JP6253005B2 - 除草用酵素含有組成物及び有害植物の駆除方法 - Google Patents

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Description

本発明は酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有し、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素と、植物病原性微生物とを含む除草用酵素含有組成物、及びこの除草用酵素含有組成物を使用した有害植物の駆除方法に関する。本発明のもう一つの態様は、酪酸p−ニトロフェノール加水分解活性を有するクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養液を用いる有害植物の駆除方法に関する。
一般に除草剤と呼称される薬剤のなかには、広い植物種を駆除可能な非選択的な除草剤と、農作物に対する影響は少なく、除草の対象となる有害植物を駆除可能な種間選択的な除草剤が存在する。非選択的な除草剤の典型例である化学除草剤は、農作業従事者を過酷な農作業から解放する上で大きく貢献し、作物生産量の飛躍的な増大をもたらした。その一方で、農業における化学除草剤への依存度が高まるなか、化学除草剤抵抗性の有害植物が出現するなどの新たな問題が生起している。このような状況下にある農業の分野においては、有害植物の駆除方法に関して複数の選択肢を用意し、これらを組合せながら継続して、効率的且つ効果的に有害植物を駆除することが求められている。
非選択的な化学除草剤のみに依存しない除草剤の具体例としては、微生物製剤等の種間選択的な除草剤を挙げることができる。一般に、植物は様々な病原性微生物に感染することで病害を受ける。雑草等の有害植物を含む野外の植物もまた同様に病害を受けている。従って、自然界に存在する病原性微生物の働きによって特定の植物の異常な増殖や蔓延が抑制されている側面がある。このことを利用して、例えば、化学除草剤の使用では困難な外来植物の駆除を行う目的で、人畜や周辺作物等への悪影響がないことを確認した上で、当該外来植物の原産地に生育する病原性微生物を散布する方法が考案されている。
既に、微生物製剤は日本国外で市販されており、日本国内でも芝地に繁殖する雑草であるスズメノカタビラを選択的に駆除可能な微生物製剤が市販された事例がある(例えば、非特許文献1参照)。この微生物製剤に含まれる病原性微生物は、スズメノカタビラの植物体内でのみ増殖可能で、スズメノカタビラが枯死した後の環境からは検出されず、人畜への影響も無いとされている。
山田昌雄、「微生物除草剤について」、バイオコントロール(1997)、1(2):19−23
よって、本発明は、効率的且つ効果的な有害植物の駆除に使用される除草用の組成物、及び有害植物の駆除方法を提供することを目的とする。
一般に、植物の葉面は、貧栄養な環境ではあるが、様々な常在菌が生息している。これらの常在菌の中には、プロテアーゼやリパーゼ、ペクチナーゼなどの加水分解酵素を生産する能力を有するものも多いが、これらの酵素を生産する条件や常在菌の生活におけるこれらの酵素の役割は明らかにされていない。本発明者らは、そのような葉面に生息し、植物に対する病原性を有さない各種微生物の特性について研究する中で、イネの常在菌である葉面酵母Pseudozyma antarcticaの酵素PaE、及びムギの常在菌であり、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌株の酵素PCLE(Paraphoma related fungi Cutinase Like Enzyme)が、コハク酸系ポリエステル(例えば、PBS及びPBSA)等の生分解性プラスチックに対する強力な分解性を有することを見出すと共に(例えば、特許4915593号及び特許5082125号参照)、これらの酵素の推定アミノ酸配列中にクチナーゼ様酵素に共通するリパーゼボックスと、活性中心を構成する一群のアミノ酸配列が共通して保存されていることを見出した。そして、予想外にも、これら、Pseudozyma antarctica及び受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌株等、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素を含む組成物が、植物の乾燥耐性や病原菌耐性を低下させ、各種植物の健全な生育を阻害することを偶然に見出した。よって、本発明は、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素の、斯かる特性を利用した、以下の発明を提供する。
本発明の第一の態様は、有害植物を駆除するための除草用酵素含有組成物であって、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有し、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素と、除草用農薬である植物病原性微生物とを含み、除草用酵素含有組成物における前記クチナーゼ様酵素の含有量が、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性に換算して0.01U/mL以上である除草用酵素含有組成物である。
本発明の第二の態様は、植物病原性微生物として、駆除の対象となる有害植物への特異的な病原性を有する微生物を含む本発明の除草用酵素含有組成物を、前記有害植物へ適用する工程を含むことを特徴とする有害植物の駆除方法である。
本発明の第三の態様は、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有するクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養液を、有害植物へ適用する工程を含むことを特徴とする有害植物の駆除方法であって、植物に対して病原性を有さない微生物がPseudozyma属、Cryptococcus属、Acremonium属、Alternaria属、Aspergillus属、Aureobasidium属、Cladosporium属、Epicoccum属、Fusarium属、Leptosphaeria属、Penicillium属、Phoma属、Neoplaconema属、Paraphoma属、Paecilomyces属に属する微生物であることを特徴とする有害植物の駆除方法である。
