以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンタである。
画像形成装置100は、後述する中間転写ベルト51の移動方向に沿って並設された、複数の画像形成部(ステーション)としての4個の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。これら各画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(黒色)の各色の画像を形成する。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、使用するトナーの色は異なるが、共通する部分が多い。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の画像形成の要素であることを表す図中符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。また、以下の説明において、イエロー用、マゼンタ用及びシアン用の画像形成部SY、SM、SCやその要素を、「カラー用」のものとして総称することがある。
図2は、画像形成部Sの構成をより詳しく示す模式的な断面図である。画像形成部Sは、像担持体としての回転可能なドラム型(円筒形)の感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。まず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)3が配置されている。本実施例では、一体的に構成された露光装置3から各画像形成部SY、SM、SC、SKの各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに、各色成分の画像情報に応じてレーザー光を照射できるようになっている。次に、現像手段を備える現像装置4が配置されている。次に、1次転写部材としての1次転写ローラ55が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーナ6が配置されている。
帯電ローラ2には、帯電バイアス印加手段としての帯電電源E1(図3)が接続されている。そして、帯電バイアスとして、感光ドラム1の帯電極性である負極性の所定の電位の直流電圧が、帯電電源E1から帯電ローラ2に印加される。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKごとに帯電電源E1Y、E1M、E1C、E1Kが設けられている。
現像装置4は、現像剤としてのトナーを収容した現像容器42と、現像容器42の感光ドラム1側に設けられた開口部に回転可能に配置された、現像手段としての現像ローラ41と、を有する。現像装置4は、現像容器42に収容されたトナーを現像ローラ41に担持して、感光ドラム1との対向部(現像部)に搬送する。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)は負極性である。現像ローラ41には、現像バイアス印加手段としての現像電源E2(図3)が接続されている。そして、現像バイアスとして、現像時のトナーの帯電極性と同極性である負極性の所定の電位の直流電圧と、交流電圧と、が重畳された振動電圧が、現像電源E2から現像ローラ41に印加される。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKごとに現像電源E2Y、E2M、E2C、E2Kが設けられている。ここで、本実施例では、現像装置4は、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(画像部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させる反転現像方式により、トナー像を形成する。
ドラムクリーナ6は、クリーニング部材としての、感光ドラム1に当接させられ感光ドラム1に付着したトナーを清掃する板状の弾性部材であるクリーニングブレード61と、感光ドラム1から回収されたトナーを収容する回収トナー容器62と、を有する。クリーニングブレード61は、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)における画像形成可能領域の全域にわたり延在している。本実施例では、クリーニングブレード61は、常に感光ドラム1に当接させられている。
各画像形成部SY、SM、SC、SKの各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの図中下方には、各画像形成部SY、SM、SC、SKで形成されたトナー像を転写材Pに転写するための転写装置(転写ユニット)5が配置されている。この転写装置5は、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向する位置に、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの表面に形成されたトナー像が1次転写される中間転写体としての中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、テンションローラ53及び従動ローラ54により張架されている。これら3個のローラは、中間転写ベルト51の内側に接触する。駆動ローラ52は、中間転写ベルト51に回転駆動力を伝える。テンションローラ53は、その回転軸中心が移動されることで中間転写ベルト51に張力を与える。従動ローラ54は、後述する2次転写部N2の手前の中間転写ベルト51の張架角度を調整するために配置されている。中間転写ベルト51は、駆動ローラ53に回転駆動力が伝達されることで、図中矢印R2方向に回転(循環移動)する。中間転写ベルト51は、複数の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kから転写材Pへトナー像を転写するための転写ベルトである。
ここで、本実施例では、中間転写ベルト51としては、イオン導電剤を添加して体積抵抗率を1010Ωcm程度に調整した、厚さ100μmの無端状の樹脂ベルトを用いた。ベルトの材質としては、本実施例ではポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いたが、それ以外に、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、熱可塑性ポリイミドなどの樹脂材料や、これら樹脂材料の表面にアクリルなどの樹脂硬化層を設けたものでもよい。
また、本実施例では、駆動ローラ52としては、芯金としての外径24mmの中空のアルミ管に、弾性層として0.5mmの厚みでEPDMゴムを被覆して構成された、電気抵抗が105Ω以下のものを使用した。
また、テンションローラ53は、付勢部材としてのテンションバネ57によって一方向に付勢され、中間転写ベルト51に所定のテンションを付与している。
中間転写ベルト51の内周面側において、中間転写ベルト51を挟んで各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向する位置に、1次転写ローラ55Y、55M、55C、55Kが配置されている。1次転写ローラ55は、中間転写ベルト51を介して感光ドラム1に向けて押圧(付勢)され、中間転写ベルト51と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1を形成する。そして、1次転写ローラ55は、中間転写ベルト51に対して従動回転する。1次転写ローラ55には、1次転写バイアス印加手段としての1次転写電源E3(図3)が接続されている。そして、1次転写バイアスとして、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性である正極性の所定の電位の直流電圧が、1次転写電源E3から1次転写ローラ55に印加される。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKごとに1次転写電源E3Y、E3M、E3C、E3Kが設けられている。
