JP6311386B2 - 工具洗浄装置及び工作機械 - Google Patents
工具洗浄装置及び工作機械Info
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Description
貯留容器に貯留されている洗浄液は、ノズルから噴射される。ノズルから噴射された洗浄液は、工具に付着している切削屑を洗い流す。工具洗浄後の洗浄液は、回収されて貯留槽に貯留される。故に、貯留槽に貯留されている洗浄液には、切削屑が混入している。貯留槽に貯留されている洗浄液は、フィルタによって濾過されてから貯留容器に貯留される。
洗浄液を噴射する直前に貯留容器の貯留量が不足している(以下、貯留不足という)と、工具を洗浄することができない。
高粘度の洗浄液を使用する場合、洗浄液を補給時間供給し続けることによる洗浄液の1回の補給量は、低粘度の洗浄液を使用する場合よりも少ない。何故ならば、高粘度の洗浄液の場合、濾過の際の圧力損失が低粘度の洗浄液の場合よりも大きいからである。
高粘度の洗浄液を基準にした補給時間は、低粘度の洗浄液を基準にした補給時間よりも長い。従って、洗浄液の補給量は、高粘度の洗浄液を使用している場合には十分である。低粘度の洗浄液を使用している場合、洗浄液の補給量は過剰である。貯留容器の貯留上限を超過した分(いわゆるオーバーフロー分)の洗浄液は、貯留槽に戻る。
従って、フィルタが目詰まりを起こすことも考慮して補給時間を長めに設定すれば、貯留不足の発生は更に抑制できる。
貯留容器に戻った洗浄液は、フィルタによって濾過したものである。貯留槽に貯留している洗浄液は、切削屑が混入している。故に、オーバーフロー分の洗浄液を貯留槽へ戻すことによって、一旦濾過した洗浄液に再び切削屑が混入する、という不都合が生じる。
前述した問題を解消する為に、洗浄液の粘度とフィルタの目詰まりの度合いを夫々検出し、検出結果に応じて補給時間を変更することが考えられる。
しかしながら、洗浄液の粘度とフィルタの目詰まりの度合いとを夫々検出するために新たなハードウェアを追加することは、工具洗浄装置のハードウェア構成を複雑にしてしまうので、あまり望ましいものではない。
ただし、洗浄液の噴射終了後に貯留容器の貯留量が所定の下限量以下であることがまだ1回もない場合には、供給部による洗浄液の供給は所定の供給時間実行される。
そこで、洗浄液の噴射終了後に貯留容器の貯留量が所定の下限量以下であることが起きた後には、供給部による洗浄液の供給が、供給時間よりも長い延長時間(いわば、供給時間が延長されたもの)実行される。
従って、延長時間の初期値は、従来(前述の補給時間)より短く設定しても特段の問題はない。故に、洗浄液のオーバーフローの発生が抑制される。この結果、貯留不足を抑制しつつ、フィルタの負担を軽減することができる。
所定条件が成立している場合とは、貯留不足が起こり易い場合である。この場合には、最も長い追加時間、洗浄液を供給することによって、貯留容器に十分な量の洗浄液を貯留させることができる。
ノズルからの洗浄液の噴射頻度が高い(又は低い)場合とは、工具が頻繁に(又は時々)交換されている場合である。この場合には、貯留不足が起こり易い(又は起こり難い)。
換言すれば、ノズルからの洗浄液の噴射頻度の高低に基づいて、貯留不足が起こり易い状況か否かを判定することができる。
ノズルからの洗浄液の噴射頻度の高低は、ノズルからの洗浄液の噴射履歴に基づいて、容易に求めることができる。
所定の表示とは、例えばフィルタの目詰まりに関する報知である。何故ならば、洗浄液の噴射終了後に貯留容器の貯留量が所定の下限量以下である場合には、フィルタが目詰まりしている可能性があるからである。
故に、供給時間は従来よりも短く設定することができる。この結果、洗浄液のオーバーフローの発生を抑制することができる。従って、オーバーフローの発生に起因するフィルタの負担を軽減することができる。
