JP6253178B2 - アルミナ分散液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミナ分散液の製造方法に関する。
なお、以下において、「酸化アルミニウム」は、組成式がAl2O3で表されるアルミナと同義である。
アルミナゾルに関しては、従来より種々の技術が開示されており、例えば、酸性のアルミナゾル(例えば、特許文献1)やアルカリ性のアルミナゾル(例えば、特許文献2、特許文献3)が開示されている。
一方、中性領域を含む酸性〜アルカリ性領域において安定なアルミナゾルに関しては、例えば、特許文献4には、アルミン酸アルカリ金属塩の水溶液に有機ヒドロキシル酸の水溶液を滴下で添加して中和することによって、pH4〜11の範囲において安定なアルミナゾルを製造する方法が開示されている。また、特許文献5には、熱分解法によって製造された酸化アルミニウム粉末を水相に分散させた液に、二塩基性のヒドロキシカルボン酸とリン酸水素ジアルカリ金属及び/又はリン酸二水素アルカリ金属の少なくとも1種の塩とを含有した溶液を添加した後、さらに上記酸化アルミニウム粉末を添加した後、所定の剪断力で撹拌することによって、pH5〜9の範囲において安定な酸化アルミニウムの分散液を製造する方法が開示されている。
特開昭59−78925号公報 特開昭59−195527号公報 特開平8−325010号公報 特開昭59−223223号公報 特許第4787879号公報
しかしながら、特許文献4に記載のアルミナゾルの製造方法は、強アルカリ性のアルミン酸アルカリ金属水溶液を中和するために有機ヒドロキシル酸を多量に添加する必要があり、経済的とは言えなかった。また、アルミン酸アルカリ金属塩の水溶液と有機ヒドロキシル酸との中和によって得られるアルミニウム化合物は、組成式がAl2O3で表されるアルミナではなく、AlOOHで表されるベーマイトや擬ベーマイト等のアルミナ水和物であるため、得られるゾルはアルミナ水和物ゾルと称することがより適切なものであった。
一方、特許文献5に記載の酸化アルミニウム分散液はリンを必須成分として含有しているため、例えば、焼成処理を伴う用途に使用した場合はリンが飛散して他の材料と反応する可能性、また、触媒材料として使用する場合はリンが触媒毒となる可能性が懸念され、用途の制約を受けることがあった。
そこで本発明は、リンを必須の構成成分とせず、さらに、中性領域を含む酸性〜アルカリ性領域において組成式Al2O3で表されるアルミナが安定的に分散した溶液を簡便に製造する方法の開発を課題とするものである。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、酸性の酸化アルミニウム分散液と有機酸とアルカリ剤とを混合した後、50〜200℃で加熱することによって、保存安定性に優れたpH5〜14のアルミナ分散液が得られることを見出し、係る知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]酸性の酸化アルミニウム分散液と有機酸とアルカリ剤とを混合する第一工程と、第一工程で得られた混合液を50〜200℃で加熱する第二工程とを含み、pHが5〜14の範囲であることを特徴とするアルミナ分散液の製造方法。
[2]前記アルミナ分散液中のアルミナが、ρ、χ、κ、η、擬γ、γ、δ、θ及びα型からなる群より選ばれた1種または2種以上の結晶構造を示すものである上記[1]記載のアルミナ分散液の製造方法。
[3]前記アルミナ分散液中の有機酸の割合が、有機酸のモル数と該有機酸中のカルボキシル基数との積をAとし、Al2O3のモル数をBとしたときに、A/B=0.01〜1.0の範囲である上記[1]又は[2]記載のアルミナ分散液の製造方法。
[4]前記第一工程のアルカリ剤の添加量が、第一工程で得られる混合液のpHが4以上になるような添加量である、上記[1]〜[3]のいずれか1項記載のアルミナ分散液の製造方法。
[5]さらに、過剰分の有機酸およびアルカリ剤を除去するために、上記[1]〜[4]のいずれか1項記載の製造方法によって得られたアルミナ分散液を洗浄する第三工程を含む、アルミナ分散液の製造方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1項記載の製造方法によって製造されたアルミナ分散液。
