JP6237664B2 - アーク炉の操業方法及び溶鋼の製造方法 - Google Patents

アーク炉の操業方法及び溶鋼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷鉄源を溶解するアーク炉の操業方法及びアーク炉の操業方法で得られた溶湯から溶鋼を製造する溶鋼の製造方法に関するものである。
アーク炉では、鉄スクラップなどの冷鉄源をアーク熱で溶解し、その後、転炉などで精錬して、溶鋼を製造する。アーク炉設備では、アーク熱を生成するため、電力を多量に消費する。この電力消費量を抑えることを目的として、溶解中にアーク炉の溶解室から発生する排ガスを利用して冷鉄源を予熱したり、溶湯中の炭素濃度を上げたりする、冷鉄源の溶解方法が提案されている。
特許文献1には、溶解室と、溶解室に直結し、溶解室で発生する排ガスが導入されるシャフト型の予熱室と、を具備したアーク炉を用い、冷鉄源が予熱室と溶解室とに連続して存在する状態を保つように、冷鉄源を予熱室へ供給しながら、溶解室の冷鉄源をアークにて加熱して冷鉄源を溶解する際に、アーク炉から出湯する溶湯の炭素濃度を1mass%以上とすることが提案されている。特許文献1には、溶湯の炭素濃度を高くして、鉄の液相線温度(融点)を低くすることで、出湯温度を低くして、少ない電力量で冷鉄源を溶解することが可能である旨が記載されている。
特開2010−265485号公報
アーク炉から得られた溶湯を、次工程の設備(転炉など)で精錬処理をして鉄鋼材料を製造する場合において、精錬処理では熱を要する場合もあり、溶湯中の炭素を熱源として利用するために、炭素濃度が高い溶湯が求められる場合がある。特許文献1に記載の発明で、溶湯中の炭素濃度を高めることはできるものの、溶解室中の溶湯上にスラグ量が増加してくると、溶解室に投入した炭材がスラグでブロックされてしまい、溶湯に溶解しない炭材が生じる可能性がある。
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、冷鉄源を使用して溶湯を生成する際に、溶湯に加えられる炭材を十分に活用して、溶湯中に溶解する炭素量(炭素歩留)を向上させることのできるアーク炉の操業方法を提供することである。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)溶解室を有するアーク炉の溶解室に冷鉄源を装入し、前記冷鉄源を前記溶解室でアーク加熱にて溶解するアーク炉の操業方法であって、前記冷鉄源の溶解で生成される溶湯に浸漬させた状態の炭材吹き込み浸漬ランスを通じて、前記溶湯中に炭材を吹き込むとともに、前記溶湯上に生成するスラグ中に酸素を吹き込むことを特徴とするアーク炉の操業方法。
(2)前記スラグ中に炭材を吹き込むことを特徴とする上記(1)に記載のアーク炉の操業方法。
(3)前記スラグに向けて炭材を投入することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のアーク炉の操業方法。
(4)前記炭材がバイオマス由来であることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のアーク炉の操業方法。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のアーク炉の操業方法によって製造された溶湯を転炉で精錬して溶鋼を得ることを特徴とする溶鋼の製造方法。
本発明によれば、冷鉄源を使用して溶湯を製造する際に、溶湯に加えられる炭材を十分に活用して、溶湯中に溶解する炭素量を向上させることができる。
アーク炉設備の鉛直断面図である。 図1に示すアーク炉設備とは別の形態のアーク炉設備の鉛直断面図である。