図1、図2に示す如く、工作機械1は基台2上に制御箱3、コラム4を備えている。コラム4は基台2後部の左右方向中央に垂直に立ち上がる支柱である。制御箱3はコラム4の後側に取り付けてある。
工作機械1はコラム4の前側に加工室を備えている。加工室は内部に、前後及び左右に移動可能な加工テーブル(図示略)を備えている。工作機械1は加工テーブル上のワーク(図示略)を切削加工する。
図4に示す如く、工具収納部17はチェーン16に取り付けた複数の工具ポッド15を備えている。工具ポッド15は工具本体20を取り付けた工具ホルダ21(図6参照)を保持する。工具ポッド15はチェーン16が循環することで移動し、工具本体20、工具ホルダ21を交換位置(図4の下位置)に搬送する。交換位置で工具ポッド15は、工具本体20及び工具ホルダ21を工具収納部17の外に送り出す。工具本体20及び工具ホルダ21は、工具Bを構成している。
交換アーム18aは工具ホルダ21を掴んだ状態で下降し、工具Bを工具ポッド15、主軸6から外す。交換アーム18aは下降後に180°旋回する。工具Bは交換位置から主軸6の下位置に、又は主軸6の下位置から交換位置に移動する。交換アーム18aは旋回後に上昇し、工具Bを主軸6又は工具ポッド15に嵌め込む。
主軸6は下面に開口する工具取付穴19を備えている。工具取付穴19は主軸装着部21aと対応する円錐形の穴である。工具ホルダ21は工具取付穴19に主軸装着部21aを嵌め込むことで主軸6に取り付ける。工具ホルダ21は主軸装着部21aを工具取付穴19に密着し、且つ工具保持部21bの上端面21cを主軸6下面に密着することで位置決めされる。
工具本体20は主軸6と共に回転する。工具本体20は主軸ヘッド5と共に上昇及び下降する。工具本体20は加工室内の加工テーブル上でワークを切削加工する。ワークは加工テーブルと共に、前後方向及び左右方向に移動する。
主軸6は、本発明の実施の形態における加工部として機能する。
主軸キャップ22は下面に環状溝25を有している。環状溝25は端面カバー24の外周よりも外側に形成してある。環状溝25は主軸キャップ22下面に取り付けた環状のノズル形成部材26で塞いである。ノズル形成部材26は環状に形成し、下面に開口する環状のノズル穴29(図5及び図6参照)を複数個均等に配置している。ノズル形成部材26の下面は主軸6下端面と略同じ高さである。ノズル穴29は主軸ヘッド5と主軸6の中心に向けて斜めに形成してある。
貯留槽11は箱形の容器であり、加工室内に供給する洗浄液Aを収容している。回収槽12、第1ポンプ13、第2ポンプ14、及び減圧槽53は貯留槽11の上に設置してある。
洗浄液ユニット10は基台2の後側に着脱可能である。図1は洗浄液ユニット10を取外した状態を示している。図2は洗浄液ユニット10を取り付けた状態を示している。回収槽12は基台2後側の排出部2a(図1参照)に接続可能である。回収槽12は排出部2aに集まる使用済の洗浄液Aを回収する。回収槽12は貯留槽11に連続している。回収槽12に回収された洗浄液Aは濾過装置(図示略)を通って貯留槽11内に戻る。
洗浄液管31は下流側が途中で分岐している。洗浄液管31の下流側一端部は、加工室の内部へ延びている。洗浄液管31の下流側一端部には、図示しない洗浄液ノズルが設けられている。洗浄液管31の下流側他端部は、洗浄液管32の上流側端部に接続されている。
洗浄液Aは、洗浄液管31の下流側一端部及び第2洗浄液管の下流側端部夫々に設けられている洗浄液ノズルから加工室内に噴射される。加工室内に噴射された洗浄液Aは、加工室内部で加工中の工具Bとワークを冷却する。
貯留容器50に貯留されている洗浄液Aの液面が、液面センサ36の取り付け位置にある場合、貯留容器50に貯留されている洗浄液Aの量は、所定の下限量である。本実施の形態では、下限量は、1回の洗浄で洗浄ノズル30から噴射される洗浄液Aの量である。
