JP6255789B2 - インプリント方法およびインプリント装置 - Google Patents
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Description
このようなインプリント方法では、モールドと転写基板とを所定の距離まで近接させたときに、両者が近接対向する領域の外へ被成形樹脂がはみ出し、これが異物となる場合がある。例えば、モールドよりも大面積の転写基板の全面にスピンコート法等で被成形樹脂を塗布し、モールドを用いてステップ/リピートにより繰り返しインプリントを行う場合、モールドの外側にはみ出した被成形樹脂の硬化物が異物となり、モールドやパターン構造体に損傷を与えるという問題がある。このような問題に対し、遮光部材を側面に備えるモールドを使用することにより、はみ出した被成形樹脂の光硬化を低減、抑制して、異物の発生を防止することが提案されている(特許文献1)。
また、使用するモールド(例えば、マスターモールド)がメサ構造を有し、上記の特許文献1に記載されているようにメサ構造の側面に遮光部材を備える場合、硬化後の被成形樹脂とモールドを引き離す際に、メサ構造の外側へはみ出した被成形樹脂は、未硬化の状態にある。このため、モールドとの離型時に未硬化の被成形樹脂が飛散したり尾引を生じ、モールドやパターン構造体に異物が付着して欠陥を生じるおそれがある。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、メサ構造を有するモールドおよび/または転写基板を用いてパターン構造体を高い精度で形成するためのインプリント方法、および、インプリント装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記転写基板に形成されたパターン構造体について、前記転写基板が有する前記凸構造部の外側へのはみ出しまたは前記モールドが有する前記凸構造部に対応する領域の外側へのはみ出しが認められる場合に、前記検査部は、前記モールドに異物が付着しているか否かの検査と、前記転写基板に形成された前記パターン構造体に異物が付着しているか否かの検査とをさらに行うような構成とした。
本発明の他の態様として、前記検査部は、計測部と、該計測部による計測情報を取得する取得部と、前記モールドおよび前記転写基板の情報を記憶する記憶部と、前記取得部により取得された前記計測情報および前記記憶部に記憶されている情報に基づいて前記モールドおよび前記パターン構造体の状態を特定する特定部と、前記特定部で生成された情報に基づいてインプリントの続行あるいは中止、および、前記パターン構造体の使用あるいは廃棄を判断する判断部とを有するような構成とした。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1および図2は、本発明のインプリント方法の一実施形態を説明するための工程図である。
本実施形態では、パターン構造体が形成される領域が周囲の領域よりも突出した状態であるメサ構造を有する転写基板を使用する。図示例では、転写基板11は、基部12の一方の面12aに位置する凸構造部13を有しており、この凸構造部13の表面13aはパターン構造体が形成される領域であり、周囲の領域12aよりも突出した状態であるメサ構造となっている(図1(A))。尚、転写基板に存在するメサ構造は1つのみであってよく、また、所定の間隔を隔てて複数並んで存在していてもよい。さらに、メサ構造の突出状態は2段以上の多段であってもよい。
本発明では、まず、樹脂供給工程にて、上記のような転写基板11の凸構造部13上の所望の領域に、インクジェット方式により、被成形樹脂31の液滴を吐出して供給する(図1(A))。転写基板11に供給する被成形樹脂31の液滴の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる被成形樹脂の総量、後工程である接触工程におけるモールド21と転写基板11との間隙等から適宜設定することができる。
次に、離型工程にて、転写樹脂層34とモールド21を引き離して、転写樹脂層34であるパターン構造体41を転写基板11上に位置させた状態とする(図1(D)、図2(A)〜図2(C))。
尚、図1および図2に示される例では、パターン構造体41が凸部を有しているが、後述するように、パターン構造体41が凹部を有するものであってよいことは、勿論である。
この検査工程は、離型工程が終了(ステップS100)し、パターン構造体41が転写基板11上に位置する状態で開始する。検査工程では、まず、転写基板11の凸構造部13の外側へのパターン構造体41のはみ出しの有無を判定する(ステップS101)。