本発明は、溶解室を有するアーク炉を用い、冷鉄源を溶解室に装入しアーク加熱にて溶解することで、溶解室に溶湯を生成することとし、溶湯に浸漬させた状態の炭材吹き込み浸漬ランスを通じて、溶湯中に炭材を吹き込むとともに、溶湯上に生成するスラグ中に酸素を吹き込むものである。炭材吹き込み浸漬ランスから炭材を溶湯に直接吹き込むことによって、溶湯上に生成されたスラグで炭材がブロックされることなく溶湯に溶解し、吹き込んだ炭材の量のほとんどを、溶湯中に溶解する炭素の増加量分に寄与させ得る。
溶湯中に溶解する炭素量を向上させると、溶湯中の鉄の液相線温度(融点)は低くなり、出湯温度を低くできるので、少ない電力使用量で迅速に溶解することが可能となる。更には、溶湯に炭材を直接吹き込むとともにスラグ中に酸素を吹き込むことで、溶湯中の炭材を燃やして、冷鉄源を加熱したり溶湯の温度をより短時間で高めることができ、電力使用量を更に抑えることもできる。
本発明の実施形態の一例を図面に基づき説明する。図1は、本発明の実施に用いるアーク炉の実施形態の一例を示すものであり、溶湯に浸漬させた状態の炭材吹き込み浸漬ランス90を通じて、溶湯17に炭材を添加するアーク炉設備の鉛直縦断面図である。
アーク炉1は溶解室2と予熱室3とを有する。アーク炉1の内壁は耐火物で構築され、底部に炉底電極6が設けられた溶解室2の上部には、シャフト型の予熱室3と水冷構造の炉壁4とが配置され、予熱室3で覆われない炉壁4の上部開口部は、開閉自在な水冷構造の炉蓋5で覆われている。炉蓋5を貫通して、溶解室2内へ上下移動可能な黒鉛製の上部電極7が設けられ、直流式のアーク炉1の基部が構成されている。炉底電極6と上部電極7とは直流電源(図示せず)に連結し、炉底電極6と上部電極7との間でアーク19を発生させる。
予熱室3の上方には、走行台車24に吊り下げられた底開き型の供給用バケット13が設けられ、供給用バケット13から、予熱室3の上部に設けた開閉自在な供給口20を介して冷鉄源15が予熱室3内に装入される。予熱室3の上端に設けられたダクト21は集塵機(図示せず)に連結し、溶解室2で発生する高温の排ガスは、予熱室3及びダクト21を順に通って吸引され、予熱室3内の冷鉄源15は予熱される。予熱された冷鉄源15は、次に溶解室2内で溶解される冷鉄源15の量に応じて、溶解室2内に落下し、溶解室2へ装入される。
溶解室2には、炉蓋5を貫通した状態で上下移動可能な炭材吹き込み浸漬ランス90と炭材吹き込みランス9とが設けられている。炭材吹き込み浸漬ランス90は、その先端が、後述するように生成される溶湯17に浸漬するように炉蓋5に設けられており、空気や窒素などを搬送用ガスとして、コークス、チャー、石炭、木炭、黒鉛、バイオマス炭など、もしくはこれらの混合物の炭材が、溶湯17に吹き込まれる。炭材は、バイオマス由来であることが好ましい。コークスは硫黄(S)を含有しているが、バイオマス由来とすることで炭材からのS混入を防止できるからである。更には、バイオマスはカーボンニュートラルであることから地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素の排出量を低減することができる。
炭材吹き込み浸漬ランス90と炭材吹き込みランス9とに加えて、炉蓋5を貫通した状態で上下移動可能な酸素吹き込みランス8が炉蓋5に設けられている。酸素吹き込みランス8は、その先端が溶湯17上に生成されるスラグ18に接触するように配置され、酸素吹き込みランス8から、酸素がスラグ18中に吹き込まれる。
溶解室2の予熱室3を設置した部位の反対側には、その炉底に、扉22で出口側を押さえ付けられて内部に詰め砂またはマッド剤が充填された出鋼口11と、その側壁に、扉23で、出口側を押さえ付けられて内部に詰め砂またはマッド剤が充填された出滓口12とが設けられている。この出鋼口11の鉛直上方に対応する部位の炉蓋5には、バーナー10が取り付けられている。バーナー10は、重油、灯油、微粉炭、プロパンガス、天然ガスなどの化石燃料やバイオマス燃料を、空気または酸素若しくは酸素富化空気により溶解室2内で燃焼させる。バーナー10は必要に応じて取り外すことができる。溶湯17を出湯する際に、冷鉄源15が溶解していない場合があり、その場合に、冷鉄源15及び溶湯17をバーナー10で加熱することが可能になる。