液面センサ36は、本発明の実施の形態における検出部として機能する。
また、洗浄液Aの噴射後に液面センサ36がオフである場合とは、想定よりも高粘度の洗浄液Aが用いられている場合、又は、次に説明するフィルタ33が目詰まりを起こしている場合である。
フィルタ33は、洗浄液Aを濾過する。フィルタ33によって洗浄液Aから取り除かれた異物(主に切削屑)は、フィルタ33の目詰まりの原因となる。
逆止弁34はフィルタ33の下流側に配置してある。逆止弁34は洗浄液管32内で洗浄ノズル30に向かう流れを通し、且つ洗浄液管31に向かう流れを止める。
空圧源39には、空気路40,41及び加圧路42が接続されている。空気路40の下流側には空気路46が接続されている。
加圧路42は、下流側が貯留容器50の上部に連通している。加圧路42の中途には、絞り弁48及び逆止弁49が備えられている。
絞り弁48は空圧源39からの給気を許可又は禁止する。通常、絞り弁48は給気の許可を選択している。
逆止弁49は絞り弁48よりも下流側に配されており、貯留容器50からの空気の逆流を止める。
逆止弁34の下流側において、洗浄液管32と洗浄液ホース28との接続部には、給液弁35が配置してある。給液弁35は通常時は閉位置にある。給液弁35は空気路40に接続してある。給液弁35は、空気路40を通して供給される空気圧の作用で開位置に切り換わる。
図7に示すように、排出路37の中途には、排圧弁38が備えられている。通常時に排圧弁38は開位置にある。排圧弁38は空気路41に接続してある。排圧弁38は空気路41を通して供給される空気圧の作用で閉位置に切り換わる。
排圧弁38が開であると、貯留容器50から減圧槽53へ排出路37を通して空気が通流する。貯留容器50内の空気は、排出路37から減圧槽53に流れ込む際に拡がり、圧力及び速度を減少する(即ち減圧される)。減圧槽53に流れ込んだ空気は、貯留槽11を通して外部へ流出する。
なお、空圧源39を利用しない(又は工場内に空圧源39が存在しない)場合、給液弁35、排圧弁38、及び加圧弁45夫々は、後述する制御部9の動作指令で開閉する電磁弁とすればよい。
操作部91及び表示部92は、工作機械1の前面に配されている。作業者は前側から工作機械1を操作する。
操作部91は、作業者が操作すべきスイッチ、及びキーボード等を有する。作業者は、操作部91を操作することによって、工作機械1にワークの加工を開始させるための加工開始指示を入力する。また、作業者は、操作部91を操作することによって、工作機械1に対して各種情報を入力する。
表示部92は、ランプ、7セグメントディスプレイ、又は液晶ディスプレイ等(各不図示)を有する。表示部92には、工作機械1の運転状況、又は作業者へのメッセージ等が表示される。運転状況又はメッセージ等は、ランプの点灯/消滅/点滅、7セグメントディスプレイが示す数字、又は、液晶ディスプレイが示す文字若しくは記号等を用いて表現される。
制御部9は、工作機械1の制御中枢である。制御部9は、記憶部93に記憶してあるコンピュータプログラムに従って工作機械1の各部の動作(例えば主軸6の回転、第1ポンプ13及び空圧源39夫々のオン/オフ、表示部92における表示、並びに、各後述する第1電磁弁43及び第2電磁弁44夫々のオン/オフ等)を制御する。また、制御部9には、液面センサ36の検出結果(即ち、液面センサ36がオンであるかオフであるか)と、操作部91における操作結果とが入力される。
また、記憶部93は、予め与えられた情報、コンピュータプログラムの実行に伴って制御部9が生成した情報(例えば各種フラグ)、又は操作部91を用いて作業者が入力した情報(例えばワーク加工用のコンピュータプログラム。以下、加工プログラムという)等を記憶する。
時計部94は、現在の日付及び時刻を秒単位まで計時する。
