JP6288409B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密封装置に関する。
たとえば、自動車のクランク軸等の回転部には、潤滑オイルの漏れを防止するために、軸面摺動タイプのオイルシール(密封装置)が一般的に設けられている。この種のオイルシールは、金属環にゴムを加硫接着することによってリップを形成し、当該リップにばねを組み込むことによって形成されている。軸は、ばねの弾性力によってその軌道面に押圧されたリップで適度にホールドされ、これによりオイルが密封される。
たとえば、下記特許文献1は、シール本体の内周に形成されたリップを、その外周に取り付けられたスプリングの締め付け力により回転部材の外周面に圧接させるオイルシールにおいて、スプリングの外周を、当該スプリングの伸縮を許容する熱収縮性のチューブで被覆することを開示している。
実開平3−172号公報 特開平9−79274号公報
軸に対するリップの接触面(リップ摺動面)は、オイルの介在した流体潤滑となっており、大気側と密封液側との間に所定の面圧分布でリップを当接させておくことで、リップの緊迫力を良好に維持してオイルの密封性を得ることができる。
しかしながら、リップ摺動面にオイルが枯渇した状態(無潤滑状態)で高速回転の状態が続くと、摺動発熱によるリップのへたりおよびリップの摩耗が急激に進行する。その結果、リップの緊迫力が低下してシール漏れに至るおそれがある。緊迫力の低下を防止するため、ばねによってリップを押さえつけてはいるが、リップが摩耗するとばね径も変化し、ばねが収縮する。そのため、摩耗前のばねの拘束力を得ることができず、緊迫力の低下を免れない。
一方、ばねの拘束力の初期値を増加させるとリップの緊迫力は増加するが、トルクの増加を招くと共に、適正な面圧分布を得ることが困難である。また、上記特許文献2には、ばねを用いない手法によってリップの摩耗を減少させる試みが開示されているが、この特許文献2に開示の技術であっても、リップの緊迫力が低下する問題を解決するに至っていない。
そこで、本発明の目的は、リップ摺動面の面圧分布を長期に亘って維持でき、リップの緊迫力の低下を抑制することができる密封装置を提供することである。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、内周に軌道面(26)を有する外側部材(27)と、前記外側部材と同軸に前記外側部材に対して環状の空隙(28)を挟んで相対回転可能に配置され、外周に軌道面(30)を有する内側部材(29)との間の前記空隙に装着される密封装置(1)であって、前記内側部材の前記軌道面に所定の面圧で接触し、前記内側部材の前記軌道面に対して摺動する環状のリップ(15)を有するシール本体(2)と、前記リップを取り囲んで前記リップを弾性的に締め付ける環状の弾性部材(3)と、前記リップの外周を取り囲むように取り付けられ、熱によって収縮し、その収縮力によって前記リップを縮径する方向に押圧できる熱収縮部材(4)とを含み、前記熱収縮部材は、前記弾性部材の外周側に設けられている、密封装置である。
また、請求項2に記載の発明は、前記熱収縮部材は、収縮前の形態で前記シール本体に取り付けられている、請求項1に記載の密封装置である
また、請求項に記載の発明は、前記弾性部材は、円筒状のコイルばね(3)を含み、前記リップは、その外周面に周方向に沿って環状に形成され、前記コイルばねが嵌め込まれる断面視略半円形状のばね溝(22)を有しており、前記熱収縮部材は、前記ばね溝から露出する前記弾性部材の外周面を覆うように形成された半円筒状(23)の熱収縮チューブ(4)を含む、請求項1または2に記載の密封装置である。
また、請求項に記載の発明は、前記シール本体は、その外周面が前記外側部材の前記軌道面に接するように前記空隙に嵌め込まれる外環(7)を含み、前記リップは、前記外環の内方領域に配置されるように、前記外環に対してリップ根元部(16)を介して一体的に接続されており、前記リップ根元部の厚さtおよび前記熱収縮部材の厚さaは、関係式:a<t<2aを満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封装置である。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
請求項1に記載の発明によれば、リップの摺動発熱を利用して熱収縮部材を収縮させ、リップを縮径する方向に押圧することができる。そして、この押圧力によって、リップが外側から押圧されるので、リップ摺動面の面圧を増加させることができ、面圧分布を再形成することができる。その結果、リップ摺動面の面圧分布を長期に亘って維持でき、リップの緊迫力の低下を抑制することができる。
