以下、本発明の実施形態に係るシート処理装置及びシート処理装置を備えた画像形成装置について、図1至乃図14を参照して説明する。なお、図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置90を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る画像形成装置90は、モータ駆動装置が組み込まれた穿孔装置(パンチユニット)50を搭載した例えば複写機として構成されている。
[画像形成装置]
図1に示すように、画像形成装置90は、白黒及びカラー画像形成を実行可能な画像形成装置本体(以下、「装置本体」という)2と、この装置本体2に接続されたシート処理装置(フィニッシャ)1とを有している。装置本体2から排出されるシートPは、オンラインで接続されたシート処理装置1にて処理することが可能に構成されている。シート処理装置1は、シートPを部数毎に綴じるシート後処理可能に構成され、装置本体2で画像が形成されて搬送されてきたシートPに孔をあける穿孔動作を行う穿孔装置(孔あけ装置)50を備えている。
装置本体2は、上部に装備された原稿給送装置5から自動給送された原稿を光学部6で光学的に読み取り、その情報をデジタル信号として画像形成部7に送信する。光照射部7aは、レーザ光を感光ドラム7bに照射して潜像を形成する。この潜像は、現像器7cによって現像されてトナー像となる。
装置本体2における中段部分には、各種サイズのシートPを収納可能な給紙カセット8が装備されている。この給紙カセット8から給送されて搬送ローラ対9により搬送されたシートPは、画像形成部7で電子写真方式によりトナー像が転写された後、定着部10に搬送され、この定着部10で加熱及び加圧されることでトナー像を定着される。なお、本実施形態では、画像形成部7及び定着部10等により、シートPに画像を形成する画像形成手段が構成される。シート処理装置1は、画像形成部7及び定着部10等から構成される画像形成手段により画像形成されたシートPに処理を施す。
片面に画像形成するモードの場合、シートPは、片面への印刷後にシート処理装置1へ搬送される。一方、両面に画像形成する場合、シートPは、スイッチバック方式によって再送パス11へ搬送され、再び画像形成部7に搬送されて他方の面にも画像が形成された後、シート処理装置1へと送り込まれる。なお、シートPは、装置本体2の側面に配置された手差しトレイ12からも供給することができる。
装置本体2には、装置本体2内の各部の動作制御を行う制御装置14が設けられている。装置本体2におけるシート処理装置1との連通部分には排出ローラ対13が配置され、シート処理装置1における装置本体2との連通部分には入口ローラ対20が配置されている。シート処理装置1の入口ローラ対20は、装置本体2の排出ローラ対13から排出されてくるシートPを受け入れる。このシートPは、入口ローラ対20のシート搬送方向の下流に配置された第1搬送ローラ対21により更に下流に搬送される。
シートPの通過は、シート検知センサ22によって検知される。この検知後、シートPは、シート搬送方向の上流側(後端部分)の付近に穿孔装置50で孔をあけられる。穿孔装置50のシート搬送方向の下流には、比較的大径のバッファローラ23が配置されている。シート検知センサ22で検知されたシートPは、バッファローラ23のロール面に、バッファローラ23の外部周囲に配置された押付けコロ24,25,26の夫々により押し付けられて一時的に蓄えられる。
バッファローラ23の下流には、シートPの搬送方向をノンソートパス28とソートパス29とを選択的に切り換えるように動作する第1切換え部材27が配置されている。押付けコロ26の下流には、ソートパス29と、シートPを一時的に蓄えるバッファパス31とを選択的に切り換えるように動作する第2切換え部材30が配置されている。
ノンソートパス28の中間部分には、ノンソートパス28内のシートPを検知するシート検知センサ32が配置されている。また、バッファパス31の近傍には、バッファパス31内のシートPを検知するシート検知センサ33が配置されている。ソートパス29の中間部には第2搬送ローラ対34が配置されており、ソートパス29内のシートPは第2搬送ローラ対34によって搬送される。
シート処理装置1における中段部分には、シートPを一時的に集積して整合する処理トレイユニット35が配置されている。処理トレイユニット35は、ステイプルユニット(綴じ手段)36のステイプラ37によってステイプル処理を行うための中間トレイ38を有している。処理トレイユニット35における中間トレイ38の排出端側には、固定側の下排出ローラ39aと、上排出ローラ39bとから構成される束排出ローラ対39が配置されている。
搬送されてきたシートPは、ノンソートパス28の出口に配置された第2排出ローラ対41によってサンプルトレイ42上に排出され、或いは、ソートパス29の出口に配置された第1排出ローラ対40によって中間トレイ38上に排出される。束排出ローラ対39の上排出ローラ39bは揺動ガイド43に支持されており、揺動ガイド43が閉じた位置に揺動したとき、下排出ローラ39aに加圧的に当接されて中間トレイ38上のシートPをスタックトレイ44上に排出する。
