以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の建物は複数の建物ユニットが互いに組み合わされてなるユニット式建物となっている。図1(a)は建物を構成する建物ユニットの並びを示す平面図であり、(b)は建物の間取りを示す平面図である。
図1(a)に示すように、建物10は、横並びに設けられた複数の建物ユニット20を備える。これら各建物ユニット20はそれぞれ(平面視の)長手方向を同じ方向に向けて配設されている。各建物ユニット20のうち一部の建物ユニット20は長手方向の長さ(長辺部の長さ)が他の建物ユニット20(以下、長尺状の建物ユニット20ともいう。)よりも短くされた短尺状の建物ユニット20(以下、その符号にAを付す。)となっている。この建物ユニット20Aは、長手方向の長さが他の建物ユニット20の半分程度となっている。
建物ユニット20Aは、長尺状の建物ユニット20(以下、その符号にBを付す。)に隣り合って設けられている。建物ユニット20Aは、その桁面(長辺側の側面)を建物ユニット20Bの桁面と向き合わせ、かつ、その一方の妻面(短辺側の側面)を建物ユニット20Bの一方の妻面と同一平面上に位置合わせした状態で配置されている。この場合、建物ユニット20Bは、その一部が建物ユニット20Aよりも長手方向に延出しており、その延出した部分が延出部28となっている。また、建物ユニット20Bにおいて延出部28以外の部分、すなわち建物ユニット20Aと隣接する部分は隣接部29となっている。
なお、隣り合う各建物ユニット20A,20Bのうち、建物ユニット20Aが第2ユニットに相当し、建物ユニット20Bが第1ユニットに相当する。
続いて、建物ユニット20の構成について図2を用いながら説明する。図2は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼(角形鋼管)よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その溝部を水平方向の内側に向けて設置されている。なお、天井大梁22が上梁に相当し、床大梁23が下梁に相当する。また、天井大梁22及び床大梁23がそれぞれ大梁に相当する。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。
次に、建物10の間取りについて図1(b)に基づいて説明する。図1(b)に示すように、建物10には、屋内空間として第1居室11と第2居室12とが設けられているとともに、車両C1,C2の駐車が可能な2つのガレージ13,14(インナガレージ)が設けられている。
ガレージ13,14は、建物10に一体的に設けられた所謂インナガレージ(付属車庫)となっている。これらのガレージ13,14は、2つの建物ユニット20A,20Bを用いて形成されている。各ガレージ13,14は、それら2つの建物ユニット20A,20Bの並ぶユニット並び方向と直交する方向に並んで配置されている。
ガレージ13は、建物ユニット20Aの内部空間と建物ユニット20B(詳しくは隣接部29)の内部空間とに跨がって形成されている。各建物ユニット20A.20Bの境界部には、それら各建物ユニット20A,20Bの内部空間を連通する連通部16が形成されている。この連通部16を通じてガレージ13が各建物ユニット20A,20Bに跨がって形成されている。
ガレージ13は、その三方が仕切壁部17〜19により囲まれている。ガレージ13は、仕切壁部17により屋外と仕切られており、仕切壁部18により第1居室11と仕切られており、仕切壁部19によりガレージ14及び屋外と仕切られている。仕切壁部19は、建物ユニット20Bの延出部28及び隣接部29の境界部に沿って設けられた仕切壁部19aと、建物ユニット20Aの外周部に沿って設けられた仕切壁部19bとからなる。この場合、ガレージ13は仕切壁部19aによりガレージ14と仕切られており、仕切壁部19bにより屋外と仕切られている。なお、各ガレージ13,14がそれぞれ「土間空間」に相当し、仕切壁部19aが「各土間空間を仕切る仕切壁部」に相当する。
ガレージ13の一側面には、ガレージ開口部13aが形成されている。このガレージ開口部13aを通じてガレージ13への車両や人の出入りが可能となっている。ガレージ開口部13aは、建物ユニット20Aにおける建物ユニット20B側とは反対側の側面部(桁面)に形成されている。