この判定の結果、パターン構造体41のはみ出しが認められない場合(No)には、パターン構造体41を用いた次工程の進行を決定する。そして、モールド21に異物が付着しているか否かを判定し(ステップS102)、モールド21への異物の付着が認められない場合(No)には、インプリントの続行と、パターン構造体41を用いた次工程の進行を決定する(ステップS103)。これにより検査工程を終了する(ステップS112)。パターン構造体41を用いた次工程とは、例えば、パターン構造体41をエッチングマスクとして転写基板11の凸構造部13をエッチングして、モールド21が有する凹凸構造24が逆転した凹凸構造を転写基板11に形成するような工程、さらに、このようにエッチングで凹凸構造が形成された転写基板11をレプリカモールドとして使用するインプリント等が挙げられる。また、上記のモールド21に異物が付着しているか否かの判定(ステップS102)で、付着が認められる場合、インプリントの中止と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定し(ステップS109)、検査工程を終了する(ステップS112)。
この判定(ステップS104)の結果、モールド21への異物の付着が認められない場合(No)、転写基板11の凸構造部13上に位置するパターン構造体41に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS105)。そして、この判定で、凸構造部13上に位置するパターン構造体41への異物の付着も認められない場合(No:図1(D)参照)には、インプリントの続行と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定する(ステップS103)。これにより検査工程を終了する(ステップS112)。
このような判定の結果、異物Pが次工程で問題とならないと判断された場合(No)、インプリントの続行と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定し(ステップS103)、検査工程を終了する(ステップS112)。また、この判定(ステップS106)で、異物Pの存在が重大であれば、インプリントの続行を決定するが、パターン構造体41を用いた次工程への進行は中止する(ステップS107)。これにより検査工程を終了する(ステップS112)。パターン構造体41を用いた次工程への進行を中止した場合、形成したパターン構造体41を除去して転写基板11を再利用することも可能である。
尚、本発明では、図3の検査工程を示すフローチャートにおいて、モールドへの異物付着の有無の判定(ステップS104)と、パターン構造体への異物付着の有無の判定(ステップS105、ステップS108)とを入れ替えてもよい。すなわち、ステップS104でパターン構造体への異物付着の有無の判定を行い、ステップS105、ステップS108にて、モールドへの異物付着の有無の判定を行うものであってよい。
この検査工程は、離型工程が終了(ステップS200)し、パターン構造体41が転写基板11上に位置する状態で開始する。検査工程では、まず、モールド21に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS201)。
この判定(ステップS201)の結果、モールド21への異物の付着が認められない場合(No)、インプリントの続行を決定する。そして、転写基板11の凸構造部13の外側へのパターン構造体41のはみ出しの有無を判定し(ステップS202)、パターン構造体41のはみ出しが認められない場合(No)には、インプリントの続行と、パターン構造体41を用いた次工程の進行を決定する(ステップS203)。これにより検査工程を終了する(ステップS212)。
一方、上記の判定(ステップS204)で、凸構造部13上に位置するパターン構造体41への異物の付着が認められる場合(Yes:図2(A)参照)には、パターン構造体41に付着した異物Pが、パターン構造体41を用いた次工程で問題とならないか否かを判定する(ステップS205)。この判定は、図4および図5参照して上述したように、次工程において異物Pの存在により発生する欠陥箇所の位置が、最終製品における欠陥等に結びつくか否かを判断して行われる。このような判定の結果、異物Pが次工程で問題とならないと判断された場合(No)、インプリントの続行と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定し(ステップS203)、検査工程を終了する(ステップS212)。また、この判定(ステップS205)で、異物Pの存在が重大であれば、インプリントの続行を決定するが、パターン構造体41を用いた次工程への進行は中止する(ステップS206)。これにより検査工程を終了する(ステップS212)。パターン構造体41を用いた次工程への進行を中止した場合、形成したパターン構造体41を除去して転写基板11を再利用することも可能である。
