JP6298912B1 - 乳酸菌の製造方法、及び免疫調節用組成物 - Google Patents

乳酸菌の製造方法、及び免疫調節用組成物 Download PDF

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【課題】過剰な免疫応答を抑える働きをもつIL−10の産生誘導活性が残存し、且つ、過剰な免疫応答を引き起こす働きをもつIL−12の産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌の製造方法、及びそれを有効成分とする免疫調節用組成物を提供する。【解決手段】ラクトバシルス・ペントーサスに属し、IL−10産生誘導活性及びIL−12産生誘導活性を有する乳酸菌を、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ培養することにより、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を生産する。【選択図】 図1

Description

本発明は、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌の製造方法、及び免疫調節用組成物に関する。
乳酸菌などの微生物の一部は、腸内フローラのバランスを改善して腸内腐敗産物の低減や糞便性状を改善する効果のほか、生体の免疫活性を向上させる効果を有することが知られている。微生物による免疫活性化のメカニズムについては、摂取された微生物が胃を通過して小腸に入り、小腸を覆う粘膜上に存在するパイエル板の表面のM細胞からエンドサイトーシスによって微生物が取り込まれ、基底膜側に接触している樹状細胞が微生物を受け取って分解し、その抗原断片をT細胞に提示することによって、T細胞が活性化されることなどが考えられている。このT細胞は、樹状細胞が出すシグナルの種類によって、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞、Treg細胞に分化する。
このうち、Th1細胞は、IFNγ、IL−12等のサイトカインを産出し、細菌やウイルスなどの異物を攻撃、破壊して感染を防御し、更にマクロファージも活性化する。ここで、IL−12は、樹状細胞およびマクロファージのような抗原提示細胞からも分泌されるサイトカインであり、癌細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)や、キラーT細胞(CTL細胞)を活性化したり、IFNγの産生を増強したりする、非常に強力な免疫活性物質として知られている。
また、Treg細胞は、TGFβ、IL−10等のサイトカインを産生し、マクロファージや樹状細胞の活性化を抑制する。ここで、IL−10は、Th2細胞、単球、マクロファージ等からも分泌されるサイトカインであり、マクロファージからのIL−1、IL−6、IL−12、TNFαの産生を抑制したり、IFNγの産生を抑制したりする、免疫抑制物質として知られている。
このようにIL−12には、炎症反応や免疫応答の活性化という正の側面と同時に自己を構成する正常な組織、細胞までも攻撃する過剰な免疫応答をも引き起こしてしまうという負の側面があり、一方、IL−10には、免疫応答の抑制という負の側面と同時に自己に対する異常あるいは過剰な免疫応答を抑制する正の働きが備わると考えられている。
特許文献1には、特定のラクトバチルス・ヘルベティカスに属する乳酸菌が、高いIL−10/IL−12比を誘導する免疫疾患予防剤として用いうることが記載されている。
特開2015−086214号公報
特許文献1に記載された免疫疾患予防剤の、IL−10/IL−12産生比は、その実施例によれば3〜5.5くらいであると推定される。しかし、異常あるいは過剰な免疫応答を抑制するためには、更に高いIL−10/IL−12産生比を実現できる免疫調節用組成物が望ましい。
本発明の目的は、過剰な免疫応答を抑える働きをもつIL−10の産生誘導活性が残存しつつ、且つ、過剰な免疫応答を引き起こす働きをもつIL−12の産生誘導活性が消失した乳酸菌を生産する、乳酸菌の製造方法と、該乳酸菌を有効成分とする免疫調節用組成物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者らは、種々研究した結果、特定の乳酸菌においては、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ培養することにより、IL−10産生誘導活性が残存しているが、IL−12産生誘導活性がほとんど消失することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、ラクトバシルス・ペントーサスに属し、IL−10産生誘導活性及びIL−12産生誘導活性を有する乳酸菌を、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ培養することにより、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を生産することを特徴とする乳酸菌の製造方法を提供するものである。