本発明の製造方法は、簡便であるという利点を有する。そして、本発明の製造方法によって得られるアルミナ分散液は、pHが5〜14、即ち中性領域を包む弱酸性〜アルカリ性の範囲であること、長期保存安定性が高いこと、という特性を兼ね備えており、さらに、アルミナ分散液中のアルミニウムに対する有機酸の含有量をアルミニウムの正塩を構成する有機酸量よりも大幅に少なくすることも可能であるため、焼成処理を伴う用途を含めて様々な用途に広範に利用することができる。
実施例1における混合液とアルミナ分散液1の粒度分布図である。
以下、本発明のアルミナ分散液の製造方法(以下、「本製造方法」と称することがある)について詳細に説明する。
本製造方法は、酸性の酸化アルミニウム分散液と有機酸とアルカリ剤とを混合する第一工程と、第一工程で得られた混合液を50〜200℃で加熱する第二工程とを含み、pHが5〜14の範囲であることを特徴とするアルミナ分散液(以下、「本分散液」と称することがある)の製造方法に関するものである。
酸性の酸化アルミニウム分散液の調製方法としては、例えば、(i)一般に市販されている易分散性の酸化アルミニウム粉末を水に分散させて調製する方法、(ii)酸化アルミニウム粉末と分散剤(塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸または有機酸)との混合液を分散処理によって水に分散させて調製する方法が挙げられる。また、その他の方法として、例えば、特開平7−89717号公報に記載の方法が挙げられる。
上記(i)における易分散性の酸化アルミニウム粉末は、熱分解法で製造された酸化アルミニウム粉末であることが好ましく、製造方法としては、例えば、特許第4141386号の実施例に記載されている方法が挙げられる。易分散性の酸化アルミニウム粉末の具体例としては、EVONIC社製のAEROXIDE Alu 130、AEROXIDE Alu C、AEROXIDE Alu 65、Cabot社製のSpectrAl 100、SpectrAl 51、SpectrAl 81などを例示できる。一般的には、易分散性の酸化アルミニウム粉末には、易分散性とするために、少量の酸が分散剤として含有されていることが多い。
上記(ii)における酸化アルミニウム粉末としては、例えば、試薬または工業用酸化アルミニウムとして一般に市販されているものが挙げられる。また、分散処理としては、混合液を加熱や湿式粉砕、超音波装置、ホモジナイザーなどの圧力式分散機を用いて分散させる方法が例示できる。但し、上記(ii)では、分散剤として添加する無機酸または有機酸がアルミナ分散液中に不純物として含有されることになる。当該不純物は限外洗浄などによって除去することもできるが、製造の容易性を考慮すると、基本的には分散剤の添加が不要な上記(i)の調製方法が好ましい。
本分散液中のアルミナの結晶構造については、ρ、χ、κ、η、擬γ、γ、δ、θ及びα型からなる群より選ばれた1種または2種以上であることが好ましいが、本製造方法では酸性の酸化アルミニウム分散液中のアルミナの結晶構造を変化させる程の処理を行わないため、本分散液中のアルミナの結晶構造は酸性の酸化アルミニウム分散液中のアルミナの結晶構造に由来するものであると云える。従って、酸性の酸化アルミニウム分散液の調製に用いるアルミナは、上記結晶構造のうちのいずれかの型を有するものであることが好ましく、複数種の型が混在しているものであってもよい。
有機酸としては、ヒドロキシカルボン酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸などが好例として挙げられ、このうち1種類だけでもあるいは2種類以上を用いてもよい。
