JP6287792B2 - リング状部材の製造方法及び製造装置、ラジアル転がり軸受の製造方法及び製造装置、並びに、回転機器の製造方法 - Google Patents

リング状部材の製造方法及び製造装置、ラジアル転がり軸受の製造方法及び製造装置、並びに、回転機器の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、例えば、ラジアル転がり軸受用の軌道輪等のリング状部材の製造方法及びこの製造方法の実施に直接使用できるリング状部材の製造装置の改良に関する。
各種回転機器の回転支持部に、図9に示す様なラジアル玉軸受1が組み込まれている。このラジアル玉軸受1は、単列深溝型であって、互いに同心に配置された外輪2と内輪3との間に複数個の玉4、4を設置して成る。このうちの外輪2の内周面の軸方向中間部に深溝型の外輪軌道5を、内輪3の外周面の軸方向中間部に深溝型の内輪軌道6を、それぞれ全周に亙って形成している。前記各玉4、4は、保持器7により保持された状態で、前記外輪軌道5と前記内輪軌道6との間に転動自在に配置している。そして、この構成により、前記外輪2と前記内輪3との相対回転を自在としている。
上述の様なラジアル玉軸受1を構成する、前記外輪2や前記内輪3等の軌道輪を低コストで造る方法として、例えば特許文献1に記載された方法が知られている。この方法では、図10(A)に示したビレット8の下端部の外径を拘束した状態でこのビレット8を軸方向に押し潰す据え込み加工を施す事により、図10(B)に示した様な、小径部9と大径部10とから成る、第一中間素材11を形成する。次いで、このうちの小径部9に前方押出加工を施してこの小径部9を小径の第二円筒部12に加工する事により、図10(C)に示した第二中間素材13とする。次いで、前記大径部10に後方押出加工を施して、この大径部10を大径の第一円筒部14に加工する事により、図10(D)に示した第三中間素材15とする。次いで、この第三中間素材15に打ち抜き加工を施して、この第三中間素材15の底板部16を打ち抜き、図10(E)に示した第四中間素材17とする。次いで、図10(F)に示す様に、この第四中間素材17に打ち抜き加工を施して、この第四中間素材17から、前記第二円筒部12に相当する部分を打ち抜き小径円筒部材18とする。最後に、図10(G)に示す様に、前記第一円筒部14に相当する部分から内向鍔部19を打ち抜いて、大径円筒部材20とする。これら小径、大径各円筒部材18、20は、何れも特許請求の範囲に記載した円環状の金属素材に相当する部材である。
上述の様な工程により得られる小径、大径各円筒部材18、20は、前記外輪2又は前記内輪3の素材となるものであり、この状態では、内径寸法、外径寸法、軸方向寸法、及び内外両周面の形状が、前記外輪2又は前記内輪3の寸法及び形状となっていない。そこで、この様な小径、大径各円筒部材18、20を、前記外輪2又は前記内輪3の形状に加工する作業を、圧延転造加工により行う事が、前記特許文献1及び特許文献2に記載される等して従来から知られている。以下、前記小径、大径各円筒部材18、20等の金属素材を、圧延転造加工により、前記外輪2又は前記内輪3の形状に加工する作業に就いて、図11、12を参照しつつ簡単に説明する。
図11、12は、特許文献2に記載されたリング状部材の製造装置21を示している。この製造装置21は、圧延転造加工により前記小径、大径各円筒部材18、20等の金属素材26を加工後のリング状部材22{仕上げ加工(切削加工及び研削加工)前の内輪3の状態}に加工する為の装置であり、マンドレル23と、成形ロール24と、サポートロール25とを備えている。
このうちのマンドレル23は、外周面の軸方向中間部に形成された、前記金属素材26の内周面に転造加工を施す為の第一転造面27と、この第一転造面27の軸方向両側に設けられた円筒面状の1対のマンドレル側規制面28、28とを有している。この様な第一転造面27は、軸方向中間部が軸方向に関して外径が変化しない円筒面状(断面直線状)であり、軸方向両端寄り部分が、軸方向両端に向かう程、外径が大きくなる断面円弧状に形成されている。この様なマンドレル23は、軸方向(図11、12の上下方向)の変位、及び自身の中心軸を中心とした回転を可能な状態で受け台29に支持されている。
又、前記成形ロール24は、円筒状であり、外周面の軸方向中間部に形成された、前記金属素材26の外周面に転造加工を施す為の第二転造面30と、この第二転造面30の軸方向両側に形成された円筒面状の1対の成形ロール側規制面31、31とを有する。このうちの第二転造面30は、軸方向両端寄り部分が軸方向に関して外径が変化しない円筒面状(断面直線状)であり、軸方向中央寄り部分が、軸方向中央に向かう程外径が大きくなる断面半円弧状に形成されている。前記成形ロール24は、その中心軸が前記マンドレル23の中心軸と平行な状態で、前記第二転造面30を、このマンドレル23の第一転造面27と対向させている。この様な成形ロール24は、回転しながら水平方向(図11、12の左右方向)に変位(マンドレル23に遠近動)可能である。
又、前記サポートロール25は、軸方向に関して所定の間隔を設けて配置された1対のローラ32、32を備えている。この様なサポートロール25は、前記マンドレル23の中心軸に関して前記成形ロール24と反対側に、その中心軸がこのマンドレル23の中心軸と平行な状態に設けられている。この状態で、前記両ローラ32、32の外周面の一部と、前記両マンドレル側規制面28、28とが対向している。尚、前記成形ロール24の回転軸と、前記サポートロール25の回転軸とは、同期機構33により連結されている。従って、これら成形ロール24とサポートロール25とは、電動モータ34の回転運動に基づいて、同期して回転する事ができる。
次に、上述の様な構成を有するリング状部材の製造装置21により、前記金属素材26に圧延転造加工を施して前記リング状部材22を造る手順に就いて、図12を参照しつつ説明する。
先ず、図12(A)に示す様に、前記金属素材26の内径側に前記マンドレル23を挿通した状態で、この金属素材26の円周方向一部を、このマンドレル23の第一転造面27と前記成形ロール24の第二転造面30との間に配置する。この状態で前記サポートロール25を構成する両ローラ32、32の外周面の円周方向一部を、前記マンドレル23の両マンドレル側規制面28、28に近接対向させておく。
次いで、前記電動モータ34の回転運動に基づいて、前記成形ロール24と前記サポートロール25とを回転駆動した状態で、この成形ロール24を、前記マンドレル23に近付く方向(図11、12の左側)に変位させる。すると、この成形ロール24が、前記金属素材26に当接して、この金属素材26が連れ回される。
次いで、この状態から更に、前記成形ロール24を、前記マンドレル23に近付く方向に変位させると、このマンドレル23が、前記金属素材26を介して押圧されて、前記サポートロール25の両ローラ32、32に当接する。すると、これら両ローラ32、32の回転に伴い、前記マンドレル23が連れ回される。尚、この状態で、前記サポートロール25は、このマンドレル23が、図11、12の左側に変位しない様にサポートしている。
上述の状態から更に、前記成形ロール24を、前記マンドレル23に近付く方向に変位させると、この成形ロール24と、前記サポートロール25にサポートされた前記マンドレル23との間で、前記金属素材26の円周方向一部が押圧されて、この金属素材26の内周面にこのマンドレル23の第一転造面27が、同じく外周面に前記成形ロール24の第二転造面30が、それぞれ転造される。又、これに伴い、前記金属素材26の外径寸法及び軸方向寸法が大きくなる。尚、前記成形ロール24は、前記両成形ロール側規制面31、31が、前記マンドレル23の両マンドレル側規制面28、28に当接すると、このマンドレル23に向かう方向の変位が停止されて、圧延転造加工が終了する。そして、この様にして造られたリング状部材22に対して、切削加工及び研削加工等の仕上げ加工を施す事により、前記内輪3とする。
上述の様な製造方法によれば、前記金属素材26に鍛造加工を施して前記リング状部材22を造る場合と比べて、加工装置の小型化を図る事ができると共に、後の仕上げ加工(切削、旋削加工)の際の取り代を小さくできる為、設備コスト及び材料コストの低減を図る事ができる。但し、上述の製造方法の場合、前記リング状部材22の外径寸法(加工中の金属素材の外周面)を規制する手段が設けられていない。この為、前記金属素材26の寸法形状のばらつき、又は、転造装置へのこの金属素材26の組み付け状態のばらつき等によって、前記リング状部材22の形状(外径寸法及び軸方向寸法)にばらつきが生じる可能性がある。この様なばらつきが生じると、仕上げ加工(切削加工及び研削加工)が面倒になり、製造コストが嵩んでしまう可能性がある。
一方、特許文献3には、マンドレルと、転造加工後のリング状部材の外径寸法及び軸方向寸法を規制する為の拘束型とを備えた金型を用いた圧延転造加工に関する技術が記載されている。この技術によれば、リング状部材の形状にばらつきが生じる事の防止を図れる。但し、使用する金属素材の体積が所定値よりも大きい場合には、成形ロールによる押圧が終了するよりも早い段階で、前記金型の成形空間が前記金属素材により満たされて、この金属素材の内部応力が高くなり過ぎてしまい、前記マンドレル又は前記拘束型に傷が生じる可能性がある。具体的には、前記金属素材から前記拘束型に対して軸方向の押圧力が加わった場合、この拘束型の内周面(金属素材の外周面を拘束する部分)の軸方向中央部に引っ張り応力が生じて亀裂が発生する可能性がある。又、前記マンドレル又は前記拘束型が損傷しない場合でも、前記金型の成形空間内で行き場のない金属素材が歪んでしまい、加工後のリング状部材の真円度が悪化してしまう可能性がある。尚、この様な問題は、金型の温度変化に基づく、前記金属素材の体積変化によっても生じる可能性がある。
