JP6233960B2 - 椅子 - Google Patents
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Description
このような手法を採用した椅子は、張材自体の張力を生かし、張材の取り付けのための複雑な支持構造を基板に形成する必要がない点で優れている。
また、上記従来の椅子の場合、張材の裏面に配置されるクッション材を基材に対して正確に位置決めする手段を持たないため、クッション材上のどの部分がどれだけ押し潰されて、支持反力がどの部分でどれだけ高まるかを正確に制御することはできない。このため、椅子の個体毎に張材の位置ずれの可能性が異なることになり、均一品質を提供するためには煩雑な品質管理を強いられることになる。
この発明の場合、クッション材が基板の外周縁部の表面に設けられた複数の凸部によって係止され、基板の外周縁部でのクッション材の引き込み方向に沿った滑りが規制される。これにより、基板の外周縁部に対するクッション材の滑りが契機となり、張材がクッション材の弾性反力を受けて基板に対して位置ずれするのを抑制される。
これにより、クッション材が基板の外周縁部を表面側から裏面側にかかる範囲を包み込み、その範囲で複数の凸部によってクッション材の引き込み方向に沿った方向の位置ずれを規制される。また、基板の外周縁部の表面から裏面側にかかる範囲でクッション材が張材に内側から支持反力を付与し、張材の位置ずれをより強力に規制するようになる。
この場合、クッション材が基板の外周縁部を表面側から裏面側の外縁膨出部にかかる範囲を包み込み、外縁膨出部に設けられた凸部によってクッション材の引き込み方向に沿った方向の位置ずれを規制される。また、基板の裏面側に折り返された張材の周縁部は、外縁膨出部の内側の張材支持部によって内側に引き込まれるため、基板の外周縁部を包み込むクッション材部分が基板の外側端面に強く押し付けられ、クッション材や張材の引き込み方向に沿う方向の位置ずれがより確実に防止される。
この場合、張材の周縁部を基板の裏側で内側に引き込む張材支持部が、基板の外縁膨出部よりも裏面側に突出しているため、張材の周縁部が外縁膨出部の裏側に押し込まれなくなり、クッション材も外縁膨出部で強く折り込まることがなくなる。このため、クッション材が外縁膨出部で強く押し潰されて、基板の裏側に折り返された張材に外縁膨出部から離間する方向の大きな反力が作用するのを抑制され、基板の外周縁部の表面側に対して張材が強く押し付けられるようになる。
なお、以下の説明においては、椅子に正規姿勢で着座した人の正面が向く図中矢印FRの指す向きを「前」と呼び、それと逆側の向きを「後」と呼ぶものとする。また、「上」,「下」と「左」,「右」については、椅子に正規姿勢で着座した人の上方の図中矢印UPの指す向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、椅子に正規姿勢で着座した人の左側の図中矢印LHの指す向きを「左」、それと逆側の向きを「右」と呼ぶものとする。
これらの図に示すように、この実施形態の椅子1は、フロアF上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体4と、支基3の上面に取り付けられ座体4を支持する座受部材5と、支基3から後部上方側に延出して座体4に着座した着座者の背中を支持する背凭れ部6と、を備えている。
脚部2は、キャスタ7a付きの多岐脚7と、多岐脚7の中央部より起立し昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱8と、を備え、脚柱8の上端部に支基3が水平方向に回転可能に取り付けられている。支基3には、脚柱8の昇降調整機構と背凭れ部6の傾動調整機構が内蔵されている。背凭れ部6は、側面視略L字状の背凭れ支持フレーム9と、背凭れ支持フレーム9の後上部に取り付けられ座体4に着座した着座者の背部を直接支持する背凭れ本体10と、を備え、背凭れ支持フレーム9の前部下端が支基3内の傾動調整機構に連結されている。
また、この実施形態においては、背凭れ部6の背凭れ本体10が荷重支持体を構成している。
背板11は、弾性を有する合成樹脂によって形成されている。背板11は、正面視では四隅が丸みを帯びた縦長の略長方形状に形成され、その前面側で着座者の腰部から背部に亘る部位を支持し得るようになっている。背板11は、高さ方向の下から3分の1程度の高さ位置で着座者の腰部付近を支持し、それよりも上方側の領域で着座者の背部付近を支持する。なお、以下では、背板11のうちの着座者の腰部付近を支持する領域を「腰部支持領域11a」と呼び、それよりも上方側で着座者の背部付近を支持する領域を「背部支持領域11b」と呼ぶものとする。