シート処理装置1におけるサンプルトレイ42及びスタックトレイ44が設けられた側部には、束積載ガイド45が設けられている。束積載ガイド45は、スタックトレイ44及びサンプルトレイ42上に積載されるシート束の後端(束排出方向に対して後端)縁を受け止めるガイドであり、ここでは、シート処理装置1の外装を兼ねている。シート処理装置1の各部の動作制御は、シート処理装置1内に設けられた処理制御装置46によって行われる。
[穿孔装置]
次に、シート処理装置1に搭載された穿孔装置50について図2を参照して説明する。なお、図2(a)は穿孔装置50の平面図、図2(b)は穿孔装置50をシート搬送方向の上流側(図1の第1搬送ローラ対21の側)から見た状態で示す正面図、図2(c)はカム部材72に沿って断面した断面図である。
図2(a)〜(c)に示すように、穿孔手段としての穿孔装置50は、シートPに2つの孔と3つの孔とを選択的にあけることが可能に構成されている。穿孔装置(穿孔手段)50は、シート処理装置1の装置本体1aに固定された固定フレーム51と、この固定フレーム51上を同図の左右方向に往復移動可能な可動フレーム52とを有している。
可動フレーム52は、固定フレーム51上を移動する部位である下部フレーム60と、下部フレーム60の上側に複数のスペーサ61を介して固定された上部フレーム62とを有している。スペーサ61は、下部フレーム60と上部フレーム62との間に介在し、下部フレーム60の上面板63と上部フレーム62の下面板64との間にシートPが通過できる隙間Spを形成している。
上部フレーム62は、対向する下面板64及び上面板66と、下面板64及び上面板66板同士を接続する背面板67とによって、断面コ字状に形成されている。上面板63と下面板64との上流端は、図3に示すように、シート搬送方向の上流に向かって開いているように構成され、シートPを隙間Spに案内する形状になっている。
下面板64及び上面板66には、5本のパンチ68A,68B,68C,68D,68Eが貫通して上下動するように配置されている。パンチ68A〜68Eの各下端が対向する下部フレーム60の上面板63には、パンチ68A,68B,68C,68D,68Eと協働してシートPに孔をあける(穿孔処理を行う)ダイ孔70A,70B,70C,70D,70Eが夫々形成されている。従って、下部フレーム60の上面板63は、ダイでもあり、シート案内板でもある。
パンチ68A〜68Eは、上部フレームに62に等間隔に配列された3孔用のパンチ68A,68B,68Cと、3孔用のパンチ68A〜68Cの間に配設された2孔用のパンチ68D,68Eとに分けられる。カム部材72は、長尺のプレート状に構成され、その長手方向に沿うようにカム状長孔73A,73B,73C,73D,73Eが形成され、パンチ68A〜68Eをダイ孔70A〜70Eに進入及び退避させるように移動する。カム状長孔73A〜73Eには、パンチ68A〜68Eの各軸方向と直交する方向に貫通しているカムフォロワ75が貫通して係合している。
カム部材72に形成されたカム状長孔73A〜73Eは、3孔用のカム状長孔73A,73B,73Cと、2孔用のカム状長孔73D,73Eとに分けられる。カム状長孔73A〜73Eはいずれも、互いに傾斜方向を異にして互いに接近した端部同士を連続させて傾斜部とカム部材72の移動方向に延びた直線とにより形成されている。
各パンチ68A〜68Eの軸に沿った方向の位置は、各カムフォロワ75がカム状長孔73A〜73Eに夫々係合しているため、カムフォロワ75がカム状長孔73A〜73Eのどの部分に係合しているかによって決まる。
図2(b),(c)に示すように、3孔用のカム状長孔73Aには、3孔用のパンチ68Aのカムフォロワ75が摺動可能に係合している。カム状長孔73Aにおける図中の右側の直線部は、左側の直線部よりも長く形成されている。
左から2番目のカム状長孔73B(73D)は3孔用カムと2孔用カムとして兼用されており、カム状長孔73B(73D)には、3孔用パンチの内の中央のパンチ68Bと2孔用パンチの内の左側の2孔用のパンチ68Dとが共通に係合している。このようにカム状長孔73B(73D)は、2本のパンチ68B,68Dに共用されているので、カム数が削減されていると共に、パンチ68B,68D同士の間隔が狭められている。
左側から3番目の2孔用のカム状長孔73Eと、4番目の3孔用のカム状長孔73Cとは、各直線部分が互いに連通して形成されている。2孔用のカム状長孔73Eには、2孔用パンチの内の右側のパンチ68Eのカムフォロワ75が係合している。左側から4番目の3孔用のカム状長孔73Cには、3孔用パンチの内の右側の3孔用のパンチ68Cのカムフォロワ75が係合している。2つのカム状長孔73E,73Cの外側の直線部は、互いに離れる方向に延びている。
以上のカム直線部の内、カム状長孔73Aの右側の直線部の長さと、カム状長孔73B(73D)の左右の直線部の長さと、カム状長孔73Eの左側の直線部79Eの長さと、カム状長孔73Cの右側の直線部の長さとは、互いに略同じ長さに設定されている。また、左側の3孔用のカム状長孔73Aと、左から3番目の2孔用のカム状長孔73Eと、左から4番目の3孔用のカム状長孔73Cとは、同じ高さに形成されている。左から2番目の3孔用及び2孔用のカム状長孔73B(73D)は、他の3つのカム状長孔73A,73E,73Cよりも図2において高い位置に形成されている。
そして、カム状長孔73Aの右側にある直線部の端部と、3孔用及び2孔用のカム状長孔73B(73D)の左側の直線部の端部とが、上下方向で対向してオーバーラップしている。カム状長孔73B(73D)の右側の直線部78Eと、2孔用のカム状長孔73Eの左側の直線部79Eとが、ほぼ全体が対向してオーバーラップした状態に形成され、各パンチ68A〜68E同士の間隔が規格の間隔に配列されている。
