JP6292131B2 - シリコン基板の選別方法 - Google Patents

シリコン基板の選別方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6292131B2
JP6292131B2 JP2015001256A JP2015001256A JP6292131B2 JP 6292131 B2 JP6292131 B2 JP 6292131B2 JP 2015001256 A JP2015001256 A JP 2015001256A JP 2015001256 A JP2015001256 A JP 2015001256A JP 6292131 B2 JP6292131 B2 JP 6292131B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon substrate
heat treatment
recombination lifetime
beam irradiation
recovery heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015001256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016127192A (ja
Inventor
竹野 博
博 竹野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority to JP2015001256A priority Critical patent/JP6292131B2/ja
Publication of JP2016127192A publication Critical patent/JP2016127192A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6292131B2 publication Critical patent/JP6292131B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L22/00Testing or measuring during manufacture or treatment; Reliability measurements, i.e. testing of parts without further processing to modify the parts as such; Structural arrangements therefor
    • H01L22/10Measuring as part of the manufacturing process
    • H01L22/12Measuring as part of the manufacturing process for structural parameters, e.g. thickness, line width, refractive index, temperature, warp, bond strength, defects, optical inspection, electrical measurement of structural dimensions, metallurgic measurement of diffusions
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L22/00Testing or measuring during manufacture or treatment; Reliability measurements, i.e. testing of parts without further processing to modify the parts as such; Structural arrangements therefor
    • H01L22/20Sequence of activities consisting of a plurality of measurements, corrections, marking or sorting steps
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/26Bombardment with radiation
    • H01L21/263Bombardment with radiation with high-energy radiation

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)

Description

本発明は、キャリアの再結合ライフタイムを制御するシリコン基板の選別方法、及びその選別方法で選別されたシリコン基板に関する。
絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transister:IGBT)やダイオード等のパワーデバイスにおいては、シリコン基板中にキャリアの再結合中心となる欠陥を意図的に導入して、キャリアの再結合ライフタイムを短く制御することによって、スイッチング速度を高速化し、結果的にスイッチング損失を低減させる技術が従来から用いられている。
再結合ライフタイムを制御する方法として、金や白金などの重金属不純物を基板中に拡散させる方法と、電子線、プロトン、ヘリウムイオンなどの荷電粒子線を照射する方法がある。重金属不純物を拡散させる方法では、その濃度や深さ方向の分布、面内均一性などの制御が難しいことから、近年では、荷電粒子線照射が用いられることが多くなっている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。荷電粒子線を照射する場合は、欠陥が室温付近で導入されるため、欠陥が熱的に不安定になりやすいため、荷電粒子線の照射後に、更に熱処理を施すことで欠陥を安定化させる。
例えば、特許文献3では、ダイオードの逆回復時間を短縮するために、電子線照射による結晶欠陥を残留させる熱処理条件にて熱処理し、キャリアの再結合ライフタイムを0.1〜1(μsec)程度としてもよいことが記載されている。また、特許文献3には、この場合の熱処理条件を、例えば、熱処理温度を350℃以上380℃未満、熱処理時間を0.5時間から2時間程度とするとよいことが記載されている。また、特許文献4では、熱処理温度が400℃ 以上であれば、プロトンを照射したウェーハのライフタイムは10μs前後であり、ダイオード順電圧、逆回復損失等の制御点から望ましいことが記載されている。
パワーデバイスにおけるスイッチング損失と定常損失とはトレードオフの関係にあることから、全体の損失を低減するためには、再結合ライフタイムの厳密な制御が必要となる。
特開平11−135509号公報 特開2000−200792号公報 国際公開第2013/100155号 国際公開第2007/055352号
清井他,第61回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集,19p−F9−14. 杉山他,シリコンテクノロジー No.87,p.6. 杉江他,シリコンテクノロジー No.148,p.11. N.Inoue et al.,Physica B 401−402(2007),p.477.
