JP6279403B2 - ボンデッドピストンシールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車に装備される自動変速機などに用いられるボンデッドピストンシールの製造方法に関する。
自動車等の自動変速機には、クラッチピストンの機能を備えた密封装置が組み込まれている。この密封装置には、ハウジングと、当該ハウジング内部を移動可能なボンデッドピストンシールとを含むものがある。ここにおいて、ハウジングの内壁とボンデッドピストンシールとで囲まれた領域が油圧室を構成している。
ボンデッドピストンシールは、金属環と、金属環の外周面の一部に設けられたリップ部とから構成される。リップ部は、ゴム等の弾性材料から形成される。ボンデッドピストンシールがハウジング内部に配置された状態において、リップ部の先端部がハウジングの内壁に接触することにより、油圧室が密閉される。
金属環は、例えば、金属板をプレス加工(絞り加工)することにより形成される。また、リップ部は、金属環の所定部位に加硫接着されている。
特開2006−29373号公報
ところで、金属環にリップ部を加硫接着させる場合、リップ部の基となるゴム基材と金属環とを金型内部に配置し、ゴム基材への加熱及び加圧を行ういわゆる直圧成型を行うのが一般的である。
図6は、従来例に係るボンデッドピストンシールの一例(ボンデッドピストンシール101)を示し、(a)は一部断面図であり、(b)は(a)における一点鎖線で囲んだ部分AR0の拡大図である。
ボンデッドピストンシール101は、中心軸J0に対して回転対称な形状を有し、金属環111と、リップ部112とから構成される。
金属環111は、筒状の周壁Sと環状の底部Tとから構成されている。周壁Sは、円筒状の第1筒状部121と、第1筒状部よりも大径の円筒状の第2筒状部122と、第1筒状部121及び第2筒状部122に連続する円環部123とを備えている。この金属環111は、円環状の金属板を片面側から押し出すようにプレス加工を施すことにより形成される。この場合、第2筒状部122と円環部123との境目部1222の外周には、凸曲面部125が形成される。
リップ部112は、基端部が凸曲面部125の一部を覆うように設けられており、基端部から先端部に向かって漸次拡径している。
図7は、従来例に係る金属環にリップ部を設ける工程を示す図である。
この工程では、まず、金属環111と、リップ部112の基となるゴム基材132とが、内周に環状の突条部151aを有する金型151の内側に配置される。このとき、突条部151aの先端部が凸曲面部125に当接した状態となり、金属環111の外周面と金型151の内周面との間の空間S0にゴム基材132が充満する。
次に、金型151の温度を上昇させることにより、ゴム基材132に熱を加えるとともに、金型151を金属環111に向かって押圧することにより、ゴム基材132に圧力を加える。この状態を維持したまま所定時間だけ経過すると、空間S0内に充満したゴム基材132が化学反応により形成される。
所定時間経過後、金型151を金属環111から取り外すと、金属環111の外周面の一部にリップ部112が設けられたボンデッドピストンシール101が完成する。
ところで、金属環111は、前述のように、円環状の金属板を片面側から押し出すようにプレス加工を施すことにより形成されている。従って、金属環111を、中心軸J0を含む断面で見たときの凸曲面部125の曲率半径の製造ばらつきは大きい。
図8は、従来例に係る金属環にリップ部を設ける工程を示す図である。
金属環111には、その製造ばらつきにより、例えば、曲率半径R11の凸曲面部125Aを有する金属環111Aや、曲率半径がR11よりも大きいR12の凸曲面部125Bを有する金属環111Bが存在しうる。このため、金型151の突条部151aが、例えば、金属環111Aに適合する内径を有するものである場合、金属環111Bを金型151の内側に配置した状態で、凸曲面部125Bと突条部151aの先端部との間に隙間Gが生じてしまう。
すると、上記空間S0にゴム基材132が充填された状態で、ゴム基材132への加熱及び加圧を行うと、ゴム基材132の一部が上記隙間Gから第2筒状部122の外周側に漏れ出してしまう(図8中の加硫ゴムの漏れ出し部分参照)。このため、リップ部112の形状は、一部が第2筒状部122の外周側に張り出した形状となる。
