以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 端子壁と端子の一方には、端子壁と端子の他方に向かって突出する突出部が形成されていてもよい。突出部は、Oリングよりもケース外部側に配置されており、Oリングは、突出部と当接していてもよい。この構成によると、ケース内の圧力が上昇してOリングにケース外部側方向の力が作用しても、突出部によりOリングの位置ずれが抑制される。このため、Oリングの位置ずれに起因して端子と端子壁とが直接対向することをより抑制することができる。
(特徴2) 特徴1に加えて、Oリングが当接している突出部の面は、突出部の基部側から先端側に向かうにつれてケース外部側に傾斜していてもよい。この構成によると、Oリングと突出部の傾斜面との当接位置は、ケース内の圧力の上昇度合に応じて、一定の範囲内でケース外部側にスライドすることが可能となる。このため、Oリングに作用する力に起因してOリングが過度に変形することを抑制することができる。従って、Oリングの位置ずれを抑制しながら、Oリングの劣化を抑制することができる。
(特徴3) 端子又は端子壁の少なくとも一方には、柱状部を一巡する溝が形成されており、Oリングは、溝に嵌合してもよい。この構成によると、ケース内の圧力が上昇してOリングにケース外部側方向の力が作用しても、Oリングが位置ずれし難くなる。
(特徴4) また、本明細書は、上記の蓄電装置を複数備え、それら複数の蓄電装置が直列接続されている蓄電装置モジュールを開示する。この蓄電装置モジュールでは、蓄電装置モジュールを構成する複数の蓄電装置のそれぞれにおいて、Oリングと当接している絶縁部材の端面が、端子壁側の面から端子側の面にかけて径方向の位置が変化するように傾斜している。このため、各蓄電装置においてケース内の圧力が上昇してOリングがケース外部側にずれても、Oリングと絶縁部材との間において端子と端子壁とが直接対向することが抑制される。従って、端子と端子壁との間に高電圧が印加されても端子と端子壁とが短絡することを抑制でき、蓄電装置モジュールの機能が低下することを抑制できる。
実施例1の蓄電装置100について図1〜4を参照して説明する。蓄電装置100は、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池である。図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、電極組立体3と、かしめ端子5、7と、電流遮断装置30を備えている。ケース1は、金属製であり、略直方体形状である。ケース1の内部には、電極組立体3と電流遮断装置30が収容されている。電極組立体3は、負極電極と正極電極を備えている。負極集電タブ43が負極電極に固定されており、正極集電タブ45が正極電極に固定されている。ケース1の内部には、電解液が注入されている。
ケース1には、開口11、13が形成されている。以下では、ケース1において、開口11、13が形成されている壁を特にケース上壁9と称する。即ち、電極組立体3に対してケース上壁9が位置している側が上側であり、電極組立体3に対してケース上壁9が位置している側と反対側が下側である。ケース上壁9の下面には、下方に向かって延びる環状の突出部9a、9bが形成されている。突出部9a、9bはそれぞれ、開口11、13の外周部に全周に亘って形成されている。かしめ端子5は、開口11を介してケース1の内外に通じており、かしめ端子7は、開口13を介してケース1の内外に通じている。かしめ端子5の下端はケース1の内部に位置しており、電流遮断装置30(後述)に接続されている。電流遮断装置30は、接続端子23及び負極リード25を介して、負極集電タブ43に接続されている。負極リード25は、絶縁シート27によってケース上壁9から絶縁されている。一方、かしめ端子7の下端はケース1の内部に位置しており、正極リード41を介して正極集電タブ45に接続されている。正極リード41は、絶縁シート29によってケース上壁9から絶縁されている。なお、ケース上壁9は「端子壁」の一例に相当する。
ケース上壁9の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62は、ケース上壁9より上方に突出した突出部66と、ケース上壁9に沿って伸びる平板部68を有する。突出部66はケース上壁9の中央側に配置され、平板部68はケース上壁9の開口11側に配置される。ガスケット62の上面には、外部端子60が、ガスケット62の上面の形状に沿って配置されている。ボルト64の頭部は、突出部66に形成された有底穴62aに配置されている。ボルト64の軸部は、外部端子60の開口を通って上方に突出している。かしめ端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様である。かしめ端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。
