JP6246518B2 - トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、パワーデバイス、パワーデバイスを有する集積回路、電源回路または電力変換回路のほか、半導体回路、演算装置は、半導体装置の一態様である。また、記憶装置、撮像装置、電気光学装置、表示装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、半導体装置を有している場合がある。
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が知られている。該トランジスタには集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
また、高耐圧向けの半導体装置には、シリコンを用いて作製される半導体装置が広く流通している。しかし、シリコンを用いた半導体装置の性能は限界に近付いており、さらなる高性能化を実現することが困難となってきている。
また、シリコンはバンドギャップが小さいため、これを用いた高耐圧向けの半導体装置は、高温での動作範囲に限界がある。このため、近年ではバンドギャップの広いSiCやGaNを用いた半導体装置の開発が進められている。
また、大電力向けに用いられる半導体装置に酸化物半導体を用いることが開示されている(特許文献1、2)
特開2011−91382号公報 特開2011−172217号公報
大電力向けの半導体装置に適用されるトランジスタは、大電流を流すことが望まれる。また、高温であっても正常動作が可能であることが望まれる。また、高いドレイン電流を有することが望まれる。
また、トランジスタを含む半導体装置の消費電力を低減するためには、トランジスタのしきい値電圧を適正な値に制御することが望まれる。
本発明の一態様は、大きな電流を流すことのできる半導体装置を提供することを課題の一とする。または、高温動作が可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、高い駆動電圧で安定して動作する半導体装置を提供することを課題の一とする。または、しきい値電圧の制御が容易な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。または、特性の良い半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、半導体層と、半導体層と電気的に接続し、半導体層と重なる領域で離間するソース電極及びドレイン電極と、半導体層を挟んで設けられる第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、半導体層と第1のゲート電極との間に第1のゲート絶縁層と、半導体層と第2のゲート電極との間に第2のゲート絶縁層と、を有する半導体装置である。また、第1のゲート電極は、ソース電極の一部、半導体層、及びドレイン電極の一部と重畳して設けられる。また第2のゲート電極は、半導体層の一部と重畳し、上面側から見てソース電極のドレイン電極側の端部と第2のゲート電極のソース電極側の端部とが離間する。さらに、上面側から見てドレイン電極のソース電極側の端部と第2のゲート電極のドレイン電極側の端部とが離間する。
また、上記において、上面側から見て第2のゲート電極とドレイン電極との距離が、第2のゲート電極とソース電極との距離よりも大きいことが好ましい。
また、上記半導体層は島状の形状を有し、ドレイン電極は、半導体層と重なる開口を有する環状の形状を有し、ソース電極は、開口の内側に設けられていることが好ましい。
または、半導体層は島状の形状を有し、ソース電極は、半導体層と重なる開口を有する環状の形状を有し、ドレイン電極は、開口の内側に設けられていることが好ましい。
また、上記半導体層は、酸化物半導体を含むことが好ましい。
またこのとき、半導体層と第2のゲート絶縁層との間に第1の酸化物層と、半導体層と第1のゲート絶縁層との間に第2の酸化物層と、をさらに有することが好ましい。特に、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、半導体層と同一の金属元素を一種以上含むことが好ましい。
本発明の一態様によれば、大きな電流を流すことのできる半導体装置を提供できる。または、高温動作が可能な半導体装置を提供できる。または、高い駆動電圧で安定して動作する半導体装置を提供できる。または、しきい値電圧の制御が容易な半導体装置を提供できる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供できる。または、信頼性の高い半導体装置を提供できる。
実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、計算に用いた構造モデル。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、トランジスタ特性の計算結果。 実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、半導体装置の作製方法例を説明する図。 実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、半導体装置の構成例。 実施の形態に係る、電力変換回路の構成例。 実施の形態に係る、電力変換回路の構成例。 実施の形態に係る、電源回路の構成例。 実施の形態に係る、電源回路の構成例。 実施の形態に係る、バッファ回路の構成例。 実施の形態に係る、記憶装置を説明する回路図。 実施の形態に係る、表示パネルの構成を説明する図。 実施の形態に係る、電子機器。 実施の形態に係る、電子機器。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例について図面を参照して説明する。ここでは半導体装置の一例として、トランジスタについて説明する。
本発明の一態様の半導体装置は、チャネルが形成される半導体層を挟んで、第1のゲート電極と第2のゲート電極の2つのゲート電極を有する構成を有し、且つ、半導体層の一部に、一方のゲート電極と重畳しない領域を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧の制御の容易性と、電界効果移動度及びドレイン電流の向上を同時に実現するものである。
より具体的には、例えば以下の構成とすることができる。
[構成例]
図1は、本発明の一態様のトランジスタの構成例における代表的な構成要素の位置関係を説明するためのチャネル長方向の断面概略図である。
図1(A)に示すトランジスタは、半導体層102と、半導体層102とそれぞれ電気的に接続する第1の電極103a及び第2の電極103bと、絶縁層104を介して半導体層102と重なる第1のゲート電極105aと、半導体層102を介して第1のゲート電極105aと対向して設けられ、絶縁層106を介して半導体層102の一部と重なる第2のゲート電極105bと、を有する。
なお、図1(A)において、第1のゲート電極105aを第2のゲート電極105bよりも上方に配置するように示しているが、その上下の位置関係は問わない。
半導体層102は、チャネルが形成される領域においてシリコンなどの半導体を含んで構成されうるが、シリコンよりもバンドギャップの大きな半導体を含むことが好ましい。好適には、半導体層102は酸化物半導体を含んで構成される。
例えば、上記酸化物半導体として、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。より好ましくはIn−M−Zn系酸化物(MはAl、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)で表記される酸化物を含む。
シリコンよりもバンドギャップの大きな酸化物半導体をチャネルが形成される半導体層102に適用することにより、高温下であってもトランジスタの電気特性の変動を極めて小さいものとすることができる。したがって、半導体層102に酸化物半導体を適用することで、高温で安定した動作が可能なトランジスタを実現できる。
さらに、半導体層102に酸化物半導体を用いることにより、ホットキャリア劣化に対する耐性が高められ、トランジスタに高いドレイン耐圧を付与することができる。そのため、高い駆動電圧で安定して動作するトランジスタを実現できる。
ここで、ホットキャリア劣化とは、高速に加速された電子がチャネル中のドレイン近傍でゲート絶縁層中に注入されて固定電荷になることや、ゲート絶縁層界面にトラップ準位を形成することにより、しきい値電圧の変動やゲートリーク等のトランジスタ特性の劣化が生じることであり、ホットキャリア劣化の要因としては、チャネルホットエレクトロン注入(CHE注入)とドレインアバランシェホットキャリア注入(DAHC注入)がある。
シリコンはバンドギャップが狭いため、アバランシェ降伏によって雪崩的に電子が発生しやすく、ゲート絶縁層の障壁を超えられるほど高速に加速される電子数が増加する。しかしながら、本実施の形態で示す酸化物半導体は、バンドギャップが広いため、アバランシェ降伏が生じにくく、シリコンと比べてホットキャリア劣化の耐性が高い。
このように、トランジスタは高いドレイン耐圧を有すると言える。それゆえ、絶縁ゲート電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated−Gate Field−Effect Transistor)などのパワーデバイスに好適である。
第1の電極103aは、トランジスタのソース電極として機能する。また、第2の電極103bは、トランジスタのドレイン電極として機能する。
ここで、第1のゲート電極105aは、第1の電極103aの端部から第2の電極103bの端部に渡って、半導体層102と重なるように設けられている。
一方、第2のゲート電極105bは、第1の電極103aの端部と第2の電極103bの端部の間に設けられ、第1の電極103a及び第2の電極103bのいずれとも重畳しないように設けられている。言い換えると、半導体層102の第1の電極103a側と、第2の電極103b側の両方に、第2のゲート電極105bと重ならない領域(オフセット領域とも呼ぶ)が設けられている。
ここで、図1(A)に示すように、第1の電極103aと第2の電極103bの間隔をチャネル長Lと呼ぶこととする。また、少なくとも半導体層102と重なる領域において、上面側から見たときの、第1の電極103aと第2のゲート電極105bとの間隔をオフセット長Loff1と呼び、第2の電極103bと第2のゲート電極105bとの間隔をオフセット長Loff2と呼ぶこととする。
チャネル長Lに対するオフセット長Loff1の比(すなわちLoff1/L)は、0以上0.95以下、好ましくは0以上0.5以下、より好ましくは0以上0.25以下とすればよい。また、チャネル長Lに対するオフセット長Loff2の比(すなわちLoff2/L)は、0以上0.95以下、好ましくは0.5以上0.95以下、より好ましくは0.75以上0.95以下とすればよい。なお、実際にはばらつきとしてプラスマイナス10%の変動を含むものとする。
第1のゲート電極105aには、トランジスタのオン状態を制御する電位を与えることができる。例えば、トランジスタをオン状態とする電位、またはトランジスタをオフ状態とする電位が与えられる。このような電位を与えることにより、トランジスタのスイッチング動作を実現できる。
第2のゲート電極105bには、トランジスタのしきい値電圧を制御するための電位を与えることができる。好ましくは、ソース電極として機能する第1の電極103aに与えられる電位よりも低い電位を与える。このような電位を与えることにより、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせることができる。特に第2のゲート電極105bに適切な電位を与えることにより、ノーマリーオフのトランジスタ特性を得ることができる。
このような電位を与える第2のゲート電極105bを、ソース電極として機能する第1の電極103aと、ドレイン電極として機能する第2の電極103bの両方からオフセットさせて配置することにより、オフセット領域を有さない場合、すなわち第1の電極103a及び第2の電極103bと重畳させて設ける場合に比べて、しきい値電圧のシフト量を同等なものとするばかりでなく、トランジスタの電界効果移動度を向上させ、オン状態におけるソース−ドレイン間電流(オン電流、ドレイン電流ともよぶ)を増大させることができる。
なお、第2のゲート電極105bは、少なくとも第1の電極103a及び第2の電極103bと重畳しないように設ければよい。したがって、オフセット長Loff1、Loff2のいずれか一方、または両方が0である場合でも、第2のゲート電極105bが第1の電極103a及び第2の電極103bと重畳させて設ける場合に比べてトランジスタの電界効果移動度が向上し、ドレイン電流を増大させることができる。
第2のゲート電極105bに与える電位を一定とした場合、第2のゲート電極105bのチャネル長方向の幅が大きいほどしきい値電圧のシフト量が大きくなる。一方、第2のゲート電極105bのチャネル長方向の幅が小さいほど、電界効果移動度が高まり、オン電流を増大させることができる。チャネル長Lに対する第2のゲート電極105bのチャネル長方向の幅の大きさは、オン電流や電界効果移動度の観点からは小さいほど好ましいが、トランジスタの駆動電圧や所望のしきい値電圧のシフト量などを考慮して適宜設定すればよい。
ここで、第2のゲート電極105bに、ソース電極として機能する第1の電極103aに与えられる電位よりも高い電位を与えることもできる。このような電位を与えることにより、トランジスタのしきい値電圧をマイナスシフトさせることができる。
または、第2のゲート電極105bには、トランジスタのオン状態を制御する電位を与えることもできる。例えば、第1のゲート電極105aに入力される電位と同電位を与えることが好ましい。このとき、図示しない配線やプラグなどにより、第2のゲート電極105bを第1のゲート電極105aと電気的に接続する構成とすればよい。このような構成とすることで、第1のゲート電極105aと第2のゲート電極105bに電位を供給する配線を共通化し、回路構成を単純化することができる。
なお、第2のゲート電極105bに入力するトランジスタのオン状態を制御する電位は上記に限られず、絶縁層106の厚さや電気的特性などを考慮し、第1のゲート電極105aに入力する電位よりも高い電位、またはこれよりも低い電位であってもよい。また、第1のゲート電極105aに入力される信号(電位レベルが時間変化する信号)に対し、電位の立ち上がりや立下りのタイミングがずれた信号を第2のゲート電極105bに入力してもよい。
第2のゲート電極105bにこのような電位を与えることにより、半導体層102に形成されるチャネル領域が拡大し、トランジスタの電界効果移動度を向上させ、オン電流を高めることができる。
図1(B)に示すトランジスタは、図1(A)に示したトランジスタと比較して、オフセット長Loff2がオフセット長Loff1よりも大きくなるように、第2のゲート電極105bを配置した場合を示している。
このように、第2のゲート電極105bのチャネル長方向の幅を一定とした場合、上面側から見たときの第2のゲート電極105bと第2の電極103bとの距離(オフセット長Loff2)が大きいほど、トランジスタの電界効果移動度を向上させ、オン電流を増大させることができる。特に、上面側からみたときの第2のゲート電極105bと第1の電極103aとの距離(オフセット長Loff1)が0に近いほどオン電流の増大が顕著になる。
