JP6264100B2 - 電気泳動粒子、分散液、電気泳動表示装置および電子機器 - Google Patents

電気泳動粒子、分散液、電気泳動表示装置および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、電気泳動粒子、分散液、電気泳動表示装置および電子機器に関するものである。
近年、電気泳動粒子の材料として、無彩色の粒子(白色粒子、黒色粒子)のみならず、着色された粒子を用いることで、カラー表示が可能な電気泳動表示装置の研究開発がなされている。
このような着色された粒子としては、有機材料や無機材料を用いた顔料系粒子や、重合性の染料を形成材料として用いた染料系粒子が知られている。電気泳動粒子として用いる場合、これらの粒子は、分散液中での良好な分散や、駆動電位による帯電などの機能を付与する必要がある。
例えば、粒子表面に重合開始基を化学結合させ、重合開始基を起点としてリビングラジカル重合法を用いて高分子鎖を成長させて、粒子を表面修飾する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−352053号公報
しかしながら、粒子表面に重合開始基を良好に化学結合できるか否かは、粒子表面の官能基の有無や表面状態により左右され、種々の粒子の表面を安定して表面修飾することが困難である。そのため、種々の粒子に対し、安定的に表面修飾を行うことができる技術が求められていた。
なお、着色された粒子における課題として記載したが、同様の課題は無彩色の粒子(白色粒子、黒色粒子)であっても同様の課題が生じうる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、新たな構造を有した電気泳動粒子を提供することを目的とする。また、このような電気泳動粒子を有する分散液、電気泳動表示装置および電子機器を提供することをあわせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、分散媒に分散して電気泳動表示装置に用いる分散液を構成する電気泳動粒子であって、色粒子と、前記色粒子の表面を修飾する表面修飾部と、を備え、前記表面修飾部は、1以上の水酸基が結合した芳香環を含む付着基と、前記付着基に結合し前記分散媒における前記色粒子の分散状態を改質する改質基と、を有する電気泳動粒子を提供する。
この構成によれば、付着基が色粒子に対して化学結合することなく付着することで、色粒子の表面に改質基を有する表面修飾部を導入することができる。そのため、色粒子の表面状態に関わらず、種々の色粒子に対して安定的に表面修飾を行い、安定した帯電性や良好な分散性を有する電気泳動粒子を提供することができる。
本発明の一態様においては、前記芳香環は、2つの水酸基が結合している構成としてもよい。
この構成によれば、色粒子に対して2つの水酸基が協働して付着する付着基とすることができ、長期に亘って表面修飾部が剥離しにくい信頼性の高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記付着基は、前記芳香環を構成する原子のうち隣り合う2つの原子にそれぞれ水酸基が結合している構成としてもよい。
この構成によれば、近接した位置に水酸基が存在するため、2つの水酸基が協働してより強固に色粒子に付着し、より信頼性の高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記付着基は、カテコール環を含む構成としてもよい。
この構成によれば、色粒子に対して強固に付着する付着基とすることができ、種々の色粒子に対して安定的に表面修飾した電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記付着基は、前記芳香環に結合する第1の反応性官能基を有し、前記改質基は、前記第1の反応性官能基と化学結合を生成する第2の反応性官能基を有し、前記付着基と前記改質基とが化学結合で結合している構成としてもよい。
この構成によれば、設計自由度が高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記付着基は、前記芳香環に結合する重合開始基を有し、前記改質基は、前記重合開始基を起点として重合した高分子鎖を有する構成としてもよい。
この構成によれば、設計自由度が高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記改質基は、炭化水素鎖を含む構成としてもよい。
この構成によれば、炭化水素系分散媒に対して分散性が高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記改質基は、ポリシロキサン鎖を含む構成としてもよい。
この構成によれば、シリコーンオイルに対して分散性が高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記改質基は、帯電性を制御する帯電制御基を含む構成としてもよい。
この構成によれば、良好な帯電特性を有する電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記表面修飾部は、前記付着基を2以上有する構成としてもよい。
この構成によれば、複数の付着基で強固に色粒子に付着し、より信頼性の高い電気泳動粒子とすることができる。
本発明の一態様においては、前記表面修飾部は、前記改質基を2種以上有する構成としてもよい。
この構成によれば、付着させる改質基の物性を適宜選択することにより、容易に所望の物性を有する電気泳動粒子を得ることができる。
本発明の一態様は、上記の電気泳動粒子と、前記電気泳動粒子が分散する分散媒と、を備える分散液を提供する。
この構成によれば、安定した帯電性や良好な分散性を有する電気泳動粒子が分散媒に分散されているので、分散液自体も信頼性の高いものとなる。
本発明の一態様は、一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された電気泳動層と、を備え、前記電気泳動層が上記の分散液を含む電気泳動表示装置を提供する。
この構成によれば、上述の分散液を含むので、良好な表示特性を有した信頼性の高い電気泳動表示装置を提供することができる。
本発明の一態様は、上記の電気泳動表示装置を備えた電子機器を提供する。
