からの角度変位θとを算出する。そして、角度変位θと交流モータ4の極数とに基づいて、交流モータ4に給電される三つの相電流の内の予め定められた1つの相電流の現時刻においる位相信号θiを生成する。ここで、位相信号θiは、交流モータ4に給電される相電流の周波数ωiの周期性を有する。
主指令値生成部52は、交流モータ4の角周波数の指令値である角周波数指令値ω_refと、電圧検出部2から出力である電圧値Vdcと、角周波数・位相信号生成部51からの出力である回転軸の角周波数ωと、相電流の位相信号θiとに基づいて、交流モータ4の各相に対する電圧指令値である主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refを生成する。
図4は、制御部5の主指令値生成部52の構成例を示すブロック図であり、図4を用いて、主指令値生成部52の具体的な構成内容について説明する。
主指令値生成部52は、電流指令値生成部521、電圧指令値生成部522、座標軸変換部523および正規化部524で構成されている。
まず、電流指令値生成部521は、角周波数指令値ω_refと角周波数・位相信号生成部51の出力である角周波数ωとに基づいて、q軸電流指令値Iq_refとd軸電流指令値Id_refとを生成する。なお、d軸電流指令値は、ゼロ(零)に定めることが一般的である。
続いて、電圧指令値生成部522は、電圧検出部2の出力である電圧値Vdcと、電流指令値生成部521の出力であるq軸電流指令値Iq_refとd軸電流指令値Id_refとに基づいて、q軸電圧指令値Vq_refとd軸電圧指令値Vd_refとを生成する。
また、座標変換部523は、電圧指令値生成部522の出力であるq軸電圧指令値Vq_refとd軸電圧指令値Vd_refとを、角周波数・位相信号生成部51の出力である位相信号θiに従って、U相、V相、W相それぞれの相電圧指令値となるVu_ref,Vv_ref,Vw_refに変換する。
正規化部524は、相電圧指令値Vu_ref,Vv_ref,Vw_refと電圧検出部2の出力である電圧値Vdcとの差に、それぞれ、電圧値Vdcの逆数を乗じる、すなわち、電圧値Vdcで除することで、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refを生成する。
相電圧指令値Vu_ref,Vv_ref,Vw_refの値が、電圧値Vdcの2倍の値である場合には、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refの値は、それぞれ+1となる。また、相電圧指令値Vu_ref,Vv_ref,Vw_refの値がゼロの場合には、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refの値は、それぞれ−1となる。相電圧指令値Vu_ref,Vv_ref,Vw_refの値が、電圧値Vdcの1.5倍の値である場合には、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refの値は、それぞれ+0.5となり、相電圧指令値Vu_ref,Vv_ref,Vw_refが、電圧値Vdcの0.5倍の値である場合には、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refは、それぞれ−0.5となる。主指令値生成部52が出力する主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refは、既に、一般的に開示されている正規化された電圧指令値と同一である。
付加指令値生成部53は、角周波数・位相信号生成部51の出力である位相信号θiに基づいて、予め定められた振幅値Abで、かつ、相電流の周波数ωiの3倍すなわち3ωiの周波数で、かつ、位相信号θiに対して予め定められた角度変位θbだけ位相がずれた付加指令値B_refを生成する。
図5は、付加指令値生成部53の構成例を示すブロック図であり、図5を用いて、付加指令値生成部53の具体的な構成内容について説明する。
付加指令値生成部53は、0°/180°位相信号生成部531、位相比較器532、ループフィルタ533、クロック信号生成部534、分周器535、位相差格納部536、正弦波発生部537、振幅値格納部538および乗算器539で構成されている。