第2電磁弁44は、空気路41の中途における排圧弁38よりも上流側に備えられている。オフ状態の第2電磁弁44は閉位置にある。閉位置にある第2電磁弁44は、第2電磁弁44よりも下流側の空気路41内に残る空気を消音部44aで消音して排出する。第2電磁弁44は、制御部9によってオンにされると開位置に切り換わる。
貯留槽11に貯留されている洗浄液Aは、第1ポンプ13によって、洗浄液管31を経て洗浄液管32に圧送される。
第1電磁弁43のオンによって第1電磁弁43が開状態になる。従って、空圧源39から空気路40を通して給液弁35へ空気が圧送され、空気路40,46を通して加圧弁45へ空気が圧送される。この結果、給液弁35及び加圧弁45は夫々開となる。
第2電磁弁44のオンによって第2電磁弁44が開状態になる。従って、空圧源39から空気路41を通して排圧弁38へ空気が圧送される。この結果、排圧弁38は閉となる。
更に、給液弁35が開であるので、洗浄液管32から洗浄液ホース28を通して洗浄ノズル30へ洗浄液Aが流出する。従って、洗浄ノズル30から洗浄液Aが噴射される。この結果、工具Bに付着している切削屑が、噴射された洗浄液Aによって洗い流される。
貯留槽11に貯留されている洗浄液Aは、第1ポンプ13によって、洗浄液管31を経て洗浄液管32に圧送される。
第1電磁弁43のオフによって第1電磁弁43が閉状態になる。従って、空圧源39から空気路40,46を通して給液弁35及び加圧弁45へ圧送されるべき空気が遮断される。この結果、給液弁35及び加圧弁45は夫々閉となる。
第2電磁弁44のオフによって第2電磁弁44が閉状態になる。従って、空圧源39から空気路41を通して排圧弁38へ圧送されるべき空気が遮断される。この結果、排圧弁38は開となる。
第1ポンプ13によって圧送された洗浄液Aは、洗浄液管32から貯留容器50へ流入する。このとき、第1電磁弁43、第2電磁弁44、及び第1ポンプ13が本発明の実施の形態における供給部として機能し、供給部による貯留容器50への洗浄液Aの供給(即ち洗浄液Aの補給)が実現する。
排圧弁38が開であるので、洗浄液管32から貯留容器50へ洗浄液Aが流入すると、貯留容器50の内部では、排出路37、減圧槽53及び貯留槽11を通して、工作機械1の外部へ空気が流出する。
この場合、給液弁35、排圧弁38、及び加圧弁45が全て閉であるので、第1ポンプ13によって洗浄液Aが洗浄液管32へ圧送されても、洗浄ノズル30から洗浄液Aが噴射することも、貯留容器50に洗浄液Aが補給されることもない。
本実施の形態では、第1電磁弁43がオンであり、第2電磁弁44がオフである態様は使用されない。
図9〜図12の横軸は時間であり、縦軸は貯留容器50の貯留量である。貯留容器50に係る下限量は、横方向の破線で示してある。ただし、図12では、貯留容器50に係る下限量及び上限量を共に破線で示してある。
洗浄液Aは、所定の噴射時間Ta の間、噴射される。この結果、貯留容器50の貯留量は減少する。噴射時間Ta は、予め記憶部93に記憶してある。噴射時間Ta は、例えば5秒である。
洗浄液Aの噴射後、洗浄液Aは、補給時間Tb の間、補給される。補給時間Tb は、例えば5秒である。
この結果、貯留容器50の貯留量は増加し、概ね、洗浄液Aの噴射前の量に戻る。即ち、噴射による減少量と補給による増加量とが略等しい。何故ならば、補給時間Tb は、高粘度の洗浄液A及び目詰まりを起こしているフィルタ33を想定して設定されたものだからである。
この場合も、洗浄液Aは、噴射時間Ta の間、噴射され、洗浄液Aの噴射後、洗浄液Aは、補給時間Tb の間、補給される。
この結果、貯留容器50の貯留量は増加し、洗浄液Aの噴射前の量を超えて、オーバーフローを起こす。即ち、噴射による減少量に比べて補給による増加量が過剰である。オーバーフロー分の洗浄液Aは、排出路37及び減圧槽53を通って貯留槽11へ戻る。即ち、補給時間Tb は、低粘度の洗浄液Aを使用しているか、又は、フィルタ33が目詰まりを起こしていない場合には長すぎる。
