JP6327888B2 - 石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置および水素ガス製造方法 - Google Patents

石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置および水素ガス製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鉱石の還元等に用いる還元材としての水素ガスを、石炭乾留ガスから製造する装置と方法に関するものであり、鉄鋼業において発生する二酸化炭素(CO2)の削減に資するものである。
大気中の二酸化炭素(CO2)増大による地球温暖化に関して、鉄鋼業においても鉄鋼製品製造時に発生するCO2量の削減が求められている。
鉄鋼業において発生するCO2の大半は、酸化鉄である原料鉄鉱石を還元材で還元する際に発生している。例えば、従来の高炉法においては、還元材としてコークス等に由来するCOガスと固体カーボンを用い、鉄鉱石還元の結果、主にCO2とCOが発生する。発生したCOには実質的に燃料、または鉄鉱石の還元材としての用途しかないため、通常、COもさらに酸化させて最終的にはCO2として大気中に排出する。また、特許文献1(特開平11−140521号公報)には、鉄鉱石の直接還元法において、天然ガス等の炭化水素を水蒸気改質、シフト反応、または部分酸化等の操作を加えて製造した、水素とCOを主体とする合成ガスを還元材として用いる技術が開示されている。鉄鉱石の直接還元法においては、鉄鉱石の還元の結果、主にCO2とH2Oのガスが発生する。
この様に、従来の鉄鉱石還元方法においては、カーボン元素を多量に含む還元材の使用が行われてきた。そこで、省CO2を図るためには、カーボン元素を含まない還元材の比率を高めることが効果的であり、カーボン元素を含まない還元材として、水素ガスの適用、またはその構成率増大が検討されている。例えば、特許文献1には、合成ガス(還元ガス)をスクラビングして還元ガス中のCO2を除去することにより、還元ガス中の水素濃度を高める技術が開示されている。
様々な目的で、水素ガスを安価かつ大量に得るために炭化水素を含むガス原料を化学的に処理して水素を製造する技術が多数開示されている。特に、鉄鋼業においては、コークス炉ガス等の石炭乾留ガスが容易に得られる場合が多いので、石炭乾留ガスを原料として水素製造を行う技術が検討されている。
例えば、特許文献2(特開2010−77219号公報)には、水素・二酸化炭素・水蒸気・タール含有ガスを、ニッケル・セリウム・アルミニウムを含む触媒に接触させてタールガスの水蒸気改質およびシフト反応等を行って、水素、CO、並びにCO2を生成する技術が開示されている。
特許文献3(特開2001−220584号公報)には、底部に水を貯留する反応器内にコークス炉ガスを導入し、同時に、反応器内に酸素または燃焼ガス、および付加的に水蒸気を供給して、コークス炉ガス中のタールに対して水蒸気改質反応または熱分解反応を施して、水素ガスおよびCOガスを製造する技術が開示されている。熱分解反応を生じる場合のこの技術において、チャーが反応器内の自由空間内で微粉として生成し、前記生成したチャーは、反応器内の水中へ落下するか、あるいは、改質ガスに搬送されて下流のフィルタ等で分離除去される。
特許文献4(特開2011−11959号公報)には、本質的に管路である反応器に水蒸気を含むコークス炉ガスを通気させ、同時に、反応器内に酸素含有ガスを供給して部分酸化反応によってこれらのガスを高温化し、コークス炉ガス中のタールを水蒸気改質反応によって改質して水素ガスとCOガスを製造する技術が開示されている。
特許文献5(特開平11−199876号公報)には、エチレン製造プロセスにおいて、ナフサ等の石炭乾留ガスを水蒸気とともに1080〜1180Kに保持された熱分解管に通気して改質する際に、固体カーボン(遊離炭素)によってコーキングを生じて熱分解管の内面が狭窄する問題について記載されており、コーキングを低減するために管内ガス温度を低下させる技術が開示されている。
これらの技術で、コークス炉ガス中タールから水素を製造する際の水素生成反応は、主に以下の4種に分類できる。
第1の水素生成反応は、水蒸気改質およびシフト反応であり、水蒸気を用いて、炭化水素(タール)から水素、CO、並びにCO2を生成させるものであり、以下の化学式で表現できる。
CmHn + a1 H2O → a2 CO + a3 CO2 + a4 H2 (1)
m = γ・n (2)
a1 =γ・n(2+β)/(1+β) (3)
a2 =γ・n・β/(1+β) (4)
a3 =γ・n /(1+β) (5)
a4 =n [0.5 + γ(2+β)/(1+β)] (6)
β = [CO生成量(mol)]/[CO2生成量(mol)] (7)
γ = [タール中のC元素量(mol)]/ [タール中のH元素量(mol)] (8)
ここで、CmHnは、炭化水素(タール)を一般的な表現で記述したものである。βは、石炭乾留ガスと改質ガスに対するガスクロマトグラフィー法等を用いたガス組成分析から、γは、石炭乾留ガスからサンプリングしたタール試料に対する一般的なCHN分析等から求めることができる。また、純粋な水蒸気改質反応では、a2 = 1、かつ、a3 = 0であり、純粋な水蒸気改質反応では、a2 = 0、かつ、a3 = 1である。
第2の水素生成反応は、CO2ドライリフォーミング反応であり、以下の化学式で表現できる。
CmHn + m CO2 → 2m CO + n/2 H2 (9)
第3の水素生成反応は、部分酸化反応であり、以下の化学式で表現できる。
CmHn + m O2 → m CO + n/2 H2 (10)
第4の水素生成反応は、熱分解反応(触媒を用いる場合には接触分解とも呼ばれる)であり、以下の化学式で表現できる。
CmHn → CmHn1 + a5 H2 (11)
ここで、CmHn1は、気体、液体、または固体の炭化水素であり、少なくとも固体の炭化水素を含む場合が多い。特に、CmHn1が既存の炭化水素と結合してより大きな炭化水素分子を生成する場合には、固体である場合が多い。このような固体の炭化水素は、燃料を不完全燃焼させた場合に生じる煤と同類のものであり、単に固体カーボンと呼ばれることがある。
通常、水素生成処理においては、これら4種の化学反応は混在して生じうるが、いずれの反応を卓越させるべきかについてのプロセス設計者の指向に基づいて、実際の反応条件の設定がなされている。
炭化水素ガスの水素生成によって水素製造を行う際に、原料ガス中に元々含まれる水蒸気だけでは水蒸気改質・シフト反応以外の反応、特に、熱分解反応が副次的に生じる場合には、特許文献6(特開2007−275756号公報)に示されるように、外部から水蒸気を補給することによって、水蒸気改質・シフト反応の比率を増大させるというプロセス設計が広く採用されている。つまり、従来技術においては、熱分解反応を極力抑制するプロセス設計が指向されてきた。これは、熱分解反応によって生成した固体カーボンが反応装置で石炭乾留ガスの流路内に付着・堆積して(この現象は、コーキングと呼ばれる)ガス流通の障害となり、運転の継続性を大きく阻害することが避けられなかったからである。例えば、触媒を充填した固定床触媒反応器に炭化水素含有ガスを通気して水素製造を行う場合に熱分解反応が卓越すると、熱分解反応によって生成した固体カーボンがしばしば触媒間に充満して触媒層を閉塞(通気可能であっても、触媒層を通気する際の圧力損失が設備や操業の許容値を超える状態)させる問題が発生する。
特に、炭化水素ガスとして石炭乾留ガスを用いて水素製造を行う場合には、上記4種の水素生成反応のうち、一般に水蒸気改質・シフト反応が卓越し、熱分解反応が自然に抑制される傾向を示す。この理由としては、石炭中に元来含まれる水分比率が比較的高いことが挙げられる。例えば、製鉄時に用いられる瀝青炭には採掘時に少なくとも6質量%、通常、10質量%程度の水分(全水分)が含有される。また、亜瀝青炭や褐炭の水分含有量は、20%以上となる。この結果、特別な処理を施すことなく、採掘された石炭を乾留して石炭乾留ガスを発生させる場合には、石炭乾留ガス中に30質量%程度以上の水分が含まれる。このため、この未処理の石炭乾留ガスを原料に水素製造を行う場合には、水蒸気が潤沢な環境下での反応となり、水蒸気改質・シフト反応の反応速度が上昇し易く、これらの反応が卓越する。
次に、本願で用いる要素技術についての従来技術を説明する。
石炭を乾燥させる技術として、例えば、非特許文献1に微粉炭塊成化(DAPS)およびSCOPE21(SCOPE炉)が開示されている。
炭化炉として、例えば、特許文献7(特開2011−190350号公報)に、固体有機物を原料として固体カーボンを製造する装置が開示されている。
特開平11−140521号公報 特開2010−77219号公報 特開2001−220584号公報 特開2011−11959号公報 特開平11−199876号公報 特開2007−275756号公報 特開2011−190350号公報
加藤健次: 日本エネルギー学会誌, vol.87(2008), pp. 344-352.
