以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係る描画装置1の構成を示すブロック図である。図1において、描画装置1は、レーザー光B1〜B4を発生して、パターン画像の描画の対象物である例えばプリント基板、ガラス基板、誘電体基板、半導体基板等の基板2の露光面2aに照射することによってパターン画像を描画する。描画装置1は例えば、プリント基板(PCB、PWB)製造装置、半導体パッケージ基板製造装置、フレキシブル基板製造装置等の基板製造装置に配置される。
図1において、描画装置1は、光源回路11と、レーザー光導入部12と、集光レンズ13と、シリンドリカルレンズ14と、ポリゴンミラー15と、fθレンズ16と、ステージ17と、副走査搬送部18とを備えて構成される。ここで、基板2は、当該基板2の上面が上方向Zを向くようにステージ17上に配置される。また、基板2の上面には、感光剤(フォトレジスト)等が塗布された露光面2aが形成されている。
光源回路11は、4つのレーザー光B1〜B4を発生して出射する。光源回路11の構成については図4を参照して詳細後述する。光源回路11からのレーザー光B1〜B4は、レーザー光導入部12、集光レンズ13、及びシリンドリカルレンズ14を介して進行してポリゴンミラー15の側面に配置された各鏡面において反射し、fθレンズ16を介して基板2の露光面2aに到達する。
図2は、図1のレーザー光導入部12の構成を示す平面図である。図2において、レーザー光導入部12は、レンズ21−1〜21−4と、光ファイバー22−1〜22−4と、ガラス基板23とを備えて構成される。レンズ21−1〜21−4はそれぞれ、光源回路11からのレーザー光B1〜B4を収束させて光ファイバー22−1〜22−4の入射端22a−1〜22a−4に導入させる。
図3Aは、図2のガラス基板23の縦断面図である。図3Aにおいて、ガラス基板23は、V字カット加工等により形成された、例えば400μmである所定の間隔Lを有する互いに平行な4本の溝をその上面に有する。また、ガラス基板23は、光ファイバー22−1〜22−4の出射端22b−1〜22b−4が上記4本の溝において1次元配列で並ぶように、光ファイバー22−1〜22−4の当該出射端22b−1〜22b−4側の部分をそれぞれ固定して保持する。図3Bは、図3Aのガラス基板23により保持された図2の光ファイバー22−1〜22−4の出射端22b−1〜22b−4の平面図である。図3Bにおいて、ガラス基板23は、光ファイバー22−1〜22−4の出射端22b−1〜22b−4が主走査方向X(以下、X方向ともいう。)とは異なる方向に沿って並ぶようにガラス基板23の向きが調整されて、レーザー光導入部12に固定されて配置される。具体的には、出射端22b−1〜22b−4は、1つの画素の主走査方向Xとは直交する副走査方向Y(以下、Y方向ともいう。)の大きさである例えば5μmのビームピッチDだけ、隣接出射端と互いに離隔するように並置される。以上のように構成されたガラス基板23を有するレーザー光導入部12は、光源回路11からのレーザー光B1〜B4を所定の間隔Lで並ぶ多ビーム列に変換して後段の集光レンズ13及びシリンドリカルレンズ14に導入させる。
図1において、集光レンズ13は当該集光レンズ13からポリゴンミラー15の鏡面への距離にほぼ等しい焦点距離を有する。レーザー光導入部12から発散光として出射した各レーザー光B1〜B4は、集光レンズ13によりほぼ平行光になる。シリンドリカルレンズ14は、基板2の露光面2a上に形成されるレーザー光B1〜B4のビームスポットがビームピッチDの間隔で副走査方向Yに一列で並ぶように、当該レーザー光B1〜B4を偏向する。ポリゴンミラー15は6角柱の形状を有し、その中心軸15Cが副走査方向Yと平行となる向きで、かつ、当該中心軸15Cを回転軸として回転可能に配置される。ポリゴンミラー15が、描画装置1に配置されたモーター等(図示せず)により駆動されて回転すると、レーザー光B1〜B4は、ポリゴンミラー15の側面に配置された各鏡面においてfθレンズ16へ反射する。このとき各レーザー光B1〜B4はポリゴンミラー15の回転に伴い主走査方向Xに偏向される。fθレンズ16は、ポリゴンミラー15からのレーザー光B1〜B4をステージ17の上面に対してほぼ直角な方向に偏向し、レーザー光B1〜B4はステージ17上に配置された基板2の露光面2aに対してほぼ直角に入射する。露光面2a上に形成されるレーザー光B1〜B4のビームスポットは、ビームピッチDの間隔で副走査方向Yに並ぶ状態で、ポリゴンミラー15の回転速度に対応する速度で主走査方向Xに移動する。これにより、レーザー光B1〜B4は露光面2aを照射して主走査方向Xの4本の走査列を同時に走査する。
副走査搬送部18は例えばボールねじ、モーター等を備え、1回の主走査の周期のクロック(以下、主走査クロックという。)に同期して、基板2とともにステージ17を、ビームピッチDの4倍である距離である距離4Dだけ副走査方向Yに移動させる。レーザー光B1〜B4が露光面2aを照射して主走査方向Xに走査して、副走査搬送部18が基板2を副走査方向Yに移動させることによって、描画装置1は基板2の露光面2a上に配線パターン等のパターン画像を描画する。
図4は、図1の光源回路11の構成を示すブロック図である。図4において、光源回路11は、パターン画像メモリ31と、ラインバッファ32a−1〜32a−6を有する読み出し回路32と、レーザー光の強度を示す強度信号を多値で発生して出力する強度信号発生回路33−1〜33−4とを備えて構成される。また、光源回路11は、D/A変換器34−1〜34−4と、ドライブ部35−1〜35−4と、半導体基板36上に配置されたレーザー素子36a−1〜36a−4とを備えて構成される。ここで、強度信号発生回路33−1は、レジスタ51−1〜53−1と、画素値/強度変換回路54−1とを備えて構成され、強度信号発生回路33−2は、レジスタ51−2〜53−2と、画素値/強度変換回路54−2とを備えて構成される。また、強度信号発生回路33−3は、レジスタ51−3〜53−3と、画素値/強度変換回路54−3とを備えて構成され、強度信号発生回路33−4は、レジスタ51−4〜53−4と、画素値/強度変換回路54−4とを備えて構成される。
以下の説明において、強度信号発生回路33−1〜33−4を総称して強度信号発生回路33ともいう。また、レジスタ51−1〜51−4を総称してレジスタ51ともいい、レジスタ52−1〜52−4を総称してレジスタ52ともいい、レジスタ53−1〜53−4を総称してレジスタ53ともいう。さらに、画素値/強度変換回路54−1〜54−4を総称して画素値/強度変換回路54ともいう。またさらに、D/A変換器34−1〜34−4、ドライブ部35−1〜35−4、レーザー素子36a−1〜36a−4、及びレーザー光B1〜B4をそれぞれ総称して、D/A変換器34、ドライブ部35、レーザー素子36、及びレーザー光Bともいう。
図5Aは、図4のパターン画像メモリ31に保持されるパターン画像データ31dの構成を示す表である。図5Aにおいて、パターン画像データ31dは基板2の露光面2a上に描画されるべきパターン画像を示す画像データであり、主走査方向XのNpy個の画素値列I(n)(0≦n≦Npy−1)が副走査方向Yで並置されて構成される。図5Bは、図5Aの主走査方向Xの画素値列I(n)の構成を示す表である。図5Bにおいて、主走査方向Xの画素値列I(n)は、主走査方向Xで並べられたNpx個の画素単位の画素値P(n,k)(0≦k≦Npx−1)で構成される。
図5Bにおいて、画素単位の各画素値P(n,k)は、n番目の走査列の時刻kの画素領域におけるレーザー光Bの一部の照射領域の面積に比例する、最小値0から最大値3までの大きさを2ビットで表す。画素値P(n,k)の値0は、画素値P(n,k)の画素領域が、当該画素領域の例えば0倍以上(1/9)倍未満の大きさのレーザー光Bの一部の照射領域を含むことを示す。また、画素値P(n,k)の値1は、画素値P(n,k)の画素領域が、当該画素領域の例えば(1/9)倍以上(4/9)倍未満の大きさのレーザー光Bの一部の照射領域を含むことを示す。さらに、画素値P(n,k)の値2は、画素値P(n,k)の画素領域が、当該画素領域の例えば(4/9)倍以上(7/9)倍未満の大きさのレーザー光Bの一部の照射領域を含むことを示す。またさらに、画素値P(n,k)の値3は、画素値P(n,k)の画素領域が、当該画素領域の例えば(7/9)倍以上1倍以下の大きさのレーザー光Bの一部の照射領域を含むことを示す。
図4において、読み出し回路32は主走査クロックに同期して図5Aの主走査方向Xの6つの画素値列I(N−1)〜I(N+4)をパターン画像メモリ31から読み出して、それぞれラインバッファ32a−1〜32a−6に格納する動作を繰り返す。ここで、上記の番号Nは0以上Npy−1以下の4の倍数であり、読み出し回路32は、N≦Npy−1が満たされる間、主走査クロックに同期して当該番号Nを0から開始して4ずつ増加させながら上記の動作を繰り返す。なお、主走査方向Xの画素値列I(−1)又はI(Npy)〜I(Npy+3)は例えば画素値0のみから構成される長さNpxの配列であり、例えばあらかじめパターン画像メモリ31に格納されている。
また、読み出し回路32は、主走査方向Xの画素値列I(N−1)〜I(N+4)にそれぞれ含まれる画素値P(N−1、k)〜P(N+4,k)(0≦k≦Npx−1)を順次出力する動作を繰り返す。すなわち、読み出し回路32は、1画素の描画の周期Tのクロック(以下、画素クロックという。)に同期してカウントされる時刻k=0から時刻k=Npx−1の間の各時刻kにおいて、上記の出力動作を繰り返す。具体的には、各時刻kにおいて、読み出し回路32は、画素値P(N−1,k)〜P(N+1,k)をそれぞれレジスタ51−1〜53−1に出力する。また、読み出し回路32は、画素値P(N,k)〜P(N+2,k)をそれぞれレジスタ51−2〜53−2に出力する。さらに、読み出し回路32は、画素値P(N+1,k)〜P(N+3,k)をそれぞれレジスタ51−3〜53−3に出力する。またさらに、読み出し回路32は、画素値P(N+2,k)〜P(N+4,k)をそれぞれレジスタ51−4〜53−4に出力する。
強度信号発生回路33−1〜33−4はそれぞれ、パターン画像の描画時において図6A〜6Dの画素値/強度変換処理をオンザフライで実行するための専用のハードウェア回路で構成される。図6A〜6Dの画素値/強度変換処理については、詳細後述する。
強度信号発生回路33−1において、画素値/強度変換回路54−1は、各時刻kにおいて、レジスタ51−1〜53−1にそれぞれ格納されている画素値P(N−1,k)〜P(N+1,k)を読み出して、図6Aの画素値/強度変換処理を実行する。図6Aの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N−1,k)〜P(N+1,k)を、レーザー光B1の強度を示すデジタル信号である画素単位の強度信号Q(N,k)に変換してD/A変換器34−1に出力する。画素値/強度変換回路54−1による図6Aの画素値/強度変換処理については詳細後述する。D/A変換器34−1は強度信号Q(N,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−1に出力する。ドライブ部35−1は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−1に供給する。レーザー素子36a−1は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B1を出射する。
また、強度信号発生回路33−2において、画素値/強度変換回路54−2は、レジスタ51−2〜53−2にそれぞれ格納されている画素値P(N,k)〜P(N+2,k)を読み出して図6Bの画素値/強度変換処理を実行する。図6Bの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N,k)〜P(N+2,k)を、レーザー光B2の強度を示すデジタル信号である画素単位の強度信号Q(N+1,k)に変換してD/A変換器34−2に出力する。画素値/強度変換回路54−2による図6Bの画素値/強度変換処理については詳細後述する。D/A変換器34−2は強度信号Q(N+1,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−2に出力する。ドライブ部35−2は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−2に供給する。レーザー素子36a−2は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B2を出射する。
さらに、強度信号発生回路33−3において、画素値/強度変換回路54−3は、レジスタ51−3〜53−3にそれぞれ格納されている画素値P(N+1,k)〜P(N+3,k)を読み出して図6Cの画素値/強度変換処理を実行する。図6Cの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+1,k)〜P(N+3,k)を、レーザー光B3の強度を示すデジタル信号である画素単位の強度信号Q(N+2,k)に変換してD/A変換器34−3に出力する。画素値/強度変換回路54−3による図6Cの画素値/強度変換処理については詳細後述する。D/A変換器34−3は強度信号Q(N+2,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−3に出力する。ドライブ部35−3は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−3に供給する。レーザー素子36a−3は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B3を出射する。
またさらに、強度信号発生回路33−4において、画素値/強度変換回路54−4は、レジスタ51−4〜53−4にそれぞれ格納されている画素値P(N+2,k)〜P(N+4,k)を読み出して図6Dの画素値/強度変換処理を実行する。図6Dの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k)〜P(N+4,k)を、レーザー光B4の強度を示すデジタル信号である画素単位の強度信号Q(N+3,k)に変換してD/A変換器34−4に出力する。画素値/強度変換回路54−4による図6Dの画素値/強度変換処理については詳細後述する。D/A変換器34−4は強度信号Q(N+3,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−4に出力する。ドライブ部35−4は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−4に供給する。レーザー素子36a−4は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B4を出射する。
図4の画素値/強度変換回路54から出力される画素単位の強度信号Q(n,k)について以下説明する。強度信号Q(n,k)は、0〜3の大きさを2ビットで表す。強度信号Q(n,k)の値0は、パワー0のレーザー光Bの強度(以下、強度0という)を示す。強度信号Q(n,k)の値1は、所定のビームピッチDに比較して例えばビームピッチDの約30%だけ小さなスポット径を有するビームスポットを基板2の露光面2a上に形成するレーザー光Bの強度(以下、強度1という。)を示す。強度信号Q(n,k)の値2は、ビームピッチDにほぼ等しいスポット径を有するビームスポットを基板2の露光面2a上に形成するレーザー光Bの強度(以下、強度2という。)を示す。強度信号Q(n,k)の値3は、ビームピッチDに比較して例えばビームピッチDの約30%だけ大きなスポット径を有するビームスポットを基板2の露光面2a上に形成するレーザー光Bの強度(以下、強度3という。)を示す。画素値/強度変換回路54が画素単位の強度信号Q(n,k)を出力すると、ドライブ部35は、レーザー素子36が当該強度信号Q(n,k)の値に対応する強度0〜3のレーザー光Bを出射するように、画素照射駆動信号をレーザー素子36に供給する。
図6Aは、図4の画素値/強度変換回路54−1によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図6AのステップS1において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N,k)が0であるか否かを判定する。ステップS1でYESの場合、ステップS2において、画素値/強度変換回路54−1は、強度信号Q(N,k)の値を0に設定して、ステップS11に進む。
画素値P(N,k)が0ではないと判定された場合(ステップS1でNO)、ステップS3において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N,k)が1であるか否かを判定する。ステップS3でYESの場合、ステップS4において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N−1,k)が3、又は、画素値P(N+1,k)が3であるか否かを判定する。ステップS4でYESの場合、ステップS2に進む。ステップS4でNOの場合、ステップS5において、画素値/強度変換回路54−1は、強度信号Q(N,k)の値を1に設定して、ステップS11に進む。
画素値P(N,k)が1ではないと判定された場合(ステップS3でNO)、ステップS6において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N,k)が2であるか否かを判定する。ステップS6でYESの場合、ステップS7において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N−1,k)が3、又は、画素値P(N+1,k)が3であるか否かを判定する。ステップS7でYESの場合、ステップS5に進む。ステップS7でNOの場合、ステップS8において、画素値/強度変換回路54−1は、強度信号Q(N,k)の値を2に設定して、ステップS11に進む。
画素値P(N,k)が2ではないと判定された場合(ステップS6でNO)、ステップS9において、画素値/強度変換回路54−1は、画素値P(N−1,k)が1又は2、あるいは、画素値P(N+1,k)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS9でYESの場合、ステップS10において、画素値/強度変換回路54−1は、強度信号Q(N,k)の値を3に設定して、ステップS11に進む。ステップS9でNOの場合、ステップS8に進む。