また、リップの緊迫力を、一次的には自然に拘束力を得ることができる弾性部材によって発現することができる。一方、リップが摩耗して弾性部材の拘束力が低下した場合に、緊迫力の低下を抑制する補足部材として熱収縮部材を利用することができる。すなわち、弾性部材の拘束力とは別の機構で発生する熱収縮力によって、リップの緊迫力の低下を良好に抑制することができる。
請求項2に記載の発明によれば、熱収縮部材が完全に収縮するまでの伸び代を大きくとれるので、より長期に亘って、リップの緊迫力の低下を抑制することができる
請求項に記載の発明によれば、熱収縮部材が半円筒状の熱収縮チューブであるため、熱収縮した際に、熱収縮チューブのあらゆる箇所からその中心方向に収縮力を発生させることができる。そして、それらの収縮力が合成されて、内側部材の軌道面に直交する方向に押圧力を作用させることができる。つまり、収縮力を熱収縮チューブの中心方向に効率よく集めて合成することができるので、当該収縮力をリップに作用させる際のロスを少なくすることができる。
また、コイルばねが、リップおよび熱収縮チューブで覆われているので、空隙の密封液側にコイルばねを腐食させる成分を含む液体が入れられている場合でも、当該液体からコイルばねを保護することができる。
請求項に記載の発明によれば、関係式:a<t<2aを満たす条件でリップ根元部および熱収縮部材を設計することによって、熱収縮部材が外環に干渉することを防止しながら、熱収縮部材の熱収縮による効果を十分得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態を示すオイルシールの斜視図であって、組み立てた状態と分解した状態を示している。 図2は、図1のオイルシールの使用状態を示す図である。 図3は、初期(摩耗前)および摩耗後のリップの状態を示す図である。 図4は、リップ摺動面の面圧分布の変化を示すグラフである。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示すオイルシール1の斜視図であって、組み立てた状態と分解した状態を示している。なお、図1では、オイルシール1の断面構造の明瞭化のために、リング状のオイルシール1の一部を切除して表している。
本発明の密封装置の一例としてのオイルシール1は、シール本体2と、本発明の弾性部材の一例としてのコイルばね3と、本発明の熱収縮部材の一例としての熱収縮チューブ4とを含む。シール本体2、コイルばね3、および熱収縮チューブ4は、それぞれリング状に形成されている。オイルシール1は、シール本体2に、コイルばね3と熱収縮チューブ4を嵌め込むことによって組み立てられる。
シール本体2は、ゴム部材5と、ゴム部材5に埋め込まれた金属製の補強環6とを含む。シール本体2は、たとえば、SPCC(冷間圧延鋼板:Steel Plate Cold Commercial)等の金属板をプレス加工で補強環6を成形し、当該補強環6にゴム材料を加硫接着させることによって形成することができる。使用可能なゴム材料としては、たとえば、NBR(ニトリルゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、ACM(アクリルゴム)、VMQ(シリコンゴム)、FKM(フッ素ゴム)等が好適である。
ゴム部材5は、外環7と、外環7の内周面との間に環状の溝8が形成されるように外環7の内方領域に設けられた内環9とを一体的に含む。
外環7は、その軸方向一端側周縁から径方向内側に延びるフランジ部10を有する断面視略L字状に形成されている。フランジ部10は、外環7の内周面と内環9との間の溝8の底部を形成している。オイルシール1は、このフランジ部10が外側となるようにシール対象物(たとえば、図2に示す回転部25)に取り付けられる。したがって、シール対象物に取り付けられた状態のオイルシール1では、内側の密封液に接する面(密封液側面)が溝8によって開放されており、外側の大気に接する面(大気側面)がフランジ部10によって閉塞されている。以下では、溝8の開放側(フランジ部10が形成されていない側)を「密封液側」とし、密封液側の反対側(フランジ部10が形成されている側)を「大気側」として説明する。
外環7の外周面には、軸方向両端部のそれぞれに面取り部11,12が形成されている。各面取り部11,12は、外環7の外周面の全周に亘って形成されている。この面取り部11,12は、シール対象物に対するオイルシール1の取り付けを容易にする。