また、パターン構造体41のはみ出しの有無の判定(ステップS207)の結果、パターン構造体41のはみ出しが認められる場合(Yes)には、転写基板11の凸構造部13上に位置するパターン構造体41に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS208)。そして、この判定で、凸構造部13上に位置するパターン構造体41への異物の付着は認められない場合(No:図2(B)参照)、インプリントの中止と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定する(ステップS209)。これにより検査工程を終了する(ステップS212)。
この検査では、転写基板11の凸構造部13の周縁部の設計情報、あるいは、この設計情報に基づき予測された検査シミュレーション結果、あるいは、インプリント前に予め検出した転写基板11の凸構造部13の周縁部の位置情報を基準情報とする。そして、パターン構造体41の周縁部の位置を計測した結果と上記の基準情報とを対比することにより、はみ出しの有無、位置を検出することができる。
(1)検出光を照射して反射光を受光部で検出しながら検査対象を走査し、反射光の検出の有無、および/または、反射光の反射強度の低下に基づいて、パターン構造体41の周縁部を検出する。
(2)反射率、透過率、屈折率等の光学特性の変化に基づいて、パターン構造体41の周縁部を検出する。転写基板11の凸構造部13に検出光を照射した場合の反射率、透過率、屈折率等の光学特性は、パターン構造体41が存在する領域と、パターン構造体41が存在しない領域とで相違しており、この相違を検出することにより、パターン構造体41の周縁部を検出する。
(3)画像情報の差分や変化に基づいて、パターン構造体41の周縁部を検出する。
(4)原子間力顕微鏡(AMF)等による接触計測により、パターン構造体41の周縁部を検出する。
さらに、パターン構造体41のはみ出しの存在が認められた場合、上記のような検査手段で得られた位置情報を更に処理して、例えば、辺の真直度や対向する辺との平行度、辺の距離、凸構造部を上面から見たときの頂点の角度の変化から、検査対象の形状の情報を生成してもよい。これにより、パターン構造体41のはみ出し部位の形状、寸法を把握することができ、例えば、被成形樹脂の液滴の供給位置の修正等、工程管理にフィードバックすることができる。例えば、辺の距離が変化して大きくなったという情報は、はみ出しが生じて、辺の両端に存在する点の位置が凸構造体の外側へずれたことを意味する。したがって、このような情報が生成された場合、凸構造体の頂点方向に向かう被成形樹脂の量が減少するような調整を行うようにフィードバックすることができる。
尚、上記のようにインプリント前に予め転写基板11の凸構造部13の周縁部を検出する方法としては、例えば、上記の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
まず、モールド21への異物付着の有無の検査では、モールド21の凹凸構造領域A(図1(B)参照)に位置する凹凸構造24の設計情報、および、凹凸構造領域Aの周囲の設計情報、あるいは、インプリント前に予め検出したモールド21が有する凹凸構造の位置情報を基準情報とする。そして、凹凸構造領域Aが設定されたモールド21の面22aを計測し、この結果と上記の基準情報とを対比することにより、異物の有無、存在位置を検出することができる。
モールド21の面22aの計測としては、例えば、下記の(A)〜(D)の手段が挙げられる。
(A)検出光を照射して反射光を受光部で検出しながら検査対象を走査し、反射光の検出の有無、および/または、反射光の反射強度の低下に基づいて、異物の存在を検出する。
(B)反射率、透過率、屈折率等の光学特性の変化に基づいて、異物の存在を検出する。モールド21に検出光を照射した場合の反射率、透過率、屈折率等の光学特性は、異物の有無により相違しており、この相違を検出することにより、異物の存在を検出する。
(C)画像情報の差分や変化に基づいて、異物の存在を検出する。
(D)原子間力顕微鏡(AMF)等による接触計測により、異物の存在を検出する。
尚、上記のようにモールド21の凹凸構造の位置情報を得るために、インプリント前に予めモールド21が有する凹凸構造を検出する方法としては、例えば、上記の(A)〜(D)の方法が挙げられる。