また、図1(C)に示すように、第2のゲート電極105bを複数にチャネル長方向に分割して離間させて配置してもよい。ここでは便宜上、2つに分割された第2のゲート電極105b、105bの距離をオフセット長Loff3と呼ぶこととする。
このとき、2つに分割された第2のゲート電極105b及び第2のゲート電極105bは、いずれも上面側からみて第1の電極103aと第2の電極103bの間に位置するように配置することが好ましい。
なお、ここでは第2のゲート電極105bを2つに分割した例を示したが、3以上に分割する構成としてもよい。その場合も、複数に分割された第2のゲート電極を、上面側からみて第1の電極103aと第2の電極103bの間に位置するように配置することが好ましい。このように第2のゲート電極105bを複数に分割して配置する構成を、マルチゲート構造とも呼ぶことができる。
このように、第2のゲート電極105bを複数に分割し、チャネル長方向において半導体層102と第2のゲート電極105bとが重畳しないオフセット領域を複数有する構成とすることで、トランジスタの電界効果移動度が向上し、オン電流を増大させることができる。
また、図1(D)に示すように、複数に分割された第2のゲート電極のうち1以上を、他よりも半導体層102から離れた位置に配置してもよい。図1(D)では、3つに分割された第2のゲート電極105b、105b、105bのうち、第2のゲート電極105bを、他よりも半導体層102から離れた位置に配置した場合を示している。なお明瞭化のため、図1(D)ではチャネル長やオフセット長などの記載は省略している。
第2のゲート電極105bは、絶縁層106、絶縁層108及び絶縁層109を介して半導体層102の一部と重畳するように配置されている。
またこのとき、他よりも半導体層102から離れた位置に配置された第2のゲート電極には、他とは異なる電位を供給してもよい。例えば図1(D)に示す構成では、第2のゲート電極105b、105bに第1の電極103aに与える電位よりも低い電位を与え、第2のゲート電極105bには、これよりも低い電位を与えることもできる。
以上が本構成例についての説明である。
以上のように、本発明の一態様のトランジスタは、第2のゲート電極に適切な電位を与えることで、ノーマリーオフの電気特性を付与することが可能となる。さらに半導体層として酸化物半導体を用いることで、オフ状態におけるリーク電流(オフ電流ともよぶ)を極めて小さいものとすることができる。したがって、本発明の一態様のトランジスタを備える半導体装置の消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、半導体層にシリコンを用いた場合よりもドレイン耐圧に優れるため、高いドレイン耐圧が要求されるデバイスに好適に用いることができる。さらに、本発明の一態様のトランジスタはしきい値電圧を容易に制御可能で、且つしきい値電圧をシフトさせ、ノーマリーオフの特性とした場合であっても高いドレイン電流を流すことができるため、高効率で且つ低消費電力駆動が要求されるデバイスに好適に用いることができる。例えば電源回路、DCDCコンバータやインバータなどの電力変換回路、信号の送受信に係る送信回路または受信回路、電力を受電する受電回路などに好適に用いることができる。
また、半導体層にシリコンよりもバンドギャップの広い半導体材料を用いることで、高温であっても安定した動作が可能となる。特に本発明の一態様のトランジスタは大きな電流を流すことが可能であり、駆動時の自己発熱が顕著になる場合がある。また大電力向けの半導体装置では、他の素子からの発熱により使用環境が高温となってしまう場合もある。しかしながら本発明の一態様のトランジスタは、このような高温環境であっても安定した電気特性を維持することができ、該トランジスタを適用した半導体装置の高温環境における信頼性を高めることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは高いドレイン耐圧と高い電界効果移動度を実現できるため、チャネル長とチャネル幅を小さくすることが可能であり、素子の占有面積を縮小することができる。したがって、高集積化や素子の微細化が求められるデバイスにも好適に用いることができる。例えば、複数の画素を含む画像表示装置では、画素の高精細化を可能とする。また高集積化が望まれるメモリデバイスや演算装置などのICにも好適に用いることができる。
[シミュレーションによる検証]
以下では、各ゲート電極の配置の違いがトランジスタの電気特性に与える影響について検証した結果を示す。
〔計算モデル〕
まず、計算に用いたトランジスタのモデルを図2(A)乃至(C)にそれぞれ示す。なお、計算にはデバイスシミュレーションソフト Sentaurus(synopsys社製)を用いた。
図2(A)に示すトランジスタは、半導体層(OS)上に第1のゲート絶縁層(GI1)を有し、第1のゲート絶縁層(GI1)上に第1のゲート電極(GE1)を有する。また半導体層(OS)上にはソース電極(Source)及びドレイン電極(Drain)が離間して配置されている。半導体層(OS)のソース電極(Source)、ドレイン電極(Drain)と重畳する領域には、ドナー密度の高い領域(n+)が形成されている。半導体層(OS)の下方には第2のゲート絶縁層(GI2)が配置され、第2のゲート絶縁層(GI2)よりも下方に、半導体層(OS)の一部と重畳する第2のゲート電極(GE2)が配置されている。すなわち、第2のゲート電極(GE2)は、ソース電極(Source)及びドレイン電極(Drain)とは重畳しないように設けられている。
ここで、ソース電極(Source)とドレイン電極(Drain)の間の距離をチャネル長Lとする。また、上面側から見たときのソース電極(Source)と第2のゲート電極(GE2)との距離をオフセット長Loff1とし、ドレイン電極(Drain)と第2のゲート電極(GE2)との距離をオフセット長Loff2とする。また、ソース電極(Source)とドレイン電極(Drain)の間の領域における第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)とが重畳する長さをオーバーラップ長Lovとする。
また、本計算モデルでは、半導体層に用いる半導体として酸化物半導体を想定して計算を行った。
計算に用いた条件を表1に示す。
また、図2(B)に示すトランジスタは、図2(A)と比較して、第2のゲート電極(GE2)がソース電極(Source)とドレイン電極(Drain)及びこれらの間の半導体層(OS)の全体に重畳して配置されている点で相違している。ここでは、第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)とが重畳する長さLovはチャネル長Lと等しくなる。
また、図2(C)の示すトランジスタは、図2(A)と比較して、第2のゲート電極(GE2)を有していない点で相違している。
〔第2のゲート電極のオーバーラップ長依存性〕
図2(A)に示したモデルにおいて、まずは第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)とのオーバーラップ長Lov(すなわち、第2のゲート電極(GE2)のチャネル長方向の幅)を変えて、トランジスタ特性を算出した。ここで、第2のゲート電極(GE2)の位置をソース電極(Source)とドレイン電極(Drain)の中間の位置に固定した条件を用いた。すなわち、上面側からみたときの第2のゲート電極(GE2)とソース電極(Source)とのオフセット長Loff1と、第2のゲート電極(GE2)とドレイン電極(Drain)とのオフセット長Loff2とが一致する条件を用いた。また、オーバーラップ長Lovを、チャネル長Lを基準にL/20からLまでの範囲で、L/20ずつ変化させて計算を行った。さらに、第2のゲート電極(GE2)をソース電極及びドレイン電極と重畳させて設けたモデル(図2(B))、及び第2のゲート電極(GE2)を配置しないモデル(図2(C))についても計算を行った。
また計算において、チャネル長Lを10μmとし、ソース−ドレイン間電圧(以下、ドレイン電圧Vdと呼ぶ)として0.1V、3.0Vの2条件について計算を行った。
図3(A)は、ドレイン電圧Vdを0.1Vとしたときの、ゲート−ソース間電圧(以下、ゲート電圧Vgと呼ぶ)に対するソース−ドレイン間電流(以下、ドレイン電流Idと呼ぶ)の関係(Vg−Id特性ともいう)の計算結果である。また、図3(B)は、図3(A)のVg−Id特性から見積もった、ゲート電圧Vgに対する電界効果移動度の関係を示している。また、図4(A)、(B)は同様に、ドレイン電圧Vdを3.0Vとしたときの計算結果である。なお、図中、第2のゲート電極(GE2)をソース電極及びドレイン電極と重畳させて設けたモデル(図2(B))については一点鎖線で、また第2のゲート電極(GE2)を配置しないモデル(図2(C))については破線で、それぞれ示している。
なお、図3及び図4に示すId−Vg特性と電界効果移動度は、Lov=Lの条件と第2のゲート電極(GE2)を全体に配置した条件とでは、これらの曲線がほぼ一致しているため、重ねて表示されている。
ここで、図3はドレイン電圧が十分に小さい条件の結果であり、線形領域におけるトランジスタの電気特性に相当する。一方、図4はドレイン電圧が十分に大きい条件の結果であり、飽和領域におけるトランジスタの電気特性に相当する。
図5に、ドレイン電圧Vdの条件ごとに算出した、各Lov条件に対するトランジスタの各種特性の関係を示す。図5(A)には、各Lov条件に対するしきい値電圧の値を示す。また、図5(B)には、各Lov条件における電界効果移動度の最大値を示す。また図5(C)には、各Lov条件に対するドレイン電流の値を示す。ここで、ドレイン電流Idは、各条件での比較を容易にするために、ゲート電圧Vgをしきい値電圧よりも1.5V高い電圧としたときのドレイン電流Idを示している。また、図5(D)には、異なるドレイン電圧Vdの条件間での比較を容易にするため、第2のゲート電極(GE2)を全体に配置した条件でのドレイン電流Idを100%としたときの、各Lov条件におけるドレイン電流Idの比を示している。
図3乃至図5より、第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)とのオーバーラップ長Lovが大きいほど、しきい値電圧をプラスシフトさせることができることが確認できた。より具体的には、Lovが最も小さい条件(Lov=L×1/20)であっても第2のゲート電極(GE2)を配置しない条件に対して、しきい値電圧は急激に変化し、それよりもLovが大きくなるにつれて緩やかに上昇する傾向がみられた。
また、電界効果移動度及びドレイン電流Idは、Lovが小さいほど増加する傾向があることが確認できた。電界効果移動度及びドレイン電流Idはいずれも、ドレイン電圧Vdが大きい(飽和領域の)条件の方が、Lovに対する変化がより顕著であることが確認できた。Lovが最も小さい条件(Lov=L×1/20)でのドレイン電流Idの値は、第2のゲート電極(GE2)を全体に配置した場合に比べて、ドレイン電圧0.1V(線形領域)の条件で約1.4倍、ドレイン電圧3.0V(飽和領域)の条件で約2.3倍にまで向上することが確認できた。
このように、第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)とが重畳しない領域(オフセット領域)をソース側及びドレイン側の両方に設けることにより、第2のゲート電極(GE2)をソース電極からドレイン電極にかけて全体に配置した場合に比べて電界効果移動度及びドレイン電流を向上させることができることが確認できた。
さらに、第2のゲート電極(GE2)のチャネル長方向の幅(Lov)はチャネル長Lに対して十分に小さい場合であっても、第2のゲート電極(GE2)をソース電極からドレイン電極にかけて全体に配置した場合と同等に、しきい値電圧をシフトさせることができる。さらに、第2のゲート電極(GE2)のチャネル長方向の幅(Lov)はチャネル長Lに対して小さいほど、電界効果移動度及びドレイン電流Idを高めることができることが確認できた。
〔第2のゲート電極の位置依存性〕
続いて、第2のゲート電極(GE2)のチャネル長方向の幅(Lov)を固定し、その位置をソース電極(Source)側からドレイン電極(Drain)側にかけて変化させていったときの、トランジスタの電気特性への影響を調査した。具体的には、第2のゲート電極(GE2)と半導体層(OS)のオーバーラップ長LovをL/20に固定し、ソース電極(Source)と第2のゲート電極(GE2)とのオフセット長Loff1を0からL×19/20まで、L/20ずつ変化させて計算を行った。ここで、Loff1が0の条件は、上面側からみて第2のゲート電極(GE2)のソース側の端部とソース電極(Source)のドレイン側の端部とが一致する場合を意味する。同様に、Loff1がL×19/20の条件は、上面側から見て第2のゲート電極(GE2)のドレイン側の端部とドレイン電極(Drain)のソース側の端部とが一致する場合を意味する。
図6及び図7に、それぞれドレイン電圧Vdを0.1V、3.0VとしたときのIg−Vd特性と、ゲート電圧Vgに対する電界効果移動度の関係を示す。また、図8には、ドレイン電圧Vdごとに算出した、各Loff1条件に対するトランジスタの各種特性の関係を示す。図8(A)には各Loff1条件に対するしきい値電圧の値を示し、図8(B)には各Loff1条件に対する電界効果移動度の最大値を示し、図8(C)には各Loff1条件に対するドレイン電流Idの値を示す。また図8(D)には、第2のゲート電極(GE2)を全体に配置した条件でのドレイン電流Idを100%としたときの、各Loff1条件におけるドレイン電流Idの比を示している。
図6乃至図8より、しきい値電圧の値は、Loff1の大きさ、すなわち第2のゲート電極(GE2)の位置を変化させてもほぼ一定の値を示すことが確認できた。
また、電界効果移動度について、ドレイン電圧Vdが小さい(線形領域の)条件では、Loff1の大きさによらずほぼ一定であるのに対し、ドレイン電圧Vdが大きい(飽和領域の)条件では、Loff1が0に近づくほど急激に上昇することが確認できた。
また、ドレイン電流Idについて、ドレイン電圧Vdが小さい(線形領域の)条件では、Loff1の大きさによらずほぼ一定であるのに対し、ドレイン電圧Vdが大きい(飽和領域の)条件では、Loff1が小さいほど緩やかに上昇することが確認できた。
以上の結果から、第2のゲート電極(GE2)はソース側に近づけて配置することにより、より電界効果移動度とドレイン電流Idの向上が見込めることが確認できた。またその傾向はドレイン電圧Vdが大きく、飽和領域での駆動の場合でより顕著となることが確認できた。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置のより具体的な構成例と、その作製方法例について図面を参照して説明する。ここでは半導体装置の一例として、トランジスタについて説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略する場合がある。
[構成例]
図9(A)に、本構成例で示すトランジスタ100の上面概略図を示す。また図9(B)、(C)にはそれぞれ、図9(A)中の切断線A−B、C−Dにおける断面概略図を示す。なお、図9(A)では明瞭化のため一部の構成要素を明示していない。
トランジスタ100は、基板101上に設けられ、島状の半導体層102と、それぞれ半導体層102に電気的に接続される第1の電極103a及び第2の電極103bと、それぞれ半導体層102と重なる第1のゲート電極105a及び第2のゲート電極105bと、第1のゲート電極105aと半導体層102の間に絶縁層104と、第2のゲート電極105bと半導体層102との間に絶縁層106と、を有する。また、絶縁層106、第1の電極103a、第2の電極103b、第1のゲート電極105a等を覆う絶縁層107が設けられている。
