以下に、一実施形態に係るレセプタクル、該レセプタクルを備える光伝送モジュール、及びその製造方法について説明する。
(光伝送モジュールの構成 図1〜図3参照)
以下に、光伝送モジュールの構成について、図面を参照しながら説明する。なお、光伝送モジュール10の上下方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、光伝送モジュール10の長辺に沿った方向をx軸方向と定義する。さらに、光伝送モジュール10の短辺に沿った方向をy軸方向と定義する。x軸、y軸及びz軸は互いに直交している。
光伝送モジュール10には、図1に示すように、光ファイバ接続デバイス(プラグ)70が接続される。また、光伝送モジュール10は、図2に示すように、金属キャップ30、受光素子アレイ(光素子)50、発光素子アレイ(光素子)100、レセプタクル200、実装基板22、封止樹脂24及び駆動回路26を備えている。
実装基板22は、BTレジンを材料とする板状の部材であり、図3に示すように、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成す。また、実装基板22のz軸方向の負方向側の面(以下で下面と称す)には、光伝送モジュール10を回路基板に実装する際に、回路基板のランドと接触する表面実装用電極が設けられている。なお、実装基板22の材料であるBTレジンの線膨張係数は、ガラス転移温度より低い温度で20ppmであり、ガラス転移温度より高い温度で150ppmである。
実装基板22のz軸方向の正方向側の面(以下で上面と称す)において、x軸方向の負方向側の外縁L1とy軸方向の負方向側の外縁L2とが成す角の近傍には、実装基板22内に設けられたグランド導体の一部が露出したグランド導体露出部E2が設けられている。グランド導体露出部E2は、z軸方向の正方向側から平面視したとき、x軸方向を長辺とする長方形状を成している。
さらに、実装基板22の上面において、外縁L1とy軸方向の正方向側の外縁L3とが成す角の近傍には、実装基板22内に設けられたグランド導体の一部が露出したグランド導体露出部E3が設けられている。グランド導体露出部E3は、z軸方向の正方向側から平面視したとき、x軸方向を長辺とする長方形状を成している。
受光素子アレイ50及び発光素子アレイ100は、実装基板22の上面におけるx軸方向の正方向側の部分に設けられている。受光素子アレイ50は、光信号を電気信号に変換する複数のフォトダイオードを含んだ素子である。発光素子アレイ100は、電気信号を光信号に変換する複数のダイオードを含んだ素子である。
駆動回路26は、実装基板22の上面において、受光素子アレイ50及び発光素子アレイ100よりも更にx軸方向の正方向側の部分に設けられている。駆動回路26は、受光素子アレイ50及び発光素子アレイ100を駆動するための半導体回路素子である。
また、駆動回路26は、z軸方向から平面視したとき、y軸方向に平行な長辺を有する矩形状を成している。駆動回路26と受光素子アレイ50とは、ワイヤーUを介してワイヤーボンディングにより接続されている。さらに、駆動回路26は、発光素子アレイ100とも、ワイヤーUを介してワイヤーボンディングにより接続されている。これにより、駆動回路26からの電気信号が、ワイヤーUを介して発光素子アレイ100に伝送され、受光素子アレイ50からの電気信号が、ワイヤーUを介して駆動回路26に伝送される
封止樹脂24は、封止部24a及び脚部24b〜24eを備えており、エポキシ樹脂などの透明な樹脂からなる。封止部24aは、略直方体状を成しており、実装基板22の上面において、受光素子アレイ50、発光素子アレイ100及び駆動回路26を覆うように設けられている。なお、封止樹脂24に用いられるエポキシ樹脂の線膨張係数は、ガラス転移温度より低い温度で65ppmであり、ガラス転移温度より高い温度で170ppmである。
封止樹脂24の脚部24b,24cは、x軸方向の負方向側から正方向側にこの順に並ぶように、間隔を空けて設けられており、封止部24aのy軸方向の負方向側の面から、実装基板22の辺L2に向かって突出する直方体状の部材である。また、脚部24bと脚部24cとの間には、後述する金属キャップ30の凸部C3が嵌め込まれる空間H1が設けられている。
封止樹脂24の脚部24d,24eは、x軸方向の負方向側から正方向側にこの順に並ぶように、間隔を空けて設けられており、封止部24aのy軸方向の正方向側の面から、実装基板22の辺L3に向けて突出する直方体状の部材である。また、脚部24dと脚部24eとの間には、後述する金属キャップ30の凸部C6が嵌めこまれる空間H2が設けられている。
(レセプタクルの構成 図4〜図7参照)