0°/180°位相信号生成部531は、角周波数・位相信号生成部51の出力である位相信号θiから、相電流の基準となる時刻を示す基準時刻t0(例えば、U相電流が0°となる時刻)を生成して、正弦波発生部537に出力する。また、0°/180°位相信号生成部531は、角周波数・位相信号生成部51の出力である位相信号θiから、基準となる相電流に対してデューティが50%の0°および180°の同期位相信号Pi(例えば、U相電流の0°と180°とで相互に反転する信号)を生成して、位相比較器532に出力する。
位相比較器532は、0°/180°位相信号生成部531の出力である同期位相信号Piと詳細は後述する分周器535の出力である分周信号の位相信号Pdとに基づいて、PiとPdの位相差を示す位相差信号Dfをループフィルタ533に出力する。
ループフィルタ533は、位相比較器532から出力された位相差信号Dfに対して、高調波成分を除去するローパスフィルタ(LPF)処理を施し、位相差電圧Vcに変換する。
クロック信号生成部534は、ループフィルタ533から出力された位相差電圧Vcに基づいて、電圧制御発振器により発振周波数を変化させるクロック信号CKを生成する。電圧制御発振には、VCO(Voltage Controlled Oscillator)やVCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)を用いるのが一般的である。クロック信号生成部534が生成するクロック信号CKは、分周器535と正弦波発生部537に出力される。
分周器535は、正整数Nに対して、クロック信号CKを3N分周した分周信号の位相信号Pdを生成して、位相比較器532へ出力する。なお、正整数Nは、後述する正弦波発生部537が正弦波を生成する場合の時間分解能となる。例えば、Nを360に設定すると、正弦波発生部537で、1°単位の正弦波が生成され、Nを3,600に設定すると、0.1°単位の正弦波が生成されることになる。したがって、Nをある程度大きな値に設定しておくとよい。
位相差格納部536には、前述の付加指令値B_refの基準となる相電流との位相差で予め定められた値である位相差θbが格納されている。位相差格納部536から、位相差θbが正弦波発生部537に出力される。
位相比較器532、ループフィルタ533、クロック信号生成部534および分周器535で、PLL(Phase Locked Loop)が構成されている。
正弦波発生部537は、0°/180°位相信号生成部531から出力された基準時刻t0において、位相差格納部536から出力された位相差θbを初期値として、Nを時間分解能としてクロック信号CKに対応した振幅1の正弦波Siを出力する。正弦波発生部537には、予め、時間分解能Nに対応した正弦波データがルックアップテーブル(LUT)やROM(Read Only Memory)等のプログラムの記憶領域の一部あるいは半導体記憶素子などの記憶手段を用いて格納されている。なお、分周器535の分周比が3Nであることから、正弦波発生部537が出力する正弦波Siの周波数は3ωiとなる。すなわち、正弦波Siは、sin(3ωi+θb)の波形となる。正弦波発生部537で生成された正弦波Siは、乗算器539に出力される。
振幅値格納部538には、前述の付加指令値B_refの予め定められた値である振幅値Abが格納されている。振幅値Abは、振幅値格納部538から乗算器539に出力される。
乗算器539は、正弦波発生部537から出力された正弦波Siに、振幅値格納部538から出力された振幅値Abを乗じて、付加指令値B_refを生成し、加算器54に出力する。乗算器539から出力された付加指令値B_refの波形は、Ab*sin(3ωi+θb)となる。
図3に戻って、制御部5の構成の説明を続ける。
加算器54(54u,54v,54w)は、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refと付加指令値B_refとの和をそれぞれ計算して,重畳済指令値Au_ref’,Av_ref’,Aw_ref’を出力する。
通電パワーン生成部55は、加算器54からの出力である重畳済指令値Au_ref’ ,Av_ref’,Aw_ref’に基づいて、U相の通電パターンGu_p,Gu_nと、V相の通電パターンGv_p,Gv_nと、W相の通電パターンGw_p,Gw_nをそれぞれ生成し、制御信号Gsとして出力する。