第1の電極103aは、トランジスタ100のソース電極として機能する。また、第2の電極103bは、トランジスタ100のドレイン電極として機能する。
ここで、図9(A)、(B)に示すように、半導体層102と重なる部分における第1の電極103aと第2の電極103bとの距離をトランジスタ100のチャネル長Lとする。
第1の電極103aと第2の電極103bに挟まれた領域において、半導体層102を覆うように第1のゲート電極105aが設けられている。また第1のゲート電極105aは、第1の電極103aの一部、及び第2の電極103bの一部と重なるように設けられている。
一方、第2のゲート電極105bは、第1の電極103aと第2の電極103bに挟まれた領域において、半導体層102の一部と重なるように設けられている。
ここで、図9(A)、(B)に示すように、半導体層102と重なる領域において、上面側から見て第1の電極103aの端部から第2のゲート電極105bの端部までの距離をオフセット長Loff1、第2の電極103bの端部から第2のゲート電極105bの端部までの距離をオフセット長Loff2とする。オフセット長Loff1、Loff2はいずれも以上で、且つ、Loff1とLoff2の和がチャネル長Lよりも小さくなるように、第2のゲート電極105bが配置されている。
また、第2のゲート電極105bの側面に接して絶縁層108が設けられている。また第2のゲート電極105bと絶縁層108は、その上面が平坦化され、これらの高さが一致していることが好ましい。少なくとも半導体層102の下部を平坦化することで、半導体層102の厚さや膜質の均一性が高まり、トランジスタの電気特性の安定性やばらつきを改善することができる。
また、絶縁層108は加熱により酸素を放出する膜を含むことが好ましい。例えば、酸素過剰領域を有する絶縁膜を含む構成とすればよい。酸素過剰領域を有する絶縁膜としては、例えば化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を用いることが好ましい。このような酸化絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。
トランジスタ100は、第2のゲート電極105bが半導体層102の全域を覆わない構成であるため、トランジスタの作製工程における熱処理により、絶縁層108から放出された酸素が絶縁層106を介して半導体層102に供給され、半導体層102内の酸素欠損を補填し、半導体層102中の酸素欠損を低減することが可能となる。
ここで、図9(C)に示すように、トランジスタ100のチャネル幅方向の断面において、半導体層102が第1のゲート電極105aと第2のゲート電極105bに囲われた形状となっている。また、第1のゲート電極105aは、半導体層102の上面だけでなく、チャネル幅方向の端部も覆うように設けられている。このような構成とすることで、第1のゲート電極105aからの電界が半導体層102に対して縦方向だけでなく横方向からもかかるため、半導体層102のチャネルの形成される領域が拡大し、トランジスタ100のオン電流をさらに増大させることができる。
[各構成要素について]
以下では、トランジスタ100の各構成要素について説明する。
〔半導体層〕
半導体層102に酸化物半導体を用いる場合、インジウム、亜鉛のうち少なくとも一つを含む酸化物半導体を用いることが好ましい。代表的には、In−Ga−Zn系金属酸化物などが挙げられる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いるとオフ状態におけるリーク電流を抑制できるため好ましい。
半導体層102は、酸化物半導体膜を単層で用いてもよいし、組成の異なる酸化物半導体膜を積層して用いてもよい。
例えば、酸化物半導体膜を2層積層した構成とし、第1のゲート電極105a側に近い酸化物半導体膜に、その伝導帯の下端のエネルギーが下層の酸化物半導体膜よりも高い材料を用いる。または、酸化物半導体膜を3層以上積層した構成とし、内側に設けられる酸化物半導体膜に、その伝導帯の下端のエネルギーが他に比べて低い材料を用いる。このような構成とすることで、伝導帯の下端のエネルギーが最も低い酸化物半導体膜に主としてチャネルが形成される。
酸化物半導体膜にIn−M−Zn酸化物を適用した場合、膜中のMの原子数比に対するInの原子数比の割合が大きいほど、伝導帯の下端のエネルギーを低いものとすることができる。またZnの割合が大きいほど、結晶構造の安定性が高まる。またMの割合が大きいほど、酸化物半導体膜からの酸素の放出を抑制できる。
主としてチャネルが形成され、主な電流経路となる酸化物半導体膜に接して、同じ構成元素を含む酸化物半導体膜を設けることで、これらの界面準位の生成が抑制され、トランジスタの電気特性における信頼性が向上する。さらに、主としてチャネルが形成される酸化物半導体膜に対して、これに接して設けられる酸化物半導体膜には、Mの原子数比が大きい材料を用いると、主としてチャネルが形成される酸化物半導体膜中の酸素欠損を低減することができる。
なお、半導体層102に適用することのできる酸化物半導体の好ましい形態とその形成方法については、後の実施の形態で詳細に説明する。
また、酸化物半導体以外の半導体として、シリコンのほか、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはダイヤモンドなどのシリコンよりもバンドギャップの大きな半導体を用いることもできる。作製の容易性、電気特性の安定性などの観点から、酸化物半導体を用いることが好ましい。
以下では特に断りのない限り、半導体層102に酸化物半導体を適用した場合について説明する。
〔基板〕
基板101の材質などに大きな制限はないが、少なくとも工程にかかる熱に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を用いる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイヤ基板、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)基板などを、基板101として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板または多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することもできる。
また、各種半導体基板やSOI基板上に半導体素子が設けられたものを、基板101として用いてもよい。その場合、基板101上に層間絶縁層を介してトランジスタ100を形成する。このとき、当該層間絶縁層に埋め込まれた接続電極により、トランジスタ100の第1のゲート電極105a、第2のゲート電極105b、第1の電極103a、第2の電極103bなどの電極のうち少なくとも一つが、上記半導体素子と電気的に接続する構成とすればよい。半導体素子上に層間絶縁層を介してトランジスタ100を設けることにより、これらを同一平面上に形成した場合に比べて占有面積を縮小することができる。
〔ゲート電極〕
第1のゲート電極105a、第2のゲート電極105bは、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。また、ゲート電極105は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
また、第1のゲート電極105a、第2のゲート電極105bは、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
また、第1のゲート電極105aと絶縁層104の間、または第2のゲート電極105bと絶縁層106の間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも半導体層102より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
〔ゲート絶縁層〕
絶縁層104及び絶縁層106は、ゲート絶縁層として機能する。
絶縁層104及び絶縁層106は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁層104及び絶縁層106として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いてもよい。
なお、特定の材料をゲート絶縁層に用いると、特定の条件でゲート絶縁層に電子を捕獲せしめて、しきい値電圧を増大させることもできる。例えば、酸化シリコンと酸化ハフニウムの積層膜のように、ゲート絶縁層の一部に酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタルのような電子捕獲準位の多い材料を用い、より高い温度(半導体装置の使用温度あるいは保管温度よりも高い温度、あるいは、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極の電位をソース電極やドレイン電極の電位より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、半導体層からゲート電極に向かって、電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲準位に捕獲される。
このように電子捕獲準位に必要な量の電子を捕獲させたトランジスタは、しきい値電圧がプラス側にシフトする。ゲート電極の電圧の制御によって電子の捕獲する量を制御することができ、それに伴ってしきい値電圧を制御することができる。また、電子を捕獲せしめる処理は、トランジスタの作製過程におこなえばよい。
例えば、トランジスタのソース電極あるいはドレイン電極に接続する配線メタルの形成後、あるいは、前工程(ウェハー処理)の終了後、あるいは、ウェハーダイシング工程後、パッケージ後等、工場出荷前のいずれかの段階でおこなうとよい。いずれの場合にも、その後に125℃以上の温度に1時間以上さらされないことが好ましい。
〔第1の電極、第2の電極〕
第1の電極103a及び第2の電極103bは、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
〔絶縁層〕
絶縁層106及び絶縁層108は、半導体層102に酸素を供給する機能を有するほか、基板101に含有される不純物が拡散することを防ぐ機能を有していてもよい。
絶縁層106及び絶縁層108は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上である酸化物絶縁膜である。
このような絶縁膜を絶縁層106及び絶縁層108に用いることで、作製工程中の加熱処理などにより半導体層102に酸素を供給し、半導体層102中の酸素欠損を低減することができる。
絶縁層107は、酸素を透過しにくい材料を用いることができる。また、水素や水を透過しにくい性質を持たせることが好ましい。絶縁層107に用いることのできる、酸素を透過しにくい材料としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等の絶縁材料を用いることができる。特に上述の材料は、酸素、水素、水が透過しない材料である。絶縁層107としてこのような材料を用いることで、絶縁層106及び絶縁層108から放出される酸素の外部への拡散と、外部から半導体層102等への水素、水等の侵入を同時に抑制することができる。
なお、絶縁層107の下層に、絶縁層106と同様の酸素を放出する層を設けてもよい。また、絶縁層107よりも上層に配線などの構造物を設ける場合には、絶縁層107上に平坦化層として機能する絶縁層を設けてもよい。
以上が各構成要素についての説明である。
[変形例]
以下では、上記トランジスタ100とは構成の一部の異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略し、相違点について詳細に説明する。また、構成要素の位置や形状が異なる場合であっても、その機能が同等である場合には、同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
〔変形例1〕
図10(A)に以下で例示するトランジスタの断面概略図を示す。なお、上面概略図については図9(A)を援用できる。図10(A)に示すトランジスタは、上記トランジスタ100と比較して絶縁層104の形状が異なる点で相違している。具体的には、絶縁層104の一部が絶縁層106と接し、且つ、第1の電極103a及び第2の電極103bの上面を覆って設けられている。
このような構成とすることで、ゲート電極105aの加工時に絶縁層104をエッチングストッパとして機能させることができ、第1の電極103a及び第2の電極103bの当該エッチング工程における意図しない薄膜化を抑制できる。
〔変形例2〕
本発明の一態様の半導体装置は、酸化物半導体層と、該酸化物半導体層と重なる絶縁層との間に、酸化物半導体層を構成する金属元素のうち、少なくとも一の金属元素を構成要素として含む酸化物層を有することが好ましい。これにより、酸化物半導体層と該酸化物半導体層と重なる絶縁層との界面にトラップ準位が形成されることを抑制することができる。
すなわち、本発明の一態様は、酸化物半導体層の少なくともチャネル形成領域における上面または底面、若しくはその両方が、酸化物半導体層の界面準位形成防止のためのバリア膜として機能する酸化物層に接する構成とすることが好ましい。このような構成とすることにより、酸化物半導体中及び界面においてキャリアの生成要因となる酸素欠損の生成及び不純物の混入を抑制することが可能となるため、酸化物半導体層を高純度真性化することができる。高純度真性化とは、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることをいう。よって、当該酸化物半導体層を含むトランジスタの電気特性の変動を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
なお、本明細書等において実質的に真性という場合、酸化物半導体層のキャリア密度は、1×1017/cm未満、1×1015/cm未満、または1×1013/cm未満である。酸化物半導体層を高純度真性化することで、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
より具体的には、例えば以下の構成とすることができる。
図10(B)に、以下で例示するトランジスタの断面概略図を示す。なお、上面概略図については図9(A)を援用できる。図10(B)に示すトランジスタは、主に第1の酸化物層121及び第2の酸化物層122を有している点で相違している。
第1の酸化物層121は、絶縁層106と半導体層102の間に設けられている。
第2の酸化物層122は、半導体層102と絶縁層104の間に設けられている。より具体的には、第2の酸化物層122は、その上面が第1の電極103a及び第2の電極103bの下面、及び絶縁層104の下面に接して設けられている。
第1の酸化物層121及び第2の酸化物層122は、それぞれ半導体層102と同一の金属元素を一種以上含む酸化物を含む。
なお、半導体層102と第1の酸化物層121の境界、及び半導体層102と第2の酸化物層122の境界は、不明瞭である場合がある。