次に、レセプタクル200について、図面を参照しながら説明する。
レセプタクル200は、図4に示すように、実装基板22の上面及び封止樹脂24の略全体を覆うように、実装基板22及び封止樹脂24に跨って設けられている。また、レセプタクル200は、発光素子用レセプタクル220と受光素子用レセプタクル240とを備えている。発光素子用レセプタクル220と受光素子用レセプタクル240とは、y軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。なお、発光素子用レセプタクル220及び受光素子用レセプタクル240は、例えばエポキシ系の樹脂により構成されている。また、発光素子用レセプタクル220及び受光素子用レセプタクル240に用いられるエポキシ系の樹脂の線膨張係数は、ガラス転移温度より低い温度で64ppmであり、ガラス転移温度より高い温度で170ppmである。
発光素子用レセプタクル220は、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成している。さらに、発光素子用レセプタクル220は、図5に示すように、プラグ載置部222と光結合部224とに、隙間を空けて分割されている。
プラグ載置部222は、光ファイバ60の端部に設けられたプラグ42(図9参照)が載置される部分であって、発光素子用レセプタクル220におけるx軸の負方向側の部分を構成している。また、プラグ載置部222は、図6に示すように、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成している。さらに、プラグ載置部222は、図7に示すように、実装基板22の上面に位置している。
また、プラグ載置部222の上面におけるy軸方向の略中央には、図5に示すように、プラグ42を光結合部224に向かって押し込む際の挿入方向、つまり本実施例におけるx軸方向に沿った溝G1が設けられている。ここで、プラグ載置部222において、溝G1よりy軸方向の負方向側の部分を平坦部F1と称し、溝G1よりy軸方向の正方向側の部分を平坦部F2と称す。そして、平坦部F1のx軸方向の正方向側の領域には、プラグ42が光結合部224に向かって押し込まれた際に、該プラグ42を突き当てて位置決めするための直方体状の突き当て部228が設けられている。
さらに、プラグ載置部222におけるx軸方向の正方向側の端部近傍の領域M1の下面は、図7に示すように、削り取られている。従って、プラグ載置部222における領域M1のz軸方向の厚みh1は、プラグ載置部222の他の部分におけるz軸方向の厚みh2よりも薄くなっている。また、領域M1の下面には、該下面をx軸方向に分断するようにz軸方向の負方向側に張り出し、かつ、y軸方向と平行に延在する突出部P1が形成されている。
光結合部224は、図5に示すように、発光素子用レセプタクル220におけるx軸方向の正方向側の部分を構成し、直方体状を成している。また、光結合部224は、図7に示すように、発光素子アレイ100を覆う封止樹脂24の上面に載置される。さらに、光結合部224には、凹部D1及び凸レンズ230が設けられている。
凹部D1は、図5に示すように、光結合部224のy軸方向の正方向側の外縁L4近傍に設けられている。また、凹部D1は、z軸方向から平面視したとき、発光素子アレイ100の光軸と重なっている。さらに、凹部D1は、x軸方向から平面視したとき、プラグ42に接続されている光ファイバ60の光軸と重なっている。なお、発光素子アレイ100の光軸は、図7に示すように、z軸方向と平行であり、光ファイバ60の光軸は、x軸方向と平行である。また、凹部D1は、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成し、y軸方向から平面視したときにV字型を成している。
凹部D1のx軸方向の負方向側の内周面は、全反射面R1である。全反射面R1は、y軸に平行であり、y軸方向の負方向側から平面視したとき、z軸に対して反時計回りに45°傾いている。また、発光素子用レセプタクル220の屈折率は、空気よりも十分に大きい。従って、発光素子アレイ100の光軸に沿って、発光素子アレイ100からz軸方向の正方向側に出射されたレーザービームB1は、光結合部224に入射し、全反射面R1により、光ファイバ60の光軸と平行なx軸方向の負方向側に全反射され、プラグ40を介して光ファイバ60へと進行する。つまり、発光素子用レセプタクル220は、反射によって、発光素子アレイ100と光ファイバ60との光軸を合わせ、光ファイバ60と発光素子アレイ100とを光学的に結合させている。