この第2筒状部122の外周は、ハウジングの内壁に対向する部分であるので、ボンデッドピストンシール101がハウジング内部を移動する際、リップ部112における第2筒状部122の外周側に張り出した部分が、ハウジングの内壁に接触してボンデッドピストンシール101の移動を妨げる虞がある。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、リップ部の形状の製造ばらつきを抑制できるボンデッドピストンシールの製造方法及びボンデッドピストンシールを提供することを目的としている。
本発明に係るボンデッドピストンシールの製造方法は、金属環に加硫ゴムからなるリップ部が設けられてなるボンデッドピストンシールの製造方法である。当該ボンデッドピストンシールの製造方法は、金属環形成工程と、リップ部形成工程とを含む。金属環形成工程では、金属板にプレス加工を施すことにより、第1筒状部と、第1筒状部の筒軸方向における一端側外方に位置する第2筒状部と、第1筒状部と第2筒状部との間に位置し、内縁部が第1筒状部の端部に連続し且つ外縁部が第2筒状部の端部に連続する円環部と、円環部と第2筒状部との境目部の外周に設けられ、第1筒状部に向かって漸次縮径する環状の第1テーパ部とを備える金属環を形成する。リップ部形成工程では、金型の内側に金属環とリップ部の基となるゴム基材とを配置した状態で、ゴム基材への加熱及び加圧を行うことにより金属環にリップ部を設ける。そして、リップ部形成工程では、内周面の一部に第1テーパ部に対向する部分を有する金型を用い、当該金型の第1テーパ部に対向する部分を金属環の第1テーパ部における第2筒状部側の端縁に接触させることにより、金属環の第1テーパ部と、当該第1テーパ部に対向する金型の内周面との間に断面楔状の環状空間を形成し、当該環状空間に、ゴム基材を充満させる。
本構成によれば、リップ部形成工程において、金型の第1テーパ部に対向する部分を当該第1テーパ部における第2筒状部側の端縁に接触させた状態で、前記断面楔状の環状空間を形成するので、ゴム基材を前記断面楔状の環状空間に充満させた状態で、当該ゴム基材への加熱及び加圧を行ったとしても、ゴム基材が第2筒状部の外周側へ漏れ出るのを抑制できる。これにより、リップ部を、常に金属環の第1テーパ部における上記端縁の位置で定まる規定の形状に成形することができる。つまり、リップ部の形状の製造ばらつきを抑制することができる。
上記リップ部形成工程に用いる金型として、上記第1テーパ部に対向する部分が第2テーパ部からなるものを用いてもよい。
本構成によれば、金型の中心軸と、金属環の中心軸とを一致させやすい、即ち、調心性がよいという利点がある。
また、本発明に係る他のボンデッドピストンシールの製造方法は、金属環に加硫ゴムからなるリップ部が設けられてなるボンデッドピストンシールの製造方法である。当該製造方法は、金属環形成工程と、リップ部形成工程とを含む。金属環形成工程では、金属板にプレス加工を施すことにより、第1筒状部と、第1筒状部の筒軸方向における一端側外方に位置する第2筒状部と、第1筒状部と第2筒状部との間に位置し、内縁部が前記第1筒状部の端部に連続し且つ外縁部が第2筒状部の端部に連続する円環部とを備えた中間素材を形成し、その後、中間素材における前記円環部と第2筒状部との境目部の外周に、第1筒状部に向かって漸次縮径する環状の第1テーパ部を形成することにより、金属環を形成する。リップ部形成工程では、金型の内側に金属環とリップ部の基となるゴム基材とを配置した状態で、ゴム基材への加熱及び加圧を行うことにより金属環に前記リップ部を設ける。また、リップ部形成工程では、内周面の一部に第1テーパ部に対向する部分を有する金型を用い、当該金型の第1テーパ部に対向する部分を金属環の第1テーパ部における第2筒状部側の端縁に接触させることにより、金型の内周面と前記金属環の外周面との間に断面楔状の環状空間を形成し、当該環状空間に、ゴム基材を充満させる。
本構成によれば、前記と同様に、ゴム基材の第2筒状部の外周側への漏れ出しを抑制できる。
本発明によれば、リップ部の形状の製造ばらつきを抑制できるボンデッドピストンシールの製造方法を提供することができる。
この発明に係る製造方法を適用して得られたボンデットピストンシールを用いた密封装置の一部破断した側面図である。 ボンデッドピストンシールを示し、(a)は部分断面図、(b)は(a)における一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 実施形態に係る金属環形成工程を示す概略断面図である。 実施形態に係るリップ部形成工程を示す概略断面図である。 変形例に係るリップ部形成工程を示す概略断面図である。 従来例に係るボンデッドピストンシールを示し、(a)は部分断面図、(b)は(a)における一点鎖線で囲んだ部分の拡大図である。 従来例に係る金属環にリップ部を設ける工程を示す図である。 従来例に係る金属環にリップ部を設ける工程を示す図である。