この構成によれば、上述の電気泳動表示装置を含むので、良好な表示特性を有した信頼性の高い電子機器を提供することができる。
本実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図である。 セルマトリクス4の構成例を示す平面図である。 本実施形態の電気泳動粒子31を示す模式図である。 改質基として分極基を用いる場合の表面修飾部の模式図である。 改質基として帯電基を用いる場合の表面修飾部の模式図。 電気泳動表示装置の製造工程を示す工程図である。 電気泳動表示装置の製造工程を示す工程図である。 本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
以下、図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
[電気泳動表示装置]
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図である。図に示すように、電気泳動表示装置100は、素子基板1と、対向基板2と、素子基板1に設けられ、複数のセル15を有するセルマトリクス4と、セル15に収容される電気泳動層11と、電気泳動層11およびセルマトリクス4を覆って設けられた封止膜5と、封止膜5上に配置され封止膜5と対向基板2とに挟持された対向電極6と、を備えている。素子基板1および対向基板2は、本発明の電気泳動表示装置における「一対の基板」に対応する。
素子基板1は、基材1Aと、基材1Aの電気泳動層11側に設けられた複数の画素電極12と、を含む。基材1Aは、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。
画素電極12は、セルマトリクス4が有する複数のセル15に対応して、マトリクス状に複数設けられている。画素電極12は、Cu箔上にニッケルめっきと金めっきとをこの順で積層したものや、Al、ITO(インジウム錫酸化物)などにより形成された電極である。図示は省略しているが、画素電極12と基材1Aとの間には、走査線やデータ線などの配線、及び選択トランジスタなどが層構造を形成している。各配線やトランジスタは、適宜絶縁層で絶縁されている。これらの構成により、画素電極12には、それぞれ独立して電位を印加可能である。
対向基板2は、上述の透明基材から構成されている。対向基板2の電気泳動層11側には複数の画素電極12と対向する平面形状の対向電極6が形成されている。対向電極6は、MgAg、ITO、IZO(インジウム・亜鉛酸化物、登録商標)などから形成された透明電極である。
セルマトリクス4は、基部13と、基部13上に配置された隔壁14と、を有する。セルマトリクス4は、複数の画素電極12の間の領域に配置された接着層20を介して、素子基板1と貼り付けられている。
基部13は、セルマトリクス4の底面を成すものであり、シート状(即ち、平板状)の部材で構成されている。基部13の厚さに制限はなく、例えば数μm〜数十μm程度の薄膜であってもよい。
また、隔壁14は、セルマトリクス4の側壁を成すものであり、電気泳動層11を複数に分割するものである。この隔壁14によって、素子基板1上は、画素電極12に対応した複数のセル15に区画され、これら複数のセル15の各々に電気泳動層11がそれぞれ配置されている。本実施形態において、隔壁14は、断面構造が基部13側と反対の先端側に向かうにつれて先細るテーパー形状を呈している。
隔壁14の平面視よる形状(以下、平面形状ともいう。)は、例えば、正方格子状、六角格子状、又は、三角格子状である。図2は、セルマトリクス4の構成例を示す平面図である。図2(a)に示すように、隔壁14の平面形状が正方格子状の場合は、セル15の平面形状は正方形である。また、図2(b)に示すように、隔壁14の平面形状が六角格子状の場合は、セル15の平面形状は六角形となる。
セルマトリクス4は、基部13と隔壁14とを一体として形成することとしてもよく、隔壁14と平板状の基部13とを別々に形成しておき、平板状の基部13の一方の面上に隔壁14を固定するようにしてもよい。また、セルマトリクス4は、基部13を省略して、隔壁14のみで構成するようにしてもよい。その場合は、隔壁14を素子基板1に直接取り付けるようにしてもよい。
セルマトリクス4において、基部13と隔壁14とが一体に形成されている場合は、基部13と隔壁14とが同一の材料で構成されている。また、基部13と隔壁14とが別々に形成されている場合は、基部13と隔壁14とが同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
基部13を構成する材料としては、可撓性を有するもの、硬質なものの何れであってもよく、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の各種樹脂材料や、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス材料が挙げられる。電気泳動表示装置100に可塑性を付与する場合には、基部13には可塑性を有する樹脂材料のものを選択することが好ましい。また、隔壁14を構成する材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等の各種樹脂材料や、シリカ、アルミナ、チタニア等の各種セラミックス材料が挙げられる。
電気泳動層11は、分散媒30と、この分散媒30中に分散された複数の電気泳動粒子31とを含んだ分散液から構成される。電気泳動層11は、本発明の分散液の一実施形態に係るものである。
分散媒30は、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、パラフィン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ナフテン等の脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類(アルキルベンゼン誘導体)等の芳香族炭化水素類;
ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族復素環類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;
カルボン酸塩;
又は
シリコーンオイル
などを用いることができる。これらは単独で用いることとしてもよく、混合物として用いることとしてもよい。