凸レンズ230は、図6及び図7に示すように、光結合部224の下面に設けられている。また、凸レンズ230は、z軸方向から平面視したとき、発光素子アレイ100と重なっている。これにより、凸レンズ230は、発光素子アレイ100と対向し、レーザービームB1の光路上に位置している。また、凸レンズ230は、z軸と直交する方向から平面視したとき、z軸方向の負方向側に向かって突出する半円状を成している。従って、発光素子アレイ100から出射されたレーザービームB1は、凸レンズ230によって集光又はコリメートされて、全反射面R1に向かう。
受光素子用レセプタクル240は、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成している。さらに、受光素子用レセプタクル240は、図5に示すように、プラグ載置部242と光結合部244とに、隙間を空けて分割されている。
プラグ載置部242は、光ファイバ60の端部に設けられたプラグ46(図9参照)が載置される部分であって、受光素子用レセプタクル240におけるx軸の負方向側の部分を構成している。また、プラグ載置部242は、図6に示すように、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成している。さらに、プラグ載置部242は、図7に示すように、実装基板22の上面に位置している。
また、プラグ載置部242の上面におけるy軸方向の略中央には、図5に示すように、プラグ46を光結合部244に向かって押し込む際の挿入方向、つまり本実施例におけるx軸方向に沿った溝G2が設けられている。ここで、プラグ載置部242における溝G2よりy軸方向の負方向側の部分を平坦部F3と称し、溝G2よりy軸方向の正方向側の部分を平坦部F4と称す。そして、平坦部F4のx軸方向の正方向側の領域には、プラグ46が光結合部244に向かって押し込まれた際に、該プラグ46を突き当てて位置決めするための直方体状の突き当て部248が設けられている。
さらに、プラグ載置部242におけるx軸方向の正方向側の端部近傍の領域M2の下面は、図7に示すように、削り取られている。従って、プラグ載置部242における領域M2のz軸方向の厚みh3は、プラグ載置部242の他の部分におけるz軸方向の厚みh4よりも薄くなっている。また、領域M2の下面には、該下面をx軸方向に分断するようにz軸方向の負方向側に張り出し、かつ、y軸方向と平行に延在する突出部P2が形成されている。
光結合部244は、図5に示すように、受光素子用レセプタクル240におけるx軸方向の正方向側の部分を構成し、直方体状を成している。また、光結合部244は、図7に示すように、受光素子アレイ50を覆う封止樹脂24の上面に載置される。さらに、光結合部244には、凹部D2及び凸レンズ250が設けられている。
凹部D2は、図5に示すように、光結合部244のy軸方向の負方向側の外縁L5近傍に設けられている。また、凹部D2は、z軸方向から平面視したとき、受光素子アレイ50と重なっている。さらに、凹部D2は、x軸方向から平面視したとき、プラグ46に接続されている光ファイバ60の光軸と重なっている。なお、受光素子アレイ50の光軸は、図7に示すように、z軸と平行である。また、凹部D2は、z軸方向から平面視したとき、矩形状を成し、y軸方向から平面視したときにV字型を成している。
凹部D2のx軸方向の負方向側の内周面は、全反射面R2である。全反射面R2は、y軸に平行であり、y軸方向の負方向側から平面視したとき、z軸に対して反時計回りに45°傾いている。また、受光素子用レセプタクル240の屈折率は、空気よりも十分に大きい。従って、光ファイバ60の光軸に沿って、光ファイバ60からx軸方向の正方向側に出射されたレーザービームB2は、光結合部244に入射し、全反射面R2により、受光素子アレイ50の光軸と平行なz軸方向の負方向側に全反射され、封止樹脂24を介して受光素子アレイ50へと進行する。つまり、受光素子用レセプタクル240は、反射によって、受光素子アレイ50と光ファイバ60との光軸を合わせ、光ファイバ60と受光素子アレイ50とを光学的に結合させている。
凸レンズ250は、図6及び図7に示すように、光結合部244の下面に設けられている。また、凸レンズ250は、z軸方向から平面視したとき、受光素子アレイ50と重なっている。これにより、凸レンズ250は、受光素子アレイ50と対向し、レーザービームB2の光路上に位置している。また、凸レンズ250は、z軸と直交する方向から平面視したとき、z軸の負方向側に向かって突出する半円状を成している。従って、光ファイバ60から出射されたレーザービームB2は、全反射面R2で反射された後、凸レンズ250によって集光又はコリメートされて、受光素子アレイ50に向かう。
(金属キャップの構成 図1及び図8参照)
次に、金属キャップ30について、図面を参照しながら説明する。