本発明の除草用酵素含有組成物は、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性に換算して00.1U/mL以上の含有量で、植物に対して病原性を有さない微生物に由来するクチナーゼ様酵素を含有することにより、予想外にも、有害植物の植物病原性微生物に対する耐性を低下させ、除草用酵素含有組成物が含有する植物病原性微生物の補助的な作用により、有害植物を駆除することができる。また、本発明の除草用酵素含有組成物に含まれて、補助的に作用する植物病原性微生物は、有害植物に対して種間選択的に作用するので、化学除草剤と異なり、農作物や人畜に対して悪影響を及ぼすことなく、有害植物のみを駆除することができる。
本発明の第二の態様の有害植物の駆除方法は、本発明の除草用酵素含有組成物を使用しているので、上記除草用酵素含有組成物の効果と同等の効果が得られることに加え、除草用酵素含有組成物が駆除の対象となる有害植物への特異的な病原性を有する微生物を含むので、人畜や作物等には実質的な影響を及ぼすことなく、駆除の対象となる有害植物のみを特異的に除草することができる。
本発明の第三の態様の有害植物の駆除方法は、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有するクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養液を、有害植物へ適用するので、クチナーゼ様酵素の作用により有害植物の乾燥耐性や病原菌耐性を低下させ、環境中の植物病原性微生物による有害植物への感染を誘導し、有害植物を効果的且つ効率的に駆除することができる。
酵素液希釈用バッファー、クチナーゼ様粗酵素(PaE)溶液、又はクチナーゼ様粗酵素(PaE)溶液散布3日後に灰色カビ病菌胞子で処理し7日後のトマト切葉の様子を示す図面である。 クチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)、又はクチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用した、人工気象室内で栽培したトマト若芽部位の散布7日後の様子を示す図面である。 クチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)、又はクチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用した、屋外で栽培したトマト若芽部位の散布7日後の様子を示す図面である。 クチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)、又はクチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用したシロイヌナズナのロゼッタ葉の散布7日後の様子を示す図面である。 イネ科雑草に対してクチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)又は、クチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用した、翌日の植物体の様子を示す図面である。 イネ科雑草に対してクチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)又は、クチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用した、7日後の植物体の様子を示す図面である。 イネ科雑草に対してクチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)又は、クチナーゼ様酵素失活酵素液(培養ろ液)を適用した、7日後の植物体の様子を示す図面である。 イタドリに対して滅菌水若しくはクチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)を適用した18日後の葉の様子、又は上記クチナーゼ様酵素液(Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)散布3日後にさび病菌を接種した葉の18日後の様子を示す図面である。 クチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)、及び滅菌水を噴霧処理後、さび病菌を接種した後のイタドリの発病度と落葉率を示すグラフである。 クチナーゼ様酵素液(PaEを含む、Pseudozyma antartcticaの培養ろ液)またはクチナーゼ様酵素の失活酵素液(培養ろ液)をさび病菌と混合し、イタドリに噴霧処理した後のさび病菌による病害の発病度を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<除草用酵素含有組成物>
本発明の除草用酵素含有組成物は、有害植物を駆除するためのものであって、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有し、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素を含む。本発明の除草用酵素含有組成物は、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素のみを含むものであってもよいし、更に、除草用農薬としての植物病原性微生物を含むものであってもよいが、除草用農薬としての植物病原性微生物も含むことが好ましい。本発明の除草用酵素含有組成物が植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素のみを含む場合、除草用農薬としての植物病原性微生物を、当該除草用酵素含有組成物を植物に適用した後に適用してもよい。
[クチナーゼ様酵素]
クチナーゼと病原性微生物の病原性との関係については、病原菌として知られるFusarium solaniやイネイモチ病菌において、一部のクチナーゼ欠損株で、植物への感染率が低下することから、クチナーゼが病原性微生物の病原性に関与していることが示唆されていたものの(Rogers et. al., "Cutinase Gene Disruption in Fusarium solani f sp pisi Decreases Its Virulence on Pea", The Plant Cell, Vol. 6, 935-945, 1994; Skamnioti and Gurr, "Cutinase and hydrophobin interplay", Plant Signaling & Behavior 3:4, 248-250, April 2008)、病原機構におけるクチナーゼの役割は未だ明らかにはなっていなかった。また、クチナーゼの作用のみにより病原菌が植物に侵入できるとは考えられてはおらず、また、クチナーゼを外部から供給することにより、病原性微生物における植物への病原性が高まるといった知見は全く得られていなかった。