特開2009−279611号公報 特開昭59−212142号公報 特開平7−275990号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、マンドレル及び外径拘束型に損傷が生じる事を防止すると共に、金属素材の体積のばらつきに拘わらず、加工後のリング状部材の形状の精度の向上を図れるリング状部材の製造方法及び製造装置を実現するものである。
本発明のリング状部材の製造方法及び製造装置のうち、請求項1に記載したリング状部材の製造装置は、それぞれの中心軸が互いに平行な状態で配置された、マンドレルと、外径拘束型とを備えている。
このうちのマンドレルは、軸方向に離隔した状態で互いに同心に設けられた1対の支持軸部と、軸方向に関してこれら両支持軸部同士の間に、これら両支持軸部と同心に設けられた転造軸部とを有している。
このうちの両支持軸部は、前記転造軸部よりも大径で、支持部に対して支持されるものである。
又、前記転造軸部は、その外周面に、円環状の金属素材の内周面に転造加工を施す為の第一転造面が形成されている。
前記外径拘束型は、円環状であり、その内周面に少なくとも前記金属素材の外周面に転造加工を施す為の第二転造面が形成されている。この様な外径拘束型は、その内径側に前記マンドレルの転造軸部を挿通し、且つ、この第二転造面を前記第一転造面に対向した状態で配置されている。
上述の様なリング状部材の製造装置は、前記マンドレルの第一転造面と、前記外径拘束型の第二転造面と、前記両支持軸部の前記転造軸部側の端面とにより形成される成形空間に、前記金属素材の円周方向一部を配置した状態で、自身の中心軸を中心として回転する前記マンドレルの前記第一転造面と、自身の中心軸を中心として回転する前記外径拘束型の前記第二転造面との間で、この金属素材を押圧して、この金属素材の内周面及び外周面に転造加工を施す事によりリング状部材を形成するものである。
特に本発明のリング状部材の製造装置に於いては、前記マンドレルを構成する両支持軸部のうちの少なくとも一方の支持軸部が、前記転造軸部と別体で構成され、且つ、前記転造軸部から離れる方向に変位可能な変位側支持軸部である。
又、前記外径拘束型は、複数個の円環状の外径拘束型素子を、軸方向に並べて配置する事により構成されている。又、前記外径拘束型の第二転造面は、前記各外径拘束型素子の内周面により構成されている。この様な第二転造面は、前記金属素材の外周面に加えて、この金属素子の外周面と、この金属素子の軸方向両端面との連続部である角部に、面取り部を転造加工する為のものである。
又、前記変位側支持軸部に前記金属素材から加わる軸方向の押圧力が閾値以下の場合には、この変位側支持軸部が前記転造軸部から軸方向に離れる方向に変位する事を阻止し、前記軸方向の押圧力が前記閾値を超えた場合には、前記変位側支持軸部が当該方向に変位する事を許容する変位規制手段(例えば、油圧式、ガス圧式、又は空圧式等のアクチュエータ、サーボモータ等)を設ける。
前記変位側支持軸部の変位に伴い、前記各外径拘束型素子が、互いに離れる方向に変位可能である。尚、互いに離れる方向に変位可能な状態とは、これら各外径拘束型素子のうちの何れか一方の外径拘束型素子のみが、他方の外径拘束型素子に対して離れる方向に変位する場合や、両方の外径拘束型素子がそれぞれ互いに離れる方向に変位する場合がある。
本発明のリング状部材の製造装置を実施する場合には、付加的に、請求項2に記載した発明の様に、前記外径拘束型が、円環状の外周保持部材を備える様に構成する。そして、この外周保持部材を、前記各外径拘束型素子の外周面に、これら各外径拘束型素子の軸方向への変位を許容する状態で外嵌する。
本発明のリング状部材の製造装置を実施する場合には、付加的に、請求項3に記載した発明の様に、前記各外径拘束型素子のうち、少なくとも1個の外径拘束型素子を、円周方向に分割可能なものとする。具体的には例えば、外径拘束型素子を円周方向に関して2分割した如き構成とする事ができる。この場合には、外径拘束型を1対の半円輪状部材を円周方向に並べて構成する。これら両半円輪状部材同士は、連結した状態、或いは、分離した状態で配置する事ができる。この他、外径拘束型素子を複数個(3個以上)の部分円輪状部材を、円周方向に並べて構成する事もできる。
本発明のリング状部材の製造装置を実施する場合には、付加的に、請求項4に記載した発明の様に、前記外径拘束型の軸方向に関する位置決めを、この外径拘束型の軸方向両端面と、前記両支持軸部の、前記転造軸部側端面との係合により図る様に構成する。
本発明のリング状部材の製造装置を実施する場合には、付加的に、請求項5に記載した発明の様に、前記両支持軸部を何れも、前記変位側支持軸部とする。
或いは、請求項6に記載した発明の様に、前記両支持軸部のうち、一方の支持軸部を、前記変位側支持軸部とし、同じく他方の支持軸部を、前記転造軸部と別体で構成する。又、この他方の支持軸部を、前記支持部に対して軸方向の変位を不能な状態で支持する。更に、前記転造軸部は、前記他方の支持軸部に近付く方向の弾力を付与された状態で支持されており、且つ、加工時に、前記転造軸部に、この弾力を上回る軸方向荷重が加わった場合に、この転造軸部が、この他方の支持軸部から離れる方向に変位可能となる様に構成する。
本発明のリング状部材の製造装置を実施する場合には、付加的に、請求項に記載した発明の様に、前記変位規制手段を、前記変位側支持軸部を、前記転造軸部に対して弾性的に付勢する、付勢手段とする。尚、この付勢手段は、例えば、バネ等の機械式、油圧式、ガス圧式、又は空圧式等により構成する事ができる
本発明のリング状部材の製造方法及び製造装置のうち、請求項に記載したリング状部材の製造方法で使用するリング状部材の製造装置は、上述の様な本発明のリング状部材の製造装置である。
特に本発明のリング状部材の製造方法に於いては、前記変位側支持軸部が、前記閾値を超える軸方向の押圧力を受けた場合に、この変位側支持軸部を前記転造軸部から離れる方向に変位させる事により、前記金属素材の余肉を、この変位側支持軸部側に逃がす。これと共に、前記各外径拘束型素子を、互いに離れる方向に変位させる。尚、この際、前記金属素材の余肉を、これら各外径拘束型素子の変位に伴い、これら各外径拘束型素子間に形成された隙間に逃がす事もできる。
又、上述の様な本発明のリング状部材の製造方法を実施する場合に、具体的には、請求項に記載した発明の様に、加工後のリング状部材の軸方向に関する寸法を、前記各外径側拘束型同士が隙間なく配置された状態での、これら各外径拘束型素子の軸方向に関する寸法の総和よりも大きくする。
上述した様な構成を有する本発明によれば、マンドレル及び外径拘束型に損傷が生じる事を防止すると共に、金属素材の体積のばらつきに拘わらず、加工後のリング状部材の形状の精度の向上を図れる。
即ち、本発明の場合、前記マンドレルを構成する変位側支持軸部が、閾値を超える軸方向の押圧力を受けた場合に、この変位側支持軸部が、転造軸部から軸方向に離れる方向に変位できる様に構成している。この為、加工中に、成形空間内の金属素材の内部応力が高くなった場合でも、前記変位側支持軸部が前記転造軸部から離れる方向に変位して、前記成形空間内のこの変位側支持軸部側を解放する事により、当該部分から前記金属素材の余肉を逃がす事ができる。この結果、成形空間内での前記金属素材の内部応力が低くなり、前記マンドレルに加わる応力を小さくできる。
又、本発明の場合、前記外径拘束型を、軸方向に並べて配置した複数個の円環状の外径拘束型素子により構成する事で、前記外径拘束型が、前記金属素材から所定の軸方向の押圧力を受けた場合に、前記各外径拘束型素子が、互いに離れる方向に変位できる様に構成している。この為、加工中に、成形空間内の金属素材の内部応力が高くなって、前記外径拘束型を構成する各外径拘束型素子に軸方向の押圧力が加わった場合でも、前記外径拘束型に、引っ張り応力に基づく亀裂等の損傷が発生する事を防止できる。尚、前記各外径拘束型素子が、軸方向に関して互いに離れる方向に変位する事により、これら各外径拘束型素子同士の間部分から前記金属素材の余肉を逃がす事もできる。
又、上述した様に、加工中の金属素材の内部応力を解放する事ができる為、成形空間内で金属素材が歪む事を防止できる。この結果、加工後のリング状部材の真円度が悪化する事を防止できる。
尚、上述した様に、加工中に、成形空間内の金属素材の内部応力が高くなる場合とは、金属素材の体積のばらつきに基づいて、この金属素材の体積が所定の大きさ(目標とするリング状部材の体積)よりも大きい場合が考えられる。本発明は、この様な場合に、前記金属素材の内部応力を低くして(金属部材の余肉を変位側支持軸部側及び各外径拘束型素子同士の間部分に逃がして)、前記マンドレル及び外径拘束型(各外径拘束型素子)に加わる応力を小さくすると共に、成形空間内で金属素材が歪む事を防止する事ができる。
