以下に、本発明の一実施形態を図1〜図6を参照して説明する。図1には、一実施形態に係る画像表示装置としてのプロジェクタ装置1000が概略的に示されている。
プロジェクタ装置1000は、例えば建物の床もしくは設置台に載置された状態、建物の天井から吊り下げられた状態、又は建物の壁に掛けられた状態等で用いられる。以下では、図1に示される、鉛直方向をZ軸方向とするXYZ3次元直交座標系を適宜用いて説明する。
プロジェクタ装置1000は、一例として、光走査装置100、画像処理部200などを備えている。
光走査装置100は、一例として、光源装置5(光源部)と、光偏向器20及び光検出器30(図2参照)を含む光デバイス10と、コントローラ40と、LD制御部60とを有する。
光源装置5は、3つのレーザダイオードLD1〜LD3と、3つのコリメートレンズCR1〜CR3と、3つのダイクロイックミラーDM1〜DM3とを有する。
レーザダイオードLD1は、一例として、赤色レーザであり、赤色光(波長640nm)を+Y方向に射出するように配置されている。
レーザダイオードLD2は、一例として、青色レーザであり、青色光(波長450nm)を+Y方向に射出するように、レーザダイオードLD1の+X側に配置されている。
レーザダイオードLD3は、一例として、緑色レーザであり、緑色光(波長520nm)を+Y方向に射出するように、レーザダイオードLD2の+X側に配置されている。
各レーザダイオードは、LD制御部60によって制御される。
コリメートレンズCR1は、一例として、レーザダイオードLD1の+Y側に配置されており、レーザダイオードLD1から射出された赤色光を略平行光とする。
コリメートレンズCR2は、一例として、レーザダイオードLD2の+Y側に配置されており、レーザダイオードLD2から射出された青色光を略平行光とする。
コリメートレンズCR3は、一例として、レーザダイオードLD3の+Y側に配置されており、レーザダイオードLD3から射出された緑色光を略平行光とする。
3つのダイクロイックミラーDM1〜DM3は、それぞれ、例えば誘電体多層膜などの薄膜から成り、特定の波長の光を反射し、それ以外の波長の光を透過させる。
ダイクロイックミラーDM1は、一例として、コリメートレンズCR1の+Y側に、X軸及びY軸に対して例えば45°傾斜して配置されており、コリメートレンズCR1を介した赤色光を+X方向に反射させる。
ダイクロイックミラーDM2は、一例として、ダイクロイックミラーDM1の+X側、かつコリメートレンズCR2の+Y側に、X軸及びY軸に対して例えば45°傾斜して配置されており、ダイクロイックミラーDM1を介した赤色光を+X方向に透過させ、コリメートレンズCR2を介した青色光を+X方向に反射させる。
なお、ダイクロイックミラーDM1を介した赤色光及びコリメートレンズCR2を介した青色光は、それぞれダイクロイックミラーDM2の中央付近に入射する。
ダイクロイックミラーDM3は、一例として、ダイクロイックミラーDM2の+X側かつコリメートレンズCR3の+Y側に、X軸及びY軸に対して例えば45°傾斜して配置されており、ダイクロイックミラーDM2を介した赤色光及び青色光を+X方向に透過させ、コリメートレンズCR3を介した緑色光を+X方向に反射させる。
なお、ダイクロイックミラーDM2を介した赤色光及び青色光、並びにコリメートレンズCR3を介した緑色光は、それぞれダイクロイックミラーDM3の中央付近に入射する。
ダイクロイックミラーDM3を介した3つの光(赤色光、青色光及び緑色光)は、1つの光に合成される。この場合、3つのレーザダイオードLD1〜LD3の発光強度の強弱のバランスにより、合成された光の色が表現されるようになっている。
結果として、光源装置5は、3つのレーザダイオードLD1〜LD3からの3つのレーザ光が合成されてなるレーザ光を+X方向に、すなわち光デバイス10に向けて射出する。以下では、光源装置5から射出されたレーザ光を「射出光」とも称する。
ここで、画像処理部200は、例えばパソコン等の上位装置からの画像情報に対して所定の処理(例えば歪み補正処理、画像サイズ変更処理、解像度変換処理等)を施し、LD制御部60に送る。
LD制御部60は、画像処理部200からの画像情報に基づいて、LD駆動信号(パルス信号)を強度変調して各LDに出力する。また、LD制御部60は、コントローラ40からの後述する同期信号に基づいて各LDの発光タイミング(該LDに駆動信号を供給するタイミング)を決定する。なお、LD制御部60による直接変調方式に代えて、光変調器による外部変調方式を採用しても良い。この場合、光変調器は、例えばLDとコリメートレンズとの間の光路上、もしくはコリメートレンズとダイクロイックミラーとの間の光路上に配置することができる。
光デバイス10は、図2に示されるように、前述した光偏向器20及び光検出器30に加えて、光偏向器20及び光検出器30を保持する保持体70を含む。なお、図2は、光デバイス10の縦断面図である。
保持体70は、パッケージ70a及びカバーガラス70bを有する。
パッケージ70aは、一例として、無蓋の箱形部材から成るフラットパッケージであり、その開口が射出光の光路上に位置するように配置されている。パッケージ70aの材料としては、例えばセラミック、樹脂、アルミニウム等が用いられる。ここでは、パッケージ70aの内部底面には、例えば2段の段部が形成されている。パッケージ70aは、単一の部材で構成されても良いし、複数の部材で構成されても良い。パッケージ70aには、後述する駆動手段に電力を供給するための配線部材(不図示)が設けられている。
カバーガラス70bは、透明又は半透明のガラス板から成り、パッケージ70aの開口を覆うように、すなわちパッケージ70aの内部を密閉するようにパッケージ70aの開口端に接合されている。すなわち、カバーガラス70bは、射出光の光路上に配置され、光透過窓部材として機能する。ここでは、一例として、カバーガラス70bは、パッケージ70aの内部底面に略平行に配置されている。なお、光透過窓部材として、ガラス製の部材であるカバーガラス70bを用いることで、パッケージ70aとの接合の際の変形や複屈折を抑えることができる。