アルカリ剤としては、アルカリ金属(好ましくはナトリウム又はカリウム)の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アンモニア、アンモニウムの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、アミン類、尿素などを例示することができ、このうち1種類だけでもあるいは2種類以上を用いてもよい。上記例示のうち、本分散液を乾燥処理や焼成処理を伴う用途に使用する場合は、処理中に除去することができるアンモニア、炭酸水素アンモニウム、尿素、またはアミン類の中から適宜選択することが好ましい。アミン類としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、水酸化第四級アンモニウム、芳香族アミン、脂環式アミン等を例示することができる。第一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。第三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。水酸化第四級アンモニウムとしては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化テトラトリメチルプロピルアンモニウム、水酸化ジメチルジエチルアミン、コリン等が挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン等が挙げられる。脂環式アミンとしては、例えば、ピペリジン等が挙げられる。
有機酸とアルカリ剤の添加割合は、本分散液の安定性が得られ、本分散液のpHが5〜14の範囲内となるように設定される限りにおいては特に制限はない。本分散液の安定化には有機酸が寄与するところが大きいので、有機酸の添加量が決まれば、酸性の酸化アルミニウム分散液中の分散剤の含有量も考慮して、本分散液のpHが上記範囲内となるようにアルカリ剤の添加量を設定することが好都合である。
本分散液中における有機酸の添加量は、有機酸のモル数と該有機酸中のカルボキシル基数との積をAとし、Al2O3のモル数をBとしたときに、A/B値が1.0を超えるものであっても構わない。A/B値の上限としては、例えば、6.0であることが好ましく、より好ましくは3.0である。但し、有機酸を多量に添加しても添加量に見合うだけの効果が得られず経済的ではない場合があり、また、有機酸とアルカリ剤を多量に含有すれば、用途によっては不都合が生じる場合もある。
そこで、有機酸の添加量については、本分散液中において、A/B=0.01〜1.0の範囲となるような量とすることが好ましい。上記A/B値が0.01未満の場合は、アルミニウム成分の安定化に必要な有機酸が不足することによって、長期保存安定性が得られ難くなる場合がある。上記A/B値は、より好ましくは0.01〜0.5の範囲である。なお、本分散液を焼成処理を伴う用途に使用する場合は、有機酸の含有量はできるだけ少ない方が好ましい。
本製造方法では第二工程の加熱によってpHが高くなる傾向があるため、アルカリ剤の添加量として、第一工程で得られる混合液のpHが4〜5になるような量であってもよい。
また、アルカリ剤を水溶液として用いる場合の濃度は、アルカリ剤の種類により異なるが、一般的には0.2〜30質量%程度の濃度であることが好ましい。
酸性の酸化アルミニウム分散液と有機酸とアルカリ剤とを混合する形態については特に制限は無く、例えば、酸性の酸化アルミニウム分散液に有機酸の水溶液とアルカリ剤とを添加する方法、酸性の酸化アルミニウム分散液とアルカリ剤とを混合した水溶液に有機酸の水溶液を添加する方法、酸性の酸化アルミニウム分散液に有機酸とアルカリ剤との混合水溶液を添加する方法などが挙げられる。なお、上記いずれの方法においても、添加の順序を入れ替えてもよい。また、添加の態様は、連続的であっても間欠的であってもよく、添加速度も特に制限はないが、一度に多量に添加することは避けることが望ましい。また、通常の撹拌方法で混合すればよく、混合時間は適宜設定すればよい。
第二工程では、第一工程で得られた混合液を50〜200℃で加熱する。第二工程における加熱処理により、一般的には、平均粒子径が小さくなる現象とアルミナ粒子の粒子径の均一化が促進される現象が見られる。これら現象は、アルミナ粒子表面でアルミナと有機酸とが促進的に反応することにより生じているものと推測される。また、加熱処理により、長期保存安定性が向上する傾向となる。加熱温度は70〜140℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。加熱方法に特に制限はなく、通常の加熱方法やオートクレーブ等を例示できる。