<実施形態>
<1>構成
図1は、この発明に係る製造方法を適用して得られたボンデットピストンシール1を用いた密封装置71の一部破断した側面図である。
密封装置71は、ハウジング72と、ボンデッドピストンシール1とを備える。なお、図1において、密封装置71における、ハウジング72及びボンデッドピストンシール1以外の構成については図示を省略している。
ハウジング72は、中心軸J2に対して回転対称な形状を有し、第1部位72aと、第2部位72bと、第3部位72cとを備える。第1部位72aは、略有底円筒状に形成され、底壁72aaの一部に作動油を内側に導入するための導入孔(図示せず)が貫設されている。第2部位72bは、略円錐筒状であり、第1部位72aの開口側の端部に連続し、第3部位72cに向かって漸次拡径している。第3部位72cは、略円筒状であり、第2部位72bのうちの第1部位72a側とは反対側の端部に連続している。
ボンデッドピストンシール1は、環状に形成されており、金属環11と、リップ部12とを備える。金属環11及びリップ部12は、その中心軸J1に沿った方向から見たときの形状が略円環状である。ボンデッドピストンシール1は、ハウジング72の内側においてハウジング72の中心軸J2に沿って移動自在に支持されている(図1の矢印参照)。また、ボンデッドピストンシール1は、スプリング(図示せず)により、ハウジング72の底壁72aaに向かう方向に付勢されている。
ここにおいて、ボンデッドピストンシール1は、その中心軸J1がハウジング72の中心軸J2に略一致するように配置されている。そして、リップ部12の先端部が、ハウジング72の第1部位72aの側壁72abに接触している。
このようにして、ハウジング72の底壁72aa及び側壁72abと、ボンデッドピストンシール1との間に、油圧室S10が形成されている。この油圧室S10の内圧と上記スプリングの付勢力とのバランスを調整することにより、ボンデッドピストンシール1の位置を調節することができる。
図2は、ボンデッドピストンシール1を示し、(a)は、ボンデッドピストンシール1の一部断面図を示し、(b)は、(a)における一点鎖線で囲んだ部分AR1の拡大図である。
ボンデッドピストンシール1は、図1(a)の断面形状を中心軸J1周りに回転させたときに得られる形状を有する。
金属環11の形状は、密封装置71のハウジング72の形状に基づいて適宜選定されるものである。また、金属環11は、例えば、JIS G 3113に規定されているSAPH(自動車構造用熱間圧延鋼板)等から形成されている。
金属環11は、図2(a)に示すように、第1筒状部21と、第2筒状部22と、第1円環部(円環部)23と、第3筒状部24と、第4筒状部25と、フランジ部26と、第5筒状部27と、第2円環部28と、第6筒状部29と、第3円環部30とを備える。第1筒状部21、第2筒状部22、第1円環部23、第3筒状部24、及び第4筒状部25は、環状の周壁Yを構成しており、フランジ部26、第5筒状部27、第2円環部28、第6筒状部29、及び第3円環部30は、環状の底壁Xを構成している。
第1筒状部21は、略円筒状である。
第2筒状部22は、略円筒状であり、その外径が第1筒状部21の外径よりも大きい。この第2筒状部22の内周は、第1筒状部21の外周よりも径方向外方に位置する。また、第2筒状部22の外径は、ハウジング72の第1部位72aの内径よりも小さい。ボンデッドピストンシール1がハウジング72の内側において最も底壁72aa側に配置された状態では、第2筒状部22の大部分がハウジング72の第1部位72aの内側に位置し、第2筒状部22の外周面が第1部位72aの内周面に対向する。
第1円環部23は、略円環状であり、第1筒状部21と第2筒状部22との間に位置し、その内縁部が第1筒状部21の筒軸方向における下端部に連続し且つ外縁部が第2筒状部22の筒軸方向における上端部に連続している。
第3筒状部24は、円錐筒状であり、中心軸J1に沿った方向において、第2筒状部22の第1円環部23側とは反対側の端部に連続しているとともに、フランジ部26に向かって漸次拡径している。