ここで、図2を参照してかしめ端子5について説明する。図2は、図1の二点鎖線部200aの拡大図を示す。かしめ端子5は、円筒部14、基底部15及び固定部16を有する。円筒部14は円筒形状をしており、開口11を挿通している。円筒部14には軸方向(上下方向)に貫通孔14aが形成されている。このため、貫通孔14a内は大気圧に保たれる。基底部15は環状に形成されており、円筒部14の下端に配置されている。即ち、基底部15はケース1の内部に位置している。基底部15の上面は円筒部14の軸方向と略直交している。基底部15の外径は、開口11の径より大きい。円筒部14と基底部15は同心円状に配置されている。基底部15の下面中央には、凹所15aが形成されている。凹所15aの中心と貫通孔14aは連通しており、凹所15a内は大気圧に保たれる。固定部16は環状に形成されており、円筒部14の上端に配置されている。即ち、固定部16はケース1の外部に位置している。かしめ端子5は、固定部16によりケース上壁9に固定されている。かしめ端子5がケース上壁9に固定される前は、固定部16は円筒部14の軸方向に延びている。即ち、円筒部14と固定部16は、軸方向に延びる1つの円筒状の部分を構成している(以下、当該部分を円筒部分という)。なお、円筒部14は、「柱状部」の一例に相当する。
ガスケット62の平板部68に形成されている開口の外周部には、下方に延びる部分68aが形成されている。部分68aは、開口11に嵌め込まれている。かしめ端子5をケース上壁9に固定する際には、円筒部分をケース1の内部から部分68aの開口及び外部端子60の開口に挿通させる。その後、円筒部分の上部(ケース1の外部に突出している部分)を軸直方向外側に屈曲させて押し広げる。これにより、当該円筒部分は外部端子60の上面に当接し、かしめ端子5がケース上壁9にかしめ固定される。当該円筒部分(即ち、円筒部分のうち屈曲された部分)が固定部16に相当する。かしめ端子5をケース上壁9に固定することで、Oリング19(後述)、絶縁部材36(後述)、ガスケット62及び外部端子60がかしめ端子5とケース上壁9との間に挟持される。このとき、ケース上壁9と基底部15と固定部16は互いに略平行となっている。ガスケット62により、外部端子60とケース上壁9とが絶縁される。また、ガスケット62の部分68aにより、ガスケット62を容易に位置決めできる。
次に、図2及び図3(a)を参照して、かしめ端子5とケース上壁9との間に配置されている部材について説明する。図3(a)は、図2の二点鎖線部202の拡大図を示す。図2の矢印Aは、ケース1の外側から内側に向かう方向を示す。以下では、矢印Aが示す方向を「ケース内部側」と称し、矢印Aが示す方向と反対の方向を「ケース外部側」と称する。これは、その他の実施例及び変形例でも同様とする。かしめ端子5とケース上壁9との間には、絶縁性のOリング19が配置されている。Oリング19は、円筒部14の周囲を一巡している。Oリング19にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)が用いられる。Oリング19の断面の径は、ケース上壁9と基底部15との間隔よりも大きい。このため、図3(a)に示すように、Oリング19は、シール部分S1において、ケース上壁9と基底部15に当接し、これによりケース上壁9とかしめ端子5との間をシールしている。
上述したように、ケース上壁9の下面には、開口11の外周縁に沿って突出部9aが形成されている。突出部9aは、Oリング19のシール部分S1よりもケース外部側に位置している。突出部9aの内周面10a(即ち、ケース外部側の面)と開口11の周面とは、連続した一続きの面を形成している。突出部9aの外周面12a(即ち、ケース内部側の面)は、下方に向かうにつれてケース外部側に傾斜している。別言すれば、外周面12aは、その径方向の位置が、突出部9aの基部から先端部にかけてケース外部側に変化するように傾斜している。Oリング19は、シール部分S2において、突出部9aの外周面12aに当接している。このため、シール部分S2は、シール部分S1よりもケース外部側に位置している。また、シール部分S2は、突出部9aの基部側に位置している。Oリング19は絶縁材料によって形成されているため、かしめ端子5とケース上壁9との絶縁性は維持される。なお、Oリング19の材料は上記に限られず、シール性、絶縁性及び耐電解液性を有する材料であればよい。