本発明の実施の形態の第1例のリング状部材の製造装置を示す断面図。 図1のA部に相当する拡大断面図。 図2のB部に相当する拡大断面図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、外径拘束型の断面図(a)と、(a)の下方から見た側面図(b)。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図1と同様の図。 同第4例を示す、図1と同様の図。 同第5例を示す、図1と同様の図。 同じく、図2のC部に相当する拡大断面図であって、加工開始前の状態を示す図(a)と、加工後の状態を示す図(b)。 本発明の製造方法の対象となる外輪及び内輪を組み込んだ転がり軸受の1例を示す、部分切断斜視図。 従来から知られている、円環状の金属素材を形成する工程の1例を示す断面図。 従来から使用されている転造装置を示す図。 従来構造の転造装置を使用して金属素材をリング状部材に加工する手順を説明する為の図。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜3により説明する。尚、本例のリング状部材の製造方法及び製造装置の特徴は、加工後のリング状部材35の外径寸法を規制する構造、及び、金属素材26{図8(a)参照}の余肉を特定の方向に逃がす事ができる構造を設けた点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図11、12に示した従来の製造方法及び製造装置と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。尚、本例は、本発明を、前記金属素材26に圧延転造加工を施して外輪用のリング状部材を造る為の製造方法及び製造装置に適用した例を示している。但し、本発明のリング状部材の製造方法及び製造装置は、前述した図11、12に示した従来構造と同様に、その構造によっては内輪用のリング状部材を対象とする事ができる場合もある。
本例のリング状部材の製造装置21aは、マンドレル23aと、外径拘束型36と、成形ロール24aと、サポートロール25aとを備えている。
このうちの、マンドレル23aは、軸方向に離隔した状態で互いに同心に設けられた1対の金属製(例えば、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金等)の支持軸部37a、37bと、軸方向に関してこれら両支持軸部37a、37b同士の間に同心に設けられた金属製(例えば、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金等)の転造軸部38とを有している。
前記両支持軸部37a、37bのうち、一方(図1の上方)の支持軸部37aは、その中心に軸方向両端が開口した中心孔39aを有する中空軸状である。この中心孔39aのうち、軸方向一端部(図1の上端部)は、ねじ孔40aが形成されている。一方、この中心孔39aのうち、軸方向他端部(図1の下端部)には、軸方向中間部よりも大径な嵌合孔41aが形成されている。又、前記一方の支持軸部37aの外周面のうち、軸方向一方側半部には、軸方向他方側半部よりも小径で軸方向に関して外径が変化しない小径円筒部42aが形成されている。又、本例の場合、前記一方の支持軸部37aの外周面のうち、他方側半部をマンドレル側規制面43aとしている。尚、上述の中心孔39aは、後述する転造軸部38を前記一方の支持軸部37aから取り外す際に、杆状のノックアウト治具を挿通する為に利用する事もできる。
又、前記両支持軸部37a、37bのうちの、他方(図1の下方)の支持軸部37bは、上述の一方の支持軸部37aと図1の上下方向に関して対称な形状としている。
即ち、前記他方の支持軸部37bは、その中心に軸方向両端に開口した中心孔39bを有する中空軸状である。又、この中心孔39bの軸方向一端部(図1の上端)には、軸方向中間部よりも大径な嵌合孔41bが形成されている。一方、前記中心孔39bの軸方向他端部には、ねじ孔40bが形成されている。更に、前記他方の支持軸部37bの外周面のうち、軸方向他方側半部には、軸方向一方側半部よりも小径で軸方向に関して外径が変化しない小径円筒部42bが形成されている。又、本例の場合、前記他方の支持軸部37bの外周面のうち、軸方向一方側半部をマンドレル側規制面43bとしている。
尚、上述の様な支持軸部37a、37bは、例えば、超硬合金等の様な剛性が高い金属製とするのが好ましい。又、前記両支持軸部37a、37bの外径寸法は、適宜設定する事ができる。これら両支持軸部37a、37bの外径寸法を小さくした場合には、割れ難い鋼製(例えば、ダイス鋼、ハイス鋼)とするのが好ましい。
又、前記転造軸部38は、上述の両支持軸部37a、37bよりも軸方向寸法が小さく、中実状の杆状部材であり、軸方向両端寄り部分に設けられた1対の嵌合部44a、44bと、軸方向に関してこれら両嵌合部44a、44b同士の間に設けられた転造面部45とから成る。このうちの両嵌合部44a、44bは、それぞれが軸方向に関して外径が変化しない円柱状である。この様な両嵌合部44a、44bのうち、一方の嵌合部44aの外径寸法は、前記一方の支持軸部37aの嵌合孔41aの内径寸法よりも僅かに大きい。一方、前記両嵌合部44a、44bのうち、他方の嵌合部44bの外径寸法は、前記他方の支持軸部37bの嵌合孔41bの内径寸法よりも僅かに小さい。
又、前記転造面部45は、外周面に、前記金属素材26の内周面に転造加工を施す為の第一転造面46が形成されている。
この第一転造面46は、前記金属素材26に圧延転造加工を施して得られるリング状部材35の内周面の形状に見合った形状を有しており、軸方向中間部に形成された軌道形成部47と、この軌道形成部47の軸方向両側に形成された1対の円筒面部48、48と、軸方向両端寄り部分に形成された溝形成部49、49とから成る。
このうちの軌道形成部47は、前記金属素材26の内周面に外輪軌道を形成(転造)する為のものであり、前記マンドレル23aの中心軸を通る仮想平面に関する断面形状(母線形状)が、軸方向中央部に向かう程外径が大きくなる断面半円弧状である。又、前記両溝形成部49、49は、前記金属素材26の内周面の軸方向両端寄り部分にシールリングの外端縁を係止する為の係止溝を形成(転造)する為のものであり、前記仮想平面に関する断面形状(母線形状)が、前記軌道形成部47側に形成された凸部と、軸方向両端側に形成された凹部とを滑らかに連続させた断面略S字形である。
この様な転造軸部38は、前記一方の嵌合部44aを前記一方の支持軸部37aの嵌合孔41aに締り嵌めで内嵌する事により、この一方の支持軸部37aに対する軸方向の変位及び傾斜を規制された状態で支持固定されている。
一方、前記転造軸部38は、前記他方の嵌合部44bを前記他方の支持軸部37bの嵌合孔41bに隙間嵌めで内嵌されている。この状態で、この他方の支持軸部37bは、前記転造軸部38に対して軸方向に変位する事ができる。尚、この他方の支持軸部37bに対する、前記転造軸部38の径方向のがたつき及び傾斜の大きさが最小限となる様に、前記他方の嵌合部44bの外径寸法と、前記他方の支持軸部37bの嵌合孔41bの内径寸法とを規制する。
上述した様なマンドレル23aを構成する一方の支持軸部37aは、小径円筒部42aに外嵌した複列のラジアル円すいころ軸受50aを介して、例えばハウジング等の固定部分に支持固定された固定支持部51aに回転可能な状態で支持されている。この様な固定支持部51aは、加工中以外は、前記金属素材26の着脱の為に、例えば軸方向に退避させる事ができる。又、前記ラジアル円すいころ軸受50aを構成する、内輪の軸方向他端面は、前記小径円筒部42aの軸方向他端部と前記マンドレル側規制面43aの軸方向一端部とを連続する段部53aに当接している。一方、前記内輪の軸方向一端面は、前記一方の支持軸部37aの軸方向一端部に組み付けられた抑え部材54aの軸方向他端面に当接している。この様にして、前記ラジアル円すいころ軸受50aの軸方向に関する位置決めを図っている。尚、前記抑え部材54aは、円板状であり、中心部に形成された通孔55aを挿通したボルト56aを、前記一方の支持軸部37aのねじ孔40aに螺合する事により、この一方の支持軸部37aの軸方向一端部に組み付けられている。上述した様に、前記一方の支持軸部37aを、前記ラジアル円すいころ軸受50aを介して前記固定支持部51aに支持する事により、この一方の支持軸部37aの軸方向他端部(転造軸部38側の端部)の振れを小さくする事ができる。
一方、前記マンドレル23aを構成する他方の支持軸部37bは、小径円筒部42bに外嵌した複列のラジアル円すいころ軸受50bを介して、変位可能支持部52aに回転可能な状態で支持されている。この変位可能支持部52aは、受け台等の固定部分57に対して軸方向の変位を可能な状態で支持されており、加工中以外は、前記金属素材26の着脱の為に、例えば軸方向に退避させる事ができる。
又、前記ラジアル円すいころ軸受50bを構成する内輪の軸方向一端面は、前記小径円筒部42bの軸方向一端部と前記マンドレル側規制面43bの軸方向他端部とを連続する段部53bに当接している。一方、前記内輪の軸方向他端面は、前記他方の支持軸部37bの軸方向他端部に組み付けられた抑え部材54bの軸方向一端面に当接している。この様にして、前記ラジアル円すいころ軸受50bの、軸方向に関する位置決めを図っている。尚、前記抑え部材54bは、円柱状であり、中心部に形成された段付き形状の通孔55bを挿通したボルト56bを、前記他方の支持軸部37bのねじ孔40bに螺合する事により、この他方の支持軸部37bの軸方向他端部に組み付けられている。
又、本例の場合、前記変位可能支持部52aと、前記固定部分57との間に、特許請求の範囲に記載した付勢手段及び変位規制手段に相当する、例えば、バネ等の機械式、油圧式、ガス圧式、又は空圧式等の弾性部材58、58を設けている。そして、これら各弾性部材58、58により、前記他方の支持軸部37bを、前記転造軸部38に向けて(図1の上方に向けて)付勢している。この状態で、前記他方の支持軸部37b及び前記変位可能支持部52aは、前記一方の支持軸部37a及び前記転造軸部38に対して軸方向に変位する事ができる。前記弾性部材58、58の弾性力(他方の支持軸部37bを付勢する力)は、適宜設定するものであるが、後述する加工の際、成形空間内が前記金属素材26で満たされた状態で、この金属素材26が前記他方の支持軸部37bを軸方向に押圧する押圧力よりは小さく設定しておく。