限られた原料から水素ガスを効率的に製造するための手段として、上記に述べた従来技術は、合理的である。しかし、本願の対象である、CO2を削減するための還元材としての水素の製造の観点、即ち、水素製造工程およびこれを用いた金属還元工程を一貫した省CO2の観点からは、水蒸気改質・シフト反応を前提とした従来の水素ガス製造技術には以下の大きな問題が存在する。即ち、水蒸気改質・シフト反応時には、式(1)からわかるように、水素1 molを製造するに当たって、a2/a4 molのCOおよびa3/a4 molのCO2が副生する。例えば、典型的な石炭乾留ガスとして、C11H10を想定し、COとCO2が同一モル副生したと仮定した場合には、1 molの石炭乾留ガスに対して21.5 molの水素が生成するとともに、5.5 molのCOおよび5.5 molのCO2が副生する。還元時に発生するCO2を1 mol削減するためには、化学量論的に2 molの水素ガスを必要とする、即ち、省CO2の観点から、水素ガス製造時に発生するCO2 1molは、製造された水素2 molの効果を相殺する。従って、水蒸気改質・シフト反応では、上記製造された水素21.5 molのうち少なくともCO2分の11 molの効果が相殺されてしまう。また、水蒸気改質・シフト反応ではCOも副生するので、省CO2効果はさらに減じる傾向となる。さらに、水蒸気改質反応・シフト反応は、比較的大きな吸熱反応であり、この必要反応熱を外部から燃焼等によって供給するとすれば、燃焼の際に発生するCO2も、省CO2効果に無視できない悪影響を与える。
同様に、水素製造において、CO2ドライフォーミングや部分酸化を主反応として用いる場合にも、式(9)および(10)に示すようにCO2やCOが水素と同程度のモル数で発生するので、省CO2の観点から有利とはいえない。
一方、熱分解反応を主反応として水素製造を行えば、式(11)に示すように、CO2やCOが発生しないので原理的には省CO2の観点から有利である。しかし、熱分解反応を主反応とする場合、石炭乾留ガス質量流量に匹敵する発生速度で固体カーボンが生成してコーキングを生じる。従来技術ではコーキングによる流路閉塞をオンラインで回避する手段がないため、熱分解反応に伴うコーキングで生成した固体炭素を、オフラインで酸素や空気を用いて焼き飛ばす(これをデコーキングとよぶ)必要があった。デコーキングを行うとオンラインでは固体カーボンに固定されていたカーボンの大半がCO2に変換されてしまうので、従来技術で熱分解反応が生じたとしても省CO2の効果は得られない。
また、元来、大量の水分を含有する未処理の石炭を用いて石炭乾留ガスを発生させ、これを用いて水素製造を行う場合、通常、水蒸気改質・シフト反応が卓越するので、熱分解反応を主反応とすること自身が困難である。
この他、石炭乾留ガスを用いて水素製造をする際、熱分解反応が卓越し難い理由として、石炭乾留ガス中に含まれる炭化水素は、メタンを除くと芳香族有機物を主成分とするタールガスが主体であることがあげられる。ナフサ等の脂肪族有機物を熱分解する際には、800℃といった比較的低温であっても高い反応速度が得られるので、これを利用してエチレン製造プロセスは低温で実施される。これに対して、芳香族有機物は、脂肪族有機物に比べて一般に熱的に安定であり、800℃程度の低温での熱分解反応速度は極めて小さい場合が多く、工業的に熱分解反応を生じさせるためには、少なくとも1000℃以上の高温が必要である。高温でのプロセスを実現するためには石炭乾留ガスを燃焼等によって加熱する必要があり、燃焼に伴って発生するCO2の悪影響によって省CO2効果を得難くなる。
このように、従来技術では、石炭乾留ガスを原料として水素ガスを製造する際に、省CO2を図ることが困難であった。本発明の目的は、石炭乾留ガスを原料とし、CO2の生成を抑制して、還元材として有用な水素ガスを製造する装置と方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者の研究の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
(1)石炭乾留ガスの水分低減手段を備えた、石炭乾留ガスを生成する石炭乾留炉と、
前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして排出する炭化炉と、
前記改質ガスを回収する改質ガス回収手段と、
をこの順に配置した水素ガス製造装置であって、
・前記炭化炉の反応領域に設けられ、前記石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持する固体カーボン保持機構と、
・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記炭化炉内の少なくとも反応領域から除去して、前記炭化炉の非反応部に固体カーボンとして回収する固体カーボン分離機構と、
を備えることを特徴とする石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(2)前記固体カーボン保持機構が、積層された複数の粒状体で形成される粒状体層とこの粒状体層を保持する保持器によって構成されていることを特徴とする、上記(1)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(3)前記固体カーボン保持機構及び前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の上部に設けられる粒状体供給口、前記炭化炉の下部に設けられる粒状体排出口、通気性を有するとともに炭化炉内で粒状体を側方から保持する前記粒状体層の保持器、並びに、粒状体排出口の下方に設けられる粒状体排出手段から構成されることを特徴とする、上記(2)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(4)前記固体カーボン分離機構が、前記粒状体層の下方に配置した前記保持器を通して供給される前記石炭乾留ガスで前記粒状体層を流動化させた流動層で構成されることを特徴とする、上記(2)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(5)前記固体カーボン分離機構が、前記流動層の下流側に粒状体回収器および粒状体還流路を備えることを特徴とする、上記(4)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(6)前記固体カーボン分離機構が、
前記保持器を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去するための保持器昇降装置と、
前記炭化炉内の下部または前記炭化炉の下方に配置され、かつ、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間であって、前記反応領域から除去された固体カーボンを貯留するための非反応部と、
を備えることを特徴とする、上記(2)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(7)石炭乾留ガスを生成する石炭乾留炉と、
前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして排出する炭化炉と、
前記改質ガスを回収する改質ガス回収手段と、
をこの順に配置した水素ガス製造装置であって、
・前記炭化炉の反応領域に設けられ、前記石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持する固体カーボン保持機構と、
・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記炭化炉内の少なくとも反応領域から除去して、前記炭化炉の非反応部に固体カーボンとして回収する固体カーボン分離機構と、
を備え、
・前記固体カーボン保持機構が、積層された複数の粒状体で形成される粒状体層とこの粒状体層を保持する保持器によって構成され、
・前記固体カーボン分離機構が、前記保持器を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去するための保持器昇降装置と、
前記炭化炉内の下部または前記炭化炉の下方に配置され、かつ、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間であって、前記反応領域から除去された固体カーボンを貯留するための非反応部と
を備えることを特徴とする、石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(8)前記粒状体が前記石炭乾留ガスの熱分解触媒であることを特徴とする、上記()〜(7)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(9)前記熱分解触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、上記(8)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(10)前記石炭乾留炉がコークス炉であることを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(11)前記石炭乾留ガス中の炭化される炭化水素がタールガスであることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
(12)水分濃度を調整した石炭から石炭乾留ガスを生成させ、前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして回収する、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法であって、
・前記反応を、前記石炭乾留ガスと接触するように、前記炭化によって生じた固体カーボンを保持する反応領域で行い、
・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記反応領域から除去して、固体カーボンとして回収する、
ことを特徴とする石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(13)前記反応を、前記反応領域に配置した、前記固体カーボンを保持するための粒状体で形成される粒状体層において行うことを特徴とする、上記(12)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(14)前記固体カーボンの保持と回収を、前記炭化させる反応部にその上部から前記粒状体を供給して粒状体層を形成し、当該粒状体層に、側方から前記石炭乾留ガスを通気させ、前記粒状体層中に生成した前記固体カ−ボンを、前記炭化させる反応部の下部から前記粒状体とともに前記炭化させる反応部の外に排出した後、前記固体カーボンを前記粒状体から分離することによって行うことを特徴とする、上記(13)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
ここで、「炭化させる反応部」とは、前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させる部分のことを意味し、例えば、炭化炉の内部、特に炭化炉内の粒状体層に対応する。