このように、保持体70には、パッケージ70aとカバーガラス70bとにより囲まれた、密閉された内部空間が形成されている。
光偏向器20は、ミラー110(ここではMEMSミラー)を含み、パッケージ70aの内部底面に実装されている。すなわち、光偏向器20は、保持体70の密閉された内部空間に収容され(封止され)、ダストや湿気から保護されている。ここでは、保持体70の内部空間は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン等の不活性ガスが充填され、もしくは真空にされている。
一般に、MEMSミラーを含む光偏向器は、小型のMEMSミラーを高速で機械的に揺動させることによりレーザ光を偏向する。この場合、MEMSミラーの長期に亘る動作信頼性を確保するためには、MEMSミラーにおける異物の付着や結露による動作不良を回避するため、光偏向器を封止することが求められる。
特に、少なくとも一軸周りに関してトーションバーのねじれによる機械的共振を利用してMEMSミラーを振動させる光偏向器では、超高速でMEMSミラーを振動させるため、空気中の異物がミラーに徐々に付着していき、ミラーが汚れてしまう。
このミラーの汚れは、共振周波数の時間的変化やミラーの反射率の低下などを招く要因となる。このため、MEMSミラーを含む光偏向器を、密閉された空間内の清浄な環境下で動作させることが必要となる。
ミラー110は、カバーガラス70bを透過した射出光の光路上に反射面が位置するように、パッケージ70aに対して、互いに直交する第1軸及び第2軸周りに独立に揺動可能に支持されている(図3参照)。
光偏向器20は、ミラー110を第1軸及び第2軸周りに独立に揺動させることでミラー110に入射された射出光を2次元的に偏向する。すなわち、光偏向器20は、光源装置5からのレーザ光を被走査面に導く走査光学系を構成する。
そこで、光走査装置100は、射出光を光偏向器20で偏向し、偏向された一部のレーザ光により被走査面(例えばXZ平面に平行に張設されたスクリーンSの表面)の有効走査領域(画像形成領域)を2次元走査する(図4参照)。
ここで、カバーガラス70bには、少なくとも有効走査領域へ向かうレーザ光が入射される領域に、両面無反射コートが施されている(両面に反射防止膜が形成されている)。このため、光利用効率の向上を図ることができる。
また、カバーガラス70bにおけるパッケージ70aの内部空間に臨む面(カバーガラス70bの内側の面)の、光偏向器20で偏向された他の一部のレーザ光(有効走査領域に向かわないレーザ光)の光路上の領域に、反射膜120が設けられている。なお、反射膜120は、カバーガラス70bの外側の面に設けられても良い。
すなわち、光走査装置100による光走査は、被走査面の有効走査領域のみならず、その外側の領域に対しても行われる。
光検出器30は、例えばフォトダイオード、フォトトランジスタ等のフォトディテクタであり、パッケージ70aの内部底面における光偏向器20が実装されている領域とは異なる領域であって反射膜120で反射されたレーザ光の光路上の領域に実装されている。すなわち、光検出器30は、封止され、ダストや湿気から保護されている。上述したように、保持体70の内部空間は、不活性ガスが充填され、もしくは真空にされている。この場合、光検出器30が結露することを防止でき、光デバイス10が湿度の高い環境下にあるときでも光検出器30を正常に機能させることが可能になる。なお、光検出器30が結露すると、正確な検出信号が得られなくなり、誤動作や画像形成ができなくなるおそれがある。
光検出器30は、反射膜120で反射されたレーザ光を検出し、検出信号をコントローラ40に出力する。光検出器30はミラー110が第1軸及び第2軸周りの所定範囲内の位置に位置したときにミラー110からの反射光を受光するため、光検出器30からの出力信号を、ミラー110の第1軸及び第2軸周りの位置情報を検出する基準とすることができる。
ところで、MEMSミラーを含む光偏向器を用いた光走査においては、被走査面(例えばスクリーンの表面)上に形成される画像の位置やサイズを適切に保つことが必要になる。
このような光偏向器では、MEMSミラーを少なくとも一軸周りに機械的共振を利用して動作させる。この機械的共振は、MEMSミラーを支えるトーションバーなどに生じるねじれを利用して共振させ、MEMSミラーを揺動させる方式である。
この機械的共振による光走査では、環境温度や経時変化などにより画像のサイズや位置が変わってしまう問題がある。
また、往復走査により(走査の往路と復路で)1つの画像を形成する場合、往路と復路で形成される画像位置を一致させる必要がある。また、カンチレバー(梁)を用いた非共振での光走査においても同様に、環境温度や経時変化に対し、画像のサイズや位置を一定に保つ必要がある。
そこで、従来、MEMSミラーを含む光偏向器を備える光走査装置では、光偏向器で偏向されたレーザ光を、被走査面付近に設置したフォトダイオードで受光させ、該フォトダイオードでの受光タイミングに基づいてMEMSミラーの回転角や光源(例えばLD)の発光タイミングを制御し、画像位置やサイズを一定にすることが行われている。なお、フォトダイオードで受光される光のタイミングを処理することにより、MEMSミラーの振れ角や位相を把握することができる。これにより、温度や経時変化により振れ角の感度変動が起こった場合でも、精密に画像サイズや被走査面の有効走査領域(画像形成領域)での光源の発光タイミングを制御することが可能になる。
この場合、被走査面の有効走査領域(画像形成領域)から外れた位置にフォトダイオードを設置する必要があるため、装置の大型化を招く要因となる。
そこで、本実施形態の光走査装置100では、前述したように光検出器30を光偏向器20と共に保持体70に保持させることで、装置の大型化を抑制している。
