特許文献1の技術では、Oリングの下端内周縁と穿孔カッタの上端外周縁とを密着させて止水するので、Oリングによる止水性能を適切に発揮させるためには、これらを軽く接触させるのではなく、強固に密着させる必要がある。しかしながら、Oリングの下端内周縁に対して穿孔カッタの上端外周縁を回転させつつ強く押し付けると、Oリングが周溝から外れてしまったり、不適切に変形してしまったりして、Oリングの止水性が損なわれてしまう恐れがある。つまり、特許文献1の技術では、穿孔カッタ上方への漏水を適切に止めることができない恐れがある。穿孔カッタ上方への漏水が多いと、分岐部本体の上端開口にキャップを装着するときに、キャップに対して大きな内水圧がかかるので、キャップの締め付けに大きな力が必要となり、キャップを適切に装着することが困難となる。また、キャップに対して大きな内水圧がかかった状態では、ねじ同士が圧接してしまうので、キャップを取り外すことも困難となる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、分岐サドル継手を提供することである。
この発明の他の目的は、簡単かつ確実に穿孔カッタ上方への漏水を防止できる、分岐サドル継手を提供することである。
第1の発明は、合成樹脂製の本管から分岐を取り出すために本管の外周面に接合される合成樹脂製の分岐サドル継手であって、分岐孔を有するサドル部、分岐孔の周縁部から立ち上がる分岐部本体、分岐部本体から側方に突き出す分岐管接続部、分岐部本体の内周面に形成される雌ねじ部、雌ねじ部の上方において分岐部本体の内周面を縮径させることによって形成され、雌ねじ部よりも内側に突出する縮径座部、および雌ねじ部と螺合する雄ねじ部を有しかつ縮径座部より硬質な材料で形成されるプラグ部と、プラグ部の下方に形成されるカッタ部とを有し、分岐部本体内に上下動可能に設けられる穿孔カッタを備え、縮径座部の下端内周縁には、プラグ部の圧着によって変形して止水性を高める易変形部が形成され、カッタ部によって本管を穿孔した後に穿孔カッタを上昇させて分岐部本体の上端部内に配置するときに、プラグ部の上端外周縁を縮径座部の下端に圧着させることによって、当該穿孔カッタ上方への漏水を止める、分岐サドル継手である。
第1の発明では、分岐サドル継手は、合成樹脂製の本管から分岐を取り出すために本管の外周面に接合される継手であり、ポリエチレン等の合成樹脂によって一体的に形成されるサドル部、分岐部本体および分岐管接続部を備える。分岐部本体の内周面には、雌ねじ部が形成され、雌ねじ部の上方には、分岐部本体の内周面を縮径させることによって縮径座部が形成される。縮径座部の内周面は、雄ねじ部のねじ山の頂点よりも内側に突出する。また、分岐部本体には、穿孔カッタが内蔵される。穿孔カッタは、縮径座部より硬質な材料で形成されるプラグ部とその下方に形成されるカッタ部と有し、プラグ部の外周面に形成される雄ねじ部と分岐部本体の内周面に形成される雌ねじ部との螺合によって、分岐部本体内を上下動可能とされる。
この分岐サドル継手では、穿孔カッタのカッタ部による本管の穿孔後には、分岐管接続部への通水の妨げにならないように、穿孔カッタは上昇されて分岐部本体の上端部内に配置される。このとき、プラグ部の上端外周縁が縮径座部の下端に押し当てられ、これらを圧着させることによって、穿孔カッタ上方への漏水が止められる。また、縮径座部の下端内周縁には、易変形部が形成される。易変形部は、プラグ部の上端外周縁と縮径座部の下端との圧着時に変形することによって、これらをより強固に圧着させてこの間の止水性を高める。
第1の発明によれば、穿孔カッタのプラグ部の上端外周縁を分岐部本体の縮径座部の下端に圧着させることによって止水するので、簡単かつ確実に穿孔カッタ上方への漏水を防止できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、易変形部は、縮径座部の内周面に形成される周方向に延びる環状溝によって形成される。
第2の発明では、縮径座部の内周面には、周方向に延びる環状溝が形成される。環状溝を形成することによって、縮径座部の変形性が向上され、縮径座部の下端内周縁に易変形部が形成される。
第3の発明は、第2の発明に従属し、環状溝が穿孔カッタの適正位置を示す目印となる。