なお、図3,図4中の符号90は、背板11の腰部支持領域11aの上下方向の略中央位置から背部支持領域11bに跨る領域に、背板11の柔軟な撓み変形を得るために形成されたスリットがある。
なお、カバー部材14は必ずしも強度部材でなくても良く、その場合には、背板11を直接背凭れ支持フレーム9に連結すれば良い。
張材13は、背板11よりも一回り大きく裁断され、背板11の裏面側に折り返される周縁部13aの複数箇所には、樹脂製の縁材20が取り付けられている。縁材20は、図5に示すように断面略L字状の板状に形成されている。縁材20は、係止溝15内に挿入される挿入片20aと、挿入片20aの基端から略L字状に屈曲して延出する外側係止片20bと、を有し、張材13の周縁部13aは、挿入片20aと外側係止片20bの連接部の近傍の外側面側に接合されている。この実施形態の場合、張材13の周縁部13aの裏面にはクッション材12が薄く被着され、その肉薄のクッション材12部分に縁材20が接合されている。なお、張材13と縁材20の接合態様は、この実施形態の態様に限らず、張材13の裏面に縁材20を直接接合するようにしても良い。
係止溝15内の縁材20の挿入される箇所は、図3,図4に示すように、係止溝15の左右の側辺部のうちの、補強リブ17に隣接する各箇所と、係止溝15の上辺部及び下辺部の延出方向に離間した3箇所と、四隅の各角部に対応する箇所とされている。背板11の各補強リブ17の端面(背板11の裏面方向の面)上には、縁材20の係止突起23と嵌合可能な係止凹部26が形成されている。図5に示すように、係止凹部26は、補強リブ17の端面のうちの係止溝15の外側壁部15bとの連接位置から、背板11の外周端部方向に向かって略三角形状に窪んで形成されている。
一方、係止溝15の上辺部及び下辺部と、四隅の角部に係止される縁材20は、挿入片20aが係止溝15内に挿入された後に、張材13からの張力を受けて第1の当接部24を支点として回動することにより、挿入片20aの嵌合孔21が係止溝15内の突起部22に嵌合される。この結果、各縁材20は係止溝15からの抜けを規制される。
これらの図に示すように、背板11の外周縁部には、張材13の裏側のクッション材12を係止する微小な(1mm程度の)凸部28が複数形成されている。この実施形態の場合、凸部28は、先端部が若干丸みを帯びた略円錐状に形成され、背板11の面方向と略直交する方向に突出している。凸部28は、具体的には、背板11の外周縁部の前面側領域と外縁膨出部27の背板背面側に向く領域とに、張材13の巻き込み方向に沿って複数列千鳥状に形成されている。なお、この実施形態の場合、凸部28は、背板11の型成形を容易にする観点から、背板11の外周縁部のうちの前面から裏面側に向かう湾曲部分の頂部付近には形成されていないが、凸部28はこの頂部付近にも形成するようにしても良い。
また、上記の実施形態は、背凭れ部の背凭れ本体が荷重支持体である実施形態であるが、荷重支持体は座体であっても良い。
11 背板(基板,基体)
12 クッション材
13 張材
13a 周縁部
15 係止溝(張材支持部)
27 外縁膨出部
28 凸部
128 突条(凸部)
Claims (4)
- 骨格部を成す基体であって表面側の内側領域に荷重受け面を有する基板と、
該基板の少なくとも表面側に配置されるクッション材と、
少なくとも前記クッション材の外側面と前記基板の外周縁部にかかる部分を覆い、周縁部が前記基板の外周縁部の裏側に折り返され内周側に引き込まれて支持される張材と、を有する荷重支持体を備えた椅子において、
前記基板の、前記荷重受け面よりも外側方に位置する外周縁部の表面に、面方向と交差する面直方向に突出して前記クッション材を係止する凸部が、前記張材の前記基板の裏面側からの引き込み方向に沿って複数設けられていることを特徴とする椅子。 - 前記クッション材は、前記基板よりも大きな外形寸法に形成されるとともに、外周縁部が前記基板の外周縁部の裏側に折り返され、
前記凸部は、前記基板の外周縁部の表面から裏面側に回り込む範囲に、前記張材の前記基板の裏面側からの引き込み方向に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の椅子。 - 前記基板の外周縁部に、裏面側に向かって膨出する外縁膨出部が設けられるとともに、当該外縁膨出部に前記凸部が設けられ、
前記基板の裏面側における前記外縁膨出部よりも内側領域に、前記張材の周縁部を支持する張材支持部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の椅子。 - 前記張材支持部は、前記外縁膨出部よりも前記基板の裏面側に突出していることを特徴とする請求項3に記載の椅子。
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