また、光走査装置100では、前述したように光偏向器20のみならず光検出器30も、保持体70の密閉された内部空間に収容されているため、光検出器30が異物の付着などにより機能しなくなるのを防止でき、ひいては装置が誤動作するのを防止できる。
コントローラ40は、ミラー110を所望の振れ角で周期的に振動させるためのミラー駆動信号を生成し光偏向器20に出力することでミラー110を駆動し、光検出器30からの出力信号に基づいてミラー駆動信号を補正することでミラー110の振れ角を制御(微調整)する。また、コントローラ40は、光検出器30からの出力信号に基づいて、ミラー110の振れ角とLD10の発光タイミングとの同期をとるための同期信号をLD制御部60に出力する。
図2に示されるように、コントローラ40から光偏向器20へのミラー駆動信号の伝送は、フレキシブル基板160、ワイヤ170を介して行われる。また、光検出器30からの出力信号も、フレキシブル基板160を介して処理される。
以下に、光偏向器20について詳細に説明する。
光偏向器20は、図3に示されるように、+Y側の面が反射面であるミラー110と、該ミラー110をX軸に直交する第1軸(例えばZ軸)周りに駆動する第1駆動部150と、ミラー110及び第1駆動部150をX軸に平行な第2軸周りに駆動する第2駆動部250とを含む。
光偏向器20では、一例として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスによって、各構成部が一体的に形成されている。簡単に言うと、光偏向器20は、1枚のシリコン基板に切れ込みを入れて複数の可動部(弾性変形部)を形成し、各可動部に圧電部材を設けることで作成される。ミラー110の反射面は、一例として、シリコン基板の+Y側の面に形成された例えばアルミニウム、金、銀等の金属薄膜である。
第1駆動部150は、一例として、ミラー110の第1軸方向の両端に個別に一端が連続し、第1軸方向に延びる2つのトーションバー105a、105bと、該2つのトーションバー105a、105bそれぞれの第1軸方向の他端に中間部が連続し、第2軸方向に延びる2つの梁106a、106bと、該2つの梁106a、106bそれぞれの第2軸方向の両端に内縁部が連続する第1矩形枠部107と、2つの梁106a、106bそれぞれの第1軸を挟む一側部及び他側部の+Y側の面に個別に設けられた2つの第1圧電部材15、16と、を有している。
ここでは、ミラー110の中心は、第1矩形枠部107の中心に位置している。2つのトーションバー105a、105bは同径かつ同長である。2つの梁106a、106bは、第2軸方向を長手方向とする矩形板状である。2つの第1圧電部材15、16は、同形かつ同大の第2軸方向を長手方向とする矩形板状である。
第1駆動部150では、2つの梁106a、106bに個別に設けられた2つの圧電部材15に電圧(駆動電圧)が並列に印加されると、該2つの圧電部材15が変形して、2つの梁106a、106bが撓み、2つのトーションバー105a、105bを介してミラー110に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー110が第1軸周りに揺動する。第1駆動部150は、コントローラ40によって制御される。
また、第1駆動部150では、2つの梁106a、106bに個別に設けられた2つの圧電部材16に電圧(駆動電圧)が並列に印加されると、該2つの圧電部材16が変形して、2つの梁106a、106bが撓み、2つのトーションバー105a、105bを介してミラー110に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー110が第1軸周りに揺動する。
そこで、コントローラ40によって、第1駆動部150の各梁に設けられた2つの圧電部材15、16に逆位相の正弦波電圧を並行して(例えば同時に)印加することで、ミラー110を、第1軸周りに該正弦波電圧の周期で効率良く振動させることができる。
ここでは、正弦波電圧の周波数が約20kHz(各トーションバーの共振周波数)に設定され、各トーションバーのねじれによる機械的共振を利用して、ミラー110を約20kHzで振動させることができる。なお、ミラー110の振動中心からの最大振れ角は、±15°程度とされている。
第2駆動部250は、一例として、第1矩形枠部107の−Z側かつ+X側の角部に一端が連続し、蛇行するように連続する複数(例えば8つ)の梁108aを含む蛇行部210aと、第1矩形枠部107の+Z側かつ−X側の角部に一端が連続し、蛇行するように連続する複数(例えば8つ)の梁108bを含む蛇行部210bと、蛇行部210aの8つの梁108aの+Y側の面に個別に設けられた8つの第2圧電部材と、蛇行部210bの8つの梁108bの+Y側の面に個別に設けられた8つの第2圧電部材と、2つの蛇行部210a、210bそれぞれの他端に内縁部が連続する第2矩形枠部109と、を有している。
ここでは、ミラー110の中心は、第2矩形枠部109の中心に位置している。各蛇行部の8つの梁は、同形かつ同大の第1軸方向を長手方向とする矩形板状である。各第2圧電部材は、同形かつ同大の第1軸方向を長手方向とする矩形板状である。第2圧電部材の第1軸方向(長手方向)の長さは、該第2圧電部材が設けられた梁の第1軸方向の長さよりも幾分短い。
第2駆動部250では、各蛇行部に設けられた8つの第2圧電部材のうち最も+X側又は最も−X側の端の第2圧電部材から数えて奇数番目(1番目、3番目、5番目、7番目)の4つの第2圧電部材11に電圧が並列に印加されると、該4つの第2圧電部材11及び該4つの第2圧電部材が設けられた4つの梁が第2軸周りの同一方向に撓み、ミラー110が第2軸周りに揺動する。