ステップS11において、画素値/強度変換回路54−1は、ステップS2,S5,S8,又はS10において設定された値を有する画素単位の強度信号Q(N,k)を発生してD/A変換器34−1に出力して、図6Aの画素値/強度変換処理を終了する。
図6Bは、図4の画素値/強度変換回路54−2によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図6BのステップS21において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が0であるか否かを判定する。ステップS21でYESの場合、ステップS22において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k)の値を0に設定して、ステップS31に進む。
画素値P(N+1,k)が0ではないと判定された場合(ステップS21でNO)、ステップS23において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が1であるか否かを判定する。ステップS23でYESの場合、ステップS24において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N,k)が3、又は、画素値P(N+2,k)が3であるか否かを判定する。ステップS24でYESの場合、ステップS22に進む。ステップS24でNOの場合、ステップS25において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k)の値を1に設定して、ステップS31に進む。
画素値P(N+1,k)が1ではないと判定された場合(ステップS23でNO)、ステップS26において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が2であるか否かを判定する。ステップS26でYESの場合、ステップS27において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N,k)が3、又は、画素値P(N+2,k)が3であるか否かを判定する。ステップS27でYESの場合、ステップS25に進む。ステップS27でNOの場合、ステップS28において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k)の値を2に設定して、ステップS31に進む。
画素値P(N+1,k)が2ではないと判定された場合(ステップS26でNO)、ステップS29において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N,k)が1又は2、あるいは、画素値P(N+2,k)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS29でYESの場合、ステップS30において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k)の値を3に設定して、ステップS31に進む。ステップS29でNOの場合、ステップS28に進む。
ステップS31において、画素値/強度変換回路54−2は、ステップS22,S25,S28,又はS30において設定された値の画素単位の強度信号Q(N+1,k)を発生してD/A変換器34−2に出力して、図6Bの画素値/強度変換処理を終了する。
図6Cは、図4の画素値/強度変換回路54−3によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図6CのステップS41において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が0であるか否かを判定する。ステップS41でYESの場合、ステップS42において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k)の値を0に設定して、ステップS51に進む。
画素値P(N+2,k)が0ではないと判定された場合(ステップS41でNO)、ステップS43において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が1であるか否かを判定する。ステップS43でYESの場合、ステップS44において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+1,k)が3、又は、画素値P(N+3,k)が3であるか否かを判定する。ステップS44でYESの場合、ステップS42に進む。ステップS44でNOの場合、ステップS45において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k)の値を1に設定して、ステップS51に進む。
画素値P(N+2,k)が1ではないと判定された場合(ステップS43でNO)、ステップS46において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が2であるか否かを判定する。ステップS46でYESの場合、ステップS47において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+1,k)が3、又は、画素値P(N+3,k)が3であるか否かを判定する。ステップS47でYESの場合、ステップS45に進む。ステップS47でNOの場合、ステップS48において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k)の値を2に設定して、ステップS51に進む。
画素値P(N+2,k)が2ではないと判定された場合(ステップS46でNO)、ステップS49において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+1,k)が1又は2、あるいは、画素値P(N+3,k)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS49でYESの場合、ステップS50において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k)の値を3に設定して、ステップS51に進む。ステップS49でNOの場合、ステップS48に進む。
ステップS51において、画素値/強度変換回路54−3は、ステップS42,S45,S48,又はS50において設定された値の画素単位の強度信号Q(N+2,k)を発生してD/A変換器34−3に出力して、図6Cの画素値/強度変換処理を終了する。
図6Dは、図4の画素値/強度変換回路54−4によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図6DのステップS61において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+3,k)が0であるか否かを判定する。ステップS61でYESの場合、ステップS62において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k)の値を0に設定して、ステップS71に進む。
画素値P(N+3,k)が0ではないと判定された場合(ステップS61でNO)、ステップS63において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+3,k)が1であるか否かを判定する。ステップS63でYESの場合、ステップS64において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k)が3、又は、画素値P(N+4,k)が3であるか否かを判定する。ステップS64でYESの場合、ステップS62に進む。ステップS64でNOの場合、ステップS65において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k)の値を1に設定して、ステップS71に進む。
画素値P(N+3,k)が1ではないと判定された場合(ステップS63でNO)、ステップS66において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+3,k)が2であるか否かを判定する。ステップS66でYESの場合、ステップS67において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k)が3、又は、画素値P(N+4,k)が3であるか否かを判定する。ステップS67でYESの場合、ステップS65に進む。ステップS67でNOの場合、ステップS68において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k)の値を2に設定して、ステップS71に進む。
画素値P(N+3,k)が2ではないと判定された場合(ステップS66でNO)、ステップS69において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k)が1又は2、あるいは、画素値P(N+4,k)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS69でYESの場合、ステップS70において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k)の値を3に設定して、ステップS71に進む。ステップS69でNOの場合、ステップS68に進む。
ステップS71において、画素値/強度変換回路54−4は、ステップS62,S65,S68,又はS70において設定された値の画素単位の強度信号Q(N+3,k)を発生してD/A変換器34−4に出力して、図6Dの画素値/強度変換処理を終了する。
以上のように構成された描画装置1の動作について以下説明する。
図7は、図5Bの画素単位の画素値P(n,k)の一例を示す表である。図7の画素値P(n,k)で構成されるパターン画像は、ビームピッチDよりも例えば3〜5倍だけ大きい例えば15μm/15μm、25μm/25μm等のラインアンドスペース(L/S)を有する配線パターンであるパターン画像の一部を表す。したがって、当該パターン画像は、主走査方向Xの距離及び副走査方向Yの距離で3画素又は5画素以上の連結画素から構成される。図8は、図7の画素単位の画素値P(n,k)に基づいて図4の画素値/強度変換回路54−1〜54−4によってそれぞれ設定される画素単位の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)の値を示す表である。
図7及び図8において、各時刻k=0,1において画素値P(N−1,k)〜P(N+4,k)はそれぞれ0,0,1,3,3,3である。このとき、図4の画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が1でありかつ画素値P(N+2,k)が3であるため、強度信号Q(N+1,k)の値を0に設定する(S22)。また、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が3でありでありかつ画素値P(N+1,k)が1であるため、強度信号Q(N+2,k)の値を3に設定する(S50)。
また、各時刻k=2,3において、画素値P(N−1,k)〜P(N+4,k)はそれぞれ0,0,2,3,3,3である。このとき、図4の画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が2でありかつ画素値P(N+2,k)が3であるため、強度信号Q(N+1,k)の値を1に設定する(S25)。また、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が3でありでありかつ画素値P(N+1,k)が2であるため、強度信号Q(N+2,k)の値を3に設定する(S50)。
さらに、各時刻k=4,5において、画素値P(N−1,k)〜P(N+4,k)はそれぞれ0,0,3,3,3,3である。このとき、図4の画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k)が3であり、かつ、画素値P(N,k)及びP(N+2,k)の両方が1でも2でもないため、強度信号Q(N+1,k)の値を2に設定する(S28)。また、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k)が3でありかつ画素値P(N+1,k)及びP(N+3,k)の両方が1でも2でもないため、強度信号Q(N+2,k)の値を2に設定する(S48)。
各時刻k=0〜5において、画素値/強度変換回路54−1〜54−4はそれぞれ、上述のように設定した値の図8の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)をD/A変換器34−1〜34−4に出力する。レーザー素子36a−1〜36a−4は設定された図8の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)に対応する強度でレーザー光B1〜B4を出射する。
図9は、図8の画素単位の強度信号Q(n,k)に従った図1の描画装置1の露光動作を説明するための、基板2の上面図である。図9において、図8の強度信号Q(n,k)に基づいて描画装置1によって基板2の露光面2a上に描画されるパターン画像が示されている。レーザー光B1〜B4はそれぞれ、図8の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)に対応する強度でN番目〜(N+3)番目の走査列を走査する。N番目〜(N+3)番目の走査列の中心線L1〜L4はビームピッチDの間隔で平行に並び、レーザー光B1〜B4によって走査されるN番目〜(N+3)番目の走査列の領域はビームピッチDの幅を有する。なお、図9において描かれる円は露光面2aに照射されるレーザー光B1〜B4のビームスポットのスポット径を示す。また、実線の升目は便宜上、例えば5μm×5μmの大きさを有する1ピクセルの領域を表し、破線の升目は便宜上、1サブピクセルの領域を表している。1ピクセルの領域は、3行×3列のサブピクセルから構成される。
図9において、各時刻k=0,1において、画素単位の強度信号Q(N+1,k)の値は画素値/強度変換回路54−2によって0に設定される。このため、レーザー素子36a−2は強度0のレーザー光B2を出射し、これはすなわちレーザー素子36a−2がレーザー光B2を出射しないことを意味する。しかしながら、後行の走査列である(N+2)番目の走査列の領域に照射される強度3のレーザー光B3のスポット径は、ビームピッチDよりも例えばビームピッチDの30%だけ大きく形成されるように、若干オーバードライブに調整される。(N+2)番目の走査列を強度3のレーザー光B3で走査して露光面2aをオーバー露光させることで、(N+1)番目の走査列の領域において、レーザー光B3はビームの中心線L2より後列側に位置する領域に解像するようにパターン画像を露光する。これにより、図9に示すように、(N+1)番目の走査列の領域で露光される領域の境界は、N番目の走査列の領域に接する境界から例えば3分の2画素(2サブピクセル)の距離だけ副走査線方向Yにずれている。
また、各時刻k=2,3において、画素単位の強度信号Q(N+1,k)の値は画素値/強度変換回路54−1によって1に設定されるため、レーザー素子36a−2は強度1のレーザー光B2を出射する。このとき、中心線L2を中心とするビームピッチDよりも小さい例えばビームピッチDの約30%の幅の領域がレーザー光B2によって露光される。また、後行の走査列である(N+2)番目の走査列の領域に照射される強度3のレーザー光B3のスポット径は、ビームピッチDよりも例えばビームピッチDの30%だけ大きく形成されるように、若干オーバードライブに調整される。よって、(N+1)番目の主走査列では、その後列の(N+2)番目の主走査列の領域との境界側の例えばビームピッチDの約60%の幅の領域が、レーザー光B2とB3によって露光される。言い換えると、(N+1)番目の主走査列では、前列のN番目の主走査列の領域との境界側のビームピッチDの約30%の幅の領域は露光されない。これにより、図9に示すように、(N+1)番目の走査列の領域で露光される領域の境界は、N番目の走査列の領域に接する境界から例えば3分の1画素(1サブピクセル)の距離だけ副走査線方向Yにずれている。
さらに、各時刻k=4,5において、画素単位の強度信号Q(N,k)の値は画素値/強度変換回路54−1によって2に設定されるため、レーザー素子36a−2は強度2のレーザー光B2を出射する。したがって、(N+1)番目の走査列の領域は、ビームピッチDとほぼ同じスポット径を有する強度2のレーザー光B2によって照射される。これにより、図9に示すように、(N+1)番目の走査列の領域で露光される領域の境界は、N番目の走査列の領域に接する境界とほぼ一致する。
上記構成された画素値/強度変換回路54では、処理対象の画素の画素値P(n,k)が最大値3である場合、副走査方向Yで処理対象の画素に隣接する画素の画素値P(n−1,k)又はP(n+1,k)が最小値0よりも大きくかつ最大値3よりも小さいとき、以下の処理を行う。画素値/強度変換回路54は、レーザー光Bによって基板2上に形成されるビームスポットがビームピッチDよりも大きいスポット径を有するように、画素値P(n,k)を、処理対象の画素の強度信号Q(n,k)の値に変換する。従って、光源回路11は、所望のサブピクセル位置で解像し得るレーザー光B1〜B4を出射できる。よって、描画装置1は、ビームピッチDよりも高い解像度でパターン画像を描画することができる。
また、上記の画素値/強度変換回路54では、処理対象の画素の画素値P(n,k)が最小値0よりも大きくかつ最大値3よりも小さい場合、以下の処理を行う。画素値/強度変換回路54は、副走査方向Yで処理対象の画素に隣接する画素の画素値P(n−1,k)又はP(n+1,k)が最大値であるときの、レーザー光Bによって基板2上に形成されるビームスポットのスポット径を下記の第1のスポット径よりも小さくするように変換する。第1のスポット径は、隣接する画素の画素値P(n−1,k)又はP(n+1,k)が最小値0より大きくかつ最大値3より小さいときのスポット径であり、画素値/強度変換回路54は処理対象の画素の画素値P(n,k)を処理対象の画素の強度信号Q(n,k)の値に変換する。従って、光源回路11は、所望のサブピクセル位置で解像し得るパターン画像を描画することができる。よって、描画装置1は、ビームピッチDよりもさらに高い解像度でパターン画像を描画することができる。