ガレージ14は、建物ユニット20Bの延出部28の内部空間により形成されている。したがって、建物ユニット20Bでは、2つのガレージ13,14が建物ユニット20Bの長手方向(ユニット長手方向)に並んで配置されている。ガレージ14は、その奥行きが上記のガレージ13よりも小さくなっている。また、ガレージ14の奥行きは車両C2の長さよりも小さくなっている。そのため、ガレージ14に車両C2を駐車すると、車両C2の一部がガレージ開口部14aを通じてガレージ14の外にはみ出すようになっている。
ガレージ14は、その三方が仕切壁部19,24,27により仕切られている。ガレージ14は、仕切壁部19によりガレージ13と仕切られており、仕切壁部24により第1居室11と仕切られており、仕切壁部27により第2居室12と仕切られている。
ガレージ14の一側面には、ガレージ開口部14aが形成されている。このガレージ開口部14aを通じてガレージ14への車両や人の出入りが可能となっている。ガレージ開口部14aは、建物ユニット20Bにおいて建物ユニット20Aと対向する側の側面部36(桁面部)に形成されている。詳しくは、ガレージ開口部14aは、延出部28における当該側面部36に形成されている。また、隣接部29における当該側面部36には上記連通部16が形成されている。したがって、建物ユニット20Bの側面部36には2つの開口部16,14aが形成されている。
ここで、建物ユニット20Bは、その側面部36に連通部16とガレージ開口部14aとが形成されている関係で、当該側面部36に配置された床大梁23の一部、すなわち連通部16とガレージ開口部14aとに対応する部位が取り除かれている。そのため、建物ユニット20Bは、床部の構成が通常の建物ユニット20と相違している。
具体的には、建物ユニット20Bは、製造工場において、床部の四辺にそれぞれ床大梁23が組み付けられ、その組み付け状態で施工現場へと搬送される。そして、施工現場において、上記の床大梁23から連通部16とガレージ開口部14aとに対応する部位がそれぞれ取り除かれる。したがって、建物ユニット20Bは、製造工場で製造された製造状態(床大梁23の一部が取り除かれる前の状態)と、施工現場での設置状態(床大梁23の一部が取り除かれた後の状態)とで、床部の構成が相違している。そこで以下では、それら各状態における建物ユニット20Bの床部の構成について図3に基づいて説明する。なお、図3は建物ユニット20Bの床部の構成を示す斜視図であり、(a)が床大梁23の一部が取り除かれる前の状態を示しており、(b)が床大梁23の一部が取り除かれた状態を示している。
まず、図3(a)に基づいて、床大梁23の一部が取り除かれる前の状態(製造工場での製造状態)における建物ユニット20Bの床部の構成について説明する。
図3(a)に示すように、建物ユニット20Bの床部に配された4本の床大梁23のうち、建物ユニット20Bの側面部36に配された長辺側の床大梁23(以下、その符号にXを付す。)は、長手方向に分割された複数の分割梁31〜35を備える。床大梁23Xは、それら各分割梁31〜35が互いに連結されることにより構成されている。床大梁23Xは、分割梁31〜35として、隣り合う各柱21にそれぞれ固定された一対の固定梁31,32と、連通部16に対応する部位に配された仮梁33と、ガレージ開口部13aに対応する部位に配された仮梁34と、それら各仮梁33,34の間に配された部分梁35とを有する。これら各分割梁31〜35はいずれも、同じ断面形状を有する溝形鋼からなる。すなわち、各分割梁31〜35はそれぞれ上下に延びるウェブと、そのウェブを挟んで上下両側に設けられた上フランジ及び下フランジとを有している。
各分割梁31〜35は連結プレート37を介して互いに連結されている。連結プレート37は平板状の鋼板よりなる。連結プレート37は、隣り合う分割梁31〜35の境界部ごとに設けられ、それら隣り合う分割梁31〜35同士を互いに連結している。連結プレート37は、隣り合う分割梁31〜35のウェブの外側面に跨がって設けられ、それら各分割梁31〜35のウェブ同士を互いに連結している。
連結プレート37は、各分割梁31〜35のうち各仮梁33,34の両端部にそれぞれ溶接により固定されている。連結プレート37は、各仮梁33,34のウェブの外側面にその一部が仮梁33,34の端部から長手方向(側方)にはみ出した状態で固定されている。以下、連結プレート37において仮梁33,34からはみ出した部分をはみ出し部37aという。
