JP6310387B2 - 選択的に金属化されたプラスチック部品および対応する製造プロセス - Google Patents

Description

本特許出願は、選択的に金属化されたプラスチック部品の分野に関し、特に、自動車産業の分野における選択的に金属化されたプラスチック部品に関する。

選択的に金属化されたプラスチック部品は、一般に、プラスチック材料から形成される１つ以上の金属化部分と、他のプラスチック材料から形成される１つ以上の非金属化部分とから構成される。

選択的に金属化されたこれらのプラスチック部品において、使用される金属化プラスチック材料は一般にアクリロニトリル／ブタジエン／スチレン（ＡＢＳ）であり、また、使用される非金属化プラスチック材料は一般にポリカーボネート（polycarbonate：ＰＣ）である。また、金属化プラスチック材料として、アクリロニトリル／ブタジエン／スチレン（acrylonitrile/butadiene/styrene：ＡＢＳ）とポリカーボネート（ＰＣ）とが結合されて成る混合物を使用することも一般的である。

これらの異なる材料を使用することは好適であり、これは、ＡＢＳまたはＡＢＳ／ＰＣ混合物を電気めっきによって金属化することが容易だからであり、また、ＡＢＳまたはＡＢＳ／ＰＣ混合物の金属化のプロセス中に使用される槽に対してＰＣが良好な化学耐性を有するからである。

それにもかかわらず、ＰＣの機械的特性は、時として、特定の部品の使用に関連する機械的要件を満たすのに不十分であるが、特に自動車識別子のプラスチックシェル、例えば、広げることができない挿入機構が内部に位置付けられるハンズフリーの装置またはキーの例が挙げられる場合には、顧客により定められる機械的要件を満たすのにも不十分である。

後者の場合には、７５００ＭＰａ程度の平衡弾性率と１３５ＭＰａの破壊歪みとを有するポリアミド（polyamide：ＰＡ）を使用することが好適である。しかしながら、ポリアミド（ＰＡ）は、それが金属化プロセス中に使用される槽によって損傷されるため、自動車識別子のシェルの選択的な金属化との関連で使用することができない。

したがって、１つの解決策は、自動車識別子のシェルの金属化部分のためにＡＢＳを使用するとともに、非金属化部分のためにＰＣを使用することである。しかしながら、ＰＣは、２４００ＭＰａ程度の平衡弾性率と６８ＭＰａの破壊歪みとを有する。したがって、ＰＣは、ＰＡよりも衝撃耐性がかなり低く、ＰＡよりもかなり変形でき、製造メーカーの要求を満たさない。

そのため、このタイプのプラスチック部品のために製造メーカーにより定められる機械的特性を保つことが望ましい場合には、そのような材料を使用して、選択的な金属化を有する自動車識別子シェルを形成することは得策ではない。

したがって、本発明の目的のうちの１つは、従来技術の不都合を少なくとも部分的に克服するとともに、機械的特性の向上に対応する選択的に金属化されたプラスチック部品を提供することである。

したがって、本発明は、第１のプラスチック材料から形成される少なくとも１つの第１の非金属化部分と、第２のプラスチック材料から形成される少なくとも１つの第２の金属化部分とを備える選択的に金属化されたプラスチック部品であって、第１のプラスチック材料がポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステル（semiaromatic polyester）であり、第２のプラスチック材料がポリアミドであるプラスチック部品に関する。

本発明の１つの態様によれば、半芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート（polyethylene terephthalate）およびポリブチレンテレフタレート（polybutylene terephthalate）から選択される。

本発明の他の態様によれば、第１のプラスチック材料は、ガラス繊維またはガラスビードタイプのフィラーの付加によって補強される。

本発明の他の態様によれば、プラスチック部品の金属化のために使用される金属化金属はクロム（chromium）またはニッケル（nickel）である。

本発明の他の態様によれば、前記プラスチック部品は自動車識別子のシェルである。

また、本発明は、選択的に金属化されたプラスチック部品の製造のためのプロセスであって、以下の段階、すなわち、
− ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルから形成される少なくとも１つの第１の部分と、ポリアミドから形成される少なくとも１つの第２の部分とを備えるプラスチック部品を用意する段階と、
− 第２の部分の選択的な金属化を得るためにプラスチック部品を電気めっきする段階と、
を含むプロセスにも関連する。

本発明の他の特徴および利点は、例示的で非限定的な例として与えられる以下の説明と選択的に金属化されたプラスチック部品を表わす図１とを読むと、より明確に理解できるようになる。

少なくとも１つの第１の非金属化部分７と少なくとも１つの第２の金属化部分９とを備える選択的に金属化されたプラスチック部品１を示す図。

図１は、少なくとも１つの第１の非金属化部分７と少なくとも１つの第２の金属化部分９とを備える選択的に金属化されたプラスチック部品１を示す。

図１により示されるプラスチック部品１の例は、自動車識別子、より具体的には、キービット３を備えるキー、すなわち、第１の非金属化部分７と、金属化部分９と、キービット３を制御するためのプッシュボタン５とを備えるプラスチックシェルである。

第１の非金属化部分７は、ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルなどの第１のプラスチック材料から形成され、前記半芳香族ポリエステルは、好適には、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）およびポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）から、それらの機械的特性と化学攻撃に対する耐性の特性とに起因して選択される。