また、カム状長孔73A〜73Eがパンチ68A〜68Eの移動方向に位置をずらされてカム同士が連続しないように形成されていることで、必要の無いパンチまでが作動することがないように構成されている。3孔用のパンチ68A,68B,68Cの同士の間隔は等間隔であるが、左側の3孔用のカム状長孔73Aと、左から2番目の3孔用及び2孔用のカム状長孔73B(73D)と、左から4番目の3孔用のカム状長孔73Cとのカム同士の間隔は異なっている。しかも、3孔用のパンチ同士の間隔は、3孔用カム同士の間隔と異なっている。
同様に、2孔用のパンチ68D,68Eの間隔は、2孔用のカム状長孔73D,73Eの間隔と異なっている。これは、カム部材72の移動により、3孔用パンチ或いは2孔用パンチがシートPに孔をあけるとき、3本の3孔用パンチ或いは2本の2孔用パンチが、それぞれ時間差をもって作動してシートPに孔をあけるようにするためである。その結果、カム部材72を移動させるモータ(駆動源)である後述のカム部材駆動モータ92に過負荷が加わることなく、カム部材駆動モータ92により円滑な孔あけ動作(穿孔動作)を実施することが可能になっている。
図2(b)に示すように、カム部材72の長手方向の右端部には、ラック91が形成されている。このラック91には、可動フレーム52に設けられたカム部材駆動モータ92によって回転させられるピニオン94が噛合している。
図2(a),(c)に示すように、カム部材72の右端部には、3つのパンチ作動状態検知フラグ(位置検知手段)101,102,103が上向きに突設されている。上部フレーム62の上面板66には、パンチ作動検知フラグ101,102,103を夫々検知するカム部材HP検知センサ56が配置されている。なお、以下、ホームポジションを「HP」と略称する。カム部材HP検知センサ56は、カム部材72の移動方向に複数設けられたフラグ部としてのパンチ作動検知フラグ101,102,103を検知する。カム部材HP検知センサ56は、パンチ68A〜68Eをダイ孔70A〜70Eから退避させるためのカム部材72の位置が、HP(退避領域)に位置するか否かを検知する領域検知手段を構成する。
パンチ作動検知フラグ101,102,103とカム部材HP検知センサ56とは、パンチ68A,68B,68C,68D,68Eが、シートPに孔をあけているか否かを検知する。カム部材72の右端部には、1つのカム部材状態検知フラグ105が水平方向に突設されている。上部フレーム62に設けられた背面板67には、カム部材状態検知フラグ105を検知するカム部材移動方向検知センサ57及びカム部材領域検知センサ58とが、カム部材72の移動方向に所定間隔あけて設けられている。
カム部材HP検知センサ56は、カム部材72がホームポジションに位置することを検知する。このホームポジション(HP)は、カム部材72がパンチ68A〜68Eを穿孔位置に突出させない位置であり、図6においては停止領域(i)、停止領域(iv)、停止領域(vii)を示す。
カム部材移動方向検知センサ57は、カム部材72を動作させてパンチ68A,68B,68C,68D,68Eに孔あけ動作をさせるため、カム部材状態検知フラグ105を検知するか否かによりカム部材72の移動方向を決定するためのセンサである。
カム部材領域検知センサ58は、カム部材状態検知フラグ105を検知するか否かにより、カム部材72が、3孔用のパンチ68A〜68Cを作動させる3孔領域に位置するのか、2孔用のパンチ68D,68Eを作動させる2孔領域に位置するのかを検知する。
次に、シート処理装置1に搭載される穿孔装置50を制御する制御手段としてのコントローラ110の構成を図4に基づいて説明する。なお、図4は、本実施形態における制御系を示す制御ブロック図である。
コントローラ(制御手段)110は、図1に示した処理制御装置46内に組み込まれて、CPU111,ROM112,RAM113、パンチカウンタ115を内蔵し、ROM112に格納されている制御プログラムにより総括的に穿孔装置50を制御する。パンチカウンタ115は、穿孔装置(穿孔手段)50による穿孔回数をカウントする穿孔回数カウント手段を構成する。RAM113は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
パンチカウンタ115は、シート処理装置1に搬送されたシートPに穿孔装置50によって穿孔処理(パンチ)を行った回数(穿孔動作を行った回数)をカウントする(計測する)。
制御手段としてのコントローラ110には、カム部材HP検知センサ56と、カム部材移動方向検知センサ57と、カム部材領域検知センサ58と、カム部材駆動モータ92を駆動するモータドライバ114と、カム部材FGセンサ59とが接続される。カム部材HP検知センサ56、カム部材移動方向検知センサ57、及びカム部材領域検知センサ58による各検知信号は、コントローラ110に入力されて、穿孔装置50の制御に使用される。カム部材FGセンサ59は、カム部材72の移動量に対応するパルス数をカウントするパルスカウント手段を構成する。
モータドライバ114は、コントローラ110からの制御信号によりカム部材駆動モータ92を制御する。カム部材駆動モータ92は、DCモータ等から構成され、穿孔装置50のカム部材72を左右に往復移動させてシートPに孔をあけるための駆動手段である。