第4筒状部25は、略円筒状であり、中心軸J1に沿った方向において、第3筒状部24の第2筒状部22側とは反対側の端部に連続している。
フランジ部26は、中心軸J1に沿った方向における第4筒状部25の第3筒状部24側とは反対側の端部から、中心軸J1から離れる方向に延出している。
第5筒状部27は、略円筒状であり、その外径が第1筒状部21の内径よりも小さく、第1筒状部21の内側に位置している。そして、第5筒状部27の外周面は、第1筒状部21の内周面に対向している。
第2円環部28は、略円環状であり、外縁部全体が第1筒状部21における第1円環部23側とは反対側の端部全体に連続している。また、第2円環部28は、内縁部全体が第5筒状部27の端部全体に連続している。更に、第2円環部28の一部には、スプリング(図示せず)の一端を嵌合するための窪み部28aが形成されている。
第6筒状部29は、円筒状であり、その外径が第5筒状部27の内径よりも小さく、中心軸J1に沿った方向から見たときに、第5筒状部27の内側に位置している。
第3円環部30は、平坦な円環状であり、外縁部全体が第5筒状部27における第2円環部28側とは反対側の端部全体に連続している。また、第3円環部30は、内縁部全体が第6筒状部29の端部全体に連続している。
ところで、図2(b)に示すように、第1筒状部21と第1円環部23との境目部222には、凹曲面部211が形成されている。また、第2筒状部22と第1円環部23の境目部222における、第1円環部23に連続する側には、凸曲面部231が形成され、第2筒状部22に連続する側には、第1テーパ部221が形成されている。この第1テーパ部221は、環状であり、第1筒状部21に向かって漸次縮径している。また、第1テーパ部221の中心軸J1に対する傾斜角θ1は、例えば、15°乃至25°に設定されている。
この傾斜角θ1は、後述する中間素材を形成するための金属板の厚みの寸法公差に基づいて定まる。本実施形態に係るボンデッドピストンシール1では、JIS規格により、凸曲面部231に対応する部分の板厚の寸法が2.0±0.18mmの範囲内であることが規定されている。そこで、本実施形態では、凸曲面部231に対応する部分の板厚の寸法が、2.0±0.18mmの範囲内で変動したとしても第1テーパ部221が確実に形成できるように傾斜角θ1が設定されている。
リップ部12は、略円環状に形成されており、その基端部が凸曲面部231の一部と第1テーパ部221の一部とを覆うように設けられている。そして、リップ部12は基端部から先端部に向かって漸次拡径している。
<2>ボンデッドピストンシールの製造方法について
次に、本実施形態に係るボンデッドピストンシール1の製造方法について図2(b)及び図3を参照しながら説明する。このボンデッドピストンシール1の製造方法は、金属環形成工程と、リップ部形成工程とを含む。
<2−1>金属環形成工程について
金属環形成工程では、円環状の金属板(図示せず)を片面側から押し出すようにプレス加工(絞り加工)を施すことにより、中間素材(図3(a)の31A,31B)を形成する。ここにおいて、第1筒状部21と第1円環部23との境目部212の外周には、凹曲面部211が形成される。また、第2筒状部22と第1円環部23との境目部222の外周には、凸曲面部231が形成される。この中間素材は、金属環11の基となる部材であり、第2筒状部22と第1円環部23との境目部222の外周にテーパ部221がない点のみが金属環11と相違する部材である。つまり、中間素材は、従来の金属環と同じ形状のものである。
その後、中間素材における第1円環部23と第2筒状部22との境目部222の外周にテーパ部221を形成することにより金属環11を形成する。
ところで、中間素材は、前述のようにプレス加工により形成されているため、第2筒状部22と第1円環部23との境目部222に形成される凸曲面部231は、中心軸J0を含む断面で見たときの曲率半径に製造ばらつきが生じている。
図3(a)に示すように、例えば、中間素材には、曲率半径R1の凸曲面部45Aを有する中間素材31Aや、曲率半径がR1よりも大きいR2の凸曲面部45Bを有する中間素材31Bが存在しうる。
そして、図3(b)に示すように、プレス加工用の金型61として、凸曲面部45A(45B)に対応する部分にテーパ部62を設けたものを用い、この金型61のテーパ部62を中間素材31A(31B)の凸曲面部45A(45B)に押し付ける。すると、中間素材31A(31B)は、金型61のテーパ部62に沿うように塑性変形する。これにより、金属環11A,11Bが出来上がる。