生成された制御信号Gsは、図2に示すインバータ部3に入力される。すなわち、U相の通電パターンGu_p,Gu_nは、IGBT32a,32bのゲート端子(入力端子)Ga,Gbに、V相の通電パターンGv_p,Gv_nは、IGBT32c,32dのゲート端子Gc,Gdに、W相の通電パターンGw_p,Gw_nは、IGBT32e,32fのゲート端子Ge,Gfに、それぞれ入力され、上述したように、IGBT33a,33bの中間からU相の出力が、IGBT32c,32dの中間からV相の出力が、IGBT32e,32fの中間からW相の出力が、それぞれ交流モータ4に給電される。一般的に、通電パターン生成部55は、重畳済指令値Au_ref’,Av_ref’,Aw_ref’のそれぞれを、振幅が±1の三角波と比較して、その比較結果の大小で、通電パターンを決定するPWM制御方式が採用される。なお、上側アームと下側アームとの短絡を防止するためにデッドタイムの付加もこの通電パターン生成部55の機能である。
次に、付加指令値B_refを主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refに加算することが、インバータ部3の発熱を抑制し、交流モータ駆動装置1の長寿命化に寄与することについて、図を参照しながら、説明する。
スイッチ対30(30u,30v,30w)に電流が流れた場合のスイッチ対30内のスイッチング素子であるIGBT32(32aから32f)と還流ダイオード33(33aから33f)とで発生する損失について説明する。ここで、IGBT32をオンさせるためにIGBT32のゲート端子Gにエミッタ端子Eより高電位な信号が印加される期間をゲート信号H期間と呼び、IGBT32をオフさせるためにIGBT32のゲート端子Gにエミッタ端子Eと同じ電位あるいはエミッタ端子Eより低電位な信号が印加させる期間をゲート信号L期間と呼ぶ。デッドタイム期間以外では、上アームのIGBTが、ゲート信号H期間ならば下アームのIGBTはゲート信号L期間となり、逆に、上アームのIGBTが、ゲート信号L期間ならば下アームのIGBTはゲート信号H期間になるように制御される。
図6に、IGBT32と還流ダイオード33とで発生する損失を示す。図6(a)に示すように、IGBT32のコレクタC側からエミッタE側に電流が流れる場合には、図6(b)に示すように、ゲート信号H期間でIGBT32に導通損失が生じ、ゲート信号H期間からゲート信号L期間へと変化する時刻とゲート信号L期間からゲート信号H期間へと変化する時刻とにおいてIGBT32にスイッチング損失が発生する。一方、図6(c)に示すように、還流ダイオード32のアノード側Aからカソード側Kに電流が流れる場合には、図6(d)に示すように、ゲート信号H期間で還流ダイオード33に導通損失が生じ、ゲート信号H期間からゲート信号L期間へ変化する時刻において還流ダイオード33にリカバリ損失が発生する。
ここで、IGBT32の導通損失とスイッチング損失に関しては、IGBT32を流れる電流量の値に導通時のIGBT32のコレクタ端子Cとエミッタ端子Eとの電圧差の値を乗じた値が大きくなるほど大きくなる。還流ダイオード33の導通損失とリカバリ損失に関しては、還流ダイオード33を流れる電流量の値に還流ダイオード33の導通時のカソード端子Kとアノード端子Aとの電圧差の値を乗じた値が大きくなるほど大きくなる。
交流モータ4の各相に正弦波状の電圧を印加して,交流モータ4の各相に正弦波状の電流を流すことで交流モータ4を駆動させる従来方式の場合(本実施の形態では、付加指令値B_refを常にゼロの値に固定した場合に相当する。)には、交流モータ4の力率が1に近いことから、上アームのIGBT32での損失は、図7(a)に示す相電流がゼロより大きい期間(正の期間)において、図7(b)に点線で示すように、相電流の増減に応じて、増減する。
同じく従来方式の場合には、上アームの還流ダイオード33での損失は、相電流(図7(a))がゼロよりも小さい期間(負の期間)において、図7(b)の破線で示すように、相電流の絶対値の増減に応じて、増減する。従来方式の場合の下アームのIGBT32での損失は、逆に、相電流(図7(a))がゼロよりも小さい期間において、図7(c)の点線で示すように、相電流の絶対値の増減に応じて、増減する。
また、従来方式の場合の下アームの還流ダイオード33での損失は、相電流(図7(a))がゼロよりも大きい期間において、図7(c)の破線で示すように、相電流の増減に応じて、増減する。図7(a)の電流波形が、交流モータ4のU相電流である場合には、図7(b)の点線は、IGBT32aでの損失であり、図7(b)の破線は、還流ダイオード33aでの損失となり、そして、図7(c)の点線は、IGBT32bでの損失であり、図7(c)の破線は、還流ダイオード33bでの損失となる。
また、図7(a)の電流波形が、交流モータ4のV相電流である場合には、図7(b)の点線は、IGBT31cでの損失であり、図7(b)の破線は、還流ダイオード33cでの損失となり、そして、図7(c)の点線は、IGBT32dでの損失であり、図7(c)の破線は、還流ダイオード33dでの損失となる。
