JP6243819B2 - セルロースナノファイバー、構造体、積層体及びセルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー、構造体、積層体及びセルロースナノファイバーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバー、構造体、積層体及びセルロースナノファイバーの製造方法に関する。
セルロースナノファイバーは、軽量で、鋼鉄の5倍以上の強度、及び石英ガラス相当の低線熱膨張を有していることから、フィルム、紙、不織布等の補強剤等として多くの利用が期待されている。
セルロースナノファイバーを補強剤等として利用する場合、十分な補強効果を得るためにはセルロースナノファイバーの乾燥、又はセルロースナノファイバーの疎水性物質中への均一な分散を行う必要がある。しかし、セルロースナノファイバーは高い親水性を有しているため、乾燥に長時間を要する。また、セルロースナノファイバーは、高い凝集性を有しているため、乾燥過程又は疎水性物質中への配合過程で凝集し易い。
上記不都合を解決するために、(1)セルロースミクロフィブリルを表面修飾する方法(特表平11−513425号公報参照)や、(2)有機溶媒中でセルロースを微細化する方法(特開2009−261993号公報参照)や、(3)繭状セルロース凝集体をセルロースナノファイバーに配合する方法(特開2013−203859号公報参照)などが検討されている。
しかし、上記(1)及び(2)の方法では、有機溶剤を使用するため環境負荷が大きくなるおそれがある。また、上記(3)の方法では、繭状に凝集させることでセルロースナノファイバーによる補強効果を得られ難いおそれがある。
特表平11−513425号公報 特開2009−261993号公報 特開2013−203859号公報
本発明は、上記不都合に鑑みてなされたものであり、環境負荷が小さく、補強効果が損なわれず、かつ乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れたセルロースナノファイバーの提供を目的とする。
本発明者は、上記不都合を解決するために鋭意検討を重ねた結果、パルプ繊維を微細化し、上記パルプ繊維として機械パルプを含み、保水度が特定範囲であり、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有するセルロースナノファイバーが乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、パルプ繊維を微細化してなるセルロースナノファイバーであって、上記パルプ繊維が機械パルプを含み、保水度が300%以下であり、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とする。
当該セルロースナノファイバーは、機械パルプを含むパルプ繊維が微細化されたものなので、環境負荷が小さい。また、当該セルロースナノファイバーは、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有するので、十分に微細化が進行している一方、保水度が上記上限以下であるため、乾燥過程又は疎水性物質中への配合過程での凝集が抑制されると共に乾燥時間が短縮される。その結果、当該セルロースナノファイバーは、補強効果を損なわずに、優れた乾燥性及び疎水性物質との相溶性を有する。
上記擬似粒度分布曲線におけるピーク値としては5μm以上25μm以下が好ましい。このように擬似粒度分布曲線のピーク値を上記範囲とすることで、ナノファイバー化を容易かつ確実にでき、機械パルプを含むパルプ繊維を原料とすることで、得られるセルロースナノファイバーの保水性を好適に低減することができる。
上記セルロースナノファイバーの濃度2%(w/w)の水分散液のB型粘度としては1,000cps以下が好ましい。このように濃度2%(w/w)の水分散液のB型粘度を上記上限以下とすることで、セルロースナノファイバーを塗工して用いる場合、塗工性に優れ塗工ムラの発生を十分に抑制できる。
上記セルロースナノファイバーのパルプ粘度としては3.5cps以上4.0cps以下が好ましい。パルプ粘度は重合度と相関があるので、このようにパルプ粘度を上記範囲とすることで、セルロースナノファイバーを樹脂と混練する際の凝集を抑制でき、樹脂の補強の効果を十分に発現させることが予想できる。
上記セルロースナノファイバーの結晶化度としては70%以下が好ましい。このように結晶化度を上記上限以下とすることで、セルロースナノファイバーの化学修飾が容易になると考えられる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該セルロースナノファイバーを含む材料で成形される構造体である。上記材料は、上記セルロースナノファイバーと別素材との混合物であってもよいし、上記セルロースナノファイバーのみで構成されてもよい。また、「構造体」とは、様々な形状の成形体を意味し、例えばシート状のものや三次元形状のものを含む概念である。当該セルロースナノファイバー自身が高強度を示すことから、セルロースナノファイバーのみで構成される当該構造体は高強度材料となる。また、当該セルロースナノファイバーは上述のように疎水性が向上することから、別素材と混合して当該構造体を成形するときの当該セルロースナノファイバーの別素材中での分散性又は別素材との接着性が向上する。その結果、別素材と混合して成形される当該構造体は、高強度材料となる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、1又は複数の層を有するシート状の基材と、この基材の少なくとも一方の最外層に積層され、当該セルロースナノファイバーを含む層とを備える積層体である。当該セルロースナノファイバーは、上述のように疎水性が向上することから、当該セルロースナノファイバーを含む層を構成するポリマー中での分散性が向上するので、当該積層体は、当該セルロースナノファイバーによる補強等の効果を均質に発現することができる。ここで、「積層体」とは、シート状の成形体を意味し、例えばフィルム、紙、不織布等を含む概念である。