しかしながら、粒子線照射の条件や、粒子線照射後の熱処理の条件を同じにしても、デバイス特性がばらつくという問題があった(非特許文献1)。再結合ライフタイムのばらつきは、デバイス特性のばらつきに直接影響するので、再結合ライフタイムのばらつきを改善することが極めて重要な課題である。特に近年では、半導体デバイスの高性能化に伴い、再結合ライフタイムを高精度で制御し、そのばらつきをできる限り小さくする必要がある。再結合ライフタイムのばらつき要因として、シリコン基板自体に含まれる何らかの物質が要因として疑われており、特に炭素や酸素などの不純物の影響が懸念されている。
特に、電子線やヘリウムイオンなどの粒子線をシリコン基板に照射することでキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスでは、0.05ppma以下の極微量の炭素がデバイス特性に悪影響を及ぼすことが指摘されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4参照)。このことから、シリコン基板に含まれる炭素をできる限り低減することが重要な課題となっている。
また、非特許文献1では、同じ再結合ライフタイム制御を行った場合でも、スイッチング損失にウェーハ依存が発生することがある問題を指摘し、電子線照射により生成する主要な欠陥(CsI、CsCi、又はCiOi)のうち、CiOiのみ活性化エネルギーにウェーハ依存があり、酸素濃度が高い場合に活性化が高くなる傾向があるため、酸素不純物がウェーハ依存の要因になると考えられる、としている(但し、Cs:置換型炭素、Ci:格子間型炭素、Oi:格子間型酸素、I:格子間シリコンである)。しかしながら、再結合ライフタイムのばらつきに対しては、これらの炭素や酸素の不純物が主要因であるか否か、実際には明らかになっていない。
本発明は、前述のような問題に鑑みてなされたもので、キャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムのばらつきを小さくでき、再結合ライフタイムを高精度で制御できるシリコン基板を選別する方法及びその選別方法により選別されたシリコン基板を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、キャリアの再結合ライフタイムを制御するシリコン基板の選別方法であって、前記シリコン基板の候補となるシリコン基板を、シリコン単結晶インゴットから作製して準備する準備工程と、該準備したシリコン基板に粒子線を照射する粒子線照射工程と、該粒子線照射工程後の前記シリコン基板のキャリアの再結合ライフタイム(LT0)を測定する第1の測定工程と、前記シリコン基板を熱処理する回復熱処理工程と、該回復熱処理工程後の前記シリコン基板のキャリアの再結合ライフタイム(LT1)を測定する第2の測定工程と、該測定したLT1と前記LT0の比(LT1/LT0)を算出する算出工程と、該算出したLT1/LT0の値が所定の基準値(LT2)以下である場合に、前記シリコン基板が合格であると判定する判定工程と、該判定により合格と判定されたシリコン基板を作製した前記シリコン単結晶インゴットと同一のシリコン単結晶インゴットから作製したシリコン基板を、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別する選別工程とを有することを特徴とするシリコン基板の選別方法を提供する。
このような選別方法により、シリコン基板を選別することで、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるシリコン基板を選別することができるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができる。
このとき、前記粒子線照射工程において、電子線を1×1014/cm以上1×1015/cm以下の照射量で照射することができる。
このように電子線を照射することにより、キャリアの再結合ライフタイムを短くさせる再結合中心となる欠陥(以下、単に再結合中心と称することがある)を効率的に生成することができる。従って、本発明の選別方法の効率を向上させることができる。
またこのとき、前記回復熱処理工程において、熱処理温度を300℃以上400℃以下とし、熱処理時間を60分以上180分以下とすることが好ましい。
このような回復熱処理により、粒子線照射工程で生成された再結合中心の一部が消滅し、回復熱処理工程後の再結合ライフタイムLT1が粒子線照射工程後の再結合ライフタイムLT0よりも長くなる(すなわち、LT1>LT0となる)。また、熱処理温度を300℃以上400℃以下とし、熱処理時間を60分以上180分以下とすることにより、シリコン基板に起因するLT1/LT0の差を高感度に検出することができる。以下、熱処理により再結合ライフタイムが長くなることを、再結合ライフタイムが回復すると表現する場合があるが、これは、LT1がLT0よりも長くなることを意味しており、LT1が粒子線照射前の再結合ライフタイムの値に戻ることを意味するものではない。
このとき、前記基準値(LT2)を、LT2=t×0.03+0.5(但し、tは前記回復熱処理工程における熱処理時間(分)である)とすることができる。
このように基準値LT2を設定すれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程における、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板をより確実に選別できるので、シリコン基板の再結合ライフタイムをより高精度に制御することが可能となる。
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記のいずれかに記載のシリコン基板の選別方法により選別されたシリコン基板であって、前記粒子線照射工程において電子線を1×1014/cm以上1×1015/cm以下の照射量で照射され、前記回復熱処理工程において熱処理温度が300℃以上400℃以下で熱処理され、該熱処理の時間をt分とした場合、LT1/LT0<t×0.03+0.5の条件を満たすものであることを特徴とするシリコン基板を提供する。
このようなシリコン基板であれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程における、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができるものとなる。
本発明のシリコン基板の選別方法であれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程における、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板を選別できるので、パワーデバイスの製造工程において、シリコン基板の再結合ライフタイムを高精度に制御することができる。