また、中間転写ベルト51の外周面側において、中間転写ベルト51を挟んで駆動ローラ52に対向する位置には、2次転写部材としての2次転写ローラ56が配置されている。2次転写ローラ56には、2次転写バイアス印加手段としての2次転写電源E4(図3)が接続されている。そして、2次転写バイアスとして、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性である正極性の所定の電位の直流電圧が、2次転写電源E4から2次転写ローラ56に印加される。2次転写ローラ56は、付勢部材としての加圧バネ(図示せず)によって駆動ローラ52に向けて一方向に付勢され、中間転写ベルト51と2次転写ローラ56とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2を形成する。そして、2次転写ローラ56は、中間転写ベルト51に対して従動回転する。
中間転写ベルト51には、中間転写ベルト51上に付着したトナー(残留トナー)を除去するために、中間転写体クリーニング手段としてのブラシ状の中間転写体クリーニング部材であるトナー帯電ブラシ58が配置されている。トナー帯電ブラシ58は、中間転写ベルト51を介して駆動ローラに対向する位置に配置されている。トナー帯電ブラシ58は、中間転写ベルト51の回転に伴って中間転写ベルト51の表面を摺擦する。すなわち、本実施例では、トナー帯電ブラシ58は、中間転写ベルト51の表面に対して相対的に摺動する摺動部材の一つの形態である。また、トナー帯電ブラシ58には現像時のトナーの帯電極性とは逆極性である正極性の所定の電位の電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト51上に付着したトナーを一時的に回収すると共に、トナーを電気的に現像時の帯電極性とは逆極性に帯電させる。この帯電させられたトナーは、1次転写ローラ55に印加される現像時のトナーの帯電極性とは逆極性である正極性のバイアスの作用により、中間転写ベルト51から感光ドラム1に転移させられて、ドラムクリーナ6によって回収される。トナー帯電ブラシ58は、回転可能なブラシローラ型のものであってもよいし、固定配置されたデッキブラシ型のものであってもよい。本実施例では、ブラシローラ型のものを用いた。
ここで、中間転写体クリーニング手段は、上述のような静電的な回収のほかに、中間転写体クリーニング部材として中間転写ベルトに当接させられる板状の弾性部材であるクリーニングブレードを用いる、ブレードクリーニング方式を採用してもよい。
本実施例では、中間転写ベルト51及び全ての感光ドラム1は、駆動源としての共通の1つのモータ(共通駆動モータ)M1によって駆動される。これら中間転写ベルト51及び全ての感光ドラム1は、クラッチなどの接続機構を介さずに共通駆動モータM1に接続されている。これにより、小型化と構造の簡素化が図られている。
図12は、駆動伝達構成を示す断面図である。共通の駆動源である共通駆動モータM1によって駆動するドラムギア80からの駆動力は、アイドラギア81a、81b、82a、82b、83a、83b、83c、83dによって分岐される。そして、分岐された駆動力が、駆動ローラ52を駆動する駆動ギア520と、各感光ドラムのドラムギア120Y、120M、120C、120Kに伝達されることで、駆動ローラ52、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kがそれぞれ回転する。
一方、イエロー用、マゼンタ用、シアン用及びブラック用の各現像ローラ41Y、41M、41C、41Kは、駆動源としての共通の1つのモータ(現像駆動モータ)M2によって駆動される。ここで、ブラック用の現像ローラ41Kは現像駆動モータM2に直接接続されており、イエロー用、マゼンタ用及びシアン用の現像ローラ41Y、41M、41Kは接続機構としてのクラッチ(現像クラッチ)C1を介して現像駆動モータM2に接続されている。これにより、ブラック用の現像ローラ41Kが回転している状態で、イエロー用、マゼンタ用及びシアン用の現像ローラ41Y、41M、41Cの回転を停止することができる。
その他、画像形成装置100には、2次転写部N2へと転写材Pを供給する転写材供給手段や、トナー像を転写材Pに定着させる定着手段などが設けられている。
なお、本実施例では、感光ドラム1と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーナ6とは、枠体によって一体的に構成され、画像形成装置100の装置本体110に対して着脱なプロセスカートリッジ7とされている。画像形成部SY、SM、SC、SKに対応して、プロセスカートリッジ7Y、7M、7C、7Kが配置されている。
2.制御態様
図3は、本実施例の画像形成装置100の要部の概略制御態様を示す。画像形成装置100の動作は、装置本体110に設けられた制御部150が統括的に制御する。制御部150は、演算処理を行う中心的素子であるCPU151、記憶手段としてのROM152、RAM153などを有して構成されている。書き換え可能なメモリであるRAM153には、制御部150に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROM152には制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU151とROM152、RAM153とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。
CPU151は、ROM152に格納された制御プログラムの内容に従って、画像形成装置100の各部を統括的に制御してシーケンス動作させる。本実施例との関係では、CPU151は、上述の各種電源E1〜E4のON/OFF、出力値を制御する。また、CPU151は、共通駆動モータM1、現像駆動モータM2、現像クラッチC1のON/OFFを制御する。また、後述する離間手段20、移動手段30の切替動作を制御する。また、CPU151は、後述するように感光ドラム1の回転を検知するセンサ(図示せず)の検知結果に応じて、回転数カウンタ160に感光ドラム1の回転数を記録する。そして、CPU151は、必要に応じて回転数カウンタ160に記録された感光ドラム1の回転数情報を読み出して制御に使用する。
また、画像形成装置100の装置本体110には、画像読取り装置やパーソナルコンピュータなどの外部のホスト装置(図示せず)が接続されている。そして、該ホスト装置から装置本体110の制御部150に画像データなどの各種情報信号が入力されるようになっている。
3.画像形成装置の動作
本実施例の画像形成装置100の画像形成動作について説明する。本実施例では、画像形成装置100は、使用する感光ドラム1の数が異なる複数の画像形成モードとして、第1の画像形成モードと、第2の画像形成モードと、を実行可能である。
本実施例における第1の画像形成モードとしてのフルカラーモードでは、イエロー用、マゼンタ用、シアン用及びブラック用の画像形成部SY、SM、SC、SKの全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを用いて画像形成が行われる。