図10は、比較例の描画装置の露光動作を説明するための、基板の上面図である。図10において、比較例の描画装置は、例えば図7の画素単位の画素値P(n,k)をそのままレーザー光の画素単位の強度信号の値として用いて、パターン画像を基板上に形成する。例えば、比較例の描画装置は、レーザー光の所定の規定パワーに対する光源回路11から出射されるレーザー光の強度の割合である強度レートを、画素値P(n,k)の値0,1,2,及び3に対応して設定する。例えば、比較例の描画装置は、強度レートを、画素値P(n,k)の値0,1,2,及び3に対してそれぞれ0%、50%、70%、及び100%に設定する。ここで、強度レート50%及び70%のレーザー光はそれぞれ、ビームピッチDの3分の1及び3分の2のスポット径を基板上に形成する。また、強度レート100%のレーザー光はビームピッチDにほぼ等しいスポット径を基板上に形成する。従来、半導体レーザーを使用した光源では、高い解像度のパターン画像を描画するためには、最大強度の付近の強度のレーザー光で現像されるスポット径を副走査方向Yのビームピッチとして設定することが、生産性の面で有利である。その半面、最大光量の付近の強度よりも弱いレーザー光の強度を変調することは難しかった。そのため、最大強度の付近の強度よりも低い強度を用いたレーザー光の強度変調では、図10に示すように、ビーム中心とビーム中心との間、すなわち主走査線の境界付近に位置する領域R上にパターン画像を描画することは原理上難しかった。
図10において、(N+1)番目の走査列において強度レート50%のレーザー光で描画される領域と、(N+2)番目の走査列の領域との間には、レーザー光によって適正に露光されない領域Rが存在する。そのため本比較例の描画装置は正確なサブピクセルを露光描画することができない。なお、当該領域Rは、レーザー光の走査エネルギー密度の時間的かつ空間的な被りによって露光され得るため、領域Rは通常、現像閾値を超えて露光され得る。しかしながら、条件によっては領域R上の感光剤の硬化が不十分となるなど、領域R上での露光が不安定になるリスクがある。
これに対して、本実施形態の構成によれば、強度3のレーザー光Bは、露光面2aの照射対象の主走査列の領域のみならず、当該主走査列に隣接する前列及び後列の主走査列上の領域に跨って露光面2aを露光する。すなわち、本実施形態の描画装置1の構成によれば、露光面2a上において、走査エネルギー密度の時間的かつ空間的な被りによって露光されることを必要とする領域の形成を防ぐことができる。
本実施形態において、画素値/強度変換回路54は2ビットのデジタル値の強度信号Q(n,k)の値を設定して出力する。しかし本発明はこれに限らず、画素値/強度変換回路54−1〜54−4は、3ビット以上のデジタル値の強度信号Q(n,k)の値を設定して出力してもよい。
本実施形態において、光源回路11は4つのレーザー素子36a−1〜36a−4を備えて構成される。しかし本発明はこれに限らず、光源回路11は1〜3つ、又は4つ以上のレーザー素子を備えてもよい。
本実施形態において、ポリゴンミラー15は6角柱の形状を有し、6個の各側面にはミラーが配置される。しかし本発明はこれに限らず、ポリゴンミラー15は8角柱、12角柱等の多角柱の形状を有し、その各側面にミラーを配置してもよい。
本実施形態において、画素値/強度変換回路54は例えば図6A〜6Dの画素値/強度変換処理を実行するための専用のハードウェア回路を備える。しかし本発明はこれに限らず、画素値/強度変換回路54は、当該専用のハードウェア回路に代えて、外部のパーソナルコンピュータ等の電子計算機と組み合わせて構成されもよい。この場合、パーソナルコンピュータ等の電子計算機は、原版のパターン画像データをラスター図形データにオフライン変換する際に画素値/強度変換処理を実行する。これによって、強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)を描画装置1にデータローディングする方式で、本実施形態のパターン画像の描画を行うことができる。
実施形態2.
図11は、本発明の実施形態2に係る描画装置1Aの構成を示すブロック図である。図11において、描画装置1Aは、図1の描画装置1に比較して、光源回路11に代えて光源回路11Aを備えた点が異なる。
図12は、図11の光源回路11Aの構成を示すブロック図である。図12において、光源回路11Aは、図4の光源回路11に比較して、以下の点が異なる。
(1)光源回路11Aは、図4の光源回路11に比較して、強度信号発生回路33−1〜33−4にそれぞれ代えて強度信号発生回路33A−1〜33A−4を備えたこと。具体的には以下の通りである。
(1−1)強度信号発生回路33A−1は、図4の強度信号発生回路33−1に比較して、レジスタ51−1〜53−1にそれぞれ代えてシフトレジスタ51A−1〜53A−1を備えたこと。また、強度信号発生回路33A−1は、画素値/強度変換回路54−1に代えて、サブピクセルパターン推定部60−1を備えた画素値/強度変換回路54A−1を備えたこと。
(1−2)強度信号発生回路33A−2は、図4の強度信号発生回路33−2に比較して、レジスタ51−2〜53−2にそれぞれ代えてシフトレジスタ51A−2〜53A−2を備えたこと。また、強度信号発生回路33A−2は、画素値/強度変換回路54−2に代えて、サブピクセルパターン推定部60−2を備えた画素値/強度変換回路54A−2を備えたこと。
(1−3)強度信号発生回路33A−3は、図4の強度信号発生回路33−3に比較して、レジスタ51−3〜53−3にそれぞれ代えてシフトレジスタ51A−3〜53A−3を備えたこと。また、強度信号発生回路33A−3は、画素値/強度変換回路54−3に代えて、サブピクセルパターン推定部60−3を備えた画素値/強度変換回路54A−3を備えたこと。
(1−4)強度信号発生回路33A−4は、図4の強度信号発生回路33−4に比較して、レジスタ51−4〜53−4にそれぞれ代えてシフトレジスタ51A−4〜53A−4を備えたこと。また、強度信号発生回路33A−4は、画素値/強度変換回路54−4に代えて、サブピクセルパターン推定部60−4を備えた画素値/強度変換回路54A−4を備えたこと。
(2)光源回路11Aは、図4の光源回路11に比較して、強度信号発生回路33A−1〜33A−4とD/A変換回路34−1〜34−4との間にそれぞれ設けられた位相変調回路37−1〜37−4をさらに備えたこと。ここで、位相変調回路37−1〜37−4はそれぞれ、強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)のドライブ部35−1〜35−4への出力タイミングを遅延させる。
以下の説明において、強度信号発生回路33A−1〜33A−4を総称して強度信号発生回路33Aともいい、サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4を総称してサブピクセルパターン推定部60ともいう。また、シフトレジスタ51A−1〜51A−4を総称してシフトレジスタ51Aともいい、シフトレジスタ52A−1〜52A−4を総称してシフトレジスタ52Aともいい、シフトレジスタ53A−1〜53A−4を総称してシフトレジスタ53Aともいう。さらに、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4を総称して画素値/強度変換回路54Aともいい、位相変調回路37−1〜37−4を総称して、位相変調回路37ともいう。
読み出し回路32は、ラインバッファ32a−1〜32a−6にそれぞれ格納された主走査方向Xの画素値列I(N−1)〜I(N+4)における画素値P(N−1、k+1)〜P(N+4,k+1)(0≦k≦Npx−1)を順次出力する動作を繰り返す。すなわち、読み出し回路32は、画素クロックに同期してカウントされる各時刻kにおいて、k≦Npx−1が満たされる間、上記の出力動作を繰り返す。具体的には、読み出し回路32は、各時刻kにおいて、画素値P(N−1,k+1)〜P(N+1,k+1)をそれぞれシフトレジスタ51A−1〜53A−1に出力する。また、読み出し回路32は、各時刻kにおいて、画素値P(N,k+1)〜P(N+2,k+1)をそれぞれシフトレジスタ51A−2〜53A−2に出力する。さらに、読み出し回路32は、各時刻kにおいて、画素値P(N+1,k+1)〜P(N+3,k+1)をそれぞれシフトレジスタ51A−3〜53A−3に出力する。またさらに、読み出し回路32は、各時刻kにおいて、画素値P(N+2,k+1)〜P(N+4,k+1)をそれぞれシフトレジスタ51A−4〜53A−4に出力する。
強度信号発生回路33A−1において、シフトレジスタ51A−1は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−1から順次入力される3つの画素値P(N−1,k−1)〜P(N−1,k+1)を格納する。シフトレジスタ52A−1は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−2から順次入力される3つの画素値P(N,k−1)〜P(N,k+1)を格納する。シフトレジスタ53A−1は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−3から順次入力される3つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を格納する。
画素値/強度変換回路54A−1は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ51A−1に格納されている3個の画素値P(N−1,k−1)〜P(N−1,k+1)を読み出す。また、画素値/強度変換回路54A−1は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ52A−1に格納されている3つの画素値P(N,k−1)〜P(N,k+1)を読み出す。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ53A−1に格納されている3つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を読み出す。画素値/強度変換回路54A−1は、読み出した9つの画素値P(N−1,k−1)〜P(N−1,k+1),P(N,k−1)〜P(N,k+1),及びP(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)に基づいて、図14Aの画素値/強度変換処理を実行する。図14Aの画素値/強度変換処理において、サブピクセルパターン推定部60−1は、上記各9つの画素値すなわち処理対象の画素とその周辺の画素の各画素値に基づいて、図14Aのサブピクセルパターン推定処理を実行する。当該サブピクセルパターン推定処理において、サブピクセルパターン推定部60−1は、図13Aの処理対象の画素P0の、サブピクセル単位の各画素値(以下、サブピクセル値という。)からなるサブピクセルパターンサブピクセルパターンを推定する。当該サブピクセルパターンについては、図13A及び図13Bを参照して詳細後述する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素単位の強度信号Q(N,k)の値を設定するとともに、画素クロックのタイミングからの当該強度信号Q(N,k)の遅延時間Td1を決定する。ここで、当該遅延時間Td1は、画素クロックの時刻kに対する、図12の位相変調回路37−1から出力される強度信号Q(N,k)の値が変化するタイミングの遅延時間である。画素値/強度変換回路54A−1は、設定された値の強度信号Q(N,k)と遅延時間Td1を示す変調制御信号PM1とを発生して図12の位相変調回路37−1に出力する。画素値/強度変換回路54A−1による画素値/強度変換処理については図14Aを参照して詳細後述する。
図12の位相変調回路37−1は、変調制御信号PM1に基づいて、画素値/強度変換回路54A−1からの強度信号Q(N,k)を、変調制御信号PM1に含まれる遅延時間Td1だけ遅延させてD/A変換器34−1に出力する。D/A変換器34−1は位相変調回路37−1からの遅延時間Td1だけ遅延した強度信号Q(N,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−1に出力する。ドライブ部35−1は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−1に供給する。レーザー素子36a−1は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B1を出射する。
強度信号発生回路33A−2において、シフトレジスタ51A−2は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−2から順次入力される3つの画素値P(N,k−1)〜P(N,k+1)を格納する。シフトレジスタ52A−2は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−3から順次入力される3つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を格納する。シフトレジスタ53A−2は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−4から順次入力される3つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を格納する。
画素値/強度変換回路54A−2は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ51A−2に格納されている3個の画素値P(N,k−1)〜P(N,k+1)を読み出す。また、画素値/強度変換回路54A−2は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ52A−2に格納されている3つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を読み出す。さらに、画素値/強度変換回路54A−2は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ53A−2に格納されている3つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を読み出す。画素値/強度変換回路54A−2は、読み出した9つの画素値P(N,k−1)〜P(N,k+1),P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1),及びP(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)に基づいて、図14Bの画素値/強度変換処理を実行する。図14Bの画素値/強度変換処理において、サブピクセルパターン推定部60−2は、上記9つの画素値に基づいて、図14Bのサブピクセルパターン推定処理を実行する。当該サブピクセルパターン推定処理において、サブピクセルパターン推定部60−2は、画素値P(N+1,k)を有する処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定する処理を実行する。また、画素値/強度変換回路54A−2は、処理対象の画素P0の推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素単位の強度信号Q(N+1,k)の値を設定するとともに当該強度信号Q(N+1,k)の遅延時間Td2を決定する。ここで、当該遅延時間Td2は、画素クロックの時刻kに対する、図12の位相変調回路37−2から出力される強度信号Q(N+1,k)の値が変化するタイミングの遅延時間である。画素値/強度変換回路54A−2は、設定された値の強度信号Q(N+1,k)と遅延時間Td2を示す変調制御信号PM2とを発生して図12の位相変調回路37−2に出力する。画素値/強度変換回路54A−2による画素値/強度変換処理については図14Bを参照して詳細後述する。
位相変調回路37−2は、変調制御信号PM2に基づいて、画素値/強度変換回路54A−2からの強度信号Q(N+1,k)を、変調制御信号PM2に含まれる遅延時間Td2だけ遅延させてD/A変換器34−2に出力する。D/A変換器34−2は位相変調回路37−2からの遅延時間Td2だけ遅延した強度信号Q(N+1,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−2に出力する。ドライブ部35−2は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−2に供給する。レーザー素子36a−2は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B2を出射する。
強度信号発生回路33A−3において、シフトレジスタ51A−3は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−3から順次入力される3つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を格納する。シフトレジスタ52A−3は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−4から順次入力される3つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を格納する。シフトレジスタ53A−3は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−5から順次入力される3つの画素値P(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)を格納する。