また、分散媒30として用いることができる脂肪族炭化水素類としては、イソパラフィン系溶剤として市販されているものを用いることができ、このような市販品としてはアイソパー(登録商標)を挙げることができる。分散媒30は、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーMからなる群から選ばれる1種類もしくは2種類以上を混合した液体、またはこれらと上述した他の炭化水素類とを混合した液体を用いることができる。
本実施形態において、電気泳動粒子31は、例えば白色粒子31a及び黒色粒子31bを含む帯電粒子である。白色粒子31aは、例えば、酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子31bは、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、亜クロム酸銅等の黒色顔料からなる粒子であり、例えば正に帯電されて用いられる。
また、白色粒子31a及び黒色粒子31bに代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を形成材料とする色粒子を用いてもよい。この構成によれば、赤色、緑色、青色などを表示することでカラー表示を行うことができる電気泳動表示装置100を提供できる。電気泳動粒子31については、後に詳述する。
封止膜5は、セル15内に電気泳動層11を封止するための膜である。電気泳動層11の表面には、当該表面に沿って一定の膜厚で封止膜5が形成されており、電気泳動層11の表面の凹状は封止膜5の表面に現れている。封止膜5を構成する材料としては、例えば水溶性高分子が挙げられ、具体的には、ポリビニルアルコール(PVAともいう)、ゼラチン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、カオチン化セルロースの何れか1種類、或いは、これらのうちの2種類以上を含むものである。本実施形態では、PVAを用いて封止膜5を形成した。
なお、分散媒30として炭化水素系の溶媒(例えば、アイソパー)が選択され、封止膜5として水溶性高分子の膜(例えば、PVA)が選択されている場合は、下記のような利点がある。すなわち、炭化水素系の溶媒(例えば、アイソパー)、及び、PVAは何れも安価である。
このため、電気泳動表示装置100の製造コストの低減が可能である。また、封止膜5を無色透明に形成することができ、おおよそ90%程度の光透過率を確保することができる。封止膜5による光の減衰が少ないため、封止膜5で覆われた画面(すなわち、複数のセル15の集合体)に表示される文字、画像等の視認性を高めることができる。また、封止膜5と電気泳動層11との相溶性が極めて低いため、電気泳動層11をセル15内に密閉性高く封止することができる。
このような構成に基づき、電気泳動表示装置100では、例えば、画素電極12と対向電極6との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、電気泳動粒子31(白色粒子31a及び黒色粒子31b)はいずれかの電極(画素電極12、対向電極6)に向かって電気泳動する。例えば、白色粒子31aが負荷電を有する場合、画素電極12を正電位とすると、白色粒子31aは画素電極12側(下側)に移動して集まり、黒表示となる。これにより、電気泳動表示装置100は、所望の画像を表示することが可能となっている。
[電気泳動粒子]
次いで、本実施形態の電気泳動粒子31について説明する。図3は、本実施形態の電気泳動粒子31を示す模式図である。
本実施形態の電気泳動粒子31は、色粒子32と、色粒子32の表面を修飾する表面修飾部33と、を備えている。以下、順に説明する。
(色粒子)
色粒子32としては、顔料そのものを形成材料とした粒子、核となる粒子(以下、核粒子と称することがある)を顔料や染料などの色材で着色した粒子、重合性の染料を重合した高分子を形成材料とした粒子を例示することができる。「着色」としては、核粒子の表面を顔料で被覆する方法や、核粒子の形成材料に色材を混合する方法を採用することができる。
核粒子の形成材料としては、樹脂材料や無機材料を用いることができる。核粒子の形成材料である樹脂材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィンなどを挙げることができる。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、核粒子の形成材料である無機材料としては、酸化チタンを挙げることができる。
顔料や染料などの色材としては、目的に応じて種々のものを用いることができる。例えば、黒色色材としては、アニリンブラックやカーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料や黒色染料を挙げることができる。白色色材としては、酸化チタンや酸化アンチモン等の白色顔料を挙げることができる。黄色色材としては、モノアゾ等のアゾ系顔料やイソインドリノン、黄鉛等の黄色顔料や黄色染料を挙げることができる。赤色色材としては、キナクリドンレッドやクロムバーミリオン等の赤色顔料や赤色染料を挙げることができる。青色色材としては、フタロシアニンブルーやインダスレンブルー等の青色顔料や青色染料を挙げることができる。緑色色材としては、フタロシアニングリーン等の緑色顔料や緑色染料を挙げることができる。
(表面修飾部)
上述したように、色粒子32としては種々の材料を採用することができるため、粒子表面の状態も様々である。したがって、色粒子の表面に化学結合を形成して表面修飾を施す場合には、表面修飾部との結合効率が粒子表面の官能基の有無や表面状態により左右され、種々の粒子の表面を安定して表面修飾することが困難である。
これに対し、本発明においては、表面修飾部33として、1以上の水酸基が結合した芳香環を含む付着基34と、付着基34に結合し分散媒における色粒子32の分散状態を改質する改質基35と、を有する分子を採用し、色粒子32の表面に付着させている。これにより、色粒子32の表面状態にかかわらず、種々の粒子の表面に対して好適に表面修飾部33を付着させて修飾を行い、色粒子32の分散性の改質を行うことができる。以下、詳細に説明する。
(1.付着基)
まず、付着基34について説明する。
