JP6273883B2 - ポリアミド樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なポリアミド樹脂に関する。
ナイロン6、ナイロン66等に代表される結晶性ポリアミド樹脂は、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用繊維、あるいは汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用いられているが、一方では吸水による物性変化等の問題点も指摘されており、より寸法安定性に優れたポリアミド樹脂への要求が高まっている。
一方、ジカルボン酸成分として蓚酸化合物を用いるポリアミド樹脂はポリオキサミド樹脂と呼ばれ、同じアミノ基濃度の他のポリアミド樹脂と比較して融点が高いこと、吸水率が低いことが知られ(特許文献1)、吸水による物性変化が問題となっていた従来のポリアミドが使用困難な分野での活用が期待される。
これまでに、ジアミン成分として種々の脂肪族直鎖ジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が提案されている。例えば、非特許文献1には、ジアミン成分として1,6−ヘキサンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。非特許文献2には、ジアミン成分が1,9−ノナンジアミンであるポリオキサミド樹脂(以下、PA92ともいう)が開示されている。非特許文献3には、ジアミン成分が1,4−ブタンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献2には、ジアミン成分として炭素数2〜20のジアミンと、ジカルボン酸エステルとして蓚酸ジブチルを用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献3には、ジアミン成分として1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンの2種のジアミンを特定の比率で用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。特許文献4には、種々ジアミン成分と、蓚酸を用いたポリオキサミド樹脂が開示されている。
また特許文献5には、ジアミン成分として、1,6−ヘキサンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを用いたポリオキサミド樹脂が示されている。これらポリオキサミド樹脂は、融点が最大で326℃であり、高耐熱性で溶融成形性に優れることが述べられている。
さらにポリアミド樹脂は、自動車の燃料周辺部材としても広く利用されている。近年、ガソリンにバイオエタノールを混合したアルコール混合燃料の利用が進んでおり、燃料タンクや燃料チューブにはアルコールバリア性が求められている。しかし、ナイロン6等のポリアミド樹脂のアルコールバリア性は不十分である。これに対し特許文献6にはポリオキサミドを用いたエタノールバリア性材料が開示されているが、バリア性は十分ではない。
特開2006−57033号公報 特表平5−506466号公報 WO2008/072754公報 米国特許第2130948号 WO2011/136263公報 特開2009−298860号公報
S. W. Shalaby, J. Polym. Sci., 11, 1 (1973) L. Franco et al., Macromolecules, 31, 3912 (1998) R. J. Gaymans et al., J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed., 22, 1373 (1984)
一般的に、結晶性が高い樹脂は結晶化熱量が高く、力学物性や耐熱性が高い。そのためポリアミド樹脂においても、高温条件下、高負荷条件下で使用する部材に対しては、高い結晶性が求められている。原料に蓚酸化合物を用いるポリアミド樹脂の場合、結晶性が高い(即ち、結晶化熱量が高い)が、成形性が劣る、あるいは逆に、結晶性が低い(即ち、結晶化熱量が低い)が、成形性は優れることが多く、高い結晶性を有し、成形性が優れる原料に蓚酸化合物を用いるポリアミド樹脂はこれまで見られなかった。
本発明が解決しようとする課題は、従来のポリアミド樹脂と比較して、高い結晶性を有し、成形性に優れたポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ジカルボン酸成分として蓚酸化合物を用い、ジアミン成分として1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを用いることで、高い結晶性を有し、成形性に優れるポリアミド樹脂が得られることを見いだした。また、従来のポリアミド樹脂と比較して、本発明のポリアミド樹脂は、低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性及びエタノールバリア性等に優れる。本発明は以下のとおりである:
1. ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物を含み、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを含む、ポリアミド樹脂。
2. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融解熱量が32J/g以上である、上記1に記載のポリアミド樹脂。
3. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化熱量が35J/g以上である、上記1又は2に記載のポリアミド樹脂。
4. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点が200℃以上である、上記1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
5. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点との温度差が24℃を超える、上記1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
6. 1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が、10:90〜80:20である、上記1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