画素値/強度変換回路54A−3は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ51A−3に格納されている3個の画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1)を読み出す。また、画素値/強度変換回路54A−3は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ52A−3に格納されている3つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を読み出す。さらに、画素値/強度変換回路54A−3は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ53A−3に格納されている3つの画素値P(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)を読み出す。画素値/強度変換回路54A−3は、読み出した9つの画素値P(N+1,k−1)〜P(N+1,k+1),P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)及びP(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)に基づいて図14Cの画素値/強度変換処理を実行する。図14Cの画素値/強度変換処理において、サブピクセルパターン推定部60−3は、上記9つの画素値に基づいて、図14Cのサブピクセルパターン推定処理を実行する。当該サブピクセルパターン推定処理において、サブピクセルパターン推定部60−3は、画素値P(N+2,k)を有する処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定する処理を実行する。また、画素値/強度変換回路54A−3は、処理対象の画素P0の推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素単位の強度信号Q(N+2,k)の値を設定するとともに当該強度信号Q(N+2,k)の遅延時間Td3を決定する。ここで、当該遅延時間Td3は、画素クロックの時刻kに対する、図12の位相変調回路37−3から出力される強度信号Q(N+2,k)の値が変化するタイミングの遅延時間である。画素値/強度変換回路54A−3は、設定された値の強度信号Q(N+2,k)と遅延時間Td3を示す変調制御信号PM3とを発生して図12の位相変調回路37−3に出力する。画素値/強度変換回路54A−3による画素値/強度変換処理については図14Cを参照して詳細後述する。
位相変調回路37−3は、変調制御信号PM3に基づいて、画素値/強度変換回路54A−3からの強度信号Q(N+2,k)を、変調制御信号PM3に含まれる遅延時間Td3だけ遅延させてD/A変換器34−3に出力する。D/A変換器34−3は位相変調回路37−3からの遅延時間Td3だけ遅延した強度信号Q(N+2,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−3に出力する。ドライブ部35−3は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−3に供給する。レーザー素子36a−3は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B3を出射する。
強度信号発生回路33A−4において、シフトレジスタ51A−4は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−4から順次入力される3つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を格納する。シフトレジスタ52A−4は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−5から順次入力される3つの画素値P(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)を格納する。シフトレジスタ53A−4は、読み出し回路32によってラインバッファ32a−6から順次入力される3つの画素値P(N+4,k−1)〜P(N+4,k+1)を格納する。
画素値/強度変換回路54A−4は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ51A−4に格納されている3個の画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1)を読み出す。また、画素値/強度変換回路54A−4は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ52A−4に格納されている3つの画素値P(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)を読み出す。さらに、画素値/強度変換回路54A−4は、各時刻kにおいて、シフトレジスタ53A−4に格納されている3つの画素値P(N+4,k−1)〜P(N+4,k+1)を読み出す。画素値/強度変換回路54A−4は、読み出した9つの画素値P(N+2,k−1)〜P(N+2,k+1),P(N+3,k−1)〜P(N+3,k+1)及びP(N+4,k−1)〜P(N+4,k+1)に基づいて図14Dの画素値/強度変換処理を実行する。図14Dの画素値/強度変換処理において、サブピクセルパターン推定部60−4は、上記9つの画素値に基づいて、図14Dのサブピクセルパターン推定処理を実行する。当該サブピクセルパターン推定処理において、サブピクセルパターン推定部60−4は、画素値P(N+3,k)を有する処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定する処理を実行する。また、画素値/強度変換回路54A−4は、処理対象の画素P0の推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素単位の強度信号Q(N+3,k)の値を設定するとともに当該強度信号Q(N+3,k)の遅延時間Td4を決定する。ここで、当該遅延時間Td4は、画素クロックの時刻kに対する、図12の位相変調回路37−4から出力される強度信号Q(N+3,k)の値が変化するタイミングの遅延時間である。画素値/強度変換回路54A−4は、設定された値の強度信号Q(N+3,k)と遅延時間Td4を示す変調制御信号PM4とを発生して図12の位相変調回路37−4に出力する。画素値/強度変換回路54A−4による画素値/強度変換処理については図14Dを参照して詳細後述する。
位相変調回路37−4は、変調制御信号PM4に基づいて、画素値/強度変換回路54A−4からの強度信号Q(N+3,k)を、変調制御信号PM4に含まれる遅延時間Td4だけ遅延させてD/A変換器34−4に出力する。D/A変換器34−4は位相変調回路37−4からの遅延時間Td4だけ遅延した強度信号Q(N+3,k)をアナログ強度信号にD/A変換してドライブ部35−4に出力する。ドライブ部35−4は、当該アナログ強度信号に対応する画素照射駆動信号をレーザー素子36a−4に供給する。レーザー素子36a−4は、当該画素照射駆動信号に対応する強度でレーザー光B4を出射する。
図13Aは、図12のサブピクセルパターン推定部60−1によって参照される画素値P(N,k)を有する処理対象の画素P0と、その周辺の画素P1〜P8の配置の構成を示す図である。図13Aにおいて、画素P6,P7,及びP8はそれぞれ、(N−1)番目の走査列において主走査方向Xで並置され、図12のシフトレジスタ51A−1に格納される画素値P(N−1,k−1),P(N−1,k),及びP(N−1,k+1)を有する。また、画素P5,P0,及びP1はそれぞれ、N番目の走査列において主走査方向Xで並置され、図12のシフトレジスタ52A−1に格納される画素値P(N,k−1),P(N,k),及びP(N,k+1)を有する。さらに、画素P4,P3,及びP2それぞれ、(N+1)番目の走査列において主走査方向Xで並置され、図12のシフトレジスタ53A−1に格納される画素値P(N+1,k−1),P(N+1,k),及びP(N+1,k+1)をそれぞれ有する。そして、上記の画素P6,P7,及びP8の行と、画素P5,P0,及びP1の行と、画素P4,P3,及びP2の行とは、副走査方向Yで並置される。
図13Bは、図13Aの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンの構成を示す図である。図13Bにおいて、処理対象の画素P0内であってサブピクセルの各列に対応するクロック(以下、サブピクセルクロックという。)の周期は、画素クロックの周期Tの(1/3)倍である(T/3)である。図13Bのサブピクセルパターンにおいて、サブピクセルクロックの時刻c=1における3つのサブピクセルは、副走査方向Yで並置され、かつ、それぞれ値S11,S12,及びS13を有する。また、サブピクセルクロックの時刻c=2における3つのサブピクセルは、副走査方向Yで並置され、かつ、それぞれ値S21,S22,及びS23を有する。さらに、サブピクセルクロックの時刻c=3における3つのサブピクセルは、副走査方向Yで並置され、かつ、それぞれ値S31,S32,及びS33を有する。各サブピクセルのサブピクセル値は0又は1である。ここで、サブピクセル値0は、当該サブピクセルの領域が、レーザー光Bによって照射されない一部の非照射領域であることを示す。また、サブピクセル値1は、当該サブピクセルの領域がレーザー光Bによって照射される一部の照射領域であることを示す。
図14Aは、図12の画素値/強度変換回路54A−1によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図14AのステップS81において、サブピクセルパターン推定部60−1は、図13Aの処理対象の画素P0におけるサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理を実行する。ステップS81のサブピクセルパターン推定処理については図13A〜15Cを参照して詳細後述する。次いで、ステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、ステップS81において推定されたサブピクセルパターンに基づいて、サブピクセルクロック単位の画素値P(N,k,c)(c=1,2,3)を以下の通り設定する。すなわち、画素値/強度変換回路54A−1は、図13Bのサブピクセルの値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を用いてサブピクセルクロック単位の画素値P(N,k,c)(c=1,2,3)を次式の通り設定する。
P(N,k,1)=S11+S12+S13 (1)
P(N,k,2)=S21+S22+S23 (2)
P(N,k,3)=S31+S32+S33 (3)
すなわち、式(1)において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセル値S11,S12,及びS13の和を算出して、得られた値を時刻c=1における画素値P(N,k,1)として設定する。また、式(2)において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセル値S21,S22,及びS23の和を算出して、得られた値を時刻c=2における画素値P(N,k,2)として設定する。さらに、式(3)において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセル値S31,S32,及びS33の和を算出して、得られた値を時刻c=3における画素値P(N,k,3)として設定する。サブピクセルクロックの各時刻c=1,2,3おける画素値P(N,k,c)は、時刻cにおけるレーザー光Bの一部の照射領域の面積を表す。画素値/強度変換回路54A−1は、ステップS82において画素値P(N,k,c)を上述の通り設定すると、ステップS83に進む。
ステップS83において、画素値/強度変換回路54A−1は、カウント値cを初期値1に設定し、ステップS84において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセルクロック単位の画素値P(N,k,c)が0であるか否かを判定する。ステップS84でYESの場合、ステップS85において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセルクロック単位の強度信号Q(N,k,c)の値を0に設定して、ステップS94に進む。
ここで、n番目の走査列の時刻kの画素領域におけるサブピクセルクロック単位の強度信号Q(n,k,c)(c=1,2,3)について以下説明する。各強度信号Q(n,k,c)は、図4の画素単位の強度信号Q(n,k)に比較して、画素クロック単位に代えて、サブピクセルクロック単位でのレーザー光B1の強度を示す点が異なる。すなわち、強度信号Q(n,k,c)(c=1,2,3)はそれぞれ、サブピクセルクロックの時刻cにおいて照射すべきレーザー光Bの強度を示す。
画素単位の画素値P(N,k)が0ではないと判定された場合(ステップS84でNO)、ステップS86において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセルクロック単位の画素値P(N,k,c)が1であるか否かを判定する。ステップS86でYESの場合、ステップS87において、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N−1,k,c)が3、又は、画素値P(N+1,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS87でYESの場合、ステップS85に進む。ステップS87でNOの場合、ステップS88において、画素値/強度変換回路54A−1は、強度信号Q(N,k,c)の値を1に設定して、ステップS94に進む。
画素値P(N,k,c)が1ではないと判定された場合(ステップS86でNO)、ステップS89において、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N,k,c)が2であるか否かを判定する。ステップS89でYESの場合、ステップS90において、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N−1,k,c)が3、又は、画素値P(N+1,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS90でYESの場合、ステップS88に進む。ステップS90でNOの場合、ステップS91において、画素値/強度変換回路54A−1は、強度信号Q(N,k,c)の値を2に設定して、ステップS94に進む。
画素値P(N,k,c)が2ではないと判定された場合(ステップS89でNO)、ステップS92において、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N−1,k,c)が1又は2、あるいは画素値P(N+1,k,c)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS92でYESの場合、ステップS93において、画素値/強度変換回路54A−1は、強度信号Q(N,k,c)の値を3に設定して、ステップS94に進む。ステップS92でNOの場合、ステップS91に進む。
ステップS94において、画素値/強度変換回路54A−1は、カウント値cを1だけ増加させ、ステップS95において、画素値/強度変換回路54A−1は、カウント値cが3より大きいか否かを判定する。ステップS95においてNOの場合、ステップS84に戻る。
カウント値cが3より大きいと判定された場合(ステップS95でYES)、ステップS96において、画素値/強度変換回路54A−1は強度信号Q(N,k)をサブピクセルクロック単位の強度信号(N,k,3)の値に設定して、ステップS97に進む。ステップS97において、画素値/強度変換回路54A−1は、サブピクセルクロック単位の強度信号Q(N,k,c)(c=1,2,3)に基づいて、画素単位の強度信号Q(N,k)の遅延時間Td1を決定する。具体的には、画素値/強度変換回路54A−1は、強度信号Q(N,k,c)(c=1,2)のうち強度信号Q(N,k)とは異なる値の強度信号Q(N,k,c)の数に比例した遅延時間Td1を決定する。例えば、強度信号Q(N,k,c)(c=1,2,3)が全て同じ値であるとき、強度信号Q(N,k)と異なる値を示す強度信号Q(N,k,c)の数は0である。このため、画素値/強度変換回路54A−1は、遅延時間Td1は0であると決定する。また、強度信号Q(N,k,1)が強度信号Q(N,k)と異なりかつ強度信号Q(N,k,2)が強度信号Q(N,k)と同じであるとき、強度信号Q(N,k)と異なる値を示す強度信号Q(N,k,c)の数は1である。このため、画素値/強度変換回路54A−1は遅延時間Td1がサブピクセルクロックの周期(T/3)であると決定する。さらに、強度信号Q(N,k,1)及びQ(N,k,2)の両方が強度信号Q(N,k)と異なるとき、強度信号Q(N,k)と異なる値を示す強度信号Q(N,k,c)の数は2である。このため、画素値/強度変換回路54A−1は、遅延時間Td1はサブピクセルクロックの周期の2倍である(2T/3)であると決定する。画素値/強度変換回路54A−1は、遅延時間Td1を決定すると、ステップS98に進む。ステップS98において、画素値/強度変換回路54A−1は、強度信号Q(N,k)と、遅延時間Td1を示す変調制御信号PM1とを発生して位相変調回路37−1に出力して、図14Aの画素値/強度変換処理を終了する。
図14AのステップS81におけるサブピクセルパターン推定処理、及びステップS82におけるサブピクセルクロック単位の画素値P(N,k,c)(c=1,2,3)を決定する処理について、図15〜20を参照して以下説明する。
図15は、図13Aの処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が1である場合における当該処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定するためのテーブル60mt1である。図15において、テーブル60mt1は、パターン番号1〜16毎に、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値と、画素P0の周辺の画素P1〜P8がそのような画素値を有するときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンとを示す。ここで、テーブル60mt1におけるパターン番号1〜16はそれぞれ、画素値P(N,k)が1であるときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンSP31〜SP34,SP21〜SP28,及びSP11〜SP14に対応する。テーブル60mt1において、各画素P1〜P8の画素値は、0〜3のうちのいずれかの値、又は記号X若しくはNZで示される。ここで、記号Xは画素値が0〜3のうちのいずれかの値であることを意味し、また、記号NZは画素値が1〜3のうちのいずれかの値であることを意味する。なお、図12の各サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4はそれぞれメモリ60m−1〜60m−4を備え、各メモリ60m−1〜60m−4はテーブル60mt1を格納する。