図2に示すように、Oリング19のシール部分S1よりもケース内部側には、環状の絶縁部材36が配置されている。絶縁部材36には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が用いられる。絶縁部材36は、円筒部14の周囲を一巡している。絶縁部材36のケース外部側には、上下方向の厚みが厚い肉厚部36aが形成されている。肉厚部36aはケース上壁9と基底部15の両者に当接している。肉厚部36aにより、ケース上壁9と基底部15との間の間隔が決定される。即ち、肉厚部36aはスペーサの役割を果たす。図3(a)に示すように、肉厚部36aのケース外部側の端面37は、下方に向かうにつれてケース内部側に傾斜している。別言すれば、端面37は、その径方向の位置が、肉厚部36aの上面から下面にかけてケース内部側に変化するように傾斜している。このため、端面37と基底部15の上面とがなす角度は鋭角となっており、端面37と、基底部15の上面と、絶縁部材36の端面37の最もケース外部側の位置E1を通り、基底部15と略直交する面(即ち、上下方向に延びる面)と、で囲まれた範囲には空間24が形成されている。Oリング19のケース内部側の一部は、空間24に位置している。別言すれば、ケース上壁9を平面視した状態で、絶縁部材36のケース外部側の一部は、Oリング19のケース内部側の一部と重なっている。Oリング19は、シール部分S3において、肉厚部36aの端面37と当接している。
図2に示すように、絶縁部材36のうち肉厚部36aよりケース内部側には、上下方向の厚みが薄い肉薄部36bが形成されている。肉薄部36bは、基底部15の上面をケース内部側に向かって延びてから下方に屈曲して、基底部15の外周面を覆うと共に、破断板34(後述)と略同一の高さまで延びている。絶縁部材36(厳密には肉薄部36b)の下端面は、絶縁部材39と当接している。絶縁部材39は、PPSにより形成されている。絶縁部材39は破断板34の下面の外周部を全周に亘って覆っている。絶縁部材36、39の外周面には、環状の金属製の板材40が配置され、板材40はかしめられることで絶縁部材36、39に固定されている。これにより、基底部15、変形板32(後述)及び破断板34(後述)が上下方向に挟持固定される。絶縁部材36、39により、板材40と、基底部15、変形板32及び破断板34との絶縁性が維持される。なお、絶縁部材36、39の材料は上記に限られず、絶縁性と耐電解液性を有し、荷重支持に必要な強度特性に優れた材料(例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK))が用いられてもよい。
かしめ端子5とケース上壁9との間の空間のうち、シール部分S1よりもケース内部側の空間を空間20(図2参照)とすると、空間20は、円筒部14の周囲を一巡している。空間24は、空間20に含まれている。空間20には、平面方向(即ち、円筒部14の軸方向と略直交する平面方向)の全体に(即ち、空間20のケース外部側の端面からケース内部側の端面まで)、Oリング19の一部及び絶縁部材36が配置されている。
ここで、図3(a)、(b)を参照して、ケース1内の圧力変化に伴うOリング19の位置ずれについて説明する。Oリング19(厳密には、空間24に露出している部分のOリング19)には、絶縁部材36とケース上壁9及び/又は基底部15との間の微小な隙間を介して、ケース1内の圧力が作用し得る。蓄電装置100が過充電されるなどしてケース1の内部でガスが発生すると、ケース1内の圧力が上昇する。この圧力によりOリング19に作用する力が第1所定値を超えると、Oリング19は、図3(a)に示す位置からケース外部側に位置ずれし得る。即ち、Oリング19は絶縁部材36から離間する方向にずれると共に、突出部9aの外周面12aと基底部15とが対向する空間内により進入する。これにより、Oリング19の各シール部分S1、S2、S3の位置及び面積が変化する。具体的には、シール部分S1はケース外部側に移動し、シール部分S2はその面積が増加し(別言すれば、Oリング19と外周面12aとの当接位置がケース外部側にスライドし)、シール部分S3はその面積が減少する。
ケース1内の圧力が第1所定値からさらに上昇すると、Oリング19は絶縁部材36から離間する(即ち、シール部分S3の面積がゼロになる)。また、ケース1内の圧力が第1所定値からさらに上昇して第2所定値を超えると、電流遮断装置30が動作する(後述)。本実施例では、図3(b)に示すように、電流遮断装置30が動作した後であっても、Oリング19のケース内部側の一部が空間24に位置するように、Oリング19、突出部9a及び絶縁部材36の材質及び位置関係が調整されている。このため、電流遮断装置30が動作した後であっても、空間20には平面方向全体にOリング19の一部及び絶縁部材36が配置されている。
続いて、図4を参照してかしめ端子7と、かしめ端子7とケース上壁9との間に配置される部材について説明する。図4は、図1の二点鎖線部200bの拡大図を示す。図2と同様の構成については説明を省略する。かしめ端子7は円柱部94、基底部95及び固定部96を有する。基底部95は、正極リード41に接続されている。かしめ端子7は中実であり、貫通孔及び凹所が形成されていない。固定部96を軸直方向外側に屈曲させることにより、かしめ端子7がケース上壁9にかしめ固定される。これにより、Oリング19、絶縁部材116、ガスケット63及び外部端子61がかしめ端子7とケース上壁9との間に挟持される。このとき、ケース上壁9と基底部95と固定部96は互いに平行となっている。