例えば、第1の酸化物層121および第2の酸化物層122は、In若しくはGaを含み、代表的には、In−Ga系酸化物、In−Zn系酸化物、In−M−Zn系酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)であり、且つ半導体層102よりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近い材料を用いる。代表的には、第1の酸化物層121または第2の酸化物層122の伝導帯の下端のエネルギーと、半導体層102の伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下とすることが好ましい。
半導体層102を挟むように設けられる第1の酸化物層121及び第2の酸化物層122に、半導体層102に比べてスタビライザとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、半導体層102からの酸素の放出を抑制することができる。
半導体層102として、例えばIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物を用いた場合、第1の酸化物層121または第2の酸化物層122として、例えばIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:4、1:6:8、1:6:10、または1:9:6などの原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物を用いることができる。なお、半導体層102、第1の酸化物層121および第2の酸化物層122の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。また、第1の酸化物層121と第2の酸化物層122は、組成の同じ材料を用いてもよいし、異なる組成の材料を用いてもよい。
また、半導体層102としてIn−M−Zn系酸化物を用いた場合、半導体層102となる半導体膜を成膜するために用いるターゲットは、該ターゲットが含有する金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとしたときに、x/yの値が1/3以上6以下、好ましくは1以上6以下であり、z/yが1/3以上6以下、好ましくは1以上6以下の原子数比の酸化物を用いることが好ましい。なお、z/yを6以下とすることで、後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、3:1:2などがある。
また、第1の酸化物層121、第2の酸化物層122としてIn−M−Zn系酸化物を用いた場合、第1の酸化物層121、第2の酸化物層122となる酸化物膜を成膜するために用いるターゲットは、該ターゲットが含有する金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとしたときに、x/y<x/yであり、z/yの値が1/3以上6以下、好ましくは1以上6以下の原子数比の酸化物を用いることが好ましい。なお、z/yを6以下とすることで、後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:4、1:3:6、1:3:8などがある。
また、第1の酸化物層121および第2の酸化物層122に、半導体層102に比べて伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近い材料を用いることにより、半導体層102に主としてチャネルが形成され、半導体層102が主な電流経路となる。このように、チャネルが形成される半導体層102を、同じ金属元素を含む第1の酸化物層121及び第2の酸化物層122で挟持することにより、これらの界面準位の生成が抑制され、トランジスタの電気特性における信頼性が向上する。
なお、これに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層102、第1の酸化物層121、第2の酸化物層122のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
ここで、半導体層102の厚さは、少なくとも第1の酸化物層121よりも厚く形成することが好ましい。半導体層102が厚いほど、トランジスタのオン電流を高めることができる。また、第1の酸化物層121は、半導体層102の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、半導体層102の厚さは、第1の酸化物層121の厚さに対して1倍よりも大きく、好ましくは2倍以上、より好ましくは4倍以上、より好ましくは6倍以上とすればよい。なお、トランジスタのオン電流を高める必要のない場合にはその限りでなく、第1の酸化物層121の厚さを半導体層102の厚さ以上としてもよい。
また、第2の酸化物層122も第1の酸化物層121と同様に、半導体層102の界面準位の生成を抑制する効果が失われない程度の厚さであればよい。例えば、第1の酸化物層121と同等またはそれ以下の厚さとすればよい。第2の酸化物層122が厚いと、第1のゲート電極105aによる電界が半導体層102に届きにくくなる恐れがあるため、第2の酸化物層122は薄く形成することが好ましい。例えば、半導体層102の厚さよりも薄くすればよい。なおこれに限られず、第2の酸化物層122の厚さは絶縁層104の耐圧などを考慮して、トランジスタを駆動させる電圧に応じて適宜設定すればよい。
ここで、例えば半導体層102が、構成元素の異なる絶縁層(例えば酸化シリコン膜を含む絶縁層など)と接する場合、これらの界面に界面準位が形成され、該界面準位はチャネルを形成することがある。このような場合、しきい値電圧の異なる第2のトランジスタが出現し、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。しかしながら、本構成のトランジスタにおいては、半導体層102を構成する金属元素を一種以上含んで第1の酸化物層121を有しているため、第1の酸化物層121と半導体層102との界面に界面準位を形成しにくくなる。よって第1の酸化物層121を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきや変動を低減することができる。
また、絶縁層104と半導体層102との界面にチャネルが形成される場合、該界面で界面散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低下する。しかしながら、本構成のトランジスタにおいては、半導体層102を構成する金属元素を一種以上含んで第2の酸化物層122を有しているため、半導体層102と第2の酸化物層122との界面ではキャリアの散乱が起こりにくく、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
〔変形例3〕
図10(C)に以下で例示するトランジスタの断面概略図を示す。なお上面概略図については図9(A)を援用できる。図10(C)に示すトランジスタは、主に第2の酸化物層122の形状が異なる点で、上記変形例2で示したトランジスタと相違している。
第2の酸化物層122は、その下面が第1の電極103a及び第2の電極103bのそれぞれの上面に接して設けられている。さらに、第1の電極103a及び第2の電極103bが設けられていない領域において、半導体層102の上面に接して設けられている。
図10(C)に示す構成では、第2の酸化物層122及び絶縁層104の上面形状が、第1のゲート電極105aの上面形状と概略一致するように、同一のフォトマスクを用いて加工されている。
なお、本明細書等において、「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なりあわず、上層が下層の内側に位置することや、上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という。
このような構成とすることで、第1の電極103a及び第2の電極103bと、チャネルが形成される半導体層102との接触面積を増大させることができ、これらの接触抵抗を低減することができる。その結果、トランジスタのオン電流を増大させることができる。
以上が変形例についての説明である。
[作製方法例]
以下では、図9に示したトランジスタ100の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。図11は、トランジスタ100の作製工程にかかる各段階における断面概略図である。
〔第2のゲート電極の形成〕
まず、基板101上に導電膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて導電膜上にレジストマスクを形成し、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去する、その後、レジストマスクを除去することにより、第2のゲート電極105bを形成することができる。
導電膜は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより成膜することができる。
なお、導電膜の成膜前に、基板101上にバリア層として機能する絶縁層を形成しておいてもよい。
レジストマスクの形成に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
続いて、絶縁膜を形成する。該絶縁膜は、第2のゲート電極105aよりも厚く形成することが好ましい。続いて、第2のゲート電極105bの上面が露出するように、該絶縁膜に対してCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて平坦化処理を行うことにより、絶縁層108を形成することができる(図11(A))。
絶縁層108となる絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法またはPLD(Pulsed Laser Deposition)法などを用いて形成することができる。
絶縁層108に酸素を過剰に含有させるには、例えば、酸素雰囲気下にて絶縁層108となる絶縁膜の成膜を行えばよい。または、成膜後の絶縁膜に酸素を導入して酸素を過剰に含有させてもよく、双方の手段を組み合わせてもよい。
例えば、成膜後の絶縁膜に酸素(少なくとも酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を導入して酸素を過剰に含有する領域を形成する。酸素の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、プラズマ処理などを用いることができる。
酸素を導入する処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。また、酸素を導入する処理において、酸素を含むガスに希ガスなどの希釈ガスを含ませてもよい。
なお、ここでは、第2のゲート電極105bを先に形成する方法を説明したが、絶縁層108となる絶縁膜を先に成膜してもよい。その場合は、基板101上に該絶縁膜を成膜し、フォトリソグラフィ法等によりレジストマスクを形成し、絶縁膜の不要な部分をエッチングにより除去して、第2のゲート電極105bが設けられる位置に凹部を形成する。その後、当該凹部を埋めるように導電膜を成膜し、絶縁膜の上面が露出するように平坦化処理を行うことで、絶縁層108と第2のゲート電極105bを形成することができる。
〔絶縁層の形成〕
続いて、絶縁層106を形成する。絶縁層106は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。
絶縁層106は、上記絶縁層108と同様の方法により、酸素を過剰に含有させることが好ましい。
〔半導体層の形成〕
続いて、絶縁層106上に半導体膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて半導体膜上にレジストマスクを形成し、半導体膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、島状の半導体層102を形成することができる(図11(B))。
半導体膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法、またはPLD法等を用いることができる。または、ゾルゲル法やスプレー法、ミスト法など、液状の材料を用いた薄膜形成技術を用いることもできる。半導体膜の成膜は、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。特に、成膜時に発生するゴミを低減でき、且つ膜厚分布も均一とすることから、DCスパッタリング法を用いることが好ましい。
半導体膜の成膜後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。加熱処理により、絶縁層108や絶縁層106から半導体膜(または半導体層102)に酸素が供給され、半導体層102に含まれる酸化物半導体中の酸素欠損を低減できる。なお、加熱処理は、半導体膜を成膜した直後に行ってもよいし、半導体膜を加工して島状の半導体層102を形成した後の工程で行ってもよい。
また、レジストマスクとなるレジスト膜を形成する前に、被加工膜(ここでは半導体膜)とレジスト膜との密着性を改善する機能を有する有機樹脂膜を形成してもよい。また当該有機樹脂膜は、例えばスピンコート法などにより、その下層の段差を被覆するように形成することができ、当該有機樹脂膜の上層に設けられるレジストマスクの厚さのばらつきを低減できる。また特に微細な加工を行う場合には、当該有機樹脂膜として、露光に用いる光に対する反射防止膜として機能する材料を用いることが好ましい。このような機能を有する有機樹脂膜としては、例えばBARC(Bottom Anti−Reflection Coating)膜などがある。当該有機樹脂膜は、レジストマスクの除去と同時に除去するか、レジストマスクを除去した後に除去すればよい。
半導体膜をエッチングするマスクとして、無機膜または金属膜からなるハードマスクを用いてもよい。例えば、半導体膜上に無機膜または金属膜を成膜し、当該無機膜または金属膜を、レジストマスクを用いてエッチングして島状に加工しハードマスクを形成する。その後、ハードマスクをマスクとして半導体膜をエッチングし、ハードマスクを除去することにより島状の半導体膜を形成すればよい。特に微細な加工を行う場合には、ハードマスクを用いることで、レジストのサイドエッチに伴うバターン幅の縮小などを抑制し、半導体膜を安定した形状に加工できるため、トランジスタ100の電気特性のばらつきを低減できる。
〔第1の電極及び第2の電極の形成〕
続いて、絶縁層106及び半導体層102上に導電膜を成膜する。その後フォトリソグラフィ法等を用いて導電膜上にレジストマスクを形成し、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、第1の電極103a及び第2の電極103bを形成することができる(図11(C))。
導電膜は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法などにより成膜することができる。
ここで、導電膜のエッチングの際に、半導体層102の上部の一部がエッチングされ、第1の電極103a及び第2の電極103bと重ならない部分が薄膜化することがある。したがって、半導体層102となる半導体膜の厚さを、エッチングされる深さを考慮して予め厚く形成しておくことが好ましい。
〔ゲート絶縁層、第1のゲート電極の形成〕
続いて、半導体層102、第1の電極103a、第2の電極103b、絶縁層106上に絶縁膜を成膜する。さらに、該絶縁膜上に導電膜を成膜する。