本発明のシリコン基板の選別方法の一例を示すフロー図である。 回復熱処理後の再結合ライフタイムと回復熱処理時間との関係を示したグラフである。 LT1/LT0と回復熱処理時間との関係を示したグラフである。 電子線照射量が1×1014/cmの場合のLT1/LT0と、電子線照射量が1×1015/cmの場合のLT1/LT0との関係を示したグラフである。 LT1/LT0とリン濃度との関係を示したグラフである。 LT1/LT0と炭素濃度との関係を示したグラフである。 LT1/LT0と酸素濃度との関係を示したグラフである。
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記のように、パワーデバイスの製造工程等では、粒子線照射の条件と粒子線照射後の回復熱処理の条件を調整することによってキャリアの再結合ライフタイムを制御しており、この場合、シリコン基板に起因する何らかの要因で、再結合ライフタイムのばらつきが生じるという問題があった。
そこで、本発明者は鋭意検討を重ねたところ、シリコン基板に起因する再結合ライフタイムのばらつきは、粒子線照射後の熱処理の進行により大きくなることを見出した。また、熱処理工程において再結合ライフタイムが回復しにくく、短い値を維持できるシリコン基板が存在することを発見した。さらに、そのような再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板は、そのシリコン基板に含まれているドーパント、炭素、及び酸素の濃度などからでは、高い精度で選別することは難しいことを見出し、本発明を完成させた。
以下、図1を参照して、シリコン基板の選別方法を説明する。
まず、キャリアの再結合ライフタイムを制御するシリコン基板の候補となるシリコン基板を、シリコン単結晶インゴットから作製して準備する準備工程を行う(図1のS11)。ここで準備するシリコン基板の仕様(結晶育成法、直径、抵抗率、酸素濃度など)は、特に限定されないが、デバイス側からの要求に見合うようにするのが好ましい。
また、このシリコン基板を準備する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、シリコン単結晶インゴットからシリコンウェーハを切り出し、切断ダメージを取り除くためにシリコンウェーハに化学的エッチング処理を行った後、機械的化学的研磨を行うことによりシリコン基板を準備できる。また、更に、機械的化学的研磨後に、エピタキシャル成長炉内でエピタキシャル層を成長させたシリコン基板を準備しても良い。
次に、シリコン基板に粒子線を照射する粒子線照射工程を行う(図1のS12)。この粒子線照射工程では、粒子線として電子線を、1×1014/cm以上1×1015/cm以下の照射量で照射することができる。電子線照射は再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程で広く用いられていることから、粒子線を電子線にすることが好ましい。電子線の照射量を1×1014/cm以上にすることにより、電子線照射による再結合ライフタイムの低下が大きくなり、熱処理による再結合ライフタイムの回復を高感度に測定できる。電子線の照射量を1×1015/cm以下とすれば、照射に掛かる時間を短くでき効率が良くなり、また、再結合ライフタイムが小さくなり過ぎないため、再結合ライフタイムをより精度良く測定することができる。電子線の加速電圧は、特に限定されないが、パワーデバイスの製造工程で用いられている加速電圧とすることができ、例えば、0.5〜2MVとすることができる。
なお、照射する粒子線の種類は電子線に限定されることは無い。粒子線としてはプロトン、ヘリウムイオンなどの荷電粒子を選択して使用しても良い。
次に、粒子線照射工程後のシリコン基板のキャリアの再結合ライフタイムLT0を測定する第1の測定工程を行う(図1のS13)。
再結合ライフタイムの測定には、例えば、マイクロ波光導電減衰法(Microwave Photoconductive Decay method:μ−PCD法)を用いることができる。μ−PCD法における測定条件は、一般的に用いられている条件で良く、例えば、文献「JEIDA−53−1997 “シリコンウェーハの反射マイクロ波光導電減衰法による再結合ライフタイム測定方法”」に記載された条件等により測定することができる。また、測定装置は市販されているものを用いることができる。
キャリアの再結合ライフタイムは、シリコン基板に生成された再結合中心の他に、シリコン基板の表面における表面再結合の影響も受ける。再結合ライフタイムの測定において、シリコン基板の表面再結合が問題になる場合は、表面再結合を抑制する処理を行う。この表面再結合を抑制する処理として、熱酸化処理(酸化膜パシベーション)や電解溶液処理(ケミカルパシベーション)が一般的に用いられている。
酸化膜パシベーションを用いる場合は、粒子線照射工程の前に、シリコン基板の表面に酸化膜を形成することが好ましい。粒子線照射工程の前に酸化膜パシベーションを行えば、粒子線照射により生成された再結合中心が消滅してしまう恐れがない。酸化膜は、例えば、酸化性雰囲気の熱処理により形成することができる。酸化膜形成熱処理の条件は、例えば、温度を900℃以上1100℃以下、時間を10分以上60分以下とすることができる。ケミカルパシベーションを用いる場合は、パシベーションのための熱処理を伴わないことと、パシベーション効果の経時変化の影響を避けるため、再結合ライフタイムを測定する直前にケミカルパシベーションを行うことが好ましい。
また、粒子線照射工程の前に酸化膜パシベーションを行えば、粒子線照射後の再結合ライフタイムを測定する際と、回復熱処理後の再結合ライフタイムを測定する際の両方の酸化膜パシベーションを兼ねることができるので好適である。ケミカルパシベーションを用いる場合は、粒子線照射後の再結合ライフタイムを測定する際と、熱処理後の再結合ライフタイムを測定する際の各々の測定の直前に行うことが好ましい。
次に、シリコン基板を熱処理する回復熱処理工程を行う(図1のS14)。この回復熱処理により、粒子線照射工程で生成された再結合中心の一部が消滅し、再結合ライフタイムが回復する。
この回復熱処理工程において、特に熱処理温度を350℃とすることが好ましく、この際の熱処理時間を60分以上180分以下とすることが好ましい。このような条件で回復熱処理することにより、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムの差を高感度に測定することができる。熱処理温度は厳密に350℃である必要はなく、300℃以上400℃以下とすることが望ましい。