カム部材FGセンサ59は、カム部材駆動モータ92の回転軸(不図示)に設置されたスリット付円盤(不図示)のスリットを検出するセンサである。カム部材FGセンサ59による検知信号がコントローラ110に入力されることで、コントローラ110が、カム部材駆動モータ92の回転数やカム部材72の移動距離を算出する。
次に、図5〜図8を参照して、カム部材72の動作について説明する。なお、図5は、カム部材72の動作状態を示した図である。図6は、図5におけるカム部材72の動作状態(a)〜(g)に対応したカム部材HP検知センサ56、カム部材移動方向検知センサ57、カム部材領域検知センサ58の各ON,OFFの論理状態に夫々対応する領域(i)〜(vii)を示す図である。図7は、初期化動作について説明するフローチャートである。図8は、各種カム部材検知センサのON,OFF論理を示した図である。なお、図6における領域(i)〜(vi)のそれぞれは、図5の(a)〜(g)に示す状態に対応している。
まず、初期化動作について説明する。この初期化動作は、孔あけ動作(穿孔動作)を確実に行うためにカム部材72のHP(ホームポジション)を出すための動作である。図7の初期化動作(図9のS200に対応)に入ると、処理制御装置46内のコントローラ110は、カム部材領域検知センサ58、カム部材HP検知センサ56、カム部材移動方向検知センサ57の各入力状態(ON,OFF)を確認する(図7のS701)。
コントローラ110は、各信号の入力状態により、カム部材72がどこの領域にあるかを判断する。例えば、カム部材HP検知センサ56の入力状態がOFF、カム部材移動方向検知センサ57の入力状態がON、カム部材領域検知センサ58の入力状態がONであった場合は、カム部材72は図6における穿孔領域(v)にあることになる。この際、穿孔装置50は、図5(e)に示す状態になっている。図6に示すように、カム部材72の領域は、7つ存在する。その初期領域により、初期化動作におけるカム部材72の移動先が異なる。
ここで、カム部材HP検知センサ56、カム部材移動方向検知センサ57、カム部材領域検知センサ58の各入力状態に対応する移動先のマトリクスを図8に示す。例えば、図6において初期領域が停止領域(i)及び穿孔領域(ii)の場合にはカム部材72は停止領域(iv)へ移動し、初期領域が穿孔領域(iii)の場合にはカム部材72は停止領域(i)へ移動するように制御される。また、初期領域が停止領域(iv)及び穿孔領域(v)の場合には停止領域(vii)へ移動し、初期領域が穿孔領域(vi)及び停止領域(vii)の場合には停止領域(iv)へ移動するように制御される。
コントローラ110は、上記マトリクスによって初期化動作の移動先の領域を確定する(S702)。移動先の領域が確定すると、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92をON(駆動)させるためのモータドライバ114に制御信号を送る(S703)。
コントローラ110は、カム部材駆動モータ92を駆動すると、タイマカウンタT1でカウント(計測)を開始する(S704)。次に、コントローラ110は、タイマカウンタT1がT1<300[msec]か否かを判断する(S705)。
この際、T1<300[msec]であれば、コントローラ110は、カム部材HP検知センサ56がONしたか否かを判断する(S706)。ここで、カム部材HP検知センサ56がONすれば、カム部材72がHP領域に移動したことになる。そのため、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92を駆動するための制御信号をモータドライバ114に送信することを止め、カム部材駆動モータ92を停止させる(S707)。コントローラ110は、S706でカム部材HP検知センサ56がOFFのままの場合には(S706:No)、S705に戻り、タイマカウンタT1の監視を再度行う。
また、S705でタイマカウンタT1がT1≧300[msec]であった場合には、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の作動、或いはカム部材72の移動に何らかの異状が発生したと判断する。そして、カム部材72がHP領域に到達できなかったとして、カム部材駆動モータ92の駆動エラーとする(S709)。駆動エラーであると、コントローラ110は、穿孔装置50を停止することで穿孔装置50の損傷を防止し、シート処理装置1或いは装置本体2に設けられた表示パネル(不図示)に駆動エラーを表示する(S710)。コントローラ110は、このように初期化によるホームポジション出し動作を完了してリターンする(S708)。
ここでは、HP領域が3箇所から構成される穿孔装置50の初期化動作について説明したが、HP領域が2箇所から構成される穿孔装置50の初期化動作についても同様である。すなわち、HP領域が2箇所から構成される穿孔装置50は、図6に示す領域で説明すると、カム部材72は、停止領域(i)から停止領域(iv)までの範囲、もしくは、停止領域(iv)から停止領域(vii)までの範囲を移動する。この場合にも図8に示すマトリクスを当てはめることができる。