一方、本実施例における第2の画像形成モードとしてのモノモードでは、ブラック用の感光ドラム1Kのみを用いて画像形成を行われる。モノモードは、選択色画像形成モードの一つの形態であり、選択色画像形成モードとは、画像形成装置100が有する複数の画像形成部のうち選択色の画像形成部でのみ画像形成を行うモードである。
3−1.フルカラーモード
まず、フルカラーモード時の動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、カセット8内の転写材Pが、給送ローラ9により給送された後、レジストローラ対10に搬送される。このときレジストローラ対10は回転を停止しており、このレジストローラ対10のニップに転写材Pが突き当てられることにより、転写材Pの斜行が矯正される。
一方、この転写材Pの搬送動作に並行して、トナー像形成動作が行われる。すなわち、全ての感光ドラム1及び中間転写ベルト51の回転駆動が開始される。そして、イエロー用の画像形成部SYにおいては、まず帯電ローラ2Yによる感光ドラム1Yの帯電処理が開始され、感光ドラム1Yの表面が一様に負極性に帯電させられる。次に、現像装置4Yの現像ローラ41Yの回転が開始された後に、現像ローラ41Yが感光ドラム1Yに当接させられる。現像ローラ41の感光ドラム1に対する位置を切り替える移動手段については後述する。現像ローラ41Yの感光ドラム1Yへの当接が安定してから、露光装置3により感光ドラム1Yに対する画像露光が行われ、感光ドラム1Yの表面には画像信号のイエロー画像成分に対応した静電潜像(静電像)が形成される。次に、感光ドラム1Y上に形成された静電潜像は、現像装置4Yにより負極性に帯電したイエロートナーを用いて現像され、イエロートナー像として可視化される。感光ドラム1Y上に形成されたイエロートナー像は、1次転写バイアスが供給された1次転写ローラ55Yにより、中間転写ベルト51上に1次転写される。
このような一連のトナー像形成動作は、マゼンタ用、シアン用及びブラック用の画像形成部SM、SC、SKにおいても所定のタイミングで順次に行われる。そして、イエロー用、マゼンタ用、シアン用及びブラック用の各感光ドラム1Y、1M、1C、1K上に形成された各色のトナー像は、それぞれの1次転写部N1で中間転写ベルト51上に順次重ねて1次転写される。
中間転写ベルト51上に重畳して転写された4色のトナー像は、中間転写ベルト51の回転に伴い2次転写部N2に移動させられる。また、レジストローラ対10で斜行を矯正された転写材Pは、中間転写ベルト51上の画像とタイミングがとられて2次転写部N2に送り出される。その後、2次転写バイアスが供給された2次転写ローラ56により、中間転写ベルト51上の4色のトナー像は、転写材P上へ一括して2次転写される。
トナー像が転写された転写材Pは、定着装置11に搬送されて、ここで加熱及び加圧されることにより、その上にトナー像が定着される。その後、トナー像が定着された転写材Pは、排出ローラ対12により排出トレイ13に排出されて積載される。
なお、1次転写工程後に感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、ドラムクリーナ6によってクリーニングされる。ドラムクリーナ6は、感光ドラム1に当接して配置されたクリーニングブレード61によって、回転する感光ドラム1上から1次転写残トナーを掻き取り、回収トナー容器62に回収する。また、上述のように、2次転写を終了した中間転写ベルト51は、駆動ローラ52の近傍に設置されたトナー帯電ブラシ58によって、その表面に残留したトナー(2次転写残トナー)が除去される。本実施例では、フルカラーモード時には、トナー帯電ブラシ58によって帯電された中間転写ベルト51上のトナーは、主にイエロー用の画像形成部SYにおいて1次転写と同時に感光ドラム1Yに転移させられ、ドラムクリーナ6Yによって回収される。なお、中間転写ベルト51上の一部のトナーがより下流のマゼンタ用、シアン用及びブラック用の少なくとも1つにおいて感光ドラム1に転移させられ、ドラムクリーナ6により回収されてもよい。
3−2.モノモード
次に、モノモード時の動作について説明する。
モノモードは、ブラック用の画像形成部SK以外の画像形成部SY、SM、SCにおいて、感光ドラム1と現像ローラ41との接触や感光ドラム1と中間転写ベルト51との接触により、感光ドラム1の削れやトナーの劣化を促進させないことを目的としている。そのため、モノモード時には、ブラック用の画像形成部SK以外の画像形成部SY、SM、SKにおいて、感光ドラム1を中間転写ベルト51から離間させ、現像ローラ41を感光ドラム1から離間させる。即ち、モノモード時は、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kのうち、所定の感光ドラム(例えば、感光ドラム1K)にトナー像を形成する。そして、その他の感光体ドラム(例えば、1Y、1M、1C)にトナー像を形成せず、所定の感光ドラム(感光ドラム1K)に形成されたトナー像を転写材に転写する。
図4に示すように、本実施例では、画像形成装置100は、離間手段20を有する。離間手段20は、カラー用(イエロー用、マゼンタ用及びシアン用)の画像形成部SY、SM、SCにおいて、1次転写ローラ55を感光ドラム1から離間させ、中間転写ベルト51を感光ドラム1から離間させるためのものである。離間手段20は、保持部材21と、切替作動部としての当接離間カム22と、を有する。
保持部材21は、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cのそれぞれの長手方向(回転軸線方向)の両端部を回転可能に保持する。そして、保持部材21は、当接離間カム22の回転によって、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cにより近い第1の位置(当接位置)と、より遠い第2の位置(離間位置)とに移動させられる。これにより、保持部材21は、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cを、一体的にカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cにより近い第1の位置(当接位置)と、より遠い第2の位置(離間位置)とに移動させることができる。保持部材21が第1の位置にあるときに、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cは、中間転写ベルト51を所定の圧力でカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cに押圧する。これにより、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cは、中間転写ベルト51を介してカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cに当接させられる。一方、保持部材21が第2の位置にあるときに、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cは中間転写ベルト51から離間し、これにより中間転写ベルト51を挟んで対向するカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cからも完全に離間する。当接離間カム22は、駆動源としての当接離間モータ(図示せず)により所定の回転量ごとに回転させられ、保持部材21の位置を、上記第1の位置と第2の位置との間で切り替えることができる。なお、ブラック用の1次転写ローラ55Kは、フルカラーモード、モノモードのいずれにおいても、中間転写ベルト51を所定の圧力でブラック用の感光ドラム1Kに押圧し、これにより中間転写ベルト51を介して感光ドラム1Kに当接されている。