アーク炉1の操業では、まず、供給用バケット13より予熱室3内に冷鉄源15を装入する。予熱室3内に装入された冷鉄源15は、溶解室2内にも装入され、やがて予熱室3が冷鉄源15で充填される。溶解室2内へ冷鉄源15を均一に装入するべく、炉蓋5を開けた状態で、予熱室3と反対側の溶解室2内に冷鉄源15や炭材を装入してもよいし、冷鉄源15の装入の際に、溶銑を溶解室2に装入してもよい。溶銑を使用することで、溶銑の有する熱により、電力使用量を大幅に削減できる。溶銑は供給用取鍋(図示せず)や溶解室2に連結する溶銑樋(図示せず)にて溶解室2に装入できる。
次いで、炉底電極6と上部電極7との間に直流電流を給電しつつ上部電極7を降下させ、炉底電極6と上部電極7との間、または、装入された冷鉄源15と上部電極7との間でアーク19を発生させ、アーク熱により冷鉄源15を溶解することで、溶湯17が生成される。そして、溶湯17上に溶融スラグ(単に「スラグ」とも呼ぶ)18が生成されることになるが、要すればフラックスを冷鉄源15に添加しておき、フラックスを溶解して溶融スラグ18を生成させてもよい。溶融スラグ18によって溶湯17が保温される。溶融スラグ18の量が多すぎる場合には、操業中でも出滓口12から溶融スラグ18を排出できる。
通電後、溶湯17及び溶融スラグ18が形成されたら、図1に示すように、炭材吹き込み浸漬ランス90を溶湯17に浸漬させて、溶湯17中に炭材を吹き込むとともに、酸素吹き込みランス8を溶融スラグ18中に挿入し、酸素を溶融スラグ18中に吹き込む。これにより、溶湯17に直接吹き込まれた炭材は、溶湯17中に溶解することとなり、溶湯17の炭素濃度が上昇する。また、スラグ中に吹き込まれる酸素が、溶湯17中に溶解する炭素と反応して燃焼熱が生じ、溶湯17の温度が上昇し、冷鉄源15の溶解が促進され、ひいては、電力消費量を抑えることができる。
溶湯17中の炭素が酸素と反応して生成される反応生成物のCOガスが溶融スラグ18をフォーミングさせる。よって、アーク19が溶融スラグ18に包まれるので、アーク19の着熱効率が上昇する。また、大量に発生する高温のCOガスと、このCOガスが燃焼して生成するCOガスとが、予熱室3内の冷鉄源15を効率良く予熱する。
また、酸素を溶融スラグ18に吹き込むとともに、炭材吹き込みランス9から炭材を溶融スラグ18中に吹き込むことが好ましい。溶融スラグ18に吹き込まれる酸素によって、溶融スラグ18中に吹き込まれる炭材が、溶湯17中の炭材よりも積極的に燃焼して燃焼熱が生じ、冷鉄源15の予熱効率を向上させる。
溶解室2内の冷鉄源15の溶解に伴い、予熱室3内の冷鉄源15は溶解室2内で溶解された量に応じて、溶解室2内に自由落下して減少するので、この減少分を補うために供給用バケット13から予熱室3へ冷鉄源15を装入してもよい。この冷鉄源15の予熱室3内への装入は、冷鉄源15が予熱室3と溶解室2とに連続して存在する状態を保つように、連続的または断続的に行う。その際に、予熱室3と溶解室2とに連続して存在する冷鉄源15の量を、1回の出湯量の50mass%以上とすることが好ましい。予熱室3と溶解室2とに連続して存在する冷鉄源15の量が低下すると、排ガス温度を利用したスクラップ予熱効果が低下するからである。