具体的には、カム部材72が停止領域(i)から停止領域(iv)までの範囲を移動する穿孔装置50の場合、カム部材72は、最初に停止領域(i)または穿孔領域(ii)にいるときには停止領域(iv)へ移動するように制御される。また、穿孔領域(iii)または停止領域(iv)にいるときには停止領域(i)へ移動するように制御される。
カム部材72が停止領域(iv)から停止領域(vii)までの範囲を移動する穿孔装置50の場合、カム部材72は、最初に停止領域(iv)または穿孔領域(v)にいるときには停止領域(vii)へ移動するように制御される。また、穿孔領域(vi)または停止領域(vii)にいるときには停止領域(iv)へ移動するように制御される。前述したように、停止領域(i)、停止領域(iv)、停止領域(vii)は、ホームポジションを構成する。
なお、図8に示すマトリクスによると、HP領域が3箇所から構成される穿孔装置50の初期化動作では、カム部材72は、初期領域が停止領域(i)または穿孔領域(ii)の場合には停止領域(iv)へするように制御される。また、初期領域が穿孔領域(iii)または停止領域(iv)の場合には停止領域(i)へ移動するように制御され、初期領域が停止領域(iv)または穿孔領域(v)の場合には停止領域(vii)へ移動するように制御される。さらに、初期領域が穿孔領域(vi)または停止領域(vii)の場合には停止領域(iv)へ移動するように制御される。すなわち、遠い方の領域へ移動するようになっている。HP領域が3箇所から構成される穿孔装置50の初期化動作においても同様である。
次に、初期設置時、所定枚数の穿孔動作後に行う、HP間を移動する際の制動(ブレーキ)開始タイミングの調整について、図9のフローチャートを用いて説明する。即ち、初期化時にカム部材72がどの位置にあるか、つまりカム部材HP検知センサ56、カム部材移動方向検知センサ57、カム部材領域検知センサ58がどの状態であるかで、2孔/3孔の調整順が異なるため、その説明を行う。
まず、ブレーキタイミング調整処理が開始されると、コントローラ110は、S200において、図7を用いて前述した初期動作後にカム部材72を停止領域に移動させる。そして、コントローラ110は、初期動作後のカム部材72が停止領域(i)にいるか否かを確認する(S201)。
その結果、カム部材72が停止領域(i)に位置する場合(S201:YES)には、2孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S202)。制動開始タイミングの調整の詳細については、後述する。さらに、コントローラ110は、2孔領域の制動開始タイミングの調整が終了したときのカム部材72が停止領域(i)に位置しているか否かを確認する(S203)。
カム部材72が停止領域(i)に位置している場合(S203:YES)、コントローラ110は、カム部材72を停止領域(iv)に移動させ(S204)、3孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S205)。一方、カム部材72が停止領域(i)に位置していない場合(S203:NO)、コントローラ110は、3孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S205)。
一方、カム部材72が停止領域(i)に位置していない場合(S201:NO)には、3孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S206)。さらに、コントローラ110は、3孔領域の制動開始タイミングの調整が終了したときのカム部材72が停止領域(vii)に位置しているか否かを確認する(S207)。
カム部材72が停止領域(vii)に位置している場合、コントローラ110は、カム部材72を停止領域(iv)に移動させ(S208)、2孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S209)。一方、カム部材72が停止領域(vii)に位置していない場合(S207:NO)、コントローラ110は、カム部材72の移動はせずに、2孔領域の制動開始タイミングの調整を行う(S209)。
次に、3孔領域の制動開始タイミングの調整の処理(図9のS205に対応)について、図10及び図11のフローチャート並びに図12のタイミングチャートを用いて説明する。なお、図10及び図11は制動開始タイミングの調整を説明するフローチャートであり、図12は制動開始タイミングの調整を説明するタイミングチャートである。
まず、3孔領域の制動開始タイミングの調整処理が開始されると、コントローラ110は、カム部材72が停止領域(vii)にいるか否かを確認する(S100)。その結果、カム部材72が停止領域(vii)に位置している場合(S100:YES)、カム部材駆動モータ92の回転方向(CW/CCW)を1(正転)に設定し、カム部材駆動モータ92を起動する(S101)。
一方、S100においてカム部材72が停止領域(vii)に位置していない場合(S100:NO)、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の回転方向を0(逆転)に設定し、カム部材駆動モータ92を起動する(S113)。