逆に、病原性微生物の産生するクチナーゼや、クチナーゼによるクチンの分解産物で植物を処理することにより、植物が病原性微生物の存在を察知し、植物による抵抗性反応が誘導されて病害への耐性が向上するといった報告すらなされている(Chassot et al., "Cuticular defects lead to full immunity to a major plant pathogen", The Plant Journal (2007) 49, 972-980; Curvers et al., "Abscisic Acid Deficiency Causes Changes in Cuticle Permeability and Pectin Composition That Influence Tomato Resistance to Botrytis cinerea", Plant Physiology, October 2010, Vol. 154, p. 847-860; L'Haridon et al., "A Permeable Cuticle Is Associated with the Release of Reactive Oxygen Species and Induction of Innate Immunity", PLos Pathogens, July 2011, Vol. 7, Issue 7, e1002148)。
更に、Pseudozyma antarcticaが産生するクチナーゼ様酵素PaEや、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌のクチナーゼ様酵素PCLEにおいては、クチナーゼ様酵素において一次構造が共通するリパーゼボックスは100%保存されてはいるものの、植物病原性微生物として知られているColletotrichum gloesporioidesクチナーゼとの、これらの部分アミノ酸配列における相同性は、85%であって相同性が低い。また、クチナーゼ活性の指標の一つとされている脂肪酸p−ニトロフェニル加水分解活性についても、Pseudozyma antarcticaが産生するクチナーゼ様酵素PaEや、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌のクチナーゼ様酵素PCLEにおいては、長鎖脂肪酸エステルも効率よく分解するなど、基質特異性が非常に広いのに対し、病原性微生物のFusarium solaniのクチナーゼでは、長鎖脂肪酸エステルの分解活性が非常に低い。このように、酵素反応の特異性の観点からもPseudozyma antarcticaが産生するクチナーゼ様酵素PaEや、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌のクチナーゼ様酵素PCLEと、病原性微生物のクチナーゼは異なるものである(Kodama et al., "Crystal structure and enhanced activity of a cutinase-like enzyme from Cryptococcus sp. Strain S-2", Proteins p. 709-717, 2009; Shinozaki Y, Morita T, Cao XH, Yoshida S, Koitabashi M, Watanabe T, Suzuki K, Sameshima-Yamashita Y, Nakajima-Kambe T, Fujii T, Kitamoto HK Biodegradable plastic-degrading enzyme from Pseudozyma antarctica: cloning, sequencing, and characterization. Appl Microbiol Biotechnol (in press) DOI: 10.1007/s00253-012-4188-8)。
このため、病原性微生物において、クチナーゼが病原性発現の一翼を担っていたとしても、病原性微生物のクチナーゼを外部から植物に適用した際に病原性微生物の病原性が増強されるということや、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素を外部から植物に適用した際に共存する病原性微生物の病原性が増強されるといったことは、当業者が容易に想到しえないものであった。
本発明の除草用酵素含有組成物が含有するクチナーゼ様酵素は、植物に対して病原性を有さない微生物から得られたものであり、好ましくは、Pseudozyma属、Cryptococcus属、Acremonium属、Alternaria属、Aspergillus属、Aureobasidium属、Cladosporium属、Epicoccum属、Fusarium属、Leptosphaeria属、Penicillium属、Phoma属、Neoplaconema属、Paraphoma属、Paecilomyces属に属する微生物から選択される少なくとも1種である、植物に対して病原性を有さない微生物から得られたものであり、より好ましくは、これら属に属する植物常在菌から得られたクチナーゼ様酵素から得られたものである。より具体的には、Pseudozyma antarctica、Pseudozyma ruglosa、Pseudozyma tsukubaensis、Pseudozyma aphidis、Aspergillus oryzae、Cryptococcus flavus、Cryptococcus laurentii、Cryptococcus rajasthanensis、Cryptococcus magnus、Alternaria alternata、Cladosporium cladosporioides、Cladosporium oxysporum、及びPenicillium pinophilumから得られたクチナーゼ様酵素、並びに受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌株から得られたクチナーゼ様酵素PCLEを挙げることができる。