仮梁33の両端部に固定された各連結プレート37のはみ出し部37aはそれぞれ固定梁31のウェブの外側面及び部分梁35のウェブの外側面にボルト38により固定されている。また、仮梁34の両端部に固定された各連結プレート37のはみ出し部37aはそれぞれ固定梁32のウェブの外側面及び部分梁35のウェブの外側面にボルト38により固定されている。これにより、各仮梁33,34はそれぞれ、ボルト38を取り外すことにより床大梁23Xから取り外し可能とされている。
連結プレート37のボルト38固定に関する構成について詳しくは、連結プレート37のはみ出し部37aにはボルト38を挿通するための挿通孔41が形成されており、固定梁31,32及び部分梁35のウェブにもそれぞれボルト38の挿通孔42が形成されている(図5参照)。そして、ボルト38がこれら各挿通孔41,42に挿通された状態でナット39(図5参照)と締結されることにより、連結プレート37がウェブに固定されている。なお、連結プレート37は上下複数(具体的には2つ)のボルト38によりウェブに固定されている。
上記のように構成された床大梁23Xは、各固定梁31,32がそれぞれ隣り合う柱21の側面に溶接により固定されることで、それら柱21間に架け渡されている。
床大梁23Xの部分梁35とそれと対向する長辺側の床大梁23(図示略)との間には床小梁26(以下、この符号にaを付す)が架け渡されて固定されている。この床小梁26aは、後述するように、仕切壁部19aに沿って設けられるものであり、この床小梁26aに対して仕切壁部19aが固定されるようになっている(図4参照)。
続いて、床大梁23Xの一部が取り外された状態(施工現場での設置状態)における建物ユニット20Bの床部の構成について図3(b)に基づいて説明する。
図3(b)に示すように、施工現場では、床大梁23Xから各仮梁33,34がそれぞれ取り外される。これら各仮梁33,34の取り外しは各ボルト38が取り外されることにより行われる。各仮梁33,34が取り外されることにより、それら仮梁33,34が取り外された部位には梁の存在しない梁欠損部44,45が形成されている。具体的には、仮梁33が取り外された部位すなわち固定梁31と部分梁35との間には梁欠損部44が形成されており、仮梁34が取り外された部位すなわち固定梁32と部分梁35との間には梁欠損部45が形成されている。そして、梁欠損部44を利用して連通部16が形成され、梁欠損部45を利用してガレージ開口部14aが形成されるようになっている。
部分梁35は、各梁欠損部44,45の間に配置され、その両端部がいずれも柱21に固定されていない非固定端となっている。この部分梁35と、それと対向する床大梁23との間に床小梁26aが架け渡されている。
次に、建物ユニット20Bに設けられた仕切壁部19a周辺の構成について図4に基づいて説明する。図4は、仕切壁部19a周辺の構成を示す縦断面図であり、図1(b)のA−A線断面図に相当する。
図4に示すように、各ガレージ13,14の間の境界部には、同境界部に沿って基礎49が設けられている。基礎49上には、建物ユニット20Bの床小梁26aが当該基礎49に沿って延びるように設けられており、その床小梁26aによって仕切壁部19aが支持されている。
仕切壁部19aは、ガレージ13側に設けられた壁パネル51Aと、ガレージ14側に設けられた壁パネル51Bとを備える。これら各壁パネル51A,51Bは床小梁26aを挟んで反対側に配置されている。各壁パネル51A,51Bはいずれも横並びに複数設けられており、それら複数の壁パネル51A,51Bにより仕切壁部19aが構成されている。なお、壁パネル51Aが第1壁パネルに相当し、壁パネル51Bが第2壁パネルに相当する。
各壁パネル51A,51Bはいずれも同じ構成を有している。以下の説明では、壁パネル51Aを構成する部材の符号にAを付し、壁パネル51Bを構成する部材の符号にBを付す。
壁パネル51A,51Bは、壁面材52A,52Bと、その壁面材52A,52Bの裏面側に固定された壁フレーム53A,53Bとを有する。壁面材52A,52Bは、窯業系サイディングにより構成されている。壁フレーム53A,53Bは、断面コ字状の鋼材よりなる縦フレーム材53a及び横フレーム材53bを有し、それら各フレーム材53a、53bが矩形枠状に連結されることにより構成されている。
ガレージ13側の壁パネル51Aは、その壁面材52Aがガレージ13に面した状態で設けられている。壁パネル51Aの壁フレーム53Aは、その下端部に配された横フレーム材53bがブラケット57を介して床小梁26aに固定されている。ブラケット57は、床小梁26aのガレージ13側の面に固定され、そのブラケット57のガレージ13側の面に横フレーム材53bがボルト58により固定されている。これにより、壁フレーム53Aひいては壁パネル51Aが床小梁26aに固定されている。