(15)前記粒状体層を前記石炭乾留ガスで流動化させて流動層とする工程を含むことを特徴とする、上記(13)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(16)前記流動層からの前記改質ガスと、それに同伴した前記粒状体および前記固体カーボンとを固気分離して、前記改質ガスから分離した前記粒状体を前記流動層に還流させるとともに、固気分離処理後の前記改質ガスからそれに同伴された前記固体カーボンの一部または全部を回収することを特徴とする、上記(15)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(17)前記固体カーボンの回収を、前記粒状体層を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去して、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間である非反応部に移すことにより行うことを特徴とする、上記(13)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(18)石炭から石炭乾留ガスを生成させ、前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして回収する、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法であって、
・前記反応を、前記石炭乾留ガスと接触するように、前記炭化によって生じた固体カーボンを保持する反応領域で行い、
・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記反応領域から除去して、固体カーボンとして回収し、
・前記反応を、前記反応領域に配置した、前記固体カーボンを保持するための粒状体で形成される粒状体層において行い、
・前記固体カーボンの回収を、前記粒状体層を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去して、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間である非反応部に移すことにより行う、
ことを特徴とする、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(19)前記粒状体として、前記石炭乾留ガスの熱分解触媒を使用することを特徴とする、上記(13)〜(18)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(20)前記熱分解触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、上記(19)に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(21)前記石炭乾留ガスをコークス炉から供給することを特徴とする、上記(12)〜(20)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(22)前記反応領域において、前記石炭乾留ガス中のタールガスを炭化させることを特徴とする、上記(12)〜(21)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
(23)前記石炭として、水分濃度を0質量%超4質量%未満に調整した瀝青炭を使用することを特徴とする、上記(12)〜(22)のいずれか1つに記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
次に、本発明の特徴について述べる。
本発明の特徴は、石炭乾留ガスを原料とし、例えば、900℃未満といった比較的低い反応温度で熱分解反応(または、接触分解反応)を主反応として水素製造を行うことである。この結果、水素生成反応に伴うCOおよびCO2の発生が少なく、省CO2の観点から有利である。また、所要反応温度が低いことによって、加熱に要するエネルギも小さいので、この点からも省CO2のために有利である。
この、「石炭乾留ガスを原料として比較的低い反応温度で熱分解反応を主反応とする水素製造技術」を確立するために、以下の要素技術を組み合わせて用いることが、本発明の具体的特徴である。
第1の要素技術は、石炭乾留ガス中の水分を低減する手段を用いることにより、水蒸気改質およびシフト反応を抑制することによって、原料であるタールをより多くの割合で熱分解反応に提供することである。従来技術では、管路系の通気性を良好に保つ観点から熱分解反応にともなうコーキングを極力避けるべきものと考えられていたため、タールガスの熱分解反応を促進することを目的に、石炭乾留ガス中の水分を低減するという発想は、存在しなかった。石炭乾留ガス中の水分を低減する手段の一つは、熱分解前の石炭中の水分を低減することである。通常、石炭を貯留するヤードにおいては、石炭の飛散や発火を防ぐため、石炭に散水しており、また、屋外ヤードでは雨水の影響も受けることから、乾留前の石炭は10質量%前後〜数10質量%程度まで水分を含んでいる(内数)ことが多い。そのため、本発明においては、熱分解反応を促進させるため、乾留前(熱分解前)の石炭を乾燥させる事前処理機能を有する石炭乾留炉を用いることが好ましい。但し、散水せずにすむ発火性や飛散性の低い石炭を貯留する場合や、屋内貯留して散水以外の発火防止対策する場合、又は、石炭乾留炉を炭鉱に隣接させて設置し、炭鉱での水分添加処理前の水分含有量の少ない石炭を原料に用いる場合などで、石炭中の水分が既に低い場合(例えば水分量4%未満)は、この限りでは無い。このように、水分低減手段は、必要に応じて用いればよい。
第2の要素技術は、空気や水蒸気といった酸化性ガスの流入を抑制した炭化炉を設けて、ここを石炭乾留ガスが所定時間以上滞在させることによって、タールガスの熱分解反応を促進するとともに、熱分解反応で副生した固体カーボンを改質ガスから分離・回収することである。従来の石炭乾留ガス改質技術では避けるべきと考えられていたコーキングを、むしろ促進するための炭化炉を設けて水素製造を行うという発想は、従来、存在しなかった。
第3の要素技術は、上記の炭化炉内でのタールガスの熱分解反応を促進する方法として、炭化炉の流路内に石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持することである。この効果は、以下の原理に基づくものである。石炭乾留ガスを単に800℃程度の温度に保持しただけでは、前述のように、高い反応速度は得られない問題が存在した。この反応速度を律する大きな要因のひとつが、ガス中から固体カーボンが析出する際に必要な界面エネルギである。気相から固体が生成する際には、核生成を生じる必要があり、気相のみから核生成を生じるためには均一核生成とならざるをえず、均一核生成に要する高い界面エネルギを満足する活性化エネルギが必要となる。このため、熱エネルギの低い800℃程度の低温ガスからでは容易には固体カーボンを生成しえない。そこで、本発明では、炭化炉内に固体カーボンを保持することによって、タールガスの熱分解反応で生じる固体カーボンを、この既存の固体カーボン上に不均一核生成させる。不均一核生成に必要な表面エネルギは、均一核生成の場合に比べて遥かに低いので、熱分解反応に必要な活性化エネルギが低下して、熱分解反応およびこれに伴う固体カーボンの生成を本発明ではより容易に生起できる。
固体カーボンの不均一核生成を促進するためには、既存固体カーボンの生成サイト、即ち、表面積を大きく設定することが有効であるので、炭化炉内に保持される固体カーボンは微粉状であることが好ましい。一方、微粉の場合、炭化炉を通気する石炭乾留ガス等のガス流で下流に吹き流されて炭化炉内から除去される問題があった。そこで、本発明では、炭化炉内に粒状体を積層して、粒状体間の空間で微粉を保持することによって、微粉を炭化炉内に安定して保持することができる。これは、粒状体の積層内ではガス流速がマクロに均一化されるので、微粉を吹き飛ばし易い局所での高速ガス流を生じにくいこと、並びに、粒状体間空間の隅部は一般にミクロなガス流速が低いので、ここに微粉を保持し易いこと等の理由によるものである。
第4の要素技術は、炭化炉内に熱分解触媒を配置することである。タールの熱分解反応における見掛けの活性化エネルギを低下させるための接触分解触媒を用いることによって、熱分解(接触分解)反応をさらに促進することができる。特に、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなる触媒を低水分濃度の石炭乾留ガスに接触させると、800℃程度の低温でもタールガスの熱分解(接触分解)反応が著しく促進することを、本発明者らは見出した。
また、このような触媒を粒状化して積層し、上記の固体カーボン保持のための保持機構として用いることによって、本発明では熱分解反応速度をより向上させることができる。
第5の要素技術は、熱分解反応によって炭化炉内に生成した固体カーボンを炭化炉内の反応領域から除去して固体カーボンとして回収することである。水素製造を行う際にタールガスの熱分解反応が生じる場合、一般に、副生した固体カーボンは、炭化炉等の反応器内に蓄積していく。特に、本発明でのように、粒状体間に副生固体カーボンを保持する場合には生成した固体カーボンの大半が粒状体間に残留する。ここで、反応器の容積に比べて固体カーボンの生成速度が十分に小さければ、生成した固体カーボンを粒状体間からオフラインで定期的に除去する等の手段で対応しうる。しかし、本発明でのようにタールガスの大半を熱分解して石炭乾留ガスから水素製造を行う場合には、反応器に流入するタールガス質量と同オーダの質量の固体カーボンが生成することになる。経済性の観点から、工業的な反応器(ここでは炭化炉)の容積は、1時間当たりの処理ガス流量(ここでは石炭乾留ガス流量)の1/1000から1/数十万といった小ささが一般に求められる。従って、流入石炭乾留ガス中で一般に数十質量%を占めるタールの大半が固体カーボンとして反応器内に蓄積する場合、通常、数時間以内の短時間で反応器が生成固体カーボンで満たされて反応器の閉塞する問題を生じる。また、数時間ごとに操業を中断してオフラインで固体カーボンを反応器から除去するような作業は、生産性の観点から現実的ではない。前述のように、従来技術では、オンラインで、かつ、短時間に反応器から固体カーボンを除去する技術が存在せず、このような反応器閉塞の問題を解決できなかったため、石炭乾留ガスを熱分解反応主体で処理して水素製造することは、工業的には困難であった。
本発明では、まず、オンラインで、かつ、短時間に、炭化炉内の反応領域から固体カーボンを分離・除去することにより、生成固体カーボンによる炭化炉の閉塞を回避できる。次に、本発明では、このように分離・除去した固体カーボンを固体カーボンの状態で回収するので、エチレン製造プラント等におけるデコーキングでのような固体カーボンのCO化やCO2化が発生しない。この結果、タールガスの熱分解反応を主体とする省CO2な水素製造を実現できる。
炭化炉から固体カーボンをオンラインで分離する具体的手段のひとつとして、本発明では、前記粒状体層の保持器を炭化炉内で昇降させて、粒状体間に滞留した固体カーボンを落下させて粒状体層から分離させる。このような方法が固体カーボン分離に対して特に有効であることを以下に説明する。
粒状体として粒状の触媒を用い、炭化炉を模擬した、加熱炉内に配置した直方体状の炉内に触媒を充填し、この炭化炉に石炭乾留ガスを通気して水素生成反応を行い、その際、触媒層(粒状体層)から固体カーボンを除去するために、本発明者らは、種々の対策を試みた。
第1の対策として、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗を試みた。詳しく言えば、炭化炉内に触媒層の下流側に窒素ガス供給配管を設け、触媒層に対して高速窒素流を噴射して、触媒層の逆洗を試みた。逆洗は、粉塵除去用のフィルタの閉塞時の対策として一般に用いられる手法である。