また、本実施例では、画像形成装置100は、移動手段30を有する。移動手段30は、現像ローラ41を感光ドラム1から離間させるためのものである。本実施例では、各画像形成部Sごとに設けられ、少なくとも現像動作時には現像ローラ41を感光ドラム1に当接させると共に、待機時などには現像ローラ41を感光ドラム1から離間させるようになっている。また、本実施例では、詳しくは後述するように、カラー用の画像形成部SY、SM、SCにおいて、トナー供給動作時には、現像ローラ41を感光ドラム1に当接させる。移動手段30としては、利用可能な任意の構成のものを利用することができる。
例えば、図5に示すように、プロセスカートリッジ7の感光ドラム1及びドラムクリーナ6が保持されたクリーニング枠体7aを、現像装置4が保持された現像枠体7bに対して回動軸7cを中心として回動可能に結合する。
そして、図5(a)に示すように、クリーニング枠体7aと現像枠体7bとの間に設けられた付勢部材としての圧縮コイルバネ7dの付勢力によって、現像枠体7bを図示矢印R3方向に回動させて、現像ローラ41を感光ドラム1に当接させる。又、現像枠体7bに移動手段30を構成する駆動受部31を設け、装置本体110に移動手段30を構成する切替作動部としての現像カム32を設ける。
また、図5(b)に示すように、現像カム32によって駆動受部31を押し上げることで、現像枠体7bを図示矢印R4方向に回動させて、現像ローラ41を感光ドラム1から離間させる。現像カム32は、駆動源としての現像部当接離間モータ(図示せず)により所定の回転量ごとに回転させられる。これにより、現像ローラ41を、感光ドラム1に対してより近い第1の位置(当接位置)と、より遠い第2の位置(離間位置)との間で切り替えることができる。
フルカラーモードで動作中の状態から、モノモードで動作する状態に切り替える場合を例に、画像形成モードの切替動作について説明する。まず、離間手段20によって、カラー用の1次転写ローラ55Y、55M、55Cが、第1の位置(当接位置)から第2の位置(離間位置)に移動させられる。次に、移動手段30によって、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cが第1の位置(当接位置)から第2の位置(離間位置)に移動させられる。それと同時に、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CがOFFにされる。最後に、現像クラッチC1により現像駆動モータM2からカラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cへの駆動伝達が遮断されて、これらの現像ローラ41Y、41M、41Cの回転が停止させられる。このとき、ブラック用の画像形成部SKでは、1次転写部材55Kは中間転写ベルト51を介して感光ドラム1Kに当接され、現像ローラ41Kは感光ドラム1Kに当接され、また帯電電源E1KはONとされた状態に維持される。これにより、ブラック用の画像形成部SKのみが画像形成可能となる。
以上のプロセスで、図4(a)に示すフルカラーモードで動作可能な状態(以下「全当接状態」ともいう。)から、図4(b)に示すモノモードで動作可能な状態(以下「単色当接状態」ともいう。)への移行が完了する。
この際、本実施例では、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと、中間転写ベルト51は、上述のように共通駆動モータM1によって駆動されている。そのため、モノモード時において中間転写ベルト51から離間している感光ドラム1Y、1M、1Cも、回転することが可能である。
つまり、モノモードを実行する際は、中間転写ベルト51から離間している感光ドラム1Y、1M、1Cは、画像形成に使用される感光ドラム1Kと同期して回転を始める構成である。この構成によって、モノモードで使用されない感光ドラム1Y、1M、1Cも、モノモードで使用される感光ドラム1Kに合わせて駆動開始するので、感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの間で位相がずれ難い。よって、フルカラーモードを実行する際に、感光ドラム1Y、1C、1Kと、感光ドラム1Kとの間での色ずれを抑制することが可能である。
また、モノモードにおいても感光ドラム1Y、1M、1Cが回転しているので、モノモードからフルカラーモードへの切り替え時間を短くすることが可能である。また、中間転写ベルト51及び全ての感光ドラム1は、クラッチなどの接続機構を介さずに共通駆動モータM1に接続されている。これにより、装置全体の小型化と構造の簡素化が達成されている。
図13は、図4(b)の画像形成部SC、SKと中間転写ベルト51を拡大した図である。通常、モノモードでは一次転写ローラ55Cが中間転写ベルト51から離間することによって、シアン用の画像形成部SCの感光ドラム1Cと中間転写ベルト51とが距離dで離間している。
しかしながら、装置全体の小型化を達成するために距離dを小さくすることが望まれている。距離dを小さくすると図13のように、モノモードにおいて中間転写ベルト51が感光ドラム1Cと接触する可能性が生じる。これに対し、本実施例では、モノモードの画像形成に使用されない感光ドラム1Y、1M、1Cが、中間転写ベルト51から離間した状態で回転している。このような構成であると、例え図13のように、中間転写ベルト51が感光ドラム1Y、1M、1Cに接触した場合でも、感光ドラム1Y、1M、1Cの摺擦を抑制することが可能である。
ここで、本実施例の画像形成装置100は、各画像形成部Sの各感光ドラム1の回転を検知するセンサと、各感光ドラム1の回転回数を記録する記憶手段で構成された回転数カウンタ160と、を有する(図3)。
本実施例では、回転数カウンタ160は、画像形成モードごとに感光ドラム1の回転数を記録することができるようなっている。そして、特に、本実施例では、回転数カウンタ160に記録された、モノモードでの、より詳細には図4(b)に示す単色当接状態でのカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数が、後述するトナー供給動作の実行の要否を判断するのに用いられる。なお、本実施例では、全ての感光ドラム1が1つの駆動源により常に同期して回転駆動されるので、上記モノモードでのカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数と、そのときのブラック用の感光ドラム1Kの回転数とは同じである。
画像形成装置100を最初に使用するタイミングでは、回転数カウンタ160によるモノモードでの感光ドラム1の回転数はゼロに設定されている。そして、後述するトナー供給動作を実行する度に、それまで記録されていたモノモードでの感光ドラム1の回転数はゼロにリセットされる。このように、本実施例では、回転数カウンタ160などにより、所定の画像形成モードとしてのモノモードでの動作量と相関する情報を検知する検知手段が構成される。本実施例では、この検知手段により、所定の画像形成モードとしてのモノモードでの継続した動作量と相関する情報が検知される。
このように、モノモードを実行するときに、複数の感光ドラム1Y、1M、1C、1Kを同期して駆動開始させる場合、モノモード時にも、感光ドラム1Y、1M、1Cが回転する。この場合、次のような課題が発生する場合がある。