一方、外環7の内周面は、フランジ部10から溝8の開放端へ向かって径方向外側へと緩やかに傾斜するテーパ面13を含む。このテーパ面13は、この実施形態では、フランジ部10と、溝8の開放端よりもやや閉塞端側の深さ位置との間に形成されている。これにより、外環7の肉厚が溝8の開放端側で薄くなるので、外環7と内環9との間隔(溝8の幅)が広くなる。そのため、コイルばね3と熱収縮チューブ4といった二つの部材を、当該溝8を介してシール本体2に取り付ける際の作業性を向上させることができる。なお、外環7の内周面は、フランジ部10から溝8の開放端に至るまでの全区間でテーパ面13であってもよい。
また、外環7の大気側面(フランジ部10の表面)には、その全周に亘って浅い溝14が形成されている。
内環9は、内環9の全周に亘って形成されたリップ15と、リップ15を曲げ弾性によって縮拡径自在に支持するリップ根元部16とを含む。つまり、リップ15に対して径方向外側もしくは内側へ向かう方向の力が加わると、その力によってリップ根元部16に曲げ応力が加わってリップ根元部16が変形し、その変形によってリップ15が拡径したり縮径したりする。
リップ15は、シール本体2の径方向内側(外環7の反対側)の部分が、径方向内側へ選択的に突出して形成されている。具体的には、リップ15の当該内側部分は、断面視くさび形状に形成されており、その突出した先端(リップ先端17)に対し密封液側および大気側のそれぞれに、シール本体2の軸線18に対して傾斜した一対の面を有している。
この一対の面は、それぞれリップ密封液側面19およびリップ大気側面20であり、断面視においてリップ先端17を通る対称軸21に対して非対称になっている。より詳しくは、リップ密封液側面19がリップ大気側面20よりもシール本体2の軸線18に対して大きな角度で傾斜することによって非対称になっている。たとえば、軸線18に対する、リップ密封液側面19の角度θは0°〜90°であるのに対し、リップ大気側面20の角度θは0°〜90°である。また、リップ密封液側面19とリップ大気側面20とが交差することで形成されるリップ先端17の角度θは、たとえば、90°〜180°である。
一方、溝8を隔てて外環7に面するリップ15の径方向外側の部分には、ばね溝22が形成されている。ばね溝22は、リップ15の外周面の全周に亘って断面視半円形状に形成されており、その内径は、コイルばね3の外径とほぼ同じである。また、この実施形態では、ばね溝22の位置は、リップ先端17よりも大気側にずれている。このずれは、ばね溝22の中心をリップ先端17に対し大気側にオフセットすることで形成されている。
リップ根元部16は、リップ15を曲げ弾性によって縮拡径自在に支持できる程度の薄肉部であればよく、一般的には、0.1mm以上の厚さtで形成されている。
補強環6は、この実施形態では、ゴム部材5において外環7に選択的に埋め込まれており、外環7と同じ断面視略L字状に形成されている。
コイルばね3は、リップ15のばね溝22の内径とほぼ同じ径の外径を有する円筒状に形成されている。コイルばね3の種類は、特に制限されず、一般的なものが使用可能である。なお、この実施形態では、リップ15を弾性的に締め付けることができる弾性部材の一例としてコイルばね3を挙げているが、たとえば、ゴムチューブ等をコイルばね3に代えて用いてもよい。
熱収縮チューブ4は、加熱されることで収縮するゴム材料を用いて形成されている。この種のゴム材料は多種存在するが、リップ15を構成するゴム材料の耐熱限界温度以上の温度で収縮し始めるゴム材料を選択することが好ましい。逆に言えば、リップ15を構成するゴム材料の耐熱安全温度(リップ15を連続使用しても摩耗や溶融等が発生しない温度)の範囲では熱収縮しないゴム材料を選択することが好ましい。上記の条件を満たす一例として、たとえば、リップ15がNBR(耐熱限界温度:約120℃)で形成されている場合には、NBR系の熱収縮ゴムを選択し、リップ15がフッ素ゴム(耐熱限界温度:約220℃)で形成されている場合には、テフロン(登録商標)系の熱収縮ゴムを選択する。
熱収縮チューブ4は、上記のゴム材料を用いて、熱収縮チューブ4の径方向内側へ向かって開放された半円筒部23と、半円筒部23の軸方向一端側周縁から軸方向外側に延びるフランジ部24とを一体的に有する形状に形成されている。半円筒部23の内径は、コイルばね3の外径とほぼ同じである。また、熱収縮チューブ4は、この実施形態では、半円筒部23およびフランジ部24が一様な厚さaで形成されている。厚さaは、リップ根元部16の厚さtとの間に、関係式:a<t<2aを満たすことが好ましい。