結果として、一部の固体カーボンは除去されたが、触媒層の圧力損失の変化は軽微であり、閉塞を解消する効果はなかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)フィルタの場合、上流からフィルタ内に流入した粉塵粒のうち、フィルタの目開きよりも大きいものをその場で捕集する。フィルタは、通常、上流ほど目開きが大きい。従って、フィルタの閉塞部に対して主流の下流側から高速流を供給して逆洗を行う場合、捕集された粉塵粒のうちフィルタの目から離脱したものは、高速気流に搬送されて主流の上流側に進行する際、より大きな目開きを通過するので、メッシュに再捕集されることは少なく、フィルタ外に排出できる。
一方、本発明が対象とする固体カーボンなどの堆積層は、主流の上流から流入するのではなく、触媒間空間中で、ガスを原料として生成する。このため、堆積カーボンの大きさが触媒間空間の流出入の隙間よりも小さいとは限らないので、そのままでは触媒間空間から流出できない堆積カーボンが多量に存在する。
カーボン堆積層を破壊して微粉化すれば触媒間空間から流出できる可能性がある。しかし、気流が堆積カーボンに与える応力は一般に小さいので(触媒層全体に大きい気圧差を与えても、触媒層中で触媒は、通常多数の層で積載されているいので、個々の触媒間空間の入側−出側気圧差は微小となり、大きな応力を堆積カーボンに与えることはできない)、堆積カーボン層を破壊することはできない。
2)一部のカーボンを除去した時点で、カーボン除去の結果として通気抵抗の小さくなった少数の触媒間空間を連ねた狭い流路が触媒層の中に新たに形成され、主流の大半はこの流路に集中して流れる。この際、新たに形成された流路以外の触媒間空間には気流はほとんど通過しないので、これ以上カーボンが除去されることはない。このため、主流が通過する狭い流路で流速が上昇して大きな圧力損失が生じるので、閉塞状態はあまり改善されない。このように形成された新たな流路も、流路内で新たなカーボンが生成・堆積することよって急速に再閉塞していくので、逆洗の効果は短時間とならざるをえない。その一方、早期に失活を生じた触媒によって構成される(囲まれる)触媒間空間ではこのような触媒間空間の再閉塞を生じない。しかし、そもそも、主流が失活した触媒のみと接触して触媒層を通過するのであれば、水素生成反応を行えないので、触媒炭化炉としての性能を発揮できない。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、一般に、閉塞を生じた触媒層においては、
[個々の堆積カーボンの大きさ]>[当該触媒間空間の隙間]
の状態となっており、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
としない限り、触媒層からカーボンを大量に除去することはできず、触媒層外部からのブローによる触媒層の逆洗はこれに有効ではない。
そこで次に、第2の対策として、炭化炉外面を槌打して、堆積カーボン層の破壊、または触媒間空間の拡大を試みた。
結果として、最初の閉塞発生後に槌打(第1回目の槌打)すると、一部の堆積カーボンを除去でき、圧力損失も半分程度に減少し、一定の効果が見られた。この後、再閉塞発生後に再び槌打(第2回目の槌打)すると、堆積カーボンの除去は微小であり、圧力損失の変化はなく、閉塞を回避することはできなかった。すなわち、炭化炉外面の槌打は、2回目以降は堆積カーボンの除去に有効でないことがわかった。その理由としては、次のことが考えられる。
1)通常、触媒を炭化炉内に積層する際には上部から単純に落下させるので、触媒層における触媒は最密充填状態にはない。ここに、第1回目の槌打を加えると、振動によって触媒が最密充填あるいはそれに近い状態になる(簡単にするために、以下ではこれを「最密重点化」と称することにする)。最密充填化の過程で触媒間の相対位置は、合計で触媒代表長さの30%程度の大きさで移動する。この相対位置の移動(即ち、触媒間相対運動)時に、一部の堆積カーボンが触媒との接触応力によって破壊されて小型化するとともに、触媒間の間隔が一時的に広がる瞬間を生じるので、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
の関係が実現されて触媒層中を落下し、遂には触媒層から除去された。
2)一方、第1回の槌打終了後に触媒層は最密充填化されているので、第2回目以降の槌打を行っても触媒間の相対位置はほとんど変化せず、堆積カーボンの破壊や触媒間の間隔の広がりは生じない。このため、第2回目以降の槌打では堆積カーボンの除去の効果が認められなかった。
これらから、次のように結論することができる。
すなわち、1回限りの閉塞解消効果では、多くの場合、触媒炭化炉における所要処理継続時間を満足できないので、炭化炉外面の槌打は堆積カーボンの継続的な除去のためには不十分である。触媒層から堆積カーボンを継続的に除去するためには、
[個々の堆積カーボンの大きさ]<[当該触媒間空間の隙間]
とした後に、触媒層の最密充填状態を解消する手段が必要である。
前述の結論を踏まえ、第3の対策として、炭化炉内での触媒層自体の移動を試みた。より詳しく言えば、静止炭化炉の中で触媒が炭化炉内壁に接した状態で、触媒層の底に設けた保持器を昇降することによって触媒層全体を昇降させることを試みた。その結果、数回の昇降操作の後、触媒層の昇降運動は安定状態(昇降操作の1サイクルの後、触媒層が当該サイクルの始点の状態に平均的に戻る)に到達する。この安定状態において、保持器の上昇時には触媒層下端の上昇量に対して触媒層上端での上昇量の方が一般に小さく、保持器の下降後には触媒層上下端とも始点の位置に戻る。従って、保持器昇降のサイクル内では、触媒層の平均充填率の変動を生じており(触媒層平均充填率は、保持器上昇時に増大し、保持器下降時には減少する)、触媒層内において少なくとも上下方向での触媒間相対運動が発生する。この触媒間の相対運動の際に触媒間空間の大きさが変化し、これに伴って、触媒間空間に堆積していた固体カーボンは、より下方に落下することができる。この方法の場合、昇降サイクルが一旦、定常状態に達すると、触媒層の平均充填率がそれ以上は上昇しないので、何度昇降を繰り返しても、必ず触媒間での相対運動を生じ、その都度、触媒間の堆積固体カーボンを落下させ続けることができる。このように、炭化炉の中で触媒が炭化炉内壁に接した状態で、触媒層の底に設けた保持器を昇降することによって触媒層全体を昇降させるというのが、本発明で採用する、炭化炉から固体カーボンをオンラインで分離する一つの具体的手段である。そしてそれにより、触媒間の堆積固体カーボンをオンラインで確実に落下させることができる。この点で、数回の槌打ちで触媒層の相対運動が不可能になる槌打法等に対して、本発明は、特に有利である。
本発明に対して、保持器と炭化炉を同一速度で昇降した場合、触媒層全体は保持器・炭化炉と同一速度で昇降するので、触媒間の相対移動は生じない。そのため、触媒表面の固体カーボンなどの除去効果は低い(炭化炉外部からの槌打なみ)。また、触媒全体をかご等に入れてかごと触媒層を同時に昇降する場合も同様である。
本発明の水素ガス製造装置および水素製造方法によれば、石炭乾留ガス中の炭化水素から水素製造を行う際に、副生するCOおよびCO2の生成量をより少なくすることができ、この改質ガスを高炉等の金属精錬プロセスに適用することによって、より省CO2効果の高い金属精錬を実現することができる。
本発明の実施形態の水素ガス製造装置を説明する模式図である。 本発明の実施形態における炭化炉周辺の装置の一例を説明する模式図である。 本発明の他の実施形態の水素ガス製造装置を説明する模式図である。 本発明の実施形態における流動層を有する炭化炉周辺の装置の一例を説明する模式図である。 本発明の実施形態における流動層を有する炭化炉周辺の装置の別の一例を説明する模式図である。 本発明の実施形態における炭化炉周辺の装置の更に別の一例を説明する模式図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(全体構成)
図1を用いて、本発明の水素ガス製造装置の全体構成を説明する。本発明の水素ガス製造装置は、石炭乾留炉1、炭化炉4、改質ガス回収手段5が上流からこの順に連結されることによって構成される。石炭乾留炉1、炭化炉4、改質ガス回収手段5を連結するために、図1に例示したように、通気管6、7などの連結手段を用いることができる。石炭乾留炉1には、石炭乾留ガスの水分低減手段2が付帯する。例えば、石炭の水分を低減するためのDAPS等を石炭乾留ガスの水分低減手段2とし、DAPSで脱水された石炭は、ベルトコンベヤ等の石炭搬送手段3によって石炭乾留炉1まで輸送することができる。
(石炭乾留炉)
石炭乾留炉1としては、製鉄業等で用いられる一般的なコークス炉を適用することができる。あるいは、より小型のシステムであれば、キルン等の加熱炉に石炭を連続的に供給して加熱し、石炭乾留ガスを連続的に発生させてもよい。改質ガス回収手段5には、既存の技術を用いることができ、それについてここで特に詳しく説明するには及ばない。
(石炭)
石炭乾留ガスを発生させるための石炭には、高炉法による鉄鋼精錬に適したコークスの原料となる石炭である、水分濃度6質量%以上、かつ、15%以下の瀝青炭を用いることができる。あるいは、石炭乾留ガスの発生量や品質を重視して、亜瀝青炭や褐炭を用いてもよい。これらの石炭は、採掘、取引、輸送、保管等の際の火災や飛散を防止するために、一般に、石炭乾留炉に供給される直前まで、所定の水分濃度以上を維持するように保持される。このような所定水分濃度下限値は、上記6質量%とすべきである。また、石炭中の過剰な水分濃度は、作業性や作業コストの点で問題があるので、製鉄用の瀝青炭に関しては、概ね上記15質量%以下とすべきである。
(石炭乾留ガス)
石炭乾留時に発生する石炭乾留ガスには、メタン・エタン等の脂肪族有機物ガス、ベンゼン・トルエン等の軽質油ガス、芳香族重質炭化水素を主体とするタールガス等が含有されている。また、使用する石炭に付着または含有された水分が石炭乾留炉内で蒸発することにより、石炭乾留ガス中には一般に水蒸気が含まれる。
本発明において水素生成反応で熱分解される主な物質としては、タールが適当である。これは、タールの主成分である芳香族炭化水素を熱分解した場合、水素を放出した残りの炭化水素が二次元的芳香族多環組織からなる巨大分子として容易に成長して直径が数μm〜数mmの固体カーボン粒が得られ易いので、固体カーボンを炭化炉内に保持することが容易だからである。生成した固体カーボンを炭化炉内に一定時間保持することによって、固体カーボン中に残留していた水素も徐々に水素ガスとして離脱するので、熱分解は、一層促進される。一方、脂肪族有機物も熱分解しうるが、その際、生成する固体カーボンは、一般にダイヤモンド状結晶構造がランダムに配置したアモルファス状の組織となることが多く、直径がナノメータからサブミクロンの超微粒子として固体カーボンが生成するため、生成固体カーボンを炭化炉内に保持することや炭化炉からまとめて分離・排出することが困難となりがちである。また、硫化水素ガスを高い濃度で含有することの避けられない石炭乾留ガスの場合、触媒を用いた水素生成反応では、タールの反応の方が脂肪族炭化水素の反応よりも反応速度が一般に高い点でも、タールを熱分解することが有利である。この点は、硫化水素濃度の低い原料ガスを用いるエチレンプラントでの脂肪族炭化水素の改質反応では反応速度が極めて大きいことに対する、本発明の対象とするプロセスの特徴である。
(石炭乾留ガスの水分低減手段)
石炭乾留ガスの水分低減手段としては、従来技術であるDAPSやSCOPE炉を用いて、石炭乾留炉に供給される石炭を事前に乾燥させておくことができる。乾燥した石炭を乾留すれば、乾留ガス中の水分を減少させることができる。あるいは、より小型のシステムの場合には、数カ月以上といった長期間、石炭を石炭庫で保管し、その間に水分を自然に蒸発させてもよい。
尚、例えば、石炭乾留炉を炭鉱に隣接させて設置し、炭鉱での水分添加処理前の水分含有量の少ない(例えば水分量4%未満)石炭を原料に用いて石炭乾留を行うことができれば、石炭乾留ガスの水分低減手段を特に設ける必要はない。