同様に、図7(a)の電流波形が、交流モータ4のW相電流である場合には、図7(b)の点線は、IGBT32eでの損失であり、図7(b)の破線は、還流ダイオード33eでの損失となり、そして、図7(c)の点線は、IGBT32fでの損失であり、図7(c)の破線は、還流ダイオード33fでの損失となる。
交流モータ4の力率が1に近いとはいえ完全に1では無いことと、インバータ部3の内部における損失が熱に変化して、温度を上昇させる伝達関数の遅れ要素のため、IGBTの損失のピークに対して、IGBTに起因する温度のピークは遅延する。同じく、還流ダイオードの損失のピークに対して、還流ダイオードに起因する温度のピークも遅延する。
また、インバータ部3の内部における熱の拡散および放熱の伝達関数の存在に起因して、IGBTが損失を生じていない期間においては、IGBTに起因する温度は、即時にはゼロにならず、時刻の経過と共に徐々に温度が低下する。同じく、還流ダイオードが損失を生じていない期間においては、還流ダイオードに起因する温度は、即時にはゼロにならず、時刻の経過と共に徐々に温度が低下する。
上記の損失と温度変化の関係から、図7(b)に点線で示す上アームのIGBTの損失を起因とするインバータ部3の内部での温度変化は、図7(d)に点線で示すような温度変化となる。同じ理由で、図7(b)に破線で示す上アームの還流ダイオードの損失を起因とするインバータ部3の内部での温度変化は、図7(d)に破線で示すような温度変化となる。
同じく、図7(c)に点線で示す下アームのIGBTの損失を起因とするインバータ部3の内部での温度変化は、図7(e)に点線で示すような温度変化となる。また、図7(c)に破線で示す下アームの還流ダイオードを起因とするインバータ部3の内部での温度変化は、図7(e)に破線で示すような温度変化となる。
実際のインバータ部3の内部での温度変化は、図7(d)に点線で示す上アームのIGBT起因の温度変化と図7(d)に破線で示す下アームの還流ダイオード起因の温度変化と図7(e)に点線で示す下アームのIGBT起因の温度変化と図7(e)に破線で示す還流ダイオード起因の温度変化とが重畳した温度変化を示すことになる。
相電流の最大値付近と相電流の最小値(相電流が負の期間で相電流の絶対値が最も大きい値)付近での損失を抑制すれば、インバータ部3の内部の温度を抑制できることが図7から読み取れる。具体的には、図7(a)、(b)および(c)において、三角形の矢印を付した相電流最大値付近での損失を抑制することで、図7(d)に三角形の矢印で示すように上アームのIGBT起因の温度上昇と図7(e)に三角形の矢印で示すように下アームの還流ダイオード起因の温度上昇とを抑制することができる。また、図7(a)、(b)および(c)において、鏃形の矢印を付した相電流最小値付近での損失を抑制することで、図7(d)に鏃形の矢印で示すように上アームの還流ダイオード起因の温度上昇と図7(e)に鏃形の矢印で示すように下アームのIGBT起因の温度上昇とを抑制することができる。
図7は、1つの相の相電流とその相に関わるスイッチ対30が起因となる温度上昇について説明した。交流モータ4では、U相、V相、W相の3相が存在する。これら3相のそれぞれの相電流と3相それぞれのスイッチ対30u、30v、30wを構成するIGBT32および還流ダイオード33により発生する損失、および、これらの損失を起因とする温度変化を図8に示す。図8において、実線で示した波形がU相に関わる波形で、点線で表記した波形がV相に関わる波形、そして破線で示した波形がW相に関わる波形である。図8から判るように、U相、V相、W相それぞれの相電流の最大値付近および最小値付近でのスイッチング対30を構成するIGBT32および還流ダイオード33が発生する損失を抑制することで、これらの損失を起因とする温度上昇を抑制することができることが判る。そして、スイッチング対30での温度上昇を抑制することにより、インバータ部3の温度上昇が抑制される。
ここで、従来方式での交流モータ4のU相端子での電圧値をVu、V相端子での電圧値をVv、W相端子での電圧値をVwとする。加えて、従来方式での交流モータ4のU相端子とV相端子との電圧差をVuv、V相端子とW相端子との電圧差をVvw、W相端子とU相端子との電圧差をVwuとする。Vuv,Vvw,VwuとVu,Vv,Vwとの間には、式(1−1)から式(1−3)の関係が成立する。

Vuv = Vu − Vv (1−1)
Vvw = Vv − Vw (1−2)
Vwu = Vw − Vu (1−3)