また、第2駆動部250では、各蛇行部の8つの第2圧電部材のうち最も+X側又は最も−X側の端の第2圧電部材から数えて偶数番目(2番目、4番目、6番目、8番目)の4つの第2圧電部材12に電圧が並列に印加されると、該4つの第2圧電部材12及び該4つの第2圧電部材12が設けられた4つの梁が第2軸周りの同一方向に撓み、ミラー110が第2軸周りに揺動する。
以下では、便宜上、各蛇行部に設けられた奇数番目の4つの第2圧電部材11を併せて圧電部材群P1と称し、該蛇行部に設けられた偶数番目の4つの第2圧電部材12を併せて圧電部材群P2と称する。
そこで、各蛇行部に設けられた2つの圧電部材群P1、P2に鋸波電圧及び逆鋸波電圧を並行して(例えば同時に)個別に印加することで、該蛇行部の隣り合う2つの梁を第2軸周りの反対方向に撓ませて各梁の撓み量を累積させることで、ミラー110を、第2軸周りに該鋸波電圧の周期で効率良く(低電圧で大きい振れ角で)振動させることができる。
ここで、「鋸波電圧」とは、時間の経過につれ、徐々に高くなり、ピークに達すると、急激に低くなる電圧を意味する。「逆鋸波電圧」とは、時間の経過につれ、急激に高くなり、ピークに達すると、徐々に低くなる電圧を意味する。
結果として、第1駆動部150及び第2駆動部250を含んで、ミラー110を第1軸及び第2軸周りに独立に駆動する駆動手段を含む支持部が構成されている。すなわち、ミラー110は、該支持部によって支持されている。
第1駆動部150及び第2駆動部250の各圧電部材は、一例として、圧電材料としてのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。圧電部材は、分極方向に電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した歪み(伸縮)が生じる、いわゆる逆圧電効果を発揮する。また、圧電部材は、力を加えると、該力に応じた電圧を分極方向に発生させる、いわゆる圧電効果を発揮する。
なお、ここでは、圧電部材がシリコン基板の一面(例えば+Y側の面)のみに設けられた場合を一例として説明したが、配線のレイアウトや圧電部材の作成上の自由度を向上させるため、シリコン基板の他面(例えば−Y側の面)にのみ設けても良いし、シリコン基板の一面及び他面(例えば+Y側及び−Y側の面)の双方に設けても良い。いずれにしても、これらの圧電部材や電極の形成はほぼ半導体プロセスに準じるものであり、大量生産によりコストダウンを図ることができる。
ここで、第1軸周りに振動するミラー110に光が入射されると、反射光が第1軸周りにスキャン(偏向走査)される。また、第2軸周りに振動するミラー110に光が入射されると、反射光が第2軸周りにスキャン(偏向走査)される。そこで、被走査面に形成される画像の高精細化、面内均一化を図るために、ミラー110に入射される光を第1軸周りに直線的にスキャンし、その走査線を第2軸周りにスキャンすること、すなわちラスタスキャンを行うことができる。
具体的には、第1駆動部150では各トーションバーの機械的共振を利用してできるだけ少ないエネルギーでミラー110を高周波数で振動させ、第2駆動部250では非共振でミラー110を低周波数(例えば数十Hz)で振動させることでラスタスキャンを行うことができる。
しかしながら、この場合、各第2圧電部材の変位量は、各第1圧電部材の変位量よりも小さい。
そこで、上述の如く、第2駆動部250の各蛇行部の8つの梁に個別に設けられた8つの第2圧電部材を並列に動作させることで、変位量を稼ぐことができる。
本実施形態では、ラスタスキャンを行うために、各蛇行部に設けられた圧電部材群P1、P2に印加する駆動電圧として同一周期の鋸波電圧及び逆鋸波電圧を用いる。
以上のように構成される光デバイス10は、一例として、パッケージ70aに対して光偏向器20を実装する工程(半導体製造工程に準ずる工程)、パッケージ70aに対して光検出器30を実装する工程(半導体製造工程)、並びにパッケージ70aに対してカバーガラス70bを接合する工程(封止工程)が一連に行われることで製造される。
以上のように構成される光走査装置100では、光源装置5からのレーザ光(射出光)がカバーガラス70bに入射し、該カバーガラス70bを透過したレーザ光がミラー110の反射面に入射する。ミラー110の反射面に入射したレーザ光は、ミラー110の第1軸周り及び第2軸周りの位置に応じた方向に反射される。そして、ミラー110で反射された一部のレーザ光がカバーガラス70bに入射し、該カバーガラス70bを透過したレーザ光が被走査面(スクリーンSの表面)に導かれる。一方、ミラー110で反射された他の一部のレーザ光が反射膜120に入射し、該反射膜120で反射されたレーザ光が光検出器30で受光される。
この際、上述の如く、ミラー110を第1軸周りに高周波数で振動させつつ第2軸周りに低周波数で振動させることで、被走査面の有効走査領域を2次元走査することができる。すなわち、第1軸周りに対応する走査方向である主走査方向に高速で往復走査させつつ第2軸周りに対応する走査方向である副走査方向に低速で片道走査させることで、上記走査領域をラスタスキャンすることができる(図4参照)。
ここでは、有効走査領域は、第1軸周りに対応する走査方向である主走査方向(X軸方向)を長手方向とし、第2軸周りに対応する走査方向である副走査方向(Z軸方向)を短手方向とする略矩形状とされている。
以上のように構成されるプロジェクタ装置1000の動作を簡単に説明する。先ず、例えばパソコン等の上位装置からの画像情報が画像処理部200に入力され、該画像処理部200で所定の処理が施され、LD制御部60に送られる。
LD制御部60は、画像処理部200からの画像情報に基づいて強度変調した駆動信号(パルス信号)を生成して駆動電流に変換し、コントローラ40からの同期信号に基づいて、各レーザダイオードの発光タイミングを決定し、該発光タイミングで駆動電流を供給して該レーザダイオードを駆動する。
光偏向器20は、コントローラ40からの駆動信号に基づいてミラー110を駆動し、光源装置5からのレーザ光(射出光)の一部を被走査面の有効走査領域に向けて偏向するとともに、射出光の他の一部を反射膜120に向けて偏向する。