また、石炭の水分を減少させることなく、石炭乾留炉で発生した高濃度の水蒸気を含む石炭乾留ガスを抽気して、高温用ゼオライト等の吸着剤を通過させることによって石炭乾留ガス中の水分を低減させてもよい。
石炭乾留ガスの水素生成反応において、タール等の熱分解反応を卓越させるためには、水分低減手段を用いて石炭の水分(全水分)濃度を4質量%未満とすることが好ましい。その理由は、以下の知見によるものである。本発明者らは、コークス炉用の瀝青炭を連続式の石炭乾留炉に供給して本発明で用いる触媒の水素生成反応特性を調査した。その際に用いた瀝青炭は、当初、実機と同レベルの6〜10質量%の水分含有量のものであった。この試験結果から、いずれの試験条件においても、水素生成に伴って、水素発生量の約20 mol%以上のCO2の発生が避けられず、省CO2の観点から問題であった。あるとき、貯炭場の天日にさらされ易い場所から瀝青炭を採取して同様の試験にかけたところ、水素発生量やCO発生量にあまり影響を与えることなく、CO2の発生量が発生水素量の約8 mol%に低減した。供給した石炭の残材を分析した結果、この石炭の水分含有量は、3〜4質量%であり、天日によって自然乾燥のなされた石炭を試験に適用していたことがわかった。このように、実機で常用される石炭水分の下限値である6質量%の条件では大量に発生していた水素生成反応時の生成CO2量を、石炭水分量を4質量%弱に低減することで、劇的に低減できることを、本発明者らは見出した。石炭中の水分を低減するほど、CO2発生量を低減できるので、工業的に可能な範囲で石炭水分量をできるだけ低減することが好ましい。例えば、DAPSを用いれば、1質量%弱まで、石炭の水分量を低減することが可能である。また、ラボレベルの乾燥装置であれば、石炭の水分量をほぼ0にすることもできる。これらから、本発明においては、水分(全水分)含有量を4質量%未満、例えば0質量%超4質量%未満、あるいは1質量%以上4質量%未満、あるいは2質量%以上4質量%未満、あるいは1質量%以上3質量%以下、あるいは1質量%以上2質量%以下、に調整した石炭、特に瀝青炭、を使用するのが好ましい。但し、石炭の水分量を低減するためには、一般により多くのエネルギを消費する。特に、石炭の固有水分(瀝青炭の場合、約2%)未満の水分濃度を得ようとする場合には、石炭を105℃以上に加熱しなければならないので、石炭乾燥工程でCO2発生量が増加し易い。従って、石炭乾燥工程でのエネルギ消費に伴って発生するCO2と、水素製造工程で発生するCO2とを合計した得失を考慮して、石炭の目標水分レベルは決定されるべきである。
次に、本発明における炭化炉周辺の装置について図2の例を用いて具体的に説明する。
(炭化炉)
炭化炉4は、石炭乾留炉1から連続的に供給される石炭乾留ガス14中の炭化水素(主にタールガス)を熱分解して、水素ガスと固体カーボンに分離し、改質ガス15を下流に排出するとともに、生成した固体カーボンを貯留するための炉である。炉内温度を熱分解反応に好適な温度に保持し、かつ、熱分解を主体とする水素生成反応に要する反応熱を供給するために、炭化炉には、炉体外部から(あるいは、炉内に発熱体等を設けて炉内から)熱供給を行うための熱供給手段32を設ける。この熱供給手段32には、一般的な電気ヒータ加熱や直火加熱を用いることができる。炭化炉4は、生成した固体カーボンのそこでの燃焼を避けるため、酸化源となる酸素・空気・水蒸気等の炭化炉への流入を極力避ける構造とする。具体的には、部分酸化法におけるような、水素生成反応中の石炭乾留ガスへの酸素供給手段等を設けることをしない。水蒸気も、石炭乾留ガスに元々含まれていたもの以外、石炭乾留ガスへの添加を行わない。タールの熱分解反応に好適な反応温度は、熱分解触媒を用いる場合には、概ね650℃から900℃の範囲である。この温度範囲以下で石炭乾留ガスを炭化炉に通気させると、タールの凝縮が生じ、この凝縮液が固体カーボン微粒子間の空間を塞ぐため、固体カーボンを炭化炉内に保持する本発明では、容易に炭化炉の閉塞を生じる問題が存在する。しかし、本発明では、この熱分解反応に好適な温度範囲に炭化炉内を保持することによって、石炭乾留ガス中に含まれるタールを凝縮させることなく、熱分解によって副生した固体カーボンは乾燥した状態に維持でき、固体カーボンによる通気性低下を最小化することができる。また、炭化炉内の圧力は、石炭乾留炉内圧よりも低いことが好ましい。例えば、コークス炉内圧は通常、10Pa(ゲージ圧)超であるので、石炭乾留炉がコークス炉である場合の炭化炉内圧力を10Pa(ゲージ圧)以下として、石炭乾留ガスの通気を維持することができる。炭化炉内圧力の下限は特に存在しないが、炭化炉の耐圧性、炭化炉内のガス密度、必要な真空装置能力等の観点から、−20000Pa(ゲージ圧)以上とすることができる。
炭化炉4の中には、保持器12によって保持された粒状体層13から構成される固体カーボン保持機構30と、固体カーボン分離機構31の一部として、保持器12を昇降する保持器昇降装置20とが設けられる。また、炭化炉4内の下部には、固体カーボン分離機構31の動作によって落下した固体カーボン8を貯留するための非反応部35が、固体カーボン分離機構31の一部として、併せて設けられる。粒状体層13は、熱分解反応の好適に進行する温度に加熱、保温されるとともに、石炭乾留炉1から直送された新鮮な石炭乾留ガスが常に通気するので、石炭乾留ガスの熱分解反応の促進領域(反応領域)である。一方、落下した固体カーボンを貯留する領域は、温度を反応温度域よりも低く維持する、通気を淀ませて新鮮な石炭乾留ガスを供給しない、あるいは、触媒から遠ざける等の手段によって水素生成反応や酸化反応を進ませないための非反応部35に維持される。
炭化炉内壁11は、上下両端近傍に開口16、17を有し、これらの開口間に固体カーボン保持機構30を収納できるものであればどのような形状でもよい。開口16は、炭化炉4への石炭乾留ガス14の流入口であり、第1の通気管6に接続する。開口17は、炭化炉4からの改質ガス15の流出口であり、第2の通気管7に接続する。炭化炉4内に導入された石炭乾留ガスは、粒状体層13を矢印18の方向に下方から上方へ流れて水素生成反応を受け、改質ガスとして流出する。炭化炉内壁11は、例えば、円筒状、角型ダクト状などの形状であることができる。以下では、角型ダクト状の炭化炉内壁11を例に説明する。
以下の説明において、「炭化炉の中心軸」とは、炭化炉内壁11の水平断面の図心を鉛直方向に連ねたものと定義する。「炭化炉厚」は、水平断面における炭化炉内壁11の代表長さのうちの最小の長さに相当し、「炭化炉幅」は、水平平面における炭化炉内壁11の代表長さのうちの最大の長さに相当する。炭化炉内壁11が円筒の場合には、炭化炉内壁11の「幅」および「厚」を「直径」と置き換えればよい。「炭化炉高さ」は、炭化炉内壁11に囲まれた空間の代表高さのうちの最大の高さに相当する。
炭化炉内壁11の材質は、触媒などの粒状体を保持する強度、触媒反応に関与する流体への耐熱・耐食性、反応生成物への耐汚染性を有する材料であれば、どのようなものでも使用できる。例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス材料(煉瓦に加工されたものを含む)、ソーダガラス、溶融石英等のガラス材料を使用することができる。
炭化炉厚は、内蔵する固体カーボン保持機構30の代表厚よりも大きくなければならず、また、炭化水素の水素生成反応で一般的に生じる吸熱反応熱を外部からの伝熱で供給可能なように十分薄くなければならない。これらの観点から、炭化炉厚は、10mm以上、かつ、500mm以下とすることができ、より好ましくは、50mm以上、かつ、200mm以下とすることができる。炭化炉幅には、機能上、特段の制約はない。保持すべき固体カーボン保持機構の体積、炭化炉厚を基に、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
炭化炉高さは、固体カーボン保持機構の高さよりも大きくなければならない。一方、炭化炉内壁高さの上限については、機能上の制約はなく、構造上・強度上の制約を考慮してエンジニアリング的に定めればよい(例えば、5000mm)。
(固体カーボン保持機構)
固体カーボン保持機構30は、炭化炉内壁11で構成される反応領域(ガス流路)内に設けられ、石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持する機構である。
前記固体カーボン保持機構は、図2に示すように、積層された複数の粒状体で構成される粒状体層13を炭化炉4の流路内に設けるとともに、互いに隣り合う粒状体間の空間に粒状、粉状、または多孔質体などの固体カーボンを保持する機構であることができる。粒状体の代わりに、単一の多孔質体を用いることもできる。粒状体層13や多孔質体を流入口16や流出口17をうずめることなく炭化炉内壁11流路内の定位置に保持するために、これらの下端に個々の粒状体等の落下を防止するとともに通気性を備えた保持器12を設ける。
粒状体層13を支持する保持器12には、網、パンチングメタル、複数の棒を用いて棒の間に空間を生じるように水平方向に各棒を互いに平行に並べて棒の両端を固定したもの等を用いることができる。このような保持器は、単一の多孔質体を固体カーボン保持機構に用いた場合にも用いることができる。保持器12の材質は、耐熱・耐腐食性・強度を備えた金属材料が好ましい。そのような金属材料の例として、ステンレス鋼、ハステロイ(登録商標)やインコネル(登録商標)等のNi合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
固体カーボンの性状は、粒子の落下し易さや、熱分解反応時の固体カーボン核生成サイトを多数確保する観点から、例えば直径0.1mm以下の微粉であることが好ましいが、作業性や設備制約のために、それより大きい粒状、または多孔質体であってもよい。固体カーボンの材質は、例えば、市販のカーボンブラック粉や、炭化水素の熱分解反応で副生した固体カーボンを用いることができる。
粒状体には、熱分解反応条件における耐熱性、耐食性、耐ガス汚染性、並びに固体カーボンを保持可能な強度を有するものであれば、どのような材質のものでも使用できる。例えば、シリカガラス、アルミナのようなセラミックス粒子や、銅やニッケルの粒を使用することができる。また、個々の粒状体の寸法は、ガスの通気性を阻害しないように極端に小径のものは好ましくなく、かつ、固体カーボンを保持可能なように極端に粗大なものも好ましくない。代表寸法(例えば、直径)が0.1〜50mmのものを使用することができる。
粒状体層の通気方向の厚みは、通気性の確保と固体カーボンの保持の観点から、10〜3000mmの範囲とすることができる。
単一の多孔質体を固体カーボン保持機構に用いた場合には、多孔質体には、気孔率20〜80%程度の市販のセラミックス多孔質材、例えば、アルミナ多孔質材、等を用いることができる。
(触媒)
炭化炉内壁11で形成される流路内に、熱分解触媒を配置することができる。熱分解触媒を粒状に加工して、前記粒状体層13を構成する粒状体として使用することができる。
熱分解触媒には、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなる触媒を用いることができる。