そして、従来方式では、主指令値Au_refに基づいた通電パターンGu_p,Gu_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3を介して、交流モータ4のU相端子にVuの電圧値を生じさせる。同様に、主指令値Av_refに基づいた通電パターンGv_p,Gv_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3を介して、交流モータ4のV相端子にVvの電圧値を生じさせる。さらに、主指令値Aw_refに基づいた通電パターンGw_p,Gw_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3を介して、交流モータ4のW相端子にVwの電圧値を生じさせる。そして、式(1−1)から式(1−3)の関係に基づいて、交流モータ4には、各相の端子間に、図8(a)に示すような、正弦波状の相電流を流して、交流モータ4の回転軸を回転させる。
図8(a)に示すように、相電流を正弦波状に流すことで交流モータ4を滑らかに駆動させながらインバータ部3内のIGBT32と還流ダイオード33との損失を抑制するためには、交流モータ4の各相端子の電圧値を変更しなければならない。ここで、電圧値Vuに電圧値Bを加算した電圧値Vu’を交流モータ4のU相端子に印加し、同時に、電圧値Vvに電圧値Bを加算した電圧値Vv’を交流モータ4のV相端子に印加し、更に、電圧値Vwに電圧値Bを加算した電圧値Vw’を交流モータ4のW相端子に印加した場合を考える。この場合の交流モータ4のU相端子とV相端子との電圧差Vuv’、V相端子とW相端子との電圧差Vvw’、W相端子とU相端子との電圧差Vwu’は、それぞれ、式(2−1)から式(2−3)に示す関係となる。

Vuv’ = Vu’ − Vv’
= (Vu+B)−(Vv+B)
= Vu − Vv =Vuv (2−1)

Vvw’ = Vv’ − Vw’
= (Vv+B)−(Vw+B)
= Vv − Vw =Vvw (2−2)

Vwu’ = Vw’ − Vu’
= (Vw+B)−(Vu+B)
= Vw − Vu =Vwu (2−3)

このように、交流モータ4の各相端子に同じ電圧値を加算しても、交流モータ4に流れる相電流は、加算前の電圧値を各相端子に印加した場合と同じであることが判る。
本実施の形態では、式(2−1)から式(2−3)に示されたBの電圧値を生成する指令値を付加指令値B_refとする。そして、図3に示すように、主指令値Au_refに付加指令値B_refを加算した重畳済指令値Au_ref’を生成して、この主指令値Au_ref’に基づいた通電パターンGu_p,Gu_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3により、交流モータ4のU相端子にVu’の電圧値を生じさせる。同様に、主指令値Av_refに付加指令値B_refを加算した重畳済指令値Av_ref’を生成して、この主指令値Av_ref’に基づいた通電パターンGv_p,Gv_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3により、交流モータ4のV相端子にVv’の電圧値を生じさせる。更に、主指令値Aw_refに付加指令値B_refを加算した重畳済指令値Aw_ref’を生成して、この主指令値Aw_ref’に基づいた通電パターンGw_p,Gw_nを通電パターン生成部55で生成して、インバータ部3により、交流モータ4のW相端子にVw’の電圧値を生じさせる。
次に、付加指令値B_refの生成方法について説明する。付加指令値B_refに求められる周波数仕様は、図8(a)に示すように、U相電流の1周期の期間内での3か所の各相電流最大値付近での抑制と、3か所の各相電流最小値での抑制に対応させることである。すなわち、付加指令値B_refの周波数は、相電流周波数ωiの3倍の値である高調波3ωiであることが必要である。すなわち、付加指令値B_refは、相電流周波数の3倍の周波数を有する高調波指令値である。また、付加指令値B_refの振幅値Abは、インバータ部3に内蔵のIGBT32および還流ダイオード33の損失特性および交流モータ4の力率などに基づいて決められた値となる。さらに、付加指令値B_refの基準となる相電流との位相差θb(ここでは、基準となる相電流をU相電流と定めて説明する。)は、交流モータ4の力率およびインバータ部3の内部における損失が熱に変化して温度を上昇させる伝達関数の遅れ要素ならびにインバータ部3の内部における熱の拡散および放熱の伝達関数に依存して決められた値となる。