第3の発明では、縮径座部の内周面に形成される環状溝は、縮径座部の下端内周縁に易変形部を形成する機能を有することに加えて、穿孔カッタの適正位置を示す目印としても利用される。つまり、環状溝に2つの機能を持たせるので、分岐サドル継手の構成を簡略化できる。
第4の発明は、合成樹脂製の本管から分岐を取り出すために前記本管の外周面に接合される合成樹脂製の分岐サドル継手であって、分岐孔を有するサドル部、分岐孔の周縁部から立ち上がる分岐部本体、分岐部本体から側方に突き出す分岐管接続部、分岐部本体の内周面に形成される雌ねじ部、雌ねじ部の上方において分岐部本体の内周面を縮径させることによって形成され、雌ねじ部よりも内側に突出する縮径座部、および雌ねじ部と螺合する雄ねじ部を有しかつ縮径座部より硬質な材料で形成されるプラグ部と、プラグ部の下方に形成されるカッタ部とを有し、分岐部本体内に上下動可能に設けられる穿孔カッタを備え、縮径座部の内周面に穿孔カッタの適正位置を示す目印が設けられ、カッタ部によって本管を穿孔した後に穿孔カッタを上昇させて分岐部本体の上端部内に配置するときに、プラグ部の上端外周縁を縮径座部の下端に圧着させることによって、当該穿孔カッタ上方への漏水を止める、分岐サドル継手である。
第4の発明では、分岐サドル継手は、合成樹脂製の本管から分岐を取り出すために本管の外周面に接合される継手であり、ポリエチレン等の合成樹脂によって一体的に形成されるサドル部、分岐部本体および分岐管接続部を備える。分岐部本体の内周面には、雌ねじ部が形成され、雌ねじ部の上方には、分岐部本体の内周面を縮径させることによって縮径座部が形成される。縮径座部の内周面は、雄ねじ部のねじ山の頂点よりも内側に突出する。また、分岐部本体には、穿孔カッタが内蔵される。穿孔カッタは、縮径座部より硬質な材料で形成されるプラグ部とその下方に形成されるカッタ部と有し、プラグ部の外周面に形成される雄ねじ部と分岐部本体の内周面に形成される雌ねじ部との螺合によって、分岐部本体内を上下動可能とされる。
また、第4の発明では、縮径座部の内周面には、分岐部本体の上端部内に穿孔カッタを配置するときの穿孔カッタの適正位置を示す目印が設けられる。
第4の発明によれば、目印を基準として穿孔カッタの適正位置を認識できるので、過度に穿孔カッタを上昇させてしまう恐れがなくなり、縮径座部の破損による止水性能の低下を防止することができる。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、穿孔カッタは、プラグ部の上端から突出し、外周面が縮径座部の内周面に沿う圧着部を備える。
第5の発明では、穿孔カッタは、プラグ部の上端から突出する圧着部をさらに備える。圧着部は、その外周面が縮径座部の内周面に沿うように形成され、縮径座部の内周面と圧着される。
第5の発明によれば、穿孔カッタのプラグ部による止水性をより高めることができる。また、プラグ部の上端外周縁と縮径座部の下端との圧着時における縮径座部の過度な変形を抑制でき、縮径座部の破損による止水性能の低下を防止することができる。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明に従属し、穿孔カッタは、プラグ部の上端外周縁に形成され、上方に向かって突出する環状突起を備える。
第6の発明では、プラグ部の上端外周縁には、上方に向かって突出する断面略三角形状等の環状突起が形成される。
第6の発明によれば、プラグ部の上端外周縁と縮径座部の下端との圧着時に環状突起が縮径座部に食い込むので、より確実に穿孔カッタ上方への漏水を防止できる。
この発明によれば、穿孔カッタのプラグ部の上端外周縁を分岐部本体の縮径座部の下端に圧着させることによって止水するので、簡単かつ確実に穿孔カッタ上方への漏水を防止できる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例である分岐サドル継手10は、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の熱融着可能な合成樹脂によって形成される水道配水管の本管100から分岐管102を取り出す際に、本管100の外周面に電気融着接合されるEF(エレクトロフュージョン)サドル継手である。なお、分岐サドル継手10は、基本的には水道配水管を不断水分岐するための継手であるが、不断水分岐に用いることに限定されず、たとえば、新規に敷設する水道配水管の断水状態での分岐や、下水管やガス管などの分岐に用いることも可能である。