上記第一の態様において、前記乳酸菌は、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(託番号FERM−21778)であることが好ましい。
また、上記第一の態様において、培養中のpHが5.0〜7.5の範囲に維持されるように前記アルカリ剤を添加することが好ましい。
本発明の第二の態様は、ラクトバシルス・ペントーサスに属し、IL−10産生誘導活性を有し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失している乳酸菌の菌体及び/又はその処理物を有効成分とする免疫調節用組成物を提供するものである。
上記第二の態様は、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(託番号FERM−21778)の培養物から得られた菌体及び/又はその処理物を有効成分とするとすることが好ましい。
本発明の乳酸菌の製造方法によれば、過剰な免疫応答を抑える働きをもつIL−10の産生誘導活性が残存しつつ、且つ、過剰な免疫応答を引き起こす働きをもつIL−12の産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を製造することができる。
また、本発明の免疫調節用組成物によれば、過剰な免疫応答を抑える働きをもつIL−10の産生誘導活性が残存しつつ、且つ、過剰な免疫応答を引き起こす働きをもつIL−12の産生誘導活性がほとんど消失しているので、IL−12による免疫応答を過剰にひき起こすことなく、IL−10による免疫抑制機能を発揮させることができる。
図1はIL−10産生誘導活性を示す図である。 図2はIL−12産生誘導活性を示す図である。
本発明の乳酸菌の製造方法は、ラクトバシルス・ペントーサスに属し、IL−10産生誘導活性及びIL−12産生誘導活性を有する乳酸菌を、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ培養することにより、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を生産することを特徴とする。
本発明に用いる乳酸菌は、IL−10及びIL−12の産生誘導活性を有するラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)に属する乳酸菌である。
上記のような乳酸菌は、例えばラクトバシルス・ペントーサスに属する乳酸菌を、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ培養し、得られた乳酸菌の生菌又は死菌を用いて、IL−10及びIL−12産生誘導試験を行い、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失するものを検出することによって得ることができる。
本発明に好適な乳酸菌としては、例えば、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(Lactobacillus pentosus strain YM2-2)(託番号:FERM−21778、寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(AIST、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6)、寄託日:平成21年3月4日)を用いることができる。なお、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌は、阿波晩茶から分離された乳酸菌であり、ワクチンと併用することでアジュバント効果があり、かつ、単独の投与でもワクチンと同程度にロタウイルス感染を防御することが知られている(特許第5324283号)。
本発明の乳酸菌の製造方法においては、培養に伴なう乳酸菌の代謝産物(乳酸等)によるpHの低下を抑制するように、培地にアルカリ剤を添加してpH調整しながら、培養(中和培養)を行う。
添加するアルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液や、アンモニアなどを用いることができる。
培養におけるpHは好ましくはpH5.0〜7.5、より好ましくはpH6.2〜6.7に調整、維持する。pH調整は手動で行ってもよいが、pH自動制御装置(pHスタット)などを利用すれば簡便で正確である。
培地は乳酸菌の増殖に適したものであれば特に制限はない。乳酸菌の増殖に適した培地としては、酵母エキス、ペプトン、肉エキス等を含む栄養分豊富な液体培地が挙げられる。市販の培地にも「MRSブイヨン MERCK」(商品名、Chemicals社)、「Difco Lactobacilli MRS Broth」(商品名、日本ベクトン・ディツキンソン株式会社)などがあり、これらを用いてもよい。また、乳酸菌の種類によって特殊な培地組成が必要な場合など、適宜所望の培地組成を用いることに特に制限はない。