図16(a)は、図15のパターン番号13〜16にそれぞれ対応する面積1のサブピクセルパターンSP11〜SP14の構成を示す図である。図16(b)は、図15のパターン番号5〜12にそれぞれ対応する面積2のサブピクセルパターンSP21〜SP28の構成を示す図である。図16(c)は、図15のパターン番号1〜4にそれぞれ対応する面積3のサブピクセルパターンSP31〜SP34の構成を示す図である。図16において、サブピクセルパターンの面積は、サブピクセルパターンにおける値1のサブピクセルの数を示す。各サブピクセルパターンSP11〜SP14,SP21〜SP28,及びSP31〜SP34は、サブピクセル値1のハッチングされたレーザー光Bの一部の照射領域と、サブピクセル値0のハッチングされていないレーザー光Bの一部の非照射領域とを含む。画素値/強度変換回路54A−1はメモリ54Am−1を備える。メモリ54Am−1は図16の各サブピクセルパターンSP11〜SP14,SP21〜SP28,SP31〜SP34に対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納する。
図15及び図16において、図12のサブピクセルパターン推定部60−1は、画素値P(N,k)が1である場合、テーブル60mt1を参照して、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理を以下の通り実行する。サブピクセルパターン推定部60−1は、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値がそれぞれいずれかのパターン番号の画素P1〜P8の画素値にマッチするか否かを、パターン番号1〜16の順番で判定する。処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値がそれぞれあるパターン番号に示される画素P1〜P8の画素値にマッチする場合、サブピクセルパターン推定部60−1は当該パターン番号を特定する。そして、サブピクセルパターン推定部60−1は、テーブル60mt1において当該パターン番号で示されるサブピクセルパターンを、処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。
例えば、処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が1である場合において、画素P0の周辺の画素P1,P3,及びP7がそれぞれ画素値0,NZ,及びNZを有するとき、周辺の画素P1〜P8はそれぞれパターン番号1の画素P1〜P8の各画素値を有する。このため、サブピクセルパターン推定部60−1はパターン番号1のサブピクセルパターンSP31を処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。図16に示すように、当該サブピクセルパターンSP31において、サブピクセルの各値S11〜S13は1であり、サブピクセルの各値S21〜S23及びS31〜S33は0である。また、サブピクセルパターンSP31は、Y方向に平行なエッジE31を有する、レーザー光Bの一部の照射領域R31を含む。したがってこの場合、図14AのステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、式(1)に基づいて、画素値P(N,k,1)を3(=S11+S12+S13)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、式(2)に基づいて、画素値P(N,k,2)を0(=S21+S22+S23)に設定する。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、式(3)に基づいて、画素値P(N,k,3)を0(=S31+S32+S33)に設定する。
また、例えば、処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が1である場合において、画素P0の周辺の画素P1,P3,P5,P7がそれぞれ画素値2,0,0,及び1を有するとき、画素P1〜P8はそれぞれパターン番号6の画素P1〜P8の各画素値を有する。このため、サブピクセルパターン推定部60−1はパターン番号6のサブピクセルパターンSP22を処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。図16に示すように、当該サブピクセルパターンSP22において、サブピクセルの各値S31及びS32は1であり、サブピクセルの各値S11〜S13,S21〜S23,及びS33は0である。また、サブピクセルパターンSP22は、X方向に平行なエッジE22aとY方向に平行なエッジE22bとが互いに交わる凸コーナーC22を有する、レーザー光Bの一部の照射領域R22を含む。したがってこの場合、図14AのステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、式(1)に基づいて、画素値P(N,k,1)を0(=S11+S12+S13)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、式(2)に基づいて、画素値P(N,k,2)を0(=S21+S22+S23)に設定する。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、式(3)に基づいて、画素値P(N,k,3)を2(=S31+S32+S33)に設定する。
図17は、図13Aの処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が2である場合における当該処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定するためのテーブル60mt2である。図17において、テーブル60mt2は、パターン番号1〜12毎に、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値と、画素P0の周辺の画素値P1〜P8がそのような画素値を有するときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンとを示す。ここで、テーブル60mt2におけるパターン番号1〜12はそれぞれ、画素値P(N,k)が2であるときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンSP61〜SP64,SP51〜SP54,及びSP41〜SP44に対応する。テーブル60mt2において、各画素P1〜P8の画素値は、0〜3のうちのいずれかの値、又は記号X若しくはNZで示される。なお、図12のサブピクセルパターン推定部60−1〜60−4の各メモリ60m−1〜60m−4はテーブル60mt2を格納する。
図18(a)は、図17のパターン番号9〜12にそれぞれ対応する面積4のサブピクセルパターンSP41〜SP44の構成を示す図である。図18(b)は、図17のパターン番号5〜8にそれぞれ対応する面積5のサブピクセルパターンSP51〜SP54の構成を示す図である。図18(c)は、図17のパターン番号1〜4にそれぞれ対応する面積6のサブピクセルパターンSP61〜SP64の構成を示す図である。図18において、サブピクセルパターンの面積は、サブピクセルパターンにおける値1のサブピクセルの数を示す。各サブピクセルパターンSP41〜SP44,SP51〜SP54,及びSP61〜SP64は、サブピクセル値1のハッチングされたレーザー光Bの一部の照射領域と、サブピクセル値0のハッチングされていないレーザー光Bの一部の非照射領域とを含む。画素値/強度変換回路54A−1のメモリ54Am−1は、図18の各サブピクセルパターンSP41〜SP44,SP51〜SP54,SP61〜SP64に対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納する。
図17及び図18において、図12のサブピクセルパターン推定部60−1は、画素値P(N,k)が2である場合、テーブル60mt2を参照して、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理を以下の通り実行する。サブピクセルパターン推定部60−1は、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の各画素値がそれぞれいずれかのパターン番号の画素P1〜P8の各画素値にマッチするか否かを、パターン番号1〜12の順番で判定する。処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値がそれぞれあるパターン番号に示される画素P1〜P8の画素値にマッチする場合、サブピクセルパターン推定部60−1は当該パターン番号を特定する。そして、サブピクセルパターン推定部60−1は、テーブル60mt2において当該パターン番号で示されるサブピクセルパターンを、処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。
例えば、処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が2の場合、画素P0の周辺の画素P1,P3,及びP5がそれぞれ画素値NZ,0,及びNZを有するとき、画素P0の周辺の画素P1〜P8はそれぞれパターン番号2の画素P1〜P8の画素値を有する。このため、サブピクセルパターン推定部60−1はパターン番号2のサブピクセルパターンSP62を処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。図18に示すように、当該サブピクセルパターンSP62において、サブピクセルの各値S11,S12,S21,S22,S31,及びS31は1であり、サブピクセルの各値S13,S23,及びS33は0である。また、サブピクセルパターンSP62は、X方向に平行なエッジE62を有する、レーザー光Bの一部の照射領域R62を含む。したがってこの場合、図14AのステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、式(1)に基づいて、画素値P(N,k,1)を2(=S11+S12+S13)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、式(2)に基づいて、画素値P(N,k,2)を2(=S21+S22+S23)に設定する。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、式(3)に基づいて、画素値P(N,k,3)を2(=S31+S32+S33)に設定する。
また、例えば、処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が2である場合において、周辺の画素P1,P7,及びP8が全て画素値0を有するとき、画素P0の周辺の画素P1〜P8はそれぞれパターン番号12の画素P1〜P8の各画素値を有する。このため、サブピクセルパターン推定部60−1はパターン番号12のサブピクセルパターンSP44を処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。図18に示すように、当該サブピクセルパターンSP44において、サブピクセルの各値S12,S13,S22,及びS23は1であり、サブピクセルの各値S11,S21,及びS31〜S33は0である。また、サブピクセルパターンSP44は、X方向に平行なエッジE44aとY方向に平行なエッジE44bとが互いに交わる凸コーナーC22を有する、レーザー光Bの一部の照射領域R44を含む。したがってこの場合、図14AのステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、式(1)に基づいて、画素値P(N,k,1)を2(=S11+S12+S13)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、式(2)に基づいて、画素値P(N,k,2)を2(=S21+S22+S23)に設定する。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、式(3)に基づいて、画素値P(N,k,3)を0(=S31+S32+S33)に設定する。
図19は、図13Aの処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が3である場合における当該処理対象の画素P0のサブピクセルパターンを推定するためのテーブル60mt3である。図19において、テーブル60mt3は、パターン番号1〜13毎に、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値と、周辺の画素P1〜P8がそのような画素値を有するときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンとを示す。ここで、テーブル60mt3におけるパターン番号1〜13はそれぞれ、画素値P(N,k)が3であるときの処理対象の画素P0のサブピクセルパターンSP81〜SP84,SP71〜SP78,及びSP91に対応する。テーブル60mt3において、各画素P1〜P8の画素値は、0〜3のうちのいずれかの値、又は記号X若しくはNZで示される。なお、図12のサブピクセルパターン推定部60−1〜60−4の各メモリ60m−1〜60m−4はテーブル60mt3を格納する。
図20(a)は、図19のパターン番号5〜12にそれぞれ対応する面積7のサブピクセルパターンSP71〜SP78の構成を示す図である。図20(b)は、図19のパターン番号1〜4にそれぞれ対応する面積8のサブピクセルパターンSP81〜SP84の構成を示す図である。図20(c)は、図19のパターン番号13に対応する面積9のサブピクセルパターンSP91の構成を示す図である。図20において、各サブピクセルパターンSP71〜SP78,SP81〜SP84,及びSP91は、サブピクセル値1のハッチングされたレーザー光Bの一部の照射領域と、サブピクセル値0のハッチングされていないレーザー光Bの一部の非照射領域とを含む。画素値/強度変換回路54A−1のメモリ54Am−1は、図20の各サブピクセルパターンSP71〜SP78,SP81〜SP84,及びSP91対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納する。
図19及び図20において、図12のサブピクセルパターン推定部60−1は、画素値P(N,k)が3である場合、テーブル60mt3を参照して、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理を以下の通り実行する。サブピクセルパターン推定部60−1は、処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の画素値がそれぞれいずれかのパターン番号の画素P1〜P8の画素値にマッチするか否かを、パターン番号1〜13の順番で判定する。処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P8の各画素値がそれぞれあるパターン番号に示される画素P1〜P8の画素値にマッチする場合、サブピクセルパターン推定部60−1は当該パターン番号を特定する。そして、サブピクセルパターン推定部60−1は、テーブル60mt3において当該パターン番号で示されるサブピクセルパターンを、処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。
例えば、処理対象の画素P0の画素値P(N,k)が3の場合において、画素P0の周辺の画素P3,P4,及びP5がそれぞれ画素値2,0,及び1を有するとき、画素P0の周辺の画素P1〜P8はそれぞれパターン番号7の画素P1〜P8の画素値を有する。このため、サブピクセルパターン推定部60−1はパターン番号7のサブピクセルパターンSP73を処理対象の画素P0のサブピクセルパターンと推定する。図20に示すように、当該サブピクセルパターンSP73において、サブピクセルの各値S11,S21〜S23,及びS31〜S33は1であり、サブピクセルの各値S12及びS13は0である。また、サブピクセルパターンSP73は、X方向に平行なエッジE73aとY方向に平行なエッジE73bとが互いに交わる凹コーナーC73を有する、レーザー光Bの一部の照射領域R73を含む。したがってこの場合、図14AのステップS82において、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N,k,1)を0(=S11+S12+S13)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N,k,2)を0(=S11+S12+S13)に設定する。さらに、画素値/強度変換回路54A−1は、画素値P(N,k,3)を2(=S11+S12+S13)に設定する。
以上説明したように、図12のサブピクセルパターン推定部60−1は、図14AのステップS81におけるサブピクセルパターン推定処理とステップS82における画素値P(N,k,c)(c=1,2,3)を設定する処理を実行する。なお、画素P0の画素値P(N,k)が0であるとき、サブピクセルパターン推定部60−1は、処理対象の画素P0のサブピクセルパターンにおける各サブピクセルはサブピクセル値0を有すると判定する。
図12の画素値/強度変換回路54A−1は、以上説明したように図14Aの画素値/強度変換処理を実行する。次いで、図12の画素値/強度変換回路54A−2〜54A−4によりそれぞれ実行される画素値/強度変換処理について図14B〜14Dを参照して以下説明する。
図14Bは、図12の画素値/強度変換回路54A−2によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図14BのステップS101において、サブピクセルパターン推定部60−2は、図13Aの処理対象の画素P0におけるサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理を実行する。
サブピクセルパターン推定部60−2によるステップS101のサブピクセルパターン推定処理は、以下の相違点を除いて、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理と同様である。
(1)図13Aの処理対象の画素P0の画素値は、画素値P(N,k)に代えて画素値P(N+1,k)であること。
(2)図13Aの処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P3の画素値はそれぞれ、画素値P(N,k+1),P(N+1,k+1),及びP(N+1,k)に代えて、画素値P(N+1,k+1),P(N+2,k+1),及びP(N+2,k)であること。また、処理対象の画素P0の周辺の画素P4〜P6の画素値はそれぞれ、画素値P(N+1,k−1),P(N,k−1),及びP(N−1,k−1)に代えて、画素値P(N+2,k−1),P(N+1,k−1),及びP(N,k−1)であること。さらに、処理対象の画素P0の周辺の画素P7及びP8の画素値はそれぞれ、画素値P(N−1,k)及びP(N−1,k+1)に代えて、画素値P(N,k)及びP(N,k+1)であること。