上記のようなモールドの検査、パターン構造体の検査は、別途に実施してもよい。例えば、モールドの検査をインプリント装置内部で実施し、パターン構造体の検査をインプリント装置外部で実施してもよい。
図7および図8は、本発明のインプリント方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
本実施形態では、図7(A)に示されるように、メサ構造を有していない平板形状の転写基板61を使用する。このような転写基板61の材質は、上述の転写基板11と同様とすることができる。また、本実施形態では、凹凸構造を有する領域が周囲の領域よりも突出した状態であるメサ構造を有するモールドを使用する。図示例では、モールド71は、基部72の一方の面72aに位置する凸構造部73を有しており、この凸構造部73の表面73aは凹凸構造74を有する領域であり、周囲の領域72aよりも突出した状態であるメサ構造となっている。このようなモールド71の材質は、上述のモールド21と同様とすることができる。
次に、接触工程にて、転写基板61とモールド71を近接させて、転写基板61とモールド71との間に被成形樹脂81の液滴を展開して被成形樹脂層82を形成する(図7(B))。尚、図7(B)では、転写基板61とモールド71との間に形成された被成形樹脂層82にはみ出しが生じている状態を示している。このはみ出し部分は、転写基板61の表面61a上に濡れ広がりを生じ、一部がモールド71の凸構造部73の側壁に位置している。
次いで、硬化工程にて、被成形樹脂層82を硬化させて、モールド71の凹凸構造74が転写された転写樹脂層84とする(図7(C))。この硬化工程では、使用する被成形樹脂が光硬化性樹脂であれば、モールド71側から光照射を行うことにより被成形樹脂層82を硬化させることができる。また、転写基板61が光透過性の材料からなる場合、転写基板61側から光照射を行ってもよく、さらに、転写基板61とモールド71の両側から光照射を行ってもよい。一方、使用する被成形樹脂が熱硬化性樹脂であれば、被成形樹脂層82に対して加熱処理を施すことにより硬化させることができる。
次いで、検査工程を開始する。以下に、図7(D)、図8(A)〜図8(C)および図3を参照しながら、検査工程を説明する。
この検査工程は、離型工程が終了(ステップS100)し、パターン構造体91が転写基板61上に位置する状態で開始する。検査工程では、まず、モールド71の凸構造部73に対応する転写基板61の領域B(図7(D)、図8(A)〜図8(C)参照)の外側へのパターン構造体91のはみ出しの有無を判定する(ステップS101)。
この判定の結果、パターン構造体91のはみ出しが認められない場合(No)には、パターン構造体91を用いた次工程の進行を決定する。そして、モールド71に異物が付着しているか否かを判定し(ステップS102)、モールド71への異物の付着が認められない場合(No)には、インプリントの続行と、パターン構造体91を用いた次工程の進行を決定する(ステップS103)。これにより検査工程を終了する(ステップS112)。
この判定(ステップS104)の結果、モールド71の凸構造部73への異物の付着が認められない場合(No)、転写基板61の領域B上に位置するパターン構造体91に異物が付着しているか否かを判定する(ステップS105)。そして、この判定で、パターン構造体91への異物の付着も認められない場合(No:図7(D)参照)には、インプリントの続行と、パターン構造体を用いた次工程の進行を決定し(ステップS103)、検査工程を終了する(ステップS112)。
また、本実施形態のように、メサ構造を有していない平板形状の転写基板と、メサ構造を有するモールドを使用する場合であっても、上述の第1の実施形態と同様に、図3の検査工程を示すフローチャートにおいて、モールドへの異物付着の有無の判定(ステップS104)と、パターン構造体への異物付着の有無の判定(ステップS105、ステップS108)とを入れ替えてもよい。
さらに、検査工程の最初の検査として、モールド71に異物が付着しているか否かを判定し、以下、図6に示すフローチャートに沿って検査工程を実施してもよい。
図9〜図11は、本発明のインプリント方法の他の実施形態を説明するための図である。
本実施形態では、メサ構造を有している転写基板、メサ構造を有しているモールドを使用する。