図9の波形模式図で、主指令値と付加指令値と重畳済指令値との関係を示す。図9(a)は、3相の主指令値Au_ref(実線)とAv_ref(点線)とAw_ref(破線)とを示す波形模式図である。振幅Ab=0.4でかつ位相差θb=20°の場合の付加指令値B_refを図9(b)に示す。図9(b)の相電流周波数の3倍の周波数の高調波指令値である付加指令値B_refを、図9(a)に示す主指令値にそれぞれ加算した重畳済指令値Au_ref’(実線)とAv_ref’(点線)とAw_ref’(破線)とを図9(c)に示す。図9(c)から、相電流が大きくなる期間で、相電圧を指令する重畳済指令値が小さくなっていることが判る。
図10の波形模式図により、インバータ部3での損失を示す。主指令値で相電圧を生成する従来方式でのインバータ部3での損失を点線で、重畳済指令値で相電圧を生成する本実施の形態でのインバータ部3での損失を実線で示す。従来方式に比べ、本実施の形態を採用することで、損失のピークを下げること可能となり、かつ、損失のピークを遅らせることが可能となる。損失のピークを下げることで、インバータ部3での発熱を抑制することが可能になり、インバータ部3の稼働時の温度を低下させることができる。また、損失
のピークを遅らせることで、インバータ部3での蓄熱を抑制することが可能になり、このこともインバータ部3の稼働時の温度を低下させることができる。
したがって、インバータ部3の稼働時の温度を低下させることができれば、インバータ部3内のIGBT等の半導体素子の温度も低下させることができる。半導体素子は、動作時の温度が低下すれば寿命が長くなることが知られていることから、本実施の形態を採用することによって、交流モータ駆動装置1の寿命を長くすることが可能となる。
なお、本実施の形態において、交流モータの極数および付加指令値の振幅値Abおよび位相差θbは、交流モータ駆動装置外から、シリアル通信、ROMのデータ更新により、また、ダイヤル、ボタンやスイッチなどで使用者が入力する値である。交流モータ駆動装置にも、これらの値を入力する手段は備えられているべきものであるが、本実施の形態では、対象外であるため、説明を省略する。
このように、実施の形態1に係る交流モータ駆動装置によれば、指令値に交流モータに流れる相電流の3倍の周波数の高調波指令値を重畳することで、騒音の抑制だけでなく、直流電力を交流電力に変換し交流モータへ電力供給するインバータ部を構成するスイッチング素子の発熱に伴う温度上昇を低減させることができるという効果がある。これにより、スイッチング素子の温度上昇を抑制することができ、交流モータ駆動装置の長寿命化を図ることができるという効果がある。
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る交流モータ駆動装置の全体を示すブロック図であり、図12は、制御部を示すブロック図であり、また、図13は、制御部の付加指令値生成部を示すブロック図である。実施の形態1の交流モータ駆動装置との違いは、実施の形態1では、交流モータ4の回転軸の位置信号dを得るためにエンコーダ41が設けられていたが、これに替えて、実施の形態2では、インバータ部3から交流モータ4への相電流の内、少なくとも1相の相電流値を検出する電流検出部7が設けられている点である。他の構成については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
図11に示すように電流検出部7は、交流モータ4に給電される相電流I(t)を検出して出力する(ここでは、U相の相電流を検出する場合を示す。)。検出された相電流I(t)は、制御部8に入力される。また、制御部8には、電圧検出部2からの出力である電圧値Vdcも入力される
制御部8は、図12に示すように、角周波数・位相信号生成部81、主指令値生成部52、付加指令値生成部83、加算器54および通電パターン生成部55で構成されている。主指令値生成部52、加算器54および通電パターン生成部55は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
角周波数・位相信号生成部81、電流検出部7の出力である電流値I(t)に基づいて、対象となる相電流の基準時刻t0(例えば、U相電流が0°となる時刻。)と、対象となる相電流に対してデューティが50%の同期位相信号Pi(例えば、U相電流の0°と180°とで相互に反転する信号。)と、を生成して、付加指令値生成部83に出力する。また、角周波数・位相信号生成部81は、電流値I(t)に基づいて、相電流の現時刻における位相信号θiを生成する。さらに、角周波数・位相信号生成部81は、電流値I(t)と交流モータ4の極数とに基づいて、交流モータ4の回転軸の角周波数(回転数)ωを算出する。位相信号θiと角周波数ωは、主指令値生成部52へ出力される。