上記中和培養の具体的な例を挙げれば、ラクトバチルス・ペントーサスを「Difco Lactobacilli MRS Broth」(商品名、日本ベクトン・ディツキンソン株式会社)の培地でpH5.0〜7.5、28〜35℃に維持して16〜24時間培養したときには、初発菌体濃度1×106〜1×107cfu/mLとしたときに最終菌体濃度5×109〜5×1010cfu/mLにまで増殖させることができる。または、同培地でpH5.0〜7.5、30〜33℃に維持して18〜24時間培養したときには、初発菌体濃度1×106〜1×107cfu/mLとしたときに最終菌体濃度5×109〜5×1010cfu/mLにまで増殖させることができる。
このように中和培養することで、理由は定かではないが、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を製造することができる。
ここで、IL−10産生誘導活性が残存するとは、例えば、後述する実施例に示されるような細胞培養とELISA法による測定方法において、IL−10産生誘導活性が十分に検出できる量であることを意味する。充分に検出できる量とは、例えば、静置培養(pH調整しないで培養)した乳酸菌のIL−10産生誘導活性を100%とした場合に、中和培養した乳酸菌の該活性が好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、最も好ましくは25%以上であることを意味する。IL−10産生誘導活性が、15%未満では、IL−10産生誘導効果が十分得られず、また、免疫調節の効果が乏しくなる傾向がある。
また、IL−12産生誘導活性がほとんど消失しているとは、例えば、後述する実施例に示されるような細胞培養とELISA法による測定方法において、IL−12産生誘導活性がほとんど認められない量であることを意味する。ほとんど認められない量とは、例えば、静置培養した乳酸菌のIL−12産生誘導活性を100%とした場合に、中和培養した乳酸菌の該活性が好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下であることを意味する。IL−12産生誘導活性が、15%を超えると、過剰な免疫応答を引き起こす可能性があり、また、免疫調節の効果が低下する傾向がある。
また、本発明は、ラクトバシルス・ペントーサスに属し、IL−10産生誘導活性を有し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失している乳酸菌の菌体及び/又はその処理物を有効成分とする免疫調節用組成物を含む。
本発明の免疫調節用組成物に用いる菌体及び/又はその処理物は、上記乳酸菌の生菌体、死菌体、あるいは菌体処理物であってもよい。菌体処理物としては、菌体の乾燥物、凍結乾燥物、超音波破砕物、界面活性剤処理物、有機溶剤処理物、溶媒抽出物、溶菌酵素処理物、固定化菌体或いは菌体から精製した酵素等に加え、該菌株の培養液の濃縮物、乾燥物、冷凍物、冷蔵物、凍結乾燥物、超音波破砕物、界面活性剤処理物、有機溶媒処理物、溶媒抽出物、溶菌酵素処理物等が挙げられる。
上記死菌体には、中和培養を終えた乳酸菌を殺菌したものを含む。殺菌の方法に特に制限はなく、通常行われるように、培養後に培地を濾別、遠心、沈降等によって取り除いて集菌し、水や緩衝液等によって懸濁して乳酸菌の濃縮液を調整し、これに加熱殺菌処理を施すなどの方法が挙げられる。または、培養後の培養液に加熱殺菌処理を施し、その後に濾別、遠心、沈降等によって培地を取り除いて集菌する方法、さらに、培養後に培地の一部を濾別、遠心、沈降等によって取り除いて2〜10倍に濃縮された濃縮液を調製後、これに加熱殺菌処理を施し、その後に濾別、遠心、沈降等によって残りの培地を取り除いて集菌する方法などでもよい。加熱殺菌は80℃以上で行なうことが好ましく、80〜100 ℃で5〜20分間行うことがより好ましい。
本発明の免疫調節用組成物によれば、IL−12による免疫応答を過剰にひき起こすことなく、IL−10による免疫抑制機能を発揮させることによって、全身の免疫系を調節することができる。ここで免疫系を調節するとは、免疫系の異常な機能亢進、又は低下が原因となるあらゆる疾病などに対して、自然免疫系および獲得免疫系に働きかけることによって正常に整えることをいう。
本発明の免疫調節用組成物によって改善効果がもたらされることが期待される具体的な疾患としては、例えば、関節炎、脳脊髄性髄膜炎、I型糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸
炎、関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、尋常性乾癬、慢性胃炎、自己免疫性肝炎、バセドウ病などの自己免疫疾患や、スギ花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患などが挙げられる。
