JP6273883B2 - ポリアミド樹脂 - Google Patents
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1. ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物を含み、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを含む、ポリアミド樹脂。
2. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融解熱量が32J/g以上である、上記1に記載のポリアミド樹脂。
3. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化熱量が35J/g以上である、上記1又は2に記載のポリアミド樹脂。
4. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点が200℃以上である、上記1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
5. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点との温度差が24℃を超える、上記1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
6. 1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が、10:90〜80:20である、上記1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
(式中、Rは、単結合又は2価の有機基である)で表されるジカルボン酸成分由来の単位と、下記式(2):
(式中、R′は、2価の有機基である)で表されるジアミン成分由来の単位とが、アミド結合を形成して結合したポリマーである。
本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分として蓚酸化合物を含む。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として、下記式(1′)
で表される蓚酸化合物由来の単位を含む。したがって、蓚酸化合物としては、ジアミン成分のアミノ基とアミド結合を形成し、かつ上記式(1′)で表される単位を誘導しうる化合物であればよく、蓚酸若しくはその塩、蓚酸モノエステル若しくはその塩、又は蓚酸ジエステル等を挙げることができる。重縮合反応における副反応を抑制する観点から、蓚酸ジエステル、例えば、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジ(n若しくはiso)プロピル、蓚酸ジ(n、iso、sec若しくはtert)ブチル、蓚酸ジヘキシル等のアルキル基が炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の炭化水素基である蓚酸ジアルキルエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等のシクロアルキル基が炭素数3〜6の環状の炭化水素基である蓚酸ジシクロアルキルエステル、蓚酸ジフェニル等の蓚酸ジアリールエステル等が好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルがより好ましく、蓚酸ジブチルが最も好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分として1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを含む。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位[上記式(2)において、R′が、ペンタメチレンであるもの]及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位[上記式(2)において、R′が、2−メチル−ペンタメチレンであるもの]を含む。高い結晶性と共に、成形性に優れ、かつ低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性及びエタノールバリア性等にも優れたポリアミド樹脂を得るために、1,5−ペンタンジアミン由来の単位と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位のモル比が、5:95〜90:10であることが好ましく、10:90〜80:20であることがより好ましく、15:85〜80:20であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は、溶融成形後の成形物が脆くなり物性が低下する傾向を避けることと、溶融成形時の溶融粘度が高くなり成形加工性が悪くなる傾向を避ける観点から、ポリアミド樹脂の濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが、好ましくは1.5〜6.0であり、より好ましくは1.6〜4.5であり、さらに好ましくは1.8〜3.5であり、さらに好ましくは1.8〜3.0であるようにすることができる。例えば、後述するポリアミド樹脂の後重縮合工程での溶融重合において、減圧度を上げることで、相対粘度ηrを増大することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、蓚酸化合物由来の単位と、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位とを含むことにより、その各種の熱特性及び吸水性を所望の範囲とすることができる。
本発明のポリアミド樹脂は、高い結晶性を有しながらも、従来のポリオキサミド樹脂とは異なり、溶融成形性を損なうことがない。より優れた溶融成形性を有する観点から、本発明のポリアミド樹脂の結晶化温度Tcと融点Tmとの温度差は、好ましくは24℃以上、より好ましくは24℃超、さらに好ましくは30℃以上であるようにすることができる。
本発明のポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂を製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができるが、高分子量化および生産性の観点から、好ましくは、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることができる。
具体的には、前重縮合工程と後重縮合工程からなる(i)二段重合法もしくは、(ii)加圧重合法によって得ることができる。具体的には、以下の操作で示されるような(i)もしくは(ii)の重合法で合成を行うことが好ましい。
まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン成分(1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンジアミン)及びジカルボン酸成分(蓚酸化合物)を混合する。混合する場合にジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒、2,2,2−トリフルオロエタノール等のハロゲン化アルコール系溶媒を挙げることができ、好ましい溶媒としては、トルエンを挙げることができる。例えば、ジアミン成分を溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対してジカルボン酸成分を加える。
さらに高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち好ましくは80〜150℃から、最終的に、好ましくは215〜350℃、より好ましくは225〜350℃、さらに好ましくは230〜345℃、さらに好ましくは230〜340℃の温度範囲にまで到達させ、昇温時間を含めて好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa〜13.3Paである。
まずジアミン成分を耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま蓚酸化合物を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。反応温度は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応によって生じるポリアミドが、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、本発明の1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンと蓚酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記反応温度は、150〜250℃が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、蓚酸化合物以外の他のジカルボン酸成分由来の単位を含んでもよい。したがって、本発明のポリアミド樹脂の製造において、ジカルボン酸成分として、蓚酸化合物に加えて、他のジカルボン酸を併用してもよい。そのような他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を、蓚酸化合物に加えて、重縮合反応時に添加することもできる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を成形が可能な範囲内で用いることもできる。
本発明のポリアミド樹脂の成形方法としては、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸等の従来のポリアミドに適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によってフィルム、シート、成形品、繊維等に加工することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例中の相対粘度、融点、融解熱量、結晶化温度、結晶化熱量、及び飽和吸水率の測定、並びに耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性の評価は以下の方法により行った。
ηrは、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリアミド樹脂の96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を使用して、オストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリアミド樹脂のTm及びTcは、30℃から310℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、310℃で3分保持したのち、30℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に310℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。
得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度Tcとし、その発熱ピーク面積から結晶化熱量ΔHcを算出し、絶対値として表記した。さらに昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点Tmとし、その吸熱ピーク面積から融解熱量ΔHmを算出した。