金属キャップ30は、一枚の金属板(例えば、SUS301)がコ字型に折り曲げられて作製されている。また、金属キャップ30は、図1に示すように、z軸方向の正方向側及びy軸方向の正負両方向側からレセプタクル200を覆っている。そして、レセプタクル200のx軸方向の負方向側には、光ファイバ接続デバイス70が挿入される開口部A3が形成されている。
金属キャップ30は、図8に示すように、天板部32及び側板部34,36を含んでいる。天板部32は、z軸に対して直交する面と平行であり、矩形状を成している。側板部34は、金属キャップ30を構成する板金が、天板部32のy軸方向の負方向側の長辺L6からz軸方向の負方向側に折り曲げられることにより形成されている。側板部36は、金属キャップ30を構成する板金が、天板部32のy軸方向の正方向側の長辺L7からz軸方向の負方向側に折り曲げられることにより形成されている。
天板部32のx軸方向の負方向側の部分には、プラグ40をレセプタクル200に固定するための係合部32a,32bが設けられている。係合部32a,32bは、y軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。
係合部32a,32bは、天板部32にコ字型の切り込みを入れることにより形成されている。具体的には、係合部32a,32bは、天板部32にx軸方向の正方向側に開口するコ字型の切り込みを入れ、コ字型の切り込みに囲まれた部分をz軸方向の負方向側に凹ませるように曲げることにより形成されている。これにより、係合部32a,32bは、y軸方向から平面視したとき、z軸方向の負方向側に突出したV字型の形状を成している。
また、天板部32のx軸方向の負方向側の短辺L8には、プラグ40をレセプタクル200に固定するための係合部32c,32dが設けられている。係合部32c,32dは、天板部32からx軸方向の負方向側に突出した金属片である。係合部32c,32dは、係合部32c,32dにおけるx軸方向の略中央の位置で、z軸方向の負方向側に凹ませるように曲げられている。これにより、係合部32c,32dは、y軸方向から平面視したとき、z軸方向の負方向側に突出したV字型の形状を成している。
側板部34のz軸方向の負方向側の長辺L9には、z軸方向の負方向側に向かって突出する凸部C1〜C3が、x軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。凸部C1〜C3はそれぞれ、実装基板22と接着剤により固定される。なお、凸部C1は、実装基板22のグランド導体露出部E2と接続される。また、凸部C3は、封止樹脂24の脚部24bと脚部24cとの間に設けられた空間H1に嵌め込まれる。これにより、金属キャップ30は、実装基板22に対して位置決めされる。
側板部36のz軸方向の負方向側の長辺L10には、z軸方向の負方向側に向かって突出する凸部C4〜C6が、x軸方向の負方向側から正方向側に向かってこの順に並ぶように設けられている。凸部C4〜C6はそれぞれ、実装基板22と接着剤により固定される。なお、凸部C4は、実装基板22のグランド導体露出部E3と接続される。また、凸部C6は、封止樹脂24の脚部24dと脚部24eとの間に設けられた空間H2に嵌め込まれる。これにより、金属キャップ30は、実装基板22に対して位置決めされる。
(光ファイバ接続デバイスの構成 図9及び図10参照)
以下で、光ファイバ接続デバイス70について、図面を参照しながら説明する。光ファイバ接続デバイス70は、光ファイバ60とプラグ40を備えている。
光ファイバ60は、芯線及び該芯線を覆う被覆材から構成されおり、該芯線は、さらにフッ素系樹脂などの樹脂からなる、コア及びクラッドから構成されている。さらに、前記被覆材は、ポリエチレンなどの樹脂からなる。
プラグ40には、図9に示すように、光ファイバ60の端部が挿入される。また、プラグ40には、送信側プラグ42及び受信側プラグ46があり、双方ともエポキシ系やナイロン系の樹脂等により構成されている。
送信側プラグ42は、光ファイバ60を発光素子用レセプタクル220に固定するために用いられる。また、送信側プラグ42は、光ファイバ挿入部42a及び突起部42bを備える。
光ファイバ挿入部42aは、送信側プラグ42のy軸方向の正方向側の部分を構成しており、x軸方向に延在する直方体状を成している。光ファイバ挿入部42aのx軸方向の負方向側の部分には、開口部A1が設けられている。開口部A1は、光ファイバ60を送信側プラグ42に挿入するための挿入口であるとともに、光ファイバ60を固定するための樹脂が注入される。