これらのクチナーゼ様酵素は、葉面酵母Pseudozyma antarctica由来のクチナーゼ様酵素のPaEの推定アミノ酸配列のうち、第106アミノ酸残基から第113アミノ酸残基のアミノ酸配列に相当するGYSQGAAA(リパーゼボックス)と90%以上の相同性を有する部分アミノ酸配列を有し、かつ第182アミノ酸残基から第204アミノ酸残基のアミノ酸配列に相当するCIYGDGVCDVSSGFGITPQHLTY(活性中心を構成するアミノ酸配列)と30%以上の相同性を有する部分アミノ酸配列を有していることが好ましい。また、上記クチナーゼ様酵素は、Pseudozyma antarctica由来のクチナーゼ様酵素のPaEのリパーゼボックスと、より好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上、最も好ましくは100%の相同性を有する部分アミノ酸配列を有する。同様に、上記クチナーゼ様酵素は、Pseudozyma antarctica由来のクチナーゼ様酵素PaEの活性中心を構成するアミノ酸配列と、より好ましくは34%以上、更に好ましくは60%以上、最も好ましくは78%以上の相同性を有する部分アミノ酸配列を有する。
以上のクチナーゼ様酵素の中でも、本発明の除草用酵素含有組成物は、Pseudozyma antarcticaのクチナーゼ様酵素PaE、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌株から得られたクチナーゼ様酵素PCLE、Cryptococcus sp. S-2株のクチナーゼ様酵素CLE、Aspergillus oryzaeのCutL1、及びCryptococcus magnusru類縁菌BPD1A株から得られたクチナーゼ様酵素CmCut1を含有することがより好ましく、Pseudozyma antarcticaのクチナーゼ様酵素PaE、及び受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌株から得られたクチナーゼ様酵素PCLEを含有することが最も好ましい(Suzuki K, Shinozaki Y, Sakamoto H, Tabata J, Watanabe T, Mochizuki A, Koitabashi M, Fujii T, Tsushima S, and Kitamoto HK Affinity purification and characterization of a biodegradable plastic-degrading enzyme from a yeast isolated from the larval midgut of a stag beetle, Aegus laevicollis Appl. Microbiol. Biotechnol. (in press)も参照)。
本発明の除草用酵素含有組成物におけるクチナーゼ様酵素の含有量は、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性に換算して、0.01U/mL以上の酵素活性を有する量であり、0.1U/mL以上であることが好ましく、0.2U/mL以上であることがより好ましく、0.5U/mL以上であることが最も好ましい。なお、本発明の除草用酵素含有組成物に含まれるクチナーゼ酵素の酵素活性は、当該酵素の至適pH近傍のpH、好ましくは至適pHで測定した場合に、上記の酵素活性以上の酵素活性を有することが好ましい。
ここで、本発明の除草用酵素含有組成物において、個別のクチナーゼ様酵素の酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性は、例えば、Pseudozyma antarcticaのPaEの場合であれば、pH8.0の50mM Tris塩酸緩衝液中、30℃で5分間反応させることにより測定した酪酸p−ニトロフェニルの加水分解活性に換算して算出したものであり、1分間に1μmolの酪酸p−ニトロフェニルを加水分解可能な酵素活性を1Uとした。また、基質として、酪酸p−ニトロフェニルに代えてポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)を用いてもよいが、pH8.8の20mM Tris塩酸緩衝液中、30℃で測定したPaEのPBSA加水分解活性1U/mLは、上記条件下で測定した酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性1.92U/mLに換算される。また、クチナーゼ様酵素の各種基質の加水分解活性は、所定濃度以上のカルシウムイオンを含む緩衝液中で、より高まる場合があり、クチナーゼ様酵素の活性を定めるにあたって必要に応じて緩衝液にカルシウムイオンを添加することが好ましいが、例えば、2mM塩化カルシウムを含むpH6.8の20mM Tris塩酸緩衝液中で測定したPCLEのPBSA加水分解活性1U/mLは、上記条件下で測定した酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性1.11U/mLに換算される。
なお、PaEのPBSA加水分解活性における至適pHは9〜10であり、PCLEのPBSA加水分解活性における至適pHは7〜8である。
以上に説明したクチナーゼ様酵素については、上述した植物に対して病原性を有さない微生物の培養ろ液に由来するクチナーゼ様酵素であることが好ましい。
上記微生物の培養ろ液を得る方法については、上記微生物について従来行われている方法を採用すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、Pseudozyma antarcticaの場合、以下の培養方法を採用することができる。
まず、培地としては、Pseudozyma antarcticaの培養に通常使用される、通常の合成培地、半合成培地、及び天然培地に、必要に応じて炭素源としてグルコース及び/又はキシロースを加え、25℃以上32℃以下の培養条件で、24時間の前培養を行った後、同様の温度で72時間以上培養する。前培養の培地としては、YM培地(Yeast Extract Malt extract medium)を使用することが好ましく、本培養の培地としては、FMM培地(Fungal Minimum Medium)、又は各成分の濃度を高濃度に調整したFMM培地、好ましくは炭素源としてキシロースのみを添加し、各成分の濃度を通常使用される濃度の3倍に調整したFMM培地を使用することが好ましい。
また、受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌の場合は、一般に糸状菌の培養に用いられる合成培地であるCzapek-Dox液体培地に、唯一の炭素源としてPBSAエマルジョン(商品名:EM−301(昭和電工社製)等)を加えて培養することにより培養ろ液中にクチナーゼ様酵素PCLEを生産させることができる。
斯くして培養した培地を遠心処理した後、孔径0.45μm以下のろ過膜でろ過し、Pseudozyma antarcticaや受託番号NITE P-573で寄託された糸状菌の菌体を取り除くことにより、それぞれの菌が産生したクチナーゼ様酵素を含有する培養ろ液を得ることができる。