次に、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の目標速度(即ちカム部材72の目標移動速度でもある)をV2とし、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V2になるように制御する。つまり、コントローラ110は、モータON信号をPWM(Pulse Width Modulation)制御しながら、カム部材駆動モータ92の速度制御(V2)(S102)をカム部材FGセンサ59の入力パルス信号を検知して行う(S103)。そして、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92が回転すると、タイマカウンタT2でカウントを開始する(S105)。
このタイマカウンタT2は、カム部材駆動モータ92の動作不良を検知するためのものであり、S105以降の処理を継続するにあたって、コントローラ110と協働して、常にカム部材駆動モータ92を監視している。仮に、T2≧200[msec]になった場合(S106:NO)、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の作動或いはカム部材72の移動に何らかの異状が発生してカム部材駆動モータ92が作動しなかったと判断する。そして、カム部材駆動モータ92のエラーとする(S107)。
コントローラ110は、駆動エラーであると判断した場合、穿孔装置50を停止することにより、穿孔装置50の損傷を防止して、シート処理装置1或いは装置本体2に設けられた不図示の表示パネルに駆動エラーを表示する(S114)。
一方、S106においてT2<200[msec]になった場合(S106:YES)、コントローラ110は、カム部材72をスライド移動させ、カム部材HP検知センサ56がOFFになるのを待つ(S108)。そして、S108でカム部材HP検知センサ56がOFFになった場合(S108:YES)、コントローラ110は、カム部材FGセンサ59のパルスP1をカウント開始する(S109)。
カム部材駆動モータ92の駆動が進み、カム部材FGセンサ59のパルスP1が、P1=初期値D3になると(S110:YES)、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の駆動制御信号を停止し、カム部材駆動モータ92を停止する(S111)。
引き続き、コントローラ110は、タイマカウンタT3でカウントを開始し(S112)、カム部材HP検知センサ56がONしているか否かを確認する(S115)。このタイマカウンタT3は、S111でカム部材駆動モータ92に対し、停止動作を行ってからカム部材駆動モータ92が確実に停止するまでの時間である。
コントローラ110は、S115でカム部材HP検知センサ56がONしている場合、タイマカウンタT3が200[ms]に到達するのを待ち(S116)、再度、カム部材HP検知センサ56がONしていることを確認する(S117)。S117でカム部材HP検知センサ56がONしている場合、制動開始タイミングの調整時に停止領域で停止できたことになる。
図12は、上述した制動開始タイミングの調整時に停止領域に停止できた場合のタイミングチャートである。図12において符号501は、カム部材HP検知センサ56の検知信号の波形であり、Hレベルが停止領域にいることを示している。符号502は、カム部材駆動モータ92のON信号の波形であり、Hレベルがカム部材駆動モータ92を駆動していることを示している。
また、符号503は、カム部材FGセンサ59の検知信号の波形を示している。符号504で示す矢印は、時間が経過する方向を示している。符号505は、カム部材72の停止時の振動によって検知信号がON、OFFしている波形を示している。このパルスをカウントすると停止位置を誤検知することになる。
この例では、カム部材HPセンサ56がパンチ作動検知フラグ101を検知している状態からカム部材駆動モータ92の駆動が開始され、カム部材HPセンサ56がパンチ作動検知フラグ102を検知している(信号501の2番目のHレベル)。符号506は、カム部材駆動モータ92の回転方向を表しており、Hレベルが正転方向を示している。符号506は、カム部材駆動モータ92の回転方向を表わす信号(CW/CCW)であり、Hレベル(CW/CCW=1)が正転方向を示している。
次に、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92を前回と逆方向に回転させるために、回転方向設定を確認する(S118)。その結果、回転方向設定が1の場合(S118:YES)、コントローラ110は、回転方向を0に設定してカム部材駆動モータ92を起動する(S120)。一方、回転方向設定が0の場合(S118:NO)、コントローラ110は、回転方向を1に設定してカム部材駆動モータ92を起動する(S119)。
次に、コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の目標速度(カム部材72の目標移動速度でもある)をV2とし、カム部材駆動モータ92の速度が目標速度V2になるように、モータON信号をPWM制御する。コントローラ110は、カム部材駆動モータ92の速度制御(S121)を、カム部材FGセンサ59の入力パルス信号を検知しながら制御する。
次に、カム部材FGセンサ59のパルスP3のカウントを開始し(S122)、カム部材駆動モータ92が起動してから、カム部材HP検知センサ56がOFFするまでのカム部材FGセンサ59のパルス数をカウントする(S123)。そして、カム部材HP検知センサ56がOFFした時点で、カウントを終了する(S124)。