開口部A1は、光ファイバ挿入部42aの上面に位置する面S7及びx軸方向の負方向側の端面S8を切り抜くことにより形成されている。また、開口部A1のx軸方向の正方向側の内周面には、挿入された光ファイバ60の芯線を送信側プラグ42の先端まで導くための孔H7が設けられている。なお、孔H7は、光ファイバ60の本数に対応し、本実施形態においては2つである。
さらに、光ファイバ挿入部42aにおけるx軸方向の正方向側の部分には、整合剤を注入するための凹部D3が設けられている。整合剤とは、光ファイバ60と送信側プラグ42との間の屈折率を整合させ、光の屈折作用を軽減させる透明樹脂のことである。また、凹部D3は、光ファイバ挿入部42aの上面から下面に向けて窪んでいる。
凹部D3のx軸方向の負方向側の内周面には、孔H7が設けられている。孔H7は、開口部A1のx軸方向の正方向側の内周面と繋がっている。従って、光ファイバ60の芯線は、孔H7を通って、開口部A1から凹部D3に到達する。凹部D3に到達した光ファイバ60の芯線の端面は、凹部D3のx軸方向の正方向側の内周面S9の直近に位置する。そして、透明樹脂から成る整合剤、例えばエポキシ系の樹脂を開口部A1及び凹部D3に注入することにより、光ファイバ60は、送信側プラグ42に固定される。なお、光ファイバ60の芯線の端面は、内周面S9と接していない。これは、温度変動などによって生じる光ファイバ60の伸縮を吸収する隙間を設けるためである。
光ファイバ挿入部42aのx軸方向の正方向側の端面S10には、図10に示すように、凸レンズ44が設けられている。凸レンズ44は、x軸方向と直交する方向から平面視したとき、x軸方向の正方向側に突出する半円状を成している。これにより、発光素子アレイ100から出射され、かつ、全反射面R1により反射されたレーザービームB1は、凸レンズ44により集光又はコリメートされる。
また、凸レンズ44は、x軸方向から平面視したとき、光ファイバ60の光軸と重なっている。従って、凸レンズ44で集光又はコリメートされたレーザービームB1は、光ファイバ挿入部42aの樹脂を通過する。そして、レーザービームB1は、光ファイバ60の芯線のコアに伝送される。
光ファイバ挿入部42aの面S7には、図9に示すように、金属キャップ30の係合部32aと係合する突起N1が設けられている。突起N1は、x軸方向において開口部A1と凹部D3との間に設けられ、y軸方向に延在している。また、突起N1は、y軸方向から平面視したとき、z軸方向の正方向側に突出した三角形状を成している。
光ファイバ挿入部42aの下面には、図9及び図10に示すように、凸部C7が設けられている。凸部C7は、レセプタクル220のプラグ載置部222の溝G1に対応している。凸部C7は、端面S8から端面S10に向かって、x軸に平行に設けられている。
突起部42bは、図9及び図10に示すように、光ファイバ挿入部42aのx軸方向の負方向側の端部近傍からy軸方向の負方向側に突出している。これにより、送信側プラグ42は、L字型を成している。なお、突起部42bは、送信側プラグ42の挿抜作業の際に、把持部として機能する。また、突起部42bの略中央には、z軸方向から平面視したとき、略矩形状の肉抜き穴が設けられている。
なお、送信側プラグ42と発光素子用レセプタクル220との接続作業は、凸部C7を溝G1に沿わせて、x軸方向の正方向側に押し込むことにより行われる。このとき、突起部42bのx軸方向の正方向側の端面S11は、図5で示されるレセプタクル220の突き当て部228の端面S3に突き当たる。
また、送信側プラグ42と発光素子用レセプタクル220とを接続する際、金属キャップ30の係合部32aが突起N1と係合するとともに、係合部32cが送信側プラグ42の面S7と端面S8とが成す角と係合することにより、送信側プラグ42が発光素子用レセプタクル220に固定される。
受信側プラグ46は、光ファイバ60を受光素子用レセプタクル240に固定するために用いられる。また、受信側プラグ46は、図9に示すように、光ファイバ挿入部46a及び突起部46bを備える。
光ファイバ挿入部46aは、受信側プラグ46のy軸方向の負方向側の部分を構成しており、x軸方向に延在する直方体状を成している。光ファイバ挿入部46aのx軸方向の負方向側の部分には、開口部A2が設けられている。開口部A2は、光ファイバ60を受信側プラグ46に挿入するための挿入口であるとともに、光ファイバ60を固定するための樹脂が注入される。
開口部A2は、光ファイバ挿入部46aの上面に位置する面S12及びx軸方向の負方向側の端面S13を切り抜くことにより形成されている。また、開口部A2のx軸方向の正方向側の内周面には、挿入された光ファイバ60の芯線を受信側プラグ46の先端まで導くための孔H8が設けられている。なお、孔H8は、光ファイバ60の本数に対応し、本実施形態においては2つである。