この結果、レーザ光により有効走査領域が互いに直交する2軸方向(ここでは、Z軸方向及びX軸方向)に2次元走査され、被走査面上に2次元のフルカラー画像が形成される。
光検出器30は、反射膜120で反射されたレーザ光を受光し、受光信号(検出信号)をコントローラ40に出力する。
コントローラ40は、光検出器30からの出力信号に基づいて、ミラー駆動信号を補正し、補正後のミラー駆動信号を光偏向器20に出力する。
ここで、光走査装置100を用いて例えばスクリーンSに画像を表示する場合、コントローラ40からのミラー駆動信号に応じてミラー110は周期的に振動する。スクリーンS上に画像を表示する場合、その画像位置やサイズは一定に保たれるのが望ましい。しかしながら、コントローラ40から一定条件の駆動信号を与えていても、環境温度変化や経時変化によって画像位置やサイズは変動する。これは、環境温度変化や経時変化によって、ミラー駆動信号に対するミラーの位相差やミラー駆動信号に対するミラー110の振れ角の感度が変化するためである。
そこで、本実施形態では、光検出器30を用いて、光偏向器20及びLD制御部60を制御している。
光検出器30は、光偏向器20で偏向され反射膜120で反射されたレーザ光を検出し、検出信号をコントローラ40に出力する。コントローラ40は、光検出器30からの検出信号に基づいてレーザ光の走査位置や走査幅を演算し、LD制御部60に出力する。LD制御部60は、コントローラ40からの演算結果に基づいて、実際のミラー位相と同期したタイミングで、各LDの発光タイミングを制御する。また、コントローラ40は、光検出器30からの検出信号に基づいて走査幅を一定に保つようにミラー110への駆動信号を制御する。
前述したように、プロジェクタ装置1000は、レーザ光により被走査面をX軸方向、Z軸方向に2次元走査する(図4参照)。具体的には、X軸方向には相対的に高速で正弦波駆動を行い、Z軸方向には相対的に低速で鋸波及び逆鋸波による等速駆動を行う。
図4における最も外側の矩形枠内に、射出光をパッケージ70a内に入射させ、光偏向器20で偏向されたレーザ光をパッケージ70a外に出射させるための、カバーガラス70bの有効領域301(ここではパッケージ70aとの接合部を除く領域)がある。さらに、カバーガラス70bには、有効領域301内に光走査装置100による光走査用領域302があり、該光走査用領域302内に、画像形成領域(有効走査領域)に向かうレーザ光が入射する領域である画像形成用領域303がある。
反射膜120は、少なくとも一部が、画像形成用領域303外であって光走査用領域302内に配置されている。
光偏向器20で反射膜120に向けて偏向されたレーザ光が、反射膜120で反射され、光検出器30で受光される。光検出器30の受光信号の有無、タイミングにより、実際に光走査を行っている走査角度、入力信号(ミラー駆動信号)に対する位相差などを知ることができる。このようにしてミラーの正確な振れ角、位相を把握することで、画像形成領域に、画像情報に応じた精密で一定の画像を形成することが可能になる。
ここで、図4において、カバーガラス70bの符号306で示される領域は、射出光が入射される入射領域である。ここでは、射出光は、該射出光の光路と偏向されたレーザ光の光路とが交錯しないように、パッケージ70aの内部底面に対して傾斜した状態でカバーガラス70bに入射される(図2参照)。図4では、カバーガラス70bの、射出光が入射される入射領域が−Z側にあり、偏向されたレーザ光を出射する出射領域が+Z側にある。
図5には、Z軸方向の光走査位置の時間変化と、反射膜120における光検出器30への反射領域、すなわち反射膜120における光検出器30で受光されるレーザ光を反射する領域(以下では、有効反射領域とも称する)の反射膜120に対するZ軸方向の位置関係とが示されている。
図5では、鋸波での光走査が示されており、被走査面の+Z側の端から−Z側の端に向けて等速で光走査されている。ここで、Z軸方向の光走査範囲に対し、Z軸方向の画像形成範囲は、Z軸方向の両端が除かれている。
ところで、光検出器30が光偏向器20で偏向されたレーザ光を受光するためには、光偏向器20による偏向方向(反射方向)が画像形成領域外に向いている場合にもLDを点灯させておく必要がある。画像形成領域内外でLDを常時点灯させていれば、光偏向器20で偏向されたレーザ光を反射膜120で確実に受光することはできる。
しかしながら、光走査領域内かつ画像形成用領域外でLDを点灯させると、カバーガラス70bにおける反射膜120が設けられていない領域をレーザ光が透過し、該レーザ光の光路に遮光材などを設けない限り、画像形成領域外での点灯となって表示されてしまう。すなわち、不要な像が表示されてしまう。
また、カバーガラス70bにおける反射膜120が設けられていない領域と反射膜120との境界でレーザ光の散乱が生じ、画像形成領域への迷光となって画像品質に悪影響を及ぼす。さらに、散乱光が光検出器30に入射されると、検出精度の低下を招く。
そこで、反射膜120の有効反射領域を、一例として、反射膜120のZ軸方向の中間部、すなわちZ軸方向のエッジ以外の領域(部分)に設定することが好ましい。この場合、反射膜120におけるZ軸方向の中間部で反射されたレーザ光は光検出器30に入射し、反射膜120におけるZ軸方向のエッジで反射されたレーザ光は光検出器30には入射しない。この結果、反射膜120のZ軸方向のエッジでの迷光を防止できる。
また、反射膜120の有効反射領域を、一例として、反射膜120のX軸方向の中間部、すなわちX軸方向のエッジ以外の領域(部分)に設定することが好ましい。この場合、反射膜120におけるX軸方向の中間部で反射されたレーザ光は光検出器30に入射し、反射膜120におけるX軸方向のエッジで反射されたレーザ光は光検出器30には入射しない。この結果、反射膜120のX軸方向のエッジでの迷光を防止できる。