該絶縁膜は、後に絶縁層104となる絶縁膜である。該絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。特に、該絶縁膜をCVD法、好ましくはプラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を向上させることができるため好ましい。
該導電膜は、後に第1のゲート電極105aとなる導電膜である。該導電膜は、例えばスパッタリング法、蒸着法、CVD法などにより成膜することができる。
続いて、フォトリソグラフィ法等を用いて導電膜上にレジストマスクを形成する。その後、導電膜と絶縁膜の不要な部分を順にエッチングにより除去する。その後レジストマスクを除去することにより、第1のゲート電極105a及び絶縁層104を形成することができる(図11(D))。
なお、導電膜をエッチングして第1のゲート電極105aを形成した後にレジストマスクを除去し、第1のゲート電極105aをハードマスクとして用いて絶縁層104の加工を行ってもよい。
〔絶縁層の形成〕
続いて、第1の電極103a、第2の電極103b、第1のゲート電極105a、絶縁層104、絶縁層106上に絶縁層107を形成する(図11(E))。
絶縁層107は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。特に、絶縁層107をCVD法、好ましくはプラズマCVD法によって成膜すると、被覆性を良好なものとすることができるため好ましい。
以上の工程により、トランジスタ100を形成することができる。
〔加熱処理〕
絶縁層107の形成後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理により、絶縁層106及び絶縁層108や、絶縁層107から半導体層102に対して酸素を供給し、半導体層102中の酸素欠損を低減することができる。またこのとき、絶縁層107よりも内側に絶縁層106及び絶縁層108ならびに半導体層102から放出される酸素が効果的に閉じ込められ、当該酸素の外部への放出が抑制される。そのため絶縁層106や絶縁層108から放出され、半導体層102に供給しうる酸素の量を増大させることができ、半導体層102中の酸素欠損を効果的に低減することができる。
以上がトランジスタ100の作製方法例についての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で例示したトランジスタとは構成の一部が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略し、相違点について詳細に説明する。また、構成要素の位置や形状が異なる場合であっても、その機能が同等である場合には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
[構成例1]
図12(A)は、本構成例で示すトランジスタ200の上面概略図である。また図12(B)は、図12(A)中の切断線E−Fにおける断面概略図である。
トランジスタ200は、実施の形態1で例示したトランジスタ100と比較し、半導体層102、第1の電極103a、第2の電極103b、絶縁層104、第1のゲート電極105a、第2のゲート電極105bの上面形状が異なる点、ならびに絶縁層107上に設けられた配線111a及び配線111bを新たに有している点で主に相違している。
島状の半導体層102は、円形の上面形状を有している。また第2の電極103bは半導体層102と重なる領域に開口を有する環状の上面形状を有している。また、第1の電極103aは、第2の電極103bの開口の内側に位置するように設けられている。第2のゲート電極105bは、上面から見て第1の電極103aと第2の電極103bに挟まれた領域において、半導体層102の一部と重畳するように、環状の上面形状を有し、その一部が上面から見て第2の電極103bよりも外側に引き出されている。また、第1のゲート電極105aは、第1の電極103aの一部、第2の電極103bの一部、及び半導体層102と重畳するように円形の上面形状を有し、その一部が上面から見て第2の電極103bよりも外側に引き出されている。また、第1のゲート電極105aの第1の電極103aと重畳する領域には開口が形成されている。第1の電極103aは当該第1のゲート電極105aの開口と重なる位置に設けられた絶縁層107の開口を介して配線111aと電気的に接続されている。また第2の電極103bは、その上部に設けられた絶縁層107の開口を介して配線111bと電気的に接続されている。
このように、第1の電極103aを囲うように第2の電極103bを設けることで、これらを平行に配置した場合に比べて、トランジスタ200の占有面積に対するチャネル幅を大きくとることができる。したがって、より大きなドレイン電流を得ることが可能となる。このような構成は大電力向けのパワーデバイスに好適に適用することができる。
また、半導体層102及び第1の電極103aの上面形状を円形とし、第2の電極103bの上面形状を、これらを囲う環状の形状とすることで、円周方向にわたってチャネル長Lを一定にすることが可能となる。なお、半導体層102の上面形状はこれに限られず、正方形や長方形を含む多角形、楕円形、または角部が丸みを帯びた多角形などとすることができる。このとき、第1の電極103aと第2の電極103bとの距離(チャネル長L)が一定となるように、これらの形状や配置方法を適宜設定すればよい。
なお、ここではソース電極として機能する第1の電極103aを内側に配置し、ドレイン電極として機能する第2の電極103bを外側に配置する構成としたが、これらに入力する電位を入れ替えることで、各々の機能を入れ替えてもよい。
[構成例2]
図13(A)は、本構成例で示すトランジスタ210の上面概略図である。また図13(B)は、図13(A)中の切断線G−Hにおける断面概略図である。
トランジスタ210は、上記構成例1におけるトランジスタ200と比較して、第1のゲート電極105aが半導体層102よりも下側(基板101側)に位置し、第2のゲート電極105bが半導体層102よりも上側に位置している点、ならびに絶縁層107上に配線111cを新たに有している点で主に相違している。
第1のゲート電極105aは、絶縁層106を介して半導体層102よりも基板101側に設けられている。また第1のゲート電極105aは、半導体層102よりも半径の大きい円状の上面形状を有し、第1の電極103a、半導体層102、及び第2の電極103bの一部と重畳するように設けられている。
また、第2のゲート電極105bは、絶縁層104上に設けられ、環状の上面形状を有する。また第2のゲート電極105bは、上面から見て第1の電極103aと第2の電極103bの間に、これらと重畳しないように設けられている。
また、第2のゲート電極105bは、その上部に設けられた絶縁層107の開口を介して配線111cと電気的に接続されている。
ここで、図13(B)に示すように、第2のゲート電極105bに覆われていない半導体層102の上面を絶縁層104で覆う構成とすることが好ましい。半導体層102上に絶縁層104を残すことにより、絶縁層107の成膜工程における半導体層102へのダメージを抑制することができる。
また、半導体層102の第2のゲート電極105bに覆われていない領域では、作製工程にかかる熱処理によって絶縁層107から放出される酸素を、絶縁層104を介して半導体層102のチャネル形成領域に供給することが可能となる。したがって、半導体層102中の酸素欠損が低減され、トランジスタ210の信頼性を向上させることができる。
[構成例3]
図14(A)は、本構成例で示すトランジスタ220の上面概略図である。また図14(B)は、図14(A)中の切断線I−Jにおける断面概略図である。
トランジスタ220は、上記構成例1におけるトランジスタ200と比較して、第1の電極103a、第2の電極103b、及び第2のゲート電極105bの上面形状が異なる点、ならびに配線111a、配線111bを有していない点で主に相違している。
第1の電極103aは、上面から見てその一部が半導体層102の端部を乗り越えて外側にまで延在するように設けられている。また第2の電極103bは、半導体層102上において、第1の電極103aとの距離が略一定になるように設けられている。また半導体層102の端部の一部が、第1の電極103a及び第2の電極103bと重ならない領域を有している。
また、第2のゲート電極105bは、少なくとも半導体層102と重なる領域において、第1の電極103aとの距離、及び第2の電極103bとの距離がそれぞれ略一定となるような上面形状を有している。また、第2のゲート電極105bの一部が半導体層102の端部を乗り越えて外側に引き出されている。
このように、配線111aや配線111b等を設けない構成とすることで、工程を簡略化することができる。さらに、配線や電極の接続部を減らすことができるため、当該接続部における接触抵抗の影響を低減できる。特に、大電流を流す場合には、接触抵抗に起因して接続部が高温となってしまい、最悪の場合断線してしまう恐れもあるため、このように配線数を低減することが好ましい。
また、図14(B)に示すように、第1の電極103a及び第2の電極103bに覆われていない半導体層102の端部を、第1のゲート電極105aが覆うように設けられている。そのため、当該領域において第1のゲート電極105aからの電界が半導体層102に対して縦方向だけでなく横方向からもかかるため、半導体層102のチャネルの形成される領域が拡大し、トランジスタ220のオン電流をさらに増大させることができる。
なお、ここではソース電極として機能する第1の電極103aを内側に配置し、ドレイン電極として機能する第2の電極103bを外側に配置する構成としたが、これらに入力する電位を入れ替えることで、各々の機能を入れ替えてもよい。
以上が各構成例についての説明である。
本実施の形態で例示したトランジスタは、いずれもトランジスタの占有面積に対するチャネル幅を大きくとれる構成である。したがって、より大きなドレイン電流を得ることが可能であり、大電力向けの半導体装置に好適に用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の半導体層に好適に用いることのできる酸化物半導体について説明する。
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化物半導体を適切な条件で加工し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体膜が適用されたトランジスタにおいては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとすることができる。
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、または複数種が含まれていることが好ましい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:6、In:Ga:Zn=3:1:2あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素も同時に減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって同時に減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、または酸素を供給し酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理、または過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm以下、1×1016/cm以下、1×1015/cm以下、1×1014/cm以下、1×1013/cm以下であることをいう。
またこのように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm以上、5μm以上または1000μm以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。InGaZnOの単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいビーム径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では本発明の一態様の半導体装置の一形態として、上記実施の形態で例示したトランジスタを具備するインバータ及びコンバータ等の電力変換回路の構成例について説明する。
[DCDCコンバータ]
図15(A)に示すDCDCコンバータ501は、一例としてチョッパー回路を用いた、降圧型のDCDCコンバータである。DCDCコンバータ501は、容量素子502、トランジスタ503、制御回路504、ダイオード505、コイル506及び容量素子507を有する。
DCDCコンバータ501は、制御回路504によるトランジスタ503のスイッチング動作により動作する。DCDCコンバータ501により、入力端子IN1とIN2に印加される入力電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より降圧されたV2として負荷508に出力できる。DCDCコンバータ501が具備するトランジスタ503には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
図15(A)では非絶縁型の電力変換回路の一例としてチョッパー回路を用いた降圧型のDCDCコンバータを示したが、他にもチョッパー回路を用いた昇圧型のDCDCコンバータ、チョッパー回路を用いた昇圧降圧型のDCDCコンバータが具備するトランジスタにも上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
次いで図15(B)に示すDCDCコンバータ511は、一例として絶縁型の電力変換回路であるフライバックコンバータの回路構成例を示す。DCDCコンバータ511は、容量素子512、トランジスタ513、制御回路514、一次コイル及び二次コイルを具備する変圧器515、ダイオード516及び容量素子517を有する。
図15(B)に示すDCDCコンバータ511は、制御回路514によるトランジスタ513のスイッチング動作により動作する。DCDCコンバータ511により、入力端子IN1とIN2に印加される入力電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より昇圧または降圧されたV2として負荷518に出力できる。DCDCコンバータ511が具備するトランジスタ513には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作によって大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なDCDCコンバータを実現できる。
なお、フォワード型のDCDCコンバータが具備するトランジスタにも上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。
[インバータ]
図16に示すインバータ601は、一例としてフルブリッジ型のインバータである。インバータ601は、トランジスタ602、トランジスタ603、トランジスタ604、トランジスタ605、及び制御回路606を有する。