つまり、モノモードで継続的にプリント動作を行うと、感光ドラム1Y、1M、1Cでは、その表面にトナーが供給されることなく、継続的にクリーニングブレード61により掻き取られることにより、トナーが枯渇してくる。感光ドラム1の表面のトナー(或いはその外添剤)は、クリーニングブレード61と感光ドラム1との間の潤滑剤の役割も同時に担っている。
このため、感光ドラム1の表面のトナーが枯渇してくると、クリーニングブレード61と感光ドラム1との間の摩擦力が高くなる。そして、クリーニングブレード61と感光ドラム1との間の摩擦力がある一定の値を超えると、クリーニングブレード61の一部あるいは全体の強度が摩擦力に耐え切れなくなることがある。そして、クリーニングブレード61の一部が欠けることによるクリーニング不良や、クリーニングブレード61の全体がめくれることなどの不具合が発生することがある。
そこで、後述して詳しく説明するように、モノモード時において、定期的にカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cに対して、トナー供給動作を実行して、クリーニングブレード61のめくれを抑制する。
本実施例では、モノモードでの動作中の非画像形成時に、全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに対してトナー供給動作を行う。すなわち、本実施例では、モノモードでの動作中(またはモノモードで動作可能な状態での待機中)の画像形成を行っていない時間に、必要があれば画像形成の中断時間を延長して、トナー供給動作を実行する。この画像形成を行ってない時間としては、次のものが挙げられる。連続プリントジョブ中の紙間、間欠プリントジョブ中の間欠時間、又はキャリブレーション(試験用画像(パッチ)を用いた画像濃度補正制御や色ずれ補正制御など)の前後若しくはキャリブレーション中などである。連続プリントジョブとは、一の画像形成開始指示による単一又は複数の転写材Pに対する一連の画像形成動作である。
4.トナー供給動作
次に、図6のフローチャートを参照して、連続プリントジョブ中の紙間又は最終ページのプリント後にトナー供給動作(トナー供給制御)を行う場合の制御について説明する。
まず、CPU151は、モノモードでの連続プリントジョブの開始指示が入力されると、当該連続プリントジョブを開始させる(S101)。
モノモードでの画像形成動作は、図4(b)に示す単色当接状態で前述の帯電、露光、現像、1次転写、2次転写などの一連の工程を実行することにより行われる(S102)。
CPU151は、モノモードでの連続プリントジョブ中に、ブラック用の感光ドラム1Kが紙間のタイミングに入ると、トナー像形成を一時中断する(S103)。
このタイミングで、CPU151は、回転数カウンタ160に記録されているモノモードでのカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数を読み取る。そして、CPU151は、その値が予め設定されてROM152に記憶されている所定の回転数(閾値)に達しているか否かの判定を行う(S104)。
S104において所定の回転数に達していると判定した場合(「Yes」)には、CPU151は、紙間を延長して、トナー供給動作を開始させる(S105)。
ここで、再び図4を参照して、トナー供給動作のより具体的な手順について説明する。なお、図7は、そのトナー供給動作の手順を示すタイミングチャート図である。まず、図4(b)に示す単色当接状態において、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CをONにする。これにより、既にONとされているブラック用の帯電電源E1Kと共に、全ての帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kに帯電バイアスを印加して、全ての感光ドラム1Y、1M、1C、1Kの帯電処理を開始する。次に、現像クラッチC1を接続し、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cの回転を開始する。その後、現像部離間機構30によってカラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cをカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cに当接させる。これにより、図4(c)に示すトナー供給動作が可能な状態(以下「トナー供給可能状態」ともいう。)に移行する。次に、露光装置3により、全ての感光ドラム1上に、トナー供給用の静電潜像を形成する。本実施例では、予め設定されたトナー供給量に対応する搬送方向(感光ドラム1の表面の移動方向)の幅で、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)における画像形成可能領域の全面にトナー供給用の静電潜像を形成する。最後に、全ての現像装置4によって、全ての感光ドラム1に形成された上記静電潜像を現像し、全ての感光ドラム1上に所定のトナー供給用のトナー像を形成することでトナーを供給する。
なお、モノモードでの画像形成時には、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CはOFFである。したがって、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面の帯電電位は減衰している(電位の絶対値が下げられている)が、その電位は不安定である。そのため、本実施例のように帯電と露光とを行うことは、現像ローラ41Y、41M、41Cの当接離間状態の遷移時間にかかわらずカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面に供給するトナー量を安定して適切にコントロールできる利点がある。しかし、これに限定されるものではなく、上記プロセスにおいて、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CはOFFの状態を維持したままで、露光プロセスを行うこともできる。この場合、上述のようにカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面の帯電電位が減衰しているため、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cの当接離間状態の遷移時間に応じて、狙いよりもやや多い量のトナーが供給されることがある。しかし、後述するように、供給するトナーの潤滑剤としての役割においては、一定量以上であれば効果に差はないため、上記のような場合でも、本実施例の場合と同様の効果を得ることができる。
そして、CPU151は、全ての感光ドラム1上に所定量のトナーが供給されると、現像部離間機構30によって、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cをカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cから離間させる。それと同時に、CPU151は、現像クラッチC1を切ることにより、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cの回転を停止させる。また、その後、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CをOFFにする。これにより、図4(b)に示す単色当接状態に戻り、トナー供給動作は完了する(S106)。