さらに、光ファイバ挿入部46aにおけるx軸方向の正方向側の部分には、整合剤を注入するための凹部D4が設けられている。また、凹部D4は、光ファイバ挿入部46aの上面から下面に向けて窪んでいる。
凹部D4のx軸方向の負方向側の内周面には、孔H8が設けられている。孔H8は、開口部A2のx軸方向の正方向側の内周面と繋がっている。従って、光ファイバ60の芯線は、孔H8を通って、開口部A2から凹部D4に到達する。凹部D4に到達した光ファイバ60の芯線の端面は、凹部D4のx軸方向の正方向側の内周面S14の直近に位置する。そして、透明樹脂から成る整合剤、例えばエポキシ系の樹脂を開口部A2及び凹部D4に流し込むことにより、光ファイバ60は、受信側プラグ46に固定される。なお、光ファイバ60の芯線の端面は、内周面S14と接していない。
光ファイバ挿入部46aのx軸方向の正方向側の端面S15には、図10に示すように、凸レンズ48が設けられている。凸レンズ48は、x軸と直交する方向から平面視したとき、x軸方向の正方向側に突出する半円状を成している。
また、凸レンズ48は、x軸方向から平面視したとき、光ファイバ60の光軸と重なっている。従って、光ファイバ60から出射されたレーザービームB2は、凸レンズ48により集光又はコリメートされ、全反射面R2に進行する。そして、レーザービームB2は、全反射面R2で反射されて、受光素子アレイ50に伝送される。
光ファイバ挿入部46aの面S12には、図9に示すように、金属キャップ30の係合部32bと係合する突起N2が設けられている。突起N2は、x軸方向において開口部A2と凹部D4の間に設けられ、y軸方向に延在している。また、突起N2は、y軸方向から平面視したとき、z軸方向の正方向側に突出した三角形状を成している。
光ファイバ挿入部46aの下面には、図9及び図10に示すように、凸部C8が設けられている。凸部C8は、レセプタクル240のプラグ載置部242の溝G2に対応している。凸部C8は、端面S13から端面S15に向かって、x軸に平行に設けられている。
突起部46bは、図9及び図10に示すように、光ファイバ挿入部46aのx軸方向の負方向側の端部からy軸方向の正方向側に突出している。これにより、受信側プラグ46は、L字型を成している。なお、突起部46bは、受信側プラグ46の挿抜作業の際に、把持部として機能する。また、突起部46bの略中央には、z軸方向から平面視したとき、略矩形状の肉抜き穴が設けられている。
なお、受信側プラグ46と受光素子用レセプタクル240との接続作業は、凸部C8を溝G2に沿わせて、x軸方向の正方向側に押し込むことにより行われる。このとき、突起部46bのx軸方向の正方向側の端面S16は、図5で示されるレセプタクル240の突き当て部248の端面S6に突き当たる。
また、受信側プラグ46と受光素子用レセプタクル240とを接続する際、金属キャップ30の係合部32bが突起N2と係合するとともに、係合部32dが受信側プラグ46の面S12と端面S13とが成す角と係合することにより、受信側プラグ46が受光素子用レセプタクル240に固定される。
以上のように構成された光伝送モジュール10では、図7に示すように、発光素子アレイ100からz軸方向の正方向側に出射されたレーザービームB1は、封止樹脂24及び発光素子用レセプタクル220を通過する。さらに、レーザービームB1は、全反射面R1でx軸方向の負方向側に反射されて、送信側プラグ42を通過し光ファイバ60のコアに伝送される。
また、光伝送モジュール10において、光ファイバ60からx軸方向の正方向側に出射されたレーザービームB2は、受光素子用レセプタクル240を通過する。さらに、レーザービームB2は、全反射面R2でz軸方向の負方向側に反射されて、封止樹脂24を通過し受光素子アレイ50に伝送される。
(製造方法 図11及び図12参照)
光伝送モジュール10の製造方法について、図面を参照しながら説明する
まず、実装基板22の集合体であるマザー基板の上面にはんだを塗布する。より具体的には、メタルマスクを載せたマザー基板上に、スキージを使用してクリームはんだを押し付ける。そして、メタルマスクをマザー基板から取り除くことにより、はんだをマザー基板に印刷する。
次に、コンデンサーをマザー基板のはんだ上に載置する。その後、マザー基板に熱を加えて、コンデンサーをはんだ付けする。
コンデンサーをはんだ付けした後、マザー基板上の所定位置にAgペーストを塗布する。塗布されたAg上に駆動回路26、受光素子アレイ50及び発光素子アレイ100を載置して、ダイボンドを行う。さらに、Auワイヤーを用いて、駆動回路26と受光素子アレイ50とをワイヤーボンディングにより接続し、さらに、駆動回路26と発光素子アレイ100とをワイヤーボンディングにより接続する。