以下、図1−図3を適宜参照して、分岐サドル継手10の全体構成について説明する。図1−図3に示すように、分岐サドル継手10は、本管100と同種の熱融着可能な合成樹脂によって一体的に形成される、サドル部12、分岐部本体14および分岐管接続部16などを備える。この実施例では、サドル部12、分岐部本体14および分岐管接続部16のそれぞれは、ポリエチレンによって形成される。
サドル部12は、本管100の外径曲率とほぼ同じ内径曲率を有する半円筒状の板状体であり、その中央部には、平面視略真円形の分岐孔18が形成される。サドル部12の内径は、たとえば85mmである。また、サドル部12の軸方向の長さは、たとえば160mmであり、その厚さは、たとえば8mmである。
サドル部12の内周面側、すなわち本管100との接合面側には、分岐孔18を中心にして渦巻き状または葛折り状などの任意の形状に配置された電熱線20が埋設される。電熱線20の両端部は、サドル部12の表面から突出して形成される電源接続端子22に接続されており、この電源接続端子22を電源に接続して電熱線20に電流を流すことによって、サドル部12および本管100の接合面の樹脂が加熱溶融される。
また、分岐孔18の周縁部には、サドル部12の径方向外側(上方)に向かって立ち上がる短管状の分岐部本体14が形成される。分岐部本体14の軸方向長さは、たとえば170mmであり、その内径は、たとえば50mmである。分岐部本体14の軸方向における略中央部には、側方に突出する短管状の分岐管接続部16が形成され、この分岐管接続部16に継手などを介して分岐管102が接続される。分岐管接続部16の内径は、たとえば50mmである。
分岐部本体14の外周面上端部には、雄ねじ部24が形成される。また、雄ねじ部24よりも上方の分岐部本体14の外周面には、周溝26が形成され、この周溝26にはOリング28が装着される。
分岐部本体14の上端部には、その上端開口を封止するためのキャップ30が装着される。キャップ30は、分岐部本体14などと同種の合成樹脂(この実施例ではポリエチレン)によって、側壁および天壁を含む有頂円筒状に形成される。キャップ30の側壁内周面の下部には、分岐部本体14の雄ねじ部24と螺合する雌ねじ部32が形成されており、キャップ30の雌ねじ部32を分岐部本体14の雄ねじ部24に螺合させてキャップ30を下方に締め込んでいくことによって、分岐部本体14の上端部にキャップ30が装着される。また、キャップ30の側壁内周面の上部には、雌ねじ部32から段差状に少し縮径した非ねじ部34が形成される。この非ねじ部34は、分岐部本体14にキャップ30が装着されたときにOリング28に押し当てられ、周溝26との間でOリング28を圧縮する。
また、分岐部本体14の内周面には、上端部を除くその全体に雌ねじ部36が形成される。雌ねじ部36は、分岐孔18の内周面にも連続して形成される。図3からよく分かるように、雌ねじ部36の上方には、分岐部本体14の内周面を縮径させることによって縮径座部38が形成される。つまり、分岐部本体14の内周面上端部は、雌ねじ部36の最上位のねじ山から上方に所定間隔を隔てて段差状に縮径しており、そこに縮径座部38が形成される。縮径座部38は、分岐部本体14の上端まで形成されており、縮径座部38の内周面は、雄ねじ部36のねじ山の頂点よりも内側に突出する。この縮径座部38の下端40は、後述する穿孔カッタ46のプラグ部48の上端外周縁が押し当てられる(圧着される)当接部となり、その下端40内周縁(易変形部)は、プラグ部48の圧着により変形することによって止水性を高める(図7参照)。また、雄ねじ部36の最上位のねじ山と縮径座部38の下端40との間には、ねじが切られていない非ねじ部分であるねじ逃げ部42が形成される。縮径座部38の内径は、たとえば44.3mmである、つまり、ねじ逃げ部42の内周面を基準とする縮径座部38の突出高さは、たとえば2.9mmである。
また、縮径座部38の内周面には、環状溝44が設けられる。環状溝44は、断面略矩形状の溝であって、縮径座部38の内周面に対して、周方向の全長に亘って連続して延びるように形成される。環状溝44の幅、つまり環状溝44の上面と下面との距離は、たとえば1mmである。この環状溝44は、縮径座部38下端部の変形性を向上させてそこに易変形部を形成する機能を有すると共に、穿孔カッタ46の適正位置(上限位置)を示す目印としても利用される。