上記セルロースナノファイバーを含む層の上記基材と反対側の面に積層され、1又は複数の層を有するシート状の第2基材をさらに備えるとよい。セルロースナノファイバーを含む層の上記基材と反対側の面に第2基材を備えることにより、中間層であるセルロースナノファイバーを含む層の両面が基材で保護され、損傷が防止される。また、中間層にセルロースナノファイバーを含む層を備えることにより、当該積層体についても上述と同様の補強効果が得られる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、パルプ繊維を微細化する工程を備え、上記パルプ繊維が機械パルプを含み、セルロースナノファイバーの保水度が300%以下であり、上記セルロースナノファイバーの水分散液がレーザー回折法で測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法である。当該製造方法を用いることで、当該セルロースナノファイバーを容易かつ確実に得ることができる。
ここで、「保水度」とは、JAPAN TAPPI No.26:2000に準拠して測定される値である。「擬似粒度分布曲線」とは、粒度分布測定装置(例えば株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定される体積基準粒度分布を示す曲線を意味する。「B型粘度」とは、JIS−K7117−1(1999)に準拠して、固形分濃度2%(w/w)のナノセルロース水分散液を用いて測定される値である。「パルプ粘度」とは、JIS−P8215(1998)に準拠して測定される値である。「結晶化度」とは、JIS−K0131(1996)に準拠して、X線解析法により測定される値である。
上述のように、当該セルロースナノファイバーは、環境負荷が小さく、補強効果が損なわれず、かつ乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れる。そのため、当該セルロースナノファイバーはこのような特性が求められる用途、特にフィルムの製造において好適に用いることができる。
実施例1のセルロースナノファイバーの体積粒度分布を示すグラフである。 比較例1のセルロースナノファイバーの体積粒度分布を示すグラフである。 比較例2のセルロースナノファイバーの体積粒度分布を示すグラフである。
以下、本発明のセルロースナノファイバー及びその製造方法の実施形態について説明する。
[セルロースナノファイバー]
当該セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を微細化してなるセルロースナノファイバーである。当該セルロースナノファイバーは、上記パルプ繊維が機械パルプを含み、保水度が300%以下であり、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とする。
当該セルロースナノファイバーは、機械パルプを含むパルプ繊維を微細化して得られる。パルプ繊維を微細化する方法としては、セルロースナノファイバーを製造する公知の方法であれば特に限定されず、例えばグラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザ−、水中対向衝突等を用いる方法が挙げられる。
本発明者は、広葉樹パルプ(LBKP)、針葉樹パルプ(NBKP)及び晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)について、叩解後に行う解繊処理と保水度との関係を測定したところ、LBKP及びNBKPについては解繊処理回数に伴って保水度が上昇する傾向にあるのに対し、BTMPについては保水度の大幅な増加は確認できなかった。これにより、本発明者は、化学パルプではセルロースナノファイバーの保水度を所定以下に調整することが困難であるのに対し、機械パルプでは所定以下の保水度に調整できることを見出した。そのため、当該セルロースナノファイバーは、所望の保水度を有するセルロースナノファイバーを得るために、解繊するパルプ繊維として機械パルプを含むものを用いる。
上記パルプ繊維が含む機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。上記パルプ繊維が機械パルプを含むことにより、解繊処理時の保水度の上昇を抑制でき、所望の保水度以下のセルロースナノファイバーを作製し易い。
上記パルプ繊維が含む機械パルプのパルプ繊維全体に対する含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。上記含有割合が上記下限未満になると、セルロースナノファイバーの保水度を十分に小さくできず、乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れたセルロースナノファイバーが得られないおそれがある。
当該セルロースナノファイバーの保水度の上限としては、上述したように300%であり、280%がより好ましい。上記保水度が上記上限を超えると、乾燥性及び疎水性物質との相溶性を十分に改善できないおそれがある。
また、当該セルロースナノファイバーは、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有している。このように、擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することで、当該セルロースナノファイバーは十分に微細化が進行しているものと判断できる。