図3(c)に示すように、出来上がった金属環11A,11Bは、第1テーパ部221A(221B)における第2筒状部22側の端縁(図3(c)における下端縁)P1が略一致する。つまり、テーパ部221の下端縁P1の位置は、金属環11A(11B)の基となる中間素材31A(31B)の曲面部45A(45B)の曲率半径に依存せず略一定となる。
<2−2>リップ部形成工程について
図4は、本実施形態に係るリップ部形成工程を示す概略断面図である。
この工程では、リップ部形成用の金型51として、内周面の一部に第2テーパ部51aを有するものを用いる。
第2テーパ部51aは、金属環11における第2筒状部22の外周面及び第1テーパ部221に対向する。第2テーパ部51aの金属環11の中心軸J1に対する傾斜角θ2は、金属環11の第1テーパ部221の傾斜角θ1よりも小さくなるように設定されている。この傾斜角θ2は、例えば5°程度に設定される。
これにより、金型51の第2テーパ部51aを、金属環11の第1テーパ部221の下端縁P1に対して全周にわたって接触させることができる。また、この状態で、第2テーパ部51aと第1テーパ部221との間に断面楔状の環状空間S1が形成される。
ところで、前述のように、金属環11の第1テーパ部221の下端縁P1の位置は、中間素材31A(31B)の凸曲面部45A(45B)の曲率半径に依存せず略一定である。従って、金型51の第2テーパ部51aを第1テーパ部221に確実に接触させることができる。よって、中間素材31A,31Bをプレス加工により作製する際、中間素材31A,31Bの凸曲面部45A(45B)の形状に製造ばらつきが生じても、金型51の第2テーパ部51aと金属環11の第1テーパ部221の下端縁P1との間に隙間が生じることがない。
従って、リップ部形成工程において、ゴム基材32を環状空間S1に充満させた状態で、当該ゴム基材32への加熱及び加圧を行ったとしても、ゴム基材32が、金属環11の第2筒状部22の外周側へ漏れ出るのを抑制することができる。
実際、発明者らは、本実施形態に係る製造方法によりボンデッドピストンシール1を製造する場合と、テーパ部を有しない金属環を用いてボンデッドピストンシールを製造する場合(従来の製造方法)とで、リップ部12の形状不良の発生率を比較した。ここで、リップ部12が、第2筒状部22の外周側へ張り出していれば、リップ部12の形状不良と判定した。そして、発明者らは、本実施形態に係る製造方法を採用した場合、従来の製造方法を採用した場合に比べて、形状不良の発生率を半減できるという知見を得ている。
このことからも、本実施形態に係る製造方法は、従来の製造方法に比べて、リップ部12の形状の製造ばらつきを抑制できていることが判る。
また、本実施形態では、リップ部形成工程において、第1テーパ部221に対向する第2テーパ部51aを有する金型51を用いるため、金型51の中心軸と、金属環11の中心軸とを一致させやすい、即ち、調心性がよいという利点がある。
<変形例>
(1)実施形態では、金型51が第2テーパ部51aを備える例について説明したが、金型51の形状はこれに限定されるものではなく、例えば図5に示すように、金型が、金属環11の第1テーパ部221に対向する部位に環状の突条部251aを有するものであってもよい。
この突条部251aは、金属環11の第1テーパ部221に接触するコーナ部が直角断面に形成されている。
本構成によれば、リップ部形成工程において、内周面の一部に突条部251aを有する金型251を用いるので、当該金型251の突条部251aを、金属環11の第1テーパ部221における第2筒状部22側の端縁全周に接触させることができる。即ち、金型251を金属環11の第1テーパ部221に隙間なく接触させることができる。これにより、金型251の内周面と金属環11の第1テーパ部221との間に生じる環状空間S2に、ゴム基材32を充満させた状態で、当該ゴム基材32への加熱及び加圧を行ったとしても、ゴム基材32の一部が断面楔状の環状空間S2から金属環11の第2筒状部22の外周側に漏れ出るのを抑制できる。そして、リップ部12を、常に金属環11の第1テーパ部221と金型251の突条部251aとの接触位置で定まる規定の形状にすることができる。つまり、リップ部12の形状の製造ばらつきを抑制することができる。