尚、前記一方の支持軸部37aと、前記他方の支持軸部37bとの水平方向(図1の左右方向)の動きを同調させる観点から、前記固定支持部51aと前記変位可能支持部52aとを、共通の固定部分57に支持するのが好ましい。
又、前記外径拘束型36は、軸方向に並べて配置された1対の外径拘束型素子59a、59bと、これら両外径拘束型素子59a、59bの外径側に配置された外周保持部材60とを備えている。
このうちの両外径拘束型素子59a、59bは、それぞれが金属製(例えば、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金等)の円環状部材である。前記両外径拘束型素子59a、59bのうちの一方(図1の上方)の外径拘束型素子59aの外周面は、軸方向に関して外径が変化しない円筒面状である。一方、前記一方の外径拘束型素子59aの内周面は、円筒面部61aと、曲面部62aとにより構成されている。このうちの円筒面部61aは、前記一方の外径拘束型素子59aの内周面のうち、軸方向一端寄り部分から軸方向他端縁に掛けて、軸方向に関して内径が変化しない円筒面状に形成されている。又、前記曲面部62aは、前記一方の外径拘束型素子59aの内周面のうちの軸方向一端部に、断面形状が、軸方向一方に進むほど内径が小さくなる曲面状に形成されている。尚、前記円筒面部61aの軸方向一端縁と、前記曲面部62aの軸方向他端縁とは、滑らかに連続している。
一方、前記両外径拘束型素子59a、59bのうちの他方(図1の下方)の外径拘束型素子59bの外周面は、軸方向に関して外径が変化しない円筒面状である。又、前記他方の外径拘束型素子59bの内周面は、円筒面部61bと、曲面部62bとにより構成されている。このうちの円筒面部61bは、前記他方の外径拘束型素子59bの内周面のうち、軸方向他端寄り部分から軸方向一端縁に掛けて、軸方向に関して内径が変化しない円筒面状に形成されている。又、前記曲面部62bは、前記他方の外径拘束型素子59bの内周面のうち、軸方向他端部に、断面形状が、軸方向他方に進むほど内径が小さくなる曲面状に形成されている。尚、前記円筒面部61bの軸方向他端縁と、前記曲面部62bの軸方向一端縁とは、滑らかに連続している。
以上の様に前記両外径拘束型素子59bは、軸方向に直交する仮想平面に関して、対称な形状に形成されている。
上述した様な構成を有する両外径拘束型素子59a、59bは、軸方向に並べて配置されており、これら両外径拘束型素子59a、59bの内周面により、前記金属素材26の外周面に転造加工を施す為の第二転造面63を構成している。即ち、前記両外径拘束型素子59a、59b同士が軸方向に隙間なく配置された状態で、前記第二転造面63は、軸方向一端部が、前記一方の外径拘束型素子59aの曲面部62aにより構成されており、軸方向他端部が、前記他方の外径拘束型素子59bの曲面部62bにより構成されており、軸方向両端部同士の間部分である軸方向中間部が、前記第一、第二両外径拘束型素子59a、59bの各円筒面部61a、61bにより構成されている。
前記外周保持部材60は、金属製(例えば、ダイス鋼、ハイス鋼、超硬合金等)の円環状部材である。この様な外周保持部材60の外周面は、軸方向に関して外径が変化しない円筒面状である。又、この外周保持部材60の内周面は、軸方向に関して内径が変化しない円筒面状に形成されている。又、前記外周保持部材60の軸方向寸法は、前記両外径拘束型素子59a、59bのそれぞれの軸方向寸法H(図8参照)の2倍である。即ち、これら両外径拘束型素子59a、59bを軸方向に隙間なく並べた状態での軸方向寸法2Hが、前記外周保持部材60の軸方向寸法と等しい。この様な構成を有する外周保持部材60は、前記両外径拘束型素子59a、59bの外周面に、これら両外径拘束型素子59a、59bの、前記外周保持部材60に対する軸方向変位を許容した状態で、外嵌されている。
上述した様な構成を有する外径拘束型36は、内径側に前記マンドレル23aの転造軸部38を挿通すると共に、前記第二転造面63を前記第一転造面46に対向させた状態で配置されている。又、この状態で、前記一方の外径拘束型素子59aの軸方向一端面、及び外周保持部材60の軸方向一端面の径方向内端寄り部分から径方向内端縁に掛けての部分は、前記一方の支持軸部37aの軸方向他端面と当接している。一方、前記他方の外径拘束型素子59bの軸方向他端面、及び外周保持部材60の軸方向他端面の径方向内端寄り部分から径方向内端縁に掛けての部分は、前記他方の支持軸部37bの軸方向一端面と当接している。この様にして、前記外径拘束型36(両外径拘束型素子59a、59b及び外周保持部材60)の軸方向に関する位置決めを図っている。又、上述した様な組み付け状態で、前記外径拘束型36の中心軸は、前記マンドレル23aの中心軸と平行である。
又、前記成形ロール24aは、1個の金属製のローラ66と、このローラ66の中心孔に挿通された回転軸67とから成り、この回転軸67(ローラ66の中心軸)が前記マンドレル23a及び外径拘束型36の中心軸と平行となる状態で前記外径拘束型36を構成する外周保持部材60の外径側に配置されている。この様な成形ロール24aは、前述した図11、12に示した従来構造と同様に、電動モータ34(図11参照)の回転により回転駆動された状態で、図示しない油圧シリンダ等のアクチュエータにより、前記外径拘束型36に対する遠近動{水平方向(図1の左右方向)の変位}を可能としている。
又、前記サポートロール25aは、前述した図11、12に示した従来構造と同様に、1対の金属製のローラ68a、68bと、これら両ローラ68a、68bの中心孔に挿通された回転軸69とから成る。この様なサポートロール25aは、この回転軸69(両ローラ68a、68bの中心軸)が前記マンドレル23a、前記外径拘束型36、及び前記成形ロール24aの中心軸と平行な状態で、前記マンドレル23aの中心軸に関して、この成形ロール24aと反対側に配置されている。又、前記サポートロール25aは、前記電動モータ34の回転に基づいて、前記成形ロール24aと同期して回転駆動される。この様なサポートロール25aは、加工中に、前記両ローラ68a、68bの外周面の一部を、それぞれ前記マンドレル23aのマンドレル側規制面43a、43bに当接させる事により、このマンドレル23aの前記サポートロール25a側への変位を規制する為のものである。尚、本例の場合、前記サポートロール25aは、加工中に、水平方向に変位しない様に規制されている。従って、このサポートロール25aが、前記マンドレル23aを前記成形ロール24a側に押圧する事はない。但し、加工中に、前記サポートロール25aを、前記成形ロール24a側に変位する様に構成して、前記マンドレル23aをこの成形ロール24a側に押圧する事もできる。この様な構成を採用した場合には、上述した様に前記成形ロール24aが水平方向に変位する構成としても良いし、水平方向に変位しない構成とする事もできる。
以下、上述した様な構成を有するリング状部材の製造装置21aを使用して、前記金属素材26に圧延転造加工を施して、前記リング状部材35を造る手順に就いて説明する。
先ず、前記金属素材26を、内径側に前記マンドレル23aを挿通した状態で、この金属素材26の円周方向一部を、このマンドレル23aの第一転造面46と、前記外径拘束型36の第二転造面63と、前記両支持軸部37a、37bの前記転造軸部38側の端面との間に形成された成形空間内に配置する。
この状態で、前記サポートロール25aを回転駆動すると共に、このサポートロール25aの両ローラ68a、68bの外周面の一部を、前記マンドレル23aの各マンドレル側規制面43a、43bに近接対向させておく。
次いで、前記成形ロール24aを、前記サポートロール25と同期して回転駆動しながら、前記外径拘束型36を構成する外周保持部材60に近付く様に水平方向に変位させて、前記成形ロール24aのローラ66の外周面を、前記外周保持部材60の外周面に当接させる。すると、前記成形ロール24aの回転に伴い、この外径拘束型36全体(両外径拘束型素子59a、59b及び外周保持部材60)が連れ回る。尚、前記両外径拘束型素子59a、59bに関しては、この外周保持部材60が回転すると、これら両外径拘束型素子59a、59bの外周面と、この外周保持部材60の内周面との係合(当接)により、この外周保持部材60に連れ回される様にして回転する。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36(外周保持部材60)に向けて変位(押圧)させると、この外径拘束型36(外周保持部材60)及び前記金属素材26を介して前記マンドレル23aが図1の左側に向けて押圧されて、前記サポートロール25aの両ローラ68a、68bの外周面が、前記マンドレル23aの両マンドレル側規制面43a、43bに強く当接する。すると、前記サポートロール25aの両ローラ68a、68bの回転に伴い、前記マンドレル23aが連れ回る。又、この状態では、前記外径拘束型36とこのマンドレル23aとが、同期して回転しており、これら両部材36、23aの回転に伴い、前記金属素材26が回転する。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36(外周保持部材60)に向けて変位(押圧)させると、先ず、前記金属素材26の軸方向両端面が、前記両支持軸部37a、37bの前記転造軸部38側の端面に当接するまで、前記金属素材26の軸方向寸法が大きくなる様に塑性変形する。そして、この金属素材26の軸方向両端面が、前記両支持軸部37a、37bの前記転造軸部38側の端面に当接すると、前記金属素材26の外周面が、前記外径拘束型36の内周面に全周に亙り当接するまで、外径が大きくなる様に塑性変形する。この状態では、前記成形空間が、前記金属素材26により満たされた状態となる。