図9は、本実施形態において、接触工程が終了した状態の一例を示す図であり、上述の図1(C)、図7(C)に相当する図である。図示のように、転写基板11′は、基部12′の一方の面12′aに位置する凸構造部13′を有しており、この凸構造部13′の表面13′aはパターン構造体が形成される領域であり、周囲の領域12′aよりも突出した状態であるメサ構造となっている。また、モールド71′は、基部72′の一方の面72′aに位置する凸構造部73′を有しており、この凸構造部73′の表面73′aは凹凸構造74′を有する領域であり、周囲の領域72′aよりも突出した状態であるメサ構造となっている。この例では、転写基板11′の凸構造部13′の表面13′aが、モールド71′の凸構造部73′の表面73′aよりも小さい場合を示している。この場合、モールド71′と転写基板11′との間に展開した被成形樹脂層にはみ出しが生じると、このはみ出し部分は、転写基板11′の凸構造部13′の側壁に濡れ広がり、硬化工程で硬化され形成される転写樹脂層34′のはみ出し部分は、転写基板11′の凸構造部13′の側壁部に位置する。このため、凹凸構造体のはみ出し部分は、上述の第1の実施形態(転写基板はメサ構造を有し、モールドはメサ構造を有していない図1および図2に示される例)と同様と見なすことができる。したがって、離型工程後の検査工程は、上述の図1(D)、図2(A)〜図2(C)、図4(A)〜図4(D)、図5(A)〜図5(D)、および、図3、あるいは、図6を用いて説明した検査工程と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
上述のような本発明のインプリント方法は、メサ構造を有するモールドおよび/または転写基板を用いて、高精度のパターン構造体を安定して作製することができるとともに、モールドの破損等を防止することができる。
尚、上述のインプリント方法の実施形態は例示であり、本発明のインプリント方法はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明では、転写基板としてウエハを使用し、インプリントリソグラフィーにより半導体装置を製造することができる。
図12は本発明のインプリント装置の一実施形態を示す側面概略構成図である。
本発明のインプリント装置は、凹凸構造を有する領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有するモールド、および/または、パターン構造体が形成される領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有する転写基板を用いたインプリントを実施することができるインプリント装置である。この図12では、上述の本発明のインプリント方法で説明したメサ構造を有する転写基板11と、メサ構造を有していないモールド21を使用する例としている。
図12において、本発明のインプリント装置101は、モールド21を保持するためのモールド保持部102と、転写基板11を保持するための基板保持部104と、転写基板11上に被成形樹脂を供給する樹脂供給部106と、検査部108を有している。尚、図12では、上述の本発明のインプリント方法における離型工程が終了し、検査工程が行われる状態を示しているが、転写基板11上に形成されているパターン構造体は省略している。
インプリント装置101を構成するモールド保持部102は、モールド21を保持するものであり、その保持機構は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等であってよく、特に制限はない。また、モールド保持部102は、昇降機構103により図示の矢印Z方向で昇降可能とされていてもよい。このようなモールド保持部102の上方には、被成形樹脂として光硬化性樹脂を使用した場合の樹脂硬化のための図示しない光源、光学系が配設されていてもよい。
(基板保持部104)
インプリント装置101を構成する基板保持部104は、転写基板11を保持するものであり、転写基板11の保持機構は、例えば、吸引による保持機構、機械挟持による保持機構、静電気による保持機構等であってよく、特に制限はない。この基板保持部104は、図示しない駆動機構部によってXYステージ105上を水平面内で移動可能とされている。したがって、図示例では、後述する計測部109による検査を行う位置に基板保持部104が存在するが、XYステージ105上を水平面内で移動して、モールド保持部102の下方のインプリント位置、樹脂供給部106の下方の供給位置に移動可能である。
インプリント装置101を構成する樹脂供給部106は、基板保持部104に保持された転写基板11上に被成形樹脂の液滴を供給するものであり、インクジェット装置(図示例ではインクジェットヘッド107のみを示している)を備えている。液滴供給部106が備えるインクジェット装置は、基板保持部104に保持された転写基板11上に被成形樹脂の液滴を供給するためのインクジェットヘッド107の所望の動作、例えば、XYステージ105の水平面に平行な面内での往復動作等を可能とする駆動部、インクジェットヘッド107へのインク供給部、および、インクジェットヘッド107と駆動部やインク供給部を制御する制御部等を具備している。