この場合も、洗浄液Aは噴射時間Ta の間、噴射される。洗浄液Aの噴射後、洗浄液Aは、供給時間T1 の間、補給される。供給時間T1 は、予め記憶部93に記憶してある。噴射時間Ta は、例えば2秒である。
この結果、貯留容器50の貯留量は増加し、概ね、洗浄液Aの噴射前の量に戻る。即ち、噴射による減少量と補給による増加量とが略等しい。何故ならば、供給時間T1 は、低粘度の洗浄液A及び新品のフィルタ33を想定して設定されたものだからである。
ただし、細い実線で示してある方は、噴射時間Ta の洗浄液Aの噴射後、供給時間T1 の間、洗浄液Aが補給された場合であり、太い実線で示してある方は、噴射時間Ta の洗浄液Aの噴射後、供給時間T1 よりも長い延長時間T2 の間、洗浄液Aが補給された場合である。
故に、複数回(図10では3回)の噴射後、次回(図10では4回目)の噴射直前には、貯留容器50の貯留量が下限量以下である(即ち、貯留不足が起きている)。
本実施の形態では、延長時間T2 は、次の式(1)によって求められる。
T2 =T1 +ΔT×n…(1)
ただし、ΔTは所定の加算時間であり、加算時間ΔTは予め記憶部93に記憶してある。加算時間ΔTは、例えば1秒である。また、nは貯留容器50の貯留量が下限量以下になった回数(以下、減少回数という)である。減少回数が“1”増加する都度、延長時間T2 は加算時間ΔTだけ延長される。
延長時間T2 の補給による増加量が噴射による減少量より少なければ、次回の噴射後も貯留容器50の貯留量が下限量以下になるので、延長時間T2 は延長される。
このようにして、貯留不足を抑制しつつ減少回数が増加する。故に、やがて、補給による増加量が噴射による減少量以上になる。
更に、フィルタ33が目詰まりを起こしていても貯留不足の発生が抑制されるので、フィルタ33の交換時期を遅らせることができる。換言すれば、フィルタ33を延命することができる。
貯留容器50の貯留量が下限量を上回っている間は、延長時間T2 の延長を行なう必要はない。
工具交換の頻度が低い場合(即ち、図10に示すように洗浄液Aの噴射頻度が低い場合)、工具交換に係る洗浄液Aの噴射後、洗浄液Aの補給が終わってから、次の工具交換に係る洗浄液Aの噴射が行なわれる。
洗浄液Aの補給中に次の工具洗浄を行なうべきタイミングになる都度、洗浄液Aの補給が終わるまで次の工具洗浄の開始を後らせると、作業効率が悪化する。洗浄液Aの補給中に次の工具洗浄を行なうべきタイミングになる都度、補給を中止して次の工具洗浄を行なうと、貯留不足が発生し易くなる。
制限時間T0 は、工具交換の頻度が低い場合は延長時間T2 であり、工具交換の頻度が高い場合は追加時間T3 である。
このときにオーバーフローが起こる可能性はあるが、一般には工具交換の頻度が高くなるのは一時的なものなので、通常、継続的に追加時間T3 の補給が行なわれることはない(即ち、次回は延長時間T2 の間、洗浄液Aが補給される)。故に、オーバーフローの頻発は抑制される。
延長時間T2 は式(1)によって求められるものに限定されず、一定値でもよい。この場合の延長時間T2 は、例えば20秒である。
追加時間T3 は一定値に限定されず、例えば工具交換の頻度に応じて変更(即ち工具交換の頻度が高いほど長く)されてもよい。
工具交換処理は、加工プログラムにおける工具交換命令を含んだブロックが実行されることによって、実行開始される。
制御部9は、工具収納部17の動作を制御することによって、工具収納部17に収納されており、主軸6に装着すべき工具Bを交換位置に搬送する(S10)。
次いで、制御部9は、駆動機構7の動作を制御することによって、主軸ヘッド5を上昇させる(S11)。
次いで、制御部9は、工具交換機構18の動作を制御することによって、交換アーム18aを回転させ(S13)、工具収納部17側の工具Bが主軸6側に移動し、主軸6側の工具Bが工具収納部17側に移動する。即ち、工具Bが交換される。
