JP6241721B2 - 金型の焼入方法 - Google Patents
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Description
また、好ましくは、前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TBがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第2の均熱工程を実施することを特徴とする金型の焼入方法である。
また、好ましくは、前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TBがAc1変態点よりも低い温度域であってAc1変態点から50℃以内の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第1の均熱工程を実施し、前記温度TBがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第2の均熱工程を実施することを特徴とする金型の焼入方法である。
そして、これらの好ましい金型の焼入方法において、さらに、前記温度TBがAc3変態点よりも高い温度域であってAc3変態点から50℃以内の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第3の均熱工程を実施することが、より好ましい。
本発明者は、焼入れ後の上記凹面角部に確認される割れの起点が、加熱工程で同部に発生しているクラックであることを突きとめた。そして、このクラックは、専ら金型が焼入れ温度に到達する前に通過するAc1変態点とAc3変態点との間の変態点域で生じていることを突きとめた。加熱中の金型は、その温度上昇に伴って熱膨張するが、それが上記の変態点域に入ると変態により収縮する。例えば、各種の熱間ダイス鋼素材でなる金型の場合、概ね1000℃超の焼入れ温度に対して、上記の変態点域は概ね800〜900℃の間に納まる。そして、上記変態点域の間において金型の組織はフェライトとオーステナイトとの2相領域となり、各相の変形抵抗は異なることから該組織の強度や延性は低下する。
変態点域を通過しているときの部位Aの温度TAと、そのときの部位Bの温度TBとの差を小さくするためには、部位AがAc1変態点に差し掛かる前から温度TAと温度TBとの差を予め小さくしておくことが有利である。部位AがAc1変態点に差し掛かる前のフェライト領域において温度TAと温度TBとの差が大きいと、部位Bは部位Aよりも昇温が速いことから、続く変態点域において上記の温度差は更に開いていくこととなる。したがって、昇温の速い部位Bの温度TBが先にAc1変態点の付近の温度に到達したときに、例えば昇温速度を遅くしたり、昇温自体を一旦停止したりするなどして、このときの金型の温度を保持し、部位Aの温度TAが温度TBに追い付いて来るのを待つ均熱工程を実施すれば、変態点域における温度TAと温度TBとの差をより小さくできる。具体的には、温度TBがAc1変態点よりも低い温度域であってAc1変態点から50℃以内の温度域にあるときに、温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第1の均熱工程を実施することで、上記変態点域における温度TAと温度TBとの差をより小さくできる。
また、上記のような均熱工程を、部位Bの温度TBが変態点域にあるときに実施することでも、部位Aが変態点域を通過しているときの温度TAと温度TBとの差をより小さくすることができる。具体的には、温度TBがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域にあるときに、温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第2の均熱工程を実施することである。通常、金型に使用される工具鋼素材のAc1変態点とAc3変態点との差は約20〜50℃である。そして、この変態点の間で上記の均熱工程を実施することで、前記温度TAと温度TBとの温度差を40℃以内にすることができる。
上記で説明した第1、2の均熱工程に加えて、部位Bの温度TBがAc3変態点を超えた後にも同様の均熱工程を実施することで、部位Aが変態点域を通過しているときの温度TAと温度TBとの差をより小さくすることができる。つまり、部位BがAc3変態点を超えた後においても、遅れて昇温している部位Aは未だ変態点域の温度にあり、部位Aと部位Bの温度差が大きくなり過ぎると熱膨張差によりクラックが発生しやすい状態にある。そこで、この時点で均熱工程を実施すれば、均熱温度を越えて部位Bが先行して昇温することを抑制することができる。具体的には、温度TBがAc3変態点よりも高い温度域であってAc3変態点から50℃以内の温度域にあるときに温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第3の均熱工程を実施することで、前記温度TAと温度TBとの温度差をより確実に40℃以内にすることができる。
変態点域で金型を速く加熱することは、金型組織中の結晶粒(旧オーステナイト結晶粒)の粗大化を防止するのに有効である。変態点を通過する際の加熱速度が速いと、過熱度が大きくなって、オーステナイト結晶粒が新たに生成するサイトが増え、結晶粒を微細に成長させるのに有利である。そして、一般に金型組織中の結晶粒が微細になると、靭性が向上して、金型使用中の耐割れ性が向上する。この点において、前記(3)の手法による第2の均熱工程を実施しないことは、上記変態点域で金型の全体をより速く加熱するのに有利であることから、好ましい。
2 ポケットの3面角部(部位A)
3 試料の角部(部位B)
4 熱電対の挿入孔
Claims (5)
- オーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法において、金型を焼入れ温度に加熱する加熱工程は、金型の表面温度が最も低い部位Aの温度T A がAc 1 変態点とAc 3 変態点との間の温度域を通過するときの前記温度T A と金型の表面温度が最も高い部位Bの温度T B との差を40℃以内とし、前記加熱工程を経てオーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法であり、
前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TBがAc1変態点よりも低い温度域であってAc1変態点から50℃以内の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第1の均熱工程を実施することを特徴とする金型の焼入方法。 - オーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法において、金型を焼入れ温度に加熱する加熱工程は、金型の表面温度が最も低い部位Aの温度T A がAc 1 変態点とAc 3 変態点との間の温度域を通過するときの前記温度T A と金型の表面温度が最も高い部位Bの温度T B との差を40℃以内とし、前記加熱工程を経てオーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法であり、
前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TBがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第2の均熱工程を実施することを特徴とする金型の焼入方法。 - オーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法において、金型を焼入れ温度に加熱する加熱工程は、金型の表面温度が最も低い部位Aの温度T A がAc 1 変態点とAc 3 変態点との間の温度域を通過するときの前記温度T A と金型の表面温度が最も高い部位Bの温度T B との差を40℃以内とし、前記加熱工程を経てオーステナイト域の焼入れ温度に加熱した金型を冷却する金型の焼入方法であり、
前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TBがAc1変態点よりも低い温度域であってAc1変態点から50℃以内の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第1の均熱工程を実施し、前記温度TBがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第2の均熱工程を実施することを特徴とする金型の焼入方法。 - 前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、さらに、前記温度TBがAc3変態点よりも高い温度域であってAc3変態点から50℃以内の温度域にあるときに前記温度TAと温度TBとの差が20℃以内となるように前記金型の温度を保持する第3の均熱工程を実施することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金型の焼入方法。
- 前記金型を焼入れ温度に加熱する工程は、前記温度TAがAc1変態点とAc3変態点との間の温度域を通過するときの昇温速度が100℃/h以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の金型の焼入方法。
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