インプリント装置1を構成する検査部108は、転写基板11に形成されるパターン構造体を検査するための計測部109と、モールド21を検査するための計測部110とを備えている。本実施形態では、検査部108は、図13に示すような処理ユニット111を備えている。図13において、検査部108が備える処理ユニット111は、計測部109、計測部110による計測情報を取得する取得部111Aと、転写基板11とモールド21の情報を記憶する記憶部111Bと、取得部111Aからの情報と記憶部111Bからの情報に基づいてモールドおよびパターン構造体の状態を特定する特定部111Cと、この特定部111Cで生成された情報に基づいて、計測部109、計測部110による追加の計測、インプリントの続行、中止、および、パターン構造体の使用、廃棄等を判断する判断部111Dと、判断部111Dでの判断結果を外部出力装置112を用いて出力する出力部111Eと、を有している。また、特定部111Cは、取得部111Aからの情報を更に処理して、例えば、辺の真直度や対向する辺との平行度、辺の距離、凸構造部を上面から見たときの頂点の角度の変化から、検査対象の形状の情報を生成するものであってもよい。これにより、パターン構造体のはみ出し部位の形状、寸法を把握することができ、判断部111Dにより、樹脂供給部106における被成形樹脂の液滴の供給位置の修正の要否等を判断可能とすることができる。
上記の計測部109は、図示例では、検査光を照射する照射部109a、検査対象で反射した検査光を受光する受光部109b、および、これらを制御する制御部(図示せず)を有している。このような計測部109を備える検査部108では、計測部109の照射部109aから検査対象に照射した検出光を受光部109bで検出し、反射光の検出の有無、および/または、反射光の反射強度の低下を計測する。この計測情報は、処理ユニット111の取得部111Aを介して特定部111Cへ送られる。特定部111Cでは、取得部111Aからの情報と、記憶部111Bに記憶されている転写基板11の情報から、パターン構造体の周縁部を検出する。この特定部111Cで生成された情報に基づいて、判断部111Dは、パターン構造体にはみ出しが存在しないと判断した場合には、インプリントの続行等を判断し、判断結果を出力部111Eより出力装置112を用いて出力することができる。これに対して、特定部111Cで生成された情報に基づいて、判断部111Dが、パターン構造体にはみ出しが存在し、パターン構造体への異物付着の有無の検査が必要であると判断した場合には、計測部109に計測の指示情報を送る。
また、上記のような計測部109を備える検査部108では、計測部109の照射部109aから検査対象に検出光を照射し、検査対象の反射率、屈折率等の光学特性の変化を測定し、上述の処理ユニット111により、光学特性が変化する境界をパターン構造体の周縁部として検出することができる。
さらに、転写基板11に形成されるパターン構造体を検査するための計測部109は、上記の照射部109a、受光部109bに代えて、原子間力顕微鏡(AMF)等の接触計測部と、これを制御する制御部とを有するものであってもよい。この場合、段差の計測情報に基づいて、上述の処理ユニット111により、パターン構造体の周縁部を検出することができる。
このような計測部110を備える検査部108では、計測部110の照射部110aからモールド21に照射した検出光を受光部110bで検出し、透過光の検出の有無、および/または、透過光の強度の低下を計測する。この計測情報は、処理ユニット111の取得部111Aを介して特定部111Cへ送られる。特定部111Cでは、取得部111Aからの情報と、記憶部111Bに記憶されているモールド21の情報に基づいて、モールド21における異物付着の有無を検出する。この特定部111Cで生成された情報に基づいて、判断部111Dは、インプリントの続行、中止等を判断し、判断結果を出力部111Eより出力装置112を用いて出力することができる。
また、モールド21を検査するための計測部110は、上記の照射部110a、受光部110bに代えて、モールド21の凹凸構造領域の表面状態を画像情報として取り込む撮像部と、これを制御する制御部とを有するものであってもよい。この場合、画像情報の差分や変化に基づいて、上述の処理ユニット111により、モールド21における異物付着の有無を検出することができる。