Oリング19は、シール部分S4において、ケース上壁9と基底部95に当接し、これによりケース上壁9とかしめ端子7との間をシールしている。また、上述したように、ケース上壁9の下面には、開口13の外周縁に沿って突出部9bが形成されている。突出部9bの外周面12bは、下方に向かうにつれてケース外部側に傾斜している。Oリング19は、シール部分S5において、突出部9bの外周面12bに当接している。また、Oリング19よりもケース内部側には、環状の絶縁部材116が配置されている。絶縁部材116はケース上壁9と基底部95の両者に当接している。絶縁部材116のケース外部側の端面117は、下方に向かうにつれてケース内部側に傾斜している。Oリング19は、シール部分S6において、端面117と当接している。絶縁部材116は、基底部95の上面をケース内部側に延びており、そのケース内部側の端面は、基底部95の上面の外周端に位置している。かしめ端子7とケース上壁9との間の空間のうち、シール部分S4よりもケース内部側の空間を空間22とすると、空間22には、平面方向の全体に、Oリング19の一部及び絶縁部材116が配置されている。なお、かしめ端子7は中実の部材に限られず、円柱部94に貫通孔が形成されていてもよい。
図2に戻って電流遮断装置30について説明する。電流遮断装置30は、金属製の変形板32と、金属製の破断板34を備えている。変形板32の外周部は、基底部15の下面の外周部と接続されており、基底部15の凹所15aの下端は変形板32により覆われている。凹所15a内は大気圧に保たれているため、変形板32の上面には大気圧が作用する。上述したように、基底部15、変形板32及び破断板34は、環状の絶縁部材36、39を介して、板材40により挟持固定されている。変形板32は、円形の導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。変形板32の中央部は破断板34と接続されている。破断板34は円形の板材であり、変形板32の下方に位置している。破断板34には接続端子23が接続されている。破断板34の下面の中央部には溝部34aが形成されている。溝部34aの内側で破断板34と変形板32の中央部とが接続されている。溝部34aが形成された位置における破断板34の機械的強度は、溝部34a以外の位置における破断板34の機械的強度よりも低い。破断板34には通気孔34bが形成されており、変形板32と破断板34との間の空間46がケース1内の空間と連通している。また、変形板32の外周部と破断板34の外周部との間には環状の絶縁部材38が配置されている。なお、変形板32が「導電性部材」の一例に相当する。
電流遮断装置30は、接続端子23と、破断板34と、変形板32と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置30の通電経路を介して電気的に接続されている。
ここで、電流遮断装置30の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、かしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1内の圧力が上昇すると、通気孔34bを介して変形板32の下面に作用する圧力が上昇する。一方、変形板32の上面には大気圧が作用する。このため、ケース1の内圧が上昇して、第1所定値よりも大きい第2所定値に達すると、変形板32が反転して、上方に凸の状態に変化する。すると、変形板32の中央部に接続されていた破断板34が、機械的に脆弱な溝部34aを起点に破断する。これによって、破断板34と変形板32とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の通電が遮断される。このとき、変形板32は接続端子23から絶縁されると共に、破断板34はかしめ端子5から絶縁される。
実施例1の蓄電装置100の作用効果について説明する。上記の蓄電装置100では、Oリング19と当接する絶縁部材36の端面37が傾斜しており、これにより空間24が形成されている。このため、ケース1内の圧力上昇に伴いOリング19が位置ずれし、絶縁部材36の端面37から離間しても(即ち、Oリング19が端面37と非当接状態となっても)、Oリング19の一部が空間24に位置する限り、Oリング19と絶縁部材36との間の空間において、ケース上壁9と基底部15とが直接対向することがない。このため、電流遮断装置30の動作後に、Oリング19と絶縁部材36との間の空間に電解液が満たされた状態でかしめ端子5とケース上壁9との間に高電圧が印加されても、かしめ端子5とケース上壁9とが短絡することを抑制することができる。
特に、本実施例では、Oリング19のシール部分S1よりもケース外部側に、ケース上壁9から下方に延びる突出部9aが形成されており、Oリング19は、ケース1内の圧力が第1所定値未満のときからシール部分S2において突出部9aに当接している。このため、ケース1内の圧力が上昇してOリング19にケース外部側に向かう力が作用しても、突出部9aがOリング19の位置ずれを抑制するストッパとして機能するため、Oリング19の位置ずれを抑制することができる。従って、Oリング19の位置ずれに起因してケース上壁9と基底部15とが直接対向することをより抑制することができる。