(2)前記実施形態では、金型51が第2テーパ部51aを有する例について説明したが、金型51の形状はこれに限定されるものではなく、第2テーパ部51aがない構成であってもよい。即ち、金型51の第1テーパ部221に対向する部分の内側に金属環11が配置された状態において、金型51の第1テーパ部221に対向する部分の内側面全体が金属環11の中心軸に平行となるものであってもよい。
(3)前記実施形態では、金属環形成工程において、中間素材31A(31B)を形成した後に、第1テーパ部221を形成する例について説明したが、必ずしも中間素材31A(31B)を形成する工程と第1テーパ部221を形成する工程とを別にする必要はない。
例えば、金属板11に対してプレス加工を施すことにより中間素材31A(31B)を形成すると同時に第1テーパ部221を形成するようにしてもよい。
この場合、1つの金型を用いて、中間素材31A(31B)を形成すると同時に第1テーパ部221を形成することができる。従って、金型コストの観点からすれば、実施形態に比べて有利である。
1:ボンデッドピストンシール、11:金属環、12:リップ部、21:第1筒状部、22:第2筒状部、23:第1円環部(円環部)、31A,31B:中間素材、222:境目部、221:第1テーパ部、51,251:金型、51a:第2テーパ部、32:ゴム基材、251a:突条部、P1:下端縁(端縁)、S1,S2:環状空間、θ1:第1傾斜角、θ2:第2傾斜角

Claims (3)

  1. 金属環に加硫ゴムからなるリップ部が設けられてなるボンデッドピストンシールの製造方法であって、
    金属板にプレス加工を施すことにより、第1筒状部と、前記第1筒状部の筒軸方向における一端側外方に位置する第2筒状部と、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に位置し、内縁部が前記第1筒状部の端部に連続し且つ外縁部が第2筒状部の端部に連続する円環部と前記円環部と前記第2筒状部との境目部の外周に設けられ、前記第1筒状部向かって漸次縮径する環状の第1テーパ部とを備える前記金属環を形成する金属環形成工程と、
    金型の内側に前記金属環と前記リップ部の基となるゴム基材とを配置した状態で、前記ゴム基材への加熱及び加圧を行うことにより前記金属環に前記リップ部を設けるリップ部形成工程とを含み、
    前記リップ部形成工程では、内周面の一部に前記第1テーパ部に対向する部分を有する金型を用い、当該金型の前記第1テーパ部に対向する部分を前記金属環の前記第1テーパ部における前記第2筒状部側の端縁に接触させることにより、前記金属環の第1テーパ部と、当該第1テーパ部に対向する前記金型の内周面との間に断面楔状の環状空間を形成し、当該環状空間に、前記ゴム基材を充満させる
    ボンデッドピストンシールの製造方法。
  2. 前記リップ部形成工程に用いる金型として、前記第1テーパ部に対向する部分が円錐筒状の第2テーパ部からなるものを用いる
    請求項1記載のボンデッドピストンシールの製造方法。
  3. 金属環に加硫ゴムからなるリップ部が設けられてなるボンデッドピストンシールの製造方法であって、
    金属板にプレス加工を施すことにより、第1筒状部と、前記第1筒状部の筒軸方向における一端側外方に位置する第2筒状部と、前記第1筒状部と前記第2筒状部との間に位置し、内縁部が前記第1筒状部の端部に連続し且つ外縁部が第2筒状部の端部に連続する円環部とを備えた中間素材を形成し、その後、前記中間素材における前記円環部と前記第2筒状部との境目部の外周に、前記第1筒状部に向かって漸次縮径する環状の第1テーパ部を形成することにより、前記金属環を形成する金属環形成工程と、
    金型の内側に前記金属環と前記リップ部の基となるゴム基材とを配置した状態で、前記ゴム基材への加熱及び加圧を行うことにより前記金属環に前記リップ部を設けるリップ部形成工程とを含み、
    前記リップ部形成工程では、内周面の一部に前記第1テーパ部に対向する部分を有する金型を用い、当該金型の前記第1テーパ部に対向する部分を前記金属環の前記第1テーパ部における前記第2筒状部側の端縁に接触させることにより、前記金属環の第1テーパ部と、当該第1テーパ部に対向する前記金型の内周面との間に断面楔状の環状空間を形成し、当該環状空間に、前記ゴム基材を充満させる
    ボンデッドピストンシールの製造方法。
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