JP6241921B2 - 雪崩予防柵設置方法 - Google Patents
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Description
図4及び図5は、従来の雪崩予防柵の一例を示している。図4、図5において、符号1は法面を示し、符号Rは道路(路面)を示している。
図4、図5で例示する従来の雪崩予防柵10は、3本の杭部材11と複数の横桟部材12を備えている。
法面1の上下方向(斜面)に沿った方向については所定のピッチP(図5参照)にて、また、横方向(水平方向)については隣接する雪崩予防柵10間に隙間W(図4参照)を隔てて、複数の雪崩予防柵10が配置されている。
また、積雪20と地山1の摩擦力が低下すると、積雪20を支持する力が低下し、雪崩が発生する可能性が高くなってしまう。
乾雪表層雪崩のすり抜けを防止するため、図7で示すように、雪崩予防柵10に鋼製メッシュ13を張設する対策が採られている。
また、最下段柵下からの全層雪崩という問題については、人力や重機による雪の除去を行って対処しているのが現状である。
従来の雪崩予防柵10は、係る巻き垂れ21の形成を抑制することは開示されておらず、巻き垂れ21が崩れ落ちて雪崩を惹起することを抑制することも開示していない。
従来の雪崩予防柵10が庇の様に作用して雪が積もらず、地表が露出した領域L2においては、積雪による保温効果が喪失するので、当該領域L2における凍上(地面内部が凍り、地表面が盛り上がる現象)という問題を生じる場合がある。
しかし、係る従来技術(特許文献1)においても、積雪量が一定の限界を超えてしまうと、堆雪容量をオーバーして雪崩予防柵を越えて雪崩が発生してしまう。
前記雪崩予防柵(10)の各々は杭部材(11)及び直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備え、
直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)を水平方向に対して傾斜して配置し、
法面(1)上方の直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)の延長線(Lc1、Lc2)上に法面下方の雪崩予防柵(10)を上方の雪崩予防柵(10)と逆方向に傾斜して配置し、前記法面(1)下方の雪崩予防柵(10)は法面(1)上方の直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)の傾斜した延長線(Lc)に対して所定の角度で傾斜して配置することを特徴としている。
ここで、前記「所定の角度」は、法面(1)の角度、設置する雪崩予防柵(10)の間隔、予想降雪量等の条件により、ケース・バイ・ケースで設定される。これ等の条件により、雪の滑り落ちる力が変化するためである。
また、前記「所定の角度」は、一定の角度に限定されるのではなく、個々の雪崩予防柵(10)で異なる場合(ランダムに変更する場合も含む)を包含する趣旨である。
或いは、水平に配置した雪崩予防柵(10B)を省略しても良い。
本発明では雪崩予防柵(10)は水平方向(図1の矢印H方向)に対して(傾斜角度θにて)傾斜しているので、雪崩予防柵(10)の法面(1)上方に堆積している雪(20)は当該雪崩予防柵(10)により移動が阻止されることは無く、雪崩予防柵(10)に沿って斜め下方に移動する。
そのため、雪崩予防柵(10)の法面(1)上方に堆積している雪(20)は地山(法面1)に対して接地している状態が常に維持され、雪(20)が移動する速度が減少し、一部の雪が崩落して雪崩が発生する可能性が減少する。
換言すれば、法面下方(下段)の雪崩予防柵(10)は法面上方(上段)の雪崩予防柵(10)の傾斜した延長線(Lc)に対して所定の角度で配置されることにより、雪が接地している面積が増大して、雪崩が発生する可能性を減少せしめている。前記「所定の角度」が一定の角度ではなく、個々の雪崩予防柵(10)で異なる場合(ランダムに変更する場合を含む)も同様である。
さらに本発明によれば、雪(20)が接地した状態に維持されるので、雪崩予防柵(10)の下方の領域における凍上が防止される。
その結果、(上方の)雪崩予防柵(10)の法面上方に堆積した雪(20)は、法面下方に向って、所定の角度を付けてジグザグに転進しながら、折曲がった経路(C)を進行する。雪崩予防柵(10)は当該折れ曲った経路(雪が進行する経路C)を遮断しないので、雪(20)はその下方の領域が常に接地した状態が維持される。
そのため本発明によれば、雪(20)が法面下方の領域(例えば道路R)に到達するのに費やす時間が長くなる。従って、積雪が法面下方の道路に乗り上げて交通を阻害するのに長時間が必要となり、その間に降雪が止み、除雪を行うことが出来れば、法面を下降する雪による交通の阻害が未然に防止される。
図1及び図2において、道路Rの上方に存在する法面1には、雪崩予防柵10(10B)が法面1の上方から、符号ST1〜ST4で示す4段に分けて配置されている。
ここで、所定角度θは、例えば15°〜45°の範囲が好ましい。ただし、傾斜角度θは、法面1の傾斜角度と、雪崩予防柵における雪の量(降雪量に比例)により、大きな影響を受ける。その意味で、雪崩予防柵10の水平方向に対する傾斜角度θは、15°未満となる場合もあり、45°より大きくなる場合も存在する。
ここで、雪崩予防柵10の傾斜角度θは一定の角度に限定されるものではなく、雪崩予防柵10毎に当該傾斜角度θが異なる場合(傾斜角度θがランダムに変更する場合を含む)も包含する。例えば、最上段ST1における雪崩予防柵10の傾斜角度θを45°、2段目ST2における雪崩予防柵10の傾斜角度θを30°、3段目ST3における雪崩予防柵10の傾斜角度θを20°に設定する場合もある。或いは、最上段ST1における雪崩予防柵10の傾斜角度θを20°、2段目ST2における雪崩予防柵10の傾斜角度θを30°、3段目ST3における雪崩予防柵10の傾斜角度θを45°に設定することも出来る。