実施例1〜4及び比較例1〜7のポリアミド樹脂に対し、東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて以下の方法でフィルム成形を行った。
各実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂を、500〜700Paの減圧雰囲気下260〜310℃で3分間加熱溶融させた後、10MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻した後、室温、5MPaで3分間冷却結晶化させてフィルム(厚さ:0.25mm)を得た。ここで、フィルムが得られたサンプルの成形性を可と評価し、熱分解が起こりフィルム状の成形品が得られなかったサンプルの成形性を不可と評価した。
実施例1〜4及び比較例5〜7のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの重量を測定した。フィルム重量の増加率が0.2%の範囲で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの重量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの重量(Yg)から下記式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
実施例2、及び比較例5〜7のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、各薬品(濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、5%過マンガン酸カリウム水溶液、及びベンジルアルコール)中に7日間浸漬した後に、フィルムの重量残存率(%)及び外観の変化を観測した。
なお、濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、及び5%過マンガン酸カリウム水溶液については、23℃で、ベンジルアルコールについては、50℃で浸漬した。
実施例2及び比較例5、6のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、オートクレーブに入れ、水、0.5mol/l硫酸、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液中でそれぞれ121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)及び外観変化を観測した。
実施例2及び比較例5、6のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:直径60mm、厚さ:0.13mm)に対し、GTRテック社製の差圧式ガス・蒸気・液体透過率測定装置(GTR-30XAUB)を用いて、60℃でフィルムとエタノールの蒸気を接触させ、フィルムを透過するエタノール量を測定し、透過するエタノール量が定常に達した点での透過係数を求め、エタノールバリア性を評価した。
(i)前重縮合工程:撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、原料投入口を備えた内容積が1Lのセパラブルフラスコの内部を純度が99.9999%の窒素ガスで置換し、脱水済みトルエン700ml、1,5−ペンタンジアミン40.9g(0.400モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン11.6g(0.0998モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して50℃に昇温した後、蓚酸ジブチル101g(0.499モル)を仕込んだ。次にオイルバスの温度を130℃まで昇温し、還流下、5時間反応を行った。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は50ml/分の窒素気流下で行った。
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、1,5−ペンタンジアミン256g(2.51モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン292g(2.51モル)を仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出し、封圧下、系内を昇温した。20分間かけて内部温度を190℃にした後、蓚酸ジブチル1015g(5.02モル)を原料フィードポンプにより流速65ml/分で反応容器内に注入した。全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.65MPaGまで上昇し、内部温度は197℃まで上昇した。
注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、2時間かけて内部温度を270℃まで昇温させた。内部温度が270℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを20分間かけて抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、1時間かけて内部温度を280℃まで昇温し、280℃において1時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、ポリアミド樹脂を圧力容器下部より抜き出した。抜き出したポリアミド樹脂は、直ちに水で冷却し回収した。
前重縮合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン120ml、1,5−ペンタンジアミン2.05g(0.0201モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン9.33g(0.0803モル)、蓚酸ジブチル20.3g(0.100モル)を仕込み、後重縮合工程において250℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
1,5−ペンタンジアミン51.3g(0.502モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン525g(4.52モル)、蓚酸ジブチル1019g(5.04モル)を用い、0.50MPaG下で240℃まで昇温させ、窒素気流下で250℃まで昇温させた以外は実施例2と同様に行ってポリアミド樹脂を得た。
前重縮合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,6−ヘキサンジアミン5.39g(0.0464モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン5.39g(0.0464モル)、蓚酸ジブチル18.8g(0.0928モル)を仕込み、後重縮合工程において285℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
1,6−ヘキサンジアミン117g(1.01モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン469g(4.04モル)、蓚酸ジブチル1021g(5.05モル)を用い、0.50MPaG下で230℃まで昇温させ、窒素気流下で240℃まで昇温させた以外は実施例2と同様に行ってポリアミド樹脂を得た。
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン11.5g(0.0990モル)、蓚酸ジブチル20.0g(0.0989モル)を仕込み、後重縮合工程において230℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,5−ペンタンジアミン10.3g(0.101モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重縮合工程において310℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。得られた生成物は黄色の脆いポリマーであり、プレス成形は不可能であった。
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,9−ノナンジアミン13.6g(0.086モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.4g(0.015モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重縮合工程において270℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性を評価した。
本発明のポリアミド樹脂に替えて、ナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン 1015B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン6のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性を評価した。
本発明のポリアミド樹脂に替えて、ナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン 2020B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン66のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性を評価した。
Claims (6)
- ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物を含み、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン含む、ポリアミド樹脂。
- 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融解熱量が32J/g以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂。
- 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化熱量が35J/g以上である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂。
- 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点が200℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
- 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点との温度差が24℃を超える、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
- 1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が、10:90〜80:20である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
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