図6には、反射膜120の有効反射領域の他の例が示されている。ここでは、有効反射領域は、反射膜120の中央部、すなわち周辺部以外の領域(部分)とされている。この場合、反射膜120の中央部で反射されたレーザ光は光検出器30に入射し、有効反射領域の周辺部の外縁(エッジ)で反射されたレーザ光は光検出器30には入射しない。この結果、反射膜120のX軸方向のエッジ及びZ軸方向のエッジでの迷光を防止することができる。
なお、光検出器30の位置及び受光面の大きさと、反射膜120の位置及び有効反射領域の大きさとは、光検出器30が有効反射領域で反射されたレーザ光のみを受光するように設定されている。
ここで、光検出器30を用いた2次元画像の表示処理の一例について説明する。先ず、各LDを点灯し、第1軸及び第2軸周りに独立に揺動するミラー110の振れ角を制御して、反射膜120にレーザ光が入射されるまで走査角を広げていく。
そして、光検出器30が反射膜120で反射されたレーザ光を受光したとき、各LDの発光タイミングを制御して、光検出器30に受光用画像を描画する。
ここでの受光用画像は、規定サイズで描画されるが、この規定サイズは、環境温度変化や経時変化により、光偏向器20、反射膜120及び光検出器30の位置関係がずれても、光検出器30が確実に受光できるように変動分を考慮した大きめのサイズとされている。そして、反射膜120の大きさは、該規定サイズ以上に設定される。
すなわち、反射膜120の中央部である有効反射領域を含み、かつ反射膜120の外縁を除く部分である拡張反射領域に受光用画像が描画されるため、環境温度変化や経時変化があっても、有効反射領域に受光用画像の一部を確実に描画することができる。
この結果、光検出器30は、環境温度変化や経時変化によらず、受光タイミングを安定して正確に把握でき、ひいてはミラー110を安定して精度良く制御することができる。
以上説明した本実施形態の光走査装置100は、レーザ光により被走査面を走査する光走査装置であり、レーザ光を射出する光源装置5と、該光源装置5からのレーザ光を偏向する光偏向器20を含み、該光偏向器20で偏向された一部のレーザ光を被走査面に導く走査光学系と、光偏向器20で偏向された他の一部のレーザ光を検出する光検出器30と、を備え、光偏向器20及び光検出器30は、同一の保持体により保持されている。
この場合、簡易な構成により光偏向器20及び光検出器30を互いに近接して配置できる。
この結果、構成の煩雑化を招くことなく小型化を実現できる。
また、光偏向器20及び光検出器30は、同一の保持体により保持されるため、両者の位置決めを容易に精度良く行うことができる。
一方、特開2003−057577号公報では、以下のような方法により光走査装置の小型化を実現している。ここでは、MEMSミラーを有する2軸のスキャナとして、MEMSミラーの両面を反射面とする光アクチュエータを採用し、表面(一側の反射面)に光ビーム発生装置からの光ビームを入射させ有効走査範囲を走査する一方、裏面(他側の反射面)に発光素子からの光ビームを入射させ、受光素子からの出力信号に基づいて光ビーム発生装置を制御し、光ビームの出射、停止タイミングを制御している。
しかしながら、光ビーム発生装置及び発光素子を必要とするため、装置構成が複雑になり、組み付け・調整にも手間が掛かり、コストアップを招く。また、MEMSミラーの両面を反射面とする必要があるため、製造プロセス的にも工程が増え、MEMSミラーの剛性を確保することも困難となる。なお、通常、MEMSミラーでは、変形を防止するために補強用として裏面にリブが形成される。
さらに、光走査装置100では、光検出器30からの検出結果に基づいて光源装置5及び光偏向器20を制御することで、被走査面を安定して精度良く走査できる。
また、光偏向器20及び光検出器30をユニット化(保持体70を介して一体化)できるため、両者が別体の場合に比べ、組み付けが容易である。この結果、製造コストの低減を図ることができる。
また、光偏向器20及び光検出器30は、保持体70に形成された密閉された内部空間に収容されているため、両者の動作信頼性を格段に向上でき、ひいては被走査面を安定して精度良く走査することができる。
また、保持体70は、光偏向器20及び光検出器30が実装されるパッケージ70aと、光源装置5と光偏向器20との間のレーザ光の光路上に位置するようにパッケージ70aに設けられたカバーガラス70bとを含む。この場合、光偏向器20をパッケージ70aに実装する工程(例えば半導体製造工程に準ずるプロセス)、光検出器30をパッケージ70aに実装する工程(例えば半導体製造工程)、パッケージ70aとカバーガラス70bとを接合する工程(例えば封止工程)を含む一連の工程で光デバイス10を製造できる。
また、光検出器30は、パッケージ70aに実装され、カバーガラス70bには、前記偏光された他の一部のレーザ光を光検出器30に向けて反射させる反射膜120が設けられているため、光検出器30でレーザ光を確実に受光できる。
また、前記偏向された他の一部のレーザ光を、反射膜120のエッジ以外の部分に入射されるため、反射膜120のエッジでの迷光を防止できる。
また、プロジェクタ装置1000は、光走査装置100を備えているため、低コストで小型化を図りつつ高品質な画像を安定して表示できる。
なお、図7に示される変形例1では、一例として、反射膜220が、光走査用領域802内であって画像形成用領域803外の領域、すなわち光走査用領域802における画像形成用領域803の+Z側に位置する帯状領域を含むX軸方向を長手方向とする細長い矩形状に形成されている(図7の黒塗り部分)。
光検出器30は、反射膜220で反射されるレーザ光の光路上に配置される。