本発明の炭化炉に好適に使用できる触媒の具体的な例としては、たとえば、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む酸化物であって、少なくとも1種の複合酸化物を含み、単独化合物としてアルミナを含まないタール含有ガスの改質用触媒を挙げることができる(WO2010/134326)。この複合酸化物の好適な例は、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなり、さらには、各結晶相の内、X線回折測定により求めたNiMgO結晶相の(200)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、MgAl24結晶相の(311)面の結晶子の大きさが1nm〜50nm、CeO2結晶相の(111)面の結晶子の大きさが1nm〜50nmである。この触媒は、炭素質原料を熱分解した際に発生する多量の硫化水素を含み、炭素析出を起こし易い縮合多環芳香族主体のタール含有ガスであっても、随伴するタール等重質炭化水素を高効率に改質して、水素、一酸化炭素、メタンを主体とする軽質炭化水素に変換すること、また、触媒性能が劣化した際、水蒸気又は空気の少なくともいずれかを高温下で触媒に接触させることにより、触媒上の析出炭素や吸着硫黄を除去して触媒性能を回復させ長期間安定した運転が可能になるという特徴を有する。
本触媒がタールの水蒸気改質に好適に適用されることは知られていたが、熱分解反応特性に関する知見は、従来存在しなかった。本発明者らは、供給水分を極力減らした条件下で本触媒を800℃程度のタールガスに接触させると、タールは、COやCO2をほとんど生成することなく水素ガスと固体カーボンに分解することを見出した。即ち、本触媒は、タールの熱分解反応を促進するために好適に適用でき、また、供給水分濃度を調整することによって、水素製造におけるCOおよびCO2発生量を低減可能である。
(固体カーボン分離機構)
固体カーボン分離機構31は、炭化炉内で生成した炉温相当温度の固体カーボンの一部または全部を炭化炉内の少なくとも反応領域から分離・除去して固体カーボンとして回収するための機構である。
固体カーボン分離機構31は、保持器12、保持器昇降装置20、並びに非反応部35から構成され、図2に示した実施形態では、保持器12を保持器昇降装置20によって昇降させることによって保持器12上の粒状体層13を炭化炉内壁11内で昇降させる。粒状体層13が昇降する際には、前述のように、粒状体間に相対運動を生じて、粒状体間に堆積していた固体カーボンが粒状体層から落下して除去され、非反応部35に貯留される。非反応部35は、炭化炉4内の下部または炭化炉4の下方に配置され、かつ、炭化炉4内の反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガス流れとの接触の抑制された空間である。保持器昇降装置20には、駆動装置21が装備され、伝導軸22を経由して保持器12に接続し、駆動装置21の昇降動作によって、保持器および粒状体層全体が昇降する。駆動装置21には、エアシリンダ、ラックピニオン等の歯車を利用した機構などの、一般的な駆動装置を用いることができる。
少なくとも、伝導軸22の保持器12側の一部は炭化炉4の中の反応領域内に設置する必要がある。但し、駆動装置21は、炭化炉4の外部に設けることができる。この場合、市販の昇降装置を使える一方で、伝導軸22が炭化炉4を貫通する部分を高温用パッキン等で封止する必要がある。
保持器12の上昇時に、保持器12の一部が粒状体層13に食い込んで固体カーボンが自由落下しなくなる場合があるので、保持器12は上昇時だけでなく下降時も駆動することが好ましい。
粒状体間の相対運動を十分行うため、また、装置の大型化を回避する観点から、保持器12の昇降ストロークを、粒状体外面の代表寸法(例:直径)の0.1倍以上、かつ、10倍以上とすることができ、さらに好ましくは、1倍以上、かつ、5倍以上とすることができる。
保持器12とともに粒状体層13を上昇させるのに要する所要上昇力は、上昇速度が小さいほど小さいので、低速が好ましい。本発明者らの調査の結果、10mm/sで保持器12とともに粒状体層13を上昇させるときの所要上昇力は、1mm/sで上昇させる場合の2倍が必要であることがわかった。また、大きな上昇速度では、粒状体が破壊しやすくなる。但し、1mm/sで上昇させる場合と0.5mm/sで上昇させる場合の所要上昇力の差は小さいので、1mm/sよりも遅くする必要は必ずしもない。また、10mm/sの上昇速度であっても、粒状体が破壊しないのであれば、適用してよい。
保持器12の下降速度は大きいことが好ましい。特に、最下端での触媒の自由落下速度よりも大きい速度(例:100mm/s)で保持器12を下降すれば、粒状体は保持器12から離脱して粒状体間の拘束が小さくなり、粒状体間の相対運動を大きくとれるので好ましい。但し、粒状体の自由落下速度よりも極端に大きな速度で保持器12を下降させても得られる効果に差はない。
粒状体層13の上昇時に、粒状体層13では上方ほど粒状体間に働く反力が等方化し、粒状体層13を押し上げるための上下方向の力と同程度の力がこれ以外の方向にも生じ、この力に比例した摩擦力が触媒間で生じる。この摩擦力の下向き成分が粒状体層押し上げの抵抗力として働く。例えば、粒状体層13のアスペクト比(粒状体層高さ/炭化炉厚比)が2を超えると、押し上げ荷重が急激に上昇して、最下段で粒状体を破壊しうることを本発明者らは見出した。従って、粒状体層の高さは低いほどよく、粒状体層のアスペクト比(粒状体層高さ/炭化炉厚比)が2以下であることが好ましい。一方、昇降によって粒状体間の相対運動を生じるために粒状体層13に最低限必要な高さが存在するので、粒状体層高さは、平均的に粒状体の3層分以上の長さであることが好ましい。
粒状体層13から分離されて非反応部35に貯留された固体カーボン8は、オフラインで個別に回収することができる。回収された固体カーボンは、焼却することなく工業原料等に利用することによって、CO化やCO2化することを回避でき、水素製造時に発生するCO及びCO2の生成量を従来法に比べて大幅に削減できる。
本カーボン分離機構は、後述の流動層を用いる方法やオンラインで触媒を交換する方式に比べて、装置が簡易、かつ、安価であるという利点を有する。
カーボン保持機構及びカーボン分離機構は、上記の方式に限るものではなく、粒状体を保持し、粒状体層中に堆積するカーボンを改質中に除去できるものであればどのような形式のものでも適用することができる。
例えば、図4で説明する流動層をカーボン分離機構に適用することができる。炭化炉4内で下部を保持器12によって保持された粒状体層13に石炭乾留ガス流入口16から導入された石炭乾留ガス14を上向きに通気する。石炭乾留ガス14は、粒状体層13を通過する際に熱分解して改質ガス15と固体カーボンを生成する。この際、粒状体層13の流動化流速(最小流動化速度とも言う)を超えるようにガス流れ18の流速を設定すると、粒状体層13は流動化して流動層を形成する。ガス流れ18の流速が過大でないように設定すれば、粒状体は、下流に飛散することなく、炭化炉内で安定して流動層を形成できる(粒状体層13が流動層となる)。この流動層の中では固体カーボンは比較的自由に移動する。一般に、粒状体よりも密度の小さく、かつ、小径である、生成固体カーボン粒は、より下流に移動しやすく、ついには流動層から離脱して固体カーボン流れ47を形成し、改質ガス流出口17を通じて炭化炉4から流出する。図示したように、非反応領域である、炭化炉より下流領域に除塵装置46を設けることによって、固体カーボン8を回収することができ、固体カーボンを粒状体層からオンラインで分離・回収することができる。
粒状体を流動化させるためには、粒状体の直径に適切な範囲が存在する。例えば、50〜300μmに設定すればよい。炭化炉内で生成する固体カーボンの直径は、少なくとも生成初期には50μm未満であって粒状体直径よりも小さいので、粒状体を飛散させず、かつ、固体カーボンを飛散させることのできるガス流れ18の流速範囲が存在する。この流速範囲は、装置の設計条件として、適宜、決めればよく、例えば、0.1〜1m/sとすることができる。
流状態を流動化させる場合の保持器12は、粒状体直径よりも小さな孔径を有する多孔質材料を用いることができる。例えば、微小なアルミナ粉の焼結体を用いることができる。
除塵装置46には、例えば、バグフィルタ、スクラバ、あるいは、電気集塵装置等を用いることができる。
この実施形態において、一部の固体カーボン、例えば、成長して粒径の大きいものは、飛散することがなく、流動層中に保持されるので、固体カーボン保持機構30は、粒状体層に一致する。
また、図5に示す流動層をカーボン分離機構に適用することができる。炭化炉4内には、流動層49、粒状体回収器55、並びに、粒状体還流路56が配置され、粒状体層13とともに熱供給手段32により加熱・保温される。図4と同様の構造の流動層50において、所定値以上のガス流れ18の流速に設定すると、粒状体は流動化するだけではなく、一部の粒状体は下流に飛散して粒状体流れ48を生じる。併せて、流動層内で生成した固体カーボンの一部も下流へ飛散して、固体カーボン流れ47を形成する。前記粒状体流れ48および前記固体カーボン流れ47は、ガス流れ18とともに粒状体回収器55に流入する。前記粒状体回収器55は、下流での流路断面積が大きく、ここでの流速が粒状体を上昇させるほどには大きくないため、粒状体は粒状体回収器55を通過することはできず、下方に落下する。一方、比較的粒径の小さく、かつ、密度も小さい、固体カーボン粒子は、ここでの低い流速のガス流れであっても上昇することができ、炭化炉4から下流へ流出できる。前記炭化炉4から流出した固体カーボンは、非反応領域において除塵装置46で捕集され、固体カーボンを粒状体層13からオンラインで分離・回収することができる。除塵装置46は、図4を参照して先に説明したとおりのものでよい。
粒状体回収器55から落下した粒状体は、粒状体還流路56内に堆積するともに、重力によって粒状体還流路56内を落下して、流動層49に戻る。即ち、粒状体は、炭化炉4内を循環して流れる。
粒状体を飛散させる、かつ、炭化炉内で循環させるためのガス流れ18の流速範囲は、装置の設計条件として、適宜、決めればよく、例えば、2〜10m/sとすることができる。
あるいは、図6に示す機構を固体カーボン保持機構及び固体カーボン分離機構に適用することができる。炭化炉4には頂部に粒状体供給口50が、底部に粒状体排出口51が設けられており、前記粒状体供給口50から供給された粒状体は、炭化炉4内で側方を通気性を有する保持器12によって保持され、粒状体層13を形成する。炭化炉4内は、粒状体層13によって、流入側空間57および流出側空間58に隔てられ、流入側空間57には石炭乾留ガス14が流入し、粒状体層13をガス流れ18として通過する際に熱分解されて流出側空間58に流入し、改質ガス15として炭化炉4から流出する。炭化炉4内の流入側空間57、粒状体層13、流出側空間58は、熱供給手段32により加熱・保温される。
熱分解によって粒状体層13中に固体カーボンが堆積するので、炭化炉4内に所定時間滞留した粒状体を固体カーボンとともに粒状体排出口51を通じて炭化炉4の外へ排出する。粒状体の排出タイミングや排出速度は、粒状体排出手段52を用いて調整する。粒状体の排出は、断続的であってよく、また、連続的に行ってもよい。改質操業中には、排出された粒状体の量と等しい量の粒状体を粒状体供給口50から速やかに補填する。
炭化炉4から排出された粒状体および固体カーボンの混合物から固体カーボンのみを分離して回収する。その手段としては、例えば、前記混合物を篩53を用いて篩分けして小径の固体カーボン8を回収することができる。このように回収された固体カーボン8は、当然のことながら、非反応部35に存在する。固体カーボン8を分離後に篩4上に残った粒状体54は、篩上から適宜取り除かれる。
このような手法に用いられる粒状体には特段の制約はない。粒径として、例えば1mm〜30mmのものを使用できる。ガス流れの流速の制約も少ない。例えば、0.01〜10m/sとすることができる。
炭化炉4への粒状体の供給方法には、例えば、ベルトコンベアやスクリューフィーダ等の装置を用いることができる。