さらに、モールド21を検査するための計測部110は、上記の照射部110a、受光部110bに代えて、原子間力顕微鏡(AMF)等の接触計測部と、これを制御する制御部とを有するものであってもよい。この場合、段差の計測情報に基づいて、上述の処理ユニット111により、モールド21における異物付着の有無を検出することができる。
このような計測部110によるモールド21の検査は、通常、上述の計測部109によるパターン構造体の検査にて、転写基板11が有する凸構造部13の外側へのパターン構造体のはみ出しが検出された場合に実施する。しかし、計測部109によるパターン構造体の検査の結果とは別個に、所望の時期に実施することも可能である。
上述のような本発明のインプリント装置は、メサ構造を有するモールドおよび/または転写基板を用いたインプリント方法により、高精度のパターン構造体を安定して作製することができるとともに、モールドの破損等を防止することができる。
また、本発明のインプリント装置は、計測部109によるパターン構造体の検査を、モールド保持部102の下方のインプリント位置で行うように構成されていてもよい。この場合、モールドとパターン構造体との引き離しが完了した後、モールド保持部102を昇降機構103によりZ方向上方に上昇させ、計測部109によるパターン構造体の検査を実施するための空間を確保することができる。また、この場合、計測部109が計測部110を兼ねるように構成してもよい。
13…凸構造部
21,71…モールド
73…凸構造部
11′…転写基板
13′…凸構造部
71′…モールド
73′…凸構造部
101…インプリント装置
102…モールド保持部
104…基板保持部
106…樹脂供給部
108…検査部
109,110…計測部
111…処理ユニット
Claims (9)
- パターン構造体が形成される領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有する転写基板の前記凸構造部上に被成形樹脂を供給する樹脂供給工程と、
凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂を展開させて被成形樹脂層を形成する接触工程と、
前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドとを互いに引き離して、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、
前記離型工程後の前記モールドと前記パターン構造体とを検査する検査工程と、を有し、
前記検査工程では、前記転写基板の前記凸構造部の外側への前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査して、その検査結果に基づいてその後の工程を判断することを特徴とするインプリント方法。 - 前記検査工程は、前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程と、前記モールドに異物が付着しているか否かを検査する工程と、前記転写基板の前記凸構造部上に位置する前記パターン構造体に異物が付着しているか否かを検査する工程とを含み、
前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程において前記パターン構造体のはみ出しが認められない場合には、前記パターン構造体を用いた次工程への進行を決定し、
前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程において前記パターン構造体のはみ出しが認められる場合には、前記モールドに異物が付着しているか否かを検査する工程と、前記転写基板の前記凸構造部上に位置する前記パターン構造体に異物が付着しているか否かを検査する工程とを実施することを特徴とする請求項1に記載のインプリント方法。 - 前記モールドに異物が付着しているか否かを検査する工程において前記モールドへの異物の付着が認められない場合には、インプリントの続行を決定し、前記モールドへの異物の付着が認められる場合には、インプリントの中止を決定し、
前記パターン構造体に異物が付着しているか否かを検査する工程において前記パターン構造体への異物の付着が認められない場合には、前記パターン構造体を用いた次工程への進行を決定し、前記パターン構造体への異物の付着が認められる場合には、前記パターン構造体に付着する異物が前記パターン構造体を用いた次工程で問題となるか否かを判断し、問題とならない場合に次工程への進行を決定することを特徴とする請求項2に記載のインプリント方法。 - 被成形樹脂を転写基板に供給する樹脂供給工程と、
凹凸構造を有する領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記被成形樹脂を展開させて被成形樹脂層を形成する接触工程と、