付加指令値生成部83は、図13に示すように、位相比較器532、ループフィルタ533、クロック信号生成部534、分周器535、位相差格納部536、正弦波発生部537、振幅値格納部538および乗算器539で構成される。付加指令値生成部83には、0°/180°位相信号生成部531は設けられていない。0°/180°位相信号生成部531の機能は、角周波数・位相信号生成部81が担っている。位相比較器532、ループフィルタ533、クロック信号生成部534、分周器535、位相差格納部536、正弦波発生部537、振幅値格納部538および乗算器539は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
これにより、付加指令値生成部83は、実施の形態1と同様、付加指令値B_refを生成することができ、加算器54(54u,54v,54w)にて、主指令値Au_ref,Av_ref,Aw_refに付加指令値B_refを加算した重畳済指令値Au_ref’,Av_ref’,Aw_ref’を生成する。さらに、通電パワーン生成部55は、加算器54からの出力である重畳済指令値Au_ref’,Av_ref’,Aw_ref’に基づいて、U相の通電パターンGu_p,Gu_nと、V相の通電パターンGv_p,Gv_nと、W相の通電パターンGw_p,Gw_nをそれぞれ生成し、制御信号Gsとして出力する。
したがって、実施の形態1と同様に、実施の形態2においても、インバータ部3の稼働時の温度を低下させることができ、交流モータ駆動装置の寿命を長くすることが可能となる。
加えて、実施の形態2においては、相電流の電流値I(t)から、基準時刻t0と位相信号θiと同期位相信号Piとを直接求めているので、同期位相信号Piを基準時刻t0および位相信号θiに対して精度良く算出することができ、かつ、算出までの時間遅れを小さくすることが可能となる。精度の良好さと時間遅れが小さいことから、付加指令値B_refを設計仕様に近付けて生成することが可能となり、インバータ部3の稼働時の温度を的確に低下させて、交流モータ駆動装置の寿命をさらに長くすることが可能となる。
このように、実施の形態2に係る交流モータ駆動装置によれば、実施の形態1と同様、指令値に交流モータに流れる相電流の3倍の周波数の高調波指令値を重畳することで、騒音の抑制だけでなく、直流電力を交流電力に変換し交流モータへ電力供給するインバータ部を構成するスイッチング素子の発熱に伴う温度上昇を低減させることができるという効果があるとともに、相電流の電流値I(t)から、基準時刻t0と位相信号θiと同期位相信号Piとを直接求めているので、時間遅れが小さく、精度良くインバータ部の温度を低下させることができ、交流モータ駆動装置の長寿命化を図ることができるという効果がある。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
また、図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。
1 交流モータ駆動装置、2 電圧検出部、3 インバータ部、4 交流モータ、41 エンコーダ、5,8 制御部、51,81 角周波数・位相信号生成部、52 主指令値生成部、53,83 付加指令値生成部、54 加算器、55 通電パターン生成部、6 直流母線、7 電流検出部

Claims (4)

  1. 供給される直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
    内蔵するスイッチング素子を通電パターンに従ってオン/オフ制御することで前記直流電力を交流電力に変換して交流モータに供給するインバータ部と、
    前記電圧値と、前記交流モータからの前記交流モータの回転軸の位置信号と、前記交流モータへの角周波数指令値と、に基づいて前記通電パターンを生成して制御信号として出力する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記位置信号に基づいて算出される前記交流モータの角周波数と、前記位置信号および前記交流モータの極数とに基づいて算出される前記交流電力の相電流の位相信号と、を生成する角周波数・位相信号生成部と、
    前記角周波数指令値と前記電圧値と前記角周波数と前記位相信号とに基づいて、前記相電流の周波数と同じ周波数を有する前記交流モータの各相に対する主指令値を生成する主指令値生成部と、