熱処理温度が300℃以上であれば、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムの差が明確に生じるまでの熱処理時間が短くて済むため、選別に掛かる時間を短縮することができる。また、熱処理温度が400℃以下であれば、回復熱処理による再結合ライフタイムの回復が適切な速さで進み、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムの差が生じやすくなる。
また、熱処理時間が60分以上であれば、再結合ライフタイムの熱処理による変化が明確になり、シリコン基板を選別する条件としてより相応しい条件となる。熱処理時間は長い方がシリコン基板に起因した再結合ライフタイムの差が大きくなるので好適であるが、回復熱処理の効率の面から180分以下が好ましい。回復熱処理の雰囲気は、特に限定されないが、例えば、酸素、窒素、アルゴン、水素などとすることができる。
次に、回復熱処理工程後のシリコン基板のキャリアの再結合ライフタイムLT1を測定する第2の測定工程を行う(図1のS15)。
このときの測定条件は、粒子線照射工程後の第1の測定工程において、再結合ライフタイムLT0を測定した際の測定条件と同じにすることが望ましい。再結合ライフタイムの測定値は、測定条件により変わる場合があるので、LT0とLT1の測定条件が同じであることが望ましい。LT0を測定する際に酸化膜パシベーションを用いた場合は、その酸化膜は途中で除去しないで残し、LT1を測定する際のパシベーションとしても用いることができる。LT0を測定する際にケミカルパシベーションを用いた場合は、LT1を測定する直前に再度ケミカルパシベーションを行えば良い。
次に、上記で測定したLT0とLT1の比LT1/LT0を算出する算出工程を行う(図1のS16)。
次に、LT1/LT0の値が所定の基準値LT2以下である場合に、シリコン基板が合格であると判定する判定工程を行う(図1のS17)。
このとき、基準値LT2を、LT2=t×0.03+0.5(但し、tは前記回復熱処理工程における熱処理時間(分)である)とすることが好ましい。
このような基準値LT2以下を満たすシリコン基板は、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができるシリコン基板となる。
また、上記のような基準値LT2(=t×0.03+0.5)以下を満たすシリコン基板では、回復熱処理による再結合ライフタイムの変化が小さいが、その小さい変化の中で回復熱処理による再結合ライフタイムの調整が可能である。また、所望の再結合ライフタイムの調整範囲が回復熱処理で調整可能な範囲を超える場合は、粒子線照射条件の調整により再結合ライフタイムを容易に調整できる。さらに、このようなシリコン基板では、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるだけでなく、回復熱処理による再結合ライフタイムの変化が小さいことにより、回復熱処理のばらつきによる再結合ライフタイムのばらつきも小さくなる。
次に、選別工程を行う(図1のS18)。この選別工程では、判定工程において合格と判定されたシリコン基板を作製したシリコン単結晶インゴットと同一のシリコン単結晶インゴットから作製したシリコン基板を、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別する。
このようにシリコン基板を選別すれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるシリコン基板を確実に選別することができる。
判定工程において合格と判定されたシリコン基板を作製したシリコン単結晶インゴットと同一のシリコン単結晶インゴットからシリコン基板を作製するのは、図1のS11〜S18に示す工程を終えてからでもよいが、S11のシリコン単結晶インゴットから候補となるシリコン基板を作製する際に、同時に複数のシリコン基板を作製しておいてもよい。
このようにして、本発明に係るシリコン基板の選別方法によって選別されたシリコン基板は、粒子線照射と回復熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができる。従って、粒子線照射と回復熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイス用のシリコン基板として好適なシリコン基板を選別することができる。
続いて、本発明のシリコン基板について説明する。
本発明者は、粒子線照射後の回復熱処理において、再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板が存在することを見出した。さらに、再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板は、そのシリコン基板に含まれるドーパント、炭素、酸素などの不純物濃度などから高精度に選別することは難しいことを見出し、本発明のシリコン基板を完成させた。
本発明のシリコン基板は、本発明のシリコン基板の選別方法で選別されたシリコン基板である。そして、粒子線照射工程において電子線を1×1014/cm以上1×1015/cm以下の照射量で照射され、回復熱処理工程において熱処理温度を300℃以上400℃以下で熱処理され、該熱処理の時間をt分とした場合、LT1/LT0<t×0.03+0.5の条件を満たすシリコン基板である。
このようなシリコン基板であれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイスの製造工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができるシリコン基板となる。
本発明のシリコン基板では、回復熱処理による再結合ライフタイムの変化が小さいが、その小さい変化の中で回復熱処理による再結合ライフタイムの調整が可能である。また、所望の再結合ライフタイムの調整範囲が回復熱処理で調整可能な範囲を超える場合は、粒子線照射条件の調整により再結合ライフタイムを容易に調整できる。
本発明のシリコン基板では、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さくなるだけでなく、回復熱処理による再結合ライフタイムの変化が小さいことにより、回復熱処理のばらつきによる再結合ライフタイムのばらつきも小さくなる。
本発明のシリコン基板は、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御するパワーデバイス用のシリコン基板として好適である。再結合ライフタイムの制御においては、粒子線として、電子線の他に、プロトンやヘリウムイオンなどが使われる場合があるが、本発明のシリコン基板は、何れの粒子線照射を用いた制御を行う場合でも、上述のようなキャリアの再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板となる。