そして、シール本体2、コイルばね3、および熱収縮チューブ4を用いてオイルシール1を組み立てるには、たとえば、まず、シール本体2の溝8を介して、コイルばね3をリップ15のばね溝22に嵌め込む。次に、フランジ部24が奥側となるように熱収縮チューブ4をシール本体2の溝8に合わせ、リップ根元部16とフランジ部24が重なり合うように、ばね溝22から露出するコイルばね3に半円筒部23を嵌め込む。これにより、オイルシール1が組み立てられる。この組み立て後の状態において、オイルシール1には、フランジ部24がリップ根元部16に支持され、リップ15のばね溝22と熱収縮チューブ4の半円筒部23が合わさることによって、外部から閉鎖された筒状の空間が形成されており、当該筒状の空間にコイルばね3が収容されている。つまり、コイルばね3は、オイルシール1の径方向内側半分がリップ15で覆われ、径方向外側半分が熱収縮チューブ4で覆われることによって、リップ15および熱収縮チューブ4で完全に保護されている。なお、熱収縮チューブ4は、オイルシール1をシール対象物へ取り付けるまで、加熱せず熱履歴を全く受けないようにして、収縮前の形態を維持しておくことが好ましいが、シール本体2への固着性を高めるため若干収縮させてもよい。
図2は、図1のオイルシール1の使用状態を示す図である。また、図3は、初期(摩耗前)および摩耗後のリップ15の状態を示す図である。また、図4は、リップ摺動面31の面圧分布の変化を示すグラフである。
図1で説明したオイルシール1は、たとえば、主として自動車のエンジン、トランスミッション等の回転部に使用されるが、これらに限らず、建設機械、工作機械、航空機、船舶、鉄道車両、農業機械、石油化学プラント、原子力発電プラント、家庭電気製品等のあらゆる分野の機械に使用することができる。
このような機械の回転部25は、概して、内周に軌道面26を有するハウジング27(外側部材)と、ハウジング27と同軸にハウジング27に対して環状の空隙28を挟んで回転可能に配置された回転軸29(内側部材)とを含む。オイルシール1は、空隙28に入れられた密封液の一例としての潤滑オイルが回転軸29の端部から漏れ出たり、外部から空隙28に土砂やほこりが侵入したりすることを防止するために使用される。具体的には、密封液側が奥側となるように、オイルシール1を回転部25の空隙28に押し込むことによってセットする。
これにより、空隙28の外側の軌道面26は外環7の外周面によってシールされ、内側の軌道面30はリップ15によってシールされる。この際、リップ15は、回転軸29の外径とオイルシール1の内径との差によって内側から広げられる一方、コイルばね3の弾性力によって外側から締め付けられる。その結果、リップ15において選択的に突出したリップ先端17(図1参照)が、回転軸29の軌道面30に押し付けられて変形する。
一方、回転軸29に関して言えば、変形したリップ先端17によって、一定の接触面積で押圧されることになる。このリップ先端17による圧力の分布(面圧分布)を図解的に表したものが図3であり、当該面圧分布をグラフで表したものが図4である。
すなわち、図3の回転軸29上に矢印で示すように、オイルシール1が回転部25にセットされた直後の初期状態(摩耗前)では、回転軸29に対するリップ15の接触面(リップ摺動面31)の面圧分布が、オイルシール1の軸方向中央を通る対称軸32に対して、大気側と密封側に非対称になっている。
この非対称の現象は、図1に示すようにばね溝22の中心がリップ先端17に対し大気側にオフセットしている結果、リップ15の接触位置が、コイルばね3の位置(ばね位置)に対して密封液側にずれるためである。この実施形態では、図3および図4に示すように、リップ摺動面31の面圧は、リップ摺動面31の大気側端部を始点とし、ここから密封液側端部へ向かう方向における接触位置をxと定義すると、xが大きくなるに従って大きくなるように分布し、リップ15接触位置でほぼ最大となっている。リップ摺動面31に潤滑オイル由来の油膜が形成されており、上記した面圧分布が維持されている間は、潤滑オイルの密封性は良好に保持される。
しかしながら、リップ摺動面31に潤滑オイルが枯渇した状態(無潤滑状態)で回転軸29の高速回転の状態が続き、リップ15を構成するゴム材料の耐熱限界温度を超える摺動発熱が長期に亘って続くと、リップ15のへたりおよびリップ15の摩耗が急激に進行し、図3に示す「摩耗後」の状態になる。その結果、図3および図4に破線で示すように、初期状態の適正な面圧分布が崩れ、リップ摺動面31の接触幅が広がると共に、リップ摺動面31の面圧が最大値基準で半分程度にまで低下する。この状態では、リップ15の緊迫力が低すぎるためシール漏れに至るおそれがある。一方、緊迫力の低下を防止するため、コイルばね3によってリップ15を押さえつけてはいるが、リップ15が摩耗するとコイルばね3の径も変化し、コイルばね3が収縮する。そのため、初期状態のコイルばね3の拘束力を得ることができず、緊迫力の低下を免れない。