この実施例では、穿孔カッタ46の上端と環状溝44の上面内周縁とが一致する(面一となる)位置が、穿孔カッタ46の適正位置とされる。作業者は、環状溝44のような目印を基準として穿孔カッタ46の適正位置を認識できるので、過度に穿孔カッタ46を上昇させてしまう恐れがなくなる。これにより、縮径座部38の破損による止水性能の低下を防止することができる。もちろん、環状溝44の下面内周縁や中央高さ位置を基準として穿孔カッタ46の適正位置を示すようにしてもよい。また、穿孔カッタ46の適正位置には幅(適正範囲)があってもよく、たとえば、穿孔カッタ46の上端が環状溝44の下面から上面までの範囲内にあれば、穿孔カッタ46による止水性能が適切に発揮されることを示すようにしてもよい。
そして、分岐部本体14の内部には、穿孔カッタ46が軸方向(上下方向)に移動可能に設けられる。図4に示すように、穿孔カッタ46は、プラグ部48およびカッタ部50等を含み、その全体がステンレス鋼(たとえばSUS304)等の硬質な金属によって一体的に形成される。
プラグ部48は、円柱状または円筒状に形成される。プラグ部48の外周面には、分岐部本体14に形成される雌ネジ部36と螺合する雄ネジ部54が形成される。また、プラグ部48の上端56外周縁には、上方に向かって突出する環状突起56aが形成される。環状突起56aは、上方に向かって鋭利となる断面略三角形状の突起であって、上端56外周縁の全長に亘って延びる。環状突起56aの突出高さは、たとえば0.5mmであり、その先端角度は、たとえば75°である。また、この実施例では、環状突起56aは、その内側と外側とで非対称の形状とされ、内側の側面の方が外側の側面よりも垂直方向に近い角度とされる。具体的には、環状突起56aの外側の側面の水平方向に対する傾斜角度は、たとえば45°であり、環状突起56aの内側の側面の水平方向に対する傾斜角度は、たとえば60°である。
このような環状突起56aの側面の傾斜角度は、分岐部本体14の縮径座部38の下端に対する環状突起56aの食込み性能および圧着性能などを考慮して設定されたものである。すなわち、環状突起56aの先端の角度を75°程度の鋭角にすることによって、分岐部本体14の縮径座部38の下端に対する食込み性能を確保している。その上で、環状突起56aの外側の側面の傾斜角度を45°程度にすることによって、縮径座部38の下端に環状突起56aを食い込ませた際に、環状突起56aの外側の側面と縮径座部38の下端とが圧着され易くしている。また、環状突起56aの内側の側面の傾斜角度を60°程度にする、つまり垂直方向に近づけることによって、縮径座部38の下端に環状突起56aを食い込ませた際に、環状突起56aの内側の側面と縮径座部38の下端との圧着性能を確保しつつ、縮径座部38の下端部が上方にではなく内側に広がるように変形し易くしている。これによって、後述する円筒部58の外周面に対して縮径座部38の内周面が密着し易くなり、止水性能が向上する。ただし、環状突起56aの断面形状および傾斜角度は、これに限定されず、適宜変更可能である。
また、穿孔カッタ10には、環状突起56aから内側に所定距離を隔てた位置において、プラグ部48の上端56から突出する円筒部58が形成される。円筒部58は、その外周面が縮径座部38の内周面に沿うように形成される。円筒部58の突出高さは、たとえば2.5mmである。また、円筒部58の外径は、縮径座部38の内径よりも僅かに小さく設定され、たとえば43.5mmである。このような円筒部58は、後述するように、縮径座部38の過度の変形を防止する機能を有すると共に、外周面が縮径座部38の内周面と圧着される圧着部として機能する。
また、プラグ部48の上部および円筒部58には、回転工具(図示せず)と係合する六角穴などの回転工具係合部60が形成される。回転工具を用いて穿孔カッタ46に回転力を与えると、穿孔カッタ46は、雌ネジ部36と雄ネジ部54との螺合によって分岐部本体14内を軸方向に移動する。つまり、分岐部本体14内において、穿孔カッタ46の軸方向位置は自由に調整できる。また、プラグ部48には、回転工具係合部60の底部から下方に延びる貫通孔62が形成される。本管100の穿孔時には、この貫通孔62を介して本管100の状態などを確認できる。