尚、上述の様に前記金属素材26の軸方向両端面のうち、前記他方の支持軸部37b側の端面が、この他方の支持軸部37bに当接した状態では、前記金属素材26からこの他方の支持軸部37bに対して軸方向の押圧力が加わる。本例の場合、この状態で加わる押圧力よりも、前記各弾性部材58、58の弾性力(各弾性部材58、58が他方の支持軸部37bを付勢する力)を大きく設定している為、上述の状態ではこの他方の支持軸部37bは、軸方向に変位する事はない。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36に向けて変位(押圧)させると、前記金属素材26の内部応力が高まり、前記成形空間を構成する、周囲の部材(マンドレル23a、外径拘束型36、及び両支持軸部37a、37b)を押圧する。そして、前記金属素材26の押圧力のうち、前記他方の支持軸部37bの前記転造軸部38側の端面に加わる押圧力が、所定の値(各弾性部材58、58の弾性力)を超えると、この他方の支持軸部37bが、図3に示す様に、前記各弾性部材58、58の弾性力に抗して、前記転造軸部38から離れる方向(図1〜3の下方)に向けて変位する。又、この際、前記両外径拘束型素子59a、59bには、これら両外径拘束型素子59a、59bの各曲面部62a、62bと、前記金属素材26の外周面の軸方向両端部との係合により、軸方向の押圧力(両外径拘束型素子59a、59b同士を離す方向の押圧力)が加わる。この為、前記他方の支持軸部37bの変位に伴い、前記両外径拘束型素子59a、59bのうちの他方の外径拘束型素子59bが、前記転造軸部38から離れる方向(図1〜3の下方)に向けて変位する。尚、前記一方の外径拘束型素子59bは、前記一方の支持軸部37aの軸方向他端面により軸方向の変位が規制されている為、変位しない。上述した様に前記他方の外径拘束型素子59bが変位すると、前記一方の外径拘束型素子59aの軸方向他端面と、前記他方の外径拘束型素子59bの軸方向一端面との間には、軸方向隙間64が形成される。この様にして、前記成形空間の軸方向他端部及びこの軸方向隙間64部分が解放されて、当該各部分から前記金属素材26の余肉を逃がす事ができる。尚、上述の圧延転造加工により得られるリング状部材35に、必要に応じて切削加工、研削加工等の仕上げ加工を施して外輪とする。
上述した様に構成される本例のリング状部材の製造方法及び製造装置によれば、前記マンドレル23a及び前記外径拘束型36に損傷が生じる事を防止すると共に、加工後のリング状部材35の形状の精度の向上を図れる。
即ち、本例の場合、前記マンドレル23aを構成する前記他方の支持軸部37bが、前記金属素材26から所定の軸方向(転造軸部38から離れる方向)の押圧力を受けた場合に、この他方の支持軸部37bが、前記転造軸部38から軸方向に離れる方向に変位できる様に構成している。この為、加工中に、前記成形空間内の金属素材26の内部応力が高くなった場合でも、前記他方の支持軸部37bが前記転造軸部38から離れる方向に変位して、前記成形空間内のこの他方の支持軸部37b側を解放する事により、当該部分から前記金属素材26の余肉を逃がす事ができる。この結果、前記成形空間内での前記金属素材26の内部応力が低くなり、前記マンドレル23aに加わる応力を小さくできる。
又、上述の様に、加工中の金属素材26の内部応力を解放する事ができる為、成形空間内でこの金属素材26が歪む事を防止できる。この結果、加工後のリング状部材35の真円度が悪化する事を防止できる。
又、本例の場合、前記外径拘束型36を、軸方向に並べて配置した前記1対の両外径拘束型素子59a、59bにより構成している。この為、前記外径拘束型36が、前記金属素材26から所定の軸方向の押圧力を受けた場合に、前記各外径拘束型素子59a、59bのうちの他方の外径拘束型素子59bが、軸方向他方に変位できる。この結果、加工中に、成形空間内の前記金属素材26の内部応力が高くなって、前記外径拘束型36を構成する両外径拘束型素子59a、59bに軸方向の押圧力が加わった場合でも、前記外径拘束型36に、引っ張り応力に基づく亀裂等の損傷が発生する事を防止できる。又、前記各外径拘束型素子59a、59bが、軸方向に関して離れる方向に変位する事により、これら各外径拘束型素子59a、59b同士の間部分に形成される前記隙間64から、前記金属素材26の余肉を逃がす事ができる。尚、この様に前記金属素材26の余肉を逃がす事により加工後のリング状部材の外周面の軸方向中央部には、凸部が形成される場合がある。この場合には、転造加工後に、トリミング加工を施す様にする。但し、このトリミング加工は、小さな設備で行う事ができる為、加工コストが徒に嵩む事はない。余肉により形成される凸部が小さい場合には、そのまま仕上げ工程へと移動して、そこで削り取る様にしても良い。
又、本例の場合、加工の終盤で、前記外径拘束型36により金属素材26の外径を拘束すると共に、前記一方の支持軸部37aの前記転造軸部38側の端面により前記金属素材26の軸方向一端面を拘束する事ができる。この為、加工後のリング状部材35の外周面と軸方向一端面には切削加工を施さなくて済むか、或いは施す場合でも僅かな加工で済む。一方、前記リング状部材35の前記他方の支持軸部37b側の端面は、余肉の移動が多い場合には、切削加工を施す。但し、余肉の移動が無い場合或いは僅かである場合には、切削加工を省略する事もできる。この様に、本例の場合、切削加工の工程を短くしたり、切削加工を施す位置を限定して、生産効率の向上を図れる。尚、製品によっては、仕上げ加工を施す事なく、本例の製造方法により製造されたリング状部材35が、最終製品となる場合もある。又、前記リング状部材35の外周面の軸方向他端部と軸方向他端面との連続部に形成されるR部は、他の部分と比べて許容される寸法公差が大きい為、前記他方の外径拘束型素子59bが軸方向他方に変位する事により、前記R部の形状が多少変動した場合でも、切削加工を省略する事が可能である。
又、本例の場合、前記マンドレル23aを、それぞれ別体に設けた1対の支持軸部37a、37bと、転造軸部38とにより構成している。この為、この転造軸部38が損傷した場合に、この転造軸部38のみの交換で済む。この結果、修理コストを抑える事ができる。
又、本例の様に、短い転造軸部38の軸方向両端部を、剛性の高い前記両支持軸部37a、37bにより支持する構成は、この転造軸部38を支持する位置が、前記金属素材26に近くなる為、この金属素材26から加わる曲げ応力を低減する事ができる。この結果、前記マンドレル23aの耐久性の向上を図れる。
又、本例の場合、上述した様な圧延転造加工により、前記リング状部材22の外周面、内周面、及び前記一方の支持軸部37a側の端面を、同時に仕上げる事ができる。この為、前記リング状部材22の前記一方の支持軸部37b側の端面から、外輪軌道及びシールリング用の係止溝までの軸方向距離の精度の向上を図れる。この結果、リング状部材の軸方向端面を基準として行う研削加工の前準備としての切削加工を不要にするか、或いは切削加工を行う場合でも簡単に済ませる事ができる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図4により説明する。本例のリング状部材の製造装置の場合、外径拘束型36aを構成する1対の外径拘束型素子59a、59cのうちの他方(図1、4の下方)の外径拘束型素子59cを、前述した実施の形態の第1例の他方の外径拘束型素子59bを円周方向に2分割した如き構造としている。即ち、本例の場合、前記他方の外径拘束型素子59cを、円周方向に連結する事なく並べた(それぞれの円周方向端面同士を単に付き合わせた)1対の半円輪状部材65、65により構成している。尚、一方の外径拘束型素子59aは、前記実施の形態の第1例の一方の外径拘束型素子59aと同様の構造である。但し、本例の一方の外径拘束型素子59aを、前記他方の外径拘束型素子59cと同様に、円周方向に2分割した構造とする事もできる。又、前記両半円輪状部材65、65を、例えば円周方向端面同士の係合等の連結手段により連結した構造とする事もできる。この場合には、前記両半円輪状部材65、65同士の係合を容易に解除できる構造とするのが好ましい。
この様な本例の場合、加工後に、外周保持部材60の内径側から両外径拘束型素子59a、59c及びリング状部材35(図1参照)を抜き出した状態で、先ず、前記他方の外径拘束型素子59cをリング状部材35から容易に取り外す事ができる。その後、一方の外径拘束型素子59aの内径側から前記リング状部材35を取り外す作業も容易に行う事ができる。その他の構成及び作用効果に就いては、上述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図5により説明する。本例のリング状部材の製造装置21bは、前述した実施の形態の第1例と同様に、マンドレル23bを、1対の支持軸部37c、37dと、転造軸部38aとにより構成している。