本発明のポリアミド樹脂は、結晶性が高く、成形性に優れるものである。また、低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性及びエタノールバリア性等にも優れており、産業資材、工業材料、家庭用品等の成形材料として広範に使用することができる。特に、本発明のポリアミド樹脂は、自動車の燃料周辺部材(燃料チューブ、燃料タンク等)としての利用が期待できる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物を含み、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを含むことを特徴とする。一般に、ポリアミド樹脂は、下記式(1):
Figure 0006273883

(式中、Rは、単結合又は2価の有機基である)で表されるジカルボン酸成分由来の単位と、下記式(2):
Figure 0006273883

(式中、R′は、2価の有機基である)で表されるジアミン成分由来の単位とが、アミド結合を形成して結合したポリマーである。
[ジカルボン酸成分]
本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分として蓚酸化合物を含む。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分由来の単位として、下記式(1′)
Figure 0006273883

で表される蓚酸化合物由来の単位を含む。したがって、蓚酸化合物としては、ジアミン成分のアミノ基とアミド結合を形成し、かつ上記式(1′)で表される単位を誘導しうる化合物であればよく、蓚酸若しくはその塩、蓚酸モノエステル若しくはその塩、又は蓚酸ジエステル等を挙げることができる。重縮合反応における副反応を抑制する観点から、蓚酸ジエステル、例えば、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジ(n若しくはiso)プロピル、蓚酸ジ(n、iso、sec若しくはtert)ブチル、蓚酸ジヘキシル等のアルキル基が炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の炭化水素基である蓚酸ジアルキルエステル、蓚酸ジシクロヘキシル等のシクロアルキル基が炭素数3〜6の環状の炭化水素基である蓚酸ジシクロアルキルエステル、蓚酸ジフェニル等の蓚酸ジアリールエステル等が好ましく、その中でも蓚酸ジブチル及び蓚酸ジフェニルがより好ましく、蓚酸ジブチルが最も好ましい。
[ジアミン成分]
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分として1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンを含む。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分由来の単位として、1,5−ペンタンジアミン由来の単位[上記式(2)において、R′が、ペンタメチレンであるもの]及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位[上記式(2)において、R′が、2−メチル−ペンタメチレンであるもの]を含む。高い結晶性と共に、成形性に優れ、かつ低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性及びエタノールバリア性等にも優れたポリアミド樹脂を得るために、1,5−ペンタンジアミン由来の単位と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位のモル比が、5:95〜90:10であることが好ましく、10:90〜80:20であることがより好ましく、15:85〜80:20であることがさらに好ましい。
[ポリアミド樹脂の相対粘度ηr]
本発明のポリアミド樹脂は、溶融成形後の成形物が脆くなり物性が低下する傾向を避けることと、溶融成形時の溶融粘度が高くなり成形加工性が悪くなる傾向を避ける観点から、ポリアミド樹脂の濃度が1.0g/dlの96%濃硫酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度ηrが、好ましくは1.5〜6.0であり、より好ましくは1.6〜4.5であり、さらに好ましくは1.8〜3.5であり、さらに好ましくは1.8〜3.0であるようにすることができる。例えば、後述するポリアミド樹脂の後重縮合工程での溶融重合において、減圧度を上げることで、相対粘度ηrを増大することができる。
[ポリアミド樹脂の熱特性及び低吸水性]
本発明のポリアミド樹脂は、蓚酸化合物由来の単位と、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位とを含むことにより、その各種の熱特性及び吸水性を所望の範囲とすることができる。
本発明のポリアミド樹脂の融点Tmは、好ましくは200℃以上、より好ましくは200〜300℃の範囲にすることができる。このような融点を有することにより、高い耐熱性を有し、後述するポリアミド樹脂の溶融重合において、熱分解が起こり高分子量化を阻害するような過度の高温条件にする必要がないため、高分子量化(相対粘度を増加させること)が可能となる。なお、本発明のポリアミド樹脂の融点Tmは、別に記載のない限り、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける吸熱ピーク温度を意味する。
また、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける吸熱ピーク面積から算出される融解熱量ΔHmが、より高い結晶性を有する観点から、好ましくは30J/g以上であり、より好ましくは32J/g以上であり、さらに好ましくは35J/g以上であり、さらに好ましくは40J/g以上であり、特に好ましくは50J/g以上であるようにすることができる。本発明のポリアミド樹脂は、高い結晶性と優れた耐熱性を有するので、成形品の力学物性や耐熱性も優れる。
本発明のポリアミド樹脂の結晶化温度Tcは、優れた溶融成形性と高い結晶性を両立する観点から、270℃以下が好ましく、170〜270℃の範囲がより好ましく、180〜260℃の範囲がさらに好ましい。なお、本発明のポリアミド樹脂の結晶化温度Tcは、別に記載のない限り、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける発熱ピーク温度を意味する。
本発明のポリアミド樹脂は、高い結晶性を有しながらも、従来のポリオキサミド樹脂とは異なり、溶融成形性を損なうことがない。より優れた溶融成形性を有する観点から、本発明のポリアミド樹脂の結晶化温度Tcと融点Tmとの温度差は、好ましくは24℃以上、より好ましくは24℃超、さらに好ましくは30℃以上であるようにすることができる。
また、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定したDSCチャートにおける発熱ピーク面積から算出される本発明のポリアミド樹脂の結晶化熱量ΔHcの絶対値は、高い結晶性を有する観点から、好ましくは30J/g以上であり、より好ましくは35J/g以上であり、特に好ましくは40J/g以上であるようにすることができる。本発明のポリアミド樹脂は、高い結晶性と優れた耐熱性を有するので、成形品の力学物性や耐熱性も優れる。