付着基34は、色粒子32の表面に対して付着可能な分子構造を有している。付着基34としては、芳香環に水酸基が少なくとも1つ結合したものが用いられ、芳香環に水酸基が2つ結合したものがより好ましい。このような付着基34のうち、2つの水酸基が芳香環を構成する原子のうち隣り合う2つの原子に結合している構造を有するものがより好ましい。
芳香環としては、芳香族炭化水素を基本骨格とする環であってもよく、芳香族複素環式化合物を基本骨格とする環であってもよい。これらは単環であってもよく縮環していてもよい。
このような付着基34が有する芳香環としては、芳香族炭化水素を基本骨格とする環であれば、例えば、ジヒドロキシベンゼン環やジヒドロキシナフタレン環を例示することができる。
ジヒドロキシベンゼン環としては、1,3−ジヒドロキシベンゼン環(レゾルシノール環)や、1,2−ジヒドロキシベンゼン環(カテコール環)が好ましく、カテコール環がより好ましい。ジヒドロキシナフタレン環としては、1,2位、1,3位、1,8位または2,3位にそれぞれ水酸基を有するものが好ましく、1,2位、2,3位にそれぞれ水酸基を有するものがより好ましい。
このような付着基34は、例えば、色粒子32の表面が極性基を有する材料に対しては、付着基34が有する水酸基と色粒子32の表面の極性基との間で水素結合を形成する。色粒子32の表面が極性基を多く持たない場合、例えば有機顔料などの材料であっても、付着基34が有する芳香環とのπ―π相互作用や、複数の付着基34の水酸基が縮合して生じた、分子構造内に付着基34由来の構造を複数有するオリゴマーが多点吸着することにより、容易に且つ強固に色粒子32の表面に付着することができる。
また、付着基34は、芳香環に直接または他の有機基を介して間接に結合する反応性官能基(第1の反応性官能基)を有することとしてもよい。このような有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖型あるいは分岐型のアルキル基やアゾ基などが挙げられ、さらにこれらの有機基と反応性官能基とは、シロキサン結合、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合等を介して結合されていてもよい。反応性官能基は、他分子が有する反応性官能基(第2の反応性官能基)と化学結合を生成する基である。このような基としては、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、水酸基を例示することができる。第1の反応性官能基が水酸基である場合、他分子が有する第2の反応性官能基と化学結合を生成すると、当該水酸基は、色粒子32に対する付着には用いられなくなる。
このような付着基34としては、カテコール環にカルボキシ基が結合した2,3−ジヒドロキシ安息香酸や3,4−ジヒドロキシ安息香酸、カテコール環にアミノ基が結合したドーパミンなどがエステル化した構造が好ましい。
このような反応性官能基を有する付着基34に対応した分子と、後述する改質基35に対応した構造を有しさらに第2の反応性官能基を有する分子と、を反応させることにより、種々の表面修飾部33を得ることができる。第2の反応性官能基としては、上述の第1の反応性官能基と化学結合を形成するものであれば種々のものを採用することができる。あるいは、第1の反応性官能基は異なる表面修飾部33同士の架橋に用いられてもよい。
付着基34は、芳香環に結合する重合開始基を有することとしてもよい。このような付着基34では、重合開始基を起点とした重合反応により、後述する改質基35を結合させることができる。このような重合開始基としては、リビング重合であるATRP(Atom Transfer Radical Polymerization:原子移動ラジカル重合)の開始基であるハロゲン化アルキル基を例示することができる。
重合開始基は、芳香環に直接結合していてもよく、上述した第1の反応性官能基に化学結合を介して結合していてもよい。後者の場合、例えば反応性官能基として水酸基を有する付着基34に対応した分子と、2−ブロモイソブチリルブロミド(2−Bromoisobutyryl Bromide:BIBB)とを反応させることで、芳香環に重合開始基が結合した付着基34とすることができる。
(2.改質基)
次に、改質基35について説明する。改質基35には、分散媒30に対する電気泳動粒子31の分散性(分散しやすさ)を改質するための分散基や、分散媒30における電気泳動粒子31の帯電を制御する帯電制御基が挙げられる。
(2−1.分散基)
分散基は、分散媒と親和性の高い高分子鎖を有している。親和性が高いとは、高分子鎖と分散媒が相分離することなく、相溶性に優れていることを意味している。このような高分子鎖を有する分散基は、分散媒中で広がりを持つことによって、粒子間の凝集を防止する立体排除効果を発現する。
用いる分散媒が炭化水素系溶媒である場合、分散基はポリオレフィン鎖のような炭化水素鎖を含むものが好ましい。ポリオレフィン鎖は、直鎖状であってもよく分岐していてもよい。ポリオレフィン鎖に対応するモノマーとしては、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等が挙げられる。ポリオレフィン鎖は、これらのモノマーのホモポリマーであってもよく、これらのモノマーが2種以上重合して得られる共重合体であってもよい。
また、用いる分散媒がシリコーンオイルである場合、分散基はポリシロキサン鎖を含むものが好ましい。ポリシロキサン鎖は、側鎖にメチル基、エチル基、プロピル基など炭素数1〜3のアルキル基を有していてもよい。また、分散基は、ポリシロキサン鎖を主鎖に含んでいてもよく、側鎖に含んでいてもよい。
分散基の分子量は、分散基を表面に有する電気泳動粒子31を分散媒30に分散させたときの挙動(粒子間の凝集や分散性)に応じて適宜調整するとよい。例えば、付着基が有する重合開始基を起点としたATRPにより分散基を調整する場合、反応させるモノマー量を調整することにより、分子量を調整することができる。
(2−2.帯電制御基)
帯電制御基は、色粒子32の帯電性を制御する機能を有する。
このような帯電制御基としては、前述したような機能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、電子が偏在した主骨格を有する分極基や、イオン対を形成する主骨格を有する帯電基が挙げられる。以下、これらについて詳述する。
(2−2−1.分極基)
まず、帯電制御基として用いられる分極基について説明する。