(3)サブピクセルパターン推定部60−2は、図12のメモリ60m−1に代えてメモリ60m−2に格納された図15、図17、及び図19のテーブル60mt1〜60mt3を参照してステップS101のサブピクセルパターン推定処理を実行すること。
次いで、ステップS102において、画素値/強度変換回路54A−2は、ステップS101において推定されたサブピクセルパターンに基づいて、サブピクセルクロック単位の画素値P(N+1,k,c)(c=1,2,3)を以下の通り設定する。すなわち、画素値/強度変換回路54A−2は、図13Bのサブピクセルの値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を用いて画素値P(N+1,k,c)(c=1,2,3)を次式の通り設定する。
P(N+1,k,1)=S11+S12+S13 (4)
P(N+1,k,2)=S21+S22+S23 (5)
P(N+1,k,3)=S31+S32+S33 (6)
すなわち、式(4)において、画素値/強度変換回路54A−2は、サブピクセル値S11,S12,及びS13の和を算出して、得られた値を時刻c=1における画素値P(N+1,k,1)として設定する。また、式(5)において、画素値/強度変換回路54A−2は、サブピクセル値S21,S22,及びS23の和を算出して、得られた値を時刻c=2における画素値P(N+1,k,2)として設定する。さらに、式(6)において、画素値/強度変換回路54A−2は、サブピクセル値S31,S32,及びS33の和を算出して、得られた値を時刻c=3における画素値P(N+1,k,3)として設定する。サブピクセルクロックの各時刻c=1,2,3おける画素値P(N+1,k,c)は、時刻cにおけるレーザー光Bの一部の照射領域の面積を表す。なお、画素値/強度変換回路54A−2は、図16、図18、及び図20に示す各サブピクセルパターンに対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納するメモリ54Am−2を備える。画素値/強度変換回路54A−2は、メモリ54Am−2に格納される上記各サブピクセルパターンのサブピクセル値を参照することによって、ステップS102における画素値P(N+1,k,c)(c=1,2,3)を設定する処理を実行する。画素値/強度変換回路54A−2は、ステップS102において画素値P(N+1,k,c)を上述の通り設定すると、ステップS103に進む。
ステップS103において、画素値/強度変換回路54A−2は、カウント値cを初期値1に設定し、ステップS104において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k,c)が0であるか否かを判定する。ステップS104でYESの場合、ステップS105において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k,c)の値を0に設定して、ステップS114に進む。
画素値P(N+1,k)が0ではないと判定された場合(ステップS104でNO)、ステップS106において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k,c)が1であるか否かを判定する。ステップS106でYESの場合、ステップS107において、画素値/強度変換回路54−2は画素値P(N,k,c)が3、又は画素値P(N+2,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS107でYESの場合、ステップS105に進む。ステップS107でNOの場合、ステップS108において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k,c)の値を1に設定して、ステップS114に進む。
画素値P(N+1,k,c)が1ではないと判定された場合(ステップS106でNO)、ステップS109において、画素値/強度変換回路54−2は、画素値P(N+1,k,c)が2であるか否かを判定する。ステップS109でYESの場合、ステップS110において、画素値/強度変換回路54−2は画素値P(N,k,c)が3、又は画素値P(N+2,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS110でYESの場合、ステップS108に進む。ステップS110でNOの場合、ステップS111において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k,c)の値を2に設定して、ステップS114に進む。
画素値P(N+1,k,c)が2でないと判定された場合(ステップS109でNO)、ステップS112において、画素値/強度変換回路54−2は画素値P(N,k,c)が1又は2、あるいは画素値P(N+2,k,c)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS112でYESの場合、ステップS113において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k,c)の値を3に設定して、ステップS114に進む。ステップS112でNOの場合、ステップS111に進む。
ステップS114において、画素値/強度変換回路54−2は、カウント値cを1だけ増加させ、ステップS115において、画素値/強度変換回路54−2は、カウント値cが3より大きいか否かを判定する。ステップS115においてNOの場合、ステップS104に戻る。
カウント値cが3より大きいと判定された場合(ステップS115でYES)、ステップS116において、画素値/強度変換回路54−2は、強度信号Q(N+1,k)の値を強度信号(N+1,k,3)の値に設定して、ステップS117に進む。ステップS117において、画素値/強度変換回路54A−2は、サブピクセルクロック単位の強度信号Q(N+1,k,c)(c=1,2,3)に基づいて、画素単位の強度信号Q(N+1,k)の遅延時間Td2を決定する。具体的には、画素値/強度変換回路54A−2は、強度信号Q(N+1,k,c)(c=1,2)のうち、強度信号Q(N+1,k)とは異なる値の強度信号Q(N+1,k,c)の数を決定する。そして、画素値/強度変換回路54A−2は、この強度信号Q(N+1,k)とは異なる値の強度信号Q(N+1,k,c)の数に比例した遅延時間Td2を決定する。例えば、強度信号Q(N+1,k,c)(c=1,2,3)が全て同じ値であるとき、強度信号Q(N+1,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+1,k,c)の数は0である。このため、画素値/強度変換回路54A−2は、遅延時間Td2は0であると決定する。また、強度信号Q(N+1,k,1)が強度信号Q(N+1,k)と異なりかつ強度信号Q(N+1,k,2)が強度信号Q(N+1,k)と同じである場合、強度信号Q(N+1,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+1,k,c)の数は1である。このため、画素値/強度変換回路54A−2は遅延時間Td2がサブピクセルクロックの周期(T/3)であると決定する。さらに、強度信号Q(N+1,k,1)及びQ(N+1,k,2)の両方が強度信号Q(N+1,k)と異なるとき、強度信号Q(N+1,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+1,k,c)の数は2である。このため、画素値/強度変換回路54A−2は、遅延時間Td2はサブピクセルクロックの周期の2倍である(2T/3)であると決定する。画素値/強度変換回路54A−2は、遅延時間Td2を決定すると、ステップS118に進む。ステップS118において、画素値/強度変換回路54A−2は、強度信号Q(N+1,k)と、遅延時間Td2を示す変調制御信号PM2とを発生して位相変調回路37−2に出力して、図14Bの画素値/強度変換処理を終了する。
図14Cは、図12の画素値/強度変換回路54A−3によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図14CのステップS121において、サブピクセルパターン推定部60−3は、図13aの処理対象の画素p0におけるサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理を実行する。
サブピクセルパターン推定部60−3によるステップS121のサブピクセルパターン推定処理は、以下の相違点を除いて、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理と同様である。
(1)図13Aの処理対象の画素P0の画素値は、画素値P(N,k)に代えて画素値P(N+2,k)であること。
(2)図13Aの処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P3の画素値はそれぞれ、画素値P(N,k+1),P(N+1,k+1),及びP(N+1,k)に代えて、画素値P(N+2,k+1),P(N+3,k+1),P(N+3,k)であること。また、周辺の画素P4〜P6の画素値はそれぞれ、画素値P(N+1,k−1),P(N,k−1),及びP(N−1,k−1)に代えて、画素値P(N+3,k−1),P(N+2,k−1),及びP(N+1,k−1)であること。さらに、周辺の画素P7及びP8の画素値はそれぞれ、P(N−1,k)及びP(N−1,k+1)に代えて、P(N+1,k)及びP(N+1,k+1)であること。
(3)サブピクセルパターン推定部60−3は、図12のメモリ60m−1に代えてメモリ60m−3に格納された図15、図17、及び図19のテーブル60mt1〜60mt3を参照してステップS121のサブピクセルパターン推定処理を実行すること。
次いで、ステップS122において、画素値/強度変換回路54A−3は、ステップS121において推定されたサブピクセルパターンに基づいて、サブピクセルクロック単位の画素値P(N+2,k,c)(c=1,2,3)を以下の通り設定する。すなわち、画素値/強度変換回路54A−3は、図13Bのサブピクセルの値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を用いて画素値P(N+2,k,c)(c=1,2,3)を次式の通り設定する。
P(N+2,k,1)=S11+S12+S13 (7)
P(N+2,k,2)=S21+S22+S23 (8)
P(N+2,k,3)=S31+S32+S33 (9)
すなわち、式(7)において、画素値/強度変換回路54A−3は、サブピクセル値S11,S12,及びS13の和を算出して、得られた値を時刻c=1における画素値P(N+2,k,1)として設定する。また、式(8)において、画素値/強度変換回路54A−3は、サブピクセル値S21,S22,及びS23の和を算出して、得られた値を時刻c=2における画素値P(N+2,k,2)として設定する。さらに、式(9)において、画素値/強度変換回路54A−3は、サブピクセル値S31,S32,及びS33の和を算出して、得られた値を時刻c=3における画素値P(N+2,k,3)として設定する。なお、画素値/強度変換回路54A−3は、図16、図18、及び図20に示す各サブピクセルパターン(SP11〜SP91)に対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納するメモリ54Am−3を備える。画素値/強度変換回路54A−3は、メモリ54Am−3に格納される上記各サブピクセルパターンのサブピクセル値を参照することによって、ステップS122における画素値P(N+2,k,c)を設定する処理を実行する。画素値/強度変換回路54A−3は、ステップS122において画素値P(N+2,k,c)を上述の通り設定すると、ステップS123に進む。
ステップS123において、画素値/強度変換回路54A−3は、カウント値cを初期値1に設定し、ステップS124において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k,c)が0であるか否かを判定する。ステップS124でYESの場合、ステップS125において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k,c)の値を0に設定して、ステップS134に進む。
画素値P(N+2,k,c)が0ではないと判定された場合(ステップS124でNO)、ステップS126において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k,c)が1であるか否かを判定する。ステップS126でYESの場合、ステップS127において、画素値/強度変換回路54−3は画素値P(N+1,k,c)が3、又は画素値P(N+3,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS127でYESの場合、ステップS125に進む。ステップS127でNOの場合、ステップS128において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k,c)の値を1に設定して、ステップS134に進む。
画素値P(N+2,k,c)が1ではないと判定された場合(ステップS126でNO)、ステップS129において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+2,k,c)が2であるか否かを判定する。ステップS129でYESの場合、ステップS130において、画素値/強度変換回路54−3は画素値P(N+1,k,c)が3、又は画素値P(N+3,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS130でYESの場合、ステップS128に進む。ステップS130でNOの場合、ステップS131において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k,c)の値を2に設定して、ステップS134に進む。
画素値P(N+2,k,c)が2ではないと判定された場合(ステップS129でNO)、画素値/強度変換回路54−3は、ステップS132に進む。ステップS132において、画素値/強度変換回路54−3は、画素値P(N+1,k,c)が1又は2、あるいは、画素値P(N+3,k,c)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS132でYESの場合、ステップS133において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k,c)の値を3に設定して、ステップS134に進む。ステップS132でNOの場合、ステップS131に進む。
ステップS134において、画素値/強度変換回路54−3は、カウント値cを1だけ増加させ、ステップS135において、画素値/強度変換回路54−3は、カウント値cが3より大きいか否かを判定する。ステップS135においてNOの場合、ステップS124に戻る。
カウント値cが3より大きいと判定された場合(ステップS135でYES)、ステップS136において、画素値/強度変換回路54−3は、強度信号Q(N+2,k)の値を強度信号Q(N+2,k,3)の値に設定して、ステップS137に進む。ステップS137において、画素値/強度変換回路54A−3は、サブピクセルクロック単位の強度信号Q(N+2,k,c)(c=1,2,3)に基づいて、画素単位の強度信号Q(N+2,k)の遅延時間Td3を決定する。具体的には、画素値/強度変換回路54A−3は、強度信号Q(N+2,k,c)(c=1,2)のうち、強度信号Q(N+2,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+2,k,c)の数を決定する。そして、画素値/強度変換回路54A−3は、強度信号Q(N+2,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+2,k,c)の数に比例した遅延時間Td3を決定する。例えば、強度信号Q(N+2,k,c)(c=1,2,3)が全て同じ値であるとき、強度信号Q(N+2,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+2,k,c)の数は0である。このため、画素値/強度変換回路54A−3は、遅延時間Td3は0であると決定する。また、強度信号Q(N+2,k,1)が強度信号Q(N+2,k)と異なりかつ強度信号Q(N+2,k,2)が強度信号Q(N+2,k)と同じであるとき、強度信号Q(N+2,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+2,k,c)の数は1である。このため、画素値/強度変換回路54A−3は遅延時間Td3がサブピクセルクロックの周期(T/3)であると決定する。さらに、強度信号Q(N+2,k,1)及びQ(N+2,k,2)の両方が強度信号Q(N+2,k)と異なるとき、強度信号Q(N+2,k)と異なる値を示すサブピクセルクロック単位の強度信号Q(N+2,k,c)の数は2である。このため、画素値/強度変換回路54A−3は、遅延時間Td3はサブピクセルクロックの周期の2倍である(2T/3)であると決定する。画素値/強度変換回路54A−3は、遅延時間Td3を決定すると、ステップS138に進む。ステップS138において、画素値/強度変換回路54A−3は、強度信号Q(N+2,k)と、遅延時間Td3を示す変調制御信号PM3とを発生して位相変調回路37−3に出力して、図14Cの画素値/強度変換処理を終了する。
図14Dは、図12の画素値/強度変換回路54A−4によって実行される画素値/強度変換処理を示すフローチャートである。図14DのステップS141において、サブピクセルパターン推定部60−4は、図13Aの処理対象の画素P0におけるサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理を実行する。
サブピクセルパターン推定部60−4によるステップS141のサブピクセルパターン推定処理は、以下の相違点を除いて、図14AのステップS81のサブピクセルパターン推定処理と同様である。
(1)図13Aの処理対象の画素P0の画素値は、画素値P(N+1,k)に代えて画素値P(N+2,k)であること。