シリコン基板を切り出すシリコン単結晶インゴットの育成方法はFZ(Floating Zone)法やCZ(Czochralski)法等から選択でき、抵抗率や酸素濃度などの仕様は、特に限定されないが、デバイス側からの要求に見合うようにするのが好ましい。
本発明において、再結合ライフタイムを高精度で制御し、シリコン基板に起因する再結合ライフタイムのばらつきを小さくするために、上述のようなシリコン基板の選別方法を用いる理由は、以下のような実験により得られた知見による。
(実験例)
FZ法又はCZ法で製造されたシリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン基板で、異なるドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度を有する27枚のシリコン基板を用意した。これらのシリコン基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶軸方位は、以下の通りである;
ドーパント種:リン、
ドーパント濃度:6×1013〜9×1013atoms/cm
酸素濃度:0.04〜4ppma(JEIDA)、
炭素濃度:0.01〜0.07ppma(JEIDA)、
直径:200mm、150mm、
結晶軸方位:<100>。
次に、用意したシリコン基板に、酸化膜パシベーションを行った。このとき、酸化膜パシベーションは、酸化熱処理により酸化膜を形成することにより行った。なお、熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。
次に、酸化膜形成後のシリコン基板に電子線を照射した。このとき、電子線の照射量は1×1014/cm、又は1×1015/cmとし、電子線の加速電圧は、いずれの照射量の場合も2MVとした。
次に、電子線照射した後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。μ−PCD法における、キャリアの励起光波長は904nm、キャリア注入量は3.6×1015/cmとした。
次に、電子線照射したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間tは15〜180分の範囲で振った。
次に、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。測定条件は、電子線照射後の再結合ライフタイムLT0を測定した際の条件と同じにした。そして、LT0とLT1の比LT1/LT0を算出した。
回復熱処理後の再結合ライフタイムLT1と回復熱処理時間tとの関係を図2に示す。ここで、t=0の再結合ライフタイムの値はLT0の値である。図2(a)は電子線の照射量が1×1014/cmの場合で、図2(b)は電子線の照射量が1×1015/cmの場合である。
図2(a)と図2(b)の比較から、電子線照射量が多い方が再結合ライフタイムが短くなることがわかるが、以下に述べる結果に関しては電子線照射量によらず同じ傾向である。即ち、図2に示したように、いずれの電子線照射量の場合も、回復熱処理の時間の経過に伴い、再結合ライフタイムLT1が長くなる。さらに、LT1とtの関係がシリコン基板によって大きく異なり、回復熱処理の時間が長いほどシリコン基板の違いによるLT1の差が大きくなる。この結果から、回復熱処理の時間が長いほど、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムのばらつきが大きくなることがわかる。
さらに、回復熱処理によって再結合ライフタイムが回復しにくく、短い値が維持できるシリコン基板が存在することがわかる。例えば、電子線照射量が1×1014/cmの場合では、回復熱処理時間が180分でも再結合ライフタイムが10μsec以下のシリコン基板で、電子線照射量が1×1015/cmの場合では、回復熱処理時間が180分でも再結合ライフタイムが1μsec以下のシリコン基板である。本実験例において用意した27枚のシリコン基板のうち、上記のように再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板は15枚あった。図2において、これら15枚のシリコン基板の再結合ライフタイムの差は極めて小さいために、データ点を示すマークがほぼ重なっている。すなわち、これら15枚のシリコン基板であれば、粒子線照射と熱処理により再結合ライフタイムを制御する場合の、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムのばらつきが極めて小さくなることがわかる。
上記の結果から、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板を選別する方法として、所定の条件で粒子線照射と回復熱処理を施した場合の再結合ライフタイムが、所定の基準値以下となるシリコン基板を選別する方法が考えられる。例えば、図2(a)に示した結果に基づき、電子線照射量を1×1014/cmとし、回復熱処理を350℃、180分とした場合に、再結合ライフタイムが10μsec以下となるシリコン基板を選別する方法である。また、例えば、図2(b)に示した結果に基づき、電子線照射量を1×1015/cmとし、回復熱処理を350℃、180分とした場合に、再結合ライフタイムが1μsec以下となるシリコン基板を選別する方法である。しかしながら、このようなシリコン基板の選別方法では、粒子線照射の条件によって所定の基準値を変える必要があるという問題が生じる。この場合、粒子線照射の条件を常に同じにすれば良いことになるが、厳密に常に同じ条件にできない可能性もあり、粒子線照射の条件のばらつきも考慮しなければならないという問題が生じる。
そこで本発明者は鋭意検討を重ねた結果、電子線照射後の再結合ライフタイムLT0と回復熱処理後の再結合ライフタイムLT1の比LT1/LT0を用いることによって、電子線照射の条件によらず、所定の基準値LT2を決めることができることを見出した。
LT1/LT0と回復熱処理の時間tとの関係を図3に示す。図3(a)は電子線の照射量が1×1014/cmの場合で、図3(b)は電子線の照射量が1×1015/cmの場合である。図3に示した結果から、再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板は、いずれの電子線照射条件の場合も、t=60のときはLT1/LT0<2、t=120のときはLT1/LT0<3、t=180のときはLT1/LT0<5となることがわかる。また、回復熱処理時間を180分とした場合について、電子線照射量が1×1014/cmの場合のLT1/LT0と、電子線照射量が1×1015/cmの場合のLT1/LT0との関係を図4に示す。LT1/LT0の値が5以下のような小さい値の場合は、その値が電子線照射の条件によらずほぼ同じであることがわかる。