一方、ガレージ14側の壁パネル51Bは、その壁面材52Bがガレージ14に面した状態で設けられている。壁パネル51Bの壁フレーム53Bは、その下端部に配された横フレーム材53bがブラケット57を介して床小梁26aに固定されている。これにより、壁フレーム53Bひいては壁パネル51Bが床小梁26aに固定されている。
このように、各壁パネル51A,51Bはいずれも床小梁26aに固定されており、ひいては仕切壁部19aが床小梁26aに固定されている。なお、床小梁26aが小梁に相当する。
ここで、上述したように、床小梁26aは部分梁35と床大梁23との間に架け渡されて固定されているため、この場合、仕切壁部19aは床小梁26aを介して部分梁35に連結されていることになる。ところが、部分梁35は、その両端がいずれも柱21に固定されていないため、仕切壁部19aを安定した状態で設置するのが困難になるおそれがある。
そこで、本実施形態では、その点に鑑みて、部分梁35を隣接する建物ユニット20Aの柱21に連結し、それにより部分梁35を当該柱21に拘束するようにしている。以下、かかる部分梁35と柱21との連結構造(図1(a)の領域B内)について図5に基づいて説明する。図5において(a)が部分梁35と柱21との連結構造を示す横断面図であり、(b)が同構造を示す縦断面図である。なお、図5(b)では便宜上、各壁パネル51A,51B,61A,61Bの図示を省略している。
まず、部分梁35と柱21との連結構造を説明するのに先立ち、建物ユニット20A側の構成について説明する。
図5(a)及び(b)に示すように、建物ユニット20Aには、仕切壁部19aと横並びで仕切壁部19bが設けられている。仕切壁部19bは、仕切壁部19aと同様の構成からなり、ガレージ13側に設けられた壁パネル61Aと、屋外側(ガレージ14側)に設けられた壁パネル61Bとを備える。仕切壁部19bは、これら各壁パネル61A,61Bが横並びに設けられることにより構成されている。
壁パネル61A,61Bは、仕切壁部19aの壁パネル51A,51Bと概ね同様の構成を有している。すなわち、壁パネル61A,61Bは、壁面材62A,62Bと、その壁面材62A,62Bの裏面側に固定された壁フレーム(図示略)とを有している。壁面材62A,62Bは、壁面材52A,52Bと同じ窯業系サイディング(パネル材)よりなり、意匠性の統一が図られている。また、これらの壁面材52A,52B,62A,62Bは、建物10外周部に配設されている他の壁面材(すなわち外壁面材)とも同じ窯業系サイディング(パネル材)よりなる。すなわち、これらの壁面材52A,52B,62A,62Bは、外壁面材と同様の外部環境に対する耐性(耐水性や耐候性)を有して形成されている。
壁パネル61Aは、壁面材62Aがガレージ13に面した状態で設けられ、そのガレージ13側の壁面が壁面材52Aのガレージ13側の壁面と面一とされている。壁パネル61Bは、壁面材62Bが屋外に面した状態で設けられ、その外壁面(屋外側の壁面)が壁面材52Bのガレージ14側の壁面と面一とされている。
建物ユニット20Aの床部には、建物ユニット20Bとの境界部に連通部16が形成される関係で、当該境界部側に床大梁23が設けられていない。この点に関して説明すると、製造工場での建物ユニット20Aの製造時には、当該境界側に床大梁23が仮固定され、その仮固定状態で建物ユニット20Aが施工現場へ搬送される。そして、施工現場において、この床大梁23が建物ユニット20Aから取り外されるものとなっている。この床大梁23が取り外された部位が梁欠損部となり、その梁欠損部を利用して連通部16が形成されている。
なお、上記の床大梁23は、柱21に対してブラケット65を介して仮固定されるようになっている。このブラケット65は、床大梁23と同じ断面形状を有する短尺状の溝形鋼よりなる。ブラケット65は、床大梁23を挟んだ両側の各柱21の側面に溶接により固定され、それら各ブラケット65に床大梁が架け渡された状態で仮固定される。なお、かかる仮固定は、例えばボルトにより行われる。
続いて、建物ユニット20Aの柱21に対する部分梁35の連結構造について説明する。
建物ユニット20Bの部分梁35は、仕切壁部19aの壁内部、詳しくは各壁パネル51A,51Bの壁面材52A,52Bの間に設けられている。部分梁35は、各壁パネル51A,51Bの壁面材52A,52Bの間に跨がるように設けられ、その梁長さ(仕切壁部19aの壁厚み方向における長さ)が各壁面材52A,52B同士の間隔よりも若干小さい長さに設定されている。部分梁35は、基礎49上に図示しないスペーサを介して設けられ、その溝部を建物ユニット20Bの水平方向内側に向けて配置されている。なお、上記の床小梁26aは、部分梁35における上記壁厚み方向の中央部に固定されている。