(2)図13Aの処理対象の画素P0の周辺の画素P1〜P3の画素値はそれぞれ、画素値P(N,k+1),P(N+1,k+1),及びP(N+1,k)に代えて、画素値P(N+3,k+1),P(N+4,k+1),及びP(N+4,k)であること。また、周辺の画素P4〜P6の画素値はそれぞれ、P(N+1,k−1),P(N,k−1),及びP(N−1,k−1)に代えて、P(N+4,k−1),P(N+3,k−1),及びP(N+2,k−1)であること。さらに、周辺の画素P7及びP8の画素値はそれぞれ、P(N−1,k)及びP(N−1,k+1)に代えて、画素値P(N+2,k)及びP(N+2,k+1)であること。
(3)サブピクセルパターン推定部60−4は、図12のメモリ60m−1に代えてメモリ60m−4に格納された図15、図17、及び図19のテーブル60mt1〜60mt3を参照してステップS141のサブピクセルパターン推定処理を実行すること。
次いで、ステップS142において、画素値/強度変換回路54A−4は、ステップS141において推定されたサブピクセルパターンに基づいて、サブピクセルクロック単位の画素値P(N+3,k,c)(c=1,2,3)を以下の通り設定する。すなわち、画素値/強度変換回路54A−4は、図13Bのサブピクセルの値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を用いて画素値P(N+3,k,c)(c=1,2,3)を次式の通り設定する。
P(N+3,k,1)=S11+S12+S13 (10)
P(N+3,k,2)=S21+S22+S23 (11)
P(N+3,k,3)=S31+S32+S33 (12)
すなわち、式(10)において、画素値/強度変換回路54A−4は、サブピクセル値S11,S12,及びS13の和を算出して、得られた値を時刻c=1における画素値P(N+3,k,1)として設定する。また、式(11)において、画素値/強度変換回路54A−4は、サブピクセル値S21,S22,及びS23の和を算出して、得られた値を時刻c=2における画素値P(N+3,k,2)として設定する。さらに、式(12)において、画素値/強度変換回路54A−4は、サブピクセル値S31,S32,及びS33の和を算出して、得られた値を時刻c=3における画素値P(N+3,k,3)として設定する。すなわち、サブピクセルクロックの各時刻c=1,2,3おける画素値P(N+3,k,c)は、時刻cにおけるレーザー光Bの一部の照射領域の面積を表す。なお、画素値/強度変換回路54A−4は、図16、図18、及び図20に示す各サブピクセルパターンに対するサブピクセル値S11〜S13,S21〜S23,及びS31〜S33を示すデータを格納するメモリ54Am−4を備える。画素値/強度変換回路54A−4は、メモリ54Am−4に格納される上記各サブピクセルパターンのサブピクセル値S11〜S33を参照することによって、ステップS142における画素値P(N+3,k,c)(c=1,2,3)を設定する処理を実行する。画素値/強度変換回路54A−4は、ステップS142において画素値P(N+3,k,c)を上述の通り設定すると、ステップS143に進む。
ステップS143において、画素値/強度変換回路54A−4は、カウント値cを初期値1に設定し、ステップS144において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k,c)が0であるか否かを判定する。ステップS144でYESの場合、ステップS145において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k,c)の値を0に設定して、ステップS154に進む。
画素値P(N+2,k,c)が0ではないと判定された場合(ステップS144でNO)、ステップS146において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k,c)が1であるか否かを判定する。ステップS146でYESの場合、ステップS147において、画素値/強度変換回路54−4は画素値P(N+1,k,c)が3、又は画素値P(N+3,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS147でYESの場合、ステップS145に進む。ステップS147でNOの場合、ステップS148において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k,c)の値を1に設定して、ステップS154に進む。
画素値P(N+2,k,c)が1ではないと判定された場合(ステップS146でNO)、ステップS149において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+2,k,c)が2であるか否かを判定する。ステップS149でYESの場合、ステップS150において、画素値/強度変換回路54−4は画素値P(N+1,k,c)が3、又は画素値P(N+3,k,c)が3であるか否かを判定する。ステップS150でYESの場合、ステップS148に進む。ステップS150でNOの場合、ステップS151において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k,c)の値を2に設定して、ステップS154に進む。
画素値P(N+2,k,c)が2ではないと判定された場合(ステップS149でNO)、画素値/強度変換回路54−4は、ステップS152に進む。ステップS152において、画素値/強度変換回路54−4は、画素値P(N+1,k,c)が1又は2、あるいは、画素値P(N+3,k,c)が1又は2であるか否かを判定する。ステップS152でYESの場合、ステップS153において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k,c)の値を3に設定して、ステップS154に進む。ステップS152でNOの場合、ステップS151に進む。
ステップS154において、画素値/強度変換回路54−4は、カウント値cを1だけ増加させ、ステップS155において、画素値/強度変換回路54−4は、カウント値cが3より大きいか否かを判定する。ステップS155においてNOの場合、ステップS144に戻る。
カウント値cが3より大きいと判定された場合(ステップS155でYES)、ステップS156において、画素値/強度変換回路54−4は、強度信号Q(N+3,k)の値を、強度信号Q(N+3,k,3)の値に設定して、ステップS157に進む。ステップS157において、画素値/強度変換回路54A−4は、サブピクセルクロック単位の強度信号Q(N+3,k,c)(c=1,2,3)に基づいて、画素単位の強度信号Q(N+3,k)の遅延時間Td4を決定する。具体的には、画素値/強度変換回路54A−4は、強度信号Q(N+3,k,c)(c=1,2)のうち、強度信号Q(N+3,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+3,k,c)の数を決定する。そして、画素値/強度変換回路54A−4は、強度信号Q(N+3,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+3,k,c)の数に比例した遅延時間Td4を決定する。例えば、強度信号Q(N+3,k,c)(c=1,2,3)が全て同じ値であるとき、強度信号Q(N+3,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+3,k,c)の数は0であるため、画素値/強度変換回路54A−4は、遅延時間Td4は0であると決定する。また、強度信号Q(N+3,k,1)が強度信号Q(N+3,k)と異なりかつ強度信号Q(N+3,k,2)が強度信号Q(N+3,k)と同じであるとき、強度信号Q(N+3,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+3,k,c)の数は1である。このため、画素値/強度変換回路54A−4は遅延時間Td4がサブピクセルクロックの周期(T/3)であると決定する。さらに、強度信号Q(N+3,k,1)及びQ(N+3,k,2)の両方が強度信号Q(N+3,k)と異なるとき、強度信号Q(N+3,k)と異なる値を示す強度信号Q(N+3,k,c)の数は2である。このため、画素値/強度変換回路54A−4は、遅延時間Td4はサブピクセルクロックの周期の2倍である(2T/3)であると決定する。画素値/強度変換回路54A−4は、遅延時間Td4を決定すると、ステップS158に進む。ステップS158において、画素値/強度変換回路54A−4は、強度信号Q(N+3,k)と、遅延時間Td4を示す変調制御信号PM4とを発生して位相変調回路37−4に出力して、図14Dの画素値/強度変換処理を終了する。
以上のように構成された実施形態2に係る描画装置1Aの動作について図21及び22を参照して以下説明する。
図21は、図11の描画装置1Aの露光動作の一例を説明するための、基板2の上面図である。図21において、各画素領域に例示される数字はそれぞれ図5Aのパターン画像データ31dにおける画素単位の画素値P(n,k)を表す。例えば、図21に示す画素G1〜G4の各画素値P(N,1),P(N,2),P(N+1,1),及びP(N+1,2)はそれぞれ、1,1,2,3である。なお、図21に示すパターン画像データの例では、主走査方向X及び副走査方向Yと異なる斜め方向と平行なエッジを有しない。そのため、当該パターン画像における各画素のサブピクセルパターンは、図16、図18、及び図20に示すサブピクセルパターンのうちのいずれかに一致する。
図21において、図12の各サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4はサブピクセルパターン推定処理を実行してサブピクセルパターンを推定する(ステップS81,S101,S121,S141)。例えば、サブピクセルパターン推定部60−1は、画素G1及びG2のサブピクセルパターンはそれぞれ、図16のサブピクセルパターンSP24及びSP34であると推定する。また、サブピクセルパターン推定部60−2は、画素G3及びG4のサブピクセルパターンはそれぞれ、図17のサブピクセルパターンSP63及び図18のサブピクセルパターンSP91であると推定する。このように推定されるサブピクセルパターンにより構成される、図21の2点鎖線で囲まれるレーザー光Bの一部の照射領域は、画素G1においてX方向に平行なエッジE1とY方向に平行なエッジE2とが互いに交わる凸状のコーナーC1を有する。当該コーナーC1は、画素G1の図上左上の角部から主走査方向Xに1/3画素すなわち1サブピクセルの距離だけシフトし、かつ、副走査方向Yに2/3画素すなわち2サブピクセルの距離だけシフトした位置にある。
上述の通り推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、画素単位の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)の値を設定する。具体的には、図14Aの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54A−1は、各時刻k=1及び2において、強度信号Q(N,k)の値を0に設定するとともに遅延時間Td1を0に設定する。このため、各時刻k=1,2において、画素値/強度変換回路54A−1は、各時刻k=1,2においてレーザー光B1を出射しない。また、図14Bの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54A−2は、時刻k=1において強度信号Q(N,1)の値を3に設定するとともに、遅延時間Td2を1画素クロックの周期Tの(1/3)すなわち(T/3)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−2は、時刻k=2において強度信号Q(N,2)の値を3に設定するとともに、遅延時間Td2を0に設定する。このため、強度3のレーザー光B2は、時刻k=1において遅延時間Td2=T/3だけ遅延して(N+1)番目の走査列の領域の照射を開始して、時刻k=2において(N+1)番目の走査列の領域の照射を継続する。このとき、強度3のレーザー光B2は、(N+1)番目の走査列に隣接するN番目及び(N+2)番目の走査列上の領域に跨って露光面2aを露光する。
図22は、図11の描画装置1Aの露光動作のもう1つの例を説明するための、基板2の上面図である。図22において、各画素領域に例示される数字はそれぞれ図5Aのパターン画像データ31dにおける画素値P(N+1,k)を表す。例えば、図22に示す画素G5〜G8の各画素値P(N+1,2),P(N+1,3),P(N+2,2),及びP(N+2,3)はそれぞれ、1,3,3,3である。
図22において、図12の各サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4はサブピクセルパターン推定処理を実行してサブピクセルパターンを推定する(ステップS81,S101,S121,S141)。例えば、サブピクセルパターン推定部60−2は、画素G5及びG6のサブピクセルパターンはそれぞれ、図16のサブピクセルパターンSP33及び図18のサブピクセルパターンSP91であると推定する。また、サブピクセルパターン推定部60−3は、画素G7及びG8のサブピクセルパターンはそれぞれ、図18のサブピクセルパターンSP75及びSP91であると推定する。このように推定されるサブピクセルパターンにより構成される、図22の2点鎖線で囲まれるレーザー光Bの一部の照射領域は、画素G7においてX方向に平行なエッジE3とY方向に平行なエッジE4とが互いに交わる凸状のコーナーC2を有する。当該コーナーC2は、画素G7の図上左上の角部から主走査方向Xに2/3画素すなわち2サブピクセルの距離だけシフトし、かつ、副走査方向Yに1/3画素すなわち1サブピクセルの距離だけシフトした位置にある。
上述の通り推定されたサブピクセルパターンに基づいて、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、画素単位の強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)の値を設定する。具体的には、図14Bの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54A−2は、各時刻k=2において、強度信号Q(N+1,2)の値を2に設定するとともに遅延時間Td2を(2T/3)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−2は、各時刻k=3において、強度信号Q(N+1,3)の値を2に設定するとともに遅延時間Td2を0に設定する。このため、強度2のレーザー光B2は、時刻k=2において遅延時間Td2=2T/3だけ遅延して(N+2)番目の走査列の領域の照射を開始して、時刻k=3において(N+2)番目の走査列の領域の照射を継続する。また、図14Cの画素値/強度変換処理において、画素値/強度変換回路54A−3は、時刻k=2において強度信号Q(N+2,2)の値を3に設定するとともに、遅延時間Td3を(2T/3)に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−3は、時刻k=3において強度信号Q(N+2,3)の値を2に設定するとともに、遅延時間Td3を0に設定する。このため、時刻k=2において、レーザー光B3は、時刻k=1に引き続き強度1で(N+2)番目の走査列の領域の照射を継続して、さらに時刻k=2から遅延時間Td3=2T/3だけ遅延してレーザー光B3の強度を強度2から強度3に変更する。
以上のように構成された実施形態2に係る描画装置1Aによれば、画素値/強度変換回路54Aは、処理対象の画素P0とその周辺の画素P1〜P8の各画素値からサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理部を備える。また、画素値/強度変換回路54Aは、推定されるサブピクセルパターンに基づいて、サブピクセルクロック単位の各画素値から、強度信号Q(n,k)の出力タイミングの遅延時間Td1〜Td4を決定して、当該遅延時間Td1〜Td4を示す変調制御信号PM1〜PM4を発生する。さらに、描画装置1Aは、強度信号発生回路54Aとドライブ部35との間に設けられた位相変調回路37をさらに備える。当該位相変調回路37は、変調制御信号PM1〜PM4により示される遅延時間Td1〜Td4だけ、強度信号Q(n,k)のドライブ部35への出力タイミングを遅延させるようにシフトさせる。従って、光源回路11は、所望のサブピクセル位置で解像し得るレーザー光B1〜B4を出射できる。よって、描画装置1Aは、ビームピッチDより高い精度で、従来技術に比較してより正確に、かつより効率よく露光描画を行うことができる。
本実施形態において、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、遅延時間Td1〜Td4を0又は正の値に設定する。しかし本発明はこれに限らず、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4のうちのいくつかはそれぞれ、遅延時間Td1〜Td4を負の値に設定してもよい。遅延時間Td1〜Td4が負の場合、位相変調回路37−1〜37−4はそれぞれ、強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)のドライブ部35−1〜35−4への出力のタイミングを遅延時間Td1〜Td4だけ早めるようにシフトさせる。
本実施形態において、サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4は、パターン画像の描画時においてサブピクセルパターン推定処理をオンザフライで実行する。しかし本発明はこれに限らず、サブピクセルパターン60−1〜60−4は、パターン画像の描画前にサブピクセルパターン推定処理を実行して、推定したサブピクセルパターンを例えばパターン画像メモリ31に格納しても良い。画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4は、パターン画像の描画時において例えばパターン画像メモリ31に格納されたサブピクセルパターンを参照して、強度信号発生回路Q(N,k)〜Q(N+3,k)及び遅延時間Td1〜Td4を設定する。
本実施形態において、光源回路11は、位相変調回路37を備える。しかし本発明はこれに限らず、光源回路11は、位相変調回路37に代えて、信号Q(n,k)のD/A変換器34への出力のタイミングを遅延させるようにパルス幅を変調するPWM(Pulse Width Modulation)回路を備えてもよい。なお、一般的に、PWM回路は、例えば複写機において、画素クロックの位相を変調するために用いられている。
変形例.