このようにして冷鉄源15及び溶湯17を加熱して冷鉄源15を溶解し、溶解室2内に溶湯17を溜めると共に、溶湯17の炭素濃度を測定し、必要により、酸素吹き込みランス8からの酸素吹込量及び炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材吹込量を調整して溶湯17の炭素濃度(最終的な目標値)を1.0mass%以上4.3mass%以下に調整することが好ましい。溶湯17の炭素濃度を上げていくと、鉄の液相線温度(融点)を下げる効果が生じ、溶湯17の炭素濃度が1.0mass%以上になると、鉄の液相線温度(融点)を下げる効果が顕著になり、出湯温度を低くして、冷鉄源を少ない電力使用量で迅速に溶解することが可能となるからである。また、溶湯17の炭素濃度を4.3mass%以下にするのは、炭素濃度が4.3mass%までは鉄の液相線温度が下がり続けるが、それを超えると、鉄の液相線温度が上がってしまい、液相線温度を下げられないからである。
溶融スラグ18に吹き込む酸素量(Nm/トン−溶湯)は、溶融スラグ18に供給された炭材の炭素を完全に燃焼させる量以上とすることが好ましい。溶融スラグ18に吹き込まれる酸素が完全に消費され、溶融スラグ18に供給された炭素が全て燃焼すれば、溶湯17の昇温が効率的に行われることになる。但し、溶融スラグ18に酸素を吹き込み過ぎると、溶湯17に溶解している炭素が積極的に燃焼し、溶湯17中の炭素濃度が低下して、鉄の液相線温度(融点)が下がりにくくなる。そこで、更には、溶融スラグ18に吹き込む酸素量(Nm/トン−溶湯)は、溶湯17中の炭素の最終的な目標濃度を超えた余剰分の炭素と、溶融スラグ18に投入された炭素と、の両方を完全に燃焼させる量以下とすることが好ましい。
炭素と酸素との反応における化学量論比からすれば、理想的には、1(kg/トン−溶湯)の炭素が燃焼するためには、概ね1(Nm/トン−溶湯)の酸素が必要となる。但し、アーク炉1の実際の操業において、溶融スラグ18に吹き込んだ全酸素量のうち、炭素の燃焼に実際に消費される酸素量の割合を表す酸素の歩留りは100%となることはなく、概ね50%程度となる。なぜならば、アーク炉1の内部から外部へ気体が漏れるなどして、溶融スラグ18に吹き込まれた酸素は全て燃焼に消費されないからである。酸素の歩留りが50%の場合には、1(kg/トン−溶湯)の炭素が燃焼するためには、2(Nm/トン−溶湯)の酸素が必要となる。
例えば、炭素濃度が0.1%の溶湯が180トンあり、該溶湯中の炭素濃度を4.1%まで上昇させる場合には、溶湯17に炭材を7200kg(=180トン×0.04)吹き込むことになる。更には、例えば、酸素で燃焼させる分、100(kg/トン−溶湯)多めに炭材を溶湯17に吹き込み、更に、200(Nm/トン−溶湯)の酸素を溶融スラグ18に吹き込むことで、100(kg/トン−溶湯)分の炭材が燃焼して、COによるフォーミングが生じる上に、溶湯17の温度が上昇する。また、酸素で燃焼させる分、例えば、100(kg/トン−溶湯)の炭材と、200(Nm/トン−溶湯)の酸素と、の両方を溶融スラグ18に吹き込んでもよい。これにより、溶融スラグ18中の炭素燃焼による溶湯17の温度上昇を図りつつ、溶湯17中の炭素濃度を効果的に高く保ち、溶湯17を、液相線温度(融点)が下がった状態とできる。よって、より短い操業時間で、冷鉄源15を溶解させ、溶湯17を出湯させることが可能となる。
溶湯17を目標量生成したら、傾動装置(図示せず)により溶解室2を傾動して出湯口11から溶湯17を出湯する。出湯後、出滓口12から溶融スラグ18を排滓し、次いで、溶解室2を傾動装置にて水平に戻し、出湯口11及び出滓口12内に詰め砂又はマッド材を充填した後、次回の冷鉄源15の溶解を開始する。
出湯された溶湯17は、脱硫を行う脱硫工程などの精錬処理を経て、転炉で脱炭処理を行い、溶鋼を得る。また、アーク炉からの溶湯の少なくとも一部を高炉溶銑と混合して、脱硫を行う脱硫工程を経て、転炉で脱炭処理を行い、溶鋼を得てもよい。