本製造方法は、第二工程における加熱処理を必須とするものであるが、他の工程において加熱処理する態様を排除するものではない。従って、例えば、第一工程において必要に応じて加熱処理する態様も当然に本製造方法に包含される。第一工程において加熱処理を行うことによって、本分散液の長期保存安定性がより向上する傾向があり、これはアルミナと有機酸との反応がより促進するためと考えられる。第一工程における加熱の一態様としては、有機酸の水溶液に酸性の酸化アルミニウム分散液を添加して加熱した後、その加熱状態の温度が下がらないように維持しながらアルカリ剤を添加するものである。なお、加熱温度については、第二工程の加熱温度と同様に50〜200℃の範囲内とすることが好ましい。
以上の製造方法によって、pHが5〜14の範囲である本分散液を得ることができる。本分散液のpHが5未満の場合は、粘度が高くなる傾向があり、長期保存安定性が得られ難くなる。上記pH範囲は、使用者の安全面を考慮すると、弱酸性〜弱アルカリ性の領域が好ましく、当該領域をpHで示すと概ね5〜9程度である。
本分散液を例えば焼成処理を伴う用途などに使用する場合は、有機酸およびアルカリ剤の含有量は少ない方が好ましい。そこで、さらに第三工程として、過剰分の有機酸およびアルカリ剤を除去するために、本分散液を洗浄してもよい。洗浄方法に特に制限はなく、水を添加しながらの限外ろ過、ヌッチェろ過、フィルタープレス等が例示でき、このうち特に限外ろ過が好ましい。洗浄強度は、本発明の効果を損なわない範囲内において、目的とする用途における有機酸およびアルカリ剤の許容量を考慮して適宜設定すればよい。
第三工程における洗浄は、洗浄強度を強くするほど、過剰分の有機酸およびアルカリ剤が除去されるため、一般的には中性領域に収束される方向にある。従って、洗浄後に得られるアルミナ分散液は、pHが5〜14の範囲内に入るとみなせるものであるため、以下では当該アルミナ分散液も便宜的に本分散液と称することとする。
なお、本分散液は、一般的には過洗浄を行っても不安定化する可能性は低い。この理由として、第二工程における加熱処理によってアルミナ表面に有機酸が強固に付着しているため安定性が損なわれ難くなっていることが考えられる。
本分散液のAl2O3濃度については、安定性やハンドリング性等の点から上限は30質量%以下であることが好ましい。30質量%を超えると粘性が上昇し、ハンドリング性が悪化する傾向にある。Al2O3濃度の下限については、特に制限はないが、経済的な観点から1質量%以上であることが好ましい。尚、Al2O3濃度のより好ましい範囲は、3〜25質量%である。本分散液を限外ろ過または加熱等によって濃縮してもよいが、Al2O3濃度は上記上限以下となるようにすることが好ましい。また、水などで希釈して用いてもよい。
本分散液は、常温保存は勿論、50℃保存においても6ヶ月以上外観及び粘度にほとんど変化が見られず、長期保存安定性の高いものである。なお、常温での長期保存後または50℃/6ヶ月保存後にわずかな量の沈殿が発生する場合があるが、この沈殿は元々の分散性が悪い酸化アルミニウム粉末に由来したものであると考えられ、漸増することはほとんど無い。使用に際して沈殿除去の必要性があればろ過等により取り除けばよく、特に支障となることはない。
また、本分散液は、金属元素として実質的にアルミニウムのみを含有するものであること、即ち、原料中の不純物に由来する金属元素を除いてアルミニウム以外の金属元素を含まないものであることが望ましい。しかし、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じてアルミニウム以外の金属元素の他に、リン、ケイ素、硫黄などの元素、及びこれら元素を構成要素とする化合物を含有しても構わない。
本分散液は有機酸、アルカリ性溶液に加えて、アニオン性を示す酸化物ゾルや水溶性の有機系高分子、樹脂エマルションなどとの混合性にも優れ、また、シリカゾルとも任意の組成比で混合でき、さらに、分散性に優れるという利点を有する。
上記利点により、本分散液はさまざまな用途に利用することができ、例えば、光学材料、電子材料、触媒担体、亜鉛等のメッキ鋼板、電磁鋼板等のコーティング剤又はその添加剤、インクジェット用の記録媒体のインク受容層などの用途が挙げられる。また、無機材料同士を結着させるためのバインダーとして好適に用いることができ、例えば、セラミックス分野(セラミックスファイバー成形、蛍光体、耐火物、陶器、セメント等)において無機材料同士を結着させる用途(左記無機材料の形態には粉体も含まれる)、自動車の排ガス浄化用触媒においてセラミックス基材と触媒担体または触媒担持体とを結着させる用途などが挙げられる。