部分梁35は、建物ユニット20Aの柱21(以下、その符号にXを付す)に対向して設けられている。この柱21Xは、仕切壁部19bの壁内部、詳しくは各壁パネル61A,62の壁面材62A,62Bの間に配設されている。部分梁35は、そのウェブ35aの外側面を柱21Xの側面21aに対向させて配置されている。この場合、部分梁35と柱21Xとが仕切壁部19(19a,19b)の内部において、各建物ユニット20A,20Bの並ぶユニット並び方向に対向して配置されている。
なお、この場合、建物ユニット20Aの柱21Xが「対向柱」に相当し、部分梁35が「対向梁」に相当する。また、柱21Xの側面21aが「対向柱の対向面」に相当し、部分梁35のウェブ35aの外側面が「部分梁の対向面」に相当する。
部分梁35と柱21Xとが対向する対向部分には、部分梁35を柱21Xに対して連結する連結ブラケット70が設けられている。連結ブラケット70は、帯板状の鋼板が折り曲げられる(屈曲される)ことにより形成されている。連結ブラケット70は、部分梁35のウェブ35aの外側面に固定された梁固定板部71と、柱21Xにおけるガレージ13側の側面21b(対向柱の対向面と直交する側面に相当)に固定された柱固定板部72と、それら梁固定板部71及び柱固定板部72を連結する連結板部73とを備える。
梁固定板部71は、ボルト38及びナット39の締結により部分梁35のウェブ35aに固定されている。梁固定板部71は、仕切壁部19(19a)の壁厚み方向におけるウェブ35aの中央部に固定されている。ボルト38(第1固定具に相当)は、梁固定板部71に形成された孔部71aとウェブ35aの挿通孔42とにそれぞれ挿通されており、その挿通状態でウェブ35aの内側面に溶接固定されたナット39と締結されている。具体的には、ウェブ35aには、上記壁厚み方向における複数の箇所(本実施形態では3箇所)に挿通孔42が形成されている。そして、梁固定板部71は、それら複数の挿通孔42のうち中央の挿通孔42を利用してボルト38によりウェブ35aに固定されている。なお、ボルト38は、例えば仮梁33,34の取り外しの際に取り外されたボルト38が流用される。
柱固定板部72は、柱21Xの側面21bに上下複数(具体的には3つ)のタッピングネジ78(第2固定具に相当)により固定されている。柱固定板部72は、柱21Xの側面21bにおいてブラケット65よりも建物ユニット20B(部分梁35)寄りの位置に固定されている。柱21Xにおいて側面21bを形成する側壁部にはタッピングネジ78を挿通する(止め付ける)ための挿通孔79(換言すると止め付け孔79)が形成されている。また、柱固定板部72にも、タッピングネジ78を挿通するための挿通孔81が形成されている。タッピングネジ78は、柱固定板部72の挿通孔81を介して柱21Xの挿通孔79にねじ込まれている。これにより、柱固定板部72が柱21Xの側面21bに対して固定されている。
連結板部73は、柱21Xの側面21aに対向して設けられた対向板部74と、その対向板部74と梁固定板部71とを繋ぐ繋ぎ板部75とを有する。対向板部74は、柱固定板部72における建物ユニット20B(部分梁35)側の端部に接続されており、柱21Xの側面21aに当接した状態で配置されている。
繋ぎ板部75は、仕切壁部19の壁厚み方向における対向板部74の屋外側(換言するとガレージ13側とは反対側)の端部と、上記壁厚み方向における梁固定板部71のガレージ14側(換言するとガレージ13側とは反対側)の端部とを繋いでいる。換言すると、繋ぎ板部75は、対向板部74における柱固定板部72側とは反対側の端部に接続され、その繋ぎ板部75から梁固定板部71が対向板部74と同じ側すなわちガレージ13側に向けて延びている。この場合、対向板部74と繋ぎ板部75と梁固定板部71とが平面視においてコ字状をなすように配置されている。また、繋ぎ板部75は、柱21Xと部分梁35との対向部分において、上記壁厚み方向における略中央部又はそれよりもガレージ13寄りに配置されている。
なお、上記壁厚み方向は、各建物ユニット20A,20Bの並ぶユニット並び方向と直交する水平方向と同じ方向である。