以上の結果から、LT1/LT0を用いることによって、電子線照射の条件によらず、所定の基準値LT2を決定でき、LT1/LT0がLT2以下となるシリコン基板を選別することにより、シリコン基板に起因した再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板を選別することができる。また、図3、4に示したLT1/LT0の値から、上記の基準値LT2を、LT2=t×0.03+0.5(但し、tは前記回復熱処理工程における熱処理時間(分)である)とすることが好ましいことがわかる。
次に、再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板を、そのシリコン基板に含まれている不純物濃度により選別できるか調べた。
LT1/LT0とリン濃度、炭素濃度、酸素濃度との関係を、それぞれ図5、図6、図7に示す。図5、図6、図7において、(a)は電子線の照射量が1×1014/cmの場合で、(b)は電子線の照射量が1×1015/cmの場合である。図5と図6に示した結果から、LT1/LT0はリン濃度と炭素濃度には依存しないことがわかる。また、図7に示した結果から、おおまかには酸素濃度が高くなるとLT1/LT0の値が小さくなる傾向があるものの、酸素濃度が0.1〜1ppmaの範囲で顕著なように、酸素濃度からLT1/LT0を高精度に推定することはできないことがわかる。これらの結果から、シリコン基板に含まれるリン、炭素、酸素の濃度から、再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板を高精度に選別することができないことがわかる。
以上の結果から、本発明のシリコン基板の選別方法によれば、粒子線照射と熱処理によりキャリアの再結合ライフタイムを制御する工程において、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきを小さくできるので、再結合ライフタイムを高精度に制御することができることがわかる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例)
実施例では3種のシリコン単結晶インゴット(インゴット1〜3)から作製したシリコン基板について、本発明の選別方法に従って、各シリコン単結晶インゴットから作製されたシリコン基板の合否を判定し、選別を行った。
(インゴット1)
まず、FZ法により、リン濃度が8×1013atoms/cmのシリコン単結晶インゴット(インゴット1)を育成した。直径は200mm、結晶軸方位は<100>である。酸素濃度は0.4ppma、炭素濃度は0.03ppmaであった。そして、そのシリコン単結晶インゴットから、標準的なウェーハ加工プロセスにより、鏡面研磨仕上げのシリコン基板を作製した。
次に、作製したシリコン基板に、酸化熱処理により酸化膜を形成した(酸化膜パシベーション)。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。電子線の照射量は1×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。
そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。その結果、LT0は2.2μsecであった。
次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は180分とした。
そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は7.5μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、3.4となった。ここで、合否判定の基準となる基準値LT2は、LT2=(t×0.03+0.5)とした。この場合、t=180(分)であるため、LT2=5.9となる。LT1/LT0は、上述のように3.4であり、基準値LT2の5.9よりも小さかったため、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として合格と判定した。
次に、合格としたシリコン基板と同一のシリコン単結晶インゴット(インゴット1)から作製したシリコン基板を、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別した。
続いて、選別したシリコン基板における、再結合ライフタイムのばらつきを以下のように確認した。まず、選別したシリコン基板に酸化熱処理により酸化膜を形成した(酸化膜パシベーション)。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。
次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。ここで、電子線照射の条件は、実際のパワーデバイスの製造工程で用いられている条件として、電子線の照射量を6×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。その結果、LT0は0.5μsecであった。
次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は120分とした。そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は1.3μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、2.6となったことから、このシリコン基板は、回復熱処理により再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板であり、再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板であることが確認された。
(インゴット2)
まず、CZ法により、リン濃度が6×1013atoms/cmのシリコン単結晶インゴット(インゴット2)を育成した。直径は200mm、結晶軸方位は<100>である。酸素濃度は4ppma、炭素濃度は0.03ppmaであった。そして、そのシリコン単結晶インゴットから、標準的なウェーハ加工プロセスにより、鏡面研磨仕上げのシリコン基板を作製した。
次に、作製したシリコン基板に、酸化熱処理により酸化膜を形成した。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。電子線の照射量は1×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。
そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ‐PCD法により測定した。その結果、LT0は2.4μsecであった。次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は180分とした。
そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は7.9μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、3.3となり、基準値LT2(=t×0.03+0.5)の5.9よりも小さかったため、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として合格とした。
次に、合格としたシリコン基板と同一のシリコン単結晶インゴット(インゴット2)から作製したシリコン基板を、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別した。
続いて、選別したシリコン基板における、再結合ライフタイムのばらつきを以下のように確認した。まず、選別したシリコン基板に酸化熱処理により酸化膜を形成した(酸化膜パシベーション)。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。
次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。ここで、電子線照射の条件は、実際のパワーデバイスの製造工程で用いられている条件として、電子線の照射量を6×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。その結果、LT0は0.6μsecであった。
次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は120分とした。そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は1.6μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、2.7となったことから、このシリコン基板は、回復熱処理により再結合ライフタイムが回復しにくいシリコン基板であり、再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板であることが確認された。
(インゴット3)
まず、FZ法により、リン濃度が7×1013atoms/cmのシリコン単結晶インゴット(インゴット3)を育成した。直径は150mm、結晶軸方位は<100>である。酸素濃度は0.3ppma、炭素濃度は0.06ppmaであった。そして、そのシリコン単結晶インゴットから、標準的なウェーハ加工プロセスにより、鏡面研磨仕上げのシリコン基板を作製した。
次に、作製したシリコン基板に、酸化熱処理により酸化膜を形成した。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。電子線の照射量は1×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。
そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。その結果、LT0は2.5μsecであった。
次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は180分とした。
そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は43.0μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、17.2となり、基準値LT2(=t×0.03+0.5)の5.9よりも大きかったため、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として不合格とした。
インゴット3から作製したシリコン基板は不合格とし、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別しなかったが、インゴット1及びインゴット2から作製したシリコン基板と比較するため、次の実験を行った。
不合格としたシリコン基板と同一のシリコン単結晶インゴットから作製したシリコン基板に、酸化熱処理により酸化膜を形成した。酸化熱処理温度は1000℃とし、時間は60分、雰囲気は酸素とした。
次に、酸化膜を形成したシリコン基板に電子線を照射した。ここで、電子線照射の条件は、実際のパワーデバイスの製造工程で用いられている条件として、電子線の照射量を6×1014/cmとし、電子線の加速電圧は2MVとした。
そして、電子線照射したシリコン基板の再結合ライフタイムLT0をμ−PCD法により測定した。その結果、LT0は0.5μsecであった。
次に、LT0を測定したシリコン基板に回復熱処理を施した。回復熱処理の温度は350℃とし、雰囲気は窒素、時間は120分とした。
そして、回復熱処理後のシリコン基板の再結合ライフタイムLT1をμ−PCD法により測定した。その結果、LT1は6.8μsecであった。LT1/LT0を算出した結果、13.6となったことから、このシリコン基板は、回復熱処理により再結合ライフタイムが回復しやすいシリコン基板であり、再結合ライフタイムのばらつきが大きいシリコン基板であることが確認された。
このように、本発明の選別方法であれば、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが大きいシリコン基板を除外し、シリコン基板自体に起因する再結合ライフタイムのばらつきが小さいシリコン基板を精度よく選別できることが確認された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (3)

  1. キャリアの再結合ライフタイムを制御するシリコン基板の選別方法であって、
    前記シリコン基板の候補となるシリコン基板を、シリコン単結晶インゴットから作製して準備する準備工程と、
    該準備したシリコン基板に粒子線を照射する粒子線照射工程と、
    該粒子線照射工程後の前記シリコン基板のキャリアの再結合ライフタイム(LT0)を測定する第1の測定工程と、
    前記シリコン基板を熱処理する回復熱処理工程と、
    該回復熱処理工程後の前記シリコン基板のキャリアの再結合ライフタイム(LT1)を測定する第2の測定工程と、
    該測定したLT1と前記LT0の比(LT1/LT0)を算出する算出工程と、
    該算出したLT1/LT0の値が所定の基準値(LT2)以下である場合に、前記シリコン基板が合格であると判定する判定工程と、
    該判定により合格と判定されたシリコン基板を作製した前記シリコン単結晶インゴットと同一のシリコン単結晶インゴットから作製したシリコン基板を、再結合ライフタイムを制御するシリコン基板として選別する選別工程と