粒状体の排出手段52については、ロータリーバルブやスクリューフィーダ等の装置を用いることができる。粒状体排出手段52には、粒状体が必要以上に落下することを防止することを防ぐはたらきもある。従って、本方式においては、保持器12および粒状体の排出手段52によって囲まれた粒状体の領域が固体カーボン保持機構30である。また、篩53と非反応部35が固体カーボン分離機構に当たる。
(改質ガス回収手段)
改質ガス回収手段5は、炭化炉4で生成した改質ガス及び残留した石炭乾留ガスの混合ガスを回収する手段である。改質ガス回収手段5としては、例えば、石炭乾留ガスを貯留して必要に応じて払い出すための貯留手段、または、石炭乾留ガスを原料や燃料として直接消費するための消費手段を挙げることができる。具体的には、貯留手段として、ガスタンクが挙げられる。消費手段としては、高炉や酸化鉄直接還元炉のような、還元炉を用いることができる。これらの改質ガス回収手段5には、既存の技術を用いることができる。いずれの改質ガス回収手段を用いる場合も、炭化炉4および改質ガス回収手段5において好適なガス圧力とガス流量を保持するためにブロワ等の調整装置を、炭化炉4と改質ガス回収手段5の間に適宜設けてもよいし、石炭乾留炉1の内圧と改質ガス回収手段5の内圧との間の差圧を利用して特にブロワ等を用いることなく、ガスを流通させてもよい。あるいは、ガス冷却装置やガス精製装置等のガス処理装置を炭化炉4と改質ガス回収手段5の間に設けてもよい。
(通気管)
通気管6、7は、石炭乾留ガスや改質ガスを搬送するための流路である。これらのガスは、高温ではタールガスを多少なりとも含んでおり、管路内壁がタールの凝縮温度(例えば600℃以下)に達するとタールが凝縮して、流路を閉塞させる問題を生じ得る。従って、通気管6、7は、少なくとも、高温に保持される部位において、もれなくタールの凝縮温度以上に保持される必要がある。このためには、配管の保温を十分に確保する必要があり、通気管6、7を加熱配管としてもよい。通気管6、7の配管径や材質に関しては、使用条件に基づいて、エンジニアリング的に定めればよい。
以下の実施例により本発明をさらに説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(反応系全体の構成)
図3に示す装置で試験した。石炭乾留ガスの水分低減手段であるDAPS 45で石炭水分濃度を約3%に調整された瀝青炭を石炭搬送手段3であるベルトコンベアによって石炭乾留炉であるコークス炉44に装炭し、凡そ1300℃の燃焼炉温度で乾留を行った。発生した石炭乾留ガスのうち30Nm3/h分を抽気して、加熱配管である通気管6を経由して炭化炉4を通過させて、石炭乾留ガスの熱分解を行った。改質ガスは、通気管7経由で直ちにスクラバ40で100℃以下まで冷却され、ブロワ41で流量・圧力を調整され、コークス炉ガス(COG)精製設備42を経由して最終的に改質ガス回収手段であるガスホルダ43に貯留した。尚、DAPS 45、コークス炉44、COG精製設備43に付帯する詳細な設備に関しては既存の技術であるので説明を省略する。
(触媒)
粒状体としての触媒には、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oなる成分系のものを使用した。
硝酸ニッケル、硝酸セリウム、硝酸マグネシウムを各金属元素のモル比が1:1:8になるように精秤して、60℃の加温で混合水溶液を調製したものに、60℃に加温した炭酸カリウム水溶液を加えて、ニッケル、マグネシウム、及びセリウムを水酸化物として共沈させ、スターラーで十分に攪拌した。その後、60℃に保持したまま一定時間攪拌を続けて熟成を行った後、吸引ろ過を行い、80℃の純水で十分に洗浄を行った。洗浄後に得られた沈殿物を120℃で乾燥し粗粉砕した後、空気中600℃で焼成(か焼)したものを解砕した後にビーカーに入れ、アルミナゾルを加えて攪拌羽根を取り付けた混合器で十分混合したものをなすフラスコに移してロータリーエバポレーターに取り付け、攪拌しながら吸引することで、水分を蒸発させた。なすフラスコ壁面に付着したニッケルとマグネシウムとセリウムとアルミナの化合物を蒸発皿に移して120℃で乾燥、600℃でか焼後、粉末を圧縮成形器を用いて、外径15mm、内径5mm、高さ15mmの円筒状成型体を得た。
その成型体を空気中950℃で焼成を行い、Ni0.1Ce0.1Mg0.8Oにアルミナが50質量%混合した触媒成型体を調製した。その成型体の成分をICP分析で確認した結果、所望の組成であることを確認した。また、その成型体を木屋式硬度計で計測したところ、約100Nの高い強度を保持することがわかった。
予め800℃の炭化水素にさらすことによって接触分解反応による固体カーボン粉を触媒表面に生成させた触媒を試験に使用した。予め生成させた固体カーボン粉の質量は、約1kgであった。この固体カーボン粉を試験中の固体カーボン析出の核として使用した。
(炭化炉)
使用した炭化炉は、図2のレイアウトであり、具体的条件は、次のとおりであった。
炭化炉内壁は、ステンレス製とし、形状を、中心軸垂直断面の形状・寸法が一定な矩形断面とした。炭化炉厚、幅、高さを、それぞれ、140、1000、600mmとした。粒状体層高さは、400mmとした。保持器昇降装置の駆動装置には、ストローク15mmのエアシリンダを用い、保持器上昇速度、下降速度を、それぞれ、2mm/s、100mm/sとした。保持器には、格子状加工した直棒を用いた。
(センサ)
センサとして、炭化炉入側および出側それぞれに、熱電対およびダイヤフラム式圧力計を設けてガス計測を行った。粒状体層中央位置には熱電対を挿入して粒状体層内温度を計測した。ガスサンプリング装置およびこれに繋がるガス成分分析装置(質量分析計)を設けるとともに、炭化炉入側と出側で定期的にガスサンプリングを行い、質量分析計等既存の一般的な分析技術を用いてガス組成およびタール濃度分析を行った。さらに、試験完了後に炭化炉を解体して内部に貯留された固体カーボンを回収し、その生成量を測定した。
(作業条件)
前処理として、水素生成反応を始める前に、まず炭化炉を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを80Nl/min流しながら30分間還元処理を行った。
その後、石炭乾留ガスを炭化炉に導入し、試験を行った。その際の作業条件は、次のとおりであった。石炭乾留ガスの抽気ガス温度は、800℃であった。炭化炉温度を800℃に保持して、炭化炉に石炭乾留ガスを15時間通気した。反応の進行とともに生成する固体カーボンによる炭化炉閉塞を回避するために、保持器昇降装置を、石炭乾留ガス通気中に計15回動作させた。
(結果)
通気性に関しては、炭化の進行に伴って、炭化炉での圧力損失が閉塞に近い5kPaにしばしば達したが、その都度、固体カーボン分離機構(保持器昇降装置)を作動させることによって、圧力損失は解消し、熱分解による固体カーボン生成による炭化炉閉塞を回避することができた。尚、試験中の炭化炉入側のガス圧力は−100〜−500Paの範囲で安定し、炭化炉出側のガス圧力は、炭化炉の閉塞状態に応じて−100〜−5000Paの範囲で変動した。
水素生成反応特性に関する測定結果の例を表1に示す。ここで、ガス流量およびタール消費量は、ガス組成分析結果およびタール濃度分析結果からそれぞれ求め、非定常な固体カーボン生成量(生成速度)は、石炭乾留ガスと改質ガス間での他の成分の質量バランス差をもとに、化学量論的に算出し、回収固体カーボン量との比較によって値の妥当性を検証した。
Figure 0006327888
表1より、石炭乾留ガス中の水素は、改質ガス中で1.54倍に増幅しており(即ち、水素増幅率=1.54)、効率的な水素製造が実施できたことがわかる。一方、この増幅水素流量5.5Nm3/h(=15.6−10.1Nm3/h)に対して、副生したCOガス流量およびCO2ガス流量は、それぞれ、高々、1.4Nm3/hおよび0.2Nm3/hに過ぎず、本発明の水素製造における高い省CO2効果が実証された。石炭乾留ガス中と改質ガス中でCH4流量の変化がほとんどなく、かつ、タールが大量に消費されていることから、本水素生成反応では、主にタールガスが分解して水素を生成したものと考えられる。さらに、消費されたタール量に匹敵する固体カーボン生成量が認められることから、分解したタール中のカーボンの大半は固体カーボン化した、即ち、本水素生成反応ではタールの熱分解(接触分解)反応が主体であったと結論づけられる。
[実施例2]
図4に示す流動層を用いた固体カーボンの触媒層からの分離試験を行った。
ニッケルおよびマグネシウムとアルミニウムの酸化物からなる触媒を焼成した後、破砕、分級して直径60μm以上150μmの触媒粒子を1g製造し、これを流動層反応器に装入して触媒層(流動層)を形成した。流動層反応器は、底面を多孔質アルミナ板、側面を石英ガラス製とし、底面と側面で触媒層を保持させた。流動層反応器側面外側にセラミックヒータを巻き、これを加熱することによって、流動層内を750℃に維持した。原料として、COGの主要成分を模擬した混合ガスである模擬COGを用い、この模擬COGを800℃に加熱したものを、W/F(触媒質量/ガス流量)が2g h/molなる流量となるように、流動層反応器の底面から一様に流動層に供給して、流動層内の触媒粒子を流動化させた。流量の調整には、流路に設けた流量計と圧力調整弁を用いた。流動床からの排気は冷却したのちフィルタを通過させた。このような試験を1時間連続して実施した。結果として、試験中に圧力調整弁の開度を変更する必要はなく、流動層前後での差圧の変動はほとんど変化しなかった。固体カーボンによる閉塞現象も認められなかった。試験後にフィルタを調査した結果、フィルタ上には固体カーボンおよび破砕された触媒片が捕集されていた。このように、触媒の破損は生じるものの、流動層を用いることによって、触媒層を閉塞させることなく、オンラインで固体カーボンを触媒層から分離することができた。
[比較例1]
(試験条件)
実施例1と同一の触媒60cm3を用いて、以下の試験を行った。
触媒をステンレス製反応管の中央に位置するよう石英ウールで固定し、触媒層中央位置に熱電対を挿入し、これら固定床反応管を所定の位置にセットした。
水素生成反応を始める前に、まず反応器を窒素雰囲気下で800℃まで昇温した後、水素ガスを100mL/min流しながら30分間還元処理を行った。その後、石炭乾留ガスの模擬ガスとして水素:窒素=1:1、H2Sを濃度2000ppm、トータルで125mL/minになるよう各ガスを調整して導入し、常圧下、800℃の温度で反応性を評価した。また、石炭乾留時発生タールの模擬物質として、タール中にも実際に含まれる1−メチルナフタレンを代表物質として用い、精密ポンプで0.01mol/hの流量で反応管へ導入した。また、S/C=3となるよう、純水を精密ポンプで0.1g/minの流量で反応管へ導入した。出口から排出された生成ガスを室温トラップ、氷温トラップを経由させて、各々ナフタレン、水分を除去した後、ガスクロマトグラフィーにてガス成分分析を行った。水素生成反応の反応度合は、表2に示した各ガス種の増幅流量(改質ガス中の当該ガス種流量−模擬石炭乾留ガス中の当該ガス種流量)および炭素析出速度(単位時間当たりに生成する固体カーボン中の炭素元素量)を用いて評価した。
Figure 0006327888
(結果)
実施例1と同様にメタンの分解は比較的少なく(メタン増幅流量が小さい)、模擬タールである1−メチルナフタレンの約80%が反応管のなかで分解して水素を主に生成した。その際、炭素析出速度は、微小であったのに対し、CO増幅流量およびCO2増幅流量はともに、水素増幅流量と同レベルの値であった。このことは、本比較例での主反応がタールの熱分解反応ではなく、タールの水蒸気改質および水性シフト反応であったことを示している。この結果から、本比較例では、水素製造は可能なものの、水素製造に伴って、水素製造量と同等またはそれを超えるCO2およびCOを副生してしまうため、省CO2を目的とした用途には適当でないことがわかった。