更に、本発明の除草用酵素含有組成物に用いられるクチナーゼ様酵素は、培養ろ液から精製したものであってもよい。たとえば、Pseudozyma antarcticaのクチナーゼ様酵素PaEの粗酵素液を得る場合は、培養ろ液に、硫酸アンモニウムを最終濃度50%になるように加え、4℃で一夜静置後、40,000gで遠心分離して得られるPaEを含む沈殿物を緩衝液で可溶化し、透析による脱塩を行って得ることができる。なお、本発明の除草用酵素含有組成物に用いられるクチナーゼ様酵素は、粗酵素液をさらに精製したクチナーゼ様酵素であって、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性やPBSA加水分解活性を有するものや、遺伝子組換え技術を使用して他の生物で生産したクチナーゼ様酵素の各種溶液や精製物を用いてもよい。
[植物病原性微生物]
本発明の除草用酵素含有組成物は、除草用農薬である植物病原性微生物を含有することが好ましい。植物病原性微生物は、従来一般に使用されているものを使用すればよく、その種類については特に限定されるものではないが、例えば、灰色かび病菌(例えば、Botrytis属に属する病原菌)、さび病菌(例えば、Puccinia属に属する病原菌)を、特に好ましく使用することができる。また、それら以外の主要な植物病原菌としては、いもち病(Pyricularia oryzae)、苗腐病菌(Pythium graminicola)、紋枯病菌(Rhizoctonia solani)、ばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病菌(Cochliobolus miyabeanus)、苗立枯病菌(Rhizopus oryzae)、赤かび病菌(Fusarium graminearum)、紫斑病菌(Cercospora kikuchii)、うどんこ病菌(一例としてSphaerotheca fuliginea)、菌核病菌(一例としてSclerotinia sclerotiorum)、炭疽病菌(一例としてColletotrichum orbiculare)、疫病菌(一例としてPhytophthora melonis)、各種立枯性病害を引き起こすフザリウム病菌(一例としてFusarium oxysporum)、葉かび病菌(Passalora fulva)、輪紋病菌(Alternaria solani)、褐色輪紋病菌(Corynespora cassiicola)、斑点病菌(Stemphylium lycopersici)、褐紋病菌(Phomopsis vexans)、すすかび病菌(Mycovellosiella nattrassii)、褐色円星病菌(Paracercospora egenula)、べと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、褐斑病菌(Corynespora cassiicola)、つる枯病菌(Didymella bryoniae)、斑点病菌(Cercospora capsici)、萎凋病菌(Fusarium oxysporum f.sp.spinaciae)、斑点落葉病菌(Alternaria mali)、黒星病菌(Venturia inaequalis)、黒斑病菌(Alternaria kikuchiana)、黒星病菌(Venturia nashicola)、赤星病菌(Gymnosporangium asiaticum)、黒点病菌(Diaporthe citri)、青かび病菌(Penicillium italicum)、晩腐病菌(Glomerella cingulata)、べと病菌(Plasmopara viticola)等を挙げることができる。これらの植物病原性微生物は、駆除の対象となる有害植物の種類に応じて適宜、選択して使用すればよく、駆除の対象となる有害植物への特異的な病原性を有する微生物を使用することが好ましい。
本発明の除草用酵素含有組成物に用いられる植物病原性微生物は、従来公知の方法により培養することにより得ることができる。そのような培養方法としては、例えば、植物病原性微生物を、これが増殖可能な培地で培養し、刷毛でかき取ったり、遠心分離を行ったりする等の手段を用いて、菌体や胞子を回収する方法を挙げることができる。人工培養ができない植物病原性微生物(絶対寄生菌)の場合は、植物体の上で増殖させた試料から上記と同様の方法で菌体や胞子を回収することが一般的である。
本発明の除草用酵素含有組成物に用いられる植物病原性微生物は、微生物の生菌であるが、当該微生物の生菌は、除草用酵素含有組成物の保存安定性の観点から、胞子の形態であることが好ましい。このため、上記植物病原性微生物の培養方法においては、培養の終期において微生物の生菌を胞子の形態にするために、培地等の種類や組成、培地等のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子の形成条件に適合させるように培養することが好ましい。なお、人工培養の不可能な絶対寄生菌を培養する場合においては、当該病原菌が通常寄生する植物を適宜選択し、当該病原菌が通常生育する条件下で培養し、胞子等を収集することが好ましい。
また、本発明の除草用酵素含有組成物を流通させる際に、クチナーゼ様酵素を含有する水溶液(好ましくはクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養ろ液)と、植物病原性微生物を別容器に収容して販売して、除草用酵素含有組成物の使用直前に両者を混合する形態としてもよく、クチナーゼ様酵素のみを含む除草用酵素含有組成物と、植物病原性微生物を別々に有害植物に適用してもよい。
本発明の除草用酵素含有組成物に含まれる植物病原性微生物の含有量は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されないが、懸濁液中に含まれる胞子の数が、10spores/mL以上108spores/mL以下であることが好ましく、104spores/mL以上107spores/mL以下であることが更に好ましい。
本発明の除草用酵素含有組成物は、更に、一般に農薬等の散布の際に用いられる展着剤等、クチナーゼ様酵素や植物病原性微生物の植物体表面への付着・伸展性を高めるための成分を含んでいてもよい。
<有害植物の駆除方法>
本発明は、植物病原性微生物として、駆除の対象となる有害植物への特異的な病原性を有する微生物を含む除草用酵素含有組成物を、有害植物へ適用する工程を含むことを特徴とする有害植物の駆除方法にも関する。除草用酵素含有組成物を、有害植物へ適用するにあたっては、従来公知の手法を使用して、除草用酵素含有組成物を有害植物へ散布又は噴霧することにより、除草用酵素含有組成物を有害植物の植物体の表面と接触させればよい。