本発明のポリアミド樹脂の飽和吸水率は、吸水による物性の変化や寸法の変化等を低減する観点から、好ましくは3.5以下、より好ましくは1.0〜3.0の範囲、さらに好ましくは1.5〜2.5の範囲である。本発明のポリアミド樹脂は、前述したように高い結晶性と成形性を有しながらも、従来のポリオキサミド樹脂に見られる低吸水性を損なうことがない。なお、本発明のポリアミド樹脂の飽和吸水率の測定は、別に記載のない限り、後述する実施例に記載の測定法によるものである。
[ポリアミド樹脂の製造]
本発明のポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂を製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができるが、高分子量化および生産性の観点から、好ましくは、ジアミン及び蓚酸ジエステルをバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることができる。
具体的には、前重縮合工程と後重縮合工程からなる(i)二段重合法もしくは、(ii)加圧重合法によって得ることができる。具体的には、以下の操作で示されるような(i)もしくは(ii)の重合法で合成を行うことが好ましい。
(i)二段重合法:前重縮合工程
まず反応器内を窒素置換した後、ジアミン成分(1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンジアミン)及びジカルボン酸成分(蓚酸化合物)を混合する。混合する場合にジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン成分及びジカルボン酸成分が共に可溶な溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒、2,2,2−トリフルオロエタノール等のハロゲン化アルコール系溶媒を挙げることができ、好ましい溶媒としては、トルエンを挙げることができる。例えば、ジアミン成分を溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対してジカルボン酸成分を加える。
二段重合法における、ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比は、高分子量化の観点から、ジカルボン酸成分/ジアミン成分で、0.8〜1.5(モル比)であるのが好ましく、0.91〜1.1(モル比)であるのがより好ましく、0.99〜1.01(モル比)であるのがさらに好ましい。
また、ジアミン成分である、1,5−ペンタンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの仕込み比(モル比)は、本発明のポリアミド樹脂における、1,5−ペンタンジアミン由来の単位と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位のモル比を意味する。したがって、かかるモル比が所望の範囲となるよう、1,5−ペンタンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの仕込み比もまた、5:95〜90:10(モル比)であることが好ましく、10:90〜80:20(モル比)であることがより好ましく、15:85〜80:20で(モル比)あることがさらに好ましい。
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間である。
(i)二段重合法:後重縮合工程
さらに高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち好ましくは80〜150℃から、最終的に、好ましくは215〜350℃、より好ましくは225〜350℃、さらに好ましくは230〜345℃、さらに好ましくは230〜340℃の温度範囲にまで到達させ、昇温時間を含めて好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa〜13.3Paである。
(ii)加圧重合法
まずジアミン成分を耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま蓚酸化合物を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。反応温度は、ジアミン成分とジカルボン酸成分の反応によって生じるポリアミドが、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない温度であれば特に制限されない。例えば、本発明の1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンと蓚酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、上記反応温度は、150〜250℃が好ましい。
加圧重合法における、ジカルボン酸成分とジアミン成分の仕込み比は、高分子量化の観点から、ジカルボン酸成分/ジアミン成分で、0.8〜1.5(モル比)であるのが好ましく、0.91〜1.1(モル比)であるのがより好ましく、0.99〜1.01(モル比)であるのがさらに好ましい。
また、ジアミン成分である、1,5−ペンタンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの仕込み比(モル比)は、本発明のポリアミド樹脂における、1,5−ペンタンジアミン由来の単位と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位のモル比を意味する。したがって、かかるモル比が所望の範囲となるよう、1,5−ペンタンジアミンと2−メチル−1,5−ペンタンジアミンの仕込み比もまた、5:95〜90:10(モル比)であることが好ましく、10:90〜80:20(モル比)であることがより好ましく、15:85〜80:20で(モル比)あることがさらに好ましい。
このように仕込んだ耐圧容器内を封圧状態に保ちながらポリアミド樹脂の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、本発明の1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンと蓚酸ジブチルを原料とするポリオキサミド樹脂の場合、融点は200〜300℃であることから、220℃〜340℃、好ましくは230℃〜330℃、更に好ましくは240℃〜325℃に昇温する。所定温度に到達するまでの耐圧容器内の圧力は、およそ生成するアルコールの飽和蒸気圧から0.1MPaG以上、好ましくは0.2MPaG〜1MPaGに調整する。所定温度に到達後は、生成したアルコールを留去しながら放圧し、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPa〜13.3Paである。