対向板部74と繋ぎ板部75と梁固定板部71とにより囲まれた内側にはガレージ13側に向けて開放された溝部76が形成されている。本実施形態では、この溝部76に仕切壁部19の内部を上下に延びる配線Kが配設されており、溝部76が配線Kの配設スペースとして利用されている。但し、溝部76を、グラスウール等の断熱材を配設する配設スペースとして利用する等その他の用途で利用してもよい。
また、連結ブラケット70は、その上端部が部分梁35の上端部よりも上方に突出しない高さ位置に配置されている。詳しくは、連結ブラケット70は、その上端部が部分梁35の上端部と同じ高さ位置に設定されている。これにより、例えば連結ブラケット70の上方に床面材や壁材等の部材が事後的に配置されても、それらの部材が連結ブラケット70に干渉するのを回避することが可能となっている。
部分梁35には、仕切壁部19aを構成する各壁パネル51A,51Bのうち、仕切壁部19bに隣接配置された(換言すると建物ユニット20A側の端部に配置された)各壁パネル51A,51Bが固定されている。これらの壁パネル51A,51Bはそれぞれ、壁面材52A,52Bの裏面側に上下方向に延びる縦フレーム材83A,83Bを有している。すなわち、壁面材52Aの裏面側に縦フレーム材83Aが設けられ、壁面材52Bの裏面側に縦フレーム材83Bが設けられている。
これら縦フレーム材83A,83Bはいずれも、断面L字状をなす鋼材により形成されている。各縦フレーム材83A,83Bは基本的に同様の構成を有しており、詳しくは仕切壁部19の壁厚み方向において互いに対称となる形状を有している。また、これらの縦フレーム材83A,83Bは、壁面材52A,52Bの裏面側において仕切壁部19b(建物ユニット20A)寄りに配置されている。なお、これら縦フレーム材83A,83Bが壁下地材に相当する。
縦フレーム材83A,83Bは、壁面材52A,52Bの裏面側に固定された壁固定板部83aと、部分梁35のウェブ35aの外側面に固定された梁固定板部83bとを有している。梁固定板部83bは、ボルト38及びナット39の締結によりウェブ35aに固定されている。各縦フレーム材83A,83Bの梁固定板部83bは、ウェブ35aにおいて連結ブラケット70の梁固定板部71を挟んだ両側に固定されている。この場合、連結ブラケット70の梁固定板部71と各縦フレーム材83A,83Bの梁固定板部83bとがウェブ35aにおいて仕切壁部19の壁厚み方向に並んで配置されている。
また、ボルト38は、梁固定板部83bに形成された孔部84とウェブ35aの挿通孔42とにそれぞれ挿通され、その挿通状態でウェブ35aの内側面に溶接固定されたナット39と締結されている。具体的には、梁固定板部83bは、ウェブ35aに設けられた複数の挿通孔42のうち両端側の各挿通孔42を利用してボルト38固定されている。なお、ボルト38は、梁固定板部71の固定の場合と同様、仮梁33,34の固定ボルト38が流用される。
次に、建物ユニット20Bの部分梁35を建物ユニット20Aの柱21Xに連結する際の作業手順について図6に基づいて説明する。図6は、かかる作業手順を説明するための図である。
まず製造工場では、建物10を構成する各建物ユニット20を製造する。この際、建物ユニット20Aについては、連通部16に対応する部位に配置される床大梁23を仮固定しておく。また、建物ユニット20Aの仕切壁部19bを構成する各壁パネル61Aのうち、少なくとも仕切壁部19aとの隣接部に配置される壁パネル61Aについては建物ユニット20Aに組み付けないでおく。
建物ユニット20Bについては、その床部に床大梁23X(各仮梁33,34を含む床大梁23X)を組み付けておく。また、建物ユニット20Bの仕切壁部19aを構成する各壁パネル51A,51Bのうち、少なくとも仕切壁部19bとの隣接部に配置される壁パネル51A,51Bについては建物ユニット20Bに組み付けないでおく。
各建物ユニット20を製造した後、それら各建物ユニット20をトラック等で施工現場へ搬送する。
施工現場では、まず製造工場から搬送されてきた各建物ユニット20をそれぞれ所定の位置に設置する。各建物ユニット20を設置した後、建物ユニット20Aから上記仮固定した床大梁23を取り外すとともに、建物ユニット20Bの床大梁23Xから各仮梁33,34を取り外す。これにより、図6(a)に示すように、建物ユニット20Bの床部に部分梁35が形成され、その部分梁35と建物ユニット20Aの柱21Xとが互いに対向配置される。また、この際、各仕切壁部19a,19bの境界部に位置するガレージ13側の各壁パネル51A,61Aが建物ユニット20A,20Bに組み付けられていないため、部分梁35と柱21Xとがそれぞれガレージ13側に露出した状態となっている。