次に、3孔領域の制動開始タイミングB3を、次式(1)により求める(S125)。
B3=D3+M3−P3 ……(1)
(但し、D3は、3孔領域の制動開始タイミング初期値であり、M3は、3孔領域での停止領域内のカム部材72の目標停止位置(即ちカム部材HP検知センサ56がONになってからカム部材72が停止するまでの距離の目標値)である。パルスP3は、カム部材停止位置の測定値(P3)である。)
コントローラ110はカム部材FGセンサ59のパルスP1のカウントを開始し(S126)、パルスP1が制動開始タイミングB3になったら(S127:YES)、カム部材駆動モータ92を停止し(S128)、処理を終了してリターンする(S129)。
コントローラ110は、図12に示すように、カム部材駆動モータ92の起動からカム部材HP検知センサ56のOFFまでのカム部材FGセンサ59のカウントによって、カム部材72の停止位置を測定している。そして、コントローラ110は、初期値D3と目標値M3との差を算出し、調整後のカム部材駆動モータ92の制動開始タイミングである調整値(B3)を導き出すことができる。
以上、3孔部の制動開始タイミングの調整について説明したが、2孔部の調整でも同様に、図6における停止領域(i)〜停止領域(iv)の間の移動、初期値D3、目標値M3、測定値(P3)から制動開始タイミングB3を算出する。
次に、シート処理装置1の、実際の画像形成されたシートPに対して穿孔装置50によるパンチ処理を行い、その後サンプルトレイ42に排出する動作を、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、一回目の制動開始タイミングの調整は、機械設置時に行われているものとする。
3孔パンチジョブが投入されると、上述したように、穿孔装置50の初期化が行われる(S301)。その後、シートPに対する画像形が実施され(S302)、そのシートPがシート処理装置1へ搬送される(S303)。
そして、シートPの搬送は、穿孔装置50の部分(孔あけ部)で一旦停止され(S304)、その後、カム部材駆動モータ92が駆動されてカム部材72が移動を開始する(S305)。さらに、コントローラ110は、カム部材HP検知センサ56がOFFになると(S306)、カム部材FGセンサ59がパルスP3をカウント開始し(S307)する。そして、設置時に調整された調整値(B3)が経過すると(S308:YES)、カム部材駆動モータ92の駆動を停止してカム部材72を停止する(S309)。
その後、コントローラ110は、カム部材HPセンサ56の状態を確認し(S310)、前述と同様にカム部材HP検知センサ56がOFFのままの場合(S310:NO)には、「エラー回避JAM」とエラー表示する(S311)。このように、カム部材HPセンサ56がOFFのままでエラー表示となった場合、エラー復帰時に再度制動開始タイミングの調整(S315、316)を実施し、図12の調整値(B3)を再決定することで、繰り返しエラーが発生することを回避できる。その後、穿孔装置50を含むシート処理装置1は、エラー/JAM状態から復帰し(S317)、再度シートへの画像形成から復帰する。
一方、カム部材HP検知センサ56がONの場合(S310:YES)、シートPの再搬送を開始し(S312)、シートPをサンプルトレイ42へ排出する(S313)。このシートPが非最終紙の場合は、続いてS302からの処理を繰り返し、シートPの受け取り、孔あけ、サンプルトレイ42への排出を繰り返し、最終紙のトレイ排出を完了すると、ジョブを終了する(S318,S314)。
続いて、上記のような孔あけジョブや非孔あけジョブが混在する場合、スリープ復帰時に再度制動開始タイミングの調整(調整制御)を行う場合の動作について、図14のフローチャートを用いて説明する。
本実施形態のコントローラ110は、前述のように、カム部材HP検知センサ56がパンチ作動検知フラグ(フラグ部)101〜103の1つ(例えば101)を検知してから初期値D3後(第1の所定時間後)にカム部材駆動モータ92の駆動を停止する。そして、慣性で移動するカム部材72の別のパンチ作動検知フラグ(例えば102)を再びカム部材HP検知センサ56が検知した後、慣性移動するカム部材72が停止可能なタイマカウンタT3後(第2の所定時間後)にカム部材駆動モータ92を逆転させる。これにより、コントローラ110は、カム部材72が逆方向移動してから上記別のパンチ作動検知フラグの検知が途切れる時点までのカム部材FGセンサ59のカウント値に基づき初期値(第1の所定時間)D3を調整する調整制御を行う。
コントローラ110は、穿孔処理に係るジョブの終了後に一定以上の時間が経過した際に移行するスリープモードを実行可能であり、スリープモードからの復帰時に、穿孔回数が所定回数以上(例えば5000枚以上の穿孔動作)であれば調整制御を実施する。
すなわち、ジョブが投入(S401)され、孔あけジョブを実施した場合(S402:YES)、孔あけを実施枚数だけパンチカウンタ115がカウントアップされる(403)。一方、非孔あけシートの搬送/排出を実施した場合には(S402:NO)、パンチカウンタ115は、カウントアップされない(S404)。
