JP6268886B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、液体や粉流体、固液混合体など流動性を有する内容物を密封包装する包装袋、や蓋材などに用いられる積層体に関する。
近年、ヨーグルト、ケチャップ、マヨネーズ等の食品類を包装袋に充填密封、容器に充填して蓋材で密封し、使用時にそれらの食品が包装袋、容器、蓋材に付着せず、内容物の残渣が少ない、または注ぎやすい、或いは開封時の内容物飛散が少ない包装材料の検討が試みられている。
このような付着防止機能を付与した包装袋は、撥水層や撥油層を包材の内容物側の最内層面に施している。
特開2002−37310 特開2011―93315
包装材料に充填した内容物の粘度が高く、内容物が包装材料に付着しやすい成分であった場合、内容物の一部が包装材料内部に残存してしまい、内容物を全て使いきれないなどの問題がある。
これらの問題については、内容物が包装袋内側の素材に対して付着しやすい成分であることが主な原因であることが多いため、包装袋の形状等に関する工夫をもって改善することは困難である。
特許文献1には、ヒートシール層が、付着防止効果を有する非イオン界面活性剤又は疎水性添加物の少なくとも1種を含むポリオレフィンの包装材料が記載されているが、この包装材料では非付着性が不十分であり、特に油成分が多い内容物に対しては非付着性、すなわち撥油性が不十分で包装材料内部に内容物が残存してしまう問題を改善しうるものではない。
また、ヒートシール性を阻害するため、シール条件を高温にするなど過酷な条件にせざるを得ず、包装材料が収縮するなどの問題が発生する。
特許文献2には、ヒートシール層に相当する熱可塑性樹脂層の表面に疎水性酸化物微粒子を付着して非付着性を付与しているが、疎水性酸化物微粒子をヒートシール面に固着させる具体的な方法が提示されておらず、この構成では疎水性酸化物微粒子が脱落し、内容物など食品内部に入り込む衛生上の問題がある。
また、疎水性酸化物微粒子を使用しているため、特許文献1と同様に特に油成分が多い内容物に対しては非付着性、すなわち撥油性が不十分で包装材料内部に内容物が残存してしまう問題を改善しうるものではない。
また、ヒートシール部は疎水酸化物微粒子がヒートシール層内に埋め込まれるため、ヒ
ートシール層内の凝集力が弱まりヒートシール強度が劣化する問題がある。
また、0.5〜100μmの充填粒子をヒートシール層に含有させ、凹凸構造を付与することで点接触となることで疎水性酸化物微粒子の脱落を少なくしているが、充填粒子がヒートシール層に含有されていることからシール時の熱などによりヒートシール層が溶融するため、同時に充填粒子が移動、または脱落して内容物など食品内部に入り込む衛生上の問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、油成分を含む内容物が包装袋内部に付着・残留することがなく、シール強度の劣化のない撥油性機能を持つ包装材料を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、順に、基材、熱硬化性樹脂からなるアンカーコート層、ヒートシール層、撥油層からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなることを特徴とする積層体である。
請求項2に記載の発明は、順に、基材、アンカーコート層、ヒートシール層、撥油層からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなり、前記アンカーコート層が平均粒子径1〜100μmの組成粒子と熱硬化性樹脂からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなることを特徴とする積層体である。
請求項3に記載の発明は、前記組成粒子がフッ素樹脂、シリコーン、シリカ、金属酸化物、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂の少なくとも1つを含んで形成されていることを特徴とする請求項2記載の積層体である。
請求項に記載の発明は、前記撥油層は、前記無機酸化物粒子と無機バインダーとを混合した成分を含み、その無機バインダーは、M(OR)n(M=金属元素)で表される金属アルコキシド、前記金属アルコキシドの加水分解物、若しくはそれらの複合物のいずれかを少なくとも含有することを特徴とする請求項1記載の積層体である。
請求項1に記載の積層体によれば、撥油層が親水性無機微粒子からなるため、油成分を含んだ内容物の非付着性が得られる。
請求項2に記載の積層体によれば、アンカーコート層に1〜100μmの大きな平均粒径を持つ組成粒子を含有させることにより、撥油層表面にフラクタル構造のような凹凸形状を持たせることができる。表面がこのような凹凸形状を持つ場合、液滴のはじき性がより効果的に高めることが可能となる。
尚、フラクタル構造とは、ある有限の平面・立体形状に対して、その表面に微細な凹凸形状が刻まれることにより、その表面の円周の長さや表面積が無限となる、理論上の表面形状である。
本願の場合はその表面の円周の長さや表面積が無限となるものではなくとも、液滴のはじき性がより効果的に高めることが可能となる水準であれば十分である。
更には、平均粒径1〜100μmの粒子をアンカーコート層に含まれて凹凸構造を有しているため、ヒートシール部分で組成粒子がヒートシール対象物に刺さり込み、投錨効果を付与できるためヒートシール強度が劣化することはない。