上記擬似粒度分布曲線のピーク値の下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、上記擬似粒度分布曲線のピーク値の上限としては、25μmが好ましく、20μmがより好ましい。上記擬似粒度分布曲線のピーク値が上記下限未満であると、解繊処理の時間が長くなり製造コストが増加するおそれがある。逆に、上記擬似粒度分布曲線のピーク値が上記上限を超えると、十分にナノファイバー化できないおそれがある。
当該セルロースナノファイバーの濃度2%(w/w)の水分散液のB型粘度の上限としては、1,000cpsが好ましく、500cpsがより好ましい。上記B型粘度が上記上限を超える場合、当該セルロースナノファイバーを塗工して用いるときの塗工ムラの発生を十分に抑制できないおそれがある。
当該セルロースナノファイバーのパルプ粘度の下限としては、3.5cpsが好ましく、3.6cpsがより好ましい。一方、上記パルプ粘度の上限としては、4.0cpsが好ましく、3.9cpsがより好ましい。上記パルプ粘度が上記下限未満であると、セルロースナノファイバーを樹脂と混練する際のセルロースナノファイバーの重合度の低下によって、樹脂の補強の効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記パルプ粘度が上記上限を超える場合も、セルロースナノファイバーを樹脂と混練する際のセルロースナノファイバーの凝集を十分に抑制できず、樹脂の補強の効果が十分に得られないおそれがある。
当該セルロースナノファイバーの結晶化度の上限としては、70%が好ましく、68%がより好ましい。一方、上記結晶化度の下限としては、50%が好ましく、55%がより好ましい。上記結晶化度が上記上限を超える場合、セルロースナノファイバーの化学修飾がし難くなるおそれがある。逆に、上記結晶化度が上記下限未満の場合、十分な補強効果が得られないおそれがある。なお、セルロースナノファイバーは非晶質部分と結晶質部分とを有するため、結晶化度とは、セルロースナノファイバー全体における結晶質部分の割合である。
[セルロースナノファイバーの製造方法]
当該セルロースナノファイバーの製造方法は、パルプ繊維を微細化する工程(微細化工程)を備え、上記パルプ繊維が機械パルプを含み、セルロースナノファイバーの保水度が300%以下であり、上記セルロースナノファイバーの水分散液がレーザー回折法で測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とする。
<微細化工程>
上記微細化工程では、機械パルプを含むパルプ繊維を原料とし、セルロースナノファイバーを製造する公知の方法、例えばグラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザ−、水中対向衝突を用いる方法等により上記パルプ繊維を微細化する(解繊処理)。上記パルプ繊維が微細化されて形成されるセルロースナノファイバーが所望の繊維径となるまで、上記解繊処理を繰り返し行う。なお、解繊処理を軽減するために、上記解繊処理の前に、例えばビーターやレファイナーによる物理的処理や各種化学的処理を行ってもよい。
[構造体]
当該セルロースナノファイバーの製造方法により製造した当該セルロースナノファイバーを含む材料で成形することにより、当該構造体が得られる。例えば、当該セルロースナノファイバーをそのまま乾燥、又は分散液中に別素材を混合した後に乾燥することにより所望の形状に成形できる。また、例えば当該セルロースナノファイバーの分散液又は乾燥体と熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とを混合し、公知の樹脂成形方法により所望の形状の当該構造体を製造できる。
当該構造体の形状は、シート状としてもよいし、シート状以外の三次元形状としてもよい。例えば当該セルロースナノファイバーを含有するスラリーを調製し、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム上にキャスティング若しくは塗工した後、乾燥して上記プラスチックフィルムから剥離することにより単層フィルムの当該構造体を得ることができる。また、例えば上記スラリーを成形型を用いて成形することにより、任意の形状の当該構造体を成形できる。
当該構造体は、当該セルロースナノファイバーのみで構成されていてもよいが、そうでなくてもよい。当該構造体における上記セルロースナノファイバーの含有量の下限としては、例えば5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。一方、上記セルロースナノファイバーの含有量の上限としては、例えば95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。上記セルロースナノファイバーの含有量が上記下限未満であると、セルロースナノファイバーによる補強効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記セルロースナノファイバーの含有量が上記上限を超えると、加工適性を損なうおそれがある。
[積層体]
当該セルロースナノファイバーの製造方法により製造した当該セルロースナノファイバーを1又は複数の層を有するシート状の基材の少なくとも一方の最外層に積層することにより、当該積層体が得られる。また、上記セルロースナノファイバーを含む層の上記基材と反対側の面に、さらに1又は複数の層を有するシート状の別の基材(第2基材)を積層してもよい。
上記基材及び第2基材としては、パルプ繊維を抄紙して得られる紙のほか、不織布、樹脂で形成されるシート、フィルム等が用いられ、単層又は複数の層で構成されるものが挙げられる。従って、上記基材及び第2基材は、例えば異なる種類の複数の層が積層されるシートであってもよい。