変形例1での利点は、受光用画像の点灯タイミングの調整において、相対的に高速に走査されるX軸方向への光走査に関しては、厳密に調整する必要がなくなる点である。すなわち、X軸方向への少なくとも1ラインの走査時には、反射膜220からのレーザ光が光検出器30から外れることがないので、比較的幅を持って受光用画像を設定することが可能になり、環境温度の変化及び経時変化に対する許容度が上がることになる。
また、図8に示される変形例2では、カバーガラス70bの内側の面における画像形成用領域903及び射出光が入射される入射領域906の双方以外の略全領域に、反射膜320が形成されている。光検出器30は、反射膜320で反射されたレーザ光の光路上に配置されている。
変形例2での利点は、画像形成用のレーザ光(走査光)以外の余計なレーザ光が有効走査領域に入射するのを防止できる点である。
また、変形例2では、入射領域906は、射出光の断面の大きさ及び形状に応じた大きさ及び形状に形成されている。
例えば、入射領域906を、射出光を整形する(ビーム径を制限する)アパーチャとして機能させることで、射出光をミラー110にのみ入射させることが可能である。射出光のビームプロファイルが理想的なメインローブ光以外のサイドローブ光を含んでいる場合、射出光を整形してサイドローブ光を遮光しないと、光偏向器20におけるミラー110以外の部分にもレーザ光が入射され、散乱光が生じる。この散乱光は、迷光を発生させ、該迷光が被走査面に入射すると、画像品質が低下してしまう。
なお、サイドローブ光が反射膜320で反射し、光源装置5や画像形成領域に入射するのを防止するため、カバーガラス70bの外側の面における少なくとも入射領域906の周辺部分にレーザ光を吸収する吸収膜を設けることが好ましい。この場合、LDへの戻り光による該LDの出力変動や画像形成領域における不要な像の発生を防止できる。
また、反射膜320は、カバーガラス70bの内側の面における画像形成用領域903の周辺部にも形成されているため、上記散乱光が発生しても、迷光をある程度遮光でき、LDの出力変動や画像形成領域における不要な像の発生を抑制できる。
結果として、変形例2では、光デバイスから画像形成領域以外に向けてレーザ光が出射されることが防止されるため、画像品質の低下を防止することができる。
図9には、変形例3の光デバイス300が示されている。
変形例3の光デバイス300では、カバーガラス70bをパッケージ70aの内部底面に対して角度θだけ傾斜させている。
角度θは、射出光のうちカバーガラス70bの外側の面及び内側の面からのレーザ光の反射方向が画像形成領域から外れた方向となるように設定されている。角度θは、例えば5°〜65°が好ましく、ここでは15°とされている。この結果、射出光のうちカバーガラス70bで反射されたレーザ光が画像形成領域に入射するのを防止でき、ひいては画像品質の低下を防止できる。
なお、カバーガラス70bの両面に反射防止膜が形成されている場合でも、製造上、0コンマ数パーセントの反射は発生してしまう。この場合、射出光の反射防止膜で反射したレーザ光の輝度(光量)は、光偏向器20で偏向されたレーザ光の輝度に比べて相対的に大きくなるおそれがある。そこで、上述の如く、カバーガラス70bを傾斜させることが有効である。
変形例3でも、反射膜120は、光偏向器20で偏向されたレーザ光の光路上に配置され、光検出器30は、反射膜120で反射されたレーザ光の光路上に配置されている。ここでは、カバーガラス70bとパッケージ70aとは、軸に関して非対称な筒状のスペーサを介して接合されている。
なお、カバーガラスに設けられる反射部は、カバーガラスにおける射出光の入射領域及び画像形成用領域の双方以外の少なくとも一部に設けられれば良い。例えば、カバーガラスにおける画像形成用領域の+X側の領域、−X側の領域、+Z側の領域、−Z側の領域の少なくとも1つに設けられれば良い。これら4つの領域のうち少なくとも2つの領域に反射部が設ける場合、互いに一体に設けても良いし、別体に設けても良い。また、各領域に設けられる反射部の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。
また、上記実施形態及び各変形例では、カバーガラス70bに反射部としての反射膜が形成されているが、これに限らず、例えば、カバーガラス70bの外側の面及び内側の面の少なくとも一方に鏡面加工を施しても良いし、反射ミラー(反射鏡)を取り付けても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光偏向器20及び光検出器30は、保持体70の内部空間に収容されているが、これに限らず、要は、同一の保持体に保持されていれば良い。例えば、光検出器30は、保持体70の内部空間に収容されていなくても良い。具体的には、光検出器30は、カバーガラス70bの外側の面における光偏向器20で偏向されたレーザ光の光路上の領域に取り付けられても良い。この場合、反射部(例えば反射膜)は不要である。
また、上記実施形態及び各変形例では、光検出器30は、パッケージ70aに実装されているが、これに代えて、例えばカバーガラス70bの内側の面における光偏向器20で偏向されたレーザ光の光路上の領域に取り付けられても良い。この場合、反射部(例えば反射膜)は不要である。
また、保持体に内部空間が形成されていなくても良い。例えば、保持体は、パッケージ70aのみで構成されても良いし、基板で構成されても良い。
また、保持体の内部空間は、密閉されていなくても良い。すなわち、保持体の内部空間は、外部と連通していても良い。