なお、本分散液としては、用途に応じた組成(有機酸含有量、pHなど)のものを用いることが好ましい。とりわけ焼成処理を伴う用途においては、本分散液中の有機酸含有量の少ないものを用いることが好ましい。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。尚、実施例において%は、特に断らない限り全て質量%を示す。
実施例に用いた原料は、試薬あるいは工業薬品として入手できるものを用いた。
〔実施例1〕
EVONIC社製の「AEROXIDE Alu 130」 100gにイオン交換水 636gを加えて分散させた溶液に、20%クエン酸 28gと1%NaOH 235gを添加し混合した。この混合液は、Al2O3濃度 10%、pH 7.9、電気伝導度(EC) 4.5mS/cm、平均粒子径 590nmであった。この混合液を100℃で3時間加熱し、Al2O3濃度 10%、pH 9.2、EC 3.9mS/cm、平均粒子径 581nm、A/B=0.09のアルミナ分散液1を得た。
なお、上記A/BにおけるAは有機酸のモル数と該有機酸中のカルボキシル基数との積であり、BはAl2O3のモル数である。
上記混合液及びアルミナ分散液1の粒度分布を図1に示した。混合液ではピークが2つあったが、加熱することにより、アルミナ分散液1ではピークが1つとなって粒子径の均一化が促進されたことが分かる。
アルミナ分散液1の製造直後、及び50℃/6ヶ月の保存安定性試験後の結果を表1に示した。目視による観察では、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
アルミナ分散液1をエバポレーターを用いて、Al2O3濃度 20%まで濃縮してアルミナ分散液1’を作製した。アルミナ分散液1’の結晶構造を解析した結果、γ、δ及びθ型のアルミナの存在が確認された。また、アルミナ分散液1’は、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
〔実施例2〕
EVONIC社製の「AEROXIDE Alu C」 100gにイオン交換水 139gを加えて分散させた溶液に、20%クエン酸 188gと25%TMAH 572gを添加し混合した。この混合液は、Al2O3濃度 10%、pH 13.9、EC 136.3mS/cm、平均粒子径 1.7μmであった。この混合液を80℃で5時間加熱し、Al2O3濃度 10%、pH 13.8、EC 111.4mS/cm、平均粒子径 1.1μm、A/B=0.6のアルミナ分散液2を得た。
アルミナ分散液2の製造直後、及び50℃/6ヶ月の保存安定性試験後の結果を表1に示した。目視による観察では、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
アルミナ分散液2をイオン交換水でAl2O3濃度を1%まで希釈してアルミナ分散液2’を作製した。アルミナ分散液2’は、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
アルミナ分散液2をエバポレーターを用いて、Al2O3濃度20%まで濃縮してアルミナ分散液2’’を作製した。アルミナ分散液2’’の結晶構造を解析した結果、γ、δ及びθ型のアルミナの存在が確認された。また、アルミナ分散液2’’は、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
〔実施例3〕
EVONIC社製の「AEROXIDE Alu C」 100gにイオン交換水 581gを加えて分散させた溶液に、20%クエン酸 283gと28%アンモニア水 36gを添加し混合した。この混合液は、Al2O3濃度 10%、pH 6.1、EC 37.3mS/cm、平均粒子径 760nmであった。この混合液を120℃で1時間加熱し、Al2O3濃度 10%、pH 8.4、EC 33.4mS/cm、平均粒子径 533nm、A/B=0.9のアルミナ分散液3を得た。