また、積層体に使われるアンカーコート層が熱硬化性樹脂バインダーを使用するため、ヒートシール時の熱を受けてもアンカーコート層は溶融しないため、平均粒径1〜100μmの粒子はアンカーコート層内にしっかり留まり、脱落することはない。
請求項3に記載の積層体によれば、積層体に使われるアンカーコート層に含まれる粒子がフッ素樹脂、シリコーン、シリカ、金属酸化物、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂の少なくとも1つを含んでいることから、ヒートシール対象物の軟化点より高いものを選定することができ、組成粒子がヒートシール対象物に刺さり込み、投錨効果を付与できるためヒートシール強度が劣化することはない
請求項に記載の積層体によれば、積層体に使われる撥油層に、無機酸化物粒子と無機バインダーとを含有させることで、無機酸化物粒子同士の凝集性が向上するため、当該撥油層内の無機酸化物粒子等が脱落し撥油層が崩壊することが無く、良好な撥油性と、ヒートシール層との密着性を両立させることができる。
本発明の第一の実施形態にかかる積層体の層構成の断面図である。 本発明の第二の実施形態にかかる積層体の層構成の断面図である。 図2の積層体の一実施形態を示す断面図である。
本発明の積層体の代表的な実施形態の一例について、以下必要に応じて図面を参照しながら説明する。
本発明の包装材料に充填する内容物としては特に限定されないが、例えば、プリン、高脂質タイプのヨーグルト、ミルク等の食品類、またはマヨネーズ、ラー油、ドレッシングなどの調味料、香辛料などに対して好適に用いることができる。
本発明の積層体は、基材、アンカーコート層、ヒートシール層、撥油層を含む撥油性を有する積層体から形成される。
本発明の包装材料における、撥油性を有する積層体の層構成について図1に示した。図1に示すように、少なくとも基材10、アンカーコート層20、ヒートシール層30、撥油層40がこの順序で積層され、且つ撥水層40が包装材料内側の最表面に設けられていれば良く、例えば、層間を貼り合せるために接着剤等をいずれかの層の間に挿入したり、若しくは包装材料となる基材層側の表面に、印刷層や別の撥水層等を更に積層することを妨げるものではない。
本発明の包装袋の形成に用いられる積層体の基材10としては、強度等の要求品質と加工適正を具備していれば良く、例えば、紙、プラスチックフィルム、アルミ箔等が使用できる。紙は、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙などが使用できる。プラスチックフィルムは、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、セロハンなどの延伸・非延伸フィルムが使用できる。また、バリア性等を要求される場合は、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、無機酸化物蒸着フィルムなどのバリア性基材を使用できる。また、これらの紙、プラスチックフィルム等を接着剤層等を介して積層して使用しても構わない。
アンカーコート層は、ヒートシール層のアンカーコート機能するものであり、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。また、1液硬化型でもイソシアネートなどの硬化剤と反応する2液硬化型でも構わない。
また、図2の様にアンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの組成粒子を含む場合、熱硬化性樹脂とすることで、充填工程のシール加工など過熱工程でも粒子がしっかりとアンカーコート層に固着され、包装材料の製造工程や、内容物の充填工程の機械上でも組成粒子が脱落することを抑えられる。
アンカーコート層に含まれる組成粒子の材料としては、フッ素樹脂、シリコーン、シリカや、アルミナ、マグネシアなどの金属酸化物、ナイロン、PE、ポリスチレン(PS)、PP、ポリエステル、アクリル樹脂のプラスチック等を用いることができる。また、これらの材料から複数種類が選択され、異なる材料からなる複数の粒子が混合されて用いられてもよい。
フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、EFEPなどが良い。
シリコーンは球状シリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した粉末、または、ジメチルポリシロキサンを架橋した構造を持つシリコーンゴムの粉末、または(RSiO3/2)nで表される架橋構造を持つポリオルガノシルセスキオキサン硬化物の粉末が良い。
アクリル粒子はポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチル、架橋ポリアクリル酸エステルであることが好ましい。
アンカーコート層に含まれる組成粒子は、充填時のシール条件、ヒートシール対象物となる容器の材質によって、選定することが望ましい。特にシールにより組成粒子がヒートシール対象物へ刺さりこむためには、ヒートシール温度よりも軟化点が高く、ヒートシール対象物の軟化点よりも高いことが好ましい。