また、保持体は、少なくとも1つの部材で構成されていれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、保持体70の密閉された内部空間は、不活性ガスが充填され又は真空にされているが、これに限られない。例えば空気が入っていても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光透過窓部材として、カバーガラスが用いられているが、これに限らず、要は、レーザ光の少なくとも一部を透過させる部材であれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光走査装置の光源として、LD(レーザダイオード)、すなわち端面発光レーザを用いているが、これに限らず、例えばVCSEL(面発光レーザ)等の他のレーザを用いても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、プロジェクタ装置1000は、画像処理部200を有しているが、必ずしも有していなくても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光検出器30は、パッケージ70aの内部底面に実装されているが、これに代えて、例えばパッケージ70aの内壁面に実装しても良い。
また、パッケージ70aの構成は、適宜変更可能である。例えば内部底面の段部の数を1段又は3段以上としても良い。また、内部底面に段部を形成しなくても良い。すなわち、内部底面をフラットにしても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、射出光を被走査面に導く走査光学系が光偏向器20で構成されているが、これに限られない。例えば、光源装置5と光偏向器20との間のレーザ光の光路上、及び光偏向器20と被走査面との間のレーザ光の光路上の少なくとも一方に、例えば平面鏡、凹面鏡等の反射鏡を設けても良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、光検出器30での検出結果に基づいて、光源装置5及び光偏向器20を制御しているが、これに限らず、要は、光源装置5及び光偏向器20の少なくとも一方を制御することとすれば良い。また、光検出器30を用いて偏向されたレーザ光の光量をモニタし、該光量に基づいて光源装置5を制御(APC制御)しても良い。
また、光源装置5の構成は、適宜変更可能である。例えば光源としてのレーザは、少なくとも1つ設けられれば良い。また、例えばダイクロイックミラーに代えてプリズムを用いても良い。また、コリメートレンズを設けなくても良い。なお、光源が1つの場合は、ダイクロイックミラーやプリズムは、必須ではない。
また、上記実施形態及び各変形例では、RGBの3色に対応する3つのLDを使用し、2次元走査することによるカラー画像を表示する例を説明したが、本発明は、例えばLDを1つとすることでモノクロの画像を表示する例にも適用可能である。
また、上記実施形態及び各変形例では、光走査装置として、被走査面を2次元走査するものが採用されているが、例えば被走査面を1次元走査するものを採用しても良い。この場合、1次元的に偏向する光偏向器として、例えばMEMSミラーを含む1次元スキャナ、ポリゴンミラー、ガルバノミラー等を用いることができる。
また、光走査装置は、例えばポリゴンミラー、ガルバノミラー等の1次元的に偏向する光偏向器を複数組み合わせて、被走査面を2次元走査するようにしても良い。この場合、複数の光偏向器のうち少なくとも1つと光検出器とを同一の保持体に保持させることとすれば良い。
また、上記実施形態及び各変形例では、被走査面としてのスクリーンSの表面を走査する光走査装置について説明したが、本発明は、これに限らず、例えば、像担持体(例えば感光体ドラム)を光走査する光走査装置にも適用可能である。この光走査装置は、像担持体にトナー像を形成し、該トナー像を現像した画像を記録媒体に転写して表示する例えばプリンタ、複写機、光プロッタ等の画像表示装置に用いることができる。
また、上記実施形態及び各変形例では、画像表示装置として、被走査面としてのスクリーン表面に画像を表示するプロジェクタ装置1000について説明したが、これに限らず、拡散板やマイクロレンズアレイの表面を被走査面とし、該被走査面に形成された画像の虚像を半透過部材を介して視認可能にするヘッドアップディスプレイ装置へ適用することもできる。この場合も、プロジェクタ装置1000と同様の効果が得られる。
図10には、一例として、マイクロレンズアレイ表面を被走査面とするヘッドアップディスプレイ装置2000が示されている。ヘッドアップディスプレイ装置2000は、例えば車両、航空機、船舶等の移動体に搭載される。
詳述すると、ヘッドアップディスプレイ装置2000は、一例として図10に示されるように、光デバイス10の光偏向器で偏向されたレーザ光の光路上に配置された、2次元配列された複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイと、該マイクロレンズアレイを介したレーザ光の光路上に配置された半透過部材(例えばコンバイナ)と、を備えている。この場合、光偏向器20による第1軸及び第2軸周りのレーザ光の偏向動作に伴い該レーザ光によりマイクロレンズアレイの表面(被走査面)が2次元走査され、該被走査面に画像が形成される。そして、マイクロレンズアレイを介したレーザ光が半透過部材に入射し、該半透明部材で反射されたレーザ光が観察者の目に到達する。この結果、観察者は、半透過部材を介して被走査面に形成された画像の虚像を視認することができる。この際、マイクロレンズアレイによってレーザ光が拡散されるため、所謂スペックルノイズを低減することができる。
なお、マイクロレンズアレイに代えて、マイクロレンズアレイ以外の光透過部材(例えば透過スクリーン)を用いても良い。また、例えばマイクロレンズアレイ、透過スクリーン等の光透過部材と半透過部材との間の光路上に例えば凹面鏡、平面鏡等のミラーを設けても良い。また、半透過部材を例えば移動体の窓ガラスで代用しても良い。
結果として、ヘッドアップディスプレイ装置を備え、前記虚像を視認する操縦者により操縦される移動体を提供できる。
また、ヘッドアップディスプレイ装置2000と同様の構成を有する、ヘッドマウントディスプレイ装置、プロンプタ(原稿表示装置)等の虚像を視認することを目的とした画像表示装置、及び該画像表示装置を備える移動体を提供することもできる。