カッタ部50は、円筒状に形成され、プラグ部48の下端外周縁から下方に突出するように形成される。カッタ部50の先端は、下方に向かって鋭利となる形状に形成されている。カッタ部50の先端角は、たとえば60°であり、カッタ部50の厚みは、たとえば0.8mmである。また、カッタ部50の内周面には、螺旋状に延びる断面三角形状の小突起64が形成される。この小突起64は、本管100を穿孔した際の切取り片104(図6参照)を、カッタ部50内部に確実に保持しておくための保持部として機能する。
このような穿孔カッタ46を分岐部本体14内に取り付けるときには、サドル部12の分岐18から分岐部本体14内に穿孔カッタ46を挿入するとよい。そして、回転工具を用いて穿孔カッタ46を回転させて上昇させ、分岐部本体14の軸方向中央部などに穿孔カッタ46を保持させておくとよい。
続いて、このような分岐サドル継手10を用いて、不断水分岐によって本管100から分岐を取り出す管の分岐方法について説明する。
先ず、本管100に対して分岐サドル継手10を電気融着接合する。具体的には、本管100の所望の位置に分岐サドル継手10を載置し、クランプ等の固定具(図示せず)を使用して、本管100外周面とサドル部12内周面とが密着するように固定する。そして、サドル部12内に埋設した電熱線20に通電して発熱させ、本管100外周面とサドル部12内周面とを融着接合する。その後、分岐サドル継手10の分岐管接続部16に対して分岐管102を接続する。
次に、図5に示すように、穿孔カッタ46を用いて本管100を穿孔する。具体的には、穿孔カッタ46の回転工具係合部60に回転工具(図示せず)の端部を挿し込んで、回転工具によって穿孔カッタ46を回転させることにより穿孔カッタ46を下降させる。そして、カッタ部50の先端部が本管100の内周面に到達するまで、カッタ部50によって本管100を穿孔していく。
本管100の穿孔後は、穿孔カッタ46が本管100から分岐管102に流れ込む水と干渉しないように、回転工具を用いて穿孔カッタ46を逆回転させることによって上昇させ、図6に示すように、分岐部本体14の上端部内に穿孔カッタ46を配置する(回避させる)。この際、本管100の管壁から分離した切取り片104は、カッタ部50の内周面に形成された小突起64と係合してカッタ部50内に確実に保持され、本管100には開口106が形成される。なお、切取り片104の外側面に対してカッタ部50の小突起64が食い込み、切取り片104の外側面とカッタ部50の内周面とが圧着されるので、穿孔カッタ46内を通る水は切取り片104によって確実に止められる。また、分岐部本体14内において穿孔カッタ46を移動させる際には、穿孔カッタ46のプラグ部48の外周面と分岐部本体14の内周面との間にはOリング等の止水部材が何ら介在しない。このため、分岐部本体14内における穿孔カッタ46の移動時には、大きな操作力が必要とならず、穿孔カッタ46を容易に移動させることができる。
そして、図7からよく分かるように、穿孔カッタ46を分岐管本体14の上端部内に配置するときには、プラグ部48の上端56外周縁を縮径座部38の下端40に押し当てて、これらを圧着させることによって、穿孔カッタ46上方への漏水を止める。
具体的には、穿孔カッタ46の円筒部58の上端と環状溝44の上面内周縁とが一致する位置、つまり環状溝44が円筒部58によって隠れる位置まで穿孔カッタ46を上昇させる。このとき、穿孔カッタ46のプラグ部48が縮径座部38(分岐サドル継手10)を形成する合成樹脂よりも硬質な材料によって形成されていることによって、環状突起56aが縮径座部38に食い込み、環状突起56aを含むプラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40とが圧着されて、この部分が水密に閉塞される。また、環状突起56aが縮径座部38に食い込むことによって、縮径座部38の下端部が内側に広がるように変形し、縮径座部38の内周面と円筒部58の外周面とが圧着される。つまり、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40との圧着に加えて、縮径座部38の内周面と円筒部58の外周面とが圧着する(円筒部58が圧着部として機能する)ことによってこの部分も水密に閉塞されるので、止水性能がより向上する。