本例の場合、一方(図5の上方)の支持軸部37cの中心孔39cのうち、軸方向他端部に形成された嵌合孔41cの内径寸法を、前記転造軸部38aの一方の嵌合部44aの外径寸法よりも僅かに大きくしている。又、前記一方の支持軸部37cは、外周面の軸方向一方側半部に形成された小径円筒部42aのうち、軸方向一端部に雄ねじ部70aが形成されている。そして、この雄ねじ部70aに螺合したナット状の抑え部材71aの先端部(軸方向他端部)を、ラジアル円すいころ軸受50aを構成する内輪の軸方向一端面に当接させている。尚、この内輪の軸方向他端面は、前記小径円筒部42aの軸方向他端部とマンドレル側規制面43aの軸方向一端部とを連続する段部53aに当接している。又、本例の場合、前記一方の支持軸部37cの中心孔39cの軸方向一端部に、ねじ孔を形成していない。
又、前記一方の支持軸部37cは、前記ラジアル円すいころ軸受50aを介して、変位可能支持部52bに回転可能な状態で支持されている。特に、本例の場合、この変位可能支持部52bと、受け台等の固定部分57との間に、例えば、バネ等の機械式、油圧式、ガス圧式、又は空圧式等の弾性部材58、58を設けている。そして、これら各弾性部材58、58により、前記一方の支持軸部37cを、前記転造軸部38aに向けて(図5の下方に向けて)付勢している。この状態で、前記一方の支持軸部37cは、前記転造軸部38aに対して軸方向に変位する事ができる。尚、前記弾性部材58、58の弾性力(一方の支持軸部37cを付勢する力)は、前述した実施の形態の第1例と同様に適宜設定する。本例の場合、一方の支持軸部37cを付勢する弾性部材58、58の弾性力と、後述する他方の支持軸部37dを付勢する弾性部材58、58の弾性力とを同じとしている。
一方、前記両支持軸部37c、37dのうち、他方の支持軸部37dは、前述した一方の支持軸部37cと図5の上下方向に関して対称な形状としている。
即ち、この様な一方の支持軸部37dの外周面の軸方向他方側半部に形成された小径円筒部42bのうち、軸方向他端部に雄ねじ部70bが形成されている。そして、この雄ねじ部70bに螺合したナット状の抑え部材71aの先端部(軸方向一端部)を、ラジアル円すいころ軸受50bを構成する内輪の軸方向他端面に当接させている。尚、この内輪の軸方向一端面は、前記小径円筒部42bの軸方向一端部とマンドレル側規制面43bの軸方向他端部とを連続する段部53bに当接している。又、本例の場合、前記他方の支持軸部37dの中心孔39dのうち、軸方向他端寄り部分に、ねじ孔を形成していない。その他の、前記他方の支持軸部37dの構造及び支持態様は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
又、前記転造軸部38aは、軸方向両端面の中心部に、この軸方向両端面から軸方向に延出した状態で1対の連結軸部72a、72bが設けられている。これら両連結軸部72a、72bは、前記両支持軸部37c、37dの中心孔39c、39dに挿通された状態で、それぞれの先端部を、固定部分57に支持固定されている。この様にして、前記転造軸部38aの軸方向に関する位置決めを図っている。
尚、外径拘束型36の構造は、前述した実施の形態の第1例の構造と同様である。但し、外径拘束型として実施の形態の第2例の構造を採用する事もできる。
上述の様な構成を有する本例の場合、加工中に、成形空間が金属素材26{図8(a)参照}により満たされた状態で、この金属素材26から前記両支持軸部37c、37dに加わる軸方向の押圧力が所定の値を超えた場合に、これら両支持軸部37c、37dが、それぞれ前記各弾性部材58、58の弾性力に抗して、前記転造軸部38aから離れる方向に向けて変位する。又、前記両支持軸部37c、37dの変位に伴い、外径拘束型36を構成する両外径拘束型素子59a、59bが、これら両外径拘束型素子59a、59b同士が離れる方向に変位可能となる。この為、前記成形空間の軸方向両端部及び一方の外径拘束型素子59aの軸方向他端面と、他方の外径拘束型素子59bの軸方向一端面との間に形成される軸方向隙間64(図3参照)部分が解放されて、当該両部分から金属素材26の余肉を逃がす事ができる。その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第4例]
本発明の実施の形態の第4例に就いて、図6により説明する。本例のリング状部材の製造装置21cの場合、マンドレル23cを構成する両支持軸部37e、37bのうちの一方の支持軸部37eの中心孔39eのうち、軸方向他端部に設けられた嵌合孔41c以外の部分の内径を、実施の形態の第1例の場合よりも大きくしている。尚、この嵌合孔41cの内径寸法は、前述した実施の形態の第3例と同様に、転造軸部38bの一方の嵌合部44aの外径寸法よりも僅かに大きい。そのほか、前記一方の支持軸部37eの構造は、前述した実施の形態の第3例の構造と同様であり、その支持態様は、前述した実施の形態の第1例と同様である。
又、前記両支持軸部37e、37bのうちの他方の支持軸部37bの構造及び支持態様は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
又、本例の場合、転造軸部38bの軸方向一端面に、この転造軸部38bの一方の嵌合部44aよりも小径であり、当該端面から軸方向一方に延出した連結軸部72cを設けている。この連結軸部72cは、前記一方の支持軸部37eの中心孔39eに挿通された状態で、その先端部を、例えば、バネ等の機械式、油圧式、ガス圧式、又は空圧式等の弾性部材58aを介して固定部分57に支持されている。この弾性部材58aは、前記転造軸部38bに対して、前記一方の支持軸部37eに近付く方向(図6の上方)の弾性力を付与している。尚、前記弾性部材58aに弾力を付与された状態で、前記転造軸部38bは、前記一方の嵌合部44aの軸方向一端面と、前記一方の支持軸部37eの嵌合孔41cの底部との係合(当接)により、軸方向一方側への変位を規制されている。従って、前記転造軸部38bは、この転造軸部38bに所定の軸方向(一方の支持軸部37eから離れる方向)の押圧力が加わった場合に、前記弾性部材58aの弾性力に抗して、前記一方の支持軸部37eから離れる方向(図6の下方)に変位する事ができる。
尚、外径拘束型36の構造は、前述した実施の形態の第1例の構造と同様である。但し、外径拘束型として実施の形態の第2例の構造を採用する事もできる。
以上の様な構成を有する本例の場合、圧延転造加工の際、金属素材26の軸方向に関する流動をバランス良く行う事ができる。
即ち、前記転造軸部38bには、軌道形成部47及び溝形成部49、49等の凹凸部が形成されている。この為、これら凹凸部と前記金属素材26{図8(a)参照}とが係合して、成形空間内でのこの金属素材26の、前記一方の支持軸部37e側から他方の支持軸部37b側への流動がスムーズに行われない可能性がある。本例の場合、前記転造軸部38bを、前記一方の支持軸部37eに対して軸方向他方への変位を可能な状態で支持している。この為、前記転造軸部38bの凹凸部と前記金属素材26との係合に基づいて、この転造軸部38bに前記一方の支持軸部37eから離れる方向の押圧力が加わった場合に、この転造軸部38bが、前記金属素材26と共に軸方向他方に変位して、この金属素材26の、前記一方の支持軸部37e側から他方の支持軸部37b側への流動を妨げない様にする事ができる。この結果、軸方向に関してバランスが良い高品質なリング状部材を得る事ができる。その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第5例]
本発明の実施の形態の第5例に就いて、図7、8により説明する。本例のリング状部材の製造装置21dは、マンドレル23bを構成する両支持軸部37c、37dを、送りねじ機構73、73により、軸方向に関して変位できる様に設けている。
以下、前記両支持軸部37c、37dの構造及び支持態様に就いて説明するが、これら両支持軸部37c、37dの構造及び支持態様は、これら両支持軸部37c、37d同士で図7の上下方向に関して対称である為、一方(図7の上方)の支持軸部37cに就いてのみ説明する。
尚、外径拘束型36の構造は、前述した実施の形態の第1例の構造と同様である。但し、外径拘束型として実施の形態の第2例の構造を採用する事もできる。
本例のマンドレル23bは、前述した実施の形態の第3例と同様の構造を有している。この様なマンドレル23bを構成する両支持軸部37c、37dのうちの一方の支持軸部37cは、ラジアル円すいころ軸受50aを介して、変位可能支持部52cに対して、回転可能な状態で支持されている。
前記変位可能支持部52cは、前記マンドレル23bの中心軸を通る仮想平面に関する断面形状が、転造軸部38a側(図7の下方)に開口した断面略コ字形である有底円筒状に形成されている。この様な変位可能支持部52cは、前記送りねじ機構73により、固定部分57に対する軸方向の変位を可能な状態に支持されている。
前記送りねじ機構73は、サーボモータ74と、減速機75と、ボールねじ76と、ナット77とから成る。
このうちの、サーボモータ74は、前記固定部分57の前記転造軸部38aと反対側に固定されている。
又、前記減速機75は、前記サーボモータ74の出力軸(図示省略)と、前記ボールねじ76との間に設けられている。
前記ボールねじ76は、その一端部を前記減速機75に接続している。又、このボールねじ76は、軸方向中間部を前記固定部分57の貫通孔78に挿通した状態で、その軸方向他半部を、前記固定部分57の前記転造軸部38a側に配置している。
更に、前記ナット77は、前記ボールねじ76の軸方向他端寄り部分に螺合された状態で、前記変位可能支持部52cの底部のうち、前記転造軸部38aと反対側面(図7の上面)に支持固定されている。
上述の様な構成を有する送りねじ機構73は、前記サーボモータ74の駆動に基づいて、前記変位可能支持部52c及び一方の支持軸部37cを軸方向に変位させる事ができる。