なお、有害植物への特異的な病原性を有する植物病原性微生物を使用する場合、除草用酵素含有組成物の一成分として当該組成物中に混合して散布してもよいし、除草用酵素含有組成物の散布時期とは時期を変えて散布してもよい。植物病原性微生物を、除草用酵素含有組成物の散布時期と時期を変えて散布する場合には、除草用酵素含有組成物の散布後の1日後から5日後に植物病原性微生物を散布することが好ましく、除草用酵素含有組成物の散布後の3日後に植物病原性微生物を散布することが更に好ましい。
このようにして、除草用酵素含有組成物を有害植物の植物体に接触させることにより、除草用酵素含有組成物に含まれるクチナーゼ様酵素が、有害植物の病害菌耐性を低下させ、除草用酵素含有組成物中に含まれる病原性微生物又は除草用酵素含有組成物とは別途散布される病原性微生物が、有害植物に病害を引き起こすことにより、有害植物を駆除することができる。
なお、本発明の除草用酵素含有組成物は、好ましくは、植物に対して病原性を有さない微生物の培養ろ液として提供されるため、植物病原性微生物を含む液状の組成物を調製して散布又は噴霧されることが好ましいが、クチナーゼ様酵素を含有する組成物を粉体組成物として提供可能な場合は、これを植物病原性微生物の胞子等と混合することにより、粉体の組成物として除草用酵素含有組成物を調製し、当該粉体の除草用酵素含有組成物を有害植物に適用することが好ましい。
また、本発明は、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有するクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養液を、有害植物へ適用する工程を含むことを特徴とする有害植物の駆除方法であって、植物に対して病原性を有さない微生物がPseudozyma属、Cryptococcus属、Acremonium属、Alternaria属、Aspergillus属、Aureobasidium属、Cladosporium属、Epicoccum属、Fusarium属、Leptosphaeria属、Penicillium属、Phoma属、Neoplaconema属、Paraphoma属、Paecilomyces属に属する微生物であることを特徴とする有害植物の駆除方法にも関する。
クチナーゼ様酵素を含有する微生物の培養液としては、当該微生物の培養ろ液を用いることが好ましく、その製造方法や使用条件は、上記<除草用酵素含有組成物>の[クチナーゼ様酵素]の項で説明した製造方法や使用条件と同様の方法及び条件を使用することができる。また、クチナーゼ様酵素を含有する溶液としては、クチナーゼ様酵素の粗精製溶液や精製液を用いてもよい。
クチナーゼ様酵素を含有する微生物の培養液や培養ろ液、粗精製溶液や精製液を有害植物に適用することにより、有害植物の乾燥耐性や病原菌耐性を低下させ、有害植物の植物組織が水分を失ったり、環境中の病原性微生物に感染したりすることにより、有害植物を駆除することができる。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
硫酸アンモニウムを最終濃度50%になるように加え、4℃で一夜静置後、40,000gで遠心分離して得られるPaEを含む沈殿物を緩衝液で可溶化し、透析による脱塩を行って粗精製し、20mMトリス塩酸緩衝液(pH6.8)で透析した葉面酵母Pseudoyzma antarctica由来のクチナーゼ様粗精製酵素(PaE;植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)溶液(酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性は14.4U/mL)を上記緩衝液で5倍に希釈し、2.88U/mLとした。矮性のトマト(MicroTom)および、シロイヌナズナの切葉に対してこれを噴霧処理した後、密閉容器の中で保湿しつつ保温した。その結果、粗精製したPaEが含まれる緩衝液を噴霧したトマト及びシロイヌナズナの葉面は、黄化または液化し、カビなどによる病徴が確認できた。また、同濃度の粗酵素溶液の噴霧72時間後に、それぞれの植物に感染する病原性糸状菌(灰色カビ病菌)の胞子(5×104spores/mL;植物病原性微生物)を噴霧すると、感染効率が促進され病徴の発現が助長された(図1参照)。
なお、図1中、左図はトマトの切葉を粗酵素液希釈用バッファーで処理したもの、中央図は2.88U/mLの酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有する粗酵素液で処理したもの、右図は2.88U/mLの酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有する粗酵素液と、灰色カビ病菌の胞子とで処理したものを示す。
<実施例2>
PaE(植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)を含有するPseudozyma antarcticaの培養液から菌体を除去した後(培養ろ液)は、PaEの酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性は15.36U/mLであった。
なお、Pseudozyma antarcticaの培養に当たっては、5L容のジャーファーメンターに、表1に示した組成の培地3Lを加え、Pseudozyma antarcticaをYM培地で培養した前培養液30mLを接種して、30℃、撹拌速度500rpm、通気量8LPMで培養を行った。高泡形成による培養液の流出を防止するため、消泡剤(商品名「信越シリコーンKM-72F」、信越化学工業株式会社製)を、消泡センサーを利用して断続的に自動滴下し、培養開始後72時間までにおおよそ60mL添加した。
培地中のアンモニウムイオンの消費によるpHの低下をセンサーで感知し、窒素源の追加とpHの調整のため、培地にアンモニア水をアルカリ調整溶液として自動滴下してpHを6.0に調整した。培養開始24時間後から、表2に示した組成の流加培地を0.5L/dの速度で流加した。
表1:ジャーファーメンター用培地
表2:PaE生産誘導用流加培地
※ディフコ社製
上記培養ろ液をポット栽培の矮性のトマト(MicroTom)の植物体に噴霧処理し、人工気象室内で27℃で栽培した。対照区には、培養ろ液をオートクレーブで121℃、15分間処理し、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性が失われたことを確認した溶液(失活酵素液)を散布した。その結果、培養ろ液散布区では、7日後には、すでに展開している成熟葉の淵および先端が褐変化し、カーリングした。また、若芽の未熟葉では、全体的な褐変化とカーリングが観察された。未熟花芽では先端が褐変化した(図2A参照)。また、培養ろ液を噴霧処理したトマトを屋外に設置し、給水を減らしたところ、7日後には落葉、黄化・褐変葉の割合が対照区に対して顕著に増大した(表3、図2B参照)。