次に、図1に示す形態とは別形態のアーク炉1を、図2を参照して説明する。図2は、溶解室2への炭材を供給するに際し、炭材吹き込みランス9と炭材供給装置25とを併用した場合を示している。図2に示す形態のアーク炉1において、図1と共通する構成は、図1と同一の符号で示しかつ説明を省略する。図2に示すアーク炉1において、溶解室2の上方には、ホッパー26と、ホッパー26の下部に設けた切り出し装置28と、その上端が切り出し装置28に連結し、その下端が炉蓋5を貫通する供給シュート29とで構成される炭材供給装置25が設置されている。
ホッパー26には、図1での形態で用いたものと同様の炭材27を収納し、該炭材27の装入量を、切り出し装置28にて制御しつつ、供給シュート29を介して溶解室2に直接投入できる。炭材27を溶解室2にこのように投入することによって、溶融スラグ18に吹き込まれる酸素と反応する炭素分を供給する。ホッパー26からの投入による炭材27の装入量は、炭材吹き込みランス9での吹き込みに比べて、単位時間当たりの炭材の装入量をより大きくすることができる。
冷鉄源15は、鉄スクラップ、鉄屑、直接還元鉄、冷銑などの鉄を主成分とするものであり、高炭素含有冷鉄源を含むことが好ましい。特に、冷鉄源15が、高炭素含有冷鉄源を含む場合には、溶湯中の炭素濃度が高くなる傾向がある。よって、溶湯中の鉄の融点は低くなり、出湯温度を低くしやすくできるので、少ない電力使用量で迅速に溶解しやすくなる。高炭素含有冷鉄源とは、炭素濃度が1.0mass%以上の冷鉄源であり、例えば、直接還元鉄(炭素濃度;1〜2mass%)や冷銑(炭素濃度;3〜5mass%)などであり、炭素濃度の低い鋼を主体とした鉄スクラップに比べて格段に炭素含有量が多い冷鉄源である。また、冷銑とは高炉や溶融還元炉、またはキュポラなどで製造された溶銑を凝固させたものである。更に、これらの高炭素含有冷鉄源は不純元素の少ないことから、鉄スクラップに起因するCu、Sn、Crなどの不純物元素を希釈することもできる。
上記実施形態では、アーク炉1が直流式の場合について説明したが、アーク炉1を交流式としてもよい。
以上のようにして、冷鉄源を溶解することで、溶湯中の炭素を、後の精錬処理で用いる熱源として利用するために、溶解する炭素量が高い溶湯を生成することができる。
図2に示すアーク炉1を用いて冷鉄源15を溶解して溶湯17を生成するアーク炉の操業を行った。溶解室2は、炉径7.2m、高さ4mであり、予熱室3は、幅3m、長さ5m、高さ7m、炉容量が180トンである。冷鉄源15としては鉄スクラップを用い、炭材としてコークスを用いた。
まず、予熱室3に約70トンの常温の鉄スクラップを装入し、次いで、溶解室2に50トンの常温の鉄スクラップと1トンのコークスを装入して直径30インチの黒鉛製上部電極7を用い、容量が、最大で750V、最大で130KAの電源により、鉄スクラップの溶解を開始して、溶湯17を生成した。この時の電圧を550Vに設定した。通電直後、鉄スクラップに生石灰と蛍石とに加えた。生石灰及び蛍石は加熱されて溶融スラグ18となり、酸素吹き込みランス8から溶湯17上の溶融スラグ18に酸素を吹き込むとともに、炭材吹き込み浸漬ランス90から溶湯17中にコークスを吹き込んだ。酸素吹き込みランス8からの酸素ガス吹込量は15(Nm/トン−溶湯)、及び、炭材吹込量(炭材量)は52(kg/トン−溶湯)とした。なお、本実施例におけるアーク炉1の操業において、溶融スラグ18に吹き込んだ全酸素量のうち、炭素の燃焼に実際に消費される酸素量の割合を表す酸素の歩留りは50%程度となる。
その後、予熱室内の鉄スクラップが溶解につれて下降したら、供給用バケットにて鉄スクラップを予熱室に装入し、予熱室内の鉄スクラップ高さを一定の高さに保持しながら溶解を続け、そして、溶解室内に140トン以上の溶湯が生成した時点で、140トンの溶湯を取鍋に出湯した。出湯後、再び、前述と同様に鉄スクラップを予熱室及び溶解室に装入し溶解して、溶湯を生成し、溶湯量が140トン以上になったら、再び140トン出湯した。出湯後の溶湯は、トータル280トンである(本発明例1)。
炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材の吹込量及び溶湯17中の炭素の最終的な目標濃度(出湯C濃度)を変更した以外は本発明例1と同様にアーク炉1で溶湯17を生成した(本発明例2及び3)。
炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材の吹込量を変更し、炭材吹き込みランス9から炭材を溶解室2に供給するか、あるいは、炭材吹き込みランス9及び炭材供給装置25の両方から炭材を溶解室2に供給した以外は、本発明例1と同様にアーク炉1で溶湯17を生成した(本発明例4及び5)。
炭材供給装置25及び炭材吹き込みランス9の両方から炭材を供給するとともに、炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材の吹込量及び酸素吹き込みランス8から吹き込まれる酸素ガス吹込量を変更した以外は、本発明例1と同様にアーク炉1で溶湯17を生成した(本発明例6)。本発明例6において、酸素ガス吹込量(Nm/トン−溶湯)は、溶融スラグ18に供給された炭材の炭素を完全に燃焼させる量以上であり、出湯C濃度は4.1mass%であるが、それを超える余剰分の炭素も燃焼させる量としてある。本発明例6では、溶融スラグ18に吹き込まれる酸素が完全に消費され、溶湯17中の炭素の一部及び溶融スラグ18に供給された炭素が全て燃焼し、溶湯17の昇温が行われることになる。
炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材を、コークスでなくヤシガラ(PKS)炭とした以外は、本発明例1と同様にアーク炉1で溶湯17を生成した(本発明例7)。
次に、本発明例1〜7と比較すべく、炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材を溶湯17に吹き込まずに、炭材吹き込みランス9及び炭材供給装置25から炭材を溶解室2に加えた以外は、本発明例1と同様にアーク炉1で溶湯17を生成した(比較例)。
本発明例1〜7及び比較例の操業条件及び結果を表1に示す。
Figure 0006237664
表1に示す「炭材歩留(−)」は、溶解室2及び/または溶湯17に吹き込んだ炭材の量に対する溶湯17中の炭素量を意味し、溶湯17中の炭素濃度は、蛍光X線装置を用いて測定した。また、「tap−tap時間」とは、出湯開始時刻から次の出湯開始時刻までの時間である。この時間が小さいほど、アーク炉1で冷鉄源15を、時間の観点から効率良く溶解できたことになる。「電力原単位」は、例えば280トンの溶湯を生成するのに掛かった電力量(kWh)を280トンで割った値(kWh/トン−溶湯)である。
本発明例1と本発明例4〜7及び比較例において、出湯C濃度を4.1mass%と同じ値としてある。表1から、出湯C濃度を同じとした操業で、溶湯中に溶解する炭素量、電力原単位及び出湯C濃度を目標値とするのに掛る時間が、どのように変わるかを確認できる。本発明例2及び3では、出湯C濃度を4.1mass%ではないが、本発明例1と比べると、炭材吹き込み浸漬ランス90からの炭材の吹込量を変更することによって、溶湯中に溶解する炭素量がどのように変わるかを確認できる。
本発明例1〜7では炭材吹き込み浸漬ランスから炭材を溶湯に直接吹き込んでいるので、炭材がスラグでブロックされることはなく、炭材歩留を比較例より高めることができている。まず、本発明例1では、炭材歩留を比較例より高めることができている。溶解室(溶湯)に加えられる炭材がスラグでブロックされることはないので、炭材を十分に活用し溶湯に効率良く溶解させれたことがわかる。よって、出湯C濃度が同じである比較例に対して炭材量が少なくできている。加えて、炭材を溶湯に効率良く溶解させることができた分、比較例に比べて、電力原単位を低下させ、tap−tap時間も短くできている。