さらに、本実施例では、Oリング19が当接している突出部9aの外周面12aが、下方に向かうにつれてケース外部側に傾斜している。このため、Oリング19は、ケース1内の圧力の上昇度合に応じて、一定の範囲内でケース外部側にスライドすることが可能となる。これにより、Oリング19に作用する力によりOリング19が過度に変形することを抑制することができる。また、Oリング19の位置ずれ量は、外周面12aの傾斜角度などを調整することにより制御できる。このため、外周面12aを傾斜させることにより、Oリング19の位置ずれを抑制しながら、Oリング19が過度の変形に起因して劣化することを抑制することができる。
また、本実施例では、電流遮断装置30の動作後においても、空間20には、平面方向全体にOリング19の一部及び絶縁部材36が配置されている。このため、空間20では、空間24以外の空間においてもケース上壁9と基底部15とが直接対向することがない。このため、空間20に電解液が存在する状態でかしめ端子5とケース上壁9との間に高電圧が印加されても、かしめ端子5とケース上壁9とが短絡することを抑制することができる。なお、かしめ端子7とケース上壁9との間の空間にOリング19及び絶縁部材116を配置することによっても上記と同様の作用効果を奏することができる。これは、他の実施例及び変形例についても同様である。
なお、複数の蓄電装置100を備えた蓄電装置モジュールでは、各蓄電装置100が、所望の電圧が得られるまで直列接続される。これにより、高出力で大容量の蓄電装置モジュールを構成することができる。このような蓄電装置モジュールでは、各蓄電装置100において、かしめ端子5とケース上壁9との間に高電圧が印加され易い。このため、蓄電装置モジュールを構成する各蓄電装置100において本実施例の構成を採用することで、短絡の可能性を効果的に低減することができる。
(変形例1) 次に、図5を参照して変形例1について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例でも同様である。図5の二点鎖線部300aは、図1の二点鎖線部200aに相当する。本変形例では、基底部15の上面に、円筒部14の周囲を一巡する溝15bが形成されている。溝15bの径(厳密には、溝15bの外径と内径の中間径)は、Oリング19の径と略同一であり、Oリング19は溝15bに嵌合している。このため、Oリング19は、シール部分S7においてケース上壁9と溝15bの底面に当接し、これによりケース上壁9とかしめ端子5との間をシールしている。この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。また、Oリング19が溝15bに嵌合することにより、ケース1内の圧力が上昇してOリング19にケース外部側の力が作用しても、Oリング19が位置ずれし難くなる。また、基底部15にOリング19を配置する際に、Oリング19を容易に位置決めできる。
次に、図7を参照して実施例3について説明する。図7の二点鎖線部500aは、図1の二点鎖線部200aに相当する。この蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1と異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。
電流遮断装置70は、金属製の第1変形板75と、金属製の破断板73と、金属製の第2変形板71を備えている。基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71は、絶縁性の絶縁部材36、78により支持されている。絶縁部材36、78の外周面には、金属製の板材79がかしめられている。これにより、基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71が上下方向に挟持される。
第2変形板71は、破断板73の下方に配置されており、その中央部が下方に突出している。第2変形板71の上面の外周部には絶縁部材81が配置されている。また、第2変形板71の上面中央には、上方に突出する突出部83が設けられている。突出部83の上方には破断板73の中央部73b(溝部73aに囲まれた部分)が位置している。第2変形板71の下面にはケース1内の空間の圧力が作用する。第2変形板71の上面には、第2変形板71と破断板73の間の空間86の圧力が作用する(後述)。空間86はケース1内の空間からシールされている。
破断板73は、第2変形板71と第1変形板75の間に配置されている。破断板73は、溝部73aによって、溝部73aに囲まれた中央部73bと、溝部73aの外周側に位置する外周部73cに区分されている。中央部73bの板厚は薄く、外周部73cの板厚は厚くされている。破断板73には通気孔73dが形成されている。空間86は、通気孔73dを介して第1変形板75と破断板73との間の空間88と連通している。