アルミナ分散液3の製造直後、及び50℃/6ヶ月の保存安定性試験後の結果を表1に示した。目視による観察では、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
尚、アルミナ分散液3の結晶構造を解析した結果、γ、δ及びθ型のアルミナの存在が確認された。
〔実施例4〕
EVONIC社製の「AEROXIDE Alu C」 100gにイオン交換水 148gを加えて分散させた溶液に、20%クエン酸 942gと28%アンモニア水 60gを添加し混合した。この混合液は、Al2O3濃度 8%、pH 4.1、EC 42.3mS/cm、平均粒子径 4.9μmであった。この混合液を140℃で1時間加熱し、Al2O3濃度 8%、pH 5.2、EC 40.4mS/cm、平均粒子径 2.2μm、A/B=3.0のアルミナ分散液4を得た。
アルミナ分散液4の製造直後、及び50℃/6ヶ月の保存安定性試験後の結果を表1に示した。目視による観察では、50℃/6ヶ月保存後にごくわずかな沈殿が認められたものの、その他の性状に変化は無く安定状態を保持していた。
尚、アルミナ分散液4の結晶構造を解析した結果、γ、δ及びθ型のアルミナの存在が確認された。
〔比較例1〕
SASOL社製の「DISPERAL D」(Al2O3濃度 72.4%、結晶構造:ベーマイト) 138gにイオン交換水 599gを加えて分散させた。この分散液に、20%クエン酸 28gと1%NaOH 235gを加えたところ、ゲル化した。次に、100℃で3時間加熱しても、分散液は得られなかった。
〔比較例2〕
EVONIC社製の「Alu 130」 100gにイオン交換水 860gを加えて分散させた溶液に、20%クエン酸 28gと1%NaOH 12gを添加し混合した。この混合液は、Al2O3濃度 10%、pH 2.7、EC 1.4mS/cmであった。この混合液を100℃で3時間加熱したところ、ゲル化し、分散液は得られなかった。
〈分析〉
(1)Al2O3濃度は、旧JIS K-5407-8に準じてアルミナ分散液を1200℃/1hで焼成した後の焼成残分により算出した。
(2)結晶構造は、アルミナ分散液を100℃で乾燥させたものをX線回折装置XRD-7000(島津製作所(株)製)で測定して解析した。
(3)ECは、混合液又はアルミナ分散液を濃度調整なしでそのまま電気伝導度計CM-14S(TOA ELECTRON Ltd.製)を用いて測定した。
(4)平均粒子径(粒度分布)は、混合液又アルミナ分散液のAl2O3濃度を8%に調整したものを動的光散乱色粒度分布測定装置LB-500(堀場製作所(株)製)を用いて測定した。
〈保存安定性試験〉
アルミナ分散液を50mL容サンプル瓶に封入した後50℃恒温槽で6ヶ月間保存した後のpH、ECの測定、及び目視による観察によって長期保存安定性を評価した。
Figure 0006253178

Claims (3)

  1. 酸性の酸化アルミニウム分散液と有機酸とアルカリ剤とを混合する第一工程と、
    第一工程で得られた混合液を50〜200℃で加熱する第二工程と
    を含み、pHが5〜14の範囲であることを特徴とするアルミナ分散液の製造方法。
    ただし、
    上記有機酸が、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びグリコール酸のうちの1種または2種以上であり、
    上記アルミナ分散液中の有機酸の割合が、有機酸のモル数と該有機酸中のカルボキシル基数との積をAとし、Al2O3のモル数をBとしたときに、A/B=0.01〜1.0の範囲であり、
    上記アルミナ分散液中のアルミナが、ρ、χ、κ、η、擬γ、γ、δ、θ及びα型からなる群より選ばれた1種または2種以上の結晶構造を示すものであり、
    上記アルミナ分散液はリン元素を構成要素とする化合物を含有しないものである。
  2. 前記第一工程のアルカリ剤の添加量が、第一工程で得られる混合液のpHが4以上になるような添加量である、請求項1記載のアルミナ分散液の製造方法。
  3. さらに、過剰分の有機酸およびアルカリ剤を除去するために、
    請求項1又は2記載の製造方法によって得られたアルミナ分散液を洗浄する第三工程を含む、アルミナ分散液の製造方法。
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