1 石炭乾留炉
2 水分低減手段
3 石炭搬送手段
4 炭化炉
5 改質ガス回収手段
6、7 通気管
8 固体カーボン
11 炭化炉内壁
12 保持器
13 粒状体層
14 石炭乾留ガス
15 改質ガス
16 石炭乾留ガス流入口
17 改質ガス流出口
18 ガス流れ
20 保持器昇降装置
21 駆動装置
22 伝導軸
30 固体カーボン保持機構
31 固体カーボン分離機構
32 熱供給手段
35 非反応部
40 スクラバ
41 ブロワ
42 COG精製設備
43 ガスホルダ
44 コークス炉
45 DAPS
46 除塵装置
47 固体カーボン流れ
48 粒状体流れ
49 流動層
50 粒状体供給口
51 粒状体排出口
52 粒状体排出手段
53 篩
54 粒状体
55 粒状体回収器
56 粒状体還流路
57 流入側空間
58 流出側空間

Claims (23)

  1. 石炭乾留ガスの水分低減手段を備えた、石炭乾留ガスを生成する石炭乾留炉と、
    前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして排出する炭化炉と、
    前記改質ガスを回収する改質ガス回収手段と、
    をこの順に配置した水素ガス製造装置であって、
    ・前記炭化炉の反応領域に設けられ、前記石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持する固体カーボン保持機構と、
    ・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記炭化炉内の少なくとも反応領域から除去して、前記炭化炉の非反応部に固体カーボンとして回収する固体カーボン分離機構と、
    を備えることを特徴とする石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  2. 前記固体カーボン保持機構が、積層された複数の粒状体で形成される粒状体層とこの粒状体層を保持する保持器によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  3. 前記固体カーボン保持機構及び前記固体カーボン分離機構が、前記炭化炉の上部に設けられる粒状体供給口、前記炭化炉の下部に設けられる粒状体排出口、通気性を有するとともに炭化炉内で粒状体を側方から保持する前記粒状体層の保持器、並びに、粒状体排出口の下方に設けられる粒状体排出手段から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  4. 前記固体カーボン分離機構が、前記粒状体層の下方に配置した前記保持器を通して供給される前記石炭乾留ガスで前記粒状体層を流動化させた流動層で構成されることを特徴とする、請求項2に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  5. 前記固体カーボン分離機構が、前記流動層の下流側に粒状体回収器および粒状体還流路を備えることを特徴とする、請求項4に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  6. 前記固体カーボン分離機構が、
    前記保持器を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去するための保持器昇降装置と、
    前記炭化炉内の下部または前記炭化炉の下方に配置され、かつ、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間であって、前記反応領域から除去された固体カーボンを貯留するための非反応部と
    を備えることを特徴とする、請求項2に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  7. 石炭乾留ガスを生成する石炭乾留炉と、
    前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして排出する炭化炉と、
    前記改質ガスを回収する改質ガス回収手段と、
    をこの順に配置した水素ガス製造装置であって、
    ・前記炭化炉の反応領域に設けられ、前記石炭乾留ガスと接触するように固体カーボンを保持する固体カーボン保持機構と、
    ・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記炭化炉内の少なくとも反応領域から除去して、前記炭化炉の非反応部に固体カーボンとして回収する固体カーボン分離機構と、
    を備え、
    ・前記固体カーボン保持機構が、積層された複数の粒状体で形成される粒状体層とこの粒状体層を保持する保持器によって構成され、
    ・前記固体カーボン分離機構が、前記保持器を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去するための保持器昇降装置と、
    前記炭化炉内の下部または前記炭化炉の下方に配置され、かつ、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間であって、前記反応領域から除去された固体カーボンを貯留するための非反応部と
    を備えることを特徴とする、石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  8. 前記粒状体が前記石炭乾留ガスの熱分解触媒であることを特徴とする、請求項から7のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  9. 前記熱分解触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項8に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  10. 前記石炭乾留炉がコークス炉であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  11. 前記石炭乾留ガス中の炭化される炭化水素がタールガスであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造装置。
  12. 水分濃度を調整した石炭から石炭乾留ガスを生成させ、前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして回収する、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法であって、
    ・前記反応を、前記石炭乾留ガスと接触するように、前記炭化によって生じた固体カーボンを保持する反応領域で行い、
    ・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記反応領域から除去して、固体カーボンとして回収する、
    ことを特徴とする石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  13. 前記反応を、前記反応領域に配置した、前記固体カーボンを保持するための粒状体で形成される粒状体層において行うことを特徴とする、請求項12に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  14. 前記固体カーボンの保持と回収を、前記炭化させる反応部にその上部から前記粒状体を供給して粒状体層を形成し、当該粒状体層に、側方から前記石炭乾留ガスを通気させ、前記粒状体層中に生成した前記固体カ−ボンを、前記炭化させる反応部の下部から前記粒状体とともに前記炭化させる反応部の外に排出した後、前記固体カーボンを前記粒状体から分離することによって行うことを特徴とする、請求項13に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  15. 前記粒状体層を前記石炭乾留ガスで流動化させて流動層とする工程を含むことを特徴とする、請求項13に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  16. 前記流動層からの前記改質ガスと、それに同伴した前記粒状体および前記固体カーボンとを固気分離して、前記改質ガスから分離した前記粒状体を前記流動層に還流させるとともに、固気分離処理後の前記改質ガスからそれに同伴された前記固体カーボンの一部または全部を回収することを特徴とする、請求項15に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  17. 前記固体カーボンの回収を、前記粒状体層を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去して、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間である非反応部に移すことにより行うことを特徴とする、請求項13に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  18. 石炭から石炭乾留ガスを生成させ、前記石炭乾留ガス中の炭化水素の少なくとも一部を反応させて炭化させ、それに伴い生成した水素ガスを含むガスを改質ガスとして回収する、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法であって、
    ・前記反応を、前記石炭乾留ガスと接触するように、前記炭化によって生じた固体カーボンを保持する反応領域で行い、
    ・前記反応領域で生成した炉温相当温度の固体カーボンの少なくとも一部を前記反応領域から除去して、固体カーボンとして回収し、
    ・前記反応を、前記反応領域に配置した、前記固体カーボンを保持するための粒状体で形成される粒状体層において行い、
    ・前記固体カーボンの回収を、前記粒状体層を昇降させることにより、前記反応領域で生成した固体カーボンの少なくとも一部をそこから除去して、前記反応領域から区分されるとともに石炭乾留ガスの流れとの接触の抑制された空間である非反応部に移すことにより行う、
    ことを特徴とする、石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  19. 前記粒状体として、前記石炭乾留ガスの熱分解触媒を使用することを特徴とする、請求項13から18のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  20. 前記熱分解触媒が、ニッケル、マグネシウム、セリウム、アルミニウムを含む複合酸化物であって、アルミナを含まない複合酸化物からなる触媒であり、前記複合酸化物が、NiMgO、MgAl24、CeO2の結晶相からなることを特徴とする、請求項19に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  21. 前記石炭乾留ガスをコークス炉から供給することを特徴とする、請求項12から20のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  22. 前記反応領域において、前記石炭乾留ガス中のタールガスを炭化させることを特徴とする、請求項12から21のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
  23. 前記石炭として、水分濃度を0質量%超4質量%未満に調整した瀝青炭を使用することを特徴とする、請求項12から22のいずれか1項に記載の石炭乾留ガスからの水素ガス製造方法。
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