そこで、この実施形態では、リップ15の外周を取り囲み、コイルばね3を覆う半円筒部23を有する熱収縮チューブ4が設けられている。この熱収縮チューブ4は、リップ15を構成するゴム材料の耐熱限界温度以上の温度で収縮し始めるので、摺動発熱による熱量を利用して収縮する。この収縮によって、図3に矢印Fで示すように、熱収縮チューブ4のあらゆる箇所から中心方向に収縮力が発生し、それらの力が合成されて回転軸29の軌道面30に直交する方向に押圧力が働く。
そして、この押圧力によって、リップ15が全周に亘って外側から押圧されるので、図3および図4に示すように、リップ摺動面31の接触幅は広がったまま維持されるが、相対的に面圧を増加させることができ、最大値基準でほぼ初期状態にまで回復させることができる。その結果、初期状態と同等の緊迫力を得るための面圧分布を再形成することができる。つまり、リップ15の摩耗等によりコイルばね3の拘束力だけでは十分な緊迫力を得ることが困難な状態になっても、コイルばね3の拘束力とは別の機構で発生する熱収縮力によってリップ15の緊迫力の低下を抑制することができる。
また、図1に示すように、熱収縮チューブ4の厚さtが、リップ根元部16の厚さaとの間に、関係式:a<t<2aを満たすので、熱収縮チューブ4が外環7に干渉することを防止しながら、熱収縮チューブ4の熱収縮による効果を十分得ることができる。
さらに、図1に示すように、コイルばね3が、リップ15および熱収縮チューブ4で完全に覆われているので、密封液側にコイルばね3を腐食させる成分を含む液体が入れられている場合でも、当該液体からコイルばね3を保護することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、リップ15と熱収縮チューブ4との間にコイルばね3が挟まれている構成を取り上げたが、シール本体2にリップ15を径方向内側に付勢する力が備えられている場合には、コイルばね3を省略してもよい。
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
1…オイルシール、2…シール本体、3…コイルばね、4…熱収縮チューブ、7…外環、15…リップ、16…リップ根元部、22…ばね溝、23…半円筒部、26…(ハウジングの)軌道面、27…ハウジング、28…空隙、29…回転軸、30…(回転軸の)軌道面

Claims (4)

  1. 内周に軌道面を有する外側部材と、前記外側部材と同軸に前記外側部材に対して環状の空隙を挟んで相対回転可能に配置され、外周に軌道面を有する内側部材との間の前記空隙に装着される密封装置であって、
    前記内側部材の前記軌道面に所定の面圧で接触し、前記内側部材の前記軌道面に対して摺動する環状のリップを有するシール本体と、
    前記リップを取り囲んで前記リップを弾性的に締め付ける環状の弾性部材と、
    前記リップの外周を取り囲むように取り付けられ、熱によって収縮し、その収縮力によって前記リップを縮径する方向に押圧できる熱収縮部材とを含み、
    前記熱収縮部材は、前記弾性部材の外周側に設けられている、密封装置。
  2. 前記熱収縮部材は、収縮前の形態で前記シール本体に取り付けられている、請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記弾性部材は、円筒状のコイルばねを含み、
    前記リップは、その外周面に周方向に沿って環状に形成され、前記コイルばねが嵌め込まれる断面視略半円形状のばね溝を有しており、
    前記熱収縮部材は、前記ばね溝から露出する前記弾性部材の外周面を覆うように形成された半円筒状の熱収縮チューブを含む、請求項1または2に記載の密封装置。
  4. 前記シール本体は、その外周面が前記外側部材の前記軌道面に接するように前記空隙に嵌め込まれる外環を含み、
    前記リップは、前記外環の内方領域に配置されるように、前記外環に対してリップ根元部を介して一体的に接続されており、
    前記リップ根元部の厚さtおよび前記熱収縮部材の厚さaは、関係式:a<t<2aを満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封装置。
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