なお、本実施例では、トナー供給動作時に、カラー用の1次転写電源E3Y、E3M、E3C、ブラック用の1次転写電源E3Kは、いずれも画像形成時とは逆のバイアスを各1次転写ローラ55Y、55M、55C、55Kに印加している。また、本実施例では、トナー供給動作時に、少なくともトナー供給用の静電潜像を現像する際には、カラー用の現像電源E2Y、E2M、E2C、ブラック用の現像電源E2KはいずれもONとされる。そして、画像形成時と同様の現像バイアスが現像ローラ41に印加される。
次に、CPU151は、トナー供給動作が完了すると、それまで回転数カウンタ160に記録されていたモノモードでの動作中のカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数をリセットする(S107)。
一方、全ての感光ドラム1及び中間転写ベルト51は、回転を継続している。このとき、ブラック用の1次転写電源E3Kは、画像形成時とは逆のバイアスを1次転写ローラ55Kに印加している。しかし、ブラック用の感光ドラム1Kに供給されたブラックのトナーの一部は、物理的接触による鏡映力などの付着力によって、中間転写ベルト51上に付着する。この付着したトナーは、トナー帯電ブラシ58を用いてクリーニングされる(S108)。
以上で、トナー供給動作のために延長されていた紙間の期間は終了し、CPU151は、連続プリントジョブの最後の転写材Pへのトナー像形成が終了していない場合は、中断していたモノモードでの画像形成を再開させる(S109)。
最終ページのトナー像形成後にトナー供給動作が実行された場合には、CPU151は、そのまま当該プリントジョブは終了させる(S110)。
また、S104において所定の回転数に達していないと判定された場合(「No」)には、達したと判定されないかぎり、最終ページまで当該プリントジョブが継続される(S109)。そして、最終ページのトナー像形成後に当該プリントジョブが終了される(S110)。
以上、本実施例によれば、モノモードで継続して動作することによりカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面のトナーが枯渇することによる不具合を抑制することができる。また、本実施例によれば、それだけでなく、ブラック用の感光ドラム1Kの表面のトナーが枯渇することによる不具合を抑制することができる。つまり、ブラックのモノモードの画像形成においても、極端に低印字の画像形成が継続して行われると、画像形成を行っていないカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cと同様にブラック用の感光ドラム1Kの表面のトナーが枯渇することがある。これに対し、本実施例では、ブラック用の感光ドラム1Kの表面に対してもトナー供給動作を行うことで、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cと同様に、ブラック用の感光ドラム1Kの表面のトナーが枯渇することによる不具合を抑制することができる。
また、本実施例の構成は、全ての感光ドラム1に中間転写ベルト51が接触した状態でトナー供給動作を行う構成と比較しても、トナー供給動作のための画像形成の中断時間を削減できる利点がある。つまり、全ての感光ドラム1に中間転写ベルト51が接触した状態でトナー供給動作を実行した場合、中間転写ベルト51上の広範囲にトナーが付着する。そのような場合、中間転写ベルト51の周方向の付着範囲が広範囲であるため、クリーニングのための回転距離が延長されることによるクリーニング時間が長期化する場合がある。それに対して、本実施例の構成では、複数の感光ドラム1のうち中間転写ベルト51の移動方向において最下流に配置された感光ドラム1Kにだけ中間転写ベルト51が接触している。そのため、全ての感光ドラム1に中間転写ベルト51が当接していた場合と比較して、トナーの付着範囲を最も中間転写体クリーニング部材に近い位置のみに限定することができる。このことにより、静電的な回収方式、ブレードクリーニング方式のいずれを採用する場合においても、トナー供給動作のためのプリント動作の停止時間を短縮できる利点がある。
5.トナー供給動作のタイミング
次に、トナー供給動作のタイミングを判断する感光ドラム1の回転数の決定方法について説明する。
図8は、モノモード時のカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cのドラム軸上トルクの推移を、正常時の典型的な値を1としたときの相対値として示したものである。モノモードで通紙耐久試験を行うと、感光ドラム1の表面のトナーが枯渇してくるにつれて、カラー用のクリーニングブレード61Y、61M、61Cとカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面との摩擦力が上昇し、ドラム軸上トルクが上昇してくる。本実施例の構成では、ドラム軸上トルクが、正常時の典型的な値の2倍程度になるとクリーニングブレード61の欠けやめくれのリスクが高まることが明らかになっている。また、本実施例では、予め測定したドラム軸上トルクの上昇度合に鑑み、閾値に対して10%程度のマージンをもたせ、ドラム軸上トルクが正常時の典型的な値の1.8倍程度になる感光ドラム1の回転数を閾値とした。この閾値は、装置本体110内に設けられたROM152に記憶され、上述の制御フローにおけるS104(図6)において用いられる。そして、実際のモノモードでのプリント動作の際には、前述のように、モノモードでの動作中のカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数が、上記方法で決められた閾値に達するごとに、トナー供給動作を行う。このように、ドラム軸上トルクを十分に低減できる範囲で、極力トナー供給動作を実行するまでの感光ドラム1の回転数を多くすることができる。これにより、十分にクリーニングブレード61の欠けやめくれを抑制しつつ、トナー供給動作のために画像形成動作が実行できなくなる頻度を極力少なくすることができる。
6.トナー供給量
次に、トナー供給動作時のトナー供給量について説明する。
トナー供給動作においては、トナーの供給量が不十分であると、枯渇した感光ドラム1の表面のトナーを回復できずに、クリーニングブレード61と感光ドラム1の表面との摩擦力を十分に下げられない可能性がある。一方、トナーの供給量が多すぎると、プリントされていないイエロー、マゼンダ、シアンのトナーを無駄に消費してしまう。
本実施例では、ドラム軸上トルクが正常時の典型的な値に対して1.8倍程度にまで上昇した感光ドラム1に対して、トナー供給動作直後のドラム軸上トルクを測定し、必要なトナー供給量を見積もった。そして、その必要なトナー供給量が得られるように、毎回のトナー供給動作を実行した。
ここで、必要なトナー供給量は、感光ドラム1上に形成するトナー供給用のトナー像の搬送方向(感光ドラム1の表面に移動方向)の長さ(以下「供給長さ」ともいう。)をパラメータとして見積もった。なお、感光ドラム1の長手方向(回転軸線方向)の幅に関しては、画像形成可能域の全域に対してトナーを供給するものとした。なお、クリーニングブレード61の長手方向の全域にわたりトナーを供給して感光ドラム1の表面との摩擦力を低減するためには、感光ドラム1の長手方向における画像形成可能領域の全域にわたるトナー供給用のトナー像を形成することが好ましい。ただし、十分な摩擦力の低減効果が得られるのであれば、これに限定されるものではない。