この際、穿孔カッタ46の適正位置を示す目印を環状溝44として形成することによって、環状溝44より下の縮径座部38下端部の変形性が向上するので、円筒部58の外周面に対して縮径座部38の内周面がより強固に圧着される。つまり、環状溝44は、目印として機能すると共に、縮径座部38下端部の変形性を向上させて下端40内周縁に易変形部を形成する機能も有する。そして、縮径座部38の下端40内周縁が易変形部となることによって、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40とが、また、縮径座部38の内周面と円筒部58の外周面とがより強固に圧着されて止水性が高まる。また、プラグ部48の上方に円筒部58を設けておくことによって、縮径座部38下端部の変形は、円筒部58で止められる。つまり、縮径座部38の過度な変形が円筒部58によって抑制されるので、縮径座部38の破損による止水性能の低下を防止することができる。
分岐管本体14の上端部内に穿孔カッタ46を配置した後(つまり穿孔カッタ46上方への漏水を止めた後)、続いて、キャップ30を分岐部本体14の上端部に装着して分岐部本体14の上端開口を封止する(図1参照)。この際、キャップ30には内水圧が作用しないので、容易にキャップ30を装着することができる。キャップ30を分岐部本体14に装着することによって、キャップ30の内周面と分岐部本体14の外周面との間がOリング28によって止水されると共に、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40との圧着によってこの間が止水される所謂ダブルシールの状態となり、分岐部本体14の上端開口からの漏水が確実に防止される。
この実施例によれば、穿孔カッタ46のプラグ部48の上端56外周縁を分岐部本体14の縮径座部40の下端に圧着させることによって、穿孔カッタ46の外周面と分岐部本体14の内周面との間を通る水を止めるので、簡単かつ確実に穿孔カッタ46上方への漏水を防止できる。これにより、キャップ30の着脱が容易となってキャップ30を確実かつ適切に操作できるようになる。
また、Oリング等の止水部材を別途用いることなく、穿孔カッタ46上方への漏水を止めるので、部品点数を削減できる上、分岐部本体14または穿孔カッタ46のプラグ部48に止水部材を取り付ける手間を省略することもでき、作業性が向上する。
さらに、プラグ部48の上端56外周縁に環状突起56aを形成し、この環状突起56aを縮径座部40に食い込ませて止水するので、より確実に穿孔カッタ46上方への漏水を防止できる。
さらにまた、プラグ部48の上方に円筒部(圧着部)58を設けたので、プラグ部48による止水性をより高めることができる。また、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40との圧着時における縮径座部38の過度な変形を抑制でき、縮径座部38の破損による止水性能の低下を防止することができる。
また、環状溝44を形成することによって縮径座部38の下端40内周縁に易変形部を形成したので、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40とを、また、縮径座部38の内周面と円筒部58の外周面とをより強固に圧着させることができ、止水性を高めることができる。
なお、上述の実施例では、環状突起56aが縮径座部38に完全に食い込んで、プラグ部48の上端56外周縁の全体が縮径座部38の下端40に圧着する最も止水性の高い状態まで穿孔カッタ46を上昇させているが、穿孔カッタ46による止水機能は、環状突起56aの先端部が縮径座部38に食い込んだ時点で発揮されるので、この高さ位置で穿孔カッタ46の上昇を止めるようにしてもよい。また、環状突起56aの先端部が縮径座部38に食い込んだ状態から、プラグ部48の上端56外周縁の全体が縮径座部38の下端40に圧着する状態までを穿孔カッタ46の適正範囲とし、この適正範囲を環状溝(目印)44によって示すようにしてもよい。