その後、コンデンサー、駆動回路26と、受光素子アレイ50及び発光素子アレイ100に対して樹脂モールドを行う。さらに、ダイサーを用いてマザー基板をカットすることにより、複数の実装基板22を得る。
次に、発光素子用レセプタクル220を実装基板22及び封止樹脂24上に載置する。発光素子用レセプタクル220の載置作業では、まず、図11に示すように、実装基板22の上面における外縁L2,L3に沿う部分α1,α2、及び封止部24aの上面におけるx軸方向の正方向側の2カ所の領域α3,α4に、UV硬化型の接着剤を塗布する。接着剤を塗布した後、図12に示すように、発光素子アレイ100の発光部の中心T100の位置を位置認識用カメラV1で確認する。なお、本工程において用いられる接着剤は、エポキシ系のUV樹脂であり、その線膨張係数は、ガラス転移温度より低い温度で41ppmである。
次に、発光素子用レセプタクル220を実装基板22及び封止樹脂24上に載置するための搭載機V2が発光素子用レセプタクル220を吸着して取り上げる。このとき、発光素子用レセプタクル220のプラグ載置部222と光結合部224とは、一体となっている。そして、搭載機V2が発光素子用レセプタクル220を吸着した状態で、位置認識用カメラV3で発光素子用レセプタクル220の凸レンズ230のレンズ中心T230の位置を確認する。
位置認識用カメラV1で確認した発光素子アレイ100の発光部の中心T100の位置データ及び、位置認識用カメラV3で確認した発光素子用レセプタクル220の凸レンズ230のレンズ中心T230の位置データから、発光素子アレイ100の発光部と凸レンズ230との相対的な位置を算出する。算出した結果に基づいて、搭載機V2の移動量を決定する。
次に、搭載機V2により、決定した移動量だけ、発光素子用レセプタクル220を移動させる。これにより、凸レンズ230のレンズ中心T230と発光素子アレイ100の光軸とが一致する。
発光素子用レセプタクル220の載置作業と並行して、受光素子用レセプタクル240を実装基板22及び封止樹脂24上に載置する作業を行う。より具体的には、UV硬化型の接着剤を塗布した後、図12に示すように、受光素子アレイ50の受光部の中心T50の位置を位置認識用カメラV4で確認する。
次に、受光素子用レセプタクル240を実装基板22及び封止樹脂24上に載置するための搭載機V5が受光素子用レセプタクル240を吸着して取り上げる。このとき、受光素子用レセプタクル240のプラグ載置部242と光結合部244とは、この順にx軸方向の負方向側から並ぶように一体となっている。そして、搭載機V5が受光素子用レセプタクル240を吸着した状態で、位置認識用カメラV6で受光素子用レセプタクル240の凸レンズ250のレンズ中心T250の位置を確認する。
位置認識用カメラV4で確認した受光素子アレイ50の受光部の中心T50の位置データ及び、位置認識用カメラV6で確認した受光素子用レセプタクル240の凸レンズ250のレンズ中心T250の位置データから、受光素子アレイ50の受光部と凸レンズ250との相対的な位置を算出する。算出された結果に基づいて、搭載機V5の移動量を決定する。
次に、搭載機V5により、決定した移動量だけ、受光素子用レセプタクル240を移動させる。これにより、凸レンズ250のレンズ中心T250と受光素子アレイ50の光軸とが一致する。
配置されたレセプタクル200に対して、紫外線を照射する。なお、紫外線照射中、レセプタクル200は、搭載機V2,V5により、実装基板22及び封止樹脂24に押しつけられた状態である。これにより、レセプタクル200と封止樹脂24との間にあるUV硬化型の接着剤が硬化する際に、レセプタクル200が、位置ズレを起こすことなく、実装基板22及び封止樹脂24に固定される。
レセプタクル200が実装基板22及び封止樹脂24に固定された後に、ダイサー等を用いて、レセプタクル200を切断する。これにより、発光素子用レセプタクル220は、プラグ載置部222と光結合部224とに分割され、受光素子用レセプタクル240は、プラグ載置部242と光結合部244とに分割される。分割後、切断によって発生した屑等を除去するために、レセプタクル200が固定された実装基板22及び封止樹脂24に対して、超音波洗浄を行う。さらに、これらをオーブンにより乾燥させる。なお、ダイサー等による切断位置の位置決めは、レセプタクル200に設けられた凸レンズ230,250のレンズ中心位置を基準として行われる。
次に、レセプタクル200が載置された実装基板22に対して、金属キャップ30を取り付ける。具体的には、実装基板22の上面であって、封止樹脂24の脚部24bと24cとの間の空間H1、脚部24dと24eとの間の空間H2、及び、金属キャップ30の凸部C2,C5が接触する部分にエポキシ系などの熱硬化性の接着剤を塗布する。また、実装基板22のグランド導体露出部E2,E3には、Agなどの導電性ペーストを塗布する。