上記基材又は第2基材としてパルプ繊維を抄紙して得られる紙を用いる場合、例えば上質紙、中質紙、包装用途などで使用されている晒又は未晒クラフト紙(酸性紙又は中性紙)、純白ロール紙等が挙げられる。また、上記基材又は第2基材として、セルロースを主たる構成成分とするパルプ繊維が絡み合った集合体である包装用紙、板紙、段ボール原紙、ラミネート紙などを使用してもよい。また、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意の坪量及び厚みの基材を適宜使用できる。
上記基材又は第2基材としてパルプ繊維を抄紙して得られる紙を用いる場合、上記基材又は第2基材には、上記パルプの他、本発明の目的効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の填料やバインダー、サイズ剤定着剤、金属塩、歩留り向上剤、紙力増強剤、蛍光増白剤、着色顔料、消泡剤、防腐剤、防バイ剤等の各種添加剤を混合してもよい。
また、上記基材又は第2基材の表面には、強度や印刷適性等を向上させるため、本発明の目的効果を損なわない範囲で、水溶性物質を主成分とする水溶性組成物を塗布することができる。かかる水溶性物質としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、ポリ酢酸ビニル系、アクリル系などのラテックス、ワックスエマルジョン等が挙げられる。なお、かかる水溶性物質は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
また、上記基材又は第2基材には、上記水溶性物質の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意成分を適宜使用することができる。この任意成分としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、タルク、焼成カオリン、ホワイトカーボン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化チタン酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン、フェノール樹脂、微小中空粒子などの填料;アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、メラミン/ホルマリン樹脂、尿素/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの歩留り向上剤;紙粉脱落防止剤;湿潤紙力剤;厚さ向上剤;嵩高剤;着色剤;染料などを、その種類及び含有量を適宜調製して添加することができる。
上記基材の少なくとも一方の最外層への当該セルロースナノファイバーの積層方法としては、例えば当該セルロースナノファイバーを含有する塗工液を調製し、この調製した塗工液を上記基材の少なくとも一方の最外層に塗工することで、当該積層体を製造できる。また、例えばラミネート等の公知の技術を用いて上記単層フィルムの構造体を上記基材に貼り合せることでも当該積層体を製造できる。
また、上記セルロースナノファイバーを上記基材の最外層へ積層したものに、さらに上記第2基材を積層してもよい。上記セルロースナノファイバーを含む層の上記基材と反対側の面に上記第2基材を積層することにより、2枚の基材の間にセルロースナノファイバーを含む層が挟まれる構成の当該積層体が得られる。例えば、上記基材の最外層に上記塗工液を塗工し、その塗工液を塗工した面側に第2基材を貼合することにより、このような構成の当該積層体を製造できる。
セルロースナノファイバーを含有する塗工液を基材に塗工して当該積層体を製造する方法では、セルロースナノファイバーを含有する水性の塗工液を基材表面に塗工した後、乾燥してセルロースナノファイバーの層を設ける場合、塗工方法としては、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ディップコーター等の公知の塗工機を用いることができる。また、乾燥は公知の乾燥方法を採用することができる。
また、上記基材の少なくとも一方の最外層への当該セルロースナノファイバーの他の積層方法として、例えば上記セルロースナノファイバーの単層フィルムを基材の少なくとも一方の最外層へ貼合してもよい。上記単層フィルムの上記基材の最外層への貼合は、例えば接着剤を用いて行ってもよいし、上記単層フィルムと上記基材とを重ね合せて熱プレスにより行ってもよい。
〔利点〕
当該セルロースナノファイバーは、機械パルプを含むパルプ繊維が微細化され、保水度が上記範囲内であり、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有するので、環境負荷が小さく、補強効果が損なわれず、かつ乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れる。
また、当該セルロースナノファイバーは、濃度2%(w/w)の水分散液のB型粘度が上記範囲内であるので、当該セルロースナノファイバーを塗工して用いる場合、塗工性に優れ塗工ムラの発生を十分に抑制できる。
<その他の実施の形態>
なお、本発明の積層体は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記基材の両面に上記セルロースナノファイバーを含む層が積層される構成としてもよい。また、上記構造体をシート状に成形し、この構造体を基材又は第2基材として用いる積層体としてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
<B型粘度>
JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して、固形分濃度2%のセルロースナノファイバーの水分散液によりB型粘度を測定した。