図16に示すインバータ601は、制御回路606によるトランジスタ602乃至605のスイッチング動作により動作する。入力端子IN1とIN2に印加される直流電圧V1は、出力端子OUT1とOUT2より交流電圧V2として出力することができる。インバータ601が具備するトランジスタ602乃至605には、上記実施の形態で例示した半導体装置を適用することができる。そのため、スイッチング動作により大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なインバータとすることができる。
図15及び図16で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では本発明の一態様の半導体装置の一形態として、上記実施の形態で例示したトランジスタを具備する電源回路の構成例について説明する。
図17に、本発明の一態様に係る電源回路400の構成を、一例として示す。図17に示す電源回路400は、制御回路413と、パワースイッチ401と、パワースイッチ402と、電圧調整部403と、を有する。
電源回路400には、電源416から電圧が供給されており、パワースイッチ401及びパワースイッチ402は、電圧調整部403への上記電圧の入力を制御する機能を有する。
なお、電源416から出力される電圧が交流電圧である場合、図17に示すように、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401と、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402とを、電源回路400に設ける。電源416から出力される電圧が直流電圧である場合、図17に示すように、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401と、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402とを、電源回路400に設けてもよいし、或いは、第2電位を接地電位とし、電圧調整部403への第2電位の入力を制御するパワースイッチ402を設けずに、電圧調整部403への第1電位の入力を制御するパワースイッチ401を電源回路400に設けてもよい。
そして、本発明の一態様では、パワースイッチ401及びパワースイッチ402として、耐圧性の高いトランジスタを用いる。例えば上記トランジスタとして、上記実施の形態で例示したトランジスタを用いることができる。
パワースイッチ401及びパワースイッチ402として、上記結晶構造を有する酸化物半導体膜を用いることにより、高い出力電流を流すことが可能で、且つ耐圧を高めることができる。
上記半導体材料を活性層に用いた電界効果トランジスタを、パワースイッチ401またはパワースイッチ402に用いることで、炭化珪素や窒化ガリウムなどを活性層に用いた電界効果トランジスタよりも、パワースイッチ401またはパワースイッチ402のスイッチングを高速にすることができ、それにより、スイッチングに起因する電力損失を小さく抑えることができる。
電圧調整部403は、パワースイッチ401及びパワースイッチ402を介して電源416から電圧が入力されると、当該電圧の調整を行う機能を有する。具体的に、電圧調整部403における電圧の調整とは、交流電圧を直流電圧に変換すること、電圧の高さを変えること、電圧の高さを平滑化すること、のいずれか一つまたは複数を含む。
電圧調整部403において調整された電圧は、負荷417と制御回路413に与えられる。
また、図17に示す電源回路400では、蓄電装置404と、補助電源405と、電圧発生回路406と、トランジスタ407乃至トランジスタ410と、容量素子414と、容量素子415とを有する。
蓄電装置404は、電圧調整部403から与えられた電力を、一時的に蓄える機能を有する。具体的に蓄電装置404は、電圧調整部403から与えられた電圧を用いて、電力を蓄えることができるキャパシタ、二次電池などの蓄電部を有する。
補助電源405は、蓄電装置404から出力が可能な電力が不足しているときに、制御回路413の動作に要する電力を、補う機能を有する。補助電源405として、一次電池などを用いることができる。
電圧発生回路406は、蓄電装置404または補助電源405から出力される電圧を用いて、パワースイッチ401及びパワースイッチ402のスイッチングを制御するための電圧を、生成する機能を有する。具体的に電圧発生回路406は、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための電圧を生成する機能と、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための電圧を生成する機能とを有する。
無線信号入力回路411は、トランジスタ407乃至トランジスタ410のスイッチングに従ってパワースイッチ401及びパワースイッチ402を制御する機能を有する。
具体的に、無線信号入力回路411は、外部から与えられる、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を制御するための無線信号に重畳した命令を電気信号に変換する入力部と、上記電気信号に含まれる命令をデコードし、トランジスタ407乃至トランジスタ410のスイッチングを、上記命令に従って制御するための信号を生成する信号処理部と、を有する。
トランジスタ407乃至トランジスタ410は、無線信号入力回路411において生成された信号に従って、スイッチングを行う。具体的に、トランジスタ408及びトランジスタ410がオンであるとき、電圧発生回路406で生成された、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための電圧が、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられる。また、トランジスタ408及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオンにするための上記電圧が与えられた状態が、維持される。また、トランジスタ407及びトランジスタ409がオンであるとき、電圧発生回路406で生成された、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための電圧が、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられる。また、トランジスタ408及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ401及びパワースイッチ402に、パワースイッチ401及びパワースイッチ402をオフにするための上記電圧が与えられた状態が、維持される。
そして、本発明の一態様では、上記電圧がパワースイッチ401及びパワースイッチ402に与えられた状態を維持するために、トランジスタ407乃至トランジスタ410に、オフ電流の著しく小さいトランジスタを用いる。上記構成により、電圧発生回路406において、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を定めるための電圧の生成を停止しても、パワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態を維持することができる。よって、電圧発生回路406における消費電力を削減し、延いては電源回路400における消費電力を小さく抑えることができる。
なお、トランジスタ407乃至トランジスタ410にバックゲートを設け、バックゲートに電位を与えることにより、トランジスタ407乃至トランジスタ410の閾値電圧を制御してもよい。
バンドギャップがシリコンの2倍以上であるワイドギャップ半導体を活性層に用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さいので、トランジスタ407乃至トランジスタ410に用いるのに好適である。上記ワイドギャップ半導体として、例えば、酸化物半導体などを用いることができる。
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。そのため、水分または水素などの不純物濃度が十分に低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体膜を用いることにより、トランジスタのオフ電流を小さくすることができる。よって、高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタを、トランジスタ407乃至トランジスタ410に用いることで、電圧発生回路406における消費電力を削減し、電源回路400における消費電力を小さく抑える効果を高めることができる。
具体的に、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流が小さいことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×106μmでチャネル長が10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。この場合、オフ電流をトランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流は、100zA/μm以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電流の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジスタのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース電極とドレイン電極間の電圧が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに小さいオフ電流が得られることが分かった。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく小さい。
また、酸化物半導体の中でもIn−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物などは、炭化シリコンまたは窒化ガリウムと異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコンまたは窒化ガリウムとは異なり、上記酸化物半導体In−Ga−Zn系酸化物は室温でも成膜が可能なため、ガラス基板上への成膜、或いはシリコンを用いた集積回路上に電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。
容量素子414は、トランジスタ407及びトランジスタ408がオフであるとき、パワースイッチ401に与えられている電圧を、保持する機能を有する。また、容量素子415は、トランジスタ409及びトランジスタ410がオフであるとき、パワースイッチ402に与えられている電圧を、保持する機能を有する。容量素子414及び415の一対の電極の一方は、無線信号入力回路411に接続される。なお、図18に示すように、容量素子414及び415を設けなくてもよい。
そして、パワースイッチ401及びパワースイッチ402がオンであるとき、電源416から電圧調整部403への電圧の供給が行われる。そして、上記電圧により、蓄電装置404には電力が蓄積される。
また、パワースイッチ401及びパワースイッチ402がオフであるとき、電源416から電圧調整部403への電圧の供給が停止する。よって、蓄電装置404への電力の供給は行われないが、本発明の一態様では、上述したように、蓄電装置404または補助電源405に蓄えられている電力を用いて、制御回路413を動作させることができる。すなわち、本発明の一態様に係る電源回路400では、制御回路413によるパワースイッチ401及びパワースイッチ402の動作状態の制御を行いつつ、電圧調整部403への電圧の供給を停止することができる。そして、電圧調整部403への電圧の供給を停止することで、負荷417への電圧の供給が行われないときに、電圧調整部403が有する容量の充放電により電力が消費されるのを防ぐことができ、それにより、電源回路400の消費電力を小さく抑えることができる。
図17及び図18で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを含むバッファ回路の構成について説明する。
本発明の一態様のトランジスタは、パワースイッチのゲートに電圧を供給するためのバッファ回路に適用することができる。
図19(A)に本発明の一態様のバッファ回路701を含む回路を示す。
バッファ回路701には、駆動回路702と、パワースイッチ721が電気的に接続されている。またバッファ回路701には電源715から正の電位が、電源716から負の電位が、それぞれ与えられている。
駆動回路702は、パワースイッチ721のオン、オフ動作を制御するための信号を出力する回路である。駆動回路702から出力された信号は、バッファ回路701を介してパワースイッチ721のゲートに入力される。
パワースイッチ721は、上記実施の形態で例示したトランジスタを適用することもできるし、半導体としてシリコン、炭化シリコン、窒化ガリウムなどを適用したパワートランジスタを用いてもよい。ここで以下では、パワースイッチ721がnチャネル型のトランジスタである場合について説明するが、pチャネル型のトランジスタであってもよい。
バッファ回路701は、トランジスタ711、トランジスタ712、及びインバータ713を有する。
トランジスタ711は、ソースまたはドレインの一方が電源715の高電位出力端子に電気的に接続され、ソースまたはドレインの他方がトランジスタ712のソースまたはドレインの一方、及びパワースイッチ721のゲートに電気的に接続され、ゲートがインバータ713の出力端子に電気的に接続される。トランジスタ712は、ソースまたはドレインの他方が電源716の低電位出力端子に電気的に接続される。駆動回路702の出力部は、インバータ713の入力端子、及びトランジスタ712のゲートに電気的に接続される。
駆動回路702からは、ハイレベル電位またはローレベル電位が出力される。ここでハイレベル電位は少なくともトランジスタ712をオン状態とする電位であり、ローレベル電位は少なくともトランジスタ712を状態とする電位である。
駆動回路702からハイレベル電位が入力されると、インバータ713を介してトランジスタ711のゲートにローレベル電位が入力され、トランジスタ711がオフ状態となる。同時に、トランジスタ712のゲートにハイレベル電位が入力され、トランジスタ712がオン状態となる。したがって、パワースイッチ721のゲートには電源716から負の電位が入力され、パワースイッチ721がオフ状態となる。
一方、駆動回路702からローレベル電位が入力されると、インバータ713を介してトランジスタ711のゲートにハイレベル電位が入力され、トランジスタ711がオン状態となる。同時に、トランジスタ712のゲートにローレベル電位が入力され、トランジスタ712がオフ状態となる。したがって、パワースイッチ721のゲートには電源715から正の電位が入力され、パワースイッチ721はオン状態となる。
このように、駆動回路702からハイレベル電位またはローレベル電位をとるパルス信号が出力されることで、パワースイッチ721のオン、オフを制御することができる。パワースイッチ721を制御する制御方式としては、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式や、パルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)方式などの制御方式を用いることができる。