そして傾斜角度θを適宜設定することにより、雪が移動する速度を調整することが可能である。
しかし、雪崩予防柵10の設置間隔、設計積雪深、法面1の傾斜角度αにより、雪崩予防柵10の傾斜角度θは変動する。
また、当該「所定の角度」(法面上方の雪崩予防柵10の法面下方への延長線Lc1に対して法面下方の雪崩予防柵10が為す角度)は、図1〜図3では90°で一定であるが、雪崩予防柵10毎に当該「所定の角度」が異る様に設定する(当該「所定の角度」がランダム変更する)ことも可能である。
さらに、3段目ST3の雪崩予防柵10は、2段目ST2の雪崩予防柵10の法面下方への延長線Lc2と所定の角度を為す位置に配置されている。
ここで、法面1の水平方向(図1の符号H方向:横方向)における位置については、3段目ST1における雪崩予防柵10の配置(配列)は、最上段ST1における雪崩予防柵10の配置(配列)と同様(な配置)になる。
雪崩予防柵10の法面上方に堆積している雪20は、雪崩予防柵10により移動が阻止されてしまうことは無く、雪崩予防柵10に沿って斜め下方に移動することが出来る。換言すれば、図示の実施形態において、水平方向(図1の符号H方向)に対して傾斜している雪崩予防柵10は、その上方の積雪20を斜め下方に移動するように案内する作用を奏する。
そのため、雪崩予防柵10は、その上方に堆積した雪20の荷重を全て負荷することは無く、堆雪容量をオーバーしてしまうことが防止される。
雪崩予防柵10にメッシュ(金網)を張設して乾いた雪のすり抜け防止対策を施して場合においても、堆積した雪20が雪崩予防柵10の斜め下方に誘導されるので、堆雪容量をオーバーしてしまうこともない。
そのため、上方の雪崩予防柵10に沿って斜め下方に移動した積雪20(図2参照)は、上方の雪崩予防柵10の延長線(仮想線)と所定の角度を為す様に配置されている次段の雪崩予防柵10に当接する。そして、当接した段の雪崩予防柵10において、積雪20の進行方向が所定の角度を付けてジグザグに転進して、当該次段の雪崩予防柵10の延長線(仮想線)方向へ移動する。
そして、進行方向が所定の角度を付けて転進した積雪20は、さらに斜め下方へ進行する。
積雪20が接地した状態に維持されるので、移動する積雪20と地山(法面)1との間に抵抗力が作用して、積雪20が移動する速度が減少する。
そして、積雪20が接地した状態に維持されるので、一部の積雪20が崩落して雪崩を起こす恐れが減少する。
そのため、図示の実施形態によれば、積雪20が法面下方(図1の下方)の領域(例えば道路R)に到達するのに費やす時間が長くなる。従って、積雪20が法面下方の道路に乗り上げて交通を阻害するのに長時間が必要となり、その間に降雪が止み、除雪を行うことが出来れば、法面1を下降する積雪による交通の阻害が未然に防止される。
所定の角度を付けてジグザグに転進して移動した積雪20が仮に道路R上に乗り上げてしまっても、進行速度が遅いため、一度に大量の雪が道路Rに乗り上げることは無く、車両の通行への影響が最小限で済み、道路Rに乗り上げた雪を除去する時間も確保することが出来る。
しかし、図1において、雪が経路Cに沿って移動する様に雪崩予防柵10が設けられているので、直線「D」上に雪崩予防柵10が設けられていなくても、直線「D」に沿って雪が崩落してしまうことが防止される。
これに対して、雪崩予防柵10の数を多くすれば、法面1の上方から下方に向う方向について雪崩予防柵10が存在しない領域(直線Dで示す領域)の幅は小さくなり、雪の崩落の可能性は減少する。しかし、雪崩予防柵10を多く設置すると、導入コストが増加する。
雪崩予防柵10の設置間隔は、降雪量と、法面1の上方から下方に向う方向における雪の崩落防止効率に基づいて決定することが出来る。
図示の実施形態によれば、法面1の上方から下方に向う方向について雪崩予防柵10が存在しない領域(直線Dで示す領域)に、雪崩予防柵10の延長線に沿って積雪20が移動するので、直線Dで示す領域で仮に雪が崩落しても、積雪20の移動により、雪崩の発生は防止される。
雪崩防止柵10により上方から下方へ移動する雪が、道路R上に乗り上げてしまうことを防止するためである。
ここで、所定の間隔Wは、最上段と2段目の配置関係及び2段目と3段目の配置により、ケース・バイ・ケースで設定される。
10・・・雪崩予防柵
20・・・積雪
R・・・道路
Claims (1)
- 雪崩を予防するべき法面(1)の上下方向の複数段に複数の雪崩予防柵(10)を設置し、
前記雪崩予防柵(10)の各々は杭部材(11)及び直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備え、
直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)を水平方向に対して傾斜して配置し、
法面(1)上方の直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)の延長線(Lc1、Lc2)上に法面下方の雪崩予防柵(10)を上方の雪崩予防柵(10)と逆方向に傾斜して配置し、前記法面(1)下方の雪崩予防柵(10)は法面(1)上方の直線状に延在する複数の横桟部材(12)を備えた前記雪崩予防柵(10)の傾斜した延長線(Lc)に対して所定の角度で傾斜して配置することを特徴とする雪崩予防柵設置方法。
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