表3
同様の培養ろ液をシロイヌナズナに対して噴霧処理した後、人工気象室内で栽培したところ、7日後には、矮性のトマトと同様にロゼッタ葉の淵が褐変化し、張りを失ってカーリングした。また、葉が重なり合った部位では、葉が溶け合って融合した。(図3参照)
なお、図2Aにおいて、左図は失活酵素液を適用した若芽部位、中央図及び右図は通常の培養ろ液を適用した若芽部位の様子を示し、図2Bにおいて、左図は失活酵素液を適用した対照区、右図は通常の培養ろ液を適用した処理区の植物体を示し、図3において、左図は失活酵素液を適用したロゼッタ葉、右図は通常の培養ろ液を適用したロゼッタ葉を示す。
<実施例3>
実施例2で用いたPaE(植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)を含むPseudozyma antarcticaの培養ろ液と同じ培養ろ液(酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性が15.36U/mL)を、野外雑草に散布処理した。対照区ではPaEの失活酵素液を散布した。なお、野外雑草として生育していた植物種は、主としてイネ科雑草のメヒシバとエノコログサであった。培養ろ液は、1m2当たり約1Lを散布した。その結果、培養ろ液を散布した植物で黄化と病害の発病率、発病度が上昇した。ここで、発病率、発病度を、日本植物防疫協会で記載されている発病度の調査法(農薬実用化試験の基準)に則って評価したところ、培養ろ液処理を行った領域では発病率が88.7%、発病度が56.3だったのに対し、対照区では、発病率が70%、発病度が26.2であった。
即ち、対象区に対して培養ろ液処理区においては、発病率は25.8%上昇し、発病度には統計的な有意差が認められた。これは、自然状態でも病原菌の感染が起こっているが、培養ろ液で処理を行うことにより、その病徴を示す発病度が著しく上昇していることを示している。特に、噴霧した溶液の水滴が付着した部位から発病していたことから、培養ろ液中に含まれるPaEによる植物のクチンの分解効果により、病害が誘導されたと認められる(図4及び表4参照)。
なお、図4のAにおいて、左図は散布1日後の対照区を、右図は散布1日後の処理区を示し、図4のBにおいて、左の葉は散布7日後の対照区を、右の葉は散布7日後の処理区の葉を示す。更に、図4のCは、散布7日後の処理区を示す。図4のAより、対象区及び処理区ともに、培養ろ液が付着した箇所が付着痕を形成しているが、処理区ではカーリングを起こす等、病害受けていると見られる徴候を示している。また、図4のCより、培養ろ液が付着した箇所に病害が発生していることが確認できる。
表4
※発病度は、各評価基準に割り当てられた得点を当該評価基準に該当する葉数で積算し、全評価基準を通して合算した数値を合計調査葉数に4を乗じた値で除算し、更に100を乗じた値を示す。
<実施例4>
実施例1で用いた、硫安沈殿により粗精製したPaE(植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)溶液を、20mMトリス塩酸緩衝液(pH6.8またはpH8.8)で希釈し、0.72U/mL(20倍希釈液)、2.88U/mL(5倍希釈液)の粗酵素液を調製した。対照区として20mMトリス塩酸緩衝液(pH6.8またはpH8.8)を用いた。これら溶液とトマトに感染する病原性糸状菌(灰色カビ病菌)の胞子(5×104spores/mL;植物病原性微生物)を矮性のトマト(MicroTom)切葉に対して同時に噴霧処理した後、密閉容器の中で保湿しつつ人工気象室内で、27℃で保温した。噴霧処理7日後に各切葉の様子を無変化、黄化、病徴発現の3段階で評価し、その結果を表5に示した。表5より明らかなように、2.88U/mLの酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有する粗精製したPaEとカビ胞子を同時に噴霧したトマトの葉面は希釈に用いた緩衝液のpHに関わらず、25%で黄化し、75%でカビによる病徴が確認できた。0.72U/mLの粗酵素処理区ではpH8.8条件で処理した方がpH6.8条件で処理したものより病徴の発現が助長された。
表5
<実施例5>
培養ろ液希釈液(PaE;植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素15.36U/mL)を20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.8)で希釈し、0.19U/mL、0.96U/mL、1.92U/mL、15.36U/mLの酵素溶液を調製した。これらを用い、実施例1と同様の手法で矮性のトマト(MicroTom)切葉に対して噴霧処理した後、密閉容器の中で保湿しつつ保温した。噴霧処理直後、処理後3日、処理後10日の各切葉の様子を無変化、黄化、病徴発現の3段階で評価し、その結果を表6に示した。表6に示すように、酵素溶液中のPaE濃度に応じて、黄化や病徴発現の割合が向上し、特に15.36U/mLの酵素溶液を適用した切葉では10日経過後に全ての葉が病徴を示した。
表6
<実施例6>
近年、日本産のタデ科植物であるイタドリFallopia japonicaが欧米諸国で大繁殖し、その被害拡大が深刻な状況にある。高コストの化学除草剤による化学的防除法ではイタドリの蔓延を防ぐことが困難なため、原産地の病原菌を活用する生物防除法の開発が急務となっている。本実施例では、イタドリに対する病原性微生物として有望なさび病菌Puccinia polygoni-amphibii var. tovariae(植物病原性微生物)を用い、除草用酵素含有組成物がさび病菌の病徴発現に及ぼす影響を調べた。イタドリの葉の両面に酵素液(PaE;実施例2で用いたPaE(植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)を含むPseudozyma antarcticaの培養ろ液と同じ培養ろ液;酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性は15.36U/mL)を噴霧処理し、処理後の植物体を温室で維持した(処理区)。一方、対照区では滅菌水を噴霧した。処理区及び対照区において、噴霧72時間後、さび病菌Puccinia polygoni-amphibii var. tovariaeの夏胞子(植物病原性微生物)とタルカムパウダーを1:10(w/w)に調製してイタドリの葉の両面に塗抹接種した。処理後の植物体を湿度100%の条件下で48時間静置後、温室(25℃)にて維持した。処理区及び対照区において、発病度や落葉率を経日調査した。発病度は以下の評価基準で評価した。