待機フラグがセットされている場合(S14でYES)、制御部9は、再びS14の処理を実行する。待機フラグがリセットされるまでは後述するS15の処理が行なわれないので、洗浄液Aの噴射が行なわれない。従って、交換された工具Bの洗浄は行なわれない。一旦セットされた待機フラグのリセットは、洗浄液Aの補給が終了した場合に、後述するS56の処理で行なわれる。
S15の処理終了後、制御部9は、工具洗浄フラグがリセットされているか否かを判定し(S16)、まだ工具洗浄フラグがセットされている場合(S16でNO)、再びS16の処理を行なう。故に、後述するS17の処理が行なわれないので、工具Bは、洗浄液Aの噴射(即ち工具Bの洗浄)が終了するまで主軸6には装着されない。
制御部9は、駆動機構7の動作を制御し、主軸ヘッド5を下降させ(S18)、工具交換処理を終了する。
この後、交換後の工具Bを用いたワークの加工が行なわれる。
工具洗浄処理は、加工プログラムの実行が開始された場合に実行開始され、加工プログラムに従ったワークの加工処理及び工具交換処理等と並行して実行される。
制御部9は、制限時間T0 へ供給時間T1 を代入する(S32)。
次に、制御部9は、第1ポンプ13及び空圧源39を共にオンし(S33)、第1電磁弁43をオフにし、第2電磁弁44をオンにする(S34)。その後、制御部9は、工具洗浄フラグ及び待機フラグをリセットする(S35)。S35の処理終了後、制御部9は、処理をS36へ移す。
S34の処理の結果、第1電磁弁43のオフによって給液弁35及び加圧弁45は夫々閉となる。第2電磁弁44のオンによって排圧弁38は閉となる。故に、貯留容器50から洗浄液管32へ洗浄液Aが流出することはない。洗浄液Aは洗浄ノズル30から噴射しない。洗浄液Aは洗浄液管32から貯留容器50へ流入することはない。
液面センサ36がオンであるとき(S36でNO)、制御部9は、工具洗浄フラグがセットされているか否かを判定する(S37)。
工具洗浄フラグがリセットされているとき(S37でNO)、制御部9は、再びS37の処理を実行する。故に、後述するS38の処理(即ち洗浄液Aを噴射させるための処理)は、工具Bの洗浄を開始すべきタイミングに至るまで実行されない。
S39で計時を開始した経過時間がまだ噴射時間Ta 未満であるとき(S41でNO)、制御部9は、再びS41の処理を実行する。
S39で計時を開始した経過時間が、噴射時間Ta 以上であるとき(S41でYES)、制御部9は、第1電磁弁43をオフにし(S42)、工具洗浄フラグをリセットする(S43)。
S42の処理の結果、洗浄液Aの噴射は終了する。S43の処理の終了後、図13に示すS17の処理が実行されるので、洗浄された工具Bが主軸6に装着される。
S43又はS44の処理終了後、制御部9は、図15に示す如く、後述する制限時間設定処理(図16参照)を実行する(S51)。S51では、制限時間T0 が設定される。
S51の処理終了後、制御部9は、第1電磁弁43をオフにしたまま、第2電磁弁44をオフにし(S52)、経過時間tの計時を開始する(S53)。
第1電磁弁43のオフにより、給液弁35及び加圧弁45が閉であるので、貯留容器50から洗浄液管32へ洗浄液Aが流出することも、洗浄ノズル30から洗浄液Aが噴射することもない。排圧弁38が開であるので、洗浄液管32から貯留容器50へ洗浄液Aが流入する。即ち、洗浄液Aの補給が行なわれる。
t≧T0 であるとき(S54でYES)、制御部9は第1電磁弁43をオフにしたまま、第2電磁弁44をオンにし(S55)、待機フラグをリセットし(S56)、経過時間tの計時を終了する(S57)。
t<T0 であるとき(S54でNO)、制御部9は、工具洗浄フラグがセットされているか否かを判定し(S58)、リセットされたままである時は(S58でNO)、処理をS54へ戻す。