分極基は、主骨格と、この主骨格に結合した置換基とを有する有機基である。分極基では、(1)置換基の種類(電子吸引性基および電子供与性基のいずれか一方または両方)、(2)主骨格に対する結合数および(3)主骨格に対する結合位置のうちの少なくとも1つの条件を設定することにより、主骨格において電子を偏在(分極)させる。これにより、電気泳動粒子31の帯電状態を制御する。
例えば、主骨格の色粒子32と反対側の端部(以下、「主骨格の末端」と言う。)側に、置換基として電子吸引性基(電子吸引基)が結合した分極基では、電子が主骨格の色粒子32側より末端側に偏在するようになる。このような分極基が導入されると、色粒子32(電気泳動粒子31)は負に帯電する。
一方、主骨格の色粒子32側に、置換基として電子吸引基が結合した分極基では、電子が主骨格の末端側より色粒子32側に偏在するようになる。このような分極基が導入されると、色粒子32(電気泳動粒子31)は正に帯電する。
また、置換基として電子供与性基(電子供与基)が結合した分極基では、前述したのと反対の電子密度の偏りが生じるため、主骨格の末端側に電子供与性基が結合した分極基3が導入されると、色粒子32(電気泳動粒子31)は正に帯電し、主骨格の色粒子32側に電子供与性基が結合した分極基が導入されると、色粒子32(電気泳動粒子31)は負に帯電する。
そして、主骨格に結合する置換基の結合数が増えるにつれて、この電子密度の偏りは、増大する傾向を示す。
本実施形態の電気泳動粒子31では、改質基35として、このような電子密度の偏りが生じた分極基を色粒子32の表面に導入することにより、色粒子32を所望の帯電状態に制御(調整)することができる。色粒子32(電気泳動粒子31)の帯電状態としては、例えば、荷電の正負、荷電量、荷電の分布等が挙げられるが、特に、荷電の正負および荷電量の少なくとも一方の制御を容易に行うことができる。
分極基の主骨格においては、電子密度の偏りが生じ易い状態であるのが好ましい。したがって、主骨格は、π電子が非局在化した部分(構造)を有するものであるのが好ましい。これにより、主骨格において電子の移動が容易に生じるようになり、前述したような効果がより顕著に発揮される。
このπ電子が非局在化した部分は、全ての部分において共役二重結合が直線状に連続した構造であってもよいが、少なくとも一部に環状をなす環状構造を有するものが好ましい。これにより、主骨格において、電子の移動がより容易かつ円滑に生じるようになる。
このような環状構造には、各種のものが存在するが芳香環が好ましい。芳香環としては、芳香族炭化水素環であってもよく、芳香族複素環であってもよい。これらは単環であってもよく、縮環していてもよい。
主骨格がこれらの構造を有することにより、環状構造における電子密度の偏り(分極)が生じ易くなり、その結果、主骨格における電子密度の偏りをより顕著なものとすることができる。
さらに、主骨格は、その末端に環状構造を有し、環状構造に置換基が結合しているものが好ましい。これにより、環状構造における電子密度の偏り(分極)が生じ易くなり、その結果、主骨格における電子密度の偏りをより顕著なものとすることができる。
ここで、主骨格がその末端にベンゼン環を有する場合を一例に説明する。図4は、改質基35として分極基35aを用いる場合の表面修飾部33の模式図である。
I:ベンゼン環の2位〜6位のうちの少なくとも3位〜5位の3つの位置に、それぞれ、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図4(a)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、分極基35aの主骨格において電子が末端側(色粒子32とは反対側)に引き寄せられ、偏在するようになる。図4(a)では、2位〜6位の全ての位置に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は負に帯電する。
II:ベンゼン環の3位、4位および5位のうちの少なくとも1つの位置に、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図4(b)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、分極基35aの主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が末端側に引き寄せられ、偏在するようになる。図4(b)では、3位および4位の位置に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は負に帯電する。
III:ベンゼン環の2位および6位のうちの少なくとも1つの位置に、置換基として電子吸引性基Tが結合していると、図4(c)に示すように、電子吸引性基Tの存在により、分極基35aの主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が色粒子32側に引き寄せられ、偏在するようになる。図4(c)では、2位および6位の位置に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は正に帯電する。
IV:ベンゼン環の2位〜6位のうちの少なくとも3位〜5位の3つの位置に、それぞれ、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図4(d)に示すように、電子供与性基Gの存在により、分極基35aの主骨格において電子が色粒子32側に引き寄せられ、偏在するようになる。図4(d)では、2位〜5位の4つの位置に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は正に帯電する。
V:ベンゼン環の3位、4位および5位のうちの少なくとも1つの位置に、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図4(e)に示すように、電子供与性基Gの存在により、分極基35aの主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が色粒子32側に押しやられ、偏在するようになる。図4(e)では、4位に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は正に帯電する。