[発病度]
0:健全
1:斑点形成(夏胞子堆形成はなし)
2:夏胞子堆形成(葉面の50%未満)
3:夏胞子堆形成(葉面の50%以上)
4:葉全体の黄化
5:落葉枯死
その結果、(1)培養ろ液を噴霧しただけで48時間以内に新葉数枚が枯死し(図5)、さらに(2)さび病菌の接種後、処理区の発病度と落葉率が対照区より高く推移し、培養ろ液の病原菌感染の助長効果が認められた(図6)。
<実施例7>
[実験方法]
培養ろ液(PaE;実施例2で用いたPaE(植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素)の溶液)に、夏胞子の濃度が約1.5×105spores/mLとなるようにさび病菌Puccinia polygoni-amphibii var. tovariaeの夏胞子を混合した除草用酵素含有組成物を、イタドリの葉の両面に噴霧接種した(以下、酵素処理区とも称する)。また、対照として、失活酵素液(実施例2と同様に培養ろ液をオートクレーブ処理したもの)に、夏胞子の濃度が約1.5×105spores/mLとなるようにさび病菌の夏胞子を混合したものを、イタドリの葉の両面に噴霧接種した(以下、対照区とも称する)。酵素処理区及び対照区の植物体は20℃、湿度100%条件下で48時間静置後、温室(25℃)にて維持した。1試験区でそれぞれ7個体を処理し、各試験を2回、反復して行った。
[結果]
図7に示すように、酵素処理区及び対照区の平均落葉率は、PaEを含む培養ろ液とさび病菌の夏胞子を含む除草用酵素含有組成物で処理した処理区では、失活酵素液を使用した対照区と比較して、さび病菌のより激しい病徴が確認されたとともに、病勢進展が有意に早いことが明らかとなった。平均落葉率においては、酵素処理区では3日後に1.02%、6日後に26.2%、9日後に34.1%、12日後に38.7%、対照区では3日後に0%、6日後に16.2%、9日後に32.4%、12日後に39.3%であり、PaEを含む培養ろ液を用いた場合においてさび病菌の同時接種から6日後までに有意に差のある落葉率を示した。
<実施例8>
[実験方法]
Czapek-Dox液体培地に、唯一の炭素源としてPBSAエマルジョン(EM−301(昭和電工社製))を加え、受託番号NITE P-573の糸状菌株を液体振とう培養し、培養液から糸状菌の菌体を除去し培養ろ液(PCLE:植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素を含む溶液)を調整した。培養ろ液のPBSA加水分解活性は、2mM塩化カルシウムを含むpH6.8の20mM Tris塩酸緩衝液で測定したところ、10U/mLであった。この培養ろ液を2mM塩化カルシウムを含むpH6.8の20mM Tris塩酸緩衝液、又は2mM塩化カルシウムを含まないpH6.8の20mM Tris塩酸緩衝液で希釈し、PBSA加水分解活性が1U/mLのクチナーゼ様酵素PCLEの溶液を調製した。なお、このクチナーゼ様酵素PCLEの溶液のPBSA加水分解活性は、pH8.0の50mM Tris塩酸緩衝液中の酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性1.11U/mLに換算される。
実施例1と同様に、矮性のトマト(MicroTom)の切葉各11枚に対してクチナーゼ様酵素PCLEの溶液を噴霧処理した後、密閉容器の中で保湿しつつ保温した。酵素溶液の噴霧後、72時間が経過した後に、矮性のトマトに感染する病原性糸状菌(灰色カビ病菌)の胞子(5×104spores/mL;植物病原性微生物)を噴霧して、保湿しつつ保温した。7日後に切葉の様子を観察したところ、対照区(2mM塩化カルシウムを含むpH6.8の20mM Tris塩酸緩衝液を散布した矮性トマトの切葉)に比べてクチナーゼ様酵素PCLEの溶液を散布した処理区では、酵素溶液中の塩化カルシウム有無に関わらず、黄化する葉の出現率が高くなった。更に、病徴を示す葉の割合は、対照区では18.2%(2葉)であったのに対し、処理区では病徴を示す葉の割合が高くなり、塩化カルシウムを加えていないクチナーゼ様酵素PCLEの溶液を散布した処理区では45.5%(5葉)、塩化カルシウムを加えたクチナーゼ様酵素PCLEの溶液を散布した処理区では63.6%(7葉)と感染の効率が向上し病徴が助長された(表7参照)。
表7

Claims (6)

  1. 有害植物を駆除するための除草用酵素含有組成物であって、
    酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有し、植物に対して病原性を有さない微生物由来のクチナーゼ様酵素含み、
    除草用酵素含有組成物における前記クチナーゼ様酵素の含有量が、酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性に換算して0.01U/mL以上であり、
    前記植物に対して病原性を有さない微生物が、Pseudozyma属、Cryptococcus属又はParaphoma属に属する微生物であることを特徴とする、除草用酵素含有組成物。
  2. 前記組成物が、除草用農薬である植物病原性微生物をさらに含み、前記植物病原性微生物が、灰色カビ病菌、及びさび病菌からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の除草用酵素含有組成物。
  3. 前記組成物に含まれるクチナーゼ様酵素が、前記植物に対して病原性を有さない微生物の培養ろ液に由来する請求項1又は2に記載の除草用酵素含有組成物。
  4. 求項1からのいずれかに記載の除草用酵素含有組成物を、害植物へ適用する工程を含むことを特徴とする有害植物の駆除方法。
  5. 酪酸p−ニトロフェニル加水分解活性を有するクチナーゼ様酵素を産生し、植物に対して病原性を有さない微生物の培養液を、有害植物へ適用する工程を含む害植物の駆除方法であって、
    前記植物に対して病原性を有さない微生物がPseudozyma属、Cryptococcus属、又はParaphoma属属する微生物であることを特徴とする有害植物の駆除方法。
  6. 前記方法が、前記培養液を前記有害植物に適用した後又は適用するのと同時に、除草用農薬である植物病原性微生物を前記有害植物に適用する工程をさらに含み、前記植物病原性微生物が、灰色カビ病菌、及びさび病菌からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の有害植物の駆除方法。
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