第1変形板75は、破断板73の上方に配置されている。第1変形板75は、実施例1の変形板32と略同一の構成を有する。第1変形板75と破断板73の間には、絶縁部材85が配置されている。第1変形板75の上面と基底部15の下面との間には空間87が形成されている。空間87は、大気圧に保たれている。破断板73と基底部15の外周部との間にはシール部材89が配置されており、基底部15と破断板73との隙間をシールしている。
電流遮断装置70は、接続端子23と、破断板73と、第1変形板75と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置70の通電経路を介して電気的に接続されている。
ここで、電流遮断装置70の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置ではかしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1の内圧が上昇すると、第2変形板71の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板71の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間86の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が第3所定値を超えると、第2変形板71が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。このとき、空間86内の空気は通気孔73dを通って空間88に移動し、空間88内の圧力が上昇する。また、第2変形板71が反転すると、第2変形板71の突出部83が破断板73の中央部73bに衝突し、破断板73が溝部73aで破断する。これにより、第1変形板75が反転し、第1変形板75及び破断板73の中央部73bが上方に変位する。このため、破断板73と第1変形板75を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の導通が遮断される。このとき、第1変形板75は接続端子23から絶縁されると共に、破断板73はかしめ端子5から絶縁されている。本実施例では、電流遮断装置70が動作した後であっても、空間20の全体にOリング19の一部及び絶縁部材36が配置される。この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。なお、上記の電流遮断装置70は、その他の実施例及び変形例の蓄電装置に取付けられてもよい。
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本明細書が開示する蓄電装置は、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、絶縁部材36の端面37の傾斜方向は上記の実施例の構成に限られず、下方に向かうにつれてケース外部側に傾斜する構成であってもよい。
また、突出部9a、9bは、それぞれ開口11、13の外周縁に全周に亘って形成されなくてもよい。例えば、突出部9a、9bは、周方向に間隔をおいて複数個形成されていてもよい。この場合、突出部9a、9bは、周方向に分散して形成されることが好ましい。この構成によっても、Oリング19の位置ずれを抑制でき、ケース上壁9とかしめ端子5との短絡を抑制できる。また、ケース1内の圧力が上昇する前は、Oリング19は突出部9a、9bの外周面12a、12bにそれぞれ当接していなくてもよい。ケース1内の圧力が上昇してOリング19がケース外部側に位置ずれしたときにOリング19が外周面12a、12bに当接する構成であってもよい。この場合、電流遮断装置30が動作した後であっても、空間20の平面方向全体にOリング19の一部及び絶縁部材36が配置される構成であれば、ケース上壁9とかしめ端子5との短絡を抑制できる。また、突出部9a、9bの外周面12a、12bは、傾斜せずに上下方向に延びていてもよい。また、突出部9a、9bの内周面は開口11、13の周面と連続していなくてもよい。
また、Oリング19が嵌合する溝は、かしめ端子5に形成される代わりにケース上壁9に形成されてもよいし、かしめ端子5とケース上壁9の双方に形成されてもよい。
また、実施例3において、絶縁部材81は配置されなくてもよい。また、第1変形板75に、空間87と空間88とを連通する連通孔を形成し、空間86、88を大気圧に維持してもよい。
また、上記の実施例ではケース上壁9にはかしめ端子5、7が取付けられたが、端子はかしめ端子に限られず、ケース外部からナットにより締結されるタイプの端子が用いられてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。