図23(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の実施形態2の変形例に係る、面積1〜3のサブピクセルパターンの一例を示す図である。図23(a)〜(c)において、サブピクセルパターンはそれぞれ、画素値P(n,k)が1〜3の各場合においてサブピクセルパターン推定部60により推定される。ここで、サブピクセルパターン推定部60は、図23に示す各サブピクセルパターンの鏡像又は回転像を作成してサブピクセルパターンとして用いてもよい。露光の対象はプリント基板等の配線パターンであることから、配線パターンであるパターン画像の一部であるサブピクセルパターンは、連結画像となり、図23に示すサブピクセルパターンのうちのいずれかである。
図24は、図23のサブピクセルパターンで構成されるパターン画像の一例を示す図である。例示されるパターン画像は、サブピクセル以下の精度で面取りされたコーナーを有する。図24において、各画素領域に例示される数字はそれぞれパターン画像データ31dにおける画素値P(n,k)を表す。図24において、本変形例に係るサブピクセルパターン推定部60−1〜60−4は、図13Aの処理対象の画素P0及びその周辺の画素P1〜P8の画素値に基づいて、ハッチングされた一部の照射領域を含むサブピクセルパターンを推定する。すなわち、サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4は、原パターン画像のサブピクセルパターンに対する精度誤差が他のサブピクセルパターンより小さくなるように、描画すべきサブピクセルパターンの候補を推定する。また、複数のサブピクセルパターンの候補が存在する場合、サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4は、上記精度誤差がより少なくより中庸なサブピクセルパターンの候補を選択し、これによって、精度誤差の少ないパターン画像の描画を行う。
図24において、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、推定されたサブピクセルパターンに基づいて、強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)の値を設定するとともに、照射開始位置を指定するための遅延時間Td1〜Td4を決定する。画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、強度信号Q(N,k)〜Q(N+3,k)と遅延時間Td1〜Td4を含む変調制御信号PM1〜PM4を発生して位相変調回路37−1〜37−4に出力する。例えば、(N+1)番目の走査列では、時刻k=3における対象の画素G9の画素値P(N+1,3)は2である。また、対象の画素G9の上の画素値は0であり、左の画素値は0であり、さらに左下の画素値は2である。例えばラインアンドスペースのルールが25μm/25μmである場合には、パターン画像のサブピクセルパターンは5μm以下の局所的な凹凸を有しない。このため、サブピクセルパターン推定部60−1〜60−4は、一部斜め線の境界を含むサブピクセルパターンが原パターン画像に対する精度誤差が最も少ないとして、図24に示すサブピクセルパターンを推定する。
図25は、図24のサブピクセルパターンに従った図11の描画装置1Aの露光動作を説明するための、基板2の上面図である。図25において、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、推定された図24のサブピクセルパターンに基づいて、レーザー光B1〜B4の照射開始位置をサブピクセル位置で決定する。言い換えると、画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、図24のサブピクセルパターンに基づいて、レーザー光B1〜B4の照射の遅延時間(以下、遅延時間は各時刻の画素クロックのタイミングからの遅延時間をいう。)Td1〜Td4をサブピクセルクロックの時間精度で決定する。位相変調回路37−1〜37−4は、推定・選択されたサブピクセルパターンに応じて設定される遅延時間Td1〜Td4に基づいて、照射位置の制御を行う。このような射開始位置の制御は例えば複写機等で一般的に使われている。画素値/強度変換回路54A−1〜54A−4はそれぞれ、推定及び選択されたサブピクセルパターンに応じて、位相変調回路37−1〜37−4を制御する。
画素値/強度変換回路54A−1は、画素クロックの各時刻k=1,2,3において、強度信号Q(N,k)の値を0に設定するとともに当該強度信号Q(N,k)の出力タイミングの遅延時間Td1を0に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−2は、時刻k=2において、強度信号Q(N+1,2)の値を1に設定するとともに当該強度信号Q(N+1,2)の出力タイミングの遅延時間Td2を(T/3)に設定する。その結果、(N+1)番目の走査列の時刻k=2の画素領域において、レーザー光B2は第1のサブピクセル行に照射されず、強度1のレーザー光B2が時刻k=2の画素クロックのタイミングから遅延時間Td2=T/3だけ遅延して第2のサブピクセル行に照射される。さらに、画素値/強度変換回路54A−3は、時刻k=1において、強度信号Q(N+2,1)の値及び当該強度信号Q(N+2,1)の出力タイミングの遅延時間Td3を以下の通り設定する。すなわち、画素値/強度変換回路54A−3は強度信号Q(N+2,1)の値を1に設定するとともに当該値1の強度信号Q(N+2,1)の出力タイミングの遅延時間Td3をT/3に設定する。また、画素値/強度変換回路54A−3は強度信号Q(N+2,1)の値を2に設定するとともに当該値2の強度信号Q(N+2,1)の出力タイミングの遅延時間Td3を(2/3)Tに設定する。その結果、(N+2)番目の走査列の時刻k=1の画素領域において、第1のサブピクセル行には、時刻k=1の画素クロックのタイミングから遅延時間Td3=(2/3)Tだけ遅延して強度2のレーザー光B3が照射される。また、当該画素領域の第2のサブピクセル行には当該画素クロックのタイミングから遅延時間Td3=T/3だけ遅延して強度1のレーザー光B3が照射される。またさらに、画素値/強度変換回路54A−3は、時刻k=2において、強度信号Q(N+2,2)の値を3に設定するとともに当該遅延時間Td3を0に設定する。その結果、強度2のレーザー光B3が、時刻k=2の画素クロックのタイミングで、(N+2)番目の走査列の時刻k=2の画素領域の第3のサブピクセル行に照射される。またさらに、画素値/強度変換回路54A−4は、時刻k=1において、強度信号Q(N+3,1)の値を3に設定するとともに当該強度信号Q(N+3,1)の出力タイミングの遅延時間Td4を(T/3)に設定する。その結果、強度3のレーザー光B2が、時刻k=1の画素クロックのタイミングから遅延時間Td4=T/3だけ遅延して、(N+3)番目の走査列の時刻k=1の画素領域と(N+2)番目の走査列の時刻k=1の画素領域における第3のサブピクセル行とに照射される。
以上のように構成された実施形態2の本変形例に係る描画装置1Aの構成によって、斜め線の境界を含むサブピクセルパターンを含むパターン画像を高い解像度で描画することが可能となる。よって、本変形例に係る描画装置1Aは、図24及び図25を参照して説明した実施形態2の描画装置1Aによるパターン画像の描画動作に比較して、より正確にかつより効率よく露光描画を行うことができる。
上記実施形態1及び2において、画素は、当該画素を3行及び3列に分割してなる9個のサブピクセルから構成される。しかし本発明はこれに限らず、画素は、当該画素を所定数の行及び所定数の列に分割してなる複数のサブピクセルから構成されてもよい。
実施形態のまとめ
第1の態様に係る描画装置は、レーザー光を主走査方向で走査して対象物上にパターン画像を描画する描画装置であって、
上記パターン画像のパターン画像データに基づいて、当該パターン画像データにおける上記主走査方向の画素値列の画素毎に、上記レーザー光の強度を示す強度信号を発生する強度信号発生回路と、
上記強度信号に基づいて画素照射駆動信号を発生するドライブ部と、
上記ドライブ部からの画素照射駆動信号に基づいてレーザー光を出射するレーザー素子とを備え、
上記強度信号発生回路は、
処理対象の画素の画素値が最大値である場合、上記主走査方向とは直交する副走査方向で上記処理対象の画素に隣接する画素の画素値が最小値よりも大きくかつ上記最大値よりも小さいとき、上記レーザー光によって上記対象物上に形成されるビームスポットが所定のビームピッチよりも大きいスポット径を有するように、当該処理対象の画素の画素値を、上記処理対象の画素の強度信号の値に変換する画素値/強度変換回路を備えることを特徴とする。
第2の態様に係る描画装置は、第1の態様に係る描画装置において、上記画素値/強度変換回路は、上記処理対象の画素の画素値が上記最小値よりも大きくかつ上記最大値よりも小さい場合、上記副走査方向で上記処理対象の画素に隣接する画素の画素値が上記最大値であるときの、レーザー光によって上記対象物上に形成される上記ビームスポットのスポット径を、上記隣接する画素の画素値が上記最小値よりも大きくかつ上記最大値よりも小さいときのスポット径よりも小さくするように、当該処理対象の画素の画素値を、上記処理対象の画素の強度信号の値に変換することを特徴とする。
第3の態様に係る描画装置は、第1又は2の態様に係る描画装置において、上記画素値/強度変換回路は、上記処理対象の画素とその周辺の画素の各画素値に基づいて、当該周辺の画素の各画素値から、当該処理対象の画素を所定数の行及び所定数の列に分割してなるサブピクセル単位の各画素値からなるサブピクセルパターンを推定するサブピクセルパターン推定処理部を備え、
上記画素値/強度変換回路は、上記推定されるサブピクセルパターンに基づいて、当該処理対象の画素内であって上記サブピクセルの各列に対応するサブピクセルクロック単位における複数のサブピクセルの各画素値から、上記強度信号の出力タイミングの遅延時間を決定して、上記遅延時間を示す変調制御信号を発生し、
上記描画装置は、上記強度信号発生回路と上記ドライブ部との間に設けられ、上記変調制御信号により示される遅延時間だけ、上記強度信号の上記ドライブ部への出力タイミングをシフトさせる位相変調手段をさらに備えることを特徴とする。
第4の態様に係る描画装置は、第1〜第3の態様のうちのいずれか1つに記載の描画装置において、上記ビームピッチは、1つの画素の副走査方向の大きさであることを特徴とする。
第5の態様に係る描画装置は、第1〜第4の態様のうちのいずれか1つに記載の描画装置において、上記対象物は基板であることを特徴とする。