続いて、部分梁35を建物ユニット20Aの柱21Xに連結ブラケット70を用いて連結する作業を行う。本実施形態では、この連結作業をガレージ13(作業空間に相当)側から行うことを想定している。かかる連結作業に際しては、まず図6(b)に示すように、連結ブラケット70を部分梁35と柱21Xとの対向部分に配置し、その梁固定板部71をボルト38及びナット39により部分梁35のウェブ35aに固定する。詳しくは、ガレージ13側から連結ブラケット70の溝部76に手を挿し入れて、かかるボルト38による固定作業を行う。
続いて、図6(c)に示すように、連結ブラケット70の柱固定板部72をタッピングネジ78により柱21の側面21bに固定する。これにより、部分梁35が柱21Xに連結ブラケット70を介して連結される。
その後、図6(d)に示すように、建物ユニット20Aに残りの壁パネル61A(仕切壁部19aとの隣接部に配置される壁パネル61A)を組み付けるとともに、建物ユニット20Bに残りの壁パネル51A,51B(仕切壁部19bとの隣接部に配置される壁パネル51A,51B)を組み付ける。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物ユニット20Bにおいてガレージ13,14同士を仕切る仕切壁部19aの内部に部分梁35が配設される構成にあって、その部分梁35を建物ユニット20Aの柱21Xに対向させて配置した。そして、その部分梁35を柱21Xに対して連結ブラケット70を介して連結した。この場合、両端がいずれも柱21に固定されていない部分梁35を隣りの建物ユニット20Bの柱21Xに拘束することができる。そのため、部分梁35に床小梁26aを介して仕切壁部19aを連結する構成にあって、その仕切壁部19aを安定した状態で設置することが可能となる。
仕切壁部19aにおいて各ガレージ13,14に面して設けられる壁面材52A,52Bは、屋外に面して設けられる外壁面材と同様に外部環境に対する耐性(耐水性や耐候性)が求められるため、その重量が大きくなり易い。特に、上記の実施形態では、壁面材として、上記外壁面材と同じ窯業系サイディング(パネル材に相当)を用いたため、仕切壁部19aが重量物となることが想定される。その点、部分梁35を連結ブラケット70を介して柱21Xに連結(拘束)するようにしたことで、そのような場合であっても仕切壁部19aを安定した状態で設置することが可能となる。
建物ユニット20Bの床部において、部分梁35とそれと対向する床大梁23との間に仕切壁部19aに沿って延びる床小梁26aを架け渡して固定し、その床小梁26aに対して仕切壁部19a(詳しくは同仕切壁部19aを構成する各壁パネル51A,51B)を固定した。この場合、仕切壁部19aをより安定した状態で設置することが可能となる。
仕切壁部19aを、ガレージ13に面して設けた壁パネル51Aと、ガレージ14に面して設けた壁パネル51Bとを有して構成し、それら各壁パネル51A,51Bをそれぞれ部分梁35に固定した。この場合、部分梁35を各壁パネル51A,51Bを固定するための下地として用いることができる。
連結ブラケット70の梁固定板部71を、部分梁35のウェブ35aにおける壁厚み方向の略中央部に固定した。この場合、部分梁35が上記壁厚み方向の略中央部にて連結ブラケット70を介して建物ユニット20Aの柱21Xに固定されるため、部分梁35を柱21Xに対してバランスよく拘束することができる。したがって、かかる構成は、部分梁35に連結される仕切壁部19aを安定した状態で設置する上で好ましい構成といえる。
連結ブラケット70に、溝形鋼よりなる部分梁35に対してボルト38(第1固定具に相当)により固定される梁固定板部71と、角形鋼管よりなる柱21Xに対してタッピングネジ78(第2固定具に相当)により固定される柱固定板部72とを設けた。ここで、角形鋼管よりなる柱21Xは四角筒状をなしているため、その柱21Xに対して柱固定板部72をボルト及びナットにより固定することは困難と考えられる。つまり、四角筒状の柱21Xの内側にナットを配することは困難と考えられる。その点、タッピングネジ78による固定は、ボルトによる固定の場合とは異なりナットを用いなくても済むため、この場合、四角筒状の柱21Xに対して柱固定板部72を容易に固定することが可能となる。