続いて、図8−図10を参照して、この発明の他の実施例である分岐サドル継手10について説明する。この実施例では、分岐部本体14の縮径座部38の下端40および穿孔カッタ46のプラグ部48の上端56の構成が、上述の図1等に示す実施例と異なる。その他の部分の構成については同様であるので、上述の実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図8に示すように、分岐サドル継手10の分岐部本体14の内周面には、上端部を除くその全体に雌ねじ部36が形成される。また、雌ねじ部36の上方には、分岐部本体14の内周面を縮径させることによって形成される縮径座部38が形成される。そして、この実施例では、縮径座部38の下端40内周縁(内周面下部)には、上方に向かって縮径するテーパ状の傾斜面40aが形成される。傾斜面40aの水平方向に対する傾斜角度は、たとえば60°であり、その軸方向長さは、たとえば2mmである。また、傾斜面40aの上方には、穿孔カッタ46の適正位置を示す目印となる環状溝44が設けられる。この実施例では、穿孔カッタ46の上端と環状溝44の下面内周縁とが一致する位置が、穿孔カッタ46の適正位置とされる。
一方、図9に示すように、分岐部本体14の内部に設けられる穿孔カッタ46は、プラグ部48およびカッタ部50等を含む。プラグ部48の外周面には、上端部を除くその全体に対して、分岐部本体14の雌ネジ部36と螺合する雄ネジ部54が形成される。そして、この実施例では、プラグ部48の上端56外周縁(外周面上部)には、上方に向かって縮径するテーパ状の傾斜面56bが形成される。傾斜面56bの水平方向に対する傾斜角度は、たとえば縮径座部38の傾斜面40aと同じに設定されて60°であり、その軸方向長さは、たとえば5mmである。
図8および図9に示す分岐サドル継手10において、本管100の穿孔後に分岐管本体14の上端部内に穿孔カッタ46を配置するときには、プラグ部48の上端56外周縁を縮径座部38の下端40に押し当てて、これらを圧着させることによって、穿孔カッタ46上方への漏水を止める。具体的には、図10に示すように、穿孔カッタ46のプラグ部48の上端56と環状溝44の下面内周縁とが一致する位置まで穿孔カッタ46を上昇させる。このとき、縮径座部38の下端40内周縁の傾斜面40aとプラグ部48の上端56外周縁の傾斜面56bとがこすり合わされるようにして圧着されて、この部分が水密に閉塞される。この際、プラグ部48の傾斜面56bは、縮径座部38の内周面と圧着される圧着部としても機能する。また、環状溝44を形成することによって、環状溝44より下の縮径座部38下端部の変形性が向上するので、縮径座部38の傾斜面40aとプラグ部48の傾斜面56bとがより強固に圧着される。つまり、縮径座部38の下端40内周縁が易変形部となることによって、縮径座部38の傾斜面40aとプラグ部48の傾斜面56bとがより強固に圧着されて止水性が高まる。
図8および図9に示す実施例においても、図1等に示す実施例と同様に、穿孔カッタ46のプラグ部48の上端56外周縁を分岐部本体14の縮径座部40の下端に圧着させることによって、穿孔カッタ46の外周面と分岐部本体14の内周面との間を通る水を止めるので、簡単かつ確実に穿孔カッタ46上方への漏水を防止できる。これにより、キャップ30の着脱が容易となってキャップ30を確実かつ適切に操作できるようになる。
また、Oリング等の止水部材を別途用いることなく、穿孔カッタ46上方への漏水を止めるので、部品点数を削減できる上、分岐部本体14または穿孔カッタ46のプラグ部48に止水部材を取り付ける手間を省略することもできる。
なお、プラグ部48の上端56外周縁に傾斜面56bを形成する場合であっても、図11に示す穿孔カッタ10ように、プラグ部48の上端56から突出する円筒部58を形成することもできる。この場合には、たとえば、図12に示すように、穿孔カッタ46の円筒部58の上端と環状溝44の上面内周縁とが一致する位置を穿孔カッタ46の適正位置とし、本管100の穿孔後に分岐管本体14の上端部内に配置するときには、環状溝44が円筒部58によって隠れる位置まで穿孔カッタ46を上昇させるようにするとよい。