<パルプ粘度>
JIS−P8215(1998)に記載の方法に準拠して、セルロースナノファイバーのパルプ粘度を測定した。
<結晶化度>
JIS−K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法によりセルロースナノファイバーの結晶化度を測定した。
<保水度>
JAPAN TAPPI No.26:2000に準拠した保水度の測定法により、セルロースナノファイバーの保水度を測定した。
<粒度分布測定径>
ISO−13320(2009)に準拠して、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定したセルロースナノファイバーの水分散液における体積基準粒度分布より、セルロースナノファイバーの最頻径を取得した。ここで測定されるセルロースナノファイバーの「最頻径」は、上述した擬似粒度分布曲線のピーク値に該当するものである。
(実施例1)
機械パルプ繊維としてBTMP(晒サーモメカニカルパルプ漂白品)を用い、この機械パルプ繊維をナイヤガラビーターで2時間叩解した後、グラインダー(増幸産業株式会社のマスコロイダー)による解繊処理を所定回数繰り返し行い、上記機械パルプ繊維を微細化して実施例1のセルロースナノファイバーを得た。
(比較例1)
化学パルプ繊維としてLBKP(広葉樹パルプ漂白品)を用い、この化学パルプ繊維をナイヤガラビーターで2.5時間叩解した後、グラインダーによる解繊処理を所定回数繰り返し行い、上記化学パルプ繊維を微細化して比較例1のセルロースナノファイバーを得た。
(比較例2)
化学パルプ繊維としてNBKP(針葉樹パルプ漂白品)を用い、この化学パルプ繊維をナイヤガラビーターで4時間叩解した後、グラインダーによる解繊処理を所定回数繰り返し行い、上記化学パルプ繊維を微細化して比較例2のセルロースナノファイバーを得た。
実施例1、比較例1及び比較例2のセルロースナノファイバーの測定結果を表1に示す。また、実施例1、比較例1及び比較例2の水分散液におけるセルロースナノファイバーの体積粒度分布を図1〜図3に示す。なお、図1〜図3において、実線は解繊処理後の粒度分布を示し、破線は解繊処理前の粒度分布を示している。
Figure 0006243819
表1の結果より、実施例1の保水度は300%以下と小さいので、実施例1のセルロースナノファイバーは、乾燥性及び疎水性物質との相溶性を効果的に改善できると推測できる。これに対し、比較例1及び比較例2の保水度は、いずれも300%を超えており、比較例1及び比較例2のセルロースナノファイバーでは、乾燥性及び疎水性物質との相溶性を十分には改善できないと推測できる。
また、表1より、実施例1のB型粘度は、比較例1及び比較例2のB型粘度と比べて著しく小さいことがわかる。これにより、実施例1のセルロースナノファイバーは、塗工液として用いる場合の塗工性に優れていると推測でき、塗工用のセルロースナノファイバーとして好適に用いることができるといえる。
また、図1〜図3より、実施例1及び比較例1では、粒度分布曲線において解繊処理後に1つのピークを有するのに対し、比較例2では解繊処理後に複数のピークを有している。これにより、比較例2のセルロースナノファイバーでは、乾燥性を十分には改善できないと考えられる。
当該セルロースナノファイバーは、環境負荷が小さく、補強効果が損なわれず、かつ乾燥性及び疎水性物質との相溶性に優れる。従って、当該セルロースナノファイバーはこのような特性が求められる用途、特にフィルムの製造において好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. パルプ繊維を微細化してなるセルロースナノファイバーであって、
    上記パルプ繊維が機械パルプを含み、
    保水度が300%以下であり、
    水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とするセルロースナノファイバー。
  2. 上記擬似粒度分布曲線のピーク値が5μm以上25μm以下である請求項1に記載のセルロースナノファイバー。
  3. 濃度2%(w/w)の水分散液のB型粘度が1,000cps以下である請求項1又は請求項2に記載のセルロースナノファイバー。
  4. パルプ粘度が3.5cps以上4.0cps以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のセルロースナノファイバー。
  5. 結晶化度が70%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバー。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーを含む材料で成形される構造体。
  7. 1又は複数の層を有するシート状の基材と、この基材の少なくとも一方の最外層に積層され、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセルロースナノファイバーを含む層とを備える積層体。
  8. 上記セルロースナノファイバーを含む層の上記基材と反対側の面に積層され、1又は複数の層を有するシート状の第2基材をさらに備える請求項7に記載の積層体。
  9. パルプ繊維を微細化する工程を備え、
    上記パルプ繊維が機械パルプを含み、
    セルロースナノファイバーの保水度が300%以下であり、
    上記セルロースナノファイバーの水分散液がレーザー回折法で測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有することを特徴とするセルロースナノファイバーの製造方法。

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