また、柱固定板部72を柱21Xにおけるガレージ13側の側面21b、換言すると柱21Xにおける部分梁35との対向面(側面21a)と直交する側面21bに固定したため、柱固定板部72を柱21Xの側面21aに固定する場合とは異なり、柱固定板部72をタッピングネジ78により柱21Xに固定する際、部分梁35がその作業の邪魔となることがない。そのため、かかる固定作業を好適に行うことができる。よって、この場合、(ガレージ13側から)部分梁35を柱21Xに対して好適に連結することが可能となる。
連結ブラケット70に、柱21Xの側面21a(対向面に相当)に対向して設けられる対向板部74と、その対向板部74と梁固定板部71とを繋ぐ繋ぎ板部75とを設け、梁固定板部71を繋ぎ板部75から対向板部74と同じ側すなわちガレージ13(作業空間に相当)側に向けて延びるように形成した。この場合、ガレージ13側から梁固定板部71をボルト38により部分梁35に固定する際、繋ぎ板部75が邪魔となることがないため、かかる固定作業をし易くすることができる。これにより、部分梁35を柱21Xに連結する作業をより好適に行うことが可能となる。
連結ブラケット70において柱固定板部72を柱21Xの側面21bに当接させる(固定する)ことに加え、対向板部74を柱21Xの側面21aに当接させた。この場合、連結ブラケット70が柱21Xにおいて互いに直交する2つの側面21a,21bに当接した状態で固定されるため、連結ブラケット70を柱21Xに安定した状態で固定することができる。これにより、連結ブラケット70を介した部分梁35の柱21Xに対する連結状態を安定なものとすることができるため、仕切壁部19aをより安定した状態で支持することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)連結ブラケット70の形状は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。例えば、連結ブラケットを互いに直交する2つの板部を有するL字状に形成することが考えられる。その場合、2つの板部のうち一方の板部(梁固定板部に相当)を部分梁35のウェブ35aに固定し、他方の板部(柱固定板部に相当)を柱21Xの側面21bに固定すればよい。要するに、部分梁35を柱21Xに対して連結できれば、連結ブラケット70の形状は任意でよい。
(2)上記実施形態では、連結ブラケット70の対向板部74を柱21Xの側面21aに当接させたが、対向板部74を側面21aに当接させないでもよい。つまり、対向板部74と側面21aとの間に所定の隙間を設けてもよい。
(3)上記実施形態では、連結ブラケット70の梁固定板部71を部分梁35のウェブ35aにおいて壁厚み方向の略中央部に固定したが、壁厚み方向のガレージ13寄り又はガレージ14寄りに固定してもよい。
(4)上記実施形態では、柱21Xにおいて側面21a(部分梁35との対向面)と直交する2つの側面のうちガレージ13側の側面21bに連結ブラケット70の柱固定板部72を固定したが、これに代えて、屋外側の側面(側面21bと対向する側面)に柱固定板部72を固定してもよい。その場合、屋外側(ガレージ14側)から部分梁35を柱21Xに連結する作業を行えばよい。但しこの場合、製造工場にて、建物ユニット20Aの各壁パネル61Bのうち仕切壁部19aと隣接配置される屋外側(ガレージ14側)の一部の壁パネル61Bについては建物ユニット20Aに組み付けないでおく必要がある。
(5)上記実施形態では、建物ユニット20Bの内部に、ユニット長手方向(床大梁23Xの長手方向)に並ぶ複数の土間空間としてガレージ13,14を設けたが、これら複数の土間空間のうちいずれか一方又は両方をガレージ以外の土間空間としてもよい。例えば、ガレージ14に代えてアルコーブにしたり、ガレージ13に代えて玄関(玄関ホール)にしたりすることが考えられる。
(6)上記実施形態では、柱21が角形鋼管により形成されている場合について説明したが、例えば柱21がH形鋼等、他の形鋼により形成されている場合にも本発明を適用することができる。また、床大梁23は必ずしも溝形鋼により形成されている必要はなく、H形鋼や角形鋼等、他の形鋼により形成されていてもよい。
(7)上記実施形態では、第1固定具としてボルト38を用いたが、第1固定具としてタッピングネジやビス等その他の固定具を用いてもよい。また、上記実施形態では、第2固定具としてタッピングネジ78を用いたが、ワンサイドボルトやセルフタッピングネジ等その他の固定具を用いてもよい。なお、第2固定具としてセルフタッピングネジを用いる場合には、柱21Xに予め挿通孔79を設けておく必要がなく、セルフタッピングネジをねじ込みながら柱21Xに挿通孔を形成すればよい。