[任意成分]
本発明のポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、蓚酸化合物以外の他のジカルボン酸成分由来の単位を含んでもよい。したがって、本発明のポリアミド樹脂の製造において、ジカルボン酸成分として、蓚酸化合物に加えて、他のジカルボン酸を併用してもよい。そのような他のジカルボン酸成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を、蓚酸化合物に加えて、重縮合反応時に添加することもできる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を成形が可能な範囲内で用いることもできる。
他のジカルボン酸成分を使用する場合、その割合は、蓚酸化合物に対して、25モル%以下であり、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、0モル%(即ち、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物のみからなること)が特に好ましい。なお、蓚酸化合物に対する他のジカルボン酸成分のモル比は、ポリアミド樹脂中の、蓚酸化合物由来の単位と他のジカルボン酸成分由来の単位のモル比も意味する。
同様に、本発明のポリアミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン以外の他のジアミン成分由来の単位を含んでもよい。したがって、本発明のポリアミド樹脂の製造において、ジアミン成分として、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンに加えて、他のジアミンを併用してもよい。そのような他のジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等を挙げることができ、これらの一種又は二種以上を、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンに加えて、重縮合反応時に添加することもできる。
他のジアミン成分を使用する場合、その割合は、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンに対して25モル%以下であり、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましく、0モル%(即ち、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのみからなること)がさらに好ましい。なお、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンに対する他のジアミン成分のモル比は、ポリアミド樹脂中の、1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン由来の単位と他のジアミン成分由来の単位のモル比も意味する。
本発明のポリアミド樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリオキサミドや、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド等ポリアミド類を混合することが可能である。
本発明のポリアミド樹脂には、さらに、ポリアミド以外の熱可塑性ポリマー、エラストマー、フィラーや、補強繊維、各種添加剤を同様に配合することができる。
さらに、本発明のポリアミド樹脂には、必要に応じて、銅化合物等の安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、ガラス繊維、可塑剤、潤滑剤等を重縮合反応時、またはその後に添加することもできる。
[成形及び成形品]
本発明のポリアミド樹脂の成形方法としては、射出、押出、中空、プレス、ロール、発泡、真空・圧空、延伸等の従来のポリアミドに適用できる公知の成形加工法はすべて可能であり、これらの成形法によってフィルム、シート、成形品、繊維等に加工することができる。
本発明のポリアミド樹脂の成形物は、従来のポリアミド樹脂の成形物が用いられてきた各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品等広範な用途に使用できる。また、自動車の燃料周辺部材(燃料チューブ、燃料タンク等)としての利用が期待できる。
[物性測定、成形、評価方法]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、実施例中の相対粘度、融点、融解熱量、結晶化温度、結晶化熱量、及び飽和吸水率の測定、並びに耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性の評価は以下の方法により行った。
(1)相対粘度ηr
ηrは、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリアミド樹脂の96%硫酸溶液(濃度:1.0g/dl)を使用して、オストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)融点Tm、融解熱量ΔHm、結晶化温度Tc及び結晶化熱量ΔHc
Tm及びTcは、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたポリアミド樹脂のTm及びTcは、30℃から310℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、310℃で3分保持したのち、30℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に310℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。
得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度Tcとし、その発熱ピーク面積から結晶化熱量ΔHcを算出し、絶対値として表記した。さらに昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点Tmとし、その吸熱ピーク面積から融解熱量ΔHmを算出した。
(3)フィルム成形
実施例1〜4及び比較例1〜7のポリアミド樹脂に対し、東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて以下の方法でフィルム成形を行った。