VI:ベンゼン環の2位および6位のうちの少なくとも1つの位置に、置換基として電子供与性基Gが結合していると、図4(f)に示すように、電子供与性基Gの存在により、分極基35aの主骨格(特に、ベンゼン環上)において電子が末端側に押しやられ、偏在するようになる。図4(f)では、2位に電子吸引性基Tが結合していることとして示している。このため、色粒子32は負に帯電する。
なお、前記IIの構成と前記VIの構成と、前記IIIの構成と前記Vの構成とは、それぞれ、組み合わせるようにしてもよい。これにより、分極基35aの主骨格(特に、ベンゼン環上)における電子密度の偏りを更に顕著なものとすることができる。
また、分極基35aの主骨格は、前述した環状構造1つのみで構成されていてもよく、複数の環状構造が直鎖状に結合した構造であってもよい。
電子吸引性基Tは、水素原子に比べて電子を強く引き寄せる(吸引する)傾向を示す置換基であればよい。
一方、電子供与性基Gは、水素原子に比べて電子を強く押しやる(供与する)傾向を示す置換基であればよい。
(2−2−2.帯電基)
次に、帯電制御基として用いられる帯電基について説明する。なお、前述した分極基と同様の事項については、その説明を適宜省略する。
図5は、改質基35として帯電基35bを用いる場合の表面修飾部33の模式図である。図に示すように帯電基35bは、主骨格36と、主骨格36に結合したイオン対37と、を有する有機基である。
帯電基35bは、イオン対37の種類を適宜設定することにより、その帯電極性や帯電量といった帯電特性を制御することができる。
すなわち、例えば、イオン対37全体が正の電荷を有する場合、このイオン対37を含む帯電基35bが導入されると、電気泳動粒子31は正に帯電する。一方、例えば、イオン対37全体が負の電荷を有する場合、このイオン対37を含む帯電基35bが導入されると、電気泳動粒子31は負に帯電する。
このうち、主骨格36は、付着基34とイオン対37との間に介在する分子構造である。このような主骨格としては、例えば炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、シロキサン結合、その他の結合等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が混在したものとされる。その他の結合には、例えば二重結合または三重結合のような不飽和結合等が含まれていてもよい。
なお、主骨格36の総炭素数は、特に限定されないが、2以上30以下程度であるのが好ましく、3以上20以下程度であるのがより好ましい。これにより、イオン対37が色粒子32から適度に離れて位置するようになり、その結果、帯電基35bの特性がより顕著に発揮されるようになる。なお、総炭素数が少なすぎると、色粒子32とイオン対37との離間距離を十分に確保することができず、イオン対37の帯電特性が色粒子32の影響を意図しないかたちで受けるおそれがある。一方、総炭素数が多すぎると、帯電基35bを色粒子32の表面に導入するのが困難となるおそれがある。
また、主骨格36の側鎖には、必要に応じて任意の置換基が結合していてもよいが、好ましくはアルキル基のような炭化水素基とされる。これにより、主骨格36が分散媒30に対して相溶し、伸張し易くなるため、イオン対37と色粒子32との離間距離を十分に確保することができる。
イオン対37は、カチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とが接近してなる会合体であり、カチオンとアニオンの組み合わせを適宜設定することにより、全体として正に帯電したり、負に帯電したりする。また、その帯電量を適宜調整することができる。したがって、イオン対37を含む帯電基35bを有することにより、電気泳動粒子31は、その帯電特性を自在に制御し得るものとなる。
このうち、カチオンとしては、例えば、有機窒素(アンモニウム)系カチオン、有機リン(ホスホニウム)系カチオン、有機硫黄(スルホニウム)系カチオン等が挙げられるが、特に有機窒素系カチオンが好ましく用いられる。有機窒素系カチオンは、構造の設計、変更が比較的容易であるため、帯電基35bの帯電特性を自在に制御するにあたって好適である。
一方、アニオンとしては、カルボン酸系アニオン、スルホン酸系アニオン、リン酸系アニオンおよびホウ素系アニオンからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これらの構造を含むアニオンを用いることにより、イオン対37の安定性がより高くなり、安定性に優れた電気泳動粒子31が得られる。
なお、上記のようにしてイオン対37全体の帯電極性を設定することができる他、用いるイオンの種類に応じてイオン対37の解離度を制御し、解離度に相関関係を有する帯電量も制御することができる。
以上説明したような帯電制御基は、色粒子32の表面のうち、分散基が導入されている領域以外の領域に導入することができ、その領域の少なくとも一部に導入されていればよい。その導入量は、電気泳動粒子31の目的とする帯電特性に応じて決められる。すなわち、帯電制御基の導入量は、電気泳動粒子31が所望の帯電特性となるように調整される。
また、帯電制御基の色粒子32の表面への導入量は、色粒子32の質量と帯電制御基の質量との合計質量に対する比率(wt%)で表すと、0.1〜20wt%程度であるのが好ましく、0.1〜10wt%程度であるのがより好ましく、0.1〜5wt%程度であるのがさらに好ましい。帯電制御基の導入量を前記範囲とすることにより、色粒子32の帯電状態をより確実に所望のものに制御(調整)することができる。
また、電気泳動粒子31の分散媒30中における分散性を優れたものとする観点から、分散基および帯電制御基の合計含有量は、色粒子32(母粒子)100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
また、色粒子32の表面における帯電制御基が結合している領域の占有率は、前述した色粒子32の表面における分散基が結合している領域の占有率よりも小さいことが好ましい。これにより、帯電制御基が分散基に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。
また、帯電制御基の分子量は、分散基の分子量よりも小さいことが好ましい。これにより、帯電制御基が分散基に起因する分散性を阻害するのを防止または抑制することができる。また、色粒子32の表面における分散基が結合している領域の占有率を小さくすることができることから、母粒子の表面に分極基を導入し得る領域を十分に確保することができる。そのため、帯電性の制御の幅を広くすることができる。