前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された転写樹脂層とする硬化工程と、
前記転写樹脂層と前記モールドとを互いに引き離して、前記転写樹脂層であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、
前記離型工程後の前記モールドと前記パターン構造体とを検査する検査工程と、を有し、
前記検査工程では、前記モールドの前記凸構造部に対応する領域の外側への前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査して、その検査結果に基づいてその後の工程を判断することを特徴とするインプリント方法。 - 前記検査工程は、前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程と、前記モールドの前記凸構造部に異物が付着しているか否かを検査する工程と、前記パターン構造体において前記モールドの前記凸構造部に対応する領域に異物が付着しているか否かを検査する工程とを含み、
前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程において前記パターン構造体のはみ出しが認められない場合には、前記パターン構造体を用いた次工程への進行を決定し、
前記パターン構造体のはみ出しの有無を検査する工程において前記パターン構造体のはみ出しが認められる場合には、前記モールドの前記凸構造部に異物が付着しているか否かを検査する工程と、前記前記パターン構造体において前記モールドの前記凸構造部に対応する領域に異物が付着しているか否かを検査する工程とを実施することを特徴とする請求項4に記載のインプリント方法。 - 前記モールドの前記凸構造部に異物が付着しているか否かを検査する工程において前記モールドの前記凸構造部への異物の付着が認められない場合には、インプリントの続行を決定し、前記モールドの前記凸構造部への異物の付着が認められる場合には、インプリントの中止を決定し、
前記パターン構造体において前記モールドの前記凸構造部に対応する領域に異物が付着しているか否かを検査する工程において前記パターン構造体への異物の付着が認められない場合には、前記パターン構造体を用いた次工程への進行を決定し、前記パターン構造体への異物の付着が認められる場合には、前記パターン構造体に付着する異物が前記パターン構造体を用いた次工程で問題となるか否かを判断し、問題とならない場合に次工程への進行を決定することを特徴とする請求項5に記載のインプリント方法。 - 凹凸構造を有する領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有するモールド、および/または、パターン構造体が形成される領域が周囲の領域よりも突出した凸構造部をなすメサ構造を有する転写基板を用いたインプリントを実施することができるインプリント装置において、
前記モールドを保持するためのモールド保持部と、前記転写基板を保持するための基板保持部と、前記転写基板に被成形樹脂を供給する樹脂供給部と、前記転写基板に形成されたパターン構造体について、前記転写基板が有する前記凸構造部の外側へのはみ出しの有無または前記モールドが有する前記凸構造部に対応する領域の外側へのはみ出しの有無の検査を行う検査部と、を少なくとも備えることを特徴とするインプリント装置。 - 前記転写基板に形成されたパターン構造体について、前記転写基板が有する前記凸構造部の外側へのはみ出しまたは前記モールドが有する前記凸構造部に対応する領域の外側へのはみ出しが認められる場合に、前記検査部は、前記モールドに異物が付着しているか否かの検査と、前記転写基板に形成された前記パターン構造体に異物が付着しているか否かの検査とをさらに行うことを特徴とする請求項7に記載のインプリント装置。
- 前記検査部は、計測部と、該計測部による計測情報を取得する取得部と、前記モールドおよび前記転写基板の情報を記憶する記憶部と、前記取得部により取得された前記計測情報および前記記憶部に記憶されている情報に基づいて前記モールドおよび前記パターン構造体の状態を特定する特定部と、前記特定部で生成された情報に基づいてインプリントの続行あるいは中止、および、前記パターン構造体の使用あるいは廃棄を判断する判断部とを有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載のインプリント装置。
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