各実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂を、500〜700Paの減圧雰囲気下260〜310℃で3分間加熱溶融させた後、10MPaで1分間プレスを行いフィルム成形した。次に減圧雰囲気を常圧まで戻した後、室温、5MPaで3分間冷却結晶化させてフィルム(厚さ:0.25mm)を得た。ここで、フィルムが得られたサンプルの成形性を可と評価し、熱分解が起こりフィルム状の成形品が得られなかったサンプルの成形性を不可と評価した。
(4)飽和吸水率
実施例1〜4及び比較例5〜7のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、23℃のイオン交換水に浸漬し、所定時間ごとにフィルムを取り出し、フィルムの重量を測定した。フィルム重量の増加率が0.2%の範囲で3回続いた場合にポリアミド樹脂フィルムへの水分の吸収が飽和に達したと判断して、水に浸漬する前のフィルムの重量(Xg)と飽和に達した時のフィルムの重量(Yg)から下記式(1)により飽和吸水率(%)を算出した。
Figure 0006273883
(5)耐薬品性
実施例2、及び比較例5〜7のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、各薬品(濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、5%過マンガン酸カリウム水溶液、及びベンジルアルコール)中に7日間浸漬した後に、フィルムの重量残存率(%)及び外観の変化を観測した。
なお、濃塩酸、64%硫酸、30%水酸化ナトリウム水溶液、及び5%過マンガン酸カリウム水溶液については、23℃で、ベンジルアルコールについては、50℃で浸漬した。
(6)耐加水分解性
実施例2及び比較例5、6のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:20mm×10mm、厚さ:0.25mm;重量:約0.05g)を、オートクレーブに入れ、水、0.5mol/l硫酸、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液中でそれぞれ121℃、60分間処理した後の重量残存率(%)及び外観変化を観測した。
(7)エタノールバリア性
実施例2及び比較例5、6のポリアミド樹脂を上記(3)の条件で成形したフィルム(寸法:直径60mm、厚さ:0.13mm)に対し、GTRテック社製の差圧式ガス・蒸気・液体透過率測定装置(GTR-30XAUB)を用いて、60℃でフィルムとエタノールの蒸気を接触させ、フィルムを透過するエタノール量を測定し、透過するエタノール量が定常に達した点での透過係数を求め、エタノールバリア性を評価した。
[実施例1]
(i)前重縮合工程:撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、原料投入口を備えた内容積が1Lのセパラブルフラスコの内部を純度が99.9999%の窒素ガスで置換し、脱水済みトルエン700ml、1,5−ペンタンジアミン40.9g(0.400モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン11.6g(0.0998モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して50℃に昇温した後、蓚酸ジブチル101g(0.499モル)を仕込んだ。次にオイルバスの温度を130℃まで昇温し、還流下、5時間反応を行った。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は50ml/分の窒素気流下で行った。
(ii)後重縮合工程:上記操作によって得られた前重合物を撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込み、反応管内を13.3Pa以下の減圧下に保ち、次に常圧まで窒素ガスを導入する操作を5回繰り返した後、50ml/分の窒素気流下305℃に保った塩浴に移し、容器内を約66.5Paまで減圧し4時間反応させた。続いて常圧まで窒素ガスを導入したのち、塩浴から取り出し50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却してポリアミド樹脂を得た。
[実施例2]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、1,5−ペンタンジアミン256g(2.51モル)と2−メチル−1,5−ペンタンジアミン292g(2.51モル)を仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出し、封圧下、系内を昇温した。20分間かけて内部温度を190℃にした後、蓚酸ジブチル1015g(5.02モル)を原料フィードポンプにより流速65ml/分で反応容器内に注入した。全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.65MPaGまで上昇し、内部温度は197℃まで上昇した。
注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、2時間かけて内部温度を270℃まで昇温させた。内部温度が270℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを20分間かけて抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、1時間かけて内部温度を280℃まで昇温し、280℃において1時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、ポリアミド樹脂を圧力容器下部より抜き出した。抜き出したポリアミド樹脂は、直ちに水で冷却し回収した。
[実施例3]
前重縮合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン120ml、1,5−ペンタンジアミン2.05g(0.0201モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン9.33g(0.0803モル)、蓚酸ジブチル20.3g(0.100モル)を仕込み、後重縮合工程において250℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
[実施例4]
1,5−ペンタンジアミン51.3g(0.502モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン525g(4.52モル)、蓚酸ジブチル1019g(5.04モル)を用い、0.50MPaG下で240℃まで昇温させ、窒素気流下で250℃まで昇温させた以外は実施例2と同様に行ってポリアミド樹脂を得た。
[比較例1]