尚、本例の場合、前記一方の支持軸部37c側に設けたサーボモータ74に加わるトルク{金属素材26(図8参照)から一方の支持軸部37aに加わる軸方向の押圧力}、及び、他方の支持軸部37d側に設けたサーボモータ74に加わるトルク(金属素材26から他方の支持軸部に加わる軸方向の押圧力)が、所定の値を超えた場合にのみ、前記両サーボモータ74、74を同時に駆動して、前記両支持軸部37c、37dを前記転造軸部38aから離れる方向に同じだけ変位させる様に構成している。従って、前記金属素材26が、その軸方向寸法が大きくなる様に塑性変形している状態で、この金属素材26の軸方向一端面のみが前記一方の支持軸部37aの前記転造軸部38a側の端面に当接して、この一方の支持軸部37a側に設けられたサーボモータ74に加わるトルクのみが増加した場合、又は、これとは逆に、前記他方の支持軸部37d側に設けられたサーボモータ74に加わるトルクのみが増加した場合には、前記両サーボモータ74、74を駆動しない様に規制している。
以下、上述した様な構成を有するリング状部材の製造装置21dを使用して、金属素材26に圧延転造加工を施して、リング状部材35を造る手順に就いて説明する。
先ず、前記金属素材26を、リング状部材の製造装置21dにセットする。
この状態で、前記外径拘束型36を構成する両外径拘束型素子59a、59bのそれぞれの軸方向寸法をHとした場合に、これら両外径拘束型素子59a、59bを軸方向に関して隙間なく並べた状態でのこれら両外径拘束型素子59a、59bの長さ寸法2Hは、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離H2aと等しい(2H=H2a)。従って、一方の外径拘束型素子59aの軸方向一端面は、一方の支持軸部37cの軸方向他端面と、他方の外径拘束型素子59bの軸方向他端面は、他方の支持軸部37dの軸方向一端面と当接している。又、この状態での金属素材26の軸方向寸法Hは、前記両外径拘束型素子59a、59bの長さ寸法2H、及び、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離H2aよりも小さい(H<2H、H<H)。
上述した様な状態で、サポートロール25aを回転させると共に、このサポートロール25aの両ローラ68a、68bの外周面の一部を、それぞれ前記マンドレル23bのマンドレル側規制面43a、43bに近接対向させておく。
次いで、前記成形ロール24aを回転させながら、外径拘束型36を構成する外周保持部材60に近付く様に水平方向に変位させて、前記成形ロール24aのローラ66の外周面を前記外周保持部材60の外周面に当接させる。すると、前記成形ロール24aの回転に伴い、この外周保持部材60が連れ回る。又、この外周保持部材60の回転に伴い、両外径拘束型素子59a、59bも連れ回る。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36(外周保持部材60)に向けて変位(押圧)させると、この外径拘束型36及び前記金属素材26を介して前記マンドレル23bが図7の左側に向けて押圧されて、前記サポートロール25aの両ローラ68a、68bの外周面が、それぞれ前記マンドレル23bの両マンドレル側規制面43a、43bに当接する。すると、前記サポートロール25aの両ローラ68a、68bの回転に伴い、前記マンドレル23bが連れ回る。又、この状態では、前記外径拘束型36(両外径拘束型素子59a、59b、外周保持部材60)とこのマンドレル23bとが、同期して回転しており、これら両部材36(59a。59b、60)、23aの回転に伴い、前記金属素材26が回転する。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36(外周保持部材60)に向けて変位(押圧)させると、先ず、前記金属素材26の軸方向両端面が、前記両支持軸部37c、37dの前記転造軸部38a側の端面に当接するまで、軸方向寸法が大きくなる様に塑性変形する。そして、前記金属素材26の軸方向両端面が、前記両支持軸部37c、37dの前記転造軸部38a側の端面に当接すると、前記金属素材26の外周面が、前記外径拘束型36を構成する両外径側拘束型素子59a、59bの内周面に全周に亙り当接するまで、外径が大きくなる様に塑性変形する。この状態では、前記成形空間が、前記金属素材26により満たされた状態となる。
この状態から更に、前記成形ロール24aを前記外径拘束型36(外周保持部材60)に向けて変位(押圧)させると、前記金属素材26の内部応力が高まり、この金属素材26が前記成形空間を構成する周囲の部材{マンドレル23b、外径拘束型36(両外径拘束型素子59a、59b、外周保持部材60)、両支持軸部37c、37d}を押圧する。そして、前記金属素材26の押圧力のうち、これら両支持軸部37c、37dに加わる軸方向の押圧力(両サーボモータ74、74に加わるトルク)が所定の値を超えると、これら両サーボモータ74、74が駆動して、前記両支持軸部37c、37dを、前記転造軸部38aから離れる方向に向けて同じ量だけ変位させる。すると、図8(b)に示す様に、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離H2bが、図8(a)に示す状態に於ける、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離H2aよりも大きくなる。そして、前記成形空間の軸方向両端部が解放されて、当該両部分から前記金属素材26の余肉を逃がす事ができる。又、この様な前記両支持軸部37c、37dの変位に伴い、前記外径拘束型36を構成する両外径拘束型素子59a、59bが、軸方向に関して互いに離れる方向に変位可能となる。そして、前記両外径拘束型素子59a、59bの内周面の一方、他方の各曲面部62a、62bに対して、前記金属素材26の外周面の両端部から、軸方向の押圧力が加わると、前記両外径拘束型素子59a、59b同士が、軸方向に離れる方向に変位する。この様にして完成した加工後のリング状部材35の軸方向寸法Hは、前記両外径拘束型素子59a、59bの長さ寸法2H、及び、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離H2aよりも大きい(H>2H、H>H2a)。尚、上述した様な金属素材26、リング状部材35、及び両外径拘束型素子59a、59bの軸方向寸法、並びに、前記両支持軸部37c、37dの軸方向に対向する面同士の距離に関しては、前述した実施の形態の各例も同様である。
又、上述の工程は、所望のリング状部材の形状が得られるまで、必要に応じて複数回繰り返す事もできる。具体的には、上述した様に、前記両支持軸部37c、37dが、前記転造軸部38aから離れる方向に変位して、前記金属素材26から、前記両支持軸部37c、37dに加わる軸方向の押圧力の大きさが所定値よりも小さくなった場合には、両サーボモータ74、74の駆動を停止する。この状態で加工を続けて、再び、前記金属素材26の内部応力が高まり、この金属素材26が前記両支持軸部37c、37dを押圧する軸方向の押圧力(両サーボモータ74、74に加わるトルク)が所定の値を超えた場合に、これら両サーボモータ74、74が駆動して、前記両支持軸部37c、37dを、前記転造軸部38aから離れる方向に向けて同じ量だけ変位させる様にする。
又、本例を実施する場合に、変位可能支持部を軸方向に変位させる為の送りねじ機構の構造は、前述の構造に限定されるものではない。又、前記両サーボモータ74、74は、1つのサーボモータにより共通化を図る事もできる。その他の構成及び作用効果に就いては、前述した実施の形態の第3例の場合と同様である。
本発明の製造方法及び製造装置の対象となるリング状部材には、仕上げ加工(切削加工又は研削加工)を施す必要があるリング状部材だけでなく、仕上げ加工が不要なリング状部材(内輪、外輪)も含まれる。
又、本発明を実施する場合には、前述した実施の形態の各例の構造を、適宜組み合わせて実施する事も可能である。
又、前述の各実施の形態では、加工中に、サポートロールを水平方向に変位させる事なく、成形ロールのみを水平方向(マンドレル側)に変位させる構成を採用している。但し、これとは逆に、成形ロールを水平方向に変位させる事なく、サポートロールのみを水平方向(マンドレル側)に変位させる構成とする事もできる。又、サポートロールと成形ロールとの両方を、水平方向に変位させる構成を採用する事もできる。
又、前述の実施の形態の第5例を実施する場合に、マンドレルを構成する両支持軸部のうち、一方の支持軸部の軸方向変位を規制して、他方の支持軸部のみを送りねじ機構により軸方向に変位させる構成を採用する事もできる。即ち、前述した実施の形態の第1例の構造に於いて、他方の支持軸部を軸方向に変位可能に支持する構造の代わりに、前述の実施の形態の第5例の送りねじ機構の構成を採用する事もできる。
1 ラジアル玉軸受
2 外輪
3 内輪
4 玉
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7 保持器
8 ビレット
9 小径部
10 大径部
11 第一中間素材
12 第二円筒部
13 第二中間素材
14 第一円筒部
15 第三中間素材
16 底板部
17 第四中間素材
18 小径円筒部材
19 内向鍔部
20 大径円筒部材
21、21a、21b、21c、21d リング状部材の製造装置
22 リング状部材
23、23a、23b、23c マンドレル
24、24a 成形ロール
25、25a サポートロール