本発明の免疫調節用組成物は、食品用の組成物の形態であってもよい。すなわち、乳酸菌の菌体及び/又はその処理物を、そのまま、あるいは他の食品用原料と組み合わせて、食品用の組成物の形態となしてもよい。上記菌体及び/又はその処理物に組み合わせる食品用原料としては、例えば、各種糖質や乳化剤、甘味料、酸味料、果汁、フレーバー等が挙げられる。より具体的には、グルコース、シュークロース、フラクトース、蜂蜜等の糖類、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット等の糖アルコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤が挙げられる。この他にも、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE等の各種ビタミン類やハーブエキス、穀物成分、野菜成分、乳成分等が挙げられる。
また、食品の形態としては、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、栄養飲料、スープ等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、通常の食品よりも積極的な意味で、保健、健康維持・増進等を目的として提供される健康食品、サプリメント、特定保健用食品、機能性表示食品などの形態であってもよい。
本発明の免疫調節用組成物は、医薬用の組成物の形態であってもよい。すなわち、上記菌体及び/又はその処理物を、そのまま、あるいは他の医薬用原料と組み合わせて、医薬用の組成物の形態となしてもよい。上記菌体及び/又はその処理物に組み合わせる他の医薬用原料に特に制限はなく、必要に応じて、薬学的に許容される基材や担体を添加して、公知の製剤方法によって、例えば錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤、粉末剤、ゼリー状剤、飴状剤等の形態にして、これを経口剤として利用することができる。また、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、ローション等の形態にして、これを皮膚外用剤として利用することができる。
また、医薬の投与形態としては、体の中から作用させるため経口的に摂取してもよく、あるいは皮膚に塗布して用いてもよい。また、吸引して呼吸器系に適用してもよく、その投与形態が特に制限されるものではない。投与量についても、その対象者の健康状態や年齢、あるいはどの程度の免疫調節の作用効果を必要としているかなどに応じて、適宜設定すればよい。典型的には、上記菌体及び/又はその処理物の乾燥物換算での摂取量にして、1mg〜1,000mg/日/kgとすることが好ましく、10mg〜200mg/日/kgとすることがより好ましい。なお、医薬とは、ヒトのみでなく動物用の医薬も含む意味である。
本発明の免疫調節用組成物は、動物食餌用の組成物の形態であってもよい。すなわち、前記菌体及び/又はその処理物を、そのまま、あるいは他の動物食餌用原料と組み合わせて、動物食餌用の組成物の形態となしてもよい。本発明の免疫調節用組成物は、例えば、家畜、競走馬、鑑賞用動物等の飼料;ペットフード等、動物用の飼料に利用してもよい。
本発明の免疫調節用組成物において、前記菌体及び/又はその処理物の含有量は、各種の形態とした場合に、それが使用される量と有効投与量との関係を勘案して適宜定めればよい。典型的には、前記菌体及び/又はその処理物を、乾燥物換算にして、0.1〜100質量%含有することが好ましく、1〜50質量%含有することが好ましく、10〜30質量%含有することが更により好ましい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[乳酸菌の培養]
乳酸菌は、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(託番号FERM−21778)(以下、「YM2−2菌」とする。)を用いた。培地には、Difco Lactobacilli MRS Broth(商品名、日本ベクトン・ディツキンソン株式会社)を使用し、35℃下で、最終菌体濃度がおよそ5×10〜5×1010cfu/mLとなるように培養を行なった。培地のpHを調整する場合には、pH自動制御装置(pHスタット)を用いて水酸化ナトリウムでpH6.3±0.1に調整しながら培養を行なった。
[乳酸菌の処理]
培養後の処理を、特に示す以外は次のようにして行った。
90mLの培養液をオートクレーブにて80℃10分殺菌した後、遠心にて集菌し、リン酸緩衝液約20mLに菌体濃度が1〜4%となるよう懸濁した。これをテフロン(登録商標)ホモジナイザーにかけ、菌体同士が凝集するのを避け、できるだけ分散させるようにした。このようにして得られた菌体懸濁液を121℃15分滅菌した後、超音波処理を30分行い、菌体の凝集を防ぐと共に、別途、菌体懸濁液の固形分含量を測定し、その値を基に所定の濃度に調整し、以下の産生誘導試験を行った。
[IL−10、及びIL−12産生誘導試験]