(2−3.その他)
改質基35として、分散基と帯電制御基とを分けて説明したが、1つの改質基がこれらの基を両方含むものとしてもよい。例えば、分散基の末端に帯電制御基を有する基を改質基35として用いることとしてもよい。
上述したように、例えば付着基34が有する第1の反応性官能基と、改質基35に対応し第2の反応性官能基を有する分子とを縮合反応させ、化学結合を生成することで、これらの改質基35を有する表面修飾部33を調整することができる。
また、表面修飾部33として、付着基34を1つ有する例を示したが、例えば、付着基34を2以上有する表面修飾部33を用いてもよい。例えば、炭化水素鎖の側鎖に付着基34が複数結合し、各付着基34にそれぞれ改質部35が結合したような高分子化合物を表面修飾部33として用いてもよい。
[電気泳動粒子の製造方法]
上述した電気泳動粒子31は、色粒子32を分散媒中に分散させた分散液に、表面修飾部33に対応する分子を溶解した溶液を加え、色粒子32の表面に表面修飾部33を付着させることで製造可能である。
表面修飾部33に対応する分子としては、1種のみ用いることとしてもよく、2種以上を併用してもよい。表面修飾部33に対応する分子を2種以上用いる場合、色粒子32を分散させた分散液に2種以上の分子を同時に加えて色粒子32の表面に付着させてもよく、1種ずつ段階的に加えて表面修飾部33に対応する分子を段階的に色粒子32の表面に付着させてもよい。
また、まず色粒子32を分散媒中に分散させた分散液に、付着基34に対応する分子を溶解した溶液を加え、色粒子32の表面に付着基34に対応する分子を付着させ、次いで付着基34と、改質基35に対応する分子を反応させて色粒子32の表面で表面修飾部33を生成させることで製造可能である。
これらの電気泳動粒子31の製造において、分散媒や溶媒は、分散媒30と同じものを用いるとよい。
上記方法により色粒子32の表面に表面修飾部33が付着したかどうかについては、上記方法による生成物(粒子)を分取した後、NMR測定、IR測定、Raman分光測定、質量分析、GPC分析により確認することができる。
例えば、生成物(粒子)を洗浄した後にIR測定を行うことで、エステルや芳香環特有の吸収を確認できれば、対応する表面修飾部が色粒子32に付着したと判断できる。また、生成物(粒子)から表面修飾部を単離することができれば、単離した物質についてNMR測定や質量分析を行うことで、分子構造を推測することが可能であり、GPC分析により分子量を推測することが可能である。
[電気泳動表示装置の製造方法]
続いて、上述のように形成した電気泳動粒子31を用いて電気泳動表示装置100を製造する方法について図6、7を参照して説明する。図6、7は、電気泳動表示装置100の製造工程を示す断面図である。
まず、図6(a)に示すように、まず、セルマトリクス4を用意する。本実施形態では、予めセルマトリクス4の基部13側の面に接着層20を介して素子基板1が貼り付けられたものを用いる。
次に、図6(b)に示すように、セルマトリクス4の各セル15内に電気泳動層11を供給する。本実施形態では、複数の電気泳動粒子31と分散媒30とを有する分散液を各セル15内に配置する。
なお、各セル15内への電気泳動層11の供給は、例えば、ディスペンサを用いた滴下法、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の各種塗布法が挙げられるが、これらの中でも、滴下法、又はインクジェット法を用いるのが好ましい。滴下法、又はインクジェット法によれば、電気泳動層11を目的とする収容部に対して選択的に供給することができることから、セル15内に無駄なく、且つより確実に供給することができる。
次に、図6(c)に示すように、電気泳動層11が供給されたセルマトリクス4の開口部側を封止膜5の形成材料であるPVAで覆って、セルマトリクス4の各セル15内に電気泳動層11を封じ込める。本実施形態では、セル15内に電気泳動層11を供給した後で、一定の待機時間を設けた後、上記封止工程を行うようにしている。これにより、セル15の中心部において電気泳動層11の表面(即ち、液面)を低下させることができ、その断面視による形状を凹状にすることができる。
封止膜5の成膜方法は、例えば下記の通りである。すなわち、PVAを例えば水、又は親水性の液体(一例として、メタノール又はエタノール)に溶かして液状にし、封止液を作成する。例えば、PVAを水に溶かして3質量%〜40質量%の封止液を作成する。次に、この封止液5Aをセルマトリクス4の開口部側に塗布する。電気泳動層11は親油性であり、封止液5Aは親水性であり、電気泳動層11と封止液5Aは混和しない。
なお、封止液5Aの塗布工程では、例えば、スキージ17を用いてセルマトリクス4の開口部側の全面に封止液5Aを一様に塗布する。また、封止液5Aの塗布方法は、これ以外の方法でもよく、例えば、ダイコーターやコンマコーターを用いた塗布方法が挙げられる。
なお、封止液5Aに架橋剤を添加するようにしてもよい。架橋剤としては、例えば、ホウ酸水溶液を添加する。ホウ酸水溶液にはホウ酸イオンが含まれている。封止液5Aにおいて、ホウ酸イオンはPVAの分子同士を連結(即ち、ゲル化)させる。このゲル化は多点の分子間力(水素結合、配位結合、共有結合など)によるものである。これにより、封止液5Aの粘度を例えば1000mPa・s以上にすることができ、ゲル状のPVA水溶液を得ることができる。これにより、封止液5Aの取り扱いが容易となり、製造工程を簡便化することができる。
次に、図7(a)に示すように、塗布した封止液5Aを乾燥して硬化させる。例えば、封止液5Aを室温〜50℃程度の温度環境下に放置して、これを乾燥させて硬化させる。
乾燥処理の所要時間は、封止液5Aの厚さにもよるが、例えば数分から数時間程度である。封止液5Aの膜中におけるPVAの濃度が高いため、封止液5Aの乾燥を自然乾燥、又は比較的低温で行うことができる。以上により、セル15内に供給された電気泳動層11の露出部分上に封止膜5が形成される。これにより、電気泳動層11がセル15内に密閉性高く封止されることとなる。この乾燥処理では、封止液5Aに含まれる水分が揮発(すなわち、蒸発)するため、封止膜5の厚さが塗布直後と比較して薄くなる(図6(c)、図7(a)参照)。