従って、工具洗浄フラグがセットされているとき(S58でYES)、制御部9は、処理をS55へ移す。
以上のように、S42の処理が終了する都度、S52〜S58の処理が実行されることによって、洗浄ノズル30から洗浄液Aの噴射が終了する都度、貯留容器50に洗浄液Aが補給される。
K>0であるとき(S59でNO)、制御部9は、表示部92を用いて、フィルタ33の交換時期の判断材料となるような所定の表示を行なう(S60)。
S60の処理では、例えばカウンタKの数値が表示部92に表示される。カウンタKの数値が大きい時、即ち、洗浄液Aの噴射後に貯留容器50の貯留量が下限量以下になった回数が多い時、フィルタ33の目詰まりの度合いが甚だしいと考えられる。従って、作業者は、表示部92に表示されたカウンタKの数値を、フィルタ33の目詰まりの度合いの目安、換言すれば、フィルタ33の交換時期の判断材料にすることができる。
なお、S60の処理で行なうべき表示は、カウンタKの数値の表示に限定されない。例えば、制限時間T0 の設定値が表示されてもよい。この場合、制限時間T0 が長いほど、洗浄液Aの噴射後に貯留容器50の貯留量が下限量以下になった回数が多い(即ち、フィルタ33の目詰まりの度合いが甚だしい)ことがわかる。ただし、制限時間T0 が追加時間T3 に等しいときには、工具Bが頻繁に交換されたことがわかる。
まだ加工プログラムの実行が終了していないとき(S61でNO)、制御部9は、処理を図14に示すS36へ戻す。
制御部9は、制限時間T0 が追加時間T3 に等しいか否かを判定する(S71)。
後述するS74以降の処理がまだ実行されていない時、制限時間T0 は供給時間T1 に等しい。
T0 ≠T3 であるとき(S71でNO)、制御部9は、液面センサ36がオフであるか否か、即ち、洗浄液Aの噴射後に貯留容器50の貯留量が下限量以下になっているか否かを判定する(S72)。S72の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における下限判定手段として機能する。
液面センサ36がオンであるとき(S72でNO)、制御部9は、待機フラグをリセットし(S73)、制限時間設定処理を終了する。
次に、制御部9は、記憶部93から洗浄液Aの噴射履歴を読み出し(S76)、洗浄ノズル30から洗浄液Aが噴射する噴射頻度を演算し(S77)、演算した噴射頻度が高いか否かを判定する(S78)。S77及びS78の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における演算手段として機能する。S78の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における成否判定手段として機能する。
なお、S77及びS78における制御部9は、例えば、最も新しい噴射時刻と、この噴射時刻よりもK個(Kは所定の自然数。例えばK=2)古い噴射時刻との時間差を算出し、算出した時間差が所定の時間差(例えば10秒)以上か否かを判定する。算出した時間差が所定の時間差よりも短い(又は所定の時間差以上)ならば、洗浄液Aの噴射頻度は高い(又は低い)。
故に、制限時間T0 は供給時間T1 よりも長くなる。S79で算出される制限時間T0 は、本発明の実施の形態における延長時間T2 である。
S79の終了後、制御部9は、制限時間設定処理を終了する。この後、S52〜S58の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における第2供給制御手段として機能する。
S81の終了後、制御部9は、制限時間設定処理を終了する。この後、S52〜S58の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における第3供給制御手段として機能する。制限時間T0 は追加時間T3 として機能する。