26 金属素材
27 第一転造面
28 マンドレル側規制面
29 受け台
30 第二転造面
31 成形ロール側規制面
32 ローラ
33 同期機構
34 電動モータ
35 リング状部材
36、36a 外径拘束型
37a、37b、37c、37d、37e 支持軸部
38、38a、38b 転造軸部
39a、39b、39c、39d、39e 中心孔
40a、40b ねじ孔
41a、41b、41c 嵌合孔
42a、42b 小径円筒部
43a、43b マンドレル側規制面
44a、44b 嵌合部
45 転造面部
46 第一転造面
47 軌道形成部
48 円筒面部
49 溝形成部
50a、50b ラジアル円すいころ軸受
51a、51b 固定支持部
52a、52b、52c 変位可能支持部
53a、53b 段部
54a、54b 抑え部材
55a、55b 通孔
56a、56b ボルト
57 固定部分
58、58a 弾性部材
59a、59b、59c 外径拘束型素子
60 外周保持部材
61a、61b 一方の円筒面部
62a、62b 一方の曲面部
63 第二転造面
64 軸方向隙間
65 半円輪状部材
66 ローラ
67 回転軸
68a、68b ローラ
69 回転軸
70a、70b 雄ねじ部
71a、71b 抑え部材
72a、72b、72c 連結軸部
73 送りねじ機構
74 サーボモータ
75 減速機
76 ボールねじ
77 ナット
78 貫通孔

Claims (12)

  1. それぞれの中心軸が互いに平行な状態で配置された、マンドレルと、外径拘束型とを備え、
    このうちのマンドレルは、軸方向に離隔した状態で互いに同心に設けられた1対の支持軸部と、軸方向に関してこれら両支持軸部同士の間に、これら両支持軸部と同心に設けられた転造軸部とを有しており、このうちの両支持軸部は、前記転造軸部よりも大径で、支持部に対して支持されるものであり、前記転造軸部は、その外周面に、円環状の金属素材の内周面に転造加工を施す為の第一転造面が形成されており、
    前記外径拘束型は、円環状であり、その内周面に少なくとも前記金属素材の外周面に転造加工を施す為の第二転造面が形成されており、その内径側に前記マンドレルの転造軸部を挿通し、且つ、この第二転造面を前記第一転造面に対向させた状態で配置されており、
    前記マンドレルの第一転造面と、前記外径拘束型の第二転造面と、前記両支持軸部の前記転造軸部側の端面とにより形成される成形空間に、前記金属素材の円周方向一部を配置した状態で、自身の中心軸を中心として回転する前記マンドレルの第一転造面と、自身の中心軸を中心として回転する前記外径拘束型の第二転造面との間で、この金属素材を押圧して、この金属素材の内周面及び外周面に転造加工を施す事によりリング状部材を形成する、リング状部材の製造装置であって、
    前記マンドレルを構成する両支持軸部のうちの少なくとも一方の支持軸部は、前記転造軸部と別体で構成され、且つ、前記転造軸部から離れる方向に変位可能な変位側支持軸部であり、
    前記外径拘束型は、複数個の円環状の外径拘束型素子を、軸方向に並べて配置する事により構成されており、前記外径拘束型の第二転造面は、前記各外径拘束型素子の内周面により構成されており、この第二転造面は、前記金属素材の外周面に加えて、この金属素子の外周面と、この金属素子の軸方向両端面との連続部である角部に、面取り部を転造加工するものであり、
    前記変位側支持軸部に前記金属素材から加わる軸方向の押圧力が閾値以下の場合には、この変位側支持軸部が前記転造軸部から軸方向に離れる方向に変位する事を阻止し、前記軸方向の押圧力が前記閾値を超えた場合には、前記変位側支持軸部が当該方向に変位する事を許容する変位規制手段を備えており、
    前記変位側支持軸部の変位に伴い、前記各外径拘束型素子が、互いに離れる方向に変位可能である、リング状部材の製造装置。
  2. 前記外径拘束型が、円環状の外周保持部材を有しており、
    この外周保持部材が、前記各外径拘束型素子の外周面に、これら各外径拘束型素子の軸方向への変位を許容する状態で外嵌されている、請求項1に記載したリング状部材の製造装置。
  3. 前記各外径拘束型素子のうち、少なくとも1個の外径拘束型素子が、円周方向に分割可能である、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造装置。
  4. 前記外径拘束型の軸方向に関する位置決めを、この外径拘束型の軸方向両端面と、前記両支持軸部の、前記転造軸部側端面との係合により図っている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造装置。
  5. 前記両支持軸部が何れも、前記変位側支持軸部である、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造装置。
  6. 前記両支持軸部のうちの一方の支持軸部が、前記変位側支持軸部であり、同じく他方の支持軸部が、前記転造軸部と別体で構成されており、この他方の支持軸部が前記支持部に対して軸方向の変位を不能な状態で支持されており、
    前記転造軸部は、前記他方の支持軸部に近付く方向の弾力を付与された状態で支持されており、且つ、加工時に、前記転造軸部に、この弾力を上回る軸方向荷重が加わった場合に、この他方の支持軸部から離れる方向に変位可能である、請求項1〜の何れか1項に記載したリング状部材の製造装置。
  7. 前記変位規制手段が、前記変位側支持軸部を、前記転造軸部に対して弾性的に付勢する、付勢手段である、請求項1〜のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造装置。
  8. 請求項1〜のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造装置を使用するリング状部材の製造方法であって、
    前記変位側支持軸部が、前記閾値を超える軸方向の押圧力を受けた場合に、この変位側支持軸部が前記転造軸部から離れる方向に変位する事により、前記金属素材の余肉を、この変位側支持軸部側に逃がすと共に、前記各外径拘束型素子が、互いに離れる方向に変位する、リング状部材の製造方法。
  9. 加工後のリング状部材の軸方向に関する寸法が、前記各外径側拘束型同士が隙間なく配置された状態での、これら各外径拘束型の軸方向に関する寸法の総和よりも大きい、請求項に記載したリング状部材の製造方法。
  10. 内周面に外輪軌道を有する外輪と、
    外周面に内輪軌道を有する内輪と、
    前記外輪軌道とこの内輪軌道との間に転動自在に配置された複数個の転動体とを備えるラジアル転がり軸受の製造方法であって、
    前記外輪と前記内輪とのうちの少なくとも一方の軌道輪を、請求項8〜9のうちの何れか1項に記載したリング状部材の製造方法により製造する、ラジアル転がり軸受の製造方法。
  11. それぞれの中心軸が互いに平行な状態で配置された、マンドレルと、外径拘束型とを備え、
    このうちのマンドレルは、軸方向に離隔した状態で互いに同心に設けられた1対の支持軸部と、軸方向に関してこれら両支持軸部同士の間に、これら両支持軸部と同心に設けられた転造軸部とを有しており、このうちの両支持軸部は、前記転造軸部よりも大径で、支持部に対して支持されるものであり、前記転造軸部は、その外周面に、円環状の金属素材の内周面に転造加工を施す為の第一転造面が形成されており、
    前記外径拘束型は、円環状であり、その内周面に少なくとも前記金属素材の外周面に転造加工を施す為の第二転造面が形成されており、その内径側に前記マンドレルの転造軸部を挿通し、且つ、この第二転造面を前記第一転造面に対向させた状態で配置されており、
    前記マンドレルの第一転造面と、前記外径拘束型の第二転造面と、前記両支持軸部の前記転造軸部側の端面とにより形成される成形空間に、前記金属素材の円周方向一部を配置した状態で、自身の中心軸を中心として回転する前記マンドレルの第一転造面と、自身の中心軸を中心として回転する前記外径拘束型の第二転造面との間で、この金属素材を押圧して、この金属素材の内周面及び外周面に転造加工を施す事により、ラジアル転がり軸受用の内輪又は外輪を形成する、ラジアル転がり軸受の製造装置であって、
    前記マンドレルを構成する両支持軸部のうちの少なくとも一方の支持軸部は、前記転造軸部と別体で構成され、且つ、前記転造軸部から離れる方向に変位可能な変位側支持軸部であり、
    前記外径拘束型は、複数個の円環状の外径拘束型素子を、軸方向に並べて配置する事により構成されており、前記外径拘束型の第二転造面は、前記各外径拘束型素子の内周面により構成されており、この第二転造面は、前記金属素材の外周面に加えて、この金属素子の外周面と、この金属素子の軸方向両端面との連続部である角部に、面取り部を転造加工するものであり、
    前記変位側支持軸部に前記金属素材から加わる軸方向の押圧力が閾値以下の場合には、この変位側支持軸部が前記転造軸部から軸方向に離れる方向に変位する事を阻止し、前記軸方向の押圧力が前記閾値を超えた場合には、前記変位側支持軸部が当該方向に変位する事を許容する変位規制手段を備えており、
    前記変位側支持軸部の変位に伴い、前記各外径拘束型素子が、互いに離れる方向に変位可能である、ラジアル転がり軸受の製造装置。
  12. ラジアル転がり軸受を備える回転機器の製造方法であって、
    このラジアル転がり軸受を、請求項10に記載したラジアル転がり軸受の製造方法により製造する、回転機器の製造方法。
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