そして、ジョブ終了後(S405)所定時間以上経過した場合(S406:YES)、コントローラ110は、穿孔装置50を含むシート処理装置1を、省エネルギー化のためにスリープモードへ移行させる(407)。一方、所定時間以上経過しない場合は(S406:NO)、スリープモードへ移行せず(S408)、次ジョブを開始し(S415)、ジョブを終了する(416)。
そして、スリープモードへ移行し、プリントモードで次ジョブが投入される、もしくはユーザが操作部(不図示)でスリープモードからの復帰を指示した場合(S409)、コントローラ110は、パンチカウンタ115のカウントをチェックする(S410)。その結果、パンチカウンタ115によるカウント開始から、5000枚以上の穿孔動作(孔あけ)を実施していた場合(S410:YES)、コントローラ110は上述の制動開始タイミングの調整を再実施し(S411)、図12の調整値(B3)を再決定する。
このように、コントローラ110(制御手段)は、パンチカウンタ(穿孔回数カウント手段)115による穿孔回数が所定回数以上となっている場合に調整制御を実施する。一方、5000枚以上孔あけを実施していない場合(S410:NO)には、上述した制動開始タイミングの調整(調整制御)を再実施しない(S412)。これは例えば、孔あけ動作(穿孔動作)を多数回実施したことでカム部材72がOFFのまま停止してしまいエラーとなるという現象に対して有効である。孔あけ動作を多数回実施した場合、カム部材72のスライド負荷が増大し、実際のカム部材72の停止位置が、初期時よりも手前(ONエッジ側)となるおそれがある。場合によってはOFF状態のままとなって、エラー発生となることも考えられる。
以上のように、本実施形態によれば、スリープモードからの復帰時に調整制御を実施する構成を有しながらも、空打ち動作によりパンチやダイ孔の劣化を低減させることができる。これにより、パンチやダイ孔などの穿孔のための機構の耐久性が向上でき、装置の寿命を延ばすことができる。
本実施形態では、上述のように5000枚ごとに制動開始タイミングの調整を実施している。この枚数は、本実施形態に係る穿孔装置50が孔あけ可能な最大坪量/厚さのシート5000枚に対して孔あけを実施しても、停止位置が大きく変動しないことから設定された枚数である。このように、枚数(所定回数)は、穿孔装置50により穿孔処理するシートの坪量に応じて設定されることが好ましい。
そして、最大坪量/厚さのシートPを連続孔あけした場合に停止位置が変動する枚数よりも少なく設定することが好ましい。また、装置本体2から送られたシート情報に基づき、普通紙は10000枚毎、厚紙は1000枚毎とし、シートPの厚さや坪量に応じて枚数を変更するように構成することも可能である。
所定枚数は、穿孔装置50の穿孔動作の繰り返し(耐久)によるカム部材72の停止位置の変化、即ちスライド負荷変動の程度によって設定されることが好ましい。即ち、所定枚数(所定回数)は、穿孔装置50による穿孔動作の繰り返しに伴うカム部材72の移動負荷の変動程度に応じて設定されることが好ましい。これにより、パンチ68A〜68Eの空打ち動作による穿孔部分の劣化を、可能な限り回避することができる。そして、制動開始タイミングの調整制御を所定通紙枚数毎に実施でき、多数枚の穿孔動作により制動開始タイミングの最適値が変わった場合でも対応できるので、耐久等によりHPに戻れずエラーとなることを防止できる。
コントローラ110は、上記のように制動開始タイミングの調整を再実施し、次ジョブを開始/終了する(S413、414)。本実施形態では、S406でスリープモードへ移行しない場合(S406:NO)には、そのまま制動開始タイミングの調整を再実施せず、次ジョブを開始/終了する(S415、416)。
これは、ジョブ受付時に毎回調整を実施するほどはカム部材72の停止位置が変動しないこと、及び、ジョブを受けてからプリント開始するまでの時間を早くしたいこと、などの理由から、毎ジョブ初期化時には行っていない。逆に、制動開始タイミングの調整を毎ジョブ初期化時に行う必要がある場合には、実施するように構成することも可能である。
なお、本実施形態では、スリープモードからの復帰時に穿孔回数が所定回数以上であれば調整制御を実施するように構成していた。しかし、シート処理装置1の装置本体1aを含む画像形成装置90への主電源の投入時に穿孔回数が所定回数以上であれば調整制御を実施するように構成することも可能である。また、連続通紙時にカム部材72のパンチ作動検知フラグ101〜103がHPに戻れないエラーが発生した場合、このエラーからの復帰時に穿孔回数が所定回数以上であれば調整制御を実施するように構成することも可能である。これらの場合にも、同様の効果を得ることができる。
ところで、穿孔装置50のカム部材72がHPに届かないエラーが発生した場合、一回目のエラーはサービスマン出動を回避するために「エラー回避JAM」と通知し、連続で同じエラーが出た場合には正式のエラー通知をすることが考えられる。そのような場合、エラー回避JAM後に数枚OKとなった場合には、再びエラーが発生してもまた「エラー回避JAM」となるため、数枚OKとエラー回避JAMとを繰り返すような問題を発生するおそれがある。しかし、本実施形態によれば、所定枚数毎(適切な穿孔回数毎)に制動開始タイミングの調整を実施できるので、穿孔装置50の空打ちによる耐久枚数の低下防止と耐久等の継時変化の対応とを両立できる。このため、上記問題の発生を回避することができる。また、たとえエラーが発生したとしても、エラー発生時に再度調整を実施するので、エラーの連続が発生するようなことはない。