アンカーコート層に含まれる組成粒子のサイズとしては、平均粒子径が1マイクロメートル(μm)以上100μm以下であることが良く、10μm以上50μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmより小さいと、凹凸層の表面に十分な大きさ凹凸を付与することが困難となる。また、平均粒子径が100μmより大きいと、高密度で凹凸を付与させることが困難になり、撥油機能を向上させることができない上に、大きく突出した組成粒子が、摩擦などの外部応力によって脱落しやすくなる。
アンカーコート層中の熱硬化性樹脂分の厚みは0.1μm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。0.1μm以下だと基材との密着性、及びヒートシール層との密着性が損なわれる恐れがある。
アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの粒子を含む場合は、5μm以上だと凹凸を形成する組成粒子を埋めてしまい、十分な凹凸構造によ
る撥油機能がそこなわれる恐れがある。
アンカーコート層の組成粒子が凹凸構造を効果的に有するためには、アンカーコート層のバインダー樹脂分の厚み、ヒートシール層の厚み、撥油層の厚みの合計に対して、粒子の平均粒径がそれより大きくなれば良く、好ましくはアンカーコート層のバインダー樹脂分の厚み、ヒートシール層の厚み、撥油層の厚みの合計に対して1.5倍以上の平均粒子径であることが好ましい。
また、撥油層表面の表面粗さRz(JIS B0601 1994年)が5μm以上の凹凸を有するようにすることで、より撥水効果が安定的に発揮される。
アンカーコート層の形成方法については特に制限はないが、アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの組成粒子を含む場合は、例えば、熱硬化性樹脂に組成粒子を混合した材料を基材上に塗布し、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることにより形成することができる。熱硬化性樹脂の量と混合粒子の径との関係によっては、組成粒子の一部が熱硬化性樹脂から露出することもあるが、いずれの混合粒子も基材側の下方は、熱硬化性樹脂に支持されて、基材上に十分な強度をもって保持される。
なお、本発明において、平均粒子径は個々の組成粒子を球状粒子に換算した平均径を指しコールター法もしくはレーザー散乱法により測定されるものと定義する。また、JIS
B0601の内容は、年によって若干異なるため、本発明では1994年のものに従う。
ヒートシール層としては、ヒートシールニスやホットメルト剤が好ましく、使用される形態、被着体の材質、充填条件、シール強度や開封強度の要求品質などによって適宜選択することができる。溶剤に溶解してコーティングするヒートシールニスを用いる場合は、成分としてポリアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、スチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合及びそれらの混合材料を用いる。
ホットメルトを用いる場合は、ポリアクリレート樹脂、EVA樹脂、塩酢ビ樹脂、エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン等が使用できる。尚、変性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィンであれば、より高い接着性が得られるため好ましく、ポリオレフィンはポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。
また、熱接着性ポリオレフィン樹脂を用いても良く、その場合は、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン―メタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、エチレン―アクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン―酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂(IO)、エチレン―メチルアクリレート共重合樹脂(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、エチレン―ブチルアクリレート共重合樹脂(EBA)等、及びそれらの混合成分を使用できる。
ヒートシール層の厚みは0.1μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。0.1μm以下だと十分なシール強度が得られない。また、50μm以上だと熱硬化性樹脂と粒子からなるアンカーコート層が構成する凹凸構造を埋めてしまい、十分な凹凸構造による撥油機能が再現できなくなってしまう。
撥油層は、親水性の表面を持つ無機酸化物粒子であり、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタンなどの各種無機酸化物を用いることができる。中でも、無機バインダーとの密着性を上げるためにはシリカが好ましく、燃焼法、アーク法などの乾式製法や沈殿法、ゲル法などの湿式製法から得られる合成シリカ、または天然シリカでも構わない。