IL−10、及びIL−12産生誘導試験にはマウス脾臓細胞の試験管内培養系を用いた。具体的には、8週齢のBALB/cマウスから脾臓細胞を採取し、常法に従い、10% FBS、50μM 2-メルカプトエタノール、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシンを含むRPMI1640培地で細胞浮遊液(2.5×106 cells/mL)を調製した。これに上記の処理をしたYM2−2菌、又はOK432を乾燥物換算で終濃度1μg/mL、又は10μg/mLとなるように添加して細胞/菌体混合液を調製し、96穴プレートの各ウェルに0.2mLずつ撒いた。温度37℃、5%CO2の条件下で、IL−10の場合は3日間、IL−12の場合は1日間培養し、培養後の培養上清を回収して、培養上清中のIL−10、及びIL−12量を測定した。IL−10量の測定には、キット「DuoSet IL-10」(商品名、R&D社)を使用し、ELISA法で測定した。IL−12量の測定には、一次抗体として「capture Ab」、二次抗体として「detection Ab」、検出試薬として「HRP-Avidin」(それぞれ商品名、BioLegend Inc.社)、発色基質として「TMB(3,3’,5,5’tetramethylbenzidin)」(商品名、Sigma. Life Scienc社)を使用し、サンドイッチELISA法で測定した。結果はイムノプレートの6ウェルの平均として求めた。
[結果]
YM2−2菌及びOK432を使用し(1μg/mL、10μg/mL)、培地にアルカリ剤(水酸化ナトリウム)を添加してpH調節しながら培養(以下、「中和培養」という。)した場合と、pH調節しないで培養(以下、「pH無調整培養」という。)した場合について、得られた乳酸菌のIL−10産生誘導活性(図1)及びIL−12産生誘導活性(図2)を測定した。
図1に示すように、YM2−2菌をpH無調整培養して得た菌体1μg/mLのIL−10産生誘導活性は、IL−10産生量にして461pg/mLであった。これに対して、同じ培地で中和培養すると、130pg/mLであった。つまり、pH無調整培養して得た菌体1μg/mLのIL−10産生誘導活性を100%とした場合、中和培養して得た菌体の該活性は28%であった。
また、YM2−2菌をpH無調整培養して得た菌体10μg/mLのIL−10産生誘導活性は、IL−10産生量にして627pg/mLであった。これに対して、同じ培地で中和培養すると、259pg/mLであった。つまり、静置培養して得た菌体10μg/mLのIL−10産生誘導活性を100%とした場合、中和培養して得た菌体の該活性は41%であった。
図2に示すように、YM2−2菌をpH無調整培養して得た菌体1μg/mLのIL−12産生誘導活性は、IL−12産生量にして646pg/mLであった。これに対して、同じ培地で中和培養すると、−57pg/mLであった。このようにマイナス値となったのは、IL−12産生誘導活性がほとんど認められない量で検出精度が低くなったためであり、実際の濃度は0pg/mLに近いものと推定される。
また、YM2−2菌をpH無調整培養して得た菌体10μg/mLのIL−12産生誘導活性は、IL−12産生量にして308pg/mLであった。これに対して、同じ培地で中和培養すると、12pg/mLであった。つまり、pH無調整培養して得た菌体10μg/mLのIL−12産生誘導活性を100%とした場合、中和培養して得た菌体の該活性は3.9%であった。
このように、ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株を中和培養することで、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性がほとんど消失した乳酸菌を製造することができた。

Claims (2)

  1. ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(託番号FERM−21778)を、培養に伴うpHの低下を抑制するようにアルカリ剤を添加しつつ該培養中のpHが6.2〜6.7の範囲に維持されるように培養することにより、IL−10産生誘導活性が残存し、IL−12産生誘導活性が、その菌株を静置培養したときの該菌体のIL−12産生誘導活性を100%とした場合の換算で15%以下まで消失した、該菌体を生産する工程を含む、免疫系の異常な機能亢進、又は低下が原因となる疾病に対して、自然免疫系および獲得免疫系に働きかけることによって免疫を正常に整えるために用いるための免疫調節用組成物の製造方法。
  2. ラクトバシルス・ペントーサスYM2−2菌株(託番号FERM−21778)の菌体であって、IL−10産生誘導活性を有し、IL−12産生誘導活性は、前記菌株を静置培養したときの該菌体のIL−12産生誘導活性を100%とした場合の換算で15%以下まで消失している、該菌体及び/又はその処理物を有効成分とする、免疫系の異常な機能亢進、又は低下が原因となる疾病に対して、自然免疫系および獲得免疫系に働きかけることによって免疫を正常に整えるために用いるための免疫調節用組成物。
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