前重縮合工程において容積が300mlのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,6−ヘキサンジアミン5.39g(0.0464モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン5.39g(0.0464モル)、蓚酸ジブチル18.8g(0.0928モル)を仕込み、後重縮合工程において285℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
[比較例2]
1,6−ヘキサンジアミン117g(1.01モル)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン469g(4.04モル)、蓚酸ジブチル1021g(5.05モル)を用い、0.50MPaG下で230℃まで昇温させ、窒素気流下で240℃まで昇温させた以外は実施例2と同様に行ってポリアミド樹脂を得た。
[比較例3]
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン11.5g(0.0990モル)、蓚酸ジブチル20.0g(0.0989モル)を仕込み、後重縮合工程において230℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。
[比較例4]
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,5−ペンタンジアミン10.3g(0.101モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重縮合工程において310℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。得られた生成物は黄色の脆いポリマーであり、プレス成形は不可能であった。
[比較例5]
前重縮合工程において容積が300mLのセパラブルフラスコを使用し、脱水済みトルエン150ml、1,9−ノナンジアミン13.6g(0.086モル)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン2.4g(0.015モル)、蓚酸ジブチル20.4g(0.101モル)を仕込み、後重縮合工程において270℃で4時間反応させたほかは、実施例1と同様に反応を行ってポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性を評価した。
[比較例6]
本発明のポリアミド樹脂に替えて、ナイロン6(宇部興産製、UBEナイロン 1015B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン6のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性を評価した。
[比較例7]
本発明のポリアミド樹脂に替えて、ナイロン66(宇部興産製、UBEナイロン 2020B)を用いて、上記(3)の条件でフィルム(厚さ:0.25mm)を成形した。得られたナイロン66のフィルムは無色透明の強靭なフィルムであった。このフィルムの飽和吸水率、耐薬品性を評価した。
実施例1〜4及び比較例1〜4により得られたポリアミド樹脂のジアミン組成、相対粘度ηr、融点Tm、融解熱量ΔHm、結晶化温度Tc及び結晶化熱量ΔHcの測定の結果、並びに温度差(Tm−Tc)及び成形性の評価の結果を表1に示す。また実施例1〜4及び比較例5〜7のポリアミド樹脂より得られたフィルムの飽和吸水率の測定の結果、並びに耐薬品性、耐加水分解性、及びエタノールバリア性の評価の結果を表2に示す。
Figure 0006273883
Figure 0006273883
表1より、本発明のポリアミド樹脂(実施例1〜4)が、高い結晶化熱量ΔHcを有しながらも、従来のポリオキサミド樹脂(比較例1〜4)と同等の耐熱性(融点Tm)及び成形性(温度差(Tm−Tc)及び成形性)を確保するものであることがわかる。
さらに表2より、本発明のポリアミド樹脂により得られる成形品(フィルム)が、従来品よりも優れた低吸水性と共に、優れた耐薬品性、耐加水分解性及びエタノールバリア性を有するものであることがわかる。
本発明のポリアミド樹脂は、高い結晶化熱量、即ち、高い結晶性を有すると共に、低吸水性、耐薬品性、耐加水分解性、エタノールバリア性等に優れ、成形加工性に優れたポリオキサミド樹脂である。よって産業資材、工業材料、家庭用品等の成形材料として好適に使用することができる。例えば、各種成形品、シート、フィルム、パイプ、チューブ、モノフィラメント、繊維、容器等として自動車部材、コンピューター及び関連機器、光学機器部材、電気・電子機器、情報・通信機器、精密機器、土木・建築用品、医療用品、家庭用品等広範な用途に使用できる。また本発明のポリアミド樹脂は、自動車の燃料周辺部材(燃料チューブ、燃料タンク等)としての利用が期待できる。

Claims (6)

  1. ジカルボン酸成分由来の単位と、ジアミン成分由来の単位とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分が蓚酸化合物を含み、ジアミン成分が1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミン含む、ポリアミド樹脂。
  2. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融解熱量が32J/g以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂。
  3. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化熱量が35J/g以上である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂。
  4. 窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点が200℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  5. 窒素雰囲気下、10℃/分の降温速度で示差走査熱量法により測定した結晶化温度と、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で示差走査熱量法により測定した融点との温度差が24℃を超える、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  6. 1,5−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンのモル比が、10:90〜80:20である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
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