無機酸化物粒子は表面に疎水化処理が施されない。無機酸化物粒子の平均粒子径は、5ナノメートル(nm)以上10μm以下であれば表面により均一に分布しやすく好ましい。平均粒子径のバラツキには特に制限はないが、大小様々な径の粒子が存在することで、フラクタル構造を形成しやすい。
アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの組成粒子を含む場合は、アンカーコート層の組成粒子よりも小さくすることが望ましい。平均粒径は、無機酸化物粒子が凝集した状態の粒径を言い、コールター法、動的散乱、レーザー散乱法にて測定できる。
撥油層は、無機酸化粒子と無機バインダーとを含んで構成されていると無機酸化粒子は撥油層内でより強固に固着され、物理的な接触に対する耐摩耗性が向上する。
無機バインダーとしては、金属アルコキシドを用いるのが好ましい。金属アルコキシドとは、テトラエチルオルソシリケート(Si(OC)(TEOS)、トリイソプロピルアルミニウム(Al(OC)、など一般式M(OR)n(ただし、MはSi,Ti,Al,Zrなどの金属、RはCH,CなどのC2m+1(m=1〜3)で表されるアルキル基、nは1から4の自然数)で表せるものである。その中でもMがSi,Al、Tiである金属アルコキシドの特性が優れている。これ以外に、無機バインダー層の凝集力、無機バインダー層と隣接する層との密着性を高めるために、無機バインダー層内にシランカップリング剤を入れたり、また、無機バインダーの反応をコントロールするために触媒などを使用しても構わない。シランカップリング剤の官能基としてビニル、エポキシ、スチリル、メタクリル、アクリル、アミノ、ウレイド、メルカプト、スルフィド、イソシアネートのうちのいずれか1つを持つものが好ましい。
撥油層は、金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドとシランカップリング剤の混合物を直接あるいはあらかじめ加水分解反応させたものを疎水性粒子と混合して複合物溶液を作成し、この複合物溶液を用いて熱可塑性樹脂層上にコーティングを施すことにより形成できる。コーティングを施す際の塗布方法は、ロールコート、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、キスリバースコート、ダイコート、ドクターブレードコート、刷毛塗り、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等公知の各種方法を適宜選択して用いることができる。
複合物溶液における撥油性粒子と無機バインダーに含まれる金属酸化物との重量比率は、5:95〜95:5であることが好ましい。親水性粒子の重量比が5%より低いと、親水性表面が最表層を覆う面積が小さくなり、十分な撥油性能が出せない。また、95%以上だと親水性粒子がバインダーと結合することなく最表面に出てくるために、摩擦や振動などの外部応力によって疎水性粒子が脱落し、撥油性能が損なわれやすい。
撥油層の膜厚は0.1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。0.1μm以下だと撥油性粒子が最表面に現れる量が少なくなり、撥油性が低下する。また、10ミクロン以上だと撥油層が厚くなりすぎて熱シール時にシール阻害を起こしやすく、十分に密閉ができない。また、アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの粒子を含む場合は、撥油層が厚すぎるとアンカーコート層によってもたらされる凹凸を相殺してしまい、十分な撥油機能を発現できない場合がある。
撥油層は、積層体の平面視(厚さ方向に見た状態)において、ヒートシール層の30%以上、より好ましくは70%以上を覆うように設けられるのが好ましい。被覆面積比が30%未満だと、内容物が撥油表面と接触する面積が大きくなり、十分な撥油性能を発揮することができない。また、容器本体に対して熱シールにより接着する等により、内容物と接触しないことが予め明らかである部位等には撥油層が設けられなくてもよい。
以上説明したように、本実施形態の積層体によれば、内容物に対向する基材の一方の面(以下、「対向面」と称することがある。)にアンカーコート層が設けられ、さらにアンカーコート層上にヒートシール層および撥油層が設けられているため、撥油効果が得られる。
また、アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの粒子を含む場合は、撥油層の親水性微粒子による撥油効果に加えて、凹凸構造による撥油効果とがあいまって、さらに高い撥油性を実現することができる。
また、アンカーコート層に凹凸構造を形成させるための平均粒子径1〜100μmの組成粒子を含む場合、粒子はアンカーコート層中の熱硬化性樹脂により基材に支持されているため、積層体に対してヒートシール処理が行われてヒートシール層が軟化したときも、ヒートシール層内で厚さ方向に移動することは殆どない。したがって、組成粒子が熱可塑性樹脂に埋もれて相対的に大きい凹凸が損なわれたり、組成粒子が蓋材から脱落したりする等の不具合の発生を好適に抑制して、ヒートシール処理の前後においても安定した撥水性能を発揮することができる。さらに、ヒートシール処理以外の、例えば搬送等の各種工程において外部から作用する応力等に対しても、組成粒子の脱落を好適に防止することができる。