    前記位相信号に基づいて、前記相電流の周波数の3倍の周波数を有する付加指令値を生成する付加指令値生成部と、
    前記主指令値と前記付加指令値とを加算した加算値を出力する加算器と、
    前記加算値に基づいて前記通電パターンを生成し、前記インバータ部に前記制御信号として出力する通電パターン生成部と、
    で構成されることを特徴とする交流モータ駆動装置。
  2. 供給される直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
    内蔵するスイッチング素子を通電パターンに従ってオン/オフ制御することで前記直流電力を交流電力に変換して交流モータに供給するインバータ部と、
    前記交流電力のうち少なくとも1相の電流値を検出する電流検出部と、
    前記電圧値と、前記電流値と、前記交流モータへの角周波数指令値と、に基づいて前記通電パターンを生成して制御信号として出力する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記電流値に基づいて算出される前記交流モータの角周波数と、前記電流値および前記交流モータの極数とに基づいて算出される前記交流電力の相電流の位相信号と、前記電流値に基づいて算出される前記電流値の基準となる時刻を示す基準時刻と、前記電流値の周期に同期した同期位相信号と、を生成する角周波数・位相信号生成部と、
    前記角周波数指令値と前記電圧値と前記角周波数と前記位相信号とに基づいて、前記相電流の周波数と同じ周波数を有する前記交流モータの各相に対する主指令値を生成する主指令値生成部と、
    前記基準時刻と前記同期位相信号とに基づいて前記電流値の周波数の3倍の周波数を有する付加指令値を生成する付加指令値生成部と、
    前記主指令値と前記付加指令値とを加算した加算値を出力する加算器と、
    前記加算値に基づいて前記通電パターンを生成し、前記インバータ部に前記制御信号として出力する通電パターン生成部と、
    で構成されることを特徴とする交流モータ駆動装置。
  3. 前記付加指令値生成部は、
    前記位相信号から基準時刻と、前記相電流の周波数に同期した0°および180°で値が変化する2値の同期位相信号と、を生成する0°/180°位相信号生成部と、
    前記同期位相信号と後述する分周器の出力である分周信号の位相信号とを比較し位相差信号を出力する位相比較器と、
    前記位相差信号に対して高調波成分を除去するローパスフィルタ処理を施して位相差電圧に変換するループフィルタと、
    前記位相差電圧に基づいて電圧制御発振器により発振周波数が変化するクロック信号を生成するクロック信号生成部と、
    正整数Nに対して前記クロック信号を3N分周した前記分周信号を生成する前記分周器と、
    相電流に対して規定の位相差が格納された位相差格納部と、
    前記基準時刻において前記位相差格納部から出力される位相差を初期値とし、かつ、Nを時間分解能として前記クロック信号に対応した正弦波を出力する正弦波発生部と、
    規定の振幅値が格納された振幅値格納部と、
    前記正弦波に前記振幅値を乗じて出力する乗算器と、
    で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の交流モータ駆動装置。
  4. 前記付加指令値生成部は、
    前記同期位相信号と後述する分周器の出力である分周信号の位相信号とを比較し位相差信号を出力する位相比較器と、
    前記位相差信号に対して高調波成分を除去するローパスフィルタ処理を施して位相差電圧に変換するループフィルタと、
    前記位相差電圧に基づいて電圧制御発振器により発振周波数が変化するクロック信号を生成するクロック信号生成部と、
    正整数Nに対して前記クロック信号を3N分周した前記分周信号を生成する前記分周器と、
    相電流に対して規定の位相差が格納された位相差格納部と、
    前記基準時刻において前記位相差格納部から出力される位相差を初期値とし、かつ、Nを時間分解能として前記クロック信号に対応した正弦波を出力する正弦波発生部と、
    規定の振幅値が格納された振幅値格納部と、
    前記正弦波に前記振幅値を乗じて出力する乗算器と、
    で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の交流モータ駆動装置。
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