図9は、トナー供給用のトナー像の供給長さが1mm、5mm、50mmの各場合の、トナー供給動作直後のドラム軸上トルクを示している。本実施例では、正常時の典型的な値に対して1.8倍程度にまで上昇したドラム軸上トルクが、トナー供給動作を行うことにより、トナー供給長さにかかわらず正常時の典型的な値に回復した。このことから、トナー供給長さは1mm程度あれば十分であり、トナーの消費を抑える観点から、トナー供給長さは短ければ短いほど良いことが分かる。本実施例では、マージンを確保する観点から、トナー供給長さは5mmとした。このように、ドラム軸上トルクを低減できる効果が、一定のトナー供給量で飽和する場合には、その飽和する場合のトナー供給量により近い値のトナー供給量に決定することができる。これにより、十分にクリーニングブレード61の欠けやめくれを抑制しつつ、トナーの消費を極力少なくすることができる。
再度図8を参照すると、同図には、実際に本実施例の構成でトナー供給動作を行った場合と、行わなかった場合とで、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cのドラム軸上トルクがどのように変化したかを調べた結果が示されている。図8に示すように、トナー供給動作を行わなかった場合(破線)は、プリント枚数がLTRサイズで450枚程度に達した時点で、トナー供給動作を行った場合のトナー供給動作の直後の2倍程度のドラム軸上トルクに達した。そして、この場合、クリーニングブレード61の欠けによるクリーニング不良が発生する場合があった。それに対して、トナー供給動作を行った場合は(実線)、クリーニングブレード61の欠けやめくれを引き起こし難いドラム軸上トルクに維持することができ、クリーニング不良の発生の可能性を顕著に低減し得ることが確認できた。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、静電像が形成される回転可能な複数の像担持体1と、複数の像担持体1のそれぞれに対応して設けられ像担持体上の静電像をトナーで現像してトナー像を形成する複数の現像手段41と、を有する。また、画像形成装置100は、複数の像担持体に沿って移動可能であり、その表面に直接当接している像担持体1から直接トナー像が転写される転写ベルト51を有する。また、画像形成装置100は、複数の像担持体1のそれぞれに対応して設けられ像担持体1に当接して像担持体1の表面からトナーを除去する複数のクリーニング部材61を有する。この画像形成装置100は、所定の画像形成モードとしてのモノモードで動作可能である。この所定の画像形成モードでは、複数の像担持体1のうち単一又は複数(本実施例では単一)の所定の像担持体1Kに転写材Pに記録して出力する出力用トナー像が形成される。一方、複数の像担持体のうちその他の像担持体1Y、1M、1Cには出力用トナー像が形成されない。そして、本実施例では、斯かる画像形成装置100は、複数の像担持体1を同期して回転駆動する共通の駆動源M1を有する。また、本実施例では、斯かる画像形成装置100は更に、次のような制御部150を有する。すなわち、制御部150は、上記所定の画像形成モードでの動作中に、少なくとも複数の像担持体のうち出力用トナー像が形成されない像担持体1Y、1M、1Cに現像ローラ41Y、41M、41Cからトナーを供給するトナー供給動作を行わせる。
また、本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体のうち少なくとも上記所定の画像形成モードで出力用トナー像が形成されない像担持体1Y、1M、1Cから転写ベルト51を離間させる離間手段20を有する。そして、特に、本実施例では、トナー供給動作は、上記所定の画像形成モードでの動作中に、複数の像担持体の全てに対して行われる。また、本実施例では、画像形成装置100は、複数の像担持体のうち少なくとも上記所定の画像形成モードで出力用トナー像が形成されない像担持体に対してより近い第1の位置とより遠い第2の位置とに現像手段41を移動させる移動手段30を有する。そして、この移動手段は、上記所定の画像形成モードでの動作を開始する際に現像手段41を上記第2の位置に移動させ、上記所定の画像形成モードでの動作中にトナー供給動作を行う際には現像手段41を上記第1の位置に移動させる。また、特に、本実施例では、画像形成装置100は、上記所定の画像形成モードでの動作量と相関する情報を検知する検知手段160を有する。そして、上記制御手段151は、検知手段160の検知結果が所定の閾値に達した場合に、トナー供給動作を行わせる。
以上、本実施例では、画像形成装置100は、ブラックなどの選択色の画像形成部でのみ画像形成を行うモノモードを実行可能であると共に、モータM1で全色の感光ドラム1を常に同期して回転駆動する。そのため、本実施例によれば、モノモードで画像形成しない画像形成部の感光ドラム1に形成されるトナー像とモノモードで画像形成する画像形成部の感光ドラム1に形成されるトナー像との間のずれを抑制することができる。また、本実施例では、モノモードを実行中にトナー供給動作を実行することで、モノモードで画像形成しない画像形成部のクリーニングブレード61の一部が欠けることによるクリーニング不良や、その全体がめくれることなどの不具合を抑制することができる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cのみに対して供給動作をモノモードでの画像形成中に行う点が実施例1とは異なる。すなわち、本実施例では、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面へのトナー供給動作の開始タイミング及び/又は終了タイミングを、ブラック用の感光ドラム1Kにおけるモノモードでの画像形成中とする。
つまり、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cへのトナー供給動作は、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cと中間転写ベルト51とが離間している状態で行われる。したがって、トナー供給動作は、中間転写ベルト51へ影響を与えない。そのため、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cへのトナー供給動作と並行して、ブラック用の感光ドラム1を用いたモノモードでの画像形成を継続することができる。
次に、図10のフローチャートを参照して、連続プリントジョブ中にトナー供給動作を行う場合の動作について説明する。本実施例では、モノモードでの連続プリントジョブ中に、1枚の画像形成ごとにカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数を確認すると共に、トナー供給動作の開始タイミングをブラック用の感光ドラム1によるモノモードでの画像形成中とする。
まず、CPU151は、モノモードでの連続プリントジョブの開始指示が入力されると、当該連続プリントジョブを開始させる(S201)。
モノモードでの画像形成動作は、図4(b)に示す単色当接状態で実施例1にて説明した帯電、露光、現像、1次転写、2次転写などの一連の工程を実行することにより行われる(S202)。
CPU151は、モノモードでの連続プリントジョブを開始して、ブラック用の感光ドラム1Kでのトナー像形成を開始すると同時に、回転数カウンタ160に記録されているモノモードでのカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数を読み取る。そして、CPU151は、その値が予め設定されてROM152に記憶されている所定の回転数に達しているか否かの判定を行う(S203)。
S203において所定の回転数に達していると判定した場合(「Yes」)には、CPU151は、次のような動作を行わせる(S204)。すなわち、ブラック用の感光ドラム1Kにおけるモノモードでのトナー像形成はそのまま継続した状態で(S205)、並行してカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cへのトナー供給動作を開始させる(S206)。