さらに、組成粒子が熱硬化性樹脂により支持されているため、アンカーコート層上にヒートシール層を形成する際、粒子と熱可塑性樹脂の比重の値が近似している場合等でも、粒子がヒートシール層の上方に移動して組成粒子の一部がヒートシール層から露出することがない。したがって、撥油層は、必ず、ヒートシール層と接触するため、確実にヒートシール層と接合され、撥油層の親水性粒子が脱落しにくい構成とすることができる。
図3に示すように、積層体50を蓋材として使用する場合、ヒートシールにより容器本体60に対して接合し、容器本体の内部空間を密閉すると、本発明の包装容器が完成する。容器本体の材質には特に制限はなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのプラスチック容器や、紙やプラスチックフィルムを貼り合せた複合容器等を用いることができる。また、積層体においてヒートシールされる部位に、撥油層が存在していても問題ない。この場合は、ヒートシール工程において、容器本体と接合される部位の撥油層はヒートシール時のシールバーなどによりに亀裂が生じ、当該亀裂からヒートシール層の一部、または容器本体の樹脂の一部が亀裂部を通り積層体と容器本体とが接合される。
また、図3に示すように、アンカーコート層に施された組成粒子がヒートシールにより容器に刺さりこみ、投錨効果による物理的なシール性も発現するため、ヒートシール性に問題はない。
本発明の積層体について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。なお、以下の各実施例は、あくまでも本発明の構成の例示であり、これにより本発明の技術的範囲は何ら限定されるものではない。
<実施例1>
基材層として25μmのポリエチレンテレフタレート(以下PET)にアルミニウム箔7μm(以下AL箔)のをドライラミネート法で貼り合せた。
AL箔面に、グラビア法により、酢酸エチルに溶解した2液硬化型のポリエステル系樹脂の主剤とイソシアネート硬化剤からなる熱硬化性樹脂コート剤を塗布し、乾燥後の厚みが2μmのアンカーコート層を得た。
アンカーコート層上にグラビアコートによってアクリル系のヒートシール性の熱可塑性樹脂を、乾燥後の厚み2μm塗布し、ヒートシール層を形成した。
次に、グラビア法により、乾式法によって製造された表面未処理の平均粒子径20nmシリカ粒子(ヒュームドシリカ)をエタノールに分散したコート剤を乾燥後の厚み0.5μmの撥油層を形成して実施例1の積層体を得た。
得られた積層体に対して、以下の試験を行い、その性能を評価した。
a.撥油性試験
(A)積層体の撥油層面に、5マイクロリットルのオレイン酸を静置して接触角を測定し、下記の基準にて評価した。
接触角 110°< : ○
接触角 90〜110° : △
接触角 <90° : ×
以上。
(B)積層体の撥油層面に、5マイクロリットルのオレイン酸を静置して、積層体を徐々に傾けてオレイン酸が動き出す角度(転落角)を測定し、下記の基準にて評価した。
転落角 10°> : ○
転落角 10〜30° : △
転落角 30°< : ×
以上。
b.ヒートシール性
(A)積層体の撥水層面とポリプロピレンシートを200℃、0.2MPa、1.5秒の条件でヒートシールを行い、引張試験法により15mm幅の試験片のヒートシール強度を測定し、下記の基準で評価。
10N< : ○
5〜10N : △
<5N : ×
以上。
(B)上記(A)の条件でヒートシールを行い、積層体とポリプロピレンがヒートシールされている断面を出し、光学顕微鏡で50〜100倍の倍率にて、アンカーコート層中の粒子が容器の刺さり込んでいるのか目視で確認。
刺さり込んでいる : ○
刺さり込んでいない : ×
以上。
c.耐摩耗試験
学振試験機(JIS K 5701−1に準拠)を用い、SUS製の200g荷重の摩擦子を積層体の撥油層面に乗せて100往復した後、積層体の撥油層面に、5マイクロリットルのオレイン酸を静置して接触角を測定した。
接触角 110°< : ○
接触角 90〜110° : △
接触角 <90° : ×
以上。
<実施例2>
乾式法によって製造された表面未処理の平均粒子径20nmシリカ粒子(ヒュームドシリカ)をエタノールに分散した分散液と、テトラエトキシシラン(TEOS)を加水分解反応させて作製したシリカゾル溶液からなるシリカゾルバインダーを混合し、作製した撥油剤を、ヒートシール層上に塗布し、乾燥後の厚みが1μmの厚さで全面塗布して撥油層を形成した以外は実施例1と同様に積層体を得た。
<実施例3>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカ微粒子の平均一次粒子径が200nmである以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例4>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカ微粒子の平均一次粒子径が2000nmである以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例5>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカ微粒子の平均一次粒子径が5000nmである以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例6>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカ微粒子の製法が湿式法である以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例7>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性無機酸化物粒子がが酸化チタン( TiO)である以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例8>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカの分散液に使用する溶媒がメタノール酢酸エチルである以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例9>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカの分散液に使用する溶媒が酢酸エチルである以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例10>
撥油層の撥油コート剤に使用するシリカゾル溶液がトリイソプロピルアルミニウム(TIPA)を加水分解反応させて作製した以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例11>
ヒートシール層に使用する樹脂成分がエチレン系エラストマー樹脂を主成分とした熱可塑性樹脂であること以外は実施例2と同様に作成した。
<実施例12>
アンカーコート層の樹脂成分を酢酸エチルに溶解した2液硬化型のポリウレタン系樹脂の主剤とイソシアネート硬化剤からなる熱硬化性樹脂にした以外は、実施例2と同様に積層体を得た。
<実施例13>
アンカーコート層が酢酸エチルに溶解した2液硬化型のポリエステル系樹脂の主剤とイソシアネート硬化剤からなる熱硬化性樹脂コート剤にアクリル樹脂からなる平均粒子径20μmの組成粒子を、熱硬化性樹脂10重量部に対して組成粒子10重量部の比率で分散して調整した以外は、実施例2と同様に積層体を得た。
<実施例14>
アンカーコート層に使用するアクリル樹脂からなる組成粒子の平均粒子径が50μmの粒子を使用した以外は、実施例13と同様に積層体を得た。
<実施例15>
アンカーコート層に使用する組成粒子がナイロン樹脂である以外は、実施例13と同様に積層体を得た。
<実施例16>
撥油層の撥油コート剤に使用する親水性シリカ粒子の平均一次粒子径が15μm(15000nm)である以外は実施例2と同様に作成した。
比較
アンカーコート層に使用する樹脂成分が酢酸エチルに溶解したアクリル系樹脂を主成分とした熱可塑性樹脂であること以外は実施例13と同様に作成した。
<実施例18>
アンカーコート層に使用するアクリル樹脂からなる組成粒子の平均粒子径が0.8μmである以外は実施例13と同様に作成した。
<実施例19>
アンカーコート層に使用するアクリル樹脂からなる組成粒子の平均粒子径が120μmである以外は実施例13と同様に作成した。
<比較例1>
撥油層の撥油コート剤に使用するシリカ粒子がトリメチルシリル処理された疎水性シリカ粒子である以外は実施例2と同様に作成した。
<比較例2>
撥油層の撥油コート剤にシリカ粒子を使用しなかった以外は実施例2と同様に作成した。
表1より、実施例1乃至19にて作製した積層体は、比較例1又は2で作成した積層体と比較して、撥油性、ヒートシール性、耐摩耗性の全ての項目で問題がなく、包装材料と
して問題なく使用でき、且つ、撥油性効果を効果を発揮していることが確認できた。
本発明によれば、積層体に撥油層を設けることにより、包装袋または蓋材などの包装材料に内容物が付着・残留することがなく、内容物を無駄なく使える積層体を提供することができる。
Figure 0006268886
10 基材
20 アンカーコート層
21 組成粒子
30 ヒートシール層
40 撥水層
50 積層体
50 容器本体

Claims (4)

  1. 順に、基材、熱硬化性樹脂からなるアンカーコート層、ヒートシール層、撥油層からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなることを特徴とする積層体。
  2. 順に、基材、アンカーコート層、ヒートシール層、撥油層からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなり、前記アンカーコート層が平均粒子径1〜100μmの組成粒子と熱硬化性樹脂からなり、前記撥油層が親水性の表面を持つ無機酸化物粒子からなることを特徴とする積層体。
  3. 前記組成粒子がフッ素樹脂、シリコーン、シリカ、金属酸化物、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂の少なくとも1つを含んで形成されていることを特徴とする請求項2記載の積層体。
  4. 前記撥油層は、少なくとも前記無機酸化物粒子と無機バインダーとを混合した成分を含み、その無機バインダーは、M(OR)n(ただし、Mは金属元素、RはC2m+1(ただしm=1〜3)、n=1〜4)で表される金属アルコキシド、前記金属アルコキシドの加水分解物、若しくはそれらの複合物のいずれかを少なくとも含有することを特徴とする請求項1から3何れか1項記載の積層体。
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