ここで、トランジスタ711及びトランジスタ712に、上記実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。したがって、パワースイッチ721を高い電位で駆動させることができる。さらに、高温で安定した動作が可能であるため、高温環境下であっても安定してパワースイッチの動作を制御することができ、さらに発熱の大きなパワースイッチ721の近傍に配置することもできる。また、トランジスタ711及びトランジスタ712のスイッチング動作により大きな出力電流を流すことができ、且つオフ電流を低減することができる。したがって消費電力が低減され、高速な動作が可能なバッファとすることができる。
なお、図19では負の電位を出力する電源716を設ける構成としたが、電源716を設けずにトランジスタ712のソースまたはドレインの他方に接地電位(または基準電位)が入力される構成としてもよい。
また、インバータ713をトランジスタ711ではなくトランジスタ712側に電気的に接続する構成としてもよい。その場合、上記動作において、バッファ回路701からは上記とは反転した電位が出力される。
ここで、パワースイッチ721に換えて、バイポーラパワートランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック、またはMESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)などのパワーデバイスを用いることもできる。
このとき、駆動回路702の出力信号は上記に限られず、それぞれの素子の駆動を制御するために適した信号を用いればよい。
図19(B)には、パワースイッチ721に換えてIGBT722を設けた場合について示している。
図19で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の一態様である酸化物半導体を備えるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を、図面を用いて説明する。
図20に半導体装置の回路図を示す。
図20に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と第2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、トランジスタ3300としては、先の実施の形態で説明したトランジスタを用いることができる。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等など)とし、第2の半導体材料を先の実施の形態で説明した酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が低い。
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図20において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極、およびトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図20に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、および容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの中間の電位V0とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線3005に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
図20で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルの構成例について説明する。
[構成例]
図21(A)は、本発明の一態様の表示パネルの上面図であり、図21(B)は、本発明の一態様の表示パネルの画素に液晶素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。また、図21(C)は、本発明の一態様の表示パネルの画素に有機EL素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。
画素部に配置するトランジスタは、上記実施の形態に従って形成することができる。また、当該トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、駆動回路のうち、nチャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。このように、画素部や駆動回路に上記実施の形態に示すトランジスタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図21(A)に示す。表示装置の基板900上には、画素部901、第1の走査線駆動回路902、第2の走査線駆動回路903、信号線駆動回路904を有する。画素部901には、複数の信号線が信号線駆動回路904から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路902、及び第2の走査線駆動回路903から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられている。また、表示装置の基板900はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
図21(A)では、第1の走査線駆動回路902、第2の走査線駆動回路903、信号線駆動回路904は、画素部901と同じ基板900上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板900外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板900上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、又は歩留まりの向上を図ることができる。
〔液晶パネル〕
また、画素の回路構成の一例を図21(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示パネルの画素に適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極層を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極層は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極層に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ916のゲート配線912と、トランジスタ917のゲート配線913には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能するソース電極層又はドレイン電極層914は、トランジスタ916とトランジスタ917で共通に用いられている。トランジスタ916とトランジスタ917は上記実施の形態で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶表示パネルを提供することができる。
トランジスタ916と電気的に接続する第1の画素電極層と、トランジスタ917と電気的に接続する第2の画素電極層の形状について説明する。第1の画素電極層と第2の画素電極層の形状は、スリットによって分離されている。第1の画素電極層はV字型に広がる形状を有し、第2の画素電極層は第1の画素電極層の外側を囲むように形成される。
トランジスタ916のゲート電極はゲート配線912と接続され、トランジスタ917のゲート電極はゲート配線913と接続されている。ゲート配線912とゲート配線913に異なるゲート信号を与えてトランジスタ916とトランジスタ917の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
また、容量配線910と、誘電体として機能するゲート絶縁膜と、第1の画素電極層または第2の画素電極層と電気的に接続する容量電極とで保持容量を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子918と第2の液晶素子919を備える。第1の液晶素子918は第1の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子919は第2の画素電極層と対向電極層とその間の液晶層とで構成される。
なお、図21(B)に示す画素回路は、これに限定されない。例えば、図21(B)に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、又は論理回路などを追加してもよい。
〔有機ELパネル〕
画素の回路構成の他の一例を図21(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示パネルの画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、電子および正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図21(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。なお、本発明の一態様の金属酸化物膜は、nチャネル型のトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる。また、当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用することができる。
適用可能な画素回路の構成及びデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作について説明する。
画素920は、スイッチング用トランジスタ921、駆動用トランジスタ922、発光素子924及び容量素子923を有している。スイッチング用トランジスタ921は、ゲート電極層が走査線926に接続され、第1電極(ソース電極層及びドレイン電極層の一方)が信号線925に接続され、第2電極(ソース電極層及びドレイン電極層の他方)が駆動用トランジスタ922のゲート電極層に接続されている。駆動用トランジスタ922は、ゲート電極層が容量素子923を介して電源線927に接続され、第1電極が電源線927に接続され、第2電極が発光素子924の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子924の第2電極は共通電極928に相当する。共通電極928は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ921および駆動用トランジスタ922は上記実施の形態で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表示パネルを提供することができる。
発光素子924の第2電極(共通電極928)の電位は低電源電位に設定する。なお、低電源電位とは、電源線927に設定される高電源電位より低い電位であり、例えばGND、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子924の順方向のしきい値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子924に印加することにより、発光素子924に電流を流して発光させる。なお、発光素子924の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。
なお、容量素子923は駆動用トランジスタ922のゲート容量を代用することにより省略できる。駆動用トランジスタ922のゲート容量については、チャネル形成領域とゲート電極層との間で容量が形成されていてもよい。
次に、駆動用トランジスタ922に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動方式の場合、駆動用トランジスタ922が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ922に入力する。なお、駆動用トランジスタ922を線形領域で動作させるために、電源線927の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ922のゲート電極層にかける。また、信号線925には、電源線電圧に駆動用トランジスタ922の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ922のゲート電極層に発光素子924の順方向電圧に駆動用トランジスタ922の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。なお、駆動用トランジスタ922が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入力し、発光素子924に電流を流す。また、駆動用トランジスタ922を飽和領域で動作させるために、電源線927の電位を、駆動用トランジスタ922のゲート電位より高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子924にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、画素回路の構成は、図21(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、図21(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
図21で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態10)
本発明の一態様に係る半導体装置(電力変換回路、電源回路、バッファ回路などを含む)は、機器への電力の供給を制御するのに適しており、特に大きな電力が必要な機器に好適に用いることができる。例えば、モーターなどの電力によりその駆動が制御される駆動部を備える機器や、電力により加熱または冷却を制御する機器などに好適に用いることができる。
本発明の一態様に係る半導体装置を用いることのできる電子機器として、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などがある。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、扇風機、ドライヤー、エアコンディショナーなどの空調設備、エレベータやエスカレータなどの昇降設備、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、電動ミシン、電動工具、半導体試験装置、などが挙げられる。また、本発明の一態様に係る半導体装置は、電力を用いて電動機により推進する移動体に用いられていてもよい。上記移動体には、自動車(自動二輪車、三輪以上の普通自動車)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、航空機、船舶、鉄道車両などが、その範疇に含まれる。また、食品、家電製品、上記移動体、鉄鋼、半導体機器、土木、建築、建設などのあらゆる分野で用いられる産業用ロボットの駆動の制御に用いることもできる。
以下では、電子機器の具体例を図22に示す。