接着剤及び導電性ペーストを塗布後、金属キャップ30の凸部C3を、実装基板22上の封止樹脂24の脚部24bと脚部24cとに挟まれた部分、すなわち空間H1に嵌め合わせる。さらに、凸部C6を封止樹脂24の脚部24dと脚部24eとに挟まれた部分、すなわち空間H2に嵌め合わせる。これにより、金属キャップ30の実装基板22に対する位置が決まる。また、金属キャップ30の位置決めと同時に、凸部C1〜C6が実装基板22上の接着剤又は導電性ペーストと接触する。
金属キャップ30を嵌め合わせた後、オーブンを用いて実装基板22に熱を加え、接着剤及び導電性ペーストを硬化させ、金属キャップ30を、実装基板22に固定する。なお、金属キャップ30を実装基板22に取り付けることにより、金属キャップ30の凸部C1,C4が、実装基板22のグランド導体露出部E2,E3と接触する。これにより、金属キャップ30は、実装基板22内のグランド導体に接続され、グランド電位に保たれる。最後に、以上のような工程により光伝送モジュール10が完成する。
(効果)
レセプタクル200では、プラグ載置部222,242と、光ファイバの光軸と光素子との光軸とを合せる光結合部224,244とが所定の隙間を空けて分割されている。これにより、レセプタクル200に対して発生した熱応力によるひずみは、プラグ載置部222,242と光結合部224,244との間に設けられた隙間で吸収される。その結果、レセプタクル200は、従来のレセプタクルのように、プラグ載置部と光結合部とが一体であるものと比較して、熱応力によるレセプタクルの剥離、クラック及びそり等が発生しづらい。つまり、レセプタクル200では、熱応力による光軸ズレの緩和することでき、結果として光学的損失の発生を抑制することができる。
また、レセプタクル200のプラグ載置部222,242における領域M1,M2の下面は、図7に示すように、削り取られ、さらに、y軸方向と平行に延在する突出部P1,P2が設けられている。その結果、プラグ載置部222,242及び光結合部224,244の境界近傍に溝G3,G4が形成される。これにより、レセプタクル200を実装基板22上に載置するに際、溝G3,G4で接着剤がせき止められる。従って、接着剤がプラグ載置部222,242と光結合部224,244との間に設けられた隙間を通って、プラグ42,46と光結合部224,244との接触面に進入することが抑制される。つまり、領域M1,M2の下面に設けられた溝G3,G4によって、接着剤がレーザービームB1,B2の光路中に介在してしまうことを抑制している。
さらに、レセプタクル220のプラグ載置部222における領域M1のz軸方向の厚みh1は、プラグ載置部222の他の部分におけるz軸方向の厚みh2よりも薄くなっている。これにより、光伝送モジュール10の製造工程におけるレセプタクル220の切断作業が容易になるとともに、該切断作業時にレセプタクル220に係る応力の低減が可能となる。また、レセプタクル240についても、プラグ載置部242における領域M2のz軸方向の厚みh3は、プラグ載置部242の他の部分におけるz軸方向の厚みh4よりも薄くなっているため、レセプタクル240の切断作業が容易になるとともに、該切断作業時にレセプタクル240に係る応力の低減を可能としている。
ところで、光伝送モジュール10の製造工程では、プラグ載置部222と光結合部224とが一体となった発光素子用レセプタクル220及びプラグ載置部242と光結合部244とが一体となった受光素子用レセプタクル240を、実装基板22及び封止樹脂24上に載置し接着する。そして、発光素子用レセプタクル220、受光素子用レセプタクル240が実装基板22及び封止樹脂24に固定された後に、ダイサー等を用いて、発光素子用レセプタクル220、受光素子用レセプタクル240それぞれを切断し、発光素子用レセプタクル220をプラグ載置部222と光結合部224とに分割し、受光素子用レセプタクル240をプラグ載置部242と光結合部244とに分割している。従って、光伝送モジュール10の製造工程では、プラグ載置部222,242と光結合部224,244とが別々であるレセプタクルを実装基板22及び封止樹脂24上に載置し接着する場合と比較して、レセプタクル220の載置作業が簡便であり、それらの位置ズレによる影響も抑制することができる。
(その他の実施形態)
本発明に係るレセプタクル及び光伝送モジュールの製造方法は、前記実施形態に係るレセプタクル200及び光伝送モジュール10に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。