ここで、再び図4を参照して、本実施例におけるトナー供給動作のより具体的な手順について説明する。まず、図4(b)に示す単色当接状態において、カラー用の帯電電源E1Y、E1M、E1CをONにする。これにより、カラー用の帯電ローラ2Y、2M、2Cに帯電バイアスを印加して、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの帯電処理を開始する。次に、実施例1と同様の動作を行うことにより、カラー用の現像ローラ41Y、41M、41Cを回転させると共にカラー用の感光ドラム1Y、1M、1C当接させて、図4(c)に示すトナー供給可能状態に移行する。次に、露光装置3により、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの表面に、実施例1の場合と同様のトナー供給用の静電潜像を形成する。最後に、カラー用の現像装置4Y、4M、4Cによって、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cに形成された上記静電潜像を現像し、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1C上に所定のトナー供給用のトナー像が形成することでトナーを供給する。
CPU151は、カラー用の感光ドラム1Y、1M、1C上に所定量のトナーが供給されると、実施例1と同様の動作により、図4(b)に示す単色当接状態に戻すことで、トナー供給動作を完了する(S207)。また、制御部150は、トナー供給動作を完了すると、モノモードでの動作中のカラー用の感光ドラム1Y、1M、1Cの回転数をリセットする(S208)。
一方、制御部150は、トナー供給動作中に並行して行っていたモノモードでのトナー像形成が終了すると、そのまま次のページのトナー像形成へ移る(S209、S211)。
最終ページのトナー像形成後にトナー供給動作が実行された場合には、制御部150は、そのまま当該プリントジョブは終了させる(S212)。
また、S203において所定の回転数に達していないと判定された場合(「No」)には、達したと判定されないかぎり、最終ページまで当該プリントジョブが継続される(S210、S211)。そして、最終ページのトナー像形成後に当該プリントジョブが終了させられる(S212)。
このように、本実施例では、トナー供給動作は、所定の画像形成モード(モノモード)での動作中に、所定の像担持体1Kに出力用トナー像を形成する動作を行っている期間に、出力用トナー像が形成されない像担持体1Y、1M、1Cに対して行われる。
以上、本実施例では、ブラックなどの画像形成部におけるモノモードでの画像形成を行いながら、モノモードで画像形成を行わない画像形成部において感光ドラムへのトナー供給動作を行う。これにより、本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られると共に、トナー供給動作のために画像形成が行えない時間の発生を抑制することができる。
また、モノモードで画像形成を行わない画像形成部に対するトナー供給動作は、カラー用の帯電ローラ2Y、2M、2Cと、露光装置3を停止した状態で行ってもよい。そして、カラー用の現像装置4Y、4M、4Cを、対応する感光ドラム1Y、1M、1Cの表面に離間状態から当接させることで感光ドラム1Y、1M、1Cの表面に転移するトナーを、トナー供給用のトナーとしても良い。
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、ブラック用の感光ドラムが画像形成状態である選択色画像形成モードの時に、全色用又はカラー用(イエロー用、マゼンタ用及びシアン用)の感光ドラムに対してトナー供給動作を行った。しかし、これに限定されるものではなく、他の色が画像形成状態である選択色画像形成モードについて、同様の構成、機構を適用しても、同様の効果が得られる。また、選択色画像形成モードで画像形成を行う画像形成部は1つである場合に限定されるものではなく、複数の画像形成部で画像形成を行うようになっていてもよい。
また、実施例1のように紙間のタイミングでトナー供給動作を実行する場合にも、モノモードなどの所定の画像形成モードにおいてトナー像が形成されないカラー用の画像形成部などにおいてのみトナー供給動作を実行してもよい。
また、上述の実施例では、モノモードなどの所定の画像形成モードでの動作量と相関する情報は、感光ドラムの回転数とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、当該所定の画像形成モードでトナー像が形成されない感光ドラムが、トナー像が形成されない状態でどの程度の使用(回転)されたのかが分かればよい。例えば、感光ドラムの回転時間、画像形成枚数などであってもよい。
また、上述の実施例では、現像ローラ41が像担持体に対して当接するものとしたが、現像ローラ41が像担持体との間に所定の間隙を有して対向している構成であっても、本発明を適用することができる。この場合、現像ローラ41が像担持体により近い位置にあるときにトナーを像担持体に供給し、より遠い位置にあるときにはトナーを像担持体に供給しないように構成することができる。
また、現像ローラ41の移動機構は、複数の現像手段のそれぞれ又はいくつかをまとめて像担持体に対してより近い位置とより遠い位置との間で移動させるように構成することができる。同様に、上述の実施例では、離間手段は、中間転写ベルトを感光ドラムから離間させるために、複数の1次転写部材をまとめて感光ドラムから離間させたが、これらは別々に離間させる構成とされていてもよい。
また、上述の実施例では、画像形成装置は中間転写方式を採用するものとして説明したが、本発明は直接転写方式の画像形成装置にも等しく適用し得るものである。図11は、直接転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置200の要部の概略構成を示す模式的な断面図である。なお、図11の画像形成装置200において、図1の画像形成装置100のものと同一又は対応する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。
直接転写方式の画像形成装置200は、中間転写方式の画像形成装置100における中間転写体に代えて、転写材Pを担持して搬送する、例えば無端ベルト状の転写材搬送ベルトなどとされる転写材担持ベルト201を有する。転写材担持ベルト201は、像担持体からトナー像が転写される転写ベルトの一形態である。そして、転写材Sを転写材担持体201に静電的に吸着して搬送しながら、各色の画像形成部で形成されたトナー像を順次に転写材P上に重ねて転写していく。その後、トナー像が転写された転写材Pは、転写材担持体201から分離されて定着装置11へと搬送され、ここでトナー像の定着を受けた後に、画像形成装置200の外部へと排出される。
なお、直接転写方式の画像形成装置200にも、転写材担持体201上に意図的に形成された制御用のトナー像(パッチ)や、ジャム(紙詰まり)の発生時に転写されてしまったトナー像などを除去するために、転写材担持体クリーニング手段が設けられる。この転写材担持体クリーニング手段は、中間転写方式の画像形成装置100における中間転写体クリーニング手段と同様の構成とすることができる。このような直接転写方式の画像形成装置200においても、上述の実施例と同様のトナー供給動作、及びその後の転写材担持体のクリーニング動作を適用することができ、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。