図22(A)は電子レンジ1400であり、筐体1401と、被処理物を載置するための処理室1402と、表示部1403と、操作盤などの入力装置1404と、筐体1401の内部に設置されている高周波発生装置から発生した電磁波を、処理室1402に供給する照射部1405とを、有する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、例えば、高周波発生装置への電力の供給を制御する電源回路に用いることができる。
図22(B)は洗濯機1410であり、筐体1411と、筐体1411内に設けられた洗濯槽の入り口を、開閉させる開閉部1412と、操作盤などの入力装置1413と、洗濯槽の給水口1414とを、有する。
本発明の一態様に係る半導体装置は、例えば、洗濯槽の回転を制御するモーターへの電力の供給を制御する回路に用いることができる。
図22(C)は、電気冷凍冷蔵庫の一例である。図22(C)に示す電子機器は、筐体1451と、冷蔵室用扉1452と、冷凍室用扉1453と、を備える。
図22(C)に示す電子機器は、筐体1451の内部に本発明の一態様である半導体装置を有する。上記構成にすることにより、例えば、筐体1451内部の温度に応じて、または冷蔵室用扉1452及び冷凍室用扉1453の開閉に従って、筐体1451内の半導体装置に対する電源電圧の供給を制御できる。
図22(D)は、エアコンディショナーの一例である。図22(D)に示す電子機器は、室内機1460及び室外機1464により構成される。
室内機1460は、筐体1461と、送風口1462と、を備える。
図22(D)に示す電子機器は、筐体1461の内部に本発明の一態様である半導体装置を有する。上記構成にすることにより、例えば、リモートコントローラからの信号に従って、または室内の温度や湿度に応じて、筐体1461内の半導体装置に対する電源電圧の供給を制御できる。
また、本発明の一態様の半導体装置は、室外機1464が有するファンの回転を制御するモーターへの電力の供給を制御する回路にも用いることができる。
なお、図22(D)では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有するエアコンディショナーであってもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置が適用された電子機器の構成例について説明する。
図23は、本発明の一態様の半導体装置を含む電子機器の外観図である。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
図23(A)は、携帯型の情報端末であり、本体1001、筐体1002、表示部1003a、1003bなどによって構成されている。表示部1003bはタッチパネルとなっており、表示部1003bに表示されるキーボードボタン1004を触れることで画面操作や、文字入力を行うことができる。勿論、表示部1003aをタッチパネルとして構成してもよい。上記実施の形態で示したトランジスタをスイッチング素子として液晶パネルや有機発光パネルを作製して表示部1003a、1003bに適用することにより、信頼性の高い携帯型の情報端末とすることができる。
図23(A)に示す携帯型の情報端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
また、図23(A)に示す携帯型の情報端末は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
図23(B)は、携帯音楽プレイヤーであり、本体1021には表示部1023と、耳に装着するための固定部1022と、スピーカー、操作ボタン1024、外部メモリスロット1025等が設けられている。上記実施の形態で示したトランジスタをスイッチング素子として液晶パネルや有機発光パネルを作製して表示部1023に適用することにより、より信頼性の高い携帯音楽プレイヤーとすることができる。
さらに、図23(B)に示す携帯音楽プレイヤーにアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話と連携させれば、乗用車などを運転しながらワイヤレスによるハンズフリーでの会話も可能である。
図23(C)は、携帯電話であり、筐体1030及び筐体1031の二つの筐体で構成されている。筐体1031には、表示パネル1032、スピーカー1033、マイクロフォン1034、ポインティングデバイス1036、カメラ用レンズ1037、外部接続端子1038などを備えている。また、筐体1030には、携帯電話の充電を行う太陽電池セル1040、外部メモリスロット1041などを備えている。また、アンテナは筐体1031内部に内蔵されている。上記実施の形態で説明するトランジスタを表示パネル1032に適用することにより、信頼性の高い携帯電話とすることができる。
また、表示パネル1032はタッチパネルを備えており、図23(C)には映像表示されている複数の操作キー1035を点線で示している。なお、太陽電池セル1040で出力される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
例えば、昇圧回路などの電源回路に用いられるパワートランジスタも上記実施の形態で説明するトランジスタを適用することができる。
表示パネル1032は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル1032と同一面上にカメラ用レンズ1037を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー1033及びマイクロフォン1034は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。さらに、筐体1030と筐体1031は、スライドし、図23(C)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。
外部接続端子1038はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット1041に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
図23(D)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置1050は、筐体1051に表示部1053が組み込まれている。表示部1053により、映像を表示することが可能である。また、筐体1051を支持するスタンド1055にCPUが内蔵されている。上記実施の形態で説明するトランジスタを表示部1053およびCPUに適用することにより、信頼性の高いテレビジョン装置1050とすることができる。
テレビジョン装置1050の操作は、筐体1051が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置1050は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
また、テレビジョン装置1050は、外部接続端子1054や、記憶媒体再生録画部1052、外部メモリスロットを備えている。外部接続端子1054は、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、パーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。記憶媒体再生録画部1052では、ディスク状の記録媒体を挿入し、記録媒体に記憶されているデータの読み出し、記録媒体への書き込みが可能である。また、外部メモリスロットに差し込まれた外部メモリ1056にデータ保存されている画像や映像などを表示部1053に映し出すことも可能である。
また、上記実施の形態で説明するトランジスタのオフリーク電流が極めて小さい場合は、当該トランジスタを外部メモリ1056やCPUに適用することにより、消費電力が十分に低減された信頼性の高いテレビジョン装置1050とすることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
100 トランジスタ
101 基板
102 半導体層
103a 電極
103b 電極
104 絶縁層
105 ゲート電極
105a ゲート電極
105b ゲート電極
106 絶縁層
107 絶縁層
108 絶縁層
109 絶縁層
111a 配線
111b 配線
111c 配線
121 酸化物層
122 酸化物層
200 トランジスタ
210 トランジスタ
220 トランジスタ
400 電源回路
401 パワースイッチ
402 パワースイッチ
403 電圧調整部
404 蓄電装置
405 補助電源
406 電圧発生回路
407 トランジスタ
408 トランジスタ
409 トランジスタ
410 トランジスタ
411 無線信号入力回路
413 制御回路
414 容量素子
415 容量素子
416 電源
417 負荷
501 DCDCコンバータ
502 容量素子
503 トランジスタ
504 制御回路
505 ダイオード
506 コイル
507 容量素子
508 負荷
511 DCDCコンバータ
512 容量素子
513 トランジスタ
514 制御回路
515 変圧器
516 ダイオード
517 容量素子
518 負荷
601 インバータ
602 トランジスタ
603 トランジスタ
604 トランジスタ
605 トランジスタ
606 制御回路
701 バッファ回路
702 駆動回路
711 トランジスタ
712 トランジスタ
713 インバータ
715 電源
716 電源
721 パワースイッチ
722 IGBT
900 基板
901 画素部
902 走査線駆動回路
903 走査線駆動回路
904 信号線駆動回路
910 容量配線
912 ゲート配線
913 ゲート配線
914 ドレイン電極層
916 トランジスタ
917 トランジスタ
918 液晶素子
919 液晶素子
920 画素
921 スイッチング用トランジスタ
922 駆動用トランジスタ
923 容量素子
924 発光素子
925 信号線
926 走査線
927 電源線
928 共通電極
1001 本体
1002 筐体
1003a 表示部
1003b 表示部
1004 キーボードボタン
1021 本体
1022 固定部
1023 表示部
1024 操作ボタン
1025 外部メモリスロット
1030 筐体
1031 筐体
1032 表示パネル
1033 スピーカー
1034 マイクロフォン
1035 操作キー
1036 ポインティングデバイス
1037 カメラ用レンズ
1038 外部接続端子
1040 太陽電池セル
1041 外部メモリスロット
1050 テレビジョン装置
1051 筐体
1052 記憶媒体再生録画部
1053 表示部
1054 外部接続端子
1055 スタンド
1056 外部メモリ
1400 電子レンジ
1401 筐体
1402 処理室
1403 表示部
1404 入力装置
1405 照射部
1410 洗濯機
1411 筐体
1412 開閉部
1413 入力装置
1414 給水口
1451 筐体
1452 冷蔵室用扉
1453 冷凍室用扉
1460 室内機
1461 筐体
1462 送風口
1464 室外機
3001 配線
3002 配線
3003 配線
3004 配線
3005 配線
3200 トランジスタ
3300 トランジスタ
3400 容量素子

Claims (5)

  1. 酸化物半導体層と、
    前記酸化物半導体層を挟んで上下に位置する第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
    前記酸化物半導体層と前記第1のゲート電極との間の第1のゲート絶縁層と、
    前記酸化物半導体層と前記第2のゲート電極との間の第2のゲート絶縁層と、
    前記酸化物半導体層と接するソース電極及びドレイン電極と、を有するトランジスタであって
    前記酸化物半導体層は、前記ソース電極と重なる第1の領域と、前記ドレイン電極と重なる第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極とは重ならない第3の領域とを有し、
    前記第3の領域は、前記第2のゲート電極と重なる第4の領域と、前記第1の領域と前記第4の領域との間の第5の領域と、前記第2の領域と前記第4の領域との間の第6の領域と、を有し、
    前記第3の領域は全て、前記第1のゲート電極と重なり、
    前記第1のゲート電極のチャネル長方向の長さは、前記第2のゲート電極のチャネル長方向の長さよりも長く、
    前記第1のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁層、前記酸化物半導体層、及び前記第1のゲート絶縁層を介して、前記第2のゲート電極の上方に位置し、
    前記第1のゲート電極は、前記トランジスタのスイッチング動作を制御する機能を有し、
    前記第2のゲート電極は、前記トランジスタのしきい値電圧を制御する機能を有することを特徴とするトランジスタ
  2. 酸化物半導体層と、
    前記酸化物半導体層を挟んで上下に位置する第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
    前記酸化物半導体層と前記第1のゲート電極との間の第1のゲート絶縁層と、
    前記酸化物半導体層と前記第2のゲート電極との間の第2のゲート絶縁層と、
    前記酸化物半導体層と接するソース電極及びドレイン電極と、を有するトランジスタであって、
    前記酸化物半導体層は、前記ソース電極と重なる第1の領域と、前記ドレイン電極と重なる第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極とは重ならない第3の領域とを有し、
    前記第3の領域は、前記第2のゲート電極と重なる第4の領域と、前記第1の領域と前記第4の領域との間の第5の領域と、前記第2の領域と前記第4の領域との間の第6の領域と、を有し、
    前記第3の領域は全て、前記第1のゲート電極と重なり、
    前記第1のゲート電極のチャネル長方向の長さは、前記第2のゲート電極のチャネル長方向の長さよりも長く、
    前記第1のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁層、前記酸化物半導体層、及び前記第1のゲート絶縁層を介して、前記第2のゲート電極の上方に位置し、
    前記第1のゲート絶縁層の材料は、前記第2のゲート絶縁層の材料と同じであり、
    前記第1のゲート絶縁層の膜厚は、前記第2のゲート絶縁層の膜厚よりも小さいことを特徴とするトランジスタ。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記第6の領域のチャネル長方向の長さは、前記第5の領域のチャネル長方向の長さよりも長いことを特徴とするトランジスタ
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極の一方は、前記酸化物半導体層と重なる開口を有する環状の上面形状を有し、
    前記ソース電極及び前記ドレイン電極の他方は、前記開口の内側に設けられることを特徴とするトランジスタ
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一において、
    前記酸化物半導体層と前記第1のゲート絶縁層との間の第1の酸化物層と、
    前記酸化物半導体層と前記第2のゲート絶縁層との間の第2の酸化物層と、有し、
    前記第1の酸化物層及び前記第2の酸化物層は、前記酸化物半導体層が有する金属元素と同じ金属元素を一種以上有することを特徴とするトランジスタ
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