また、縮径座部38の下端40内周縁の傾斜面40aとプラグ部48の上端56外周縁の傾斜面56bとは、必ずしも同じ角度で傾斜している必要はなく、異なる角度で傾斜させるようにしてもよい。この場合には、縮径座部38の傾斜面40aに対してプラグ部48の傾斜面56bを押し当てるときに、プラグ部48の傾斜面56bによって縮径座部38の傾斜面40aを潰して、プラグ部48の傾斜面56bに沿うように縮径座部38の傾斜面40aを変形させるとよい。これによって、傾斜面40a,56b同士がより強固に圧着されるので、止水性能がより向上する。
さらに、プラグ部48の上端56外周縁に傾斜面56bを形成する場合であっても、必ずしも縮径座部38の下端40内周縁に傾斜面40aを形成する必要はなく、縮径座部38の下端40を平坦に形成しておいてもよい。この場合には、図13に示すように、本管100の穿孔後に分岐管本体14の上端部内に配置するときには、プラグ部48の傾斜面56bを縮径座部38の下端40の角部に押し当て、この下端40角部を潰してプラグ部48の傾斜面56bに沿うように変形させるとよい。これによって、プラグ部48の上端56外周縁と縮径座部38の下端40とが強固に圧着されるので、止水性能がより向上する。この際、プラグ部48の傾斜面56bは、縮径座部38の内周面と圧着される圧着部としても機能する。また、環状溝44を形成することによって、環状溝44より下の縮径座部38下端部の変形性が向上するので、プラグ部48の傾斜面56bと縮径座部38の下端40および内周面とがより強固に圧着される。つまり、縮径座部38の下端40角部(内周縁)が易変形部となることによって、プラグ部48の傾斜面56bと縮径座部38の下端40および内周面とがより強固に圧着されて止水性が高まる。また、プラグ部48の上端56に円筒部58を形成しておけば、下端40角部が変形することによって、縮径座部38の内周面と円筒部58の外周面とが圧着される(つまり円筒部58も圧着部として機能する)ので、止水性能がより向上する。また、円筒部58によって縮径座部38の下端40角部の過度な変形が抑制されるので、縮径座部38の破損による止水性能の低下を防止できる。
また、図示は省略するが、この発明の他の実施例として、分岐部本体14の雄ねじ部24およびキャップ30の雌ねじ部32の少なくとも一方に対して、軸方向に延びる1または複数の水抜溝を形成することもできる。水抜溝は、たとえば、雄ねじ部24または雌ねじ部32の周方向の一部が切り欠かれることによって形成される。このような水抜溝を形成することによって、仮に、穿孔カッタ46上方への漏水が生じた場合でも、キャップ30内から外部に適切に水を排出することができる。したがって、キャップ30内に水が充満してキャップ30の締め付けに必要な締付トルクが上昇してしまうことを防止できる。
なお、上述の各実施例では、穿孔カッタ46の全体を金属によって一体的に形成するようにしたが、これに限定されない。カッタ部50は、本管100を穿孔可能な強度を有する硬質な材料で形成されていればよく、また、プラグ部48は、縮径座部38を押し潰すことができるように、縮径座部38よりも硬質な材料で形成されていればよい。このため、プラグ部48とカッタ部50とが別材料で形成されていてもよい。たとえば、プラグ部48をポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、および繊維強化プラスチック等の合成樹脂によって形成し、カッタ部50をステンレス鋼などの金属によって形成することもできる。また、たとえば、プラグ部48とカッタ部50とが相対回転可能とされていてもよい。
また、上述の各実施例では、縮径座部38を分岐部本体14の上端まで形成しているが、縮径座部38は、必ずしも分岐部本体14の上端まで形成されている必要はない。つまり、縮径座部38の上方において分岐部本体14の内周面が再び拡径されていても構わない。
さらに、上述の各実施例では、穿孔カッタ46の適正位置を示す目印として環状溝44を採用したが、環状溝44の断面形状などは、適宜変更可能である。また、環状溝44は、必ずしも周方向の全長に亘って連続して延びる必要はなく、周方向に分散して配置されるようにしてもよい。さらに、穿孔カッタ46の適正位置を示す目印は、突起や標線であってもよい。
また、上述の各実施例では、分岐サドル継手10として融着接合型のサドル継手(EFサドル継手)を例示したが、分岐サドル継手10は、メカニカル型や接着接合型のサドル継手であってもよい。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。