本発明例2及び3では、本発明例1よりも出湯C濃度が低く炭材量が少ない。特に本発明例3では、出湯C濃度が低いので液相線温度が高くなり、出湯温度が高くなっている。また、tap−tap時間及び電力原単位が悪化している。しかしながら、本発明例2及び3のいずれでも、炭材吹き込み浸漬ランス90から炭材を溶湯に直接吹き込んでおり、比較例よりも炭材歩留は向上し、炭材を溶湯に効率良く溶解させることができている。
本発明例4及び5では、炭材歩留を比較例より高めることができており、溶解室に供給される炭材の合計量は、出湯C濃度が同じである比較例よりも少なくできている。更には、溶融スラグ18に加えられた炭材を積極的に燃焼させることにより、電力原単位を小さくし、tap−tap時間を短かくできている。
本発明例6では、炭素の目標濃度(4.1mass)以上となる量の炭材を溶湯17に直接吹き入れ且つ溶融スラグ18に炭材を供給するとともに、溶融スラグ18に供給される炭材及び目標濃度以上となる量の炭材の全てを燃焼させる量の酸素を溶融スラグ18に吹き入れている。これにより、本発明例6では、本発明例1〜5に比べて、溶融スラグ18内及び溶湯17内で炭素の燃焼が促進され、電力原単位を小さくなるとともに、tap−tap時間が大幅に短くなり、時間の観点から効率的に炭材を溶湯17に溶解させることができたとわかる。
本発明例7では、本発明例1に比べ、出湯S濃度が抑えられていることがわかる。
本発明のアーク炉の操業方法では、溶湯中の炭素を、後の精錬処理で用いる熱源として利用するために、供給されている炭素量に対して、溶解する炭素量が高位となっている溶湯を生成できたことがわかる。加えて、スラグに吹き込まれる酸素量やスラグに供給される炭素量を調整することによって、溶湯の生産性の向上や電力原単位の低減が図ることもできたことがわかる。
1 アーク炉
2 溶解室
3 予熱室
4 炉壁
5 炉蓋
6 炉底電極
7 上部電極
8 酸素吹き込みランス
9 炭材吹き込みランス
10 バーナー
11 出鋼口
12 出滓口
13 供給用バケット
15 冷鉄源
17 溶湯
18 溶融スラグ(スラグ)
19 アーク
20 供給口
21 ダクト
22 扉
23 扉
24 走行台車
25 炭材供給装置
26 ホッパー
27 炭材
28 切り出し装置
29 供給シュート
90 炭材吹き込み浸漬ランス

Claims (4)

  1. 溶解室を有するアーク炉の溶解室に冷鉄源を装入し、前記冷鉄源を前記溶解室でアーク加熱にて溶解するアーク炉の操業方法であって、
    前記冷鉄源の溶解で生成される溶湯に浸漬させた状態の炭材吹き込み浸漬ランスを通じて、前記溶湯中に炭材を吹き込むとともに、
    前記溶湯上に生成するスラグ中に酸素及び炭材、当該酸素の吹き込み量をスラグ中に吹き込む炭材の炭素を完全に燃焼させる量以上として、吹き込むことを特徴とするアーク炉の操業方法。
  2. 前記スラグに向けて炭材を投入することを特徴とする請求項1に記載のアーク炉の操業方法。
  3. 前記炭材がバイオマス由来であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアーク炉の操業方法。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれかに記載のアーク炉の操業方法によって製造された溶湯を転炉で精錬して溶鋼を得ることを特徴とする溶鋼の製造方法。
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