    を有し、前記回復熱処理工程において、熱処理温度を300℃以上400℃以下とし、熱処理時間を60分以上180分以下とすることを特徴とするシリコン基板の選別方法。
  2. 前記粒子線照射工程において、電子線を1×1014/cm以上1×1015/cm以下の照射量で照射することを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の選別方法。
  3. 前記基準値(LT2)を、LT2=t×0.03+0.5(但し、tは前記回復熱処理工程における熱処理時間(分)である)とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコン基板の選別方法。
JP2015001256A 2015-01-07 2015-01-07 シリコン基板の選別方法 Active JP6292131B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015001256A JP6292131B2 (ja) 2015-01-07 2015-01-07 シリコン基板の選別方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015001256A JP6292131B2 (ja) 2015-01-07 2015-01-07 シリコン基板の選別方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016127192A JP2016127192A (ja) 2016-07-11
JP6292131B2 true JP6292131B2 (ja) 2018-03-14

Family

ID=56359706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015001256A Active JP6292131B2 (ja) 2015-01-07 2015-01-07 シリコン基板の選別方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6292131B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106680687A (zh) * 2017-01-05 2017-05-17 浙江师范大学 一种晶体硅体寿命的精确测量方法
JP6805015B2 (ja) * 2017-02-10 2020-12-23 グローバルウェーハズ・ジャパン株式会社 検量線の作成方法、炭素濃度測定方法及びシリコンウェハの製造方法
JP6766786B2 (ja) * 2017-09-08 2020-10-14 信越半導体株式会社 シリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法、及び半導体デバイスの製造方法
JP6922688B2 (ja) * 2017-11-22 2021-08-18 信越半導体株式会社 シリコン単結晶基板の選別方法及びシリコン単結晶基板
JP6881292B2 (ja) 2017-12-28 2021-06-02 信越半導体株式会社 再結合ライフタイムの制御方法
JP6922826B2 (ja) * 2018-04-25 2021-08-18 信越半導体株式会社 シリコン単結晶基板の選別方法
JP7259706B2 (ja) * 2019-11-06 2023-04-18 株式会社Sumco エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05129404A (ja) * 1991-11-05 1993-05-25 Kawasaki Steel Corp ウエーハの評価方法
JP5561217B2 (ja) * 2011-03-18 2014-07-30 信越半導体株式会社 ライフタイム値の測定方法及びこれを用いたウエーハの選別方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016127192A (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6292131B2 (ja) シリコン基板の選別方法
JP6083412B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法及びシリコン基板の製造方法
JP5188673B2 (ja) Igbt用のシリコンウェーハ及びその製造方法
TWI539041B (zh) 單晶矽半導體晶圓及其製造方法
JP4743010B2 (ja) シリコンウェーハの表面欠陥評価方法
KR101829505B1 (ko) 실리콘 웨이퍼의 열처리 방법, 및 실리콘 웨이퍼
KR102029647B1 (ko) 실리콘 단결정 기판의 결함 농도 평가 방법
KR101822479B1 (ko) 실리콘 웨이퍼의 제조 방법
JP2007176725A (ja) 中性子照射シリコン単結晶の製造方法
TW201542894A (zh) 由矽構成的半導體晶圓和其製造方法
JP4218681B2 (ja) シリコン単結晶基板の製造方法及び抵抗特性測定方法並びに抵抗特性保証方法
WO2019239762A1 (ja) シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法
JP6881292B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法
WO2019102759A1 (ja) シリコン単結晶基板の選別方法及びシリコン単結晶基板
CN111279461B (zh) 由单晶硅组成的半导体晶片
JP6777046B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法
JP2012134517A (ja) Igbt用のシリコンウェーハ及びその製造方法
WO2019208013A1 (ja) シリコン単結晶基板の選別方法及びシリコン単結晶基板
CN107154354B (zh) 晶圆热处理的方法
JP2019050283A (ja) シリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法、及び半導体デバイスの製造方法
JP2010109190A (ja) シリコンウェーハの製造方法
JP2020092169A (ja) シリコン単結晶基板中の窒素濃度評価方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6292131

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250