この第１の材料の機械的特性は、ガラス繊維またはガラスビードタイプのフィラーを第１の材料に加えることによって高めることができる。

したがって、例えばＰＣ／ＰＢＴ／ガラス繊維混合物においては、１００００ＭＰａ程度の平衡弾性率と、１３０ＭＰａの破壊歪みとを得ることができる。

第２の金属化部分９は、ポリアミド（ＰＡ）などの第２のプラスチック材料から形成される。

電気めっきによるＰＡの金属化は、ＡＢＳの金属化の場合よりもかなり腐食性が低い槽の使用を必要とする。したがって、ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルから成る第１の部分７は、プラスチック部品の電気めっき中に攻撃され、あるいは損傷される危険が殆どない。

また、本発明は、選択的に金属化されたプラスチック部品１の製造のためのプロセスであって、以下の段階、すなわち、
− ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルから形成される少なくとも１つの第１の部分７と、ポリアミドから形成される少なくとも１つの第２の部分９とを備えるプラスチック部品１を用意する段階と、
− １または複数の第２の部分９の選択的な金属化を得るためにプラスチック部品１を電気めっきする段階と、
を含むプロセスにも関連する。

プラスチック部品１の製造中、少なくとも１つの第１の非金属化部分７は、好適にはＰＥＴまたはＰＢＴから選択される、ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルから形成される。ポリカーボネートと混合され、あるいは混合されない半芳香族ポリエステルは、ガラス繊維またはガラスビードタイプのフィラーの付加によって補強することもできる。

更に製造中において、少なくとも１つの第２の金属化部分９はＰＡから形成される。

図１により示されるように、プラスチック部品１の使用に関連する要件にしたがい、審美的基準、あるいは顧客により定められる基準に照らして、同じプラスチック部品１にそれぞれの材料の１つ以上の部分７，９が存在してもよいことは一目瞭然である。

異なる部分７，９を別個に製造した後に組み付けてプラスチック部品１を形成することができ、あるいは、特定の部分７，９を他の部分にオーバーモールドすることができ、あるいは、当業者に良く知られる方法にしたがって特定の部分７，９を同時に形成することができ、これは、最終的なプラスチック部品１によって、また、金属化後に望まれる結果によって決まる。

電気めっき中、プラスチック部品１は、直流電流を用いてプラスチック部品１のポリアミドから成る１または複数の第２の部分９の表面に金属蒸着物を加えることができるようにする異なる槽を通過し、前記金属は、最初は、溶媒中で溶液の陽イオンの形態を成している。

一般に、誘引性および保護に関する懸念から、選択的な金属化は、ポリアミドから成る１または複数の第２の部分９へのクロムの堆積である。他の実施形態において、クロムの堆積は、ニッケルの堆積に取って代えられる。

このように、これらの材料の機械的特性および化学的特性により、それ自体が例えば自動車識別子のシェルの形成に適するべく十分な機械的特性を有する選択的に金属化されたプラスチック部品１を得ることができる。

Claims (7)

1. 選択的に金属化されたプラスチック部品（１）であって、
   電気めっきによって金属化され得ない第１のプラスチック材料から形成される少なくとも１つの第１の非金属化部分（７）と、
   金属化可能な第２のプラスチック材料から形成される少なくとも１つの第２の金属化部分（９）と、
   を備え、
   前記第１のプラスチック材料は、ポリカーボネート（polycarbonate）と半芳香族ポリエステル（semiaromatic polyester）との混合物であり、前記第２のプラスチック材料はポリアミド（polyamide）であり、
   前記第１のプラスチック材料は、ガラスビードタイプのフィラーの付加によって補強されることを特徴とするプラスチック部品（１）。
2. 前記半芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート（polyethylene terephthalate）およびポリブチレンテレフタレート（polybutylene terephthalate）から選択されることを特徴とする請求項１に記載のプラスチック部品（１）。
3. 当該プラスチック部品の金属化のために使用される金属化金属はクロム（chromium）であることを特徴とする請求項１又は２のいずれか一項に記載のプラスチック部品（１）。
4. 前記プラスチック部品は、自動車のキーのシェルであることを特徴とする請求項１から３のいずれか一項に記載のプラスチック部品（１）。
5. 選択的に金属化されたプラスチック部品（１）の製造のためのプロセスであって、以下の段階、すなわち、
   ポリカーボネート（polycarbonate）と半芳香族ポリエステル（semiaromatic polyester）との混合物から形成される少なくとも１つの第１の部分（７）と、ポリアミド（polyamide）から形成される少なくとも１つの第２の部分（９）とを備えるプラスチック部品（１）を用意する段階と、
   前記第２の部分（９）の選択的な金属化を得るために前記プラスチック部品を電気めっきする段階と、
   を含み、
   前記ポリカーボネートと前記半芳香族ポリエステルとの前記混合物は、ガラスビードタイプのフィラーの付加によって補強される製造プロセス。
6. 前記半芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート（polyethylene terephthalate）およびポリブチレンテレフタレート（polybutylene terephthalate）から選択されることを特徴とする請求項５に記載の製造プロセス。
7. 金属化中に堆積される金属はクロム（chromium）であることを特徴とする請求項５から６のいずれか一項に記載の製造プロセス。

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