次に、図7(b)に示すように、対向電極6を有する対向基板2を用意する。本実施形態では、電気泳動表示装置100に可撓性を付与するため、対向基板2として可撓性を有する樹脂基板を選択した。そして、対向基板2を不図示の接着層を用いてセルマトリクス4に貼り付ける。その後、対向基板2の外周を囲むように不図示のシール材を配置する。
以上の工程を経て、図1に示した電気泳動表示装置100が完成する。
以上のような構成の電気泳動粒子によれば、安定した帯電性や良好な分散性を有する電気泳動粒子を提供することができる。
また、以上のような構成の分散液によれば、安定した帯電性や良好な分散性を有する電気泳動粒子が分散媒に分散されているので、分散液自体も信頼性の高いものとなる。
また、以上のような構成の電気泳動表示装置によれば、上述の分散液を含むので、良好な表示特性を有した信頼性の高いものとなる。
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。
図8は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図8(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック(電子機器)400は、ブック形状のフレーム401と、このフレーム401に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー402と、操作部403と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部404と、を備えている。
図8(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計(電子機器)500は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部501を備えている。
図8(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー(電子機器)600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部601と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部602を備えている。
以上の電子ブック400、腕時計500及び電子ペーパー600によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、経時変化が少なく長期に亘って高品質の表示が可能な電子機器となる。
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部や、マニュアル等の業務用シート、教科書、問題集、情報シート等にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、電気泳動表示装置100として、素子基板1と対向基板2との間に設けられたセル15内に電気泳動層(分散液)11が収容された構造を例に挙げたが、これに限定されず、電気泳動粒子および分散媒を収容したマイクロカプセルを素子基板1と対向基板2との間に配置した構成を採用してもよい。
11…電気泳動層、30…分散媒、31…電気泳動粒子、32…色粒子、33…表面修飾部、35…改質基、100…電気泳動表示装置、400…電子ブック(電子機器)、500…腕時計(電子機器)、600…電子ペーパー(電子機器)

Claims (14)

  1. 分散媒に分散して電気泳動表示装置に用いる分散液を構成する電気泳動粒子であって、
    色粒子と、
    前記色粒子の表面を修飾する表面修飾部と、を備え、
    前記表面修飾部は、水酸基が結合した芳香環を含む付着基と、前記付着基に結合し前記分散媒における前記色粒子の分散状態を改質する改質基と、を有する電気泳動粒子。
  2. 前記芳香環は、2つの水酸基が結合している請求項1に記載の電気泳動粒子。
  3. 前記付着基は、前記芳香環を構成する原子のうち隣り合う2つの原子に水酸基が結合している請求項2に記載の電気泳動粒子。
  4. 前記付着基は、カテコール環を含む請求項3に記載の電気泳動粒子。
  5. 前記付着基は、前記芳香環に結合する第1の反応性官能基を有し、
    前記改質基は、前記第1の反応性官能基と化学結合を生成する第2の反応性官能基を有し、
    前記付着基と前記改質基とが化学結合で結合している請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  6. 前記付着基は、前記芳香環に結合する重合開始基を有し、
    前記改質基は、前記重合開始基を起点として重合した高分子鎖を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  7. 前記改質基は、炭化水素系溶媒に対して親和性のある炭化水素鎖を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  8. 前記改質基は、シリコーンオイルに対して親和性のあるシロキサン鎖を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  9. 前記改質基は、帯電性を制御する帯電制御基を含む請求項1から8のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  10. 前記表面修飾部は、前記付着基を2以上有する請求項1から9のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  11. 前記表面修飾部は、前記改質基を2種以上有する請求項1から10のいずれか1項に記載の電気泳動粒子。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の電気泳動粒子と、
    前記電気泳動粒子が分散する分散媒と、を備える分散液。
  13. 一対の基板と、
    前記一対の基板間に挟持された電気泳動層と、を備え、
    前記電気泳動層が請求項12に記載の分散液を含む電気泳動表示装置。
  14. 請求項13に記載の電気泳動表示装置を備えた電子機器。
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