図16に示すS72でNOのときであっても、1回でもS75以降の処理が実行された後ならば、制限時間T0 は供給時間T1 よりも長い。従って、制限時間T0 は延長時間T2 として機能し、図15に示すS52〜S58の処理を実行する制御部9は、本発明の実施の形態における第2供給制御手段として機能する。
しかも、工作機械1は、洗浄液の粘度又はフィルタの目詰まりの度合いを検出するための新たなハードウェアを必要としない簡易なハードウェア構成である。
6 主軸(加工部)
9 制御部
13 第1ポンプ(供給部)
30 洗浄ノズル(ノズル)
36 液面センサ(検出部)
43 第1電磁弁(供給部)
44 第2電磁弁(供給部)
50 貯留容器
92 表示部
93 記憶部
Claims (5)
- 工具へ洗浄液を噴射するノズルと、
該ノズルへ供給すべき洗浄液を貯留する貯留容器と、
該貯留容器へ洗浄液を供給する供給部と、
該供給部の動作を制御する制御部と、
前記貯留容器に貯留されている洗浄液の量を検出する検出部と
を備える工具洗浄装置において、
前記制御部は、
前記ノズルからの洗浄液の噴射終了後、前記検出部の検出結果に応じて、前記貯留容器に貯留されている洗浄液の量が所定の下限量以下であるか否かを判定する下限判定手段と、
該下限判定手段による判定の終了後、前記供給部による洗浄液の供給を所定の供給時間、実行させる第1供給制御手段と、
前記下限判定手段による判定の終了後、前記供給部による洗浄液の供給を前記供給時間よりも長い延長時間、実行させる第2供給制御手段と
を有し、
前記下限判定手段が、前記下限量以下であると判定するまでは、前記第1供給制御手段による洗浄液の供給を実行し、
前記下限判定手段が、前記下限量以下であると判定した後で、前記第2供給制御手段による洗浄液の供給を実行するようにしてあることを特徴とする工具洗浄装置。 - 前記制御部は、
前記下限判定手段によって前記下限量以下であると判定された回数の増加に応じて、前記延長時間を延長する時間延長手段
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の工具洗浄装置。 - 前記ノズルからの洗浄液の噴射履歴を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記下限判定手段による判定の終了後、前記供給部による洗浄液の供給を前記延長時間よりも長い追加時間、実行させる第3供給制御手段と、
所定条件が成立しているか否かを判定する成否判定手段と、
前記ノズルからの洗浄液の噴射毎に、前記記憶部に前記噴射履歴を記憶させる履歴記憶手段と、
前記記憶部に記憶された噴射履歴に基づき、前記ノズルからの洗浄液の噴射頻度の高低を演算する演算手段と
を更に有し、
前記下限判定手段が、前記下限量以下であると判定した場合は、前記成否判定手段が、前記所定条件が成立していると判定したときに、前記第3供給制御手段による洗浄液の供給を実行し、前記所定条件が否と判定したときに、前記第2供給制御手段による洗浄液の供給を実行するようにしてあり、
前記成否判定手段は、前記噴射頻度が高い場合、前記所定条件が成立していると判定し、前記噴射頻度が低い場合、前記所定条件が否と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の工具洗浄装置。 - 前記下限判定手段が、前記下限量以下であると判定した場合に、所定の表示を行なう表示部を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の工具洗浄装置。
- 着脱可能に工具が装着され、装着されている工具を用いて、ワークに対する加工を行なう加工部と、
該加工部に装着される工具を洗浄する請求項1乃至4の何れか一項に